JP2003106437A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2003106437A
JP2003106437A JP2001302943A JP2001302943A JP2003106437A JP 2003106437 A JP2003106437 A JP 2003106437A JP 2001302943 A JP2001302943 A JP 2001302943A JP 2001302943 A JP2001302943 A JP 2001302943A JP 2003106437 A JP2003106437 A JP 2003106437A
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JP
Japan
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speed
clutch
pressure
shift
friction element
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Application number
JP2001302943A
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English (en)
Inventor
Yuji Saito
祐司 斉藤
Hideharu Yamamoto
英晴 山本
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JATCO Ltd
Original Assignee
JATCO Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シフトレバーがPレンジ、Rレンジ、Nレン
ジからDレンジへシフトされた場合に、一時的に1速以
外の高変速段を経由させて変速させる自動変速機の変速
制御装置において、高速段から1速段への変速時に摩擦
要素の締結及び解放タイミングを制御することで、変速
ショックや変速の間延びを防止することができる自動変
速機の変速制御装置を提供すること。 【解決手段】 変速制御手段を備えた自動変速機の変速
制御装置において、前記変速制御手段は、高速段経由手
段により前進1速段以外の変速段から前進1速段に変速
するときに、検出されたタービン回転数に基づいて、第
2摩擦要素の解放タイミングを決定する第2摩擦要素解
放制御部を有する手段とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機の変速
に関与する複数の摩擦要素への締結圧を個々に制御する
ソレノイド油圧制御弁を設けた油圧回路構成を持つ自動
変速機の変速制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動変速機の変速制御装置として
は、例えば、特開昭61−31747号公報に記載のも
のが知られている。
【0003】この公報には、シフトレバーがRレンジと
Dレンジとの間でシフトされた場合に、一時的に1速以
外の前進変速段を経由させて変速させることで、変速シ
ョックの発生を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
自動変速機の変速制御装置にあっては、Rレンジ、Nレ
ンジ又はPレンジからドライブレンジに切り換えると、
一旦高速段の摩擦要素を締結し、その後1速段の摩擦要
素を締結するため、摩擦要素の締結もしくは解放タイミ
ングのズレによってショックや異音が発生するという問
題があった。
【0005】また、経由する高速段によっては2つの摩
擦要素を締結し、その後、2つの摩擦要素を解放しつ
つ、1速段の摩擦要素を締結する必要があり、この場合
は、特にタイミングのズレによる変速ショックが発生し
易いと言う問題がある。そこで、制御の複雑化、油圧の
挙動が不安定になり易いなどの理由で、このような2つ
の締結要素を解放後、1速段の摩擦要素を締結すること
がないように、高速段において、2つの摩擦要素を締結
し、その後、1つの摩擦要素を解放するだけで1速段を
達成可能な自動変速機を考える。
【0006】このとき、1速段を達成する際に解放する
摩擦要素の解放タイミングが早すぎた場合、出力軸トル
ク状態が直ぐに1速となってしまい、トルクの突き上げ
が大きくなることで、ショックを発生してしまう。更
に、この時点では1速段を達成する際に締結する摩擦要
素の締結圧が確保されていないため、相対的にこの摩擦
要素が容量不足になり、変速が間延びするという問題が
あった。一方、1速段を達成する際に解放する摩擦要素
の解放タイミングが遅すぎた場合1速トルクがなかなか
得られず、高速段から1速に移行するまでにトルク段差
が遅れて発生するため、運転者に高速段から1速への変
速が行われたことを感じさせてしまい(以後、二段感と
記述する)、違和感を与えてしまうだけでなく、1速の
トルクが発生するまでに時間がかかるという問題があっ
た。
【0007】このように、締結及び解放タイミングのズ
レによって変速ショックが発生してしまい、例えばタイ
マ等でタイミングを計ったとしても、変速の進行具合の
バラツキによってタイミングがずれてしまうという問題
があった。
【0008】本発明は、上記問題点に着目してなされた
もので、その目的とするところは、シフトレバーがPレ
ンジ、Rレンジ、NレンジからDレンジへシフトされた
場合に、一時的に1速以外の高変速段を経由させて変速
させる自動変速機の変速制御装置において、高速段から
1速段への変速時に摩擦要素の締結及び解放タイミング
を制御することで、変速ショックや変速の間延びを防止
することができる自動変速機の変速制御装置を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明では、自動変速機の変速に関与
する複数の摩擦要素への締結圧を制御する油圧制御弁を
設けた油圧回路構成とし、変速判断時、前記油圧制御弁
に対し変速要求内容に応じた締結圧または解放圧の制御
指令を出力することで複数の前進ギア段を達成するとと
もに、複数の摩擦要素に締結指令を出力することで後退
速を達成する変速制御手段を設けた自動変速機の変速制
御装置において、運転者が操作するシフトレバーのレン
