JP2009247226A - 培養方法、及び培養装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 細胞や組織、微生物等の培養にあたり、最適な培養密度を維持して効率的な培養を可能にするとともに、細胞へのダメージの低減、作業の効率化、コンタミネーションリスクの低減を実現する。
【解決手段】 培養容器1の収容部を仕切部材8により培養を行うための一又は二以上の培養部11と、培養部11に対する補充用の培地を収容する一又は二以上の培地供給部12とに分離し、仕切部材8を培地供給部12側へ移動させることにより、培地供給部12における培地を培養部11へ供給して細胞の培養を行う。仕切部材8としてローラを用いることができ、培養部11への培地の供給は、培地供給部12と培養部11とをつなぐ一又は二以上の流路を介して行われる。流路は、ローラに形成したスリットや培地供給部と前記培養部とをつなぐ一又は二以上のバイパスチューブにより形成され、又は培養容器の上下面の一部を接着することにより培養容器内に形成される。
【選択図】 図7

Description

本発明は、細胞や組織、微生物等を培養するための培養方法、及び培養装置に関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織、微生物などを人工的な環境下で効率良く大量に培養することが求められている。
このような細胞培養においては、細胞の増殖に併せて、細胞の生育に必要な培地を補給する必要がある。
培地の補給にあたり、従来は、細胞が培養容器内で十分に増殖すると、図14に示すように、より容量の大きな培養容器などに移し替え(植え継ぎ)、これを繰り返すことで、細胞の大量培養が行われていた。
すなわち、同図に示す通り、まずフラスコ内に培地と細胞を入れて培養し、細胞増殖に併せて培地を追加して培養するとともに植え継ぎを行い、一定量に増殖した時点で、より容量の大きいバックなどに移し替えて、さらに培養と培地の補給、植え継ぎを繰り返し、細胞の大量培養が行われていた。
このように細胞を大量培養するにあたり植え継ぎを行うのは、培養開始時の細胞密度が低いと、細胞の増殖が抑制されるためである。
ところが、このような細胞培養においては、植え継ぎのたびに新たなフラスコやバックなどの培養容器に培養細胞の一部を移さなければならず作業が煩雑になるとともに、細胞にダメージを与える可能性がある。また、コンタミネーション(contamination:汚染)のリスクが高いという問題があった。
そこで、植え継ぎを行なうことなく適正な培養環境を維持するための技術が種々提案されている。
例えば、特許文献1に記載の細胞培養用具は、バッグ中の培養液の流通を阻止するための部材を用いて、培養領域を段階的に拡張可能とされている。このため、培養細胞の植え継ぎは必要なく、コンタミネーションのリスクを軽減することが可能となっている。
また、特許文献2に記載の培養容器は、単一のバッグ様密閉室をサブ区画室に分けるための外部区分手段を備えている。
この外部区分手段により、バッグ様密閉室の一部を締め付けることで複数のサブ区画室をつくることができ、培養開始時に適した細胞密度を確保するために十分に小さな規模の出発環境を提供できる。そして、このようなコンタミネーションが発生しない環境で、培養領域を段階的に拡張することができるようになっている。
特開2000−125848号公報 特許第2981684号公報
しかしながら、特許文献1に記載の細胞培養用具を用いる場合は、培養の拡大に合わせて新しい培地を補給する必要がある。その際、手作業での培地の補給はコンタミネーションのリスクを高めることになる。また、培地入りの容器からチューブを介して補給する場合では、コンタミネーションのリスクは低下するが、培養容器とは別に培地入りの容器が必要となり、スペースや容器コストの点でのデメリットがあった。また、培養領域を段階的にしか拡張することができず、連続的に拡張することはできない。
また、特許文献2に記載の培養容器を用いる場合、培養領域はサブ区画室ごとに段階的に拡張されるため、細胞密度の連続性を得ることはできず、増殖に最適な細胞密度を維持することは困難である。
さらに、このような培養用具や容器を用いる場合、その構造上、大量培養を自動化して行うことは難しい。
