JP4121618B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写記録方式によって、蛍光色を有する文字や画像等を記録するための熱転写記録媒体、すなわち熱転写シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱転写記録媒体としてはポリエステルフィルムのような耐熱性支持体上に染料及び/又は顔料からなる着色剤、固着剤としてワックス類、及びその他の添加剤を含む熱溶融性インキ層を設けたものが知られている。
このような記録媒体を用いる印字記録方法は媒体の熱溶融性インキ層面に記録用紙を重ね、記録媒体側からサーマルヘッドを当てて、その部分のインキ層を記録紙上に溶融転写することにより行われる。
この熱転写方式は従来ファクシミリやバーコード等のモノクロ印字が中心であったが、近年同方式を用いたカラープリンターの需要が高まっている。この中でも特にインクジェットや電子写真では再現できない特別色(蛍光色や金銀色等)が再現できる点で熱転写方式が注目されており、これら特別色を印字できる記録媒体の需要が高まっている。このうち蛍光色を有する熱転写記録媒体としては、インキ層中に蛍光染料、もしくは蛍光顔料を添加したものが公知となっている(特開昭59−54598、特開昭63−89384、特開昭63−319189等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この熱転写記録媒体の有無、残量を熱転写プリンター内で検知する機能を持ったプリンターでは、センサー光透過による検知方法をとっている場合が多い。これは、熱転写シートのインキ塗布部と未塗布部(終端部)に透過濃度差を設けておき、この熱転写シートを透過したセンサー光の受光量差によって熱転写シートの塗布部/未塗布部(即ちシートの有無や残量)を検知する方法である。センサーの受光素子は0〜100%のセンサー光透過量に対して、通常0〜5Vの電圧出力を行なう。多くのプリンターではインキ塗布部/未塗布部のしきい値を2〜3V付近に設定している。
更に、センサーの個体差や環境変化・経時劣化等により、センサー発光部からの発光量や受光部の受光感度がそれぞれ変動したり、熱転写シート自体の微小なコート量変動が出力電圧に変動をきたすため、インキ塗布部/未塗布部のしきい値はそれぞれ上記の値に対して更に0.5V程度のマージンを持つことが望ましい。
【0004】
しかし、たとえば透過率の高い色、特に黒以外の色や濃度の低い色の熱転写シートを用いる場合、インキ塗布部の出力電圧値がしきい値付近になることがあり、誤検知を起こしたり、センサーの変動に追従できず、動作が不安定となることがある。そこでこの欠点を改良するため、インキ層中に酸化チタンのような隠蔽性の高い添加剤を加え、透過率の判断レベルを向上させることが提案されている(特開昭61−258786等)。しかしながら、蛍光色を有する熱転写記録媒体においては、さらに隠蔽性を高める程の添加剤を加えると色彩の変化、蛍光感、鮮明性、印字濃度の低下という欠点を与えてしまう。
したがって、本発明は、以上のような問題点を解決するために、蛍光色を有する文字や画像等を記録するための熱転写記録媒体において、蛍光感、鮮明性、印字濃度の高さ等に優れ、熱転写シートのインキ塗布部と未塗布部を検知する際に、誤動作や不安定な動作が発生することを防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、基材の一方の面に、少なくとも、光吸収性を有するプライマー層、蛍光インキ層をこの順で、基材側から設けた熱転写シートにおいて、該熱転写シートの端部に、エンドテープを連接し、該エンドテープが光透過性を有することを特徴とする。また、前記の光吸収性を有するプライマー層が、光吸収剤とバインダー樹脂からなり、該光吸収剤がプライマー層の全固形分に対し、30〜70重量%の割合で含有していることが好ましい。さらに、前記の光吸収剤がカーボンブラックであることが好ましい。
【0006】
【作用】
本発明の作用は、以下の通りである。本発明の熱転写シートは、上記の問題点を解決するため、基材の一方の面に、少なくとも、光吸収性を有するプライマー層、蛍光インキ層をこの順で、基材側から設けることにより、光透過による検知方法において、プライマー層で検知光が吸収され、インキ塗布部の検出ができ、つまり熱転写シートの有無を検知することができる。かつ、熱転写シートの端部に、エンドテープを連接し、該エンドテープが光透過性を有することにより、エンドテープ部分とエンドテープ以外の部分との透過率の差を明確にし、光透過による熱転写シートのエンド検知を常に安定して行えるようにした。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
図1に示すように、本発明の熱転写シート1は、基材2の一方の面に、光吸収性を有するプライマー層3、蛍光インキ層4をこの順で、設けたものである。
また、図2に示すように、本発明の熱転写シート1は、基材2の一方の面に、光吸収性を有するプライマー層3、蛍光インキ層4をこの順に設け、基材2の他方の面にサーマルヘッドとの融着を防止し、かつ滑り性を良くする目的で耐熱層5を設けることも可能である。
さらに、図3に示すように、熱転写シート1の端部に、光透過性を有するエンドテープ6を接着テープ7を用いて、連接する形態であっても良い。
【0008】
(基材)
本発明の熱転写シートで用いられる基材2としては、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材をそのまま用いることが出来ると共に、その他のものも使用することが出来、特に制限されない。
