JP2009250417A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油圧により作動する複数の締結要素(L&R/B、2−4/B、L/C、H/C、R/C)の締結、解放の組み合わせにより、複数の変速段を得る自動変速機3の制御装置であって、複数の締結要素に油圧を供給する油路8a〜8eの各々に設けられた調圧弁9a〜9eと、調圧弁9a〜9eを操作して複数の締結要素への油圧の供給を制御して、複数の締結要素各々の締結、解放を行う電子制御装置13と、を備え、電子制御装置13は、エンジン1の始動後、自動変速機3の運転開始が判断されるまでの間、自動変速機3の出力軸5の回転をロックさせる組み合わせとなる締結要素(L&R/B、2−4/B)に油圧を供給して、自動変速機3をインターロック状態にしたのち、締結されていない残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)に、優先度が高い順で順次油圧を供給する構成とした。
【選択図】図3
Description
また、各締結要素には、調圧弁で調圧された油圧が供給されるようにされており、調圧弁は、電子制御部から入力される指令に基づいてバルブを開閉し、電子制御部が設定した指令圧の油圧を締結要素に供給するように制御される。
そのため、エンジンの始動直後には、油路内には十分な量の作動油が充填されていないので、エンジンの始動直後に初めて1→2変速が行われると、油路の充填に作動油が消費されて、指令圧に対する実圧の追従性(油圧応答性)が悪くなる。
しかし、実圧が変速開始圧に達するまでの時間ΔT1は、エンジンの停止時間、油路内に充填されている作動油の量、そして作動油の流動性などにより変化するので、適切にプリチャージ時間を設定することは難しかった
このような場合、図6の(b)に示すように、実圧が変速開始圧に達するまでの時間ΔT2が前記した時間ΔT1に比べて十分に短く、指令圧が低い段階で変速が開始されるので、締結要素の締結時に発生する前後Gが小さく(ΔG2参照)、大きな変速ショックとならないからである。
これにより、自動変速機の運転開始前に、各締結要素に油圧を供給する油路のうち、優先度が高い締結要素に油圧を供給する油路から順に油圧が供給されるので、エンジン始動後に最初に行われる変速において、油路の充填に消費される作動油の量を抑えることができる。
よって、エンジン始動後に最初に行われる変速での油圧応答性が向上し、変速ショックの発生を防止できる。
図1は、本発明を適用した自動変速機の構成を示す図である。
エンジン1は、トルクコンバータ2を介して自動変速機3に接続されている。
エンジン1は、運転者が操作するアクセルペダルに連動してその踏み込みにつれ全閉から全開に向け開度増大するスロットルバルブにより出力を加減され、エンジン1の出力回転はトルクコンバータ2を経て自動変速機3の入力軸4に入力される。
エンジン1に近い位置に配置されたフロントプラネタリギヤ組6は、フロントサンギヤSFと、フロントリングギヤRFと、これらに噛合するフロントピニオンPF、およびこのフロントピニオンPFを回転自在に支持するフロントキャリアCFとから構成される。
エンジン1から遠い位置に配置されたリヤプラネタリギヤ組7は、リヤサンギヤSRと、リヤリングギヤRRと、これらに噛合するリヤピニオンPR、およびこのリヤピニオンPRを回転自在に支持するリヤキャリアCRとから構成される。
そしてフロントキャリアCFとリヤリングギヤRRとの間は、L/Cにより適宜結合可能とされている。
また、フロントリングギヤRFとリヤキャリアCRとの間は相互に結合されて、フロントリングギヤRFとリヤキャリアCRとが出力軸5に結合しており、リヤサンギヤSRは入力軸4に結合している。
例えば、前進第1速は、実線○印で示すようにL/CとL/OWCを締結することによって実現される。
なお、点線○印で示すL&R/Bは、エンジンブレーキが必要なときに締結させるものである。これらR/C、H/C、L/C、L&R/B、2−4/Bの締結・解放は、図1に示す油圧制御装置12によって実現される。
図3に示すように、油圧制御装置12は、バルブボディ内に形成された油路8(8a〜8e)中に調圧弁9a〜9eやソレノイド10a〜10eが配置されて構成される。