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、細胞増殖に伴う培地の追加と培養領域の拡張にあたり、最適な培養密度を維持して効率的な培養を実現するとともに、作業性の向上、コンタミネーションリスクの低減、省スペース化を達成することの可能な培養方法、及び培養装置に関する。
上記目的を達成するため、本発明の培養方法は、細胞と培地を培養容器に封入して細胞の培養を行う培養方法であって、培養容器の収容部を仕切部材により、培養を行うための一又は二以上の培養部と、培養部に対する補充用の培地を収容する一又は二以上の培地供給部とに分離し、仕切部材を培地供給部側へ移動させることによって、培地供給部における培地を培養部へ供給する方法としてある。
また、仕切部材としてローラを用いることができ、培地供給部における培地の培養部への供給は、培地供給部と培養部とをつなぐ一又は二以上の流路を介して行うことができる。
流路は、仕切部材としてのローラに設けられたスリットによって形成され、又は培地供給部と培養部とをつなぐ一又は二以上のバイパスチューブによって形成することができる。また、流路は、培養容器の上下面の一部を接着することによって、培養容器内に形成することもできる。
また、本発明の培養装置は、細胞と培地を培養容器に封入して細胞の培養を行う培養装置であって、培養容器と、培養容器の収容部を、培養を行うための一又は二以上の培養部と、培養部に対する補充用の培地を収容する一又は二以上の培地供給部とに分離する仕切部材と、仕切部材を培地供給部側へ移動させたときに、培地供給部における培地を培養部へ供給する流路とを備えた構成としてある。
この仕切部材としてローラを用いることができ、流路はローラの円周方向の一部又はローラの軸方向に設けた所定の凹部によって形成することができる。この凹部とは、ローラに設けられた培地が移動可能なすきまであり、その形状は特に限定されない。
さらに、流路が、バイパスチューブや培養容器の上下面の一部を接着することにより形成されたものである場合には、流路上にポンプ又はバルブを設けることが好ましい。
本発明によれば、単一の培養容器を用いて、培養領域を連続的に拡張し、培地を追加することができる。
このため、最適な培養密度を維持して効率的な培養を行うことができるとともに、細胞へのダメージの低減、作業の効率化、コンタミネーションリスクの低減を実現することが可能となる。
以下、本発明の培養方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に用いる培養容器を示す図である。図2は、図1(b)に示す培養容器を用いた培養方法を示す図である。
図1(a)に示す培養容器1は、培地10を充填するための収容部を備えており、かつ、収容部の前後をつなぐ流路を有している。
図1(a)の例では、収容部の一方の側部付近に、容器を構成する袋の上面と下面を前後方向(図1(a)において上下方向)に接着する接着部2を形成してある。この接着部2は、袋の前端及び後端までは至っていない。したがって、この接着部2により、袋の一側端に沿って、流路3が形成される。この接着部2は、袋の上面と下面を熱で溶かして圧着し、ヒートシールにより張り合わせたものである。
培養容器1を、このようにすれば、収容部の前部において細胞が増殖し、培地を追加する場合、後述する仕切部材を移動させることなどにより、収容部の後部における培地を、流路3を通じて収容部の前部に供給することができる。
また、培養容器1は、図1(a)に示すように、容器外部につながれる、2本以上のチューブ4を接続した構成にすることができる。このチューブ4のうち、1本は培養する細胞や培地を外部から培養容器1内に注入するための注入用、他の1本は培養した細胞や培地を培養容器1内から回収するための回収用とすることができる。また、図1のように、チューブ4が3本取り付けられている場合、3本目は培養した細胞や培地をサンプルとして培養容器1内から取り出すためのサンプリング用とすることができる。
また、培養容器1は、軟包材を材料として、袋状(バッグ型)に形成したものとすることが好ましい。軟包材を用いることで、培養容器に可撓性・柔軟性を付与することができる。軟包材としては、例えば、特開2002−255277号公報(軟包材フィルムシートを用いた食品包装体及び食品の取り出し方法)や、特開2004−323077号公報(加圧抽出形の袋状容器)に記載されているものなどを用いることができる。
