JP2009255362A - 熱転写プリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】機密保持性が大幅に向上された熱転写プリンタを提供する。
【解決手段】基材、基材の一方の面に設けられたマット層、及びマット層の基材側と反対の面に設けられた熱溶融性インク層を具備する熱転写記録媒体を用いる熱転写プリンタにおいて、サーマルヘッドと巻取ローラとの間に、熱転写記録媒体の印字跡を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサを配置するとともに、センサが透過光を検知した場合に印字を停止する印字制御手段を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】基材、基材の一方の面に設けられたマット層、及びマット層の基材側と反対の面に設けられた熱溶融性インク層を具備する熱転写記録媒体を用いる熱転写プリンタにおいて、サーマルヘッドと巻取ローラとの間に、熱転写記録媒体の印字跡を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサを配置するとともに、センサが透過光を検知した場合に印字を停止する印字制御手段を設ける。
【選択図】図1
Description
本発明は、機密保持性を有する熱転写プリンタ、より詳しくは、機密保持性を有する熱転写記録媒体が用いられているか否かを検知することのできる熱転写プリンタに関する。
従来から、熱転写記録媒体は、例えばコンピュータ、ワードプロセッサ及びファクシミリ等において、印刷用紙(普通用紙やPPC用紙)等の被転写体に文字や図形等を印字又は印画(出力(転写))するために用いられている。一般的な熱転写記録媒体は、少なくとも基材と熱溶融性インク層とを含み、通常は、基材と熱溶融性インク層との間にマット層が設けられている。基材は、例えばコンデンサー紙若しくはパラフィン紙等の紙又はポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂フィルムで構成され、熱溶融性インク層は、例えばワックスや熱可塑性樹脂と顔料や染料等の着色剤とを含む混合物を前記基材上にコーティングにより設けられる。
上記のような熱転写記録媒体を用い、例えば文字や図形を被転写体に出力すると、熱溶融性インク層のうちの上記文字や図形に相当する部分が被転写体に転写され、転写後(使用済)の熱転写記録媒体は、熱溶融性インク層から上記文字や図形に相当する部分が抜け、その部分が周囲の部分とは異なって(例えば幾分か白く)見える「印字跡」を有する状態で廃棄される。
したがって、例えば契約書、ノウハウが記載された文書及び特許出願用明細書案文等の機密文書を、上記のような熱転写記録媒体を用いて被転写体に転写した場合、使用済の熱転写記録媒体には上記機密文書の内容が印字跡として記録され、当該使用済の熱転写記録媒体を複写機によって複写したり蛍光灯等の光に透かしたりして見れば、印字跡の内容を容易に確認することができる。しかし、個人情報保護及び機密情報保護等の意識が高まっている昨今においては、このような印字跡を有する熱転写記録媒体についても、機密保持性の確保が求められている。
そこで、例えば特許文献1においては、上記印字跡における機密漏洩の問題を解消することを意図し、マット層に特定範囲の分子量を有する特定のバインダーを使用し、かつ多量のカーボンブラックを包含させた、機密保持性に優れた熱転写シート(熱転写記録媒体)が提案されている。この熱転写記録媒体では、印字跡(マット層露出部分)を黒色とし、当該印字跡の色相と未転写部分の色相とを近づけることによって、印字後の熱転写記録媒体に白抜けの印字跡が発生させず、目視やコピー機による複写によっても印字跡を視認できず、使用済熱転写記録媒体による秘密漏洩を防止することができるとされている。
ところが、特許文献1に記載の熱転写記録媒体であっても、使用後に複写機によって複写したり蛍光灯等の光に透かしたりして見れば、印字跡の内容を微かに確認できることから、本願の出願人は、特願2007−243132号において、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差ΔTを0.1%以下とすることによって、上記のような方法によっても印字跡の内容を確認できず、更に機密保持性を向上させた熱転写記録媒体を提案している。
上記のように、熱転写記録媒体については、機密保持性の向上のための種々の技術が提案されている。他方、かかる熱転写記録媒体を用いる従来からの熱転写プリンタについては、機密保持性を向上させるための機能は設けられていないのが一般的であり、未だ改善の余地があった。
このような観点からの熱転写プリンタの改善方法としては、例えば、使用済みの熱転写記録媒体を巻取りローラで巻き取る前に加熱し、熱溶融性インク層を溶かして印字跡を見えなくする方法、使用済みの熱転写記録媒体を巻取りローラで巻き取った後に加熱し、熱転写記録媒体を巻いた状態で接着してしまう方法等が考えられる。
しかしながら、これらのような方法を実現するためには、熱転写記録媒体を加熱するために加熱装置を設ける必要が生じ、装置の大型化及び装置構成の煩雑化を招いたり、また、加熱によって溶融した熱溶融性インクが熱転写プリンタ内に散乱して汚れとなって蓄積し、装置寿命が短くなったり発火のおそれを招いたりするという問題がある。
また、従来からの熱転写プリンタに内蔵されているセンサ等のデバイスを利用して、熱転写プリンタの機密保持性を向上させることも考えられるが、具体的にはどのような解決手段を採用すればよいかわからず、実現可能性に乏しい。
例えば特許文献2には、図6に示すように、熱転写プリンタ装置において、インクシート103の終端部を検知するインクエンド検知手段105と、インクエンド検知手段105でインクシート103の終端部を検出したときにインクシート103を矢印Xの向きから矢印Yの向きに一定量巻き戻す巻戻手段(図示せず)を設けることが提案されているが、特許文献2に提案されている技術によっては、インクシート(熱転写記録媒体)が無くなっても再使用して引き続いて印字し、印字不能を解消できるだけであり、機密保持性の向上を目的とする機能を提案したものではなかった。
このように、近年の熱転写記録媒体における機密保持性の向上にもかかわらず、これまで、熱転写プリンタの側で、かかる熱転写記録媒体の特性が確実に発揮されるように制御する機能を設けたものは提案されていなかった。
特開平4−80090号公報
特開平6−70121号公報
そこで、本発明は、機密保持性を有する熱転写プリンタを提供すること、より詳しくは、本願の出願人が提案している機密保持性を有する特定の熱転写記録媒体を用いることを前提にして、熱転写記録媒体の印字跡を含む転写領域の透過光を検知することにより、誤って機密保持性の低い他の熱転写記録媒体をセットした場合や、前記特定熱転写記録媒体の製造不良の場合等、十分な機密保持性が確保されていない状態において、そのままで印字が行われることを防止し、もって、より機密保持性に優れた印画(出力(転写))を可能とする熱転写プリンタを提供することを目的とする。
本発明者は、上述のような課題を解決すべく、
少なくとも基材及び熱溶融性インク層を具備する熱転写記録媒体を用いる熱転写プリンタであって、
前記熱転写記録媒体を供給するための供給ローラ、
前記熱転写記録媒体を巻き取るための巻取ローラ、
前記供給ローラと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱溶融性インク層を溶融及び軟化させて被転写体に印字をするためのサーマルヘッド、
前記サーマルヘッドと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱転写記録媒体の印字跡部分を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサ、並びに
前記センサが前記透過光を検知した場合に、前記印字を停止する印字制御手段、
を具備することを特徴とする熱転写プリンタを提供する。
少なくとも基材及び熱溶融性インク層を具備する熱転写記録媒体を用いる熱転写プリンタであって、
前記熱転写記録媒体を供給するための供給ローラ、
前記熱転写記録媒体を巻き取るための巻取ローラ、
前記供給ローラと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱溶融性インク層を溶融及び軟化させて被転写体に印字をするためのサーマルヘッド、
前記サーマルヘッドと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱転写記録媒体の印字跡部分を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサ、並びに
前記センサが前記透過光を検知した場合に、前記印字を停止する印字制御手段、
を具備することを特徴とする熱転写プリンタを提供する。
本発明における「被転写体」とは、PPC用紙等の印刷用紙並びに樹脂製シート及び袋等、加熱及び溶融した熱溶融性インクによって印字可能なもの全てを含む概念である。したがって、被転写体の形状及び構造等については特に制限はないが、通常、搬送の容易等の観点から熱転写プリンタに供給される被転写体はシート状であることが多い。
