JP3937122B2 - 自動変速機の目標油圧判断装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦要素の作動油圧を上昇または下降させて締結または解放を行うに際し、摩擦要素側に設けた油圧検出手段からの油圧検出信号によって、この摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断する自動変速機の目標油圧判断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機は、複数のクラッチやブレーキ等の摩擦要素を選択的に油圧作動(締結または解放)させることにより歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定し、作動する摩擦要素を切り換えることにより他の変速段への変速を行うように構成する。
【0003】
自動変速機はかかる構成であるが故に、例えば、作動油圧の低下により第1の摩擦要素を解放させつつ、作動油圧の上昇により第2の摩擦要素を締結させる、所謂、摩擦要素の掛け替えにより変速を行うものもある。
なお、本明細書では、当該掛け替え変速に際し、締結状態から解放状態に切り換えるべき摩擦要素を解放側摩擦要素、その作動油圧を解放側作動油圧と称し、また、解放状態から締結状態に切り換えるべき摩擦要素を締結側摩擦要素、その作動油圧を締結側作動油圧と称する。
【0004】
こうした油圧制御装置には、例えば、特開平1−224549号公報に記載のものがある。これは、変速開始と同時に、締結側作動油圧として大きな油圧(以下、プリチャージ圧Prという)を供給するように指令して、クラッチ・ブレーキ等の摩擦要素の締結・解放を司る作動ピストンを急激に移動させることにより、作動ピストンが実際に締結を開始できる位置までのストローク、即ち、作動ピストンが動き始めてから実際にクラッチプレートを押圧するまでのストロークを短時間に終了させるものである。
【0005】
この場合、ピストンストローク終了を判断するための装置として、従来から、摩擦要素側に設けた油圧検出手段からの油圧検出信号によって、実際の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断する目標油圧判断装置がある。
【0006】
図11は、摩擦要素であるドラムクラッチ20にソレノイド弁30からのソレノイド油圧PSOLによって制御される油圧コントロール弁(以下、アンプ弁という)40を配し、このアンプ弁40によってドラムクラッチ20に供給されるクラッチ圧を直接制御するシステムの概略図である。アンプ弁40は、ソレノイド弁30でデューティ制御されるソレノイド油圧PSOLにより、例えばマニュアルバルブ50からのDレンジ圧Pを元圧として、0〜P(元圧)までの大きさのクラッチ圧を出力可能とする。
【0007】
ドラムクラッチ20は、クラッチドラム21に配したクラッチ板21pとクラッチハブ22に配したクラッチ板22pとを作動ピストン23がクラッチ圧(締結側作動油圧Pc)によってリターンスプリング24に抗してディッシュプレート25を押圧することによりクラッチ板21pおよびクラッチ板22pを締結するものであり、その解放はクラッチ圧(解放側作動油圧Po)によってリターンスプリング24のばね力が作動ピストン23をディッシュプレート25から離間させることにより行われる。
【0008】
また符号60は、ドラムクラッチに供給される締結側作動油圧Pcまたは解放側作動油圧Poが予め設定された目標油圧P1に達したことを検知する油圧検出手段としての油圧スイッチであって、アンプ弁40からドラムクラッチ20までの間の油路L1に取り付けられ、変速機コントローラ(コンピュータ)14に油圧検出信号としてON/OFFに切り換わる。但し、目標油圧P1に達したことを検知する信号は、ON信号であっても、OFF状態であってもよい。
【0009】
図12は、図11のクラッチドラム20を締結側摩擦要素として、掛け替え変速を例示するタイムチャートであって、ドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、他の摩擦要素に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示す。
【0010】
本例の場合、締結開始時間t1から所定時間t2まで締結側作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給し、作動ピストン23が動き始めてからディッシュプレート25を介して実際にクラッチプレート21p,22pを押圧するまでのストロークを早期に終了させる。この場合、上記ピストンストローク終了は、変速機コントローラ14が油圧スイッチ60からのON信号を検知することによって、締結側作動油圧Pcが予め設定された目標油圧P1に到達したと判断することでなされる。
【0011】
図12において、破線は、変速機コントローラ14からの締結圧指令値TPAを、また、実線は、締結圧指令値TPAによってクラッチドラム20に供給される締結側作動油圧Pcを示す。これにより、締結側作動油圧Pcは、破線に示す締結圧指令値TPAによって、クラッチドラム20に対して実線に示すように供給される。
【0012】
つまり、締結圧指令値TPAによって、変速指令開始時間t1からドラムクラッチ20に対してプリチャージ圧Pr(例えば、ライン圧PL)を供給するように指令し、締結側作動油圧Pcを大きく上昇させることにより、クラッチドラム20の作動ピストン23をリターンスプリング24に抗して急激にストロークさせる。
【0013】
このとき、油圧スイッチ60は、始め、OFF状態を維持し、締結側作動油圧Pcが目標油圧P1に達したときに変速機コントローラ14にON信号を出力する。これにより、変速機コントローラ14は、油圧スイッチ60からのON信号によって、締結側作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断した時間t2において、作動ピストン23が動き始めてからディッシュプレート25を介して実際にクラッチプレートを押圧するまでのストロークが終了したと判断する。
【0014】