また、培養容器1は、細胞培養に必要なガス透過性を有しており、内容物を確認できるように、一部又は全部が透明性を有している。このような条件を満たす培養容器の材料としては、例えばポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム等を挙げることができる。
本実施形態に用いる培養容器1は、収容部の前後をつなぐ少なくとも1つの流路を有するものであれば良く、図1(a)の他、例えば図1(b)〜(f)のようなバイパスチューブ5を用いた構成にすることも可能である。
すなわち、図1(b)に示された培養容器1は、収容部の前部側縁(培地を回収するチューブ側)と後部側縁(培地を回収するチューブの反対側)がバイパスチューブ5により接続されている。
また、チューブ4及びバイパスチューブ5の材料としては、例えば、シリコーンゴム、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)等を用いることができる。
また、培養容器1を、図1(c)に示すように、バイパスチューブ5を収容部の後端部から、収容部の前部側縁に接続した構成とすることもできる。
このような構成にすれば、培地を、仕切部材を移動させることなどによって、収容部の後部からバイパスチューブ5へより効率的に移動させることが可能となる。
さらに、培養容器1を、図1(d)に示すように、バイパスチューブ5を収容部の後端部から収容部の前部側縁に接続することに加え、バイパスチューブ5が接続された収容部の後部の両角をカットして収容部を密閉した構成とすることも好ましい。このようにすれば、仕切部材を移動させることなどによって、培地を収容部の後部からバイパスチューブ5へさらに効率的に移動させることが可能となる。
また、収容部の前部側縁におけるバイパスチューブ5を接続した部分の向かい側の角をカットして収容部を密閉した構成とすることにより収容部の前部の培養面積の拡大の制御がより正確に可能となり、培養効率を高く保つことが可能となる。
また、培養容器1を、図1(e),(f)に示すように、バイパスチューブ5を収容部の後端部から、収容部の前部側縁に、左右対称に接続した構成とすることも好ましい。このようにすれば、仕切部材を移動させることなどによって、収容部の前部へ培地を供給する際、培地を左右均等に行きわたらせることができるため、培養効率を一層向上させることが可能となる。
さらに、培養容器1に、図1(a)に示すような流路3と、図1(b)〜(f)に示すようなバイパスチューブ5を合わせ持つ構成とすることも可能である。
なお、図1(b)に示す培養容器1のバイパスチューブ5にはバルブ6を設けてあり、図1(c)に示す培養容器1のバイパスチューブ5にはポンプ7を設けてある。これらは一例であって、図1(a)〜(f)のいずれかの例において、バルブ又はポンプを設けるか否かは自由に選択可能である。
次に、本実施形態の培養方法について、図2を参照して説明する。
図2(a)は、図1(b)に示した培養容器を用いた例であり、培養容器1の収容部を、仕切部材8を用いて前部と後部に区分けし、前部を培養を行うための培養部11、後部を補充用の培地を収容する培地供給部12とした構成が示されている。
バイパスチューブ4により形成された流路の中央部には、同図に示すように、バルブ6が取り付けられ、培養部11側と培地供給部12側が遮断及び連通可能に接続されている。このバルブ6としては、逆止弁などを用いることができる。
仕切部材8としては、培養容器1を培養部11側と培地供給部12側に分離して、これらの間の培地の移動を遮断することができるものであれば、特に限定されないが、例えばローラなどを用いることができる。
培養部11において細胞が増殖し、培地供給部12から培地を培養部11に培地を追加する場合は、バルブ6を開けて、仕切部材8を収容部の後端に向けて移動させる。
このようにすると、培地供給部12の内圧が高くなり、培地がバイパスチューブ4を経由して、培養部11に追加される。追加した後は、バルブを閉じて培養部11と培地供給部12の間を遮断する。
本実施形態の培養容器1によれば、このように仕切部材8とバルブ6を用いることで、移動する培地の量を連続的に調整することが可能である。