ジ位置を検出するレンジ位置検出手段と、該レンジ位置
検出手段がパーキングレンジ、リバースレンジ、又はニ
ュートラルレンジから前進レンジへの切り換えを検出し
たとき、前進1速段を達成する第1摩擦要素と前進1速
段以外の変速段を前記第1摩擦要素とともに達成する第
2摩擦要素を締結することで前進1速段以外の変速段を
達成し、該変速段を経由して前記第2摩擦要素を解放す
ることで、前進1速段を達成する高速段経由手段と、タ
ービン回転数を検出するタービン回転数検出手段とを設
け、前記変速制御手段は、前記高速段経由手段により前
進1速段以外の変速段から前進1速段に変速するとき
に、検出されたタービン回転数に基づいて、前記第2摩
擦要素の解放タイミングを決定する第2摩擦要素解放制
御部を有する手段としたことを特徴とする自動変速機の
変速制御装置。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の自動変速機の変速制御装置において、前記変速制御
手段は、前記第2摩擦要素の解放後、前記第1摩擦要素
の締結圧に補正圧を加算する第1摩擦要素補正圧制御部
を有する手段としたことを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の自動変速機の変速制御装置において、前記第1摩擦
要素補正圧制御部は、前記第2摩擦要素の解放以降に該
第2摩擦要素が分担しているトルク伝達容量の容量分担
率と、前記第1摩擦要素が分担しているトルク伝達容量
の容量分担率を算出し、前記第2摩擦要素解放前の前記
タービン回転数の変化率と同一になる前記補正圧を算出
することを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項1ない
し3に記載の自動変速機の変速制御装置において、前記
第2摩擦要素解放制御部は、検出されたタービン回転数
が予め設定された所定のタービン回転数に達したときは
前記第2摩擦要素の解放圧を第1所定圧まで低下させ、
検出されたタービン回転数が前進1速段達成時のタービ
ン回転数に達したときに前記第2摩擦要素の解放圧が第
2所定圧となるようにタービン回転数に対して設定され
た解放圧に基づいて、第2摩擦要素を解放するタービン
回転追従制御を行うことを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の発明では、請求項1ない
し4に記載の自動変速機の変速制御装置において、前記
自動変速機を、第1サンギアと第1キャリアと第1リン
グギアとを有する単純遊星歯車組と、第2サンギアと第
2キャリアと第3サンギアと第3キャリアと第3リング
ギアとを有するラビニヨ型複合遊星歯車組と、前記第1
サンギアを変速機ケースに固定するメンバと、前記第1
リングギアに直結されている入力部材と、前記第1キャ
リアと第3サンギアとを選択的に断接する第1クラッチ
と、前記第1キャリアと第2サンギアとを選択的に断接
する第2クラッチと、前記第3キャリアと入力部材とを
選択的に断接する第3クラッチと、前記第2キャリアと
変速機ケースとを選択的に断接する第1ブレーキと、前
記第2サンギアと変速機ケースとを選択的に断接する第
2ブレーキと、前記第3リングギアに直結されている出
力部材とを備え、前記第1クラッチと第2クラッチと第
3クラッチと第1ブレーキと第2ブレーキへの締結圧を
個々に制御するソレノイド油圧制御弁を設け、第1クラ
ッチの締結により第1速、第1クラッチと第2ブレーキ
の締結により第2速、第1クラッチと第2クラッチの締
結により第3速、第1クラッチと第3クラッチの締結に
より第4速、第2クラッチと第3クラッチの締結により
第5速、第3クラッチと第2ブレーキの締結により第6
速の前進ギア段を達成するとともに、第1ブレーキと第
2クラッチの締結により後退速を達成する変速制御手段
を設けた自動変速機とし、前記第1摩擦要素を前記第1
クラッチとし、前記第2摩擦要素を前記第2クラッチと
し、前記高速段経由手段を、前進1速段以外の変速段と
して3速段を経由する手段としたことを特徴とする。
【0014】
【発明の作用および効果】請求項1に係る発明にあって
は、高速段経由手段が設けられ、変速制御手段が有する
第2摩擦要素解放制御部において、高速段経由手段によ
り前進1速段以外の変速段から前進1速段に変速すると
きに、検出されたタービン回転数に基づいて、第2摩擦
要素の解放タイミングが決定されることで、第1摩擦要
素の油圧や容量のばらつき、様々な条件の違いによる入
力回転や入力トルクの変動等により変速の進行具合が変
動したとしても、第2摩擦要素の解放タイミングを確実
に適切なタイミングとすることができる。これにより、
変速ショック及び変速の間延びを防止することができ
る。
【0015】請求項2に記載の自動変速機の変速制御装
置では、変速制御手段が有する第1摩擦要素補正圧制御
部において、第2摩擦要素の解放後、第1摩擦要素の締
結圧に補正圧が加算される。すなわち、第2摩擦要素の
解放後は入力トルクが同じであっても変速段が異なるこ
とによる各クラッチの分担率の違いにより、上記前進1
速以外の変速段で必要とされる第1摩擦要素の締結圧と
比較して1速で必要とされる第1摩擦要素の締結圧の方
が大きい場合には、第1摩擦要素の分担容量が増加す
る。その容量増加分を補正することで、更に、第2摩擦
要素の容量が変化することによって生じうる変速ショッ
クや変速の間延びを防止することができる。
【0016】請求項3に記載の自動変速機の変速制御装
置では、第1摩擦要素補正圧制御部において、第2摩擦
要素の解放以降にこの第2摩擦要素が分担しているトル
ク伝達容量の容量分担率と、第1摩擦要素が分担してい
るトルク伝達容量の容量分担率が算出され、第2摩擦要
素解放前のタービン回転数の変化率と同一になるように
補正圧が算出される。これにより、第2摩擦要素の締結
圧が変化しても、同一タービン回転変化を与えることが
可能となり、第2摩擦要素の容量が変化することによっ
て生じうる第1摩擦要素の容量不足による変速の間延び
や二段感を防止することができる。
【0017】請求項4に記載の自動変速機の変速制御装
置では、第2摩擦要素解放制御部において、検出された
タービン回転数が予め設定された所定のタービン回転数
に達したときは第2摩擦要素の解放圧を第1所定圧まで
一気に低下させ、検出されたタービン回転数が前進1速