その後、締結側作動油圧Pcは、時間t2から上記の掛け替えを開始させてトルクフェーズを開始させるため初期棚圧P2まで急上昇させ、その後、時間t3〜時間t6までの間、所定のゆっくりした棚圧勾配で更に上昇させてイナーシャフェーズが終了する圧力P3に至らしめ、その後時間t7までの間に最高値(ライン圧P)まで上昇させる。
【0015】
これにより、従来の油圧制御装置は、作動ピストン23が動き始めてからディッシュプレート25を介して実際にクラッチプレート21p,22pを押圧するまでのストロークにかかる時間(t2−t1)の短縮を図りつつ、その急激な締結圧の上昇によるショックを防止する。
【0016】
なお図12には、上記掛け替え変速において、ドラムクラッチ20と異なる解放側摩擦要素に供給される解放側作動油圧Poを二点鎖線で示す。解放側作動油圧Poは、変速指令瞬時t1からドラムクラッチ20におけるピストンストロークの終了を判断する瞬時t2までの間、解放側摩擦要素がスリップし始める直前の締結容量となるようP4まで急速に低下させ、その後瞬時t5までの間は上記の掛け替えが行われるようゆっくりと低下させ、以後は急速に0まで低下させる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記事例のようにドラムクラッチ20を締結させる場合、ピストンストロークを早期に終了させるため、締結側作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Pr(=P)を指令する。このように、ドラムクラッチ20に作動油圧Pcとして大きな油圧を供給して、ドラムクラッチ20に通じる油路L1内の流量が何らかの原因で不安定になると、アンプ弁40は、その出力圧をフィードバックしながら調圧するため、流量が不安定になることの影響を受けて油圧振動を発生してしまう。
【0018】
図13は、図11のクラッチドラム20を締結側摩擦要素として、掛け替えによる2→3ドライブアップ変速を例示するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、2→3変速によって変移するギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する自動変速機の出力側トルクである出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60からのON/OFF信号を示す。但し、図13(a)において、破線は、変速機コントローラ14からの締結圧指令値TPAを、また、実線は、締結圧指令値TPAによってクラッチドラム20に供給される締結側作動油圧Pcを示す。
【0019】
従来の目標油圧判断装置にあっては、図13(a)の符号Aに示す如くの油圧振動が発生する場合、油圧スイッチ60は、図13(a)の符号Aに示す油圧振動を検出し、変速機コントローラ14に対して、図13(d)の符号Xに示すように、連続的にON/OFFを切り換えることから、ピストンストローク終了を誤って判断してしまう。この油圧スイッチ60の誤作動によって、解放側作動油圧Poが正規の位置より早めに解放されて締結側作動油圧Pcが容量不足となるため、図13(b)の符号Bに示すような空吹けが発生する一方、締結側作動油圧Pcが正規の位置より早めに締結容量を持つため、図13(c)の符号Cに示すような引きトルクが発生し、その後、締結側作動油圧Pcとして図13(a)の符号Dに示すような大きなサージ圧が発生すると共に、図13(c)の符号Eに示すような大きな突き上げショックが発生する。
【0020】
なお、油圧スイッチ60から検出される油圧振動は、ドラムクラッチ20の締結側作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給し流量が大きくなる場合だけでなく、プリチャージ圧Prを供給しない場合で流量が小さくなる場合でも起こり得る。こうした油圧振動の原因としては、例えば、アンプ弁40によってライン圧Pを締結側作動油圧Pcまたは解放側作動油圧Poに調圧する際、アンプ弁40内に収納されたスプールのスプールヘッド周りに生じる乱流によって生じる負圧などが挙げられる。
【0021】
図14は、プリチャージ圧Prを指令しない場合を、2→3ドライブアップ変速で例示するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、2→3変速によって変移するギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する自動変速機の出力側トルクである出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60からのON/OFF信号を示す。
【0022】
図14(a)において、実線は、実際にドラムクラッチ20に供給される締結側作動油圧Pc、二点鎖線は、解放側作動油圧Poを示す。上記事例の場合、締結側作動油圧Pcにプリチャージ圧Prを指令しないため、締結側作動油圧Pcは始め、図14(a)の如く、アンプ弁40のスプールヘッド周りに生じる負圧によってスプールが振動すると、このスプールの振動に伴い、図14(a)の符号Aに示す如くの油圧振動を発生してしまう。
【0023】
この場合も、油圧スイッチ60は上記油圧振動を検出し、変速機コントローラ14に対して、図14(d)の符号Xに示すように、連続的にON/OFFを切り換えることから、ピストンストローク終了を誤って判断してしまう。この油圧スイッチ60の誤作動によって、解放側作動油圧Poが正規の位置より早めに解放されて締結側作動油圧Pcが容量不足となるため、図14(b)の符号Bに示すような空吹けが発生する一方、締結側作動油圧Pcが正規の位置より早めに締結容量を持つため、図14(c)の符号Cに示すような引きトルクが発生し、その後、締結側作動油圧Pcとして図14(a)の符号Dに示すような大きなサージ圧が発生すると共に、図14(c)の符号Eに示すような大きな突き上げショックが発生する。
【0024】