また、上記熱転写記録媒体の「印字跡部分を含む転写領域」とは、サーマルヘッドを上記熱転写記録媒体の基材側に接触させることによって熱溶融性インク層を加熱及び溶融させて被転写体に印字(転写)した後、熱転写記録媒体の熱溶融性インク層の主面の略法線方向から熱溶融性インク層側を見て、少なくとも印字跡部分を含む一定の領域{即ち、場合によっては、印字跡部分と、印字跡の無い熱溶融性インク層部分(未転写部分)と、を含む一定の領域}のことをいう。
「印字跡」とは、上述のように、熱転写記録媒体を用いて被転写体に文字や図形等を転写した後に、熱溶融性インク層のうちの上記文字や図形等に相当する部分が被転写体に転写され、使用済の熱転写記録媒体の熱溶融性インク層に形成されている、上記文字や図形等に相当する空白部分(即ち、マット層が露出している部分)のことをいう。
ここで、本発明の熱転写プリンタは、特に特願2007−243132号において本願の出願人が提案する、機密保持性に優れた熱転写記録媒体(以下、「特定熱転写記録媒体」という。)を用いるためのものである。当該特定熱転写記録媒体は、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、マット層の基材側と反対の面に設けられた熱溶融性インク層と、を具備し、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差ΔTが0.1%以下である。
特定熱転写記録媒体の詳細については後述するが、当該特定熱転写記録媒体は、「マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1」と「熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2」との差が0.1%以下であるため、複写機による複写や蛍光灯等の光の透かしによっても、使用済の特定熱転写記録媒体の印字跡の内容を目視で確認することができず、充分な機密保持性がより確実に得られる。
本発明の熱転写プリンタは、このような特定熱転写記録媒体を用いることを前提とするため、上記転写領域をセンサで測定したとしても、正常な特定熱転写記録媒体がセットされている限りは、透過光を確実に検知することができない。即ち、特定熱転写記録媒体においては、印字跡部分の光透過率を示す光透過率T1と、未転写部分の光透過率を示す光透過率T2との差が0.1%以下であるため、一般に用いられているセンサによっては、透過光を実質的に検知することができない(特に、光透過率T2が0.1%以下の場合)。そして、上記転写領域において透過光を検知することができれば、特定熱転写記録媒体ではなく、光透過率T1と光透過率T2との差が0.1%を超える(若しくは光透過率T2が0.1%を超える)他の熱転写記録媒体が用いられていることがわかる。
そこで、本発明の熱転写プリンタは、センサが上記転写領域において透過光を検知することによって、機密保持性に優れた特定熱転写記録媒体が用いられていないことを認識し、かかる場合には印字制御手段によって転写を停止させることを特徴とするものである。即ち、本発明は、特定熱転写記録媒体を用いることを前提に、センサの位置を特定の箇所に配置することによって、機密保持性に優れた熱転写プリンタを実現することができる。
以上のように、本発明の熱転写プリンタによれば、機密保持性を有する熱転写記録媒体(特に、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差が0.1%以下の特定熱転写記録媒体)が用いられているか否かをより確実に検知することができる。これにより、本発明は機密保持性に優れた熱転写プリンタを提供することができる。
1.熱転写プリンタ
以下、図面を参照しながら本発明の熱転写プリンタ及び特定熱転写記録媒体の好適な実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。また、下記の実施の形態は代表的なものであるに過ぎず、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、図面を参照しながら本発明の熱転写プリンタ及び特定熱転写記録媒体の好適な実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。また、下記の実施の形態は代表的なものであるに過ぎず、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
図1は、本発明の熱転写プリンタの一実施の形態の要部の構成を概略的に示す構成図であり、図1に示すように、本実施の形態の熱転写プリンタ1は、特定熱転写記録媒体であるインクシート2を供給するための供給ローラ4、インクシート2を巻き取るための巻取ローラ6、供給ローラ4と巻取ローラ6との間に設けられ、インクシート2の熱溶融性インク層(図示せず。)を溶融及び軟化させて被転写体8に印字をするためのサーマルヘッド10を具備する。
そして、本実施の形態の熱転写プリンタ1は、サーマルヘッド10と巻取ローラ9との間に設けられ、インクシート2の印字跡を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサ12と、センサ12が透過光を検知した場合に、印字を停止する印字制御手段(図示せず。)と、を具備することを特徴とする。
熱転写プリンタ1には、図示しないが、例えば駆動モータ等を含むインクシート駆動手段が設けられている。インクシート2は、例えばカートリッジ(図示せず。)内にローラ状に収納されており、駆動モータを含むインクシート駆動手段によって供給ローラ4から巻取ローラ6に矢印Xで示される向きに搬送される。このとき、インクシート駆動手段としては従来公知の機構を採用すればよく、例えば巻取ローラ6にインクシート駆動手段の役割をもたせてもよく、巻取ローラ6と連動させて別にインクシート駆動手段を設けてもよい。
また、インクシート2及び被転写体8を介して、サーマルヘッド10と対向する位置には、プラテンローラ14が設けられている。インクシート2にカートリッジが用いられる場合、当該カートリッジのサーマルヘッド10に対向する部分には開口部が設けられ、この開口部において、プラテンローラ14は、被転写体8をインクシート2に圧接させるとともにインクシート2をサーマルヘッド10に圧接させ、印字を確実に実行させる。
次に、図2は、図1に示す本発明の熱転写プリンタ1の一実施の形態の制御機構を説明するためのブロック図である。図2に示すように、熱転写プリンタ1の制御機構は、印字指令手段20からの印字指令によりインクシート2を搬送するインクシート駆動手段22、インクシート2の転写領域の透過光を検出するセンサ12、及びセンサ12で転写領域の透過光を検出したときに、印字を停止させるための印字制御手段24を具備する。センサ12および印字制御手段24は、破線で示されるように制御部を形成
供給ローラ4、巻取ローラ6、被転写体8、サーマルヘッド10、センサ12及びプラテンローラ14としては、従来公知のものを用いることができる。なかでも、センサ12は、サーマルヘッド10と巻取ローラ6との間に設けられ、インクシート2の上記転写領域の透過光を測定するためのものであり、熱転写プリンタ1の重要な構成要素である。
センサ12によって測定される「転写領域」は、上述のように、インクシート2を印字に用いた後、図1において矢印Yで示されるインクシート2の主面の略法線方向において熱溶融性インク層側からインクシート2を見て(即ち、図1におけるセンサ12側からインクシート2を見て)、少なくとも印字跡部分を含む一定の領域{即ち、場合によっては、印字跡部分と、印字跡の無い熱溶融性インク層部分(未転写部分)と、を含む一定の領域}のことをいう。
センサ12としては種々のものを用いることができ、特に透過光(可視光)を検知できるものであれば制限は無い。また、センサ12の検出可能サイズ(受光素子の径)は、上記転写領域において特に印字跡部分の透過光を検知することができれば、特に制限は無い。より厳密には、センサ12の検出可能サイズ(受光素子の径)は、印字される文字(フォント)や図形の寸法に対応させて選択すべきであるが、後述する一般的な透過型光センサであれば、特に問題なく熱転写プリンタ1に用いることができる。
このセンサ12としては、検出限界透過率TLを、特定熱転写記録媒体の印字跡部分の光透過率T1(詳細は後述する。)より高く、その他の熱転写記録媒体の印字跡部分の光透過率TN以下に設定できるもの、即ち関係式:T1<TL≦TNを満たすものであれば、種々の光センサを用いることができる。したがって、このような関係式を満たす市販の透過型光センサを用いれば、このような閾値をあえて設定する必要はないこともある。また、ライン型の透過型光センサ及びスポット型の透過型光センサのいずれも用いることができる。
市販の透過型光センサとしては、例えばキーエンス(株)製の(M8透過型)PX−H71/H71G/H71TZ、(M12透過型)PX−H72/H72G等が挙げられ、これらを用いることができる。