段達成時のタービン回転数に達したときに第2摩擦要素
の解放圧が第2所定圧となるように第2摩擦要素を解放
する追従制御が行われる。これにより、変速終了時点で
の第2摩擦要素の容量を所定の値に確実に管理すること
が可能となり、変速の間延びや二段感を防止することが
できる。
【0018】請求項5に記載の自動変速機の変速制御装
置では、第1摩擦要素が第1クラッチとされ、第2摩擦
要素が第2クラッチとされ、高速段経由手段が、前進1
速段以外の変速段として3速段を経由する手段とされた
ことで、請求項1ないし4に記載の作用効果と同様の作
用効果を得ることができる。また、RレンジからDレン
ジにシフトされた場合、Rレンジにおいて既に第2クラ
ッチが締結されているため、新たに第2クラッチを締結
する必要が無く、少ない油量で、かつ第2摩擦要素の締
結までのタイムラグや第2摩擦要素の締結時の異音やシ
ョック等の発生を心配することなく高速段経由による変
速制御を達成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明における自動変速機
の変速制御装置を実現する実施の形態を、第1実施例に
基づいて説明する。
【0020】(第1実施例)まず、構成を説明する。図
1は第1実施例の変速制御装置が適用された前進6速後
退1速の自動変速機のギアトレーンを示すスケルトン図
である。この自動変速機は、ギアトレーンとして、1組
の単純遊星歯車組G1と1組のラビニヨ型複合遊星歯車
組G2の組み合わせが用いられている。単純遊星歯車組
G1は、第1サンギアS1と、第1キャリアC1と、第
1リングギアR1とを有して構成されている。ラビニヨ
型複合遊星歯車組G2は、第2サンギアS2と、第2キ
ャリアC2と、第3サンギアS3と、第3キャリアC3
と、第3リングギアR3とを有して構成されている。
【0021】そして、図外のエンジン及びトルクコンバ
ータを経過してエンジン駆動力が入力される入力軸IN
は、第1メンバM1を介して第1リングギアR1に直結
されると共に、第2メンバM2及びハイクラッチH/Cを
介して第3キャリアC3に連結されている。
【0022】前記第1キャリアC1は、第3メンバM3
とロークラッチLOW/Cと第5メンバM5を介して第3サ
ンギアS3に連結されていると共に、第3メンバM3と
3−5リバースクラッチ3-5R/Cと第6メンバM6を介し
て第2サンギアS2に連結されている。そして、前記第
6メンバM6は、2−6ブレーキ2-6/Bを介して変速機
ケースTCに固定されている。
【0023】前記第1サンギアS1は、第4メンバM4
を介して変速機ケースTCに固定されている。前記第2
キャリアC2は、第7メンバM7と、並列配置のロー&
リバースブレーキL&R/BとローワンウェイクラッチLOW/O
WCを介して変速機ケースTCに固定されている。前記第
3リングギアR3は、第8メンバM8を介して出力ギア
OUTに連結されている。
【0024】上記自動変速機は、後述するシフトレバー
50のレンジ一に基づき制御が行われ、例えば、Dレン
ジ位置にて車速とスロットル開度から決まる運転点と変
速スケジュールに基づき前進6速の自動変速制御が行わ
れ、Dレンジ位置からRレンジ位置へのセレクト操作に
より後退1速の変速制御が行われる。この変速制御での
各摩擦要素の作動表を図2に示す。なお、図2におい
て、○印は締結、無印は解放、(○)の印は締結である
がエンジンブレーキ時に作動、○にハッチングの印はエ
ンジン駆動時に機械的に作動、太枠内の○は車速が所定
値以下の時に作動することを示す。
【0025】第1速(1ST)は、ロークラッチLOW/C
とロー&リバースブレーキL&R/Bとの締結により達成さ
れる。この場合、入力軸INから第1メンバM1を介し
て単純遊星歯車組G1を経て減速された回転が、第3メ
ンバM3からロークラッチLOW/C及び第5メンバM5を
介して第3サンギアS3に入力され、ローワンウェイク
ラッチLOW/OWCの係合により変速機ケースTCに固定さ
れた第2キャリアC2により反力を受けながら第3リン
グギアR3が減速回転し、第8メンバM8を介して出力
ギアOUTからは最大減速比による減速回転が出力され
る。なお、エンジンブレーキ時には、空転するローワン
ウェイクラッチLOW/OWCに代えてロー&リバースブレー
キL&R/Bが反力を受ける。
【0026】第2速(2ND)は、ロークラッチLOW/C
と2−6ブレーキ2-6/Bとの締結により達成される。こ
の場合、入力軸INから第1メンバM1を介して単純遊
星歯車組G1を経て減速された回転が、第3メンバM3
からロークラッチLOW/C及び第5メンバM5を介して第
3サンギアS3に入力され、2−6ブレーキ2-6/Bの締
結により変速機ケースTCに固定された第2サンギアS
2により反力を受けながら第3リングギアR3が減速回
転し、第8メンバM8を介して出力ギアOUTからは第
1速よりも小さい減速比による減速回転が出力される。
【0027】第3速(3RD)は、ロークラッチLOW/C
と3−5リバースクラッチ3-5R/Cとの締結により達成さ
れる。この場合、入力軸INから第1メンバM1を介し
て単純遊星歯車組G1を経て減速された回転が、第3メ
ンバM3からロークラッチLOW/C及び第5メンバM5を
介して第3サンギアS3に入力されると共に、第3メン
バM3から3−5リバースクラッチ3-5R/C及び第6メン
バM6を介して第2サンギアS2に入力され、ラビニヨ
型複合遊星歯車組G2が直結状態となるため、両サンギ
アS2,S3と同じ回転にて第3リングギアR3が回転
し、第8メンバM8を介して出力ギアOUTからは第2
速よりも小さい減速比による減速回転が出力される。
【0028】第4速(4TH)は、ロークラッチLOW/C
とハイクラッチH/Cとの締結により達成される。この場
合、一方で入力軸INから第1メンバM1を介して単純
遊星歯車組G1を経て減速された回転が、第3メンバM
3からロークラッチLOW/C及び第5メンバM5を介して
第3サンギアS3に入力され、他方で入力軸INから第
2メンバM2及びハイクラッチH/Cを介して入力軸IN
と同じ回転が第3キャリアC3に入力され、これら2つ
の入力回転の中間の回転により第3リングギアR3が回
転し、第8メンバM8を介して出力ギアOUTからは入
力回転よりも僅かに減速された減速回転が出力される。