本発明は、上述した問題を鑑みてなされたものであって、摩擦要素の作動油圧が不安定な状態で発した油圧検出手段からの油圧検出信号を排除して、摩擦要素の作動油圧が安定な状態で発した油圧検出信号のみを検知することが可能な自動変速機の目標油圧判断装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、発明に係る自動変速機の目標油圧判断装置は、摩擦要素の作動油圧を上昇または下降させて締結または解放を行うに際し、前記摩擦要素側に設けた油圧検出手段からの油圧検出信号によって、該摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断する自動変速機の目標油圧判断装置において、前記油圧検出手段からの油圧検出信号が検知されると同時に実行されるタイマーを設け、該タイマーが予め設定された所定時間を計測する間、前記油圧検出手段からの油圧検出信号が時間的に連続した状態で継続的に検知された場合にのみ、前記摩擦要素の作動油圧が前記目標油圧に到達したと判断するようにしたことを特徴とするものである。
【0026】
加えて発明に係る自動変速機の目標油圧判断装置は前記タイマーが計測する所定時間は、前記摩擦要素の作動油圧を油温に応じて決定されたデューティ制御するためのソレノイド駆動周期とする。
【0028】
【発明の効果】
発明に係る自動変速機の目標油圧判断装置は、摩擦要素の作動油圧を上昇または下降させて締結または解放を行うに際し、摩擦要素側に設けた油圧検出手段からの油圧検出信号によって、この摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断するものである。
【0029】
発明によれば、油圧検出手段からの油圧検出信号が検知されると同時に実行されるタイマーを設け、このタイマーが予め設定された所定時間を計測する間、油圧検出手段からの油圧検出信号が時間的に連続した状態で継続的に検知された場合にのみ、摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断する。つまり、摩擦要素の作動油圧に油圧振動が生じることで油圧検出信号からの油圧検出信号が振動しても、摩擦要素の作動油圧が不安定な状態で発した油圧検出信号として排除し、摩擦要素の作動油圧が安定な状態で発した油圧検出信号のみを検知することにより、摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断できる。
【0030】
従って発明に係る自動変速機の目標油圧判断装置は、摩擦要素の作動油圧が安定な状態で摩擦要素の作動油圧が目標油圧に到達したと判断することから、油圧が安定した状態の目標油圧を高い精度で検出することができる。
【0031】
加えて発明に係る装置はタイマーが計測する所定時間は、摩擦要素の作動油圧を油温に応じて決定されたデューティ制御するためのソレノイド駆動周期とする。この場合、ソレノイド駆動周期が油温に応じて変動することがタイマーの計測する時間に考慮されているから、摩擦要素の作動油圧をデューティ制御するために生じる油圧振動を油温に応じた適切な時間で排除することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明一実施の形態になる自動変速機の目標油圧判断装置を示し、1はエンジン、2は自動変速機である。エンジン1は、運転者が操作するアクセルペダルに連動してその踏み込みにつれ全閉から全開に向け開度増大するスロットルバルブにより出力を加減され、エンジン1の出力回転はトルクコンバータ3を経て自動変速機2の入力軸4に入力されるものとする。
【0034】
自動変速機2は、同軸突き合わせ関係に配置した入出力軸4,5上にエンジン1の側から順次フロントプラネタリギヤ組6およびリヤプラネタリギヤ組7を載置して具え、これらを自動変速機2における遊星歯車変速機構の主たる構成要素とする。
エンジン1に近いフロントプラネタリギヤ組6は、フロントサンギヤSF 、フロントリングギヤR 、これらに噛合するフロントピニオンR 、および該フロントピニオンを回転自在に支持するフロントキャリアR よりなる単純遊星歯車組とし、
エンジン1から遠いリヤプラネタリギヤ組7も、リヤサンギヤS 、リヤリングギヤR 、これらに噛合するリヤピニオンP 、および該リヤピニオンを回転自在に支持するリヤキャリアC よりなる単純遊星歯車組とする。
【0035】
遊星歯車変速機構の伝動経路(変速段)を決定する摩擦要素としてはロークラッチL/C、2速・4速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリバースブレーキLR/B、ローワンウエイクラッチL/OWC、およびリバースクラッチR/Cを、以下のごとく両プラネタリギヤ組6,7の構成要素に相関させて設ける。
つまり、フロントサンギヤS はリバースクラッチR/Cにより入力軸4に適宜結合可能にすると共に、2速・4速ブレーキ2−4/Bにより適宜固定可能とする。
【0036】
フロントキャリアC はハイクラッチH/Cにより入力軸4に適宜結合可能にする。
フロントキャリアC は更に、ローワンウェイクラッチL/OWCによりエンジン回転と逆方向の回転を阻止すると共に、ローリバースブレーキLR/Bにより適宜固定可能とする。
そしてフロントキャリアC と、リヤリングギヤR との間を、ロークラッチL/Cにより適宜結合可能とする。
フロントリングギヤR およびリヤキャリアC 間を相互に結合し、これらフロントリングギヤR およびリヤキャリアC を出力軸6に結合し、リヤサンギヤSを入力軸4に結合する。
【0037】
上記遊星歯車変速機構の動力伝達列は、摩擦要素L/C,2−4/B,H/C,LR/B,R/Cの図2に実線の〇印で示す選択的油圧作動(締結)と、ローワンウェイクラッチL/OWCの同図に実線の〇印で示す自己係合とにより、前進第1速(1st)、前進第2速(2nd)、前進第3速(3rd)、前進第4速(4th)の前進変速段と、後退変速段(Rev )とを得ることができる。
なお図2に点線の〇印で示す油圧作動(締結)は、エンジンブレーキが必要な時に作動させるべき摩擦要素である。
【0038】
図2に示す変速制御用摩擦要素L/C,2−4/B,H/C,LR/B,R/Cの締結論理は図1に示すコントロールバルブボディー8により実現し、このコントロールバルブボディー8には図示せざるマニュアルバルブの他に、ライン圧ソレノイド9、ロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13などを挿置する。
