JP2016101095A - 細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 - Google Patents
細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016101095A JP2016101095A JP2014239911A JP2014239911A JP2016101095A JP 2016101095 A JP2016101095 A JP 2016101095A JP 2014239911 A JP2014239911 A JP 2014239911A JP 2014239911 A JP2014239911 A JP 2014239911A JP 2016101095 A JP2016101095 A JP 2016101095A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cell culture
- layer
- gas barrier
- culture container
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Abstract
Description
また、培養中の細胞の状態を観察する際には、細胞が入った細胞培養容器を恒温槽から取り出す必要があるが、恒温槽から取り出した際のコンタミネーションを防止するため、通常、細胞培養容器として蓋つきの細胞培養容器が用いられる。
一方、細胞の培養において、細胞への酸素供給および培地のpH調製用の二酸化炭素供給のために、細胞培養容器内への酸素および二酸化炭素等のガスの供給が必要である。
しかしながら、細胞培養容器として一般的に用いられる蓋つきのポリスチレン製容器等は、ガスの透過性が低く、細胞培養容器内へのガスの供給を十分に行うことができない場合があるといった問題があった。
細胞培養容器にガス透過性フィルムが配置されていることにより、細胞培養容器内へのガスの供給を安定的に行うことが可能となる。
しかしながら、このような細胞培養容器は、細胞培養時にガスの供給が可能になる一方で、培養前に培地を充填した状態で長期保管した場合に、細胞培養容器を透過した二酸化炭素によって培地のpHが変化し、細胞培養に用いることができないものとなるといった問題がある。
しかしながら、培地を第1の容器および第2の容器に分けて用いる細胞培養容器は、培地を2つの成分に分け、さらにそれらを別容器に充填する必要があることから、培地入細胞培養容器の製造工程が煩雑であるといった問題がある。
また、ガスバリアフィルムが外側になるように折り曲げて用いる細胞培養容器は、培地充填後に折り曲げる作業が必要となることから、培地入細胞培養容器の製造工程が煩雑であるといった問題がある。また、折り曲げ部での強度低下および破損のおそれがあるといった問題もある。
剥離領域のガスバリア層をガス透過層から剥離することで、ガス透過層を露出させることができる。このため、上記培地入細胞培養容器を、細胞培養時にガス透過性を容易に発現可能なものとすることができる。
また、細胞培養容器に培地を充填し、密閉するのみで、二酸化炭素透過が抑制された培地入細胞培養容器とすることができることから、細胞培養容器を、培地入細胞培養容器の形成の容易なものとすることができる。
剥離領域のガスバリア層をガス透過層から剥離することで、ガス透過層を露出させることができる。このため、上記培地入細胞培養容器を、細胞培養時にガス透過性を容易に発現可能なものとすることができる。
また、細胞培養容器に培地を充填し、密閉するのみで、二酸化炭素透過が抑制された培地入細胞培養容器とすることができることから、培地入細胞培養容器を、形成の容易なものとすることができる。
以下、本発明の細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法について詳細に説明する。
まず、本発明の細胞培養容器について説明する。
本発明の細胞培養容器は、ガスバリア性を有するものであって、上記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、上記積層領域では、上記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有することを特徴とするものである。
図1および図2に例示するように、本発明の細胞培養容器10は、ガスバリア性を有するものであって、内面側からガス透過層1およびガスバリア層2の順で積層された積層領域11を有し、上記積層領域11では、上記ガスバリア層2が剥離可能に積層されている剥離領域12を有するものである。
図1では、剥離領域12に、ガスバリア層2上に基材層4が形成されるものである。また、図1においては、ガスバリア層2および接着層3のそれぞれを平面視上、剥離領域12の外周に沿って切断するハーフカット部5が形成されるものであり、ハーフカット部5で切断されたガスバリア層2および接着層3はガスバリア層2上に形成された基材層4と共に剥離されるものである。
また、図1は、上記剥離領域12が、細胞培養時に底面側となる箇所および細胞培養時に上面側となる箇所の両者に形成される例を示すものである。
図2では、上記剥離領域12が、細胞培養時に底面側となる箇所に形成され、さらに、剥離領域12には、ガス透過層1のガスバリア層2側表面上に配置され、開口部7aを有する支持層7が形成されるものである。
また、図2では、細胞培養容器10が積層領域11と非積層領域13とを有し、非積層領域13には、ガスバリア性外枠層6と注入口8aおよび注入口8aを密閉する蓋部8bを有する注入部8とを有するものである。
さらに、図2では、接着層3およびガスバリア層2が上記ガス透過層1およびガスバリア性外枠層6に対して剥離されるものである。
剥離領域のガスバリア層をガス透過層から剥離することで、ガス透過層を露出させることができる。このため、上記培地入細胞培養容器を、細胞培養時にガス透過性を容易に発現可能なものとすることができる。その結果、上記培地入細胞培養容器を、細胞を安定的に培養可能なものとすることができる。
また、細胞培養容器に培地を充填し、密閉するのみで、二酸化炭素透過が抑制された培地入細胞培養容器とすることができることから、細胞培養容器を、培地入細胞培養容器の形成の容易なものとすることができる。