【0029】第5速(5TH)は、3−5リバースクラ
ッチ3-5R/CとハイクラッチH/Cとの締結により達成され
る。この場合、一方で入力軸INから第1メンバM1を
介して単純遊星歯車組G1を経て減速された回転が、第
3メンバM3から3−5リバースクラッチ3-5R/C及び第
6メンバM6を介して第2サンギアS2に入力され、他
方で入力軸INから第2メンバM2及びハイクラッチH/
Cを介して入力軸INと同じ回転が第3キャリアC3に
入力され、これら2つの入力回転により拘束されて第3
リングギアR3が回転し、第8メンバM8を介して出力
ギアOUTからは入力回転よりも僅かに増速された回転
が出力される。
【0030】第6速(6TH)は、ハイクラッチH/Cと
2−6ブレーキ2-6/Bとの締結により達成される。この
場合、入力軸INから第2メンバM2及びハイクラッチ
H/Cを介して入力軸INと同じ回転が第3キャリアC3
にのみ入力され、2−6ブレーキ2-6/Bの締結により変
速機ケースTCに固定された第2サンギアS2により反
力を受けながら第3リングギアR3が増速回転し、第8
メンバM8を介して出力ギアOUTからは第5速よりも
さらに増速された回転が出力される。
【0031】後退速(REV)は、3−5リバースクラ
ッチ3-5R/Cとロー&リバースブレーキL&R/Bとの締結に
より達成される。この場合、入力軸INから第1メンバ
M1を介して単純遊星歯車組G1を経て減速された回転
が、第3メンバM3から3−5リバースクラッチ3-5R/C
及び第6メンバM6を介して第2サンギアS2に入力さ
れ、ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結により変速機
ケースTCに固定された第2キャリアC2により反力を
受けながら第3リングギアR3が逆転し、第8メンバM
8を介して出力ギアOUTからは減速した逆回転が出力
される。
【0032】次に、上記変速制御を達成する油圧回路及
び電子変速制御系を示す図3によりその構成を説明する
と、図3において、1はロークラッチLOW/Cの締結ピス
トン室、2はハイクラッチH/Cの締結ピストン室、3は
2−6ブレーキ2-6/Bの締結ピストン室、4は3−5リ
バースクラッチ3-5R/Cの締結ピストン室、5はロー&リ
バースブレーキL&R/Bの締結ピストン室である。前記ロ
ークラッチLOW/C、ハイクラッチH/C、2−6ブレーキ2-
6/B、3−5リバースブレーキ3-5R/C、ロー&リバース
ブレーキL&R/Bは、それぞれ締結ピストン室1〜5にD
レンジ圧あるいはRレンジ圧である締結圧を供給するこ
とで締結され、また、この締結圧を抜くことで解放され
る。なお、Dレンジ圧とは、マニュアルバルブ16を介
したライン圧であり、Dレンジ選択時のみ発生する。R
レンジ圧とは、マニュアルバルブ16を介したライン圧
であり、Rレンジ選択時のみ発生し、Rレンジ以外で
は、ドレンポートと接続しており、油圧は発生しない。
【0033】図3において、6はロークラッチLOW/Cへ
の締結圧を制御する第1油圧制御弁、7はハイクラッチ
H/Cへの締結圧を制御する第2油圧制御弁、8は2−6
ブレーキ2-6/Bへの締結圧を制御する第3油圧制御弁、
9は3−5リバースクラッチ3-5R/Cへの締結圧を制御す
る第4油圧制御弁、10はロー&リバースブレーキL&R/
Bへの締結圧を制御する第5油圧制御弁である。
【0034】前記第1油圧制御弁6は、パイロット圧を
元圧としソレノイド力により変速制御圧を作り出す第1
デューティソレノイド6aと、Dレンジ圧を元圧とし変
速制御圧とフィードバック圧を作動信号圧としてローク
ラッチ圧を調圧する第1調圧弁6bにより構成されてい
る。なお、第1デューティソレノイド6aは、ソレノイ
ドOFF時にロークラッチ圧をゼロとし、ソレノイドO
N時にはONデューティ比が増大するほどロークラッチ
圧を高くする。
【0035】前記第2油圧制御弁7は、パイロット圧を
元圧としソレノイド力により変速制御圧を作り出す第2
デューティソレノイド7aと、Dレンジ圧を元圧とし変
速制御圧とフィードバック圧を作動信号圧としてハイク
ラッチ圧を調圧する第2調圧弁7bにより構成されてい
る。なお、第2デューティソレノイド7aは、ソレノイ
ドON時(100%ONデューティ比)にハイクラッチ
圧をゼロとし、ONデューティ比が減少するほどハイク
ラッチ圧を高くし、ソレノイドOFF時にハイクラッチ
圧を最大圧とする。
【0036】前記第3油圧制御弁8は、パイロット圧を
元圧としソレノイド力により変速制御圧を作り出す第3
デューティソレノイド8aと、Dレンジ圧を元圧とし変
速制御圧とフィードバック圧を作動信号圧として2−6
ブレーキ圧を調圧する第3調圧弁8bにより構成されて
いる。なお、第3デューティソレノイド8aは、ソレノ
イドOFF時に2−6ブレーキ圧をゼロとし、ソレノイ
ドON時にはONデューティ比が増大するほど2−6ブ
レーキ圧を高くする。
【0037】前記第4油圧制御弁9は、パイロット圧を
元圧としソレノイド力により変速制御圧を作り出す第4
デューティソレノイド9aと、ライン圧を元圧とし変速
制御圧とRレンジ圧とフィードバック圧を作動信号圧と
して3−5リバースクラッチ圧を調圧する第4調圧弁9
bにより構成されている。なお、第4デューティソレノ
イド9aは、ソレノイドON時(100%ONデューテ
ィ比)に3−5リバースクラッチ圧をゼロとし、ONデ
ューティ比が減少するほど3−5リバースクラッチ圧を
高くし、ソレノイドOFF時に3−5リバースクラッチ
圧を最大圧とする。
【0038】前記第5油圧制御弁10は、パイロット圧
を元圧としソレノイド力により変速制御圧を作り出す第
5デューティソレノイド10aと、Dレンジ圧またはR
レンジ圧を元圧とし変速制御圧とフィードバック圧を作
動信号圧としてロー&リバースブレーキ圧を調圧する第
5調圧弁10bにより構成されている。なお、第5デュ
ーティソレノイド10aは、ソレノイドOFF時にロー
&リバースブレーキ圧をゼロとし、ソレノイドON時に
はONデューティ比が増大するほどロー&リバースブレ
ーキ圧を高くする。
【0039】図3において、11は第1圧力スイッチ
(油圧検出手段)、12は第2圧力スイッチ(油圧検出
手段)、13は第3圧力スイッチ(油圧検出手段)、1
4は第4圧力スイッチ(油圧検出手段)、15は第5圧
力スイッチ(油圧検出手段)、16はマニュアルバル