【0039】
ライン圧ソレノイド9はそのON,OFFにより、変速制御の元圧であるライン圧を高低切り換えし、図示せざるマニュアルバルブは、希望する走行形態に応じて運転者により前進走行(D)レンジ位置、後退走行(R)レンジ位置、または駐停車(P,N)レンジ位置に操作されるものとする。
【0040】
Dレンジでマニュアルバルブは、上記のライン圧を元圧としてロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13のデューティ制御により対応するロークラッチL/C、2速・4速ブレーキ2−4/B、ハイクラッチH/C、ローリバースブレーキLR/Bの作動油圧を個々に制御し得るようライン圧を所定の回路に供給し、当該各ソレノイドのデューティ制御により図2に示した第1速〜第4速の締結論理を実現するものとする。
【0041】
但しRレンジでは、マニュアルバルブはライン圧を上記各ソレノイドのデューティ制御に依存することなく直接、リバースクラッチR/CおよびローリバースブレーキLR/Bに供給し、これらを締結作動させることにより図2に示した後退の締結論理を実現するものとする。
なおP,Nレンジでマニュアルバルブはライン圧をどの回路にも供給せず、全ての摩擦要素を解放状態にすることにより自動変速機を中立状態にする。
【0042】
ライン圧ソレノイド9のON,OFF制御、およびロークラッチソレノイド10、2速・4速ブレーキソレノイド11、ハイクラッチソレノイド12、ローリバースブレーキソレノイド13のデューティ制御はそれぞれ変速機コントローラ14により実行し、
そのために変速機コントローラ14には、エンジン1のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ15からの信号と、
トルクコンバータ3の出力回転数(変速機入力回転数)であるタービン回転数Nt を検出するタービン回転センサ11からの信号と、
自動変速機2の出力軸5の回転数NO を検出する出力回転センサ17からの信号と、
選択レンジを検出するインヒビタスイッチ18からの信号と、
掛け替え変速時に締結すべき締結側摩擦要素、つまり、図2から明らかなように2→3変速時はハイクラッチH/C、3→2変速時は2速・4速ブレーキ2−4/B、3→4変速時は2速・4速ブレーキ2−4/B、4→3変速時はロークラッチL/C内に配置された油圧スイッチ60からの信号をそれぞれ入力する。
ここで油圧スイッチ60は、対応する摩擦要素の作動油圧が摩擦要素のロスストロークを終了させて締結容量を発生させ始める圧力になった時にONするものとする。
【0043】
本発明が関与するDレンジでの自動変速作用を説明するに、変速機コントローラ14は図示せざる制御プログラムを実行して、インヒビタスイッチ18からの信号に応じた予定の変速マップをもとにスロットル開度TVOおよび変速機出力回転数N(車速)から、現在の運転状態において要求される好適変速段を検索する。
【0044】
次いで変速機コントローラ14は、現在の選択変速段が好適変速段と一致しているか否かを判定し、不一致なら変速指令を発して好適変速段への変速が実行されるよう、つまり図2の締結論理表にもとづき当該変速のための摩擦要素の締結、解放切り換えが行われるようソレノイド10〜13のデューティ制御により、当該摩擦要素の作動油圧を変更する。
【0045】
かかる掛け替え変速を実行するために変速機コントローラ14は、図3に示すプログラムにより、解放側作動油圧指令値Poおよび締結側作動油圧指令値Pcをそれぞれ時系列制御する。
【0046】
以下、締結側摩擦要素としてハイクラッチH/Cが用いられる一方、解放側摩擦要素として2速・4速ブレーキ2−4/Bが用いられる2速から3速へのアップシフト変速を参照し、上記制御プログラムの作用を説明する。
【0047】
まず、ステップ110において、スロットル開度TH、エンジン回転速度Neタービン回転速度Nt、出力軸回転速度No、油温Tmpなどの各種センサ信号を読み込む。次に、ステップ111に移行してスロットル開度THにより、変速開始時の出力軸トルクTt(a)および変速終了時の出力軸トルクTt(b)を算出し、ステップ112において、ステップ110,111で得られた状態から、フェーズ1の初期設定を行う。
【0048】
出力軸トルクTtは、例えば、図4に示す特性図から算出する。この特性図は、出力軸トルクTtがスロットル開度TH毎に設定されており、スロットル開度THに応じたタービン回転数Ntから算出する。変速開始時の出力軸トルクTt(a)は、スロットル開度THに応じた変速開始時のタービン回転数Nt(a)から算出される。また、変速終了時の出力軸トルクTt(b)も、同様に、スロットル開度THに応じた変速終了時のタービン回転数Nt(b)から算出される。
【0049】
なお、変速開始時のタービン回転数Nt(a)は、直接検出できるものの、変速終了時のタービン回転数Nt(b)は、例えば、以下の式から算出されるものとする。
Nt(b)=Nt(a)×(3速ギア比)/(2速ギア比)・・・(1)
【0050】
次にステップ112からステップ113に移行し、このステップ113にてフェーズ1による締結側作動油圧Pcおよび解放側作動油圧Poの制御、特に、ハイクラッチH/Cに供給される締結側作動油圧Pcは、作動ピストン23が動き始めてから実際にディッシュプレート25を介してクラッチプレート21p,22pを押圧する位置までのストロークが終了するまで制御され、ステップ114に移行する。
【0051】
ステップ114では、後述の図6または図9に示すフローチャートから、油圧スイッチ60からのON信号が予め設定された所定時間Tccの間、時間的に連続した状態で継続的に検知されるかを判断する。このとき、油圧スイッチ60のON信号が検知されないOFF状態では、ステップ113にリターンしてフェーズ1による制御を継続し、油圧スイッチ60がON信号を検知すると、ステップ115に移行する。
【0052】
ステップ115では、フェーズ2の初期設定を行い、ステップ116にて、フェーズ2による締結側作動油圧Pcおよび解放側作動油圧Poの制御、即ち、上記ピストンストローク終了からイナーシャフェーズが開始されるまで、実際に2速・4速ブレーキ2−4/Bを解放しつつハイクラッチH/Cを締結するために必要とされる油圧を制御する。