さらに、細胞の増殖速度に合わせて、仕切部材8を収容部の後端に向けて移動させるとともに、ポンプ7を用いて能動的に一定量の培地を培養部11に送り出すことで、常時連続的に培地の供給を行うことも可能である。
このように、本実施形態の方法によれば、移動する培地の量を連続的に調整することが可能であり、培養する細胞の密度を培養に最適な範囲に維持することができる。
ここで、細胞培養において、細胞密度が増殖にどのような影響を与えるのかを図3〜図6を用いて説明する。図3は、培養に最適な細胞密度の範囲を確認するための実験条件を示す図である。図4は、各種細胞密度ごとの培養時間に対する増殖倍率を示す図である。図5は、各種細胞密度ごとの培養時間に対する増殖倍率を示す図の一部を拡大した図である。図6は、細胞培養における最適細胞密度依存性を示す図である。
まず、図3に示すような条件で、4000、10,000、40,000、120,000、200,000(cells/ml)の各細胞密度に調整した培養バックを準備した。培養バックは、LLDPE製バック(厚み 100μm)、バックサイズ50×80(mm)を用いた。培地は、RPMI1640(invitrogen)50mlを用い、播種細胞は、Jurkat E6.1株(ヒト白血病Tリンパ腫)を用いた。
そして、それぞれの培養バックを37℃−5%CO雰囲気下で5日間培養し、24、48、72、及び144時間後におけるそれぞれの細胞数を測定した。その結果を図4〜図6に示す。図5は、図4における囲み部分を拡大したものである。
図5に示される通り、培養開始時から24時間後における、細胞密度が小さい培養バック(4000、10,000cells/ml)の増殖倍率は、細胞密度が大きい培養バック(120,000、200,000cells/ml)の増殖倍率に比較して、1/2以下となっている。
これは、培養初期において、細胞密度が小さいと増殖効率が低いことを示している。一方、細胞密度が大きい場合には、時間の経過とともに、培地が劣化(酸素不足、乳酸過多、老廃物蓄積)して、増殖効率が低下する。したがって、これらのことから、細胞の培養を行うにあたり、細胞の増殖効率が最も良い細胞密度範囲が存在することが分かる。図6は、このような細胞培養における最適細胞密度依存性をまとめたものである。
以上説明したように、本実施形態の培養方法によれば、一つの培養容器を用いて、培地の追加及び培養領域の連続的な拡張を行うことができる。
このため、最適な培養密度を維持して効率的な培養を行うことができるとともに、細胞へのダメージの低減、作業の効率化、コンタミネーションリスクの低減を実現することが可能となる。
また、仕切部材の移動及び流路のバルブやポンプ等を制御することで、細胞培養を容易に自動化することが可能である。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図7を参照して説明する。同図は、本実施形態における培養装置を示す図である。
図7に示すように、本実施形態における培養装置は、培養容器1とローラ8を備えている。
図7(a)は、培養容器1の収容部がローラ8により、培養部11と培地供給部12に仕切られているようすを示している。このローラ8には、同図に示すように、円周方向の所定角度(図7の例では約100°)にわたって、スリット形成部8aが設けられている。このスリット形成部8aはローラの軸方向に複数設けてある。このローラ8は、スリットのない部分により収容部を仕切るとともに、回転することによってスリット形成部8aの部分が培養容器1上に位置すると、スリット形成部8aによって流路3を形成する。これにより、培地供給部12における培地を培養部11に供給することができるようになっている。
ローラの径、ローラの回転速度、及びスリットの円周上における形成角度及びスリット形成部8aの軸方向における形成数によって、培地供給部12から培養部11へ追加する一定時間あたりの培地量を調整することができる。
ここで、ローラ8の外周面を形成する表面材は、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性樹脂のうちの一又は二以上の材質を用いることができる。
そして、その表面材の硬度は、少なくともA90(JIS K 6253)以下とすることができる。硬度A90とは、JIS K 6253にもとづき、デュロメータ タイプAで測定した値、A90を示している。