ブ、17はパイロット弁、19はライン圧油路、20は
パイロット圧油路、21はDレンジ圧油路、22はRレ
ンジ圧油路、23はD&Rレンジ圧油路、24はローク
ラッチ圧油路、25はハイクラッチ圧油路、26は2−
6ブレーキ圧油路、27は3−5リバースクラッチ圧油
路、28はロー&リバースブレーキ圧油路である。すな
わち、ロークラッチ圧油路24と、ハイクラッチ圧油路
25と、2−6ブレーキ圧油路26と、3−5リバース
クラッチ圧油路27と、ロー&リバースブレーキ圧油路
28とのそれぞれの油路に、締結圧の有無をスイッチ信
号(締結圧有りでON、締結圧無しでOFF)により検
出する第1〜第5圧力スイッチ11〜15が設けられて
いる。
【0040】図3において、40はA/Tコントロール
ユニット(変速制御手段)、50はシフトレバーであ
る。シフトレバー50は、車両停車時に変速機出力軸を
ロックするPレンジ、後退速を達成するRレンジ、エン
ジンからの入力トルクを出力することはなく、前進方向
及び後退方向の移動が可能な状態を示すニュートラル状
態を達成するNレンジ、各前進変速段を達成するDレン
ジ、1速時においてロー&リバースブレーキL&R/Bを締
結するよう制御するエンジンブレーキレンジの各レンジ
を有している。また、このシフトレバー50はマニュア
ルバルブ16と連結されており、運転者がシフトレバー
50を操作することによって、マニュアルバルブ16の
位置が切り換わり、目的とする変速状態を達成するもの
である。
【0041】41は車速センサ(変速機出力軸回転セン
サ)、42はスロットル開度を検出するスロットルセン
サ、43はエンジン回転数を検出するエンジン回転セン
サ、44はタービン回転数を検出するタービン回転セン
サ(変速機入力軸回転センサ)、45はシフトレバー5
0のレンジ位置を検出するインヒビタスイッチ、46は
変速機内の油温を検出する油温センサであり、これらに
より電子変速制御系を構成する。そして、A/Tコント
ロールユニット40においては、各圧力スイッチ11,
12,13,14,15からのスイッチ信号及び各セン
サ・スイッチ類41,42,43,44,45,46か
らの信号を入力し、これらの入力情報と予め設定された
変速制御則やフェールセーフ制御則等に基づいて演算処
理を行い、第1デューティソレノイド6aと、第2デュ
ーティソレノイド7aと、第3デューティソレノイド8
aと、第4デューティソレノイド9aと、第5デューテ
ィソレノイド10aに対して演算処理結果に沿ったソレ
ノイド駆動信号が出力される。
【0042】次に、作用を説明する。第1実施例におい
て、R−Dセレクト制御時に3−5リバースクラッチ3-
5R/Cを締結する3速を経由して1速にする理由について
説明する。RレンジからDレンジにセレクトされた場
合、1速にするには、2つの締結要素(3−5リバース
クラッチ3-5R/Cとロー&リバースブレーキL&R/B)を解
放し、ロークラッチLow/Cを締結しなければならず、制
御する必要がある摩擦要素が多いため、それぞれのタイ
ミングをとるための制御が複雑になり、また同時に複数
の油圧を制御するため、油圧の挙動がそれぞれ摩擦要素
に対応した油圧制御装置を単独で制御をする場合と比較
して動的に異なる挙動を示す心配もあるため、制御性が
悪化する可能性もある。
【0043】本実施例のパワートレインにおいては、後
退レンジで既にロークラッチLOW/Cと協調して3速を実
現する3−5リバースクラッチ3-5R/Cを締結している。
従ってR−Dセレクト操作時は、3−5リバースクラッ
チ3-5R/Cは締結したままとし、後退速→3速→1速と変
速をすると、新たな摩擦要素の制御を行うことなく簡単
に一端高速段を経由する制御ができるため、副作用がな
く簡単に実現できる。従って、R−Dセレクト時が最も
その効果を発揮できるため、R−Dセレクト制御につい
て以下詳述する。
【0044】図4はA/Tコントロールユニット40で
実行されるR−Dセレクト制御時の3−5リバースクラ
ッチ3-5R/C解放圧制御、図6はロークラッチLow/C締結
圧制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ス
テップについて説明する。
【0045】[3−5リバースクラッチ解放圧制御]ス
テップ101では、タービン回転数が所定値NtAよりも
大きいかどうかを判断し、所定値以上であればステップ
102へ進み、それ以外はステップ103へ進む。
【0046】ステップ102では、3−5リバースクラ
ッチ3-5R/C圧P3-5R/Cを最大圧(MAX圧)とする。
【0047】ステップ103では、3−5リバースクラ
ッチ3-5R/C圧を下記の式より算出する。但し、 3−5リバースクラッチ圧=(NtA−タービン回転数)
/NtA×(PA−PB)+PB である。
【0048】図7は上記セレクト制御を行った場合の、
ロー&リバースブレーキL&R/Bの容量が抜けた後の出力
軸トルク,タービン回転数,3−5リバースクラッチ
圧,ロークラッチ圧のタイムチャートである。
【0049】RレンジからDレンジにシフトされると、
3−5リバースクラッチ3-5R/Cの締結圧はそのままで、
ロークラッチLow/Cの締結圧が通常制御通りに供給され
る。そして、ロークラッチLow/Cが滑りながら3速状態
に近づき、タービン回転数が低下し始める。このとき、
タービン回転数が1速時におけるタービン回転とNレン
ジにおけるタービン回転の間に存在する、所定のタービ
ン回転数を表す所定値NtAよりも大きいかどうかを判断
し、NtA以上であれば、3−5リバースクラッチ3-5R/C
圧を最大圧(MAX圧)とし、同時にロークラッチLow/C圧
も通常セレクト制御に基づいて油圧を供給する。タービ
ン回転数がNtA未満になると、予め設定された所定の油
圧PAまで低下させ、3−5リバースクラッチ3-5R/C圧
を下記の式より算出する。 3−5リバースクラッチ解放圧=(NtA−タービン回転
数)/NtA×(PA−PB)+PB 尚、PAはタービン回転数がNtAのときの3−5リバー
スクラッチ解放圧として予め設定された値であり、PB
はタービン回転数が1速になったときの3−5リバース
クラッチ解放圧として予め設定された値である。尚、Nt
A未満における3−5リバースクラッチ締結圧制御は図
5に示すマップに基づいて行っても良い。