好ましい基材の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、又、これらを複合した基材であってもよい。
この基材の厚さは、その強度及び熱伝導性が適切になるように材料に応じて、適宜変更することが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、2〜25μmである。
【0009】
(プライマー層)
プライマー層3は、樹脂バインダーと光吸収剤よりなり、必要に応じて分散剤等の種々の添加剤を加えたものが使用される。光吸収剤は、透過センサーの設定波長に対して吸収性を示す材料であれば、特に制限はない。
例えばセンサー光が近赤外から赤外領域である場合、900nm〜11000nmの波長光に対して吸収特性を有する物質を吸収体として用いれば良い。この種の物質の例としてはカーボンブラックや、シリコン、亜鉛、スズ、モリブテン、ベリリウム、テルル、酸化銅、炭素含有鉄などの無機顔料が挙げられる。
このような光吸収剤は、プライマー層の全固形分に対し、30〜70重量%で含有されていることが好ましく、光吸収剤がこの範囲より多いと、プライマー層の膜強度が低下してしまう。一方、光吸収剤がこの範囲より少ないと、センサー光に対する吸収性が低下してしまう。
【0010】
また、プライマー層がサーマルヘッドの熱で軟化または溶融すると、エネルギーの損失となり、感度低下を引き起こすため、耐熱性があることが必要である。
バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、メチルメタクリレート樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂−アトラフッ化エチレン共重合体樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂名等が挙げられる。
特に、ポリエステル系樹脂が好ましく、例えば、バイロン(東洋紡績(株)製)、エリーテル(ユニチカ(株)製)、ポリエスター(日本合成化学(株)製)等の商品名で種々のグレードのものが市場から入手でき、いずれも使用することができる。
【0011】
本発明では、上記のバインダー樹脂と光吸収剤からプライマー層を形成するにあたり、プライマー層中の光吸収剤の分散を均一にする目的で、プライマー層に高級脂肪酸アルコール、リン酸エステル及びその金属塩、有機カルボン酸及びその誘導体や低融点ワックス、各種界面活性剤等の分散剤を添加することが好ましい。
プライマー層を形成するには、上記の如き材料を、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調整し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよい。
【0012】
プライマー層の塗工量は、乾燥固形分で0.2〜1.0g/m2 が好ましく、より好ましくは0.2〜0.5g/m2 が望ましい。塗工量が1.0g/m2 を超えると、プライマー層が厚すぎて、転写時に感度低下を引き起こす。一方、塗工量が0.2g/m2 未満であると、センサー光に対する吸収性が低下してしまう。
ここで、センサー光の検知機能を確実に行わせるため、設定する熱転写シートの透過率は、プライマ一層と基材、蛍光インキ層を含めた熱転写シート全体の値として、使用する熱転写プリンターによって異なるが、赤外領域を光源とするリボンセンサーにおいては透過率が30%以下、より好ましくは20%以下であることが望ましい。
【0013】
(蛍光インキ層)
蛍光インキ層4は蛍光顔料・熱溶融性物質・バインダ一樹脂を少なくとも有しており、これらの混合物であるインキ層1層でも良く、また着色インキ層と熱接着インキ層の2層構成や、更に剥離層や保護層を有した3層以上の構成でもよい。また、必要に応じて色相調整のために有機・無機顔料を添加したり、分散剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
ここで用いられる蛍光顔料としては、水系または非水系において乳化剤や安定化剤を使用し、蛍光染料の存在下で重合するか、または乳化重合物を蛍光染料で染着する、いわゆる乳化重合法によって得られる顔料として、例えばシンロイヒ社よりシンロイヒ・カラーベースSW−10シリーズや、同SP−10シリーズ・3S−10シリーズなどとして上市されている。
また、樹脂及び蛍光染料を溶融混和後、冷却固化し得られた塊を粉砕する、いわゆる塊状樹脂粉砕法によって得られる顔料として、例えば日本触媒化学工業社よりエポカラーFPシリーズとして上市されている。これら顔料は、インキ層中に20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%添加することが望ましい。20%以下では充分な濃度が得られず、70%以上では転写感度が低下してしまう。
【0014】
熱溶融性物質として、ワックスを使用することができる。ワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが挙げられる。このなかで、特に融点が50〜85℃であるものが好ましい。50℃以下であると、保存性に問題が生じ、又85℃以上であると印字の感度不足になる。
【0015】
バインダー樹脂としては、具体的には、セルロース系樹脂、メラミン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、これらの樹脂の共重合体や変性物も使用できる。