このような硬度を有した材質を用いることにより、培養容器1に損傷を与えることなく、かつ、培養部11に充填された培養液及び培養細胞が培地供給部12に漏れ出すことなく培養することが可能となる。
次に、図7(b)に示すように、ローラ8を培地供給部12側に向けて回転させ、スリットのある部分が収容部側に移動すると、このスリットにより培養部11と培地供給部12が連通する。
このとき、ローラ8の回転により培地供給部12内の圧力は、培養部11内の圧力よりも高くなっているため、培地供給部12から培養部11へ培地が流れ込む。これにより、培養部11への培地の供給が行われる。
ローラ8の構造は、図7に示すものに限定されず、同様の効果を得ることができる範囲内で変更することが可能である。
例えば、図7(a)において、スリット形成部8aの断面を図8(a)〜(c)に示す形状にすることもできる。
また、ローラ8の径方向の断面を、図8(a)に示すように、楕円形状としてもよい。このようにすれば、楕円の長径方向を培養容器1に対して垂直にすることで、培養部11と培地供給部12間の培地の移動を妨げることができ、楕円の長径方向を培養容器1に対して平行にすることで、培地供給部12から培養部11へ培地を供給することができる。
その他、図8(b),(c)に示すように、ローラ8の径方向の断面を星形や花びら型などにすることで、同様の効果を得ることも可能である。
また、図9に示すように、培養装置にローラ8を2個設けて、培養容器1の表面と裏面の両側から押圧することもできる。さらに、ローラの一方のみにスリットを設けるなど種々の変更実施が可能である。
以上説明したように、本実施形態の培養方法によれば、一つの培養容器を用いて、培地の追加及び培養領域の連続的な拡張を行うことができる。
このため、最適な培養密度を維持して効率的な培養を行うことができるとともに、細胞へのダメージの低減、作業の効率化、コンタミネーションリスクの低減を実現することが可能となる。また、培養部内の細胞密度を計数し、細胞密度が一定の範囲となるようにローラの移動を制御することで、細胞培養の自動化も容易に行うことが可能である。
(実施例1)
図1(b)に示す、培地を補充するための流路を構成するバイパスチューブ5を備えた培養容器1を用いて、細胞培養を行った。培養容器1としては、LLDPE製バック(厚み100μm,サイズ145×295mm)を、バイパスチューブ5としては、シリコンチューブ(TYGON3355L:内径4mm)を用いた。培地には、RPMI1640(invitrogen)を使用し、播種細胞としてJurkat E6.1株(ヒト白血病Tリンパ腫)を1.0×10cells播種した。そして、培養部面積を170cmから430cmまで拡張し、細胞密度が1.0×10〜8.6×10cells/mlになるように培地量を100〜500mlに拡大した。以上の培養条件を図10に示す。
本実施例1では、初期培養面積を170cmとし、培地量を100mlとすることで、初期培養密度を比較的高く設定している。そして、培養部面積を図11及び図12に示すように、少しづつ段階的に増加させることで、培地の追加に伴う細胞密度の大幅な低下を防止している。
このようにして120時間培養を行い、培養された細胞を回収した。回収された細胞数は、4.3×10cellsであった。この結果を図13に示す。
(比較例1)
流路を備えていない従来の培養容器を、仕切部材等を用いることなくそのまま使用して、細胞培養を行った。培養容器、培地、及び播種細胞としては、実施例1と同様のものを使用した。そして、実施例1と同量の細胞数を播種し、培養部面積を430cm、培地量を500mlの一定に固定したまま120時間培養を行い、培養された細胞を回収した。回収された細胞数は、3.3×10cellsであった。この培養条件を図10に、培養部面積の変化を図11及び図12に、実験結果を図13に示す。
図13に示される通り、実施例1と比較例1における播種した細胞数は1.0×10cellsで同一であるが、回収細胞数は、実施例1が4.3×10cells、比較例1が3.3×10cellsと、実施例1の方が比較例1に対して3割程度多くなっている。
このことから、実施例1のように、細胞の増殖にあわせて少量づつ培養部を拡大するとともに、培地の追加を繰り返し、細胞密度を培養開始時から培養終了時まで大きく変化させることなく培養を行うことで、培養環境をできるだけ最適な状態で均一に保つことができ、細胞の培養速度を速めることができることが確認された。