【0050】このように、仮に変速の進行が早くなって
しまっても、タービン回転数によって3−5リバースク
ラッチの解放圧を決定しているため、変速の進行度合い
に追従して3−5リバースクラッチの解放タイミングが
早まり、油圧を抜く勾配も急になる。逆に変速の進行が
遅くなってしまっても、変速の進行度合いに追従して3
−5リバースクラッチの解放タイミングも遅くなり、油
圧を抜く勾配も緩やかになる。これにより、タービン回
転数の変化のタイミングがどうばらついても、3−5リ
バースクラッチ3-5R/C圧は、タービン回転がNtA以下の
領域においては、確実にタービン回転に応じた油圧を設
定することができ、またNtが1速相当の回転に到達した
瞬間の油圧を、確実に狙いの値に設定することができ
る。
【0051】ここで、タービン回転の変化がばらついた
にも関わらず、3−5リバースクラッチ3-5R/Cの解放制
御を行わなかった場合について説明する。図9,図10
は、上述の自動変速機におけるR→Dセレクト制御時の
出力軸トルク、タービン回転数、及び摩擦要素の締結圧
のタイムチャートを表す。
【0052】図9は3−5リバースクラッチ3-5R/Cの解
放タイミングが早すぎた場合を示す。図に示すように、
3−5リバースクラッチ3-5R/Cの解放タイミングが早す
ぎることで、出力軸トルク状態が直ぐに1速となってし
まい、トルクの突き上げが大きくなることで、ショック
を発生してしまう。更に、この時点では3速状態を想定
したロークラッチ圧であり、1速で分担率と3速での分
担率とが異なるために1速状態で必要となるロークラッ
チLow/C圧としては確保されておらず、相対的にローク
ラッチLow/Cが容量不足になり、変速が間延びしてしま
う。
【0053】図10は3−5リバースクラッチ3-5R/Cの
解放タイミングが遅すぎた場合を示す。図に示すよう
に、3−5リバースクラッチ3-5R/Cの解放タイミングが
遅すぎることで、1速トルクがなかなか得られず、3速
から1速に移行するまでにトルク段差が遅れて発生する
ため、運転者に3速から1速への変速が行われたことを
感じさせてしまい(以後、二段感と記述する)、違和感
を与えてしまうだけでなく、1速のトルクが発生するま
でに時間がかかってしまう。
【0054】このように、締結及び解放タイミングのズ
レによって変速ショックが発生してしまい、例えばタイ
マ等でタイミングを計ったとしても、変速の進行具合の
バラツキによってタイミングがずれてしまう。従って、
望ましくは、N−Dセレクト時に変速が進行している間
は3速状態とし、かつ、N−Dセレクト制御が終了する
ときには1速になっているという状態、かつ、ニュート
ラルから3速へのセレクト時の突き上げショックが1速
状態のトルクと同等となり、突き上げショックと1速ト
ルクが滑らかにつながることである。そのためには、3
速から1速になるときに支配的な3−5リバースクラッ
チ圧が、N−Dの進行度合いに対して適切なタイミング
で抜け始め、また1速状態になった瞬間には1速に近い
トルクを実現できるような油圧になっている必要があ
る。よって、上述のセレクト制御を達成するためにロー
クラッチ締結圧制御及び3−5リバースクラッチ解放圧
制御を行う。以下、各制御について説明する。
【0055】[ロークラッチ締結圧制御]ステップ20
1では、タービン回転数が所定値NtAよりも大きいかど
うかを判断し、所定値以上であればステップ202へ進
み、それ以外はステップ203へ進む。
【0056】ステップ202では、ロークラッチ圧を通
常のセレクト制御油圧とする。
【0057】ステップ203では、3−5リバースクラ
ッチ実効油圧を計算する。ここで、3−5リバースクラ
ッチ実効油圧とは、3−5リバースクラッチ圧から3−
5リバースクラッチリターンスプリング圧を差し引いた
ものである。
【0058】ステップ204では、3−5リバースクラ
ッチ3-5R/Cの容量分担率を計算する。ここで、3−5リ
バースクラッチ容量分担率とは、3−5リバースクラッ
チの伝達トルクがタービントルクとちょうど釣り合う油
圧に対して、3−5リバースクラッチ実効油圧がどの程
度の割合で達しているかを表すものである。
【0059】ステップ205では、通常セレクト制御油
圧のロークラッチ実効油圧を計算する。ここで、ローク
ラッチ実効油圧とは、通常セレクト時のロークラッチ圧
からロークラッチリターンスプリング圧を差し引いたも
のである。
【0060】ステップ206では、ロークラッチ実分担
比を計算する。
【0061】ステップ207では、ロークラッチ補正油
圧を計算する。
【0062】ステップ208では、ロークラッチ圧を通
常セレクト制御油圧にロークラッチ補正油圧を加えた値
として設定する。
【0063】すなわち、図7のタイムチャート及び図8
のタイムチャートに基づいて説明すると、タービン回転
数がNtAになると、上述したように3−5リバースクラ
ッチ締結圧は一気にPAまで下がるので、ロークラッチ
Low/Cの分担容量が増加する。その増加分の締結圧を補
正する(ステップ203〜ステップ209に相当)。
【0064】まず、3−5リバースクラッチ圧から3−
5リバースクラッチリターンスプリング圧を差し引いた
3−5リバースクラッチ実効油圧を計算する(図83−
5リバースクラッチ実効油圧タイムチャート参照)。す
なわち、3−5リバースクラッチ圧のうち、容量伝達に
関与している油圧である。
【0065】そして、3−5リバースクラッチの伝達ト
ルクがタービントルクとちょうど釣り合う油圧に対し
て、3−5リバースクラッチ実効油圧がどの程度の割合
で達しているかを表す3−5リバースクラッチ3-5R/Cの
容量分担率(図8:3−5リバースクラッチ容量分担率
タイムチャート参照)を計算し、通常セレクト時のロー
クラッチ圧からロークラッチリターンスプリング圧を差
し引いた通常セレクト制御油圧のロークラッチ実効油圧
を計算する。すなわち、ロークラッチ圧のうち、容量伝
達に関与している油圧である。これら計算結果に基づい
て、ロークラッチ実分担比を計算する(ロークラッチ実
分担比タイムチャート参照)。ここで、ロークラッチ実
分担比とは、下記の式より算出される。 ロークラッチ実分担比=(1速時のロークラッチ分担比
−3速時のロークラッチ分担比)×(1−3−5リバー
スクラッチ容量分担比)+(3速時のロークラッチ分担
比) すなわち、3−5リバースクラッチの容量分担率が1.