蛍光インキ層の形成は、上記のような蛍光顔料、熱溶融性物質、バインダ一樹脂と、さらに、これに必要に応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した蛍光インキ層形成用塗工液を、従来公知のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.5〜20g/m2 程度、好ましくは1.0〜10g/m2 を設けるものである。
乾燥塗膜の厚さが、0.5g/m2 未満の場合、充分な蛍光色相が得られず、また、厚さが20g/m2 を越えた場合、印字転写の際に、高エネルギーが必要となり、特殊な熱転写プリンターでしか印字できなかったり、または、印字の感度不足となる。
【0016】
(耐熱層)
また、基材の他方の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性を良くするために、耐熱層5を設けることが可能である。
この耐熱層5は、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したものを、好適に使用し、形成される。
耐熱層に使用されるバインダー樹脂は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿などのセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂などが、あげられる。
【0017】
これらのなかで、数個の反応性基、例えば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、ポリイソシアネートなどを併用して、架橋樹脂を使用することが好ましい。
耐熱層を形成する手段は、上記のごとき、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバーなどの慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。
【0018】
(エンドテープ)
本発明で使用するエンドテープ6は、センサー光の透過性に優れるものであれば従来公知の樹脂フィルムが使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、二酢酸セルロース樹脂、三酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。
エンドテープ6の厚さは、例えば、2〜25μmである。
【0019】
【実施例】
次に実施例、参考例及び比較例をあげて、本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り重量基準である。
(参考例1)厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートのフィルムを基材とし、その一方の面に下記プライマー層をグラビアコート法で0.4g/m2(乾燥状態)の割合で支持体上に塗布した。次いで、このプライマー層の上に、下記組成の蛍光インキをグラビアコート法で4.0g/m2(乾燥状態)の割合で支持体上に塗布し、参考例1の熱転写シートを作成した。尚、上記の基材の他方の面に、予め下記組成の耐熱層用塗工液をグラビアコーターにより、固形分塗布量が0.3g/m2 になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
【0020】
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 6部
カーボンブラック(三菱化学(株)製平均粒径18nm) 4部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0021】
蛍光インキ層塗工液
蛍光ピンク顔料エマルジョン 40部
(シンロイヒ・カラーベースSP−17、40%n.v)
エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン 15部
(中京油脂社製レゼムEV3、30%n.v)
カルナバワックスエマルジョン(コニシ社製40%n.v) 35部
パラフインワックスエマルジョン(コニシ社製40%n.v) 20部
界面活性剤(旭硝子社製サーフロンS132) 0.13部
50%イソプロパノール水溶液 30部
【0022】
耐熱層用塗工液
スチレンアクリロニトリル共重合体樹脂 11部
線状飽和ポリエステル樹脂 0.3部
ジンクステアリルホスフェート 6部
メラミン樹脂粉末 3部
メチルエチルケトン 80部
【0023】
(実施例2)プライマー層塗工液を下記組成とし、熱転写シートの端部に、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートのエンドテープを接着テープにより連接した以外は、参考例1と同様にして実施例2の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 4部
カーボンブラック(三菱化学(株)製平均粒径18nm) 6部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0024】
(実施例3)
プライマー層塗工液を下記組成とし、その塗工量を0.3g/m2 とした以外は、実施例2と同様にして実施例3の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 5部
カーボンブラック(三菱化学(株)製平均粒径40nm) 4部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0025】