【0053】
その後、ステップ117に移行し、このステップ117にて、現在のギア比GRがフェーズ3開始時のギア比GR1よりも小さいかどうかを判断する。このとき、現在のギア比GRがギア比GR1以上に大きい状態では、ステップ116にリターンしてフェーズ2による制御を継続し、現在のギア比GRがギア比GR1よりも小さくなると、ステップ118に移行する。
【0054】
ステップ118では、フェーズ3の初期設定を行い、ステップ119にて、フェーズ3による締結側作動油圧Pcおよび解放側作動油圧Poの制御、即ち、イナーシャフェーズが開始されてから終了するまで制御する。
【0055】
その後、ステップ120に移行し、このステップ120にて、現在のギア比GRがフェーズ4開始時のギア比GR2よりも小さいかどうかを判断する。このとき、現在のギア比GRがギア比GR2以上に大きい状態では、ステップ119にリターンしてフェーズ3による制御を継続し、現在のギア比GRがギア比GR2よりも小さくなると、ステップ121に移行する。
【0056】
ステップ121では、フェーズ4の初期設定を行い、ステップ122にて、フェーズ4による締結側作動油圧Pcおよび解放側作動油圧Poの制御、即ち、イナーシャフェーズが終了から、ハイクラッチH/Cを完全に締結させるための油圧を供給するように指令する。
【0057】
その後、ステップ123に移行し、このステップ123にて、締結圧指令値TPAが所定指令値PA4よりも大きいかどうかを判断する。このとき、締結圧指令値TPAが所定指令値PA4以下の状態では、ステップ122にリターンしてフェーズ4による制御を継続し、締結圧指令値TPAが所定指令値PA4よりも大きくなると、本フローチャートによる油圧制御を終了する。
【0058】
図5は、図3のフローチャートにおけるタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ハイクラッチH/C側の締結側作動油圧指令値TPAと、2速・4速ブレーキ2−4/B側の解放側作動油圧指令値TPBとの関係を示し、(b)は、ギア比GRを示し、(c)は自動変速機から取り出される出力軸トルクTtを示す。
【0059】
図6は、本発明の第1実施形態であって、2→3変速の開始と同時にハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給しない場合のフローチャートである。
【0060】
ここで、図5を参照して、図6のフローチャートを詳細に説明する。なお、油圧スイッチ60は図11に示すものであって、ハイクラッチH/Cに実際に供給される締結側作動油圧Pcが目標とする油圧P1に到達した場合にON信号を出力するものとする。
【0061】
まずステップ210において、油圧スイッチ60からのON/OFF状態を読み込み、ステップ211に移行する。ステップ211では、油圧スイッチ60からON信号が発せられたかどうかを判断し、油圧スイッチ60がONされると、ステップ212に移行し、このステップ212にて、タイマーが初期値Tc=0であるかどうかを判断する。なお、タイマー本体は、掛け替え変速の開始と同時に変速機コントローラ14で実行されるものであるが、要求に応じて、変速機コントローラ14と独立した外付けタイマーであってもよい。
【0062】
2→3変速の開始時に、ステップ212にて初期値Tc=0が確認されると、ステップ213に移行してタイマーをスタートさせ、その後、ステップ214に移行する。ステップ214では、タイマーで計測された時間Tcが予め設定された所定時間Tccに到達したかどうかを判断し、タイマー時間Tcが所定時間Tccに到達するまで、ステップ210にリターンしてカウントする。このとき、ステップ212では、2→3変速中のため、タイマー時間はTc=0ではないので、そのままステップ214にジャンプする。
【0063】
このとき、タイマーが計測する所定時間Tccは、例えば、図7に示す如く、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcを油温Tmpに応じて決定されたデューティ制御するためのソレノイド駆動周期TSOLとする。このソレノイド駆動周期TSOLは、例えば、ソレノイド弁30からのソレノイド油圧PSOLをデューティ制御する際の値とする。この場合、ソレノイド駆動周期が油温Tmpに応じて変動することがタイマーの計測する時間Tccに考慮されているから、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcをデューティ制御するために生じる油圧振動を油温Tmpに応じた適切な時間で排除することができる。
【0065】
ステップ214にて、タイマー時間Tcが所定時間Tccに到達すると、油圧スイッチ60のON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知されたとして、ステップ215に移行する。ステップ215では、タイマーを初期値Tc=0にリセットし、その後、ステップ216にて、油圧スイッチ60が発したON信号が正確な信号であるとして判断する。この結果、図3のステップ114では、この判断を利用して油圧スイッチ60をON状態と判定し、ステップ115のプログラムを実行する。
【0066】
なお、ステップ211にて、油圧スイッチ60のON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知されなかったり、変速開始当初から油圧スイッチ60がOFF状態であったため、油圧スイッチ60がOFF状態、または、油圧スイッチ60が発したON信号が正確な信号でないと判定されると、ステップ217に移行して、タイマーを初期値Tc=0にリセットし、ステップ218において、油圧スイッチ60はOFF状態であるとして判断する。この後、ステップ218からステップ210にリターンして、再度、油圧スイッチ60のON信号の検知を継続する。この結果、図3のステップ114では、この判断を利用して油圧スイッチ60をOFF状態と判定し、ステップ113にリターンする。
【0067】