0→0に変動することにより、ロークラッチの実分担圧
は、3速の分担圧→1速の分担圧に変動するからである
(1速はロークラッチのみ締結しているため)。
【0066】そして、ロークラッチ補正油圧を計算す
る。ここで、ロークラッチ圧補正油圧とは、ロークラッ
チ圧がタービントルクに及ぼすトルクが常に一定になる
という観点、つまり、ロークラッチ実効油圧×ロークラ
ッチ実分担比が常に一定にとなるという観点から、下記
の式より算出される。 ロークラッチ圧補正油圧=3速状態での予想セレクト時
ロークラッチ実効油圧×(3速時のロークラッチ分担比
/ロークラッチ実分担比−1) すなわち、ロークラッチLow/Cの実分担比が変動した分
を補正する。
【0067】上述のようなロークラッチ締結圧制御を行
うことで、3−5リバースクラッチ3-5R/Cが解放される
ことで、ロークラッチLow/Cの分担比が変わった分の油
圧を補正し、ロークラッチ締結圧に加算することによ
り、3−5リバースクラッチ圧が変化しても、同一ター
ビン回転変化を与えることが可能となり、ロークラッチ
Low/Cのタービントルクに及ぼす容量減少による変速の
間延びを防止することができる。
【0068】以上説明したように、第1実施例に記載の
自動変速機の変速制御装置にあっては、検出されたター
ビン回転数に基づいて、3−5リバースクラッチ3-5R/C
の解放タイミングが決定されることで、変速の進行具合
が変動したとしても、解放タイミングを確実に適切なタ
イミングとすることができる。これにより、変速ショッ
ク及び前進レンジへのセレクト後、最終的に1速トルク
に到達するまでの時間が長すぎることによるタイムラグ
感を防止することができる。
【0069】また、ロークラッチLow/Cの締結圧に補正
圧が加算されることで、3−5リバースクラッチ3-5R/C
の解放後は入力トルクが同じであってもロークラッチLo
w/Cの分担容量が増加しても、その容量増加分を補正す
ることで、更に、3−5リバースクラッチ3-5R/Cの容量
変化により、ロークラッチLOW/Cの実質的な分担比が変
化に対する影響を抑えることができる。
【0070】また、3−5リバースクラッチ3-5R/Cが分
担しているトルク伝達容量の容量分担率と、ロークラッ
チLow/Cが分担しているトルク伝達容量の容量分担率が
算出され、3−5リバースクラッチ3-5R/C解放前のター
ビン回転数の変化率と同一になるように補正圧が算出さ
れることで、3−5リバースクラッチ3-5R/Cの締結圧が
変化しても、同一タービン回転変化を与えることが可能
となり、ロークラッチLow/Cのタービントルクに及ぼす
容量減少による変速の間延びや二段感を防止することが
できる。
【0071】また、タービン回転数がNtAに達したとき
は3−5リバースクラッチ3-5R/Cの解放圧をPAまで一
気に低下させ、タービン回転数が1速段達成時のタービ
ン回転数に達したときに3−5リバースクラッチ3-5R/C
の解放圧がPBとなるように、タービン回転数に対して
設定された解放圧に基づいて解放する追従制御が行われ
ることで、変速終了時点での3−5リバースクラッチ3-
5R/Cの容量を所定の値に管理することが可能となり、変
速終了時点の出力軸トルクの状態を狙い通りに設定でき
るため、1速状態の出力軸トルクになるのが早すぎるこ
とによるショックの悪化や、1速状態の出力軸トルクに
なるのが遅すぎることによる出力軸トルクが上昇するま
でのラグ感や出力軸トルクが二回上昇するようないわゆ
る二段感を防止することができる。
【0072】また、RレンジからDレンジにシフトされ
た場合、Rレンジにおいて既に3−5リバースクラッチ
3-5R/Cが締結されているため、新たに3−5リバースク
ラッチ3-5R/Cを締結する必要が無く、少ない油量で、か
つ、第2摩擦要素の締結までのラグや第2摩擦要素の締
結時の音やショック等の発生を心配することなく高速段
経由による変速制御を達成することができる。
【0073】(他の実施例)以上、本発明の自動変速機
の変速制御装置を第1実施例に基づき説明してきたが、
具体的な構成については、この第1実施例に限られるも
のではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要
旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容され
る。
【0074】例えば、第1実施例では、前進6速後退1
速の自動変速機への適用例を示したが、同じ6速であっ
ても異なる構造であったり、また、前進4速や前進5速
や前進7速等の自動変速機に対しても適用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の変速制御装置が適用された前進6
速後退1速の自動変速機のギアトレーンを示すスケルト
ン図である。
【図2】第1実施例の自動変速機の変速制御装置におけ
る変速制御での各摩擦要素の作動表を示す図である。
【図3】第1実施例の自動変速機の変速制御装置におけ
る油圧回路及び電子変速制御系を示す図である。
【図4】第1実施例のA/Tコントロールユニットで実
行される3−5リバースクラッチ解放圧制御処理の流れ
を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例の3−5リバースクラッチの解放圧
とタービン回転数との関係を表すマップである。
【図6】第1実施例のA/Tコントロールユニットで実
行されるロークラッチ締結圧制御処理の流れを示すフロ
ーチャートである。
【図7】第1実施例のDレンジセレクト時の出力軸トル
ク、タービン回転数及び各締結要素の締結圧を表すタイ
ムチャートである。
【図8】第1実施例のタービン回転数がNtA以下におけ
るロークラッチ圧補正を表すタイムチャートである。
【図9】Dレンジセレクト時において3−5リバースク
ラッチの解放タイミングが早い場合のタイムチャートで
ある。
【図10】Dレンジセレクト時において3−5リバース
クラッチの解放タイミングが遅い場合のタイムチャート
である。
【符号の説明】