センサ12は上記転写領域を測定することができるように設置されている。また、センサ12は、複数個並べて設けてもよい。このように複数個並べて設ければ、上記転写領域において二次元的に透過光の検知することができ、より確実に透過光を検知することができる。例えばスポット型の透過型光センサの検出可能サイズが小さくても、より確実に透過光を検知することができ、熱転写装置1の機密保持性について信頼性が高まる。
熱転写プリンタ1は、上述のような特定熱転写記録媒体を用いることを前提としているため、転写領域をセンサ12で測定したとしても、正常な特定熱転写記録媒体がセットされている限りは、透過光を確実に検知することができない。即ち、特定熱転写記録媒体において転写領域の透過光を検知しようとした場合、印字跡部分の光透過率T1と、未転写部分の光透過率T2との差が0.1%以下であるため、センサ12によっては、透過光を実質的に検知することができない(特に、光透過率T2が0.1%以下の場合)。
そして、上記転写領域において、センサ12によって透過光を検知することができれば、特定熱転写記録媒体ではなく、光透過率T1と光透過率T2との差が0.1%を超える(若しくは光透過率T2が0.1%を超える)他の熱転写記録媒体が用いられていることがわかるため、熱転写プリンタ1は、印字制御手段24によって転写を停止させる。
この印字制御手段24の機能としては、種々の態様が考えられ、センサ12による透過光の検知によって被転写体8への印字を停止させることができれば、特に制限はない。印字を停止させる方法としては、例えば以下の方法が考えられるが、本実施の形態においては、インクシート駆動手段22を停止させることによってインクシート2(熱転写記録媒体)の搬送を停止させ、インクシート2から被転写体8への印字を停止する。かかる機能を有する印字制御手段24は、従来公知の技術によって構築することができ、例えばマイクロプロセッサ等のCPUで制御され、CPUの他にCPUの制御プログラムや各種データを記憶するROMやCPUのワークエリアとして各種データを一時保存するRAM等を備えていてもよい。また、図2における各構成要素は、例えばドライバ回路を介して接続されている。
上記のような熱転写プリンタ1の作動方法の一例について説明する。使用者によって印字指令手段20から印字指令が送り出されると、インクシート駆動手段22によって、インクシート2の新しい部分が供給ローラ4からサーマルヘッド10の位置に送り出される。インクシート2はプラテンローラ14とサーマルヘッド10との間に搬送され、サーマルヘッド10の熱によって加熱及び溶融したインクシート2の熱溶融性インク層により、被転写体8に印字がなされる。
本実施の形態の熱転写プリンタ1は、原則としてインクシート2の搬送停止モードが設定されているが、操作部26において、インクシート2の搬送停止モードの設定又は非設定を選択することができる構成を有していてもよい。そして、インクシート2の搬送停止モードが設定されているとき、印字制御手段24は、センサ12から透過光検知信号を受けると、インクシート駆動手段22に印字停止信号を送る。このインクシート駆動手段22は例えば駆動モータを具備しており、これを停止することによって、供給ローラ4から巻取ローラ6へのインクシート2の搬送を停止する。
上記のように構成された熱転写プリンタ1の動作を図3のフローチャートを参照して説明する。図3は、図1に示す熱転写プリンタ1の動作例を説明するためのフローチャートである。印字要求があったとき(ステップS1)、操作部26においてインクシート2の搬送停止モードが設定されていると(ステップS2)、センサ12は、インクシート2の転写領域において透過光を検知すると、印字制御手段24に印字停止信号を送る(ステップS3)。
印字制御手段24は、印字停止信号を受けると、搬送停止信号をインクシート駆動手段22に送り、インクシート駆動手段22は、搬送停止信号を受けると、インクシート2の搬送を停止する(ステップS4)。なお、操作部26においてインクシート2の搬送停止モードが選択されていないとき(ステップS2)、及び、透過光が検知されなかったとき(ステップS3)は、印字処理がなされる(ステップS6)。
ステップS4においてインクシート2の搬送が停止した後、使用者がインクシート2による交換が終了すれば、交換後のインクシート2の搬送が自動的に開始され、センサ2によって交換後のインクシート2について透過光の検知が行われる(ステップS5,S3)。他方、ステップS4においてインクシート2の搬送が停止した後、使用者がインクシート2による交換をしなければ、終了する(ステップS5)。
以上のような構成を有する本実施の形態の熱転写プリンタ1によれば、機密保持性を有する熱転写プリンタ、より詳しくは、機密保持性を有する熱転写記録媒体(特に、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差が0.1%以下の特定熱転写記録媒体)が用いられているか否かを検知することができる熱転写プリンタとして好適に用いることができる。
上記の熱転写プリンタ1は、種々の設計変更をすることが可能である。例えば印字制御手段24は、上記のように、インクシート駆動手段22を停止させることによってインクシート2の搬送を停止させ、インクシート2から被転写体8への印字を停止する第一の機能とは別に、又は、前記第一の機能とともに、サーマルヘッド10の作動(加熱等)を停止することによって、インクシート2から被転写体8への印字を停止する第二の機能を有していてもよい(変形例1)。
この変形例1の動作例を説明するためのフローチャートを図4に示す。図4に示すフローチャートのうちのステップS4において、インクシート2の搬送を停止させることに代えてサーマルヘッド10の作動を停止するか、又はインクシート2の搬送を停止させるとともにサーマルヘッド10の作動を停止する。熱転写プリンタ1の変形例1の要部の構成図は図1に示す構成と同じであり、熱転写プリンタ1の変形例1の制御機構を説明するためのブロック図は図2に示す構成と同じである。
センサ12が透過光を検知すると、センサ12は印字制御手段24に作動停止信号を送り、作動停止信号を受けた印字制御手段24は、サーマルヘッド10に作動停止信号を送り、作動停止信号を受けたサーマルヘッド10は作動を停止する。
また、印字制御手段24は、上記第一の機能及び/又は第二の機能に代えて、又は、上記第一の機能及び/又は第二の機能とともに、サーマルヘッド10をインクシート2から離すことによって、インクシート2(熱転写記録媒体)から被転写体8への印字を停止する第三の機能を有していてもよい(変形例2)。
この変形例2の場合、サーマルヘッド10には、搬送されるインクシート2からのサーマルヘッド10の位置(距離)を調整するための駆動装置(例えばレール及びモータを含む。)を設ける必要がある。そして、センサ12が透過光を検知すると、センサ12は印字制御手段24に印字停止信号を送り、印字停止信号を受けた印字制御手段24は、当該駆動装置に移動信号を送り、移動信号を受けた駆動装置はサーマルヘッド10をインクシート2から離れるように移動させる。
また、熱転写プリンタ1は、第一の機能、第二の機能及び第三の機能のうちのいずれか一つ又はその複数に加えて、警告灯を点灯又は点滅させたり、警告音を発生させたりすることにより、機密保持性に優れた特定熱転写記録媒体が用いられていないことを使用者に伝える警告手段を有していてもよい(変形例3)。ここで、図5は、熱転写プリンタ1の変形例3の制御機構を説明するためのブロック図である。
例えば、図5に示すように、警告手段(例えばライト又はブザー等)28を設けて、センサ12が透過光を検知すると、センサ12から印字制御手段24に警告信号を送り、警告信号を受けた印字制御手段24は、警告手段28に警告信号を送り、警告信号を受けた警告手段28は警告を発する。なお、警告手段28は、上記第一の機能、第二の機能及び第三の機能のうちのいずれか一つ又はその複数と組み合わせて用いればよい。
また、熱転写プリンタ1は、以下のようなセキュリティ性確認動作を行う構成を有していてもよい(変形例4)。即ち、インクシート2を熱転写プリンタ1にセットした後、センサ12に搬送されるインクシート2のうち、センサ12の検出素子に相対する部分に予めテスト印字を行って、確認用転写領域を形成し、当該確認用転写領域において透過光を測定するような構成を採っても構わない。また、毎回の印字の前に、センサ12に搬送されるインクシート2のうち、センサ12の検出素子に相対する部分に予めテスト印字を行って、確認用転写領域を形成し、当該確認用転写領域において透過光を測定するような構成としてもよい。これらのような構成を採用する場合は、操作部26においてセキュリティ性確認動作の有無を選択するようにすればよい。
2.特定熱転写記録媒体について
以下においては、本実施の形態の熱転写プリンタ1に用いられるインクシート2として好適な特定熱転写記録媒体について説明する。特定熱転写記録媒体は、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、マット層の基材側と反対の面に設けられた熱溶融性インク層と、を具備し、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差ΔTを0.1%以下に設定することを特徴とする。マット層そのものの光透過率の値及び熱溶融性インク層そのものの光透過率の値は、上記差ΔTが0.1%以下である限りは原則として自由に設定することができる。