図8は、本実施形態を2→3ドライブアップ変速で例示するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によってハイクラッチH/Cに実際に供給される締結側作動油圧Pcと、2速・4速ブレーキ2−4/Bに実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60が油圧振動によって発したON/OFF状態を示し、(e)は、変速機コントローラ14で検知した油圧スイッチ60のON信号を示す。
なお、図8(b)に関しては、締結側作動油圧Pcを実線、解放側作動油圧Poを二点鎖線で示す。
【0068】
本実施形態によれば、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとして大きな油圧を供給しない場合で流量が小さくなる場合で、図8(d),(e)に示す如く、ハイクラッチH/Cに供給される締結側作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと同時に、即ち、油圧スイッチ60がON信号を発したと同時にタイマーを実行し、このタイマーが予め設定された所定時間Tccを計測する間、油圧スイッチ60からのON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知された場合にのみ、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断する。
【0069】
この場合、図8(d)の符号Xに示す油圧振動によるON信号は、タイマーが所定時間Tccを経過するまで時間的に連続した状態で継続的に発していないため、作動ピストン23のストローク中に油圧振動が生じても変速機コントローラ14は、その油圧振動によるON信号を検知しない。これに対し、図8(d)の符号Yに示すON信号は、タイマーが所定時間Tc(=Tcc)を経過するまで時間的に連続した状態で継続的に発しているため、変速機コントローラ14は、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定した状態で目標油圧P1に到達したことにより発せられるON信号として検知される。
【0070】
つまり、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとして大きな油圧を供給しない場合で流量が小さくなる場合に生じる油圧振動によって油圧スイッチ60からのON/OFFが振動しても、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが不安定な状態で発したON信号として排除し、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定な状態で発したON信号のみを検知することにより、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが予め設定された目標油圧P1に到達したと判断できる。
【0071】
従って本実施形態は、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定な状態でハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断することから、油圧が安定した状態の目標油圧P1を高い精度で検出することができる。
【0072】
特に本実施形態においては、作動ピストン23が動き始めてから実際に締結を開始できる位置までのストローク、即ち、作動ピストン23が動き始めてから実際にディッシュプレート25を介してクラッチプレート21p,22pを押圧する位置までのストロークが終了したときの油圧を目標油圧P1として油圧スイッチ60が検出する際、上記油圧振動によるON信号によって、作動ピストン23が動き始めてから実際にディッシュプレート25を介してクラッチプレート21p,22pを押圧する位置までのストロークが終了したと誤って判断することを防止できる。これにより、上記ピストンストロークの終了を正確に判断できないために発生するエンジンの空吹き(図14の符号B参照)や、変速機出力トルクTtによる引き感(図14の符号C)が軽減され、さらに、大きなサージ圧(図14の符号D)による突き上げショック(図14の符号E)などを生じない滑らかな変速性能を確実に実現することができる。
【0073】
図9は、本発明の第2実施形態であって、2→3変速の開始と同時にハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給する場合のフローチャートである。なお、油圧スイッチ60は図11に示すものであって、ハイクラッチH/Cにプリチャージ圧Prを供給するように指令したのち、ハイクラッチH/Cに実際に供給される締結側作動圧Pcが目標油圧P1に到達した場合にON信号を発する。
【0074】
まずステップ300にて、締結圧指令値TPAとしてプリチャージ圧Pr、例えば、アンプ弁40が供給し得る最も大きな油圧であるライン圧PLを供給するように指令する。次に、ステップ310において、油圧スイッチ60のON/OFF状態を読み込み、ステップ311に移行する。ステップ311では、油圧スイッチ60からON信号が発せられたかどうかを判断し、油圧スイッチ60がONされると、ステップ312に移行し、このステップ312にて、タイマーが初期値Tc=0であるかどうかを判断する。なお、タイマー本体は、第一実施形態と同様、掛け替え変速の開始と同時に変速機コントローラ14で実行されるものであるが、要求に応じて、変速機コントローラ14と独立した外付けタイマーであってもよい。
【0075】
2→3変速の開始時に、ステップ312にて初期値Tc=0が確認されると、ステップ313に移行してタイマーをスタートさせ、その後、ステップ314に移行する。ステップ314では、タイマーで計測された時間Tcが予め設定された所定時間Tccに到達したかどうかを判定し、タイマー時間Tcが所定時間Tccに到達するまで、ステップ310にリターンしてカウントする。このとき、ステップ312では、2→3変速中のため、タイマー時間がTc=0ではないので、そのままステップ314にジャンプする。なお、タイマーが計測する所定時間Tccには、例えば、第1実施形態と同様、ソレノイド駆動周期TSOLを用いる。