(実施例4)
プライマー層塗工液を下記組成とした以外は、実施例3と同様にして実施例4の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 4部
カーボンブラック(三菱化学(株)製平均粒径40nm) 6部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0026】
(実施例5)
プライマー層塗工液を下記組成とした以外は、実施例2と同様にして実施例5の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 4部
亜鉛(三井金属(株)製) 6部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0027】
(実施例6)
プライマー層塗工液を下記組成とした以外は、実施例2と同様にして実施例6の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 2部
カーボンブラック(三菱化学(株)製平均粒径18nm) 9部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0028】
(比較例1)
プライマー層塗工液を下記組成とした以外は、実施例2と同様にして比較例1の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 6部
シリカ(富士シリシア化学(株)製) 4部
分散剤(ゼネカ製ソルスパース24000GR) 1部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0029】
(比較例2)
プライマー層塗工液を下記組成とした以外は、実施例2と同様にして比較例2の熱転写シートを作成した。
プライマー層塗工液
ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製エリーテルUE3200) 10部
トルエン/メチルエチルケトン 90部
【0030】
(比較例3)
プライマー層を設けないとし、その他は実施例2と同様にして比較例3の熱転写シートを作成した。
以上のようにして得られた熱転写シートを、市販のリボンセンサー(光源波長、0.94μm)をもったラベルプリンター(解像度300dpi:印字スピード100mm/sec)を用いて、アート紙への印字を行い、センサー出力値の測定、エンドマーク検知の有無及びプライマー層の膜強度の評価を行った。
【0031】
センサー出力値
リボンセンサーの出力値が、0Vを透過率100%、5Vを透過率0%とした場合において、3V以上を不透過、2V以下を透過と判断し、2〜3Vがマージン領域であるものとする。ただし、このリボンセンサーのしきい値は、プリンターメーカーによって異なるため、ここに示す値は一例である。
【0032】
エンドマーク検知
エンドマーク検知の評価は、リボンセット後エンドマーク以外の部分でも検知し、走行しないものを「×」、問題なく走行し、エンドマーク位置でのみ検知し、正常に機能するものを「○」とした。
プライマー層の膜強度
プライマー層の膜強度の評価は、印字時にプライマー層が基材側に残っているものを「○」、被転写体に転写されるものを「×」とした。
【0033】
(評価結果)上記の実施例、参考例および比較例の評価結果を、下記の表1に示す。
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、以上説明したように、基材の一方の面に、少なくとも、光吸収性を有するプライマー層、蛍光インキ層をこの順で、基材側から設けることにより、光透過による検知方法において、プライマー層で検知光が吸収され、インキ塗布部の検出ができ、つまり熱転写シートの有無を検知することができる。かつ、熱転写シートの端部に、エンドテープを連接し、該エンドテープが光透過性を有することにより、エンドテープ部分とエンドテープ以外の部分との透過率の差を明確にし、光透過による熱転写シートのエンド検知を常に安定して行えるようにした。また、プライマー層に、光吸収剤としてカーボンブラックが、プライマー層の全固形分に対し、30〜70重量%の割合で含有していることが好ましく、光吸収剤がこの範囲より多いと、プライマー層の膜強度が低下してしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートの一つの実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の熱転写シートの他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 熱転写シート
2 基材
3 プライマー層
4 蛍光インキ層
5 耐熱層
6 エンドテープ
7 接着テープ
Claims (3)
- 基材の一方の面に、少なくとも、光吸収性を有するプライマー層、蛍光インキ層をこの順で、基材側から設けた熱転写シートにおいて、該熱転写シートの端部に、エンドテープを連接し、該エンドテープが光透過性を有することを特徴とする熱転写シート。
- 前記の光吸収性を有するプライマー層が、光吸収剤とバインダー樹脂からなり、該光吸収剤がプライマー層の全固形分に対し、30〜70重量%の割合で含有していることを特徴とする上記の請求項1に記載する熱転写シート。
- 前記の光吸収剤がカーボンブラックであることを特徴とする上記の請求項2に記載する熱転写シート。
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