以下においては、本実施の形態の熱転写プリンタ1に用いられるインクシート2として好適な特定熱転写記録媒体について説明する。特定熱転写記録媒体は、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、マット層の基材側と反対の面に設けられた熱溶融性インク層と、を具備し、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差ΔTを0.1%以下に設定することを特徴とする。マット層そのものの光透過率の値及び熱溶融性インク層そのものの光透過率の値は、上記差ΔTが0.1%以下である限りは原則として自由に設定することができる。
上記「光透過率T1」は、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、を含む第一の積層体(即ち熱溶融性インク層を設ける前)を用い、マット層の主面の略法線方向においてマット層側から透過度測定器等で測定することができる。この際、第一の積層体は、基材及びマット層の他に、例えば基材のマット層側と反対の面に設けられた耐熱性保護層を有していてもよい。
また、上記「光透過率T2」は、第一の積層体と、第一の積層体のマット層側の面(即ちマット層上)に設けられた熱溶融性インク層と、を含む第二の積層体を用い、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側から透過度測定器等を用いて測定することができる。なお、熱溶融性インク層の主面の略法線方向はマット層の主面の略法線方向と同一である。また、第二の積層体そのものが特定熱転写記録媒体である場合もある。
「光透過率T1」及び「光透過率T2」は同じ条件で測定され、それらの単位は%である。また、光透過率は、ISO Visualに準拠する分光感光特性を有する、例えばX−rite製のMODEL341やグレタグマクベス社製のTDシリーズ等の市販の透過度測定器を用いて通常モードで光透過度nを測定し、式:T=10-n×100(%)を用いて光透過度nを光透過率Tに換算することにより得られる。
「光透過率T2」は特定熱転写記録媒体の製造工程中に上記第二の積層体(特定熱転写記録媒体)を用いて測定することができ、「光透過率T1」は特定熱転写記録媒体の製造工程中に上記第一の積層体を用いて測定することができるが、「光透過率T1」は完成品たる特定熱転写記録媒体を用いても測定することができる。即ち、ある熱転写記録媒体が特定熱転写記録媒体であるか否かを検証することができる。
熱転写記録媒体を用いて「光透過率T1」を測定する場合、熱転写記録媒体を市販の熱転写プリンタにセットし、印刷用紙等の被転写体に所定の文字や図形を転写し、熱溶融性インク層に上記文字や図形に相当する部分が抜けた「印字跡」を形成する。この印字跡においてはマット層が外部に露出しているため、当該印字跡の光透過率が「光透過率T1」に相当する。したがって、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において熱溶融性インク層側から透過度測定器等を用いて上記印字跡の光透過率を測定すればよい。
以下、特定熱転写記録媒体の各構成要素について説明する。
以下、特定熱転写記録媒体の各構成要素について説明する。
(1)基材
特定熱転写記録媒体における基材としては、従来から熱転写記録媒体に用いられている公知のシート状又はフィルム状等の基材を用いることができる。そのような基材を構成する材料としては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、アラミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリプロピレン及びセロファン等の合成樹脂、コンデンサー紙、グラシン紙及びトレーシング紙等の薄葉紙等が挙げられる。
特定熱転写記録媒体における基材としては、従来から熱転写記録媒体に用いられている公知のシート状又はフィルム状等の基材を用いることができる。そのような基材を構成する材料としては、例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、アラミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリプロピレン及びセロファン等の合成樹脂、コンデンサー紙、グラシン紙及びトレーシング紙等の薄葉紙等が挙げられる。
なかでも、基材はフィルム状で耐熱性を有するものであるのが好ましく、価格、機械的強度、寸法安定性及び耐熱性等の観点から、特にポリエステルフィルムからなる基材が好ましい。また、基材として、複数のシートやフィルムを積層して得られる複合基材や、複数の材料を用いて得られる複合基材を用いてもよい。これらの基材を用いる場合、特定熱転写記録媒体はシート状乃至はフィルム状として得られる。
基材の厚みは特に限定はされないが、通常1〜30μm、好ましくは2〜25μmの厚みのものが用いられる。基材の色も特に限定されないが、上記光透過率T1及び上記光透過率T2の測定に影響を与えず、かつ価格を抑制するという観点からは、光透過率の高い透明の基材であるのが好ましい。
(2)マット層
特定熱転写記録媒体において、基材の一方の面に設けられるマット層は、バインダ樹脂とマット材としてのカーボンブラックとを含む。
バインダ樹脂としては従来から熱転写記録媒体等に用いられている公知のバインダ樹脂を用いることができる。そのようなバインダ樹脂としては、例えば共重合ポリエステル、アクリル樹脂及びスチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられ、それぞれ単独で又は二種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
特定熱転写記録媒体において、基材の一方の面に設けられるマット層は、バインダ樹脂とマット材としてのカーボンブラックとを含む。
バインダ樹脂としては従来から熱転写記録媒体等に用いられている公知のバインダ樹脂を用いることができる。そのようなバインダ樹脂としては、例えば共重合ポリエステル、アクリル樹脂及びスチレン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられ、それぞれ単独で又は二種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
マット材としてのカーボンブラックは特に限定されない。例えば熱分解法や不完全燃焼法等で得られるファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック及びチャンネルブラック等の種々のカーボンブラックを挙げられ、それぞれ単独で又は二種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えば三菱化学(株)製の三菱カーボンブラック MAシリーズ、RCFシリーズ、HCFシリーズ、MCFシリーズ(いずれも商品名)、キャボット社製のXCシリーズ等を挙げることができ、種々の黒度、分散性及び着色力等を有するカーボンブラックを適宜選択することができる。
マット層には、光透過率に関する上記条件を損なわない範囲でカーボンブラック以外の他のマット材を含んでいてもよい。このようなマット材としては、例えば粉状のシリカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、アクリル樹脂及びメラミン樹脂等を挙げることができる。アクリル樹脂及びメラミン樹脂が架橋官能基を有する場合には、架橋していてもしていなくてもよい。また、マット層を形成するにあたり、マット層と後述する熱溶融性インク層との剥離性を向上させるために、マット層に熱離型剤や滑剤を添加してもよい。
ここで、上記光透過率T1を上述のように極めて低い値に設定するためには、マット層のカーボンブラック含有量とマット層の厚みを調整することが必要である。本発明におけるマット層のカーボンブラック含有量は、固形分換算で、マット層の25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。なお、従来からの一般的なマット層のカーボンブラック含有量は、固形分換算で、マット層の20質量%程度である。
ただし、カーボンブラック含有量を多くすると、後述するマット層形成用インクを上記基材に塗布してマット層を形成する際に、塗工性の低下を招き、塗膜を厚くすることができないので、結果として上記光透過率T1を低くすることができなくなる。また、バインダによるカーボンブラック保持力が低下することにより、特定熱転写記録媒体の製造中にカーボンブラックがマット層からこぼれ落ち、熱溶融性インク層の表面に付着して汚してしまうおそれがある。したがって、バインダの種類や性能にもよるが、マット層のカーボンブラック含有量は40質量%未満であることが好ましい。さらに、カーボンブラック含有量が40質量%未満であれば、転写による印字又は印画の際にマット層においてカーボンブラックに起因する凝集破壊が起こりにくく、熱溶融インク層とともにマット層の一部が転写されることをより確実に抑制することができ、結果として、印字跡の光透過率も低く抑えることができる。