【0076】
ステップ314にて、タイマー時間Tcが所定時間Tccに到達すると、油圧スイッチ60のON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知されたとして、ステップ315に移行する。ステップ315では、タイマーを初期値Tc=0にリセットし、その後、ステップ316にて、油圧スイッチ60が発したON信号が正確な信号であるとして判断する。この結果、ステップ320に移行し、このステップ320では、この判断を利用して従来通りに、フェーズ2による油圧制御を実行する。
【0077】
なお、ステップ311にて、油圧スイッチ60のON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知されなかったり、変速開始当初から油圧スイッチ60がOFF状態であったため、油圧スイッチ60がOFF状態または油圧スイッチ60が発したON信号が正確な信号でないと判定されると、ステップ317に移行して、タイマーを初期値Tc=0にリセットし、ステップ318において、油圧スイッチ60はOFF状態であるとして判断する。この結果、ステップ318からステップ310にリターンして、再度、油圧スイッチ60のON信号の検知を継続する。
【0078】
図10は、本実施形態を2→3ドライブアップ変速で例示するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によってドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、2速・4速ブレーキ2−4/Bに実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60がプリチャージ圧Prに伴う油圧振動によって発したON/OFF状態を示し、(e)は、変速機コントローラ14で検知した油圧スイッチ60のON信号を示す。
なお、図10(a)に関しては、締結側作動油圧Pcを実線、解放側作動油圧Poを二点鎖線で示す。
【0079】
本実施形態は、掛け替え変速のためにハイクラッチH/Cを締結する際、ハイクラッチH/Cにプリチャージ圧Prを供給する指令を発したのち、ハイクラッチH/Cに供給される締結側作動油圧Pcが所定油圧P1に到達したことを油圧スイッチ60で検知する。
【0080】
本実施形態によれば、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとして大きな油圧を供給し流量が大きくなる場合で、図10(d),(e)に示す如く、ハイクラッチH/Cに供給される締結側作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断されると同時に、即ち、油圧スイッチ60がON信号を発したと同時にタイマーを実行し、このタイマーが予め設定された所定時間Tccを計測する間、油圧スイッチ60からのON信号が時間的に連続した状態で継続的に検知された場合にのみ、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断する。
【0081】
この場合、図10(d)の符号Xに示す油圧振動によるON信号は、タイマーが所定時間Tccを経過するまで時間的に連続した状態で継続的に発していないため、作動ピストン23のストローク中に油圧振動が生じても変速機コントローラ14は、その油圧振動によるON信号を検知しない。これに対し、図10(d)の符号Yに示すON信号は、タイマーが所定時間Tccを経過するまで時間的に連続した状態で継続的に発しているため、変速機コントローラ14は、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定した状態で目標油圧P1に到達したことにより発せられるON信号として検知される。
【0082】
つまり、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給する場合、即ち、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcとして大きな油圧を供給し流量が大きくなる場合に生じる油圧振動によって油圧スイッチ60からのON/OFFが振動しても、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが不安定な状態で発したON信号として排除し、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定な状態で発したON信号のみを検知することにより、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断できる。
【0083】
従って本実施形態は、ハイクラッチH/Cの作動油圧Pcが安定な状態でドラムクラッチ20の作動油圧Pcが目標油圧P1に到達したと判断することから、油圧が安定した状態の目標油圧P1を高い精度で検出することができる。
【0084】
特に本実施形態においては、作動ピストン23が動き始めてから実際にディッシュプレート25を介してクラッチプレート21p,22pを押圧する位置までのストロークが終了したときの油圧を目標油圧P1として油圧スイッチ60が検知する際、上記油圧振動によるON信号によって、作動ピストン23が動き始めてから実際にディッシュプレート25を介してクラッチプレート21p,22pを押圧する位置までのストロークが終了したと誤って判断することを防止できる。これにより、上記ピストンストロークの終了を正確に判断できないために発生するエンジンの空吹き(図13の符号B参照)や、変速機出力トルクTtによる引き感(図13の符号C)が軽減され、さらに、大きなサージ圧(図13の符号D)による突き上げショック(図13の符号E)などを生じない滑らかな変速性能を確実に実現することができる。
【0085】