また、比較例1のように、開始時の培養密度が低い場合には、細胞の増殖に適した環境になるまでに一定の時間が必要となることから、開始時の培養密度がより高い場合に比較して、細胞の培養速度が遅くなることが確認された。
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、培養部の面積を所定時間ごとに段階的に拡大するのではなく、仕切部材8を培養開始から培養終了時まで自動的に微量づつ連続的に移動させたり、あるいは、二以上の仕切部材を用いて、培養容器を二以上の培養部又は培地供給部を備えた構成とするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、大量の細胞を培養する必要のあるバイオ医薬や再生医療、免疫療法等の分野において、好適に利用することが可能である。
本発明の第一実施形態における培養容器を示す図である。 本発明の第一実施形態における培養容器を用いた培養方法を示す図である。 培養に最適な細胞密度の範囲を確認するための実験条件を示す図である。 各種細胞密度ごとの培養時間に対する増殖倍率を示す図である。 各種細胞密度ごとの培養時間に対する増殖倍率を示す図の一部を拡大した図である。 細胞培養における最適細胞密度依存性を示す図である。 本発明の第二実施形態における培養装置を示す図である。 本発明の第二実施形態における培養装置のローラの各種断面形状を示す図である。 本発明の第二実施形態における他の培養装置の断面形状を示す図である。 本発明の実施例1及び比較例1の実験条件を示す図である。 本発明の実施例1及び比較例1の培養部面積の変化を示す図である。 本発明の実施例1及び比較例1の実験条件を示す概念図である。 本発明の実施例1及び比較例1の実験結果を示す図である。 従来の細胞培養方法を示す図である。
符号の説明
1 培養容器
2 接着部
3 流路
4 チューブ
5 バイパスチューブ
6 バルブ
7 ポンプ
8 仕切部材(ローラ)
8a スリット形成部
10 培地
11 培養部
12 培地供給部

Claims (9)

  1. 細胞と培地を培養容器に封入して細胞の培養を行う培養方法であって、
    培養容器の収容部を仕切部材により、培養を行うための一又は二以上の培養部と、前記培養部に対する補充用の培地を収容する一又は二以上の培地供給部とに分離し、
    前記仕切部材を前記培地供給部側へ移動させることによって、前記培地供給部における培地を前記培養部へ供給する
    ことを特徴とする培養方法。
  2. 前記仕切部材としてローラを用いることを特徴とする請求項1記載の培養方法。
  3. 前記培地供給部における培地の前記培養部への供給が、前記培地供給部と前記培養部とをつなぐ一又は二以上の流路を介して行われることを特徴とする請求項1又は2記載の培養方法。
  4. 前記流路が、前記仕切部材としてのローラに設けられたスリットによって形成されるものであることを特徴とする請求項3記載の培養方法。
  5. 前記流路が、前記培地供給部と前記培養部とをつなぐ一又は二以上のバイパスチューブによって形成されるものであることを特徴とする請求項3記載の培養方法。
  6. 前記流路が、前記培養容器の上下面の一部を接着することによって、前記培養容器内に形成されたものであることを特徴とする請求項3又は5記載の培養方法。
  7. 細胞と培地を培養容器に封入して細胞の培養を行う培養装置であって、
    培養容器と、
    前記培養容器の収容部を、培養を行うための一又は二以上の培養部と、前記培養部に対する補充用の培地を収容する一又は二以上の培地供給部とに分離する仕切部材と、
    前記仕切部材を前記培地供給部側へ移動させたときに、前記培地供給部における培地を前記培養部へ供給する流路と、を備えた
    ことを特徴とする培養装置。
  8. 前記仕切部材がローラであって、前記流路が前記ローラの円周方向の一部又は前記ローラの軸方向に設けた所定の凹部によって形成されることを特徴とする請求項7記載の培養装置。
  9. 前記流路に、ポンプ又はバルブを設けたことを特徴とする請求項7記載の培養装置。
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