マット層の厚み(塗布量)は、マット層形成用インクの組成にもよるが、好ましくは2.0g/m2以上、より好ましくは2.2g/m2以上である。このような厚みを有することにより、過剰なカーボンブラックを配合することなく、上記光透過率T1を所望する低い値に設定することが可能となる。ただし、マット層が厚すぎると、熱伝導性が低下して印字や印画の質の低下や劣化を招くおそれがあるため、好ましくは3.0g/m2以下、より好ましくは2.5g/m2以下である。なお、従来からの一般的なマット層の厚みは2.0g/m2以下である。
(3)熱溶融性インク層
マット層の基材側と反対の面に設けられる熱溶融性インク層は、基本的には、従来からの熱転写記録媒体における熱溶融性インク層と同じ成分(バインダ樹脂及び/又はワックス並びに着色剤等)で構成することができる。
マット層の基材側と反対の面に設けられる熱溶融性インク層は、基本的には、従来からの熱転写記録媒体における熱溶融性インク層と同じ成分(バインダ樹脂及び/又はワックス並びに着色剤等)で構成することができる。
バインダ樹脂としては、上記マット層の場合と同様に、従来から熱転写記録媒体等に用いられている公知のバインダ樹脂を用いることができる。そのようなバインダ樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、テルペン樹脂、ロジン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル及びアクリル樹脂等が挙げられ、それぞれ単独で又は二種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
また、ワックスとしても、従来から熱転写記録媒体等に用いられている公知のワックスを用いることができる。例えばカルナバワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、ライスワックス、木ロウ、蜜ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、部分変性ワックス、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミド等が挙げられ、それぞれ単独で又は二種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
熱溶融性インク層に含まれる着色剤は、光透過率に関する上記条件を損なわないように少なくともカーボンブラックを含むのが好ましい。所望する色に応じて各種染料や顔料を適宜選択して用いてもよい。カーボンブラックとしては、上記マット層において例示したものを用いることができ、それらを用いればよい。
また、熱溶融性インク層には、光透過率に関する上記条件を損なわない範囲で、必要に応じて各種の添加剤を添加してもよい。例えばクロマン系化合物及びフェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−チアゾリドン系化合物、紫外線吸収性ポリマー等の紫外線吸収剤等を含有させてもよい。これらの他にも、有機及び/又は無機の充填材等の微粒子、離型剤、可塑剤、分散剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
熱溶融性インク層の厚み(塗布量)は、一般的には0.5〜5.0g/m2であることが好ましいとされるが、この範囲に限られず、所望する濃度や熱感度等に応じて、かつ、マット層の光透過率と熱溶融性インク層の光透過率との差ΔTを0.1%以下に設定できる範囲、好ましくは上記インク層の光透過率T2を0.002%以下に設定できる範囲で、適宜選択すればよい。
(4)耐熱保護層
本発明に係る熱転写記録媒体において、基材のマット層側と反対の面(即ち熱転写時に熱が直接加えられる面)には、熱から基材等を保護するために、耐熱保護層が設けられているのが好ましい。
本発明に係る熱転写記録媒体において、基材のマット層側と反対の面(即ち熱転写時に熱が直接加えられる面)には、熱から基材等を保護するために、耐熱保護層が設けられているのが好ましい。
かかる耐熱保護層は、従来から熱転写記録媒体に用いられている公知の耐熱性樹脂を用いて構成することができる。かかる耐熱性樹脂としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂とイソシアネート樹脂との反応生成物、及び耐熱粒子を含むアクリル樹脂等が挙げられる。耐熱保護層の厚み等については本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよい。
上記特定熱転写記録媒体を製造する際には、まず、上記のような基材を準備し、当該基材の一方の面にマット層及び熱溶融性インク層をこれらの順に形成する。マット層及び熱溶融性インク層は従来公知の方法及び条件により形成することができる。
例えばマット層の形成においては、まず、マット層を構成する上記材料と、水又はトルエン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサン、酢酸ブチル及びジオキサン等のうちの少なくとも1種の溶媒と、を含むマット層形成用インクを調製する。ここでは、必要に応じて、ボールミル、バスケットミル又はアトライター等を用いて、マット層形成用インク中において材料を溶媒に溶解させたり均一に分散させたりする。
このようにして得られたマット層形成用インクを、例えばダイレクトグラビアコーター、ローラコーター、エアナイフコーター、バーコーター、各種ブレードコーター又はカーテンコーター等の従来公知の塗布装置を使用したソルベントコーティング法により、基材等被塗布面に塗布し、乾燥によって水や溶媒を除去してマット層を形成する。
また、マット層の面のうちの上記基材側と反対の面に熱溶融性インク層を形成する際には、熱溶融性インク層を構成する上記材料の混合物を調製し、得られた混合物をホットメルト法を用いたローラコート法により、上記マット層上に溶融させて塗布することによって形成することができる。
耐熱保護層は、従来から熱転写記録媒体に用いられている公知の耐熱性樹脂を用いて構成することができる。かかる耐熱性樹脂としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂とイソシアネート樹脂との反応生成物、及び耐熱粒子を含むアクリル樹脂等が挙げられる。耐熱保護層の厚み等については本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよい。
また、耐熱保護層は、耐熱保護層を構成する上記材料と、水又はトルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸ブチル及びジオキサン等のうちの少なくとも1種の溶媒と、を含む耐熱保護層形成用インクを調製し、上記マット層と同様にして形成することができる。
以上、特定熱転写記録媒体について詳細に説明したが、当該特定熱転写記録媒体は、上述した内容のみに限定されるものではない。上述のような光透過率に関する条件を損なわない範囲であれば、上述した材料以外の材料を用いてもよく、また、上述した製造方法以外の製造方法を用いてもよい。
以下に、本発明の熱転写プリンタに好適に用いられる特定熱転写記録媒体を、製造例を用いて詳細に説明する。なお、以下において「部」とあるのは、特に断りがない限り質量基準である。
《製造例1》
(1)耐熱保護層の形成
基材として、厚さ5μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム(東洋紡(株)製のマグサンKM−15)を用意し、攪拌機を用いて下記の組成(I)を有する耐熱保護層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の一方の面に塗布して乾燥し、耐熱保護層を形成した。耐熱保護層の厚み(塗布量)は0.3g/m2とした。
(1)耐熱保護層の形成
基材として、厚さ5μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム(東洋紡(株)製のマグサンKM−15)を用意し、攪拌機を用いて下記の組成(I)を有する耐熱保護層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の一方の面に塗布して乾燥し、耐熱保護層を形成した。耐熱保護層の厚み(塗布量)は0.3g/m2とした。
組成(I):
シリコーン樹脂 10部(固形分換算)
(東芝シリコーン(株)製のアクリルシリコーン共重合体)
トルエン 45部
MEK 45部
シリコーン樹脂 10部(固形分換算)
(東芝シリコーン(株)製のアクリルシリコーン共重合体)
トルエン 45部
MEK 45部
(2)マット層の形成