オイルポンプOPと接続する油路8は、L&R/Bへの油路8a、2−4/Bへの油路8b、L/Cへの油路8c、H/Cへの油路8d、そしてR/Cへの油路8eに分岐している。
これら油路8a〜8eの各々には、調圧弁9a〜9eが設けられており、各締結要素には調圧弁9a〜9eにより調圧された油圧が供給されるようになっている。
また、図3に示す各油路8a〜8eに設けた油圧スイッチ11a〜11e(対応する締結要素の作動圧がピストンのストロークを終了させて締結容量を発生させ始める圧になったときオンするもの)などからの信号も入力される。
電子制御装置13は、これら入力された信号に基づいて、マイクロコンピュータで変速の種類とそのタイミング、油圧の大きさ等を演算し、ソレノイド10a〜10eに指令を出力して調圧弁9a〜9eの開閉を行い、各締結要素の締結・解放を制御する。
図4は、図1に示す自動変速機3において電子制御装置13が行う制御のフローチャートである。
ステップ101において、電子制御装置13は、イグニッションスイッチ25から入力される信号に基づいて、エンジン1が始動されたか否かを確認する。
よって、電子制御装置13は、ソレノイド10a、10bに対して駆動信号を出力して、調圧弁9a、9bからL&R/Bおよび2−4/Bに油圧を供給させて、これら締結要素を締結させる(図3参照)。なお、これら締結要素の締結完了は、油圧スイッチ11a、11bからの出力に基づき判断する。
シフトレバーによるPレンジ位置またはNレンジ位置の選択が解除されると、車両が走行を開始して自動変速機3の運転が開始されるので、総ての締結要素を一旦解放状態にして、発進時に必要な締結要素の締結に備える必要があるからである。
例えば、図1に示す自動変速機の各締結要素の優先度は、第1速を実現させるL/Cの優先度が最も高く、以降、第2速を実現させる2−4/B、第3速を実現させるH/C、そして後退を実現させるR/C、L&R/Bの順で優先度が低く設定されている(図2参照)。
なお、これら各締結要素の優先度は、電子制御装置13の備える図示しないROMやメモリなどの記憶媒体に記憶されている。
具体的には、電子制御装置13は、L&R/Bと2−4/Bの締結を維持してインターロック状態を保持したままで、ソレノイド10cに対して駆動信号を出力して調圧弁9cを制御して、L/Cに油圧を供給させて、L/Cまでの油路8cに作動油を充填する。ここで、調圧弁9cがL/Cに供給する油圧は、L/Cを完全に締結させる圧でなく、油路8c内に作動油を満たすことができる程度の圧に設定されている。
なお、本実施形態では、前記したステップ105においてL/Cに油圧を供給しているので、油圧が供給されていない残りの締結要素は、H/C、R/Cである。よって、電子制御装置13は、優先度に従って、H/C、R/Cの順でこれら締結要素に油圧を供給させる。
Pレンジ位置またはNレンジ位置が選択されており、自動変速機3の運転が開始されない間は、出力軸5をロックさせる組み合わせの締結要素(L&R/Bと2−4/B)の締結を維持してインターロック状態を保持したままで、残りの締結要素の総てに油圧を供給し続けて、各油路8a〜8eへの油圧の供給を確保するためである。
かかる場合、車両が走行を開始して自動変速機3の運転が開始されるので、総ての締結要素を一旦解放状態にして、発進時に必要な締結要素の締結に備える必要があるからである。
そして、インターロック状態にする組み合わせの締結要素(L&R/B、2−4/B)を除いた残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)総てへの油圧の順次供給が完了すると、シフトレバーの選択レンジがPレンジ位置またはNレンジ位置から他の選択レンジに移動させられて自動変速機3の運転開始が判断されるまで、総ての締結要素(L&R/B、2−4/B、L/C、H/C、R/C)への油圧の供給を継続する。
これにより、自動変速機の運転開始前に、各締結要素に油圧を供給する油路のうち、優先度が高い締結要素に油圧を供給する油路から順に油圧が供給される。よって、エンジン始動後に最初に行われる変速において、油路の充填に消費される作動油の量を抑えることができるので、エンジン始動後に最初に行われる変速での油圧応答性が向上して、変速ショックの発生を防止できる。