また、培地を充填した後に、細胞培養容器に対する折り曲げ加工等が不要なものとすることができ、強度に優れたものとすることができる。したがって、保管時および細胞培養時に破損等のないものとすることができる。また、細胞培養容器として箱状のものとすること等、細胞培養容器の構成材料の選択の自由度の高いものとすることができる。
まず、本発明の細胞培養容器の第1実施態様について説明する。
本態様の細胞培養容器は、ガスバリア性を有し、袋状のものであり、積層領域を有するものである。
なお、図1において、細胞培養容器は、ガス透過層およびガスバリア層が積層したフレキシブル性およびガスバリア性を有するシート部材を2枚準備し、シート部材を重ね合わせた後、シート部材の端部同士をヒートシールすることにより得られるものである。
以下、本態様の細胞培養容器の各構成について詳細に説明する。
本態様の細胞培養容器は、ガスバリア性を有するものである。
このような細胞培養容器の厚み方向の二酸化炭素透過率としては、1,000cm3/m2・24hr・atm未満であることが好ましく、なかでも、100cm3/m2・24hr・atm以下であることが好ましく、特に、1cm3/m2・24hr・atm以下であることが好ましい。上記透過率が上述の範囲内であることにより、保管時における二酸化炭素の透過を安定的に少ないものとすることができるからである。
なお、上記二酸化炭素の透過率の下限は、低いほど好ましいが、例えば、1×10-6cm3/m2・24hr・atm以上とすることができる。細胞培養容器を構成する材料の選択性を広いものとすることができるからである。
細胞培養容器の厚み方向とは、細胞培養容器内面に垂直な方向をいうものである。
また、細胞培養容器の厚み方向の気体の透過率とは、細胞培養容器の全ての箇所での透過率をいうものである。
なお、上記酸素透過率の下限は、低いほど好ましいが、例えば、1×10-6cm3/m2・24hr・atm以上とすることができる。上記細胞培養容器を構成する材料の選択性を広いものとすることができるからである。
上記積層領域は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された領域である。
上記積層領域は、上記剥離領域を有するものである。
上記ガス透過層は、細胞培養に必要な酸素および二酸化炭素を細胞培養容器内に透過することができるガス透過性を有するものである。
このようなガス透過層の酸素透過率としては、100cm3/m2・24hr・atm以上であることが好ましく、なかでも、2,000cm3/m2・24hr・atm〜100,000cm3/m2・24hr・atmの範囲内であることが好ましく、特に、3,500cm3/m2・24hr・atm〜60,000cm3/m2・24hr・atmの範囲内であることが好ましい。上記酸素透過率が上述の範囲内であることにより、安定的に酸素を供給することができるからである。
また、上記ガス透過層の二酸化炭素透過率は、1000cm3/m2・24hr・atm以上であることが好ましく、なかでも、5,000cm3/m2・24hr・atm〜150,000cm3/m2・24hr・atmの範囲内であることが好ましく、特に、15,000cm3/m2・24hr・atm〜130,000cm3/m2・24hr・atmの範囲内であることが好ましい。上記二酸化炭素透過率が上述の範囲内であることにより、安定的に二酸化炭素を供給することができ、培地のpHを安定的に制御できるからである。
また、上記ガス透過層の層構造が多層構造である場合、各層の構成材料および厚みは同一であっても良く、異なっていても良い。
なお、上記厚みは、上記ガス透過層の層構造が多層構造である場合には、各層の合計厚みをいうものである。
上記表面処理は、例えば、親水性向上を目的として行われるプラズマ処理、微細賦型処理等、撥水性向上を目的として行われるフッ素加工処理、微細賦型処理等を挙げることができる。
上記ガスバリア層は、所望のガスバリア性を有する細胞培養容器を形成可能な程度のガスバリア性を有するものである。
このようなガスバリア層の二酸化炭素透過率としては、上記細胞培養容器の厚み方向の二酸化炭素透過率と同様とすることができる。
また、上記ガスバリア層の酸素透過率についても、上記細胞培養容器の厚み方向の酸素透過率と同様とすることができる。
上記金属材料としては、具体的には、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を好適に用いることができ、なかでも、アルミニウム(Al)であることが好ましい。
上記無機材料としては、具体的には、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)等を挙げることができる。
上記樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、エチレンービニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリグリコール酸、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を挙げることができる。
なお、本態様においては、上記材料の2以上を組み合わせて用いても良い。
また、上記ガスバリア層の層構造が多層構造である場合、各層の構成材料および厚みは同一であっても良く、異なっていても良い。
本態様においては、なかでも、上記ガスバリア層がシリカ蒸着のポリエステルフィルムであることが好ましい。ガスバリア性に優れたガスバリア層を容易に形成できるからである。
具体的には、上記シリカ蒸着層は、所望のガスバリア性を有するものであれば特に限定されるものではないが、ケイ素酸化物を主体とする連続層を用いることができ、例えば、ケイ素酸化物と、炭素単体および酸化ケイ素分子鎖に結合した炭素化合物の少なくとも一方を含む化合物と、を含有する連続層であり、かつ、シリカ蒸着層の表面から深さ方向に向かって炭素含有量が減少しているものとすることができる。
なお、上記炭素単体としては、グラファイト状、ダイヤモンド状およびフラーレン状のいずれかの炭素材料を挙げることができる。
上記炭素化合物としては、C−H結合を有する化合物を挙げることができる。
上記厚みは、例えば、5μm〜250μmの範囲内とすることができ、なかでも、6μm〜188μmの範囲内であることが好ましく、特に、9μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、ガスバリア性に優れたガスバリア層とすることができるからである。
なお、