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(II)を有し、カーボンブラックの分散性が良好なマット層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の耐熱保護層側と反対の面に塗布して乾燥し、マット層を形成した。マット層の厚み(塗布量)は2.3g/m2とした。これにより、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、を含む第一の積層体1を得た。
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(II)を有し、カーボンブラックの分散性が良好なマット層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の耐熱保護層側と反対の面に塗布して乾燥し、マット層を形成した。マット層の厚み(塗布量)は2.3g/m2とした。これにより、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、を含む第一の積層体1を得た。
組成(II):
バインダ樹脂 共重合ポリエステル 60部(固形分換算)
(ユニチカ(株)製のエリーテル UE3200)
マット材 カーボンブラック 36部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース18000 3部
ルーブリゾール社製のソルスパース5000 1部
溶媒 トルエン 130部
MEK 70部
バインダ樹脂 共重合ポリエステル 60部(固形分換算)
(ユニチカ(株)製のエリーテル UE3200)
マット材 カーボンブラック 36部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース18000 3部
ルーブリゾール社製のソルスパース5000 1部
溶媒 トルエン 130部
MEK 70部
(3)熱溶融インク層の形成
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(III)を有する熱溶融性インク層形成用混合物を調製した。ついで、ホットメルト法を用いたローラコート法で、当該混合物を上記マット層の基材側と反対の面に塗布し、熱溶融性インク層を形成した。熱溶融性インク層の厚み(塗布量)は3.0g/m2とした。これにより、上記第一の積層体1と、第一の積層体1のマット層側に設けられた熱溶融性インク層と、を含む第二の積層体1(即ち特定熱転写記録媒体1)を作製した。
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(III)を有する熱溶融性インク層形成用混合物を調製した。ついで、ホットメルト法を用いたローラコート法で、当該混合物を上記マット層の基材側と反対の面に塗布し、熱溶融性インク層を形成した。熱溶融性インク層の厚み(塗布量)は3.0g/m2とした。これにより、上記第一の積層体1と、第一の積層体1のマット層側に設けられた熱溶融性インク層と、を含む第二の積層体1(即ち特定熱転写記録媒体1)を作製した。
組成(III):
カルナバワックス 45部
モンタンワックス 45部
カーボンブラック 10部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
カルナバワックス 45部
モンタンワックス 45部
カーボンブラック 10部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
以上のようにして作製した特定熱転写記録媒体1に関して、下記の要領で光透過率、機密保持性及び印字特性の評価試験を行なった。
[評価試験1]
(a)光透過率T1
上記第一の積層体1を用い、「マット層の主面の略法線方向において、マット層の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1」を、上記第一の積層体1のうちのマット層の主面の略法線方向において、マット層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件としては通常モードを採用した。結果を下記に示す。
(a)光透過率T1
上記第一の積層体1を用い、「マット層の主面の略法線方向において、マット層の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1」を、上記第一の積層体1のうちのマット層の主面の略法線方向において、マット層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件としては通常モードを採用した。結果を下記に示す。
(b)光透過率T2
上記第二の積層体1を用い、「熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2」を、上記第二の積層体1(熱転写記録媒体1)のうちの熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。結果を下記に示す。
上記第二の積層体1を用い、「熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2」を、上記第二の積層体1(熱転写記録媒体1)のうちの熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。結果を下記に示す。
(c)印字跡の光透過率T
上記製造例で作製した特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)の一面を熱溶融性インクが覆うように印字した。このときの印字条件としては通常設定値を採用した。これによって、使用済の特定熱転写記録媒体1には、上記印刷用紙に印字された形状の空白部分からなる印字跡が形成された。この印字跡の光透過率Tを、使用済の熱転写記録媒体の熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。その結果、得られた値は光透過率T1とほぼ同じであった。
上記製造例で作製した特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)の一面を熱溶融性インクが覆うように印字した。このときの印字条件としては通常設定値を採用した。これによって、使用済の特定熱転写記録媒体1には、上記印刷用紙に印字された形状の空白部分からなる印字跡が形成された。この印字跡の光透過率Tを、使用済の熱転写記録媒体の熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。その結果、得られた値は光透過率T1とほぼ同じであった。
光透過率T1 0.089%
光透過率T2 0.0015%
T1とT2との差ΔT 0.0875%
光透過率T2 0.0015%
T1とT2との差ΔT 0.0875%
[評価試験2]
(a)機密保持性1
上記特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、15mm×15mmのサイズのひらがなを50音順に印字した。このときの印字条件としては通常設定値を採用した。ついで、使用済の特定熱転写記録媒体1を蛍光灯に透かして目視により観察したところ、印字跡の文字は判読不能であった。
(a)機密保持性1
上記特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、15mm×15mmのサイズのひらがなを50音順に印字した。このときの印字条件としては通常設定値を採用した。ついで、使用済の特定熱転写記録媒体1を蛍光灯に透かして目視により観察したところ、印字跡の文字は判読不能であった。
(b)機密保持性2
上記(a)で得た使用済の特定熱転写記録媒体を、複写機(リコー(株)製のimajio Neo 220)にて被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に複写を試みたところ、真っ黒なコピーが得られ、印字跡の文字は判読不能であった。
上記(a)で得た使用済の特定熱転写記録媒体を、複写機(リコー(株)製のimajio Neo 220)にて被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に複写を試みたところ、真っ黒なコピーが得られ、印字跡の文字は判読不能であった。
[評価試験3]
特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)にパターン印字を行ない、印字特性を評価した。このときの印字条件は、熱転写プリンタの印字エネルギーを通常設定値より5度数下げた低エネルギー状態とした。ついで、印刷用紙を目視により観察して転写性を確認したところ、鮮明な印字が確認できた。
特定熱転写記録媒体1を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)にパターン印字を行ない、印字特性を評価した。このときの印字条件は、熱転写プリンタの印字エネルギーを通常設定値より5度数下げた低エネルギー状態とした。ついで、印刷用紙を目視により観察して転写性を確認したところ、鮮明な印字が確認できた。