上述したところは、本発明の好適な実施形態を示したにすぎず、当業者によれば、請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、油圧スイッチ60のOFF状態をもって目標油圧の到達を判断してもよい。また、油圧検出手段は、油圧スイッチに限らず、油圧センサでもよい。また、変速の形態は、2→3アップシフト変速に限らず、摩擦要素の作動油圧を上昇または下降させて締結または解放を行う変速全般であればよい。さらに、自動変速機の形態も、複数の摩擦要素の締結および解放を掛け替えない通常の自動変速機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる目標油圧判断装置を具えた自動変速機の伝動列、およびその変速制御システムを示す概略系統図である。
【図2】 同自動変速機の選択変速段と、摩擦要素の締結理論との関係を示す図である。
【図3】 掛け替え変速制御のフローチャートである。
【図4】 タービン回転速度Ntから出力軸トルクTtを算出するための特性図である。
【図5】 図3のフローチャートにおけるタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって指令される、締結側作動油圧指令値TPAと解放側作動油圧指令値TPBとの関係を示し、(b)は、ギア比GRを示し、(c)は自動変速機から取り出される出力軸トルクTtを示す。
【図6】 本発明の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図7】 タイマーが計測する所定時間Tccを油温Tmpから算出するための特性図である。
【図8】 図6のフローチャートの作用を説明するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ハイクラッチH/Cに実際に供給される締結側作動油圧Pcと、2速・4速ブレーキ2−4/Bに実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比GRを示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60が油圧振動によって発したON信号を示し、(e)は、変速機コントローラ14で検知した油圧スイッチ60のON信号を示す。
【図9】 本発明の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図10】 図9のフローチャートの作用を説明するタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ハイクラッチH/Cに実際に供給される締結側作動油圧Pcと、2速・4速ブレーキ2−4/Bに実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比GRを示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチ60が油圧振動によって発したON信号を示し、(e)は、変速機コントローラ14で検知した油圧スイッチ60のON信号を示す。
【図11】 ソレノイド弁でデューティ制御される油圧コントロール弁からのクラッチ圧をクラッチドラムに供給するための油圧回路を示すシステム図である。
【図12】 従来技術における、締結側作動油圧および解放側作動油圧の時系列変化を示すタイムチャートである。
【図13】 締結側作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給したときの油圧振動を2→3ドライブアップ変速で例示する従来技術のタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、解放側摩擦要素に実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチのON/OFF状態を示す。
【図14】 締結側作動油圧Pcとしてプリチャージ圧Prを供給しないときの油圧振動を2→3ドライブアップ変速で例示する従来技術のタイムチャートであって、(a)は、2→3変速によって、ドラムクラッチ20に実際に供給される締結側作動油圧Pcと、解放側摩擦要素に実際に供給される解放側作動油圧Poとの関係を示し、(b)は、ギア比を示し、(c)は、2→3変速によって発生する出力軸トルクTtを示し、(d)は、油圧スイッチのON/OFF状態を示す。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 入力軸
5 出力軸
6 フロントプラネタリギア組
7 リアプラネタリギア組
8 コントロールバルブボディ
9 ライン圧ソレノイド
10 ロークラッチソレノイド
11 2速・4速ブレーキソレノイド
12 ハイクラッチソレノイド
13 ローリバースブレーキソレノイド
14 変速機コントローラ
15 スロットル開度センサ
16 タービン回転センサ
17 出力回転センサ
18 インヒビタスイッチ
20 ドラムクラッチ
21 クラッチドラム
21p クラッチ板
22 クラッチハブ
22p クラッチ板
23 作動ピストン
24 リターンスプリング
30 ソレノイド弁
40 アンプ弁(油圧コントロール弁)
50 マニュアルバルブ
60 油圧スイッチ
H/C ハイクラッチ
R/C リバースクラッチ
L/C ロークラッチ
L/OWC ローワンウェイクラッチ
LR/C ローリバースクラッチ
2−4/B 2速・4速ブレーキ

Claims (1)

  1. 摩擦要素の作動油圧を上昇または下降させて締結または解放を行うに際し、前記摩擦要素側に設けた油圧検出手段からの油圧検出信号によって、該摩擦要素の作動油圧が予め設定された目標油圧に到達したと判断する自動変速機の目標油圧判断装置において、
    前記油圧検出手段からの油圧検出信号が検知されると同時に実行されるタイマーを設け、
    該タイマーが予め設定された所定時間を計測する間、前記油圧検出手段からの油圧検出信号が時間的に連続した状態で継続的に検知された場合にのみ、前記摩擦要素の作動油圧が前記目標油圧に到達したと判断し、前記タイマーが計測する所定時間は、前記摩擦要素の作動油圧を油温に応じて決定されたデューティ制御するためのソレノイド駆動周期であることを特徴とする自動変速機の目標油圧判断装置。
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