また、油路内の充填油量が安定化して、締結要素を締結するピストンのストローク時間が安定化するので、良質の変速ショックの設定が容易にできるようになる。
さらに、自動変速機3をインターロック状態にする組み合わせの締結要素を締結して、出力軸5の回転を防止している間に、残りの締結要素に油圧が供給されるように各調圧弁9a〜9eを制御するので、制御の間、自動変速機を搭載した車両が移動することを好適に防止しつつ、変速ショックの発生を防止する制御が行われる。
これにより、締結されていない残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)の総てに油圧が供給される前に、自動変速機3の運転開始が判断されて制御が中止されても、発進時に締結される締結要素には優先的に油圧が供給されているので、エンジン始動後に最初に行われる変速での油圧応答性を向上させて、変速ショックの発生を防止することができる。
また、図5の(a)に示すように、電子制御装置13は、自動変速機の出力軸5の回転をロックさせる組み合わせとなる締結要素(L&R/B、2−4/B)に油圧を供給して締結させた状態で、締結されていない残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)に、優先度が高い順で油圧を供給して、これら締結要素(L/C、H/C、R/C)に油圧を供給する各油路(8c、8d、8e)に作動油を充填させる。そして、すべての締結要素への油圧の供給が完了すると、自動変速機の運転開始が判断されて終了条件が満たされるまで、複数の締結要素(L&R/B、2−4/B、L/C、H/C、R/C)への油圧の供給を継続する構成とした。
締結要素に油圧を供給しない場合、オイルポンプ側から供給された作動油は調圧弁からドレーンされて油路の充填に寄与しない。
自動変速機の運転開始が判断されるまでの間、複数の締結要素の総てに油圧を供給することで、オイルポンプ側から供給される作動油を効率よく油路の充填に用いることができる。よって、エンジン始動後に最初に行われる変速での油圧応答性を向上させて、変速ショックの発生を防止することができる。
しかし、優先度の設定は、前記形態に限定されるものではない。一般的に発進時の変速ショックを抑える対応として、例えば発進時に5速を実現する締結要素を一旦締結したのちに、1速を実現する締結要素を締結し、以降1速→2速→3速→4速→5速というように変速をする自動変速機の場合には、5速を実現する締結要素の優先度を最も高く設定し、1速→2速→3速→4速→後退の順番で、各変速段を実現する締結要素の優先度が低くなるようにしても良い。
また、エンジンの始動直後に、車両を後退させる場合もあるので、1速と後退を実現する締結要素の優先度を最も高く設定し、以降2速→3速→4速になるにつれて優先度が低くなるように設定しても良い。
図5の(b)、(c)は、変形例にかかる制御を行う際に、各締結要素に作用する油圧のON/OFFを説明するタイムチャートである。
第1の変形例にかかる制御では、図5の(b)に示すように、はじめに、自動変速機3の出力軸5の回転をロックさせる組み合わせとなる締結要素(L&R/B、2−4/B)を締結させる。そして、これら締結要素(L&R/B、2−4/B)の締結を維持した状態で、残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)に、優先度が高い順番で、所定時間Tずつ油圧を順次供給する。
そして、この自動変速機3の出力軸5の回転をロックさせる組み合わせとなる締結要素を除いた残りの締結要素(L/C、H/C、R/C)に対する油圧の供給がひと通り完了すると、これら締結要素(L/C、H/C、R/C)への優先度の高い順番での油圧の順次供給を、自動変速機の運転開始が判断されるまで繰り返す。
かかる油圧応答性の改善は、寒冷地でのエンジンの始動直後のように作動油の温度が低くて流動性が悪い場合や、作動油の粘性が高い場合ほど好適に発揮される。
しかし、ブレーキのON/OFF、車両速度、ドアの開閉状態などをさらに考慮して、自動変速機の運転が開始されるか否かの判断を行うようにしても良い。
これらの要件は、図示しないブレーキスイッチ、車速センサ、そしてドアセンサなどの出力に基づいて、容易に判断できるので、かかる判断に好適に用いることができる。