《製造例2〜7及び比較製造例1〜2》
(1)耐熱保護層の形成
基材として、厚さ5μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム(東洋紡(株)製のマグサンKM−15)を用意し、攪拌機を用いて下記の組成(I)を有する耐熱保護層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の一方の面に塗布して乾燥し、耐熱保護層を形成した。耐熱保護層の厚み(塗布量)は0.3g/m2とした。
(1)耐熱保護層の形成
基材として、厚さ5μmのポリエチレンテレフタレート製のフィルム(東洋紡(株)製のマグサンKM−15)を用意し、攪拌機を用いて下記の組成(I)を有する耐熱保護層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の一方の面に塗布して乾燥し、耐熱保護層を形成した。耐熱保護層の厚み(塗布量)は0.3g/m2とした。
組成(I):
シリコーン樹脂 10部(固形分換算)
(東芝シリコーン(株)製のアクリルシリコーン共重合体)
トルエン 45部
MEK 45部
シリコーン樹脂 10部(固形分換算)
(東芝シリコーン(株)製のアクリルシリコーン共重合体)
トルエン 45部
MEK 45部
(2)マット層の形成
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(II)を有し、カーボンブラックの分散性が良好なマット層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の耐熱保護層側と反対の面に塗布して乾燥し、マット層を形成した。マット層の厚み(塗布量)(g/m2)は表1に示すとおりとした。これにより、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、を含む第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2を得た。
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(II)を有し、カーボンブラックの分散性が良好なマット層形成用インクを調製した。ついで、ダイレクトグラビアコーターを用いて当該インクを上記基材の耐熱保護層側と反対の面に塗布して乾燥し、マット層を形成した。マット層の厚み(塗布量)(g/m2)は表1に示すとおりとした。これにより、基材と、基材の一方の面に設けられたマット層と、を含む第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2を得た。
組成(II):
バインダ樹脂 共重合ポリエステル 60部(固形分換算)
(ユニチカ(株)製のエリーテル UE3200)
マット材 カーボンブラック 36部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース54000 3部
ルーブリゾール社製のソルスパース5000 1部
溶媒 トルエン 130部
MEK 70部
バインダ樹脂 共重合ポリエステル 60部(固形分換算)
(ユニチカ(株)製のエリーテル UE3200)
マット材 カーボンブラック 36部
(キャボット社製のバルカンXC−72R)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース54000 3部
ルーブリゾール社製のソルスパース5000 1部
溶媒 トルエン 130部
MEK 70部
(3)熱溶融インク層の形成
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(III)を有する熱溶融性インク層形成用混合物を調製した。ついで、ホットメルト法を用いたグラビアコート法で、当該混合物を上記マット層の基材側と反対の面に塗布し、熱溶融性インク層を形成した。熱溶融性インク層の厚み(塗布量)は3.0g/m2とした。これにより、上記第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2と、第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2のマット層側に設けられた熱溶融性インク層と、を含む第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2(即ち特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2)を作製した。
つぎに、攪拌機を用いて下記の組成(III)を有する熱溶融性インク層形成用混合物を調製した。ついで、ホットメルト法を用いたグラビアコート法で、当該混合物を上記マット層の基材側と反対の面に塗布し、熱溶融性インク層を形成した。熱溶融性インク層の厚み(塗布量)は3.0g/m2とした。これにより、上記第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2と、第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2のマット層側に設けられた熱溶融性インク層と、を含む第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2(即ち特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2)を作製した。
組成(III):
ワックス パラフィンワックス 70部
カルナバワックス 10部
バインダ樹脂 エチレン−酢酸ビニル共重合体 6部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製のEVA−V577)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース18000 2部
着色剤 カーボンブラック 12部
(デグサジャパン社製のプリンテックス35)
ワックス パラフィンワックス 70部
カルナバワックス 10部
バインダ樹脂 エチレン−酢酸ビニル共重合体 6部
(三井・デュポンポリケミカル(株)製のEVA−V577)
分散剤 ルーブリゾール社製のソルスパース18000 2部
着色剤 カーボンブラック 12部
(デグサジャパン社製のプリンテックス35)
[評価試験1]
(a)光透過率T1
上記第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2を用い、「マット層の主面の略法線方向において、マット層の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1」を、上記第一の積層体1のうちのマット層の主面の略法線方向において、マット層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件としては通常モードを採用した。結果を表1に示す。
(a)光透過率T1
上記第一の積層体2〜7及び比較用第一の積層体1〜2を用い、「マット層の主面の略法線方向において、マット層の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1」を、上記第一の積層体1のうちのマット層の主面の略法線方向において、マット層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件としては通常モードを採用した。結果を表1に示す。
(b)光透過率T2
上記第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2を用い、「熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2」を、上記第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2(熱転写記録媒体)のうちの熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。結果を表1に示す。
上記第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2を用い、「熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2」を、上記第二の積層体2〜7及び比較用第二の積層体1〜2(熱転写記録媒体)のうちの熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層側からX−rite社製のMODEL341で測定した。測定条件は上記(a)と同じとした。結果を表1に示す。
[評価試験2]
(a)機密保持性1
上記特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2を熱転写プリンタ(日本電気(株)製のSP−R100)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、15mm×15mmのサイズのひらがなを50音順に印字した。このときの印字条件としてはふつうモードを採用した。ついで、暗室にて、使用済の熱転写記録媒体を蛍光灯(日本電気(株)製のライフラインII 昼光色)から距離80cm離した状態で透かして目視により観察した。印字跡の文字が判読不能の場合を○、印字跡の文字は判読可能の場合を×として、表1に示した。