G1 単純遊星歯車組 G2 ラビニヨ型複合遊星歯車組 S1 第1サンギア C1 第1キャリア R1 第1リングギア S2 第2サンギア C2 第2キャリア S3 第3サンギア C3 第3キャリア R3 第3リングギア IN 入力軸 OUT 出力ギア LOW/C ロークラッチ 3-5R/C 3−5リバースクラッチ H/C ハイクラッチ L&R/B ロー&リバースブレーキ 2-6/B 2−6ブレーキ LOW/OWC ローワンウェイクラッチ TC 変速機ケース 1 ロークラッチLOW/Cの締結ピストン室 2 ハイクラッチH/Cの締結ピストン室 3 2−6ブレーキ2-6/Bの締結ピストン室 4 3−5リバースクラッチ3-5R/Cの締結ピストン室 5 ロー&リバースブレーキL&R/Bの締結ピストン室 6 第1油圧制御弁 7 第2油圧制御弁 8 第3油圧制御弁 9 第4油圧制御弁 10 第5油圧制御弁 11 第1圧力スイッチ 12 第2圧力スイッチ 13 第3圧力スイッチ 14 第4圧力スイッチ 15 第5圧力スイッチ 16 マニュアルバルブ 17 パイロット弁 19 ライン圧油路 20 パイロット圧油路 21 Dレンジ圧油路 22 Rレンジ圧油路 23 D&Rレンジ圧油路 24 ロークラッチ圧油路 25 ハイクラッチ圧油路 26 2−6ブレーキ圧油路 27 3−5リバースクラッチ圧油路 28 ロー&リバースブレーキ圧油路 40 A/Tコントロールユニット(変速制御手段) 41 車速センサ 42 スロットルセンサ 43 エンジン回転センサ 44 タービン回転センサ 45 インヒビタスイッチ 46 油温センサ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動変速機の変速に関与する複数の摩擦
    要素への締結圧を制御する油圧制御手段を設けた油圧回
    路構成とし、変速判断時、前記油圧制御手段に対し変速
    要求内容に応じた締結圧または解放圧の制御指令を出力
    することで複数の前進ギア段を達成するとともに、複数
    の摩擦要素に締結指令を出力することで後退速を達成す
    る変速制御手段を設けた自動変速機の変速制御装置にお
    いて、 運転者が操作するシフトレバーのレンジ位置を検出する
    レンジ位置検出手段と、 該レンジ位置検出手段がパーキングレンジ、リバースレ
    ンジ、又はニュートラルレンジから前進レンジへの切り
    換えを検出したとき、前進1速段を達成する第1摩擦要
    素と前進1速段以外の変速段を前記第1摩擦要素と共に
    達成する第2摩擦要素を締結することで前進1速段以外
    の変速段を達成し、該変速段を経由して前記第2摩擦要
    素を解放することで、前進1速段を達成する高速段経由
    手段と、 タービン回転数を検出するタービン回転数検出手段とを
    設け、 前記変速制御手段は、前記高速段経由手段により前進1
    速段以外の変速段から前進1速段に変速するときに、検
    出されたタービン回転数に基づいて、前記第2摩擦要素
    の解放タイミングを決定する第2摩擦要素解放制御部を
    有する手段としたことを特徴とする自動変速機の変速制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の自動変速機の変速制御
    装置において、 前記変速制御手段は、前記第2摩擦要素の解放後、前記
    第1摩擦要素の締結圧に補正圧を加算する第1摩擦要素
    補正圧制御部を有する手段としたことを特徴とする自動
    変速機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の自動変速機の変速制御
    装置において、 前記第1摩擦要素補正圧制御部は、前記第2摩擦要素の
    解放以降に該第2摩擦要素が分担しているトルク伝達容
    量の容量分担率と、前記第1摩擦要素が分担しているト
    ルク伝達容量の容量分担率を算出し、前記第2摩擦要素
    解放前の前記タービン回転数の変化率と同一になる前記
    補正圧を算出することを特徴とする自動変速機の変速制
    御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3に記載の自動変速機の
    変速制御装置において、 前記第2摩擦要素解放制御部は、検出されたタービン回
    転数が予め設定された所定のタービン回転数に達したと
    きは前記第2摩擦要素の解放圧を第1所定圧まで低下さ
    せ、検出されたタービン回転数が前進1速段達成時のタ
    ービン回転数に達したときに前記第2摩擦要素の解放圧
    が第2所定圧となるようにタービン回転数に対して設定
    された解放圧に基づいて、第2摩擦要素を解放するター
    ビン回転追従制御を行うことを特徴とする自動変速機の
    変速制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4に記載の自動変速機の
    変速制御装置において、 前記自動変速機を、 第1サンギアと第1キャリアと第1リングギアとを有す
    る単純遊星歯車組と、 第2サンギアと第2キャリアと第3サンギアと第3キャ
    リアと第3リングギアとを有するラビニヨ型複合遊星歯
    車組と、 前記第1サンギアを変速機ケースに固定するメンバと、 前記第1リングギアに直結されている入力部材と、 前記第1キャリアと第3サンギアとを選択的に断接する
    第1クラッチと、 前記第1キャリアと第2サンギアとを選択的に断接する
    第2クラッチと、 前記第3キャリアと入力部材とを選択的に断接する第3
    クラッチと、 前記第2キャリアと変速機ケースとを選択的に断接する
    第1ブレーキと、 前記第2サンギアと変速機ケースとを選択的に断接する
    第2ブレーキと、 前記第3リングギアに直結されている出力部材とを備
    え、 前記第1クラッチと第2クラッチと第3クラッチと第1
    ブレーキと第2ブレーキへの締結圧を個々に制御するソ
    レノイド油圧制御弁を設け、 第1クラッチの締結により第1速、第1クラッチと第2
    ブレーキの締結により第2速、第1クラッチと第2クラ
    ッチの締結により第3速、第1クラッチと第3クラッチ
    の締結により第4速、第2クラッチと第3クラッチの締
    結により第5速、第3クラッチと第2ブレーキの締結に
    より第6速の前進ギア段を達成するとともに、第1ブレ
    ーキと第2クラッチの締結により後退速を達成する変速
    制御手段を設けた自動変速機とし、 前記第1摩擦要素を前記第1クラッチとし、前記第2摩
    擦要素を前記第2クラッチとし、 前記高速段経由手段を、前進1速段以外の変速段として
    3速段を経由する手段としたことを特徴とする自動変速
    機の変速制御装置。
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