例えば、図2に示す締結表を採用する自動変速機の場合は、前進用の締結要素L/Cと後退用の締結要素R/Cとを締結させて、自動変速機3をインターロック状態にするようにしても良い。
この場合、自動変速機の運転開始が判断された際に、車両が前進する場合には後退用の締結要素R/Cを解放し、後退する場合には前進用の締結要素L/Cを解放してL&R/Bを締結させるだけで、車両の前進・後退ができる。
そして、この際、車両の前進・後退時に締結が必要な締結要素までの油路のうち、少なくとも締結要素R/C、L/Cまでの油路8e、8cの充填に作動油が消費されずに済むので、エンジン始動直後の油圧応答性が向上して、変速ショックの発生を好適に防止できる。
この場合、車両が前進する場合には後退用の締結要素R/C、L&R/Bを解放し、後退する場合には前進用の締結要素L/Cを解放するだけで、車両の前進・後退ができ、車両の前進・後退時に締結が必要な締結要素までの油路の充填に作動油が消費されずに済むので、エンジン始動直後の油圧応答性がいっそう向上して、変速ショックの発生をより好適に防止できる。
2 トルクコンバータ
3 自動変速機
4 入力軸
5 出力軸
6 フロントプラネタリギヤ組
7 リヤプラネタリギヤ組
8a〜8e 油路
9a〜9e 調圧弁
10a〜10e ソレノイド
11a〜11e 油圧スイッチ
12 油圧制御装置
13 電子制御装置
20 スロットル開度センサ
21 タービン回転センサ
22 油温センサ
23 出力軸回転センサ
24 インヒビタスイッチ
25 イグニッションスイッチ
Claims (6)
- 油圧により作動する複数の締結要素の締結、解放の組み合わせにより、複数の変速段を得る自動変速機の制御装置であって、
シフトレバーの選択レンジの切り換えに基づいて自動変速機の運転開始を判断する判断部と、
前記複数の締結要素に油圧を供給する油路の各々に設けた調圧弁を操作して、前記複数の締結要素各々に供給される油圧を調整し、前記複数の締結要素の締結、解放を行う締結制御部と、を備え、
前記締結制御部は、エンジンの始動から前記自動変速機の運転開始が判断されるまでの間、前記自動変速機の出力軸の回転をロックさせる組み合わせとなる締結要素に油圧を供給して締結させた状態で、締結されていない残りの締結要素に、優先度が高い順で、順次油圧を供給させることを特徴とする自動変速機の制御装置。 - 前記締結制御部は、車両の前進発進時に締結される締結要素と、後退発進時に締結される締結要素とを締結させて、前記自動変速機の出力軸の回転をロックさせることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記優先度は、低速段の締結要素から高速段の締結要素になるにつれて、低くなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記締結制御部は、締結されていない残りの締結要素の総てに対する油圧の供給が完了すると、前記自動変速機の運転開始が判断されるまで、前記複数の締結要素への油圧の供給を継続することを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
- 前記締結制御部は、締結されていない残りの締結要素の総てに対する油圧の供給が完了すると、
前記締結されていない残りの締結要素の総てに対する油圧の供給停止と、油圧の供給が停止された締結要素の総てに対する前記優先度が高い順での油圧の順次再供給とを、前記自動変速機の運転開始が判断されるまで繰り返すことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。 - 前記締結されていない残りの締結要素に対する優先度が高い順での油圧の順次供給は、前記締結されていない残りの締結要素に対し、優先度が高い順で、所定時間ずつ油圧を供給するように行われると共に、
前記締結制御部は、前記締結されていない残りの締結要素の総てに対する油圧の供給が完了すると、前記油圧の順次供給を、前記自動変速機の運転開始が判断されるまで繰り返すことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の自動変速機の制御装置。
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