(a)機密保持性1
上記特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2を熱転写プリンタ(日本電気(株)製のSP−R100)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、15mm×15mmのサイズのひらがなを50音順に印字した。このときの印字条件としてはふつうモードを採用した。ついで、暗室にて、使用済の熱転写記録媒体を蛍光灯(日本電気(株)製のライフラインII 昼光色)から距離80cm離した状態で透かして目視により観察した。印字跡の文字が判読不能の場合を○、印字跡の文字は判読可能の場合を×として、表1に示した。
(b)機密保持性2
上記(a)で得た使用済の熱転写記録媒体を、複写機(リコー(株)製のimajio Neo 220)にて被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に複写を試みた。コピーにおいて印字跡の文字が判読不能の場合を○、印字跡の文字は判読可能の場合を×として、表1に示した。
上記(a)で得た使用済の熱転写記録媒体を、複写機(リコー(株)製のimajio Neo 220)にて被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に複写を試みた。コピーにおいて印字跡の文字が判読不能の場合を○、印字跡の文字は判読可能の場合を×として、表1に示した。
[評価試験3]
印画(印字)品質を評価するため、特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、一面を熱溶融性インクが覆うように印字を行ない、印字面を目視して以下のように評価した。このときの印字条件は、熱転写プリンタの印字エネルギーを通常設定値より5度数下げた低エネルギー状態とした。
○:かすれ及びインクこぼれ等がなく鮮明に印字できている。
×:かすれ又はインクこぼれ等により印字が不鮮明である。
印画(印字)品質を評価するため、特定熱転写記録媒体2〜7及び比較用熱転写記録媒体1〜2を熱転写プリンタ(TEC社製のB458)にセットし、被転写体である印刷用紙(PPC用紙)に、一面を熱溶融性インクが覆うように印字を行ない、印字面を目視して以下のように評価した。このときの印字条件は、熱転写プリンタの印字エネルギーを通常設定値より5度数下げた低エネルギー状態とした。
○:かすれ及びインクこぼれ等がなく鮮明に印字できている。
×:かすれ又はインクこぼれ等により印字が不鮮明である。
表1に示す結果から、マット層の厚みが2.0〜3.0g/m2(実施例2〜7)の場合には、光透過率T1と光透過率T2との差ΔTが0.1%以下であり、機密保持性1も機密保持性2も良好であった。さらに、マット層の厚みが2.2〜2.5g/m2(製造例3及び4)の場合には、特にかすれ等がなく印画品質も良好に保たれていたため、この点で優れていることがわかる。
《製造例8〜12及び比較製造例3〜4》
マット層形成用インクの組成及びマット層の厚みをそれぞれ表2に示す組成及び厚みに変更した以外は製造例2と同様にして、第一の積層体8〜12及び3〜4、第二の積層体8〜12及び3〜4(特定熱転写記録媒体8〜12及び比較用熱転写記録媒体3〜4)を得、それぞれについて製造例2と同様の評価試験を行なった。結果を表2に示した。
マット層形成用インクの組成及びマット層の厚みをそれぞれ表2に示す組成及び厚みに変更した以外は製造例2と同様にして、第一の積層体8〜12及び3〜4、第二の積層体8〜12及び3〜4(特定熱転写記録媒体8〜12及び比較用熱転写記録媒体3〜4)を得、それぞれについて製造例2と同様の評価試験を行なった。結果を表2に示した。
比較製造例3においては、インクこぼれによって印字部分以外が汚れており、印画品質は×であった。また、熱転写されたインク層部分だけでなく、当該インク層部分の奥のマット層部分も抜け落ち、光透過率T(印画後の抜け跡部分の光透過率)が5.01と極端に高い箇所があり、機密保持性が低かった。表2に示す結果から、マット層形成用インクの組成を種々変更した場合であっても、特定熱転写記録媒体であれば、機密保持性1及び機密保持性2に優れる熱転写記録媒体が得られること、印画品質が良好に保たれていること等がわかる。
本発明によれば、機密保持性を有する熱転写記録媒体(特に、マット層の主面の略法線方向において、マット層の基材側と反対の主面からマット層側に向けて測定される光透過率T1と、熱溶融性インク層の主面の略法線方向において、熱溶融性インク層のマット層側と反対の主面から熱溶融性インク層側に向けて測定される光透過率T2と、の差が0.1%以下の特定熱転写記録媒体)が用いられているか否かをより確実に検知することができる熱転写プリンタを提供することができる。
したがって、本発明の熱転写プリンタは、営業秘密、技術上の秘密及び個人情報等が頻繁に用いられて機密保持性が求められる業界や分野に適した熱転写プリンタとして好適に用いることができる。本発明の熱転写プリンタは、例えば病院や薬局において薬袋等に印字をするために用いる熱転写プリンタとして好適に用いることができる。
1・・・熱転写プリンタ、
2・・・インクシート、
4・・・供給ローラ、
6・・・巻取ローラ、
8・・・被転写体、
10・・・サーマルヘッド、
12・・・センサ、
14・・・プラテンローラ、
20・・・印字指令手段、
22・・・インクシート駆動手段、
24・・・印字制御手段、
26・・・操作部、
28・・・警告手段。
2・・・インクシート、
4・・・供給ローラ、
6・・・巻取ローラ、
8・・・被転写体、
10・・・サーマルヘッド、
12・・・センサ、
14・・・プラテンローラ、
20・・・印字指令手段、
22・・・インクシート駆動手段、
24・・・印字制御手段、
26・・・操作部、
28・・・警告手段。
Claims (4)
- 少なくとも基材及び熱溶融性インク層を具備する熱転写記録媒体を用いる熱転写プリンタであって、
前記熱転写記録媒体を供給するための供給ローラ、
前記熱転写記録媒体を巻き取るための巻取ローラ、
前記供給ローラと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱溶融性インク層を溶融及び軟化させて被転写体に印字をするためのサーマルヘッド、
前記サーマルヘッドと前記巻取ローラとの間に設けられ、前記熱転写記録媒体の印字跡を含む転写領域の透過光を測定するためのセンサ、並びに
前記センサが前記透過光を検知した場合に、前記印字を停止する印字制御手段、
を具備することを特徴とする熱転写プリンタ。 - 前記センサが0.1%を超える光透過率の透過光を検知した場合に、前記印字制御手段が転写を停止すること、
を特徴とする請求項1に記載の熱転写プリンタ。 - 前記センサが前記透過光を検知した場合に、使用者に警告する警告手段、
を具備することを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写プリンタ。 - 前記印字制御手段が前記熱転写記録媒体のうちの前記センサに相対する部分に予めテスト印字を行って確認用転写領域を形成し、前記センサが前記確認用転写領域の前記透過光を測定すること、
を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の熱転写プリンタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008106410A JP2009255362A (ja) | 2008-04-16 | 2008-04-16 | 熱転写プリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008106410A JP2009255362A (ja) | 2008-04-16 | 2008-04-16 | 熱転写プリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009255362A true JP2009255362A (ja) | 2009-11-05 |
Family
ID=41383432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008106410A Pending JP2009255362A (ja) | 2008-04-16 | 2008-04-16 | 熱転写プリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009255362A (ja) |
-
2008
- 2008-04-16 JP JP2008106410A patent/JP2009255362A/ja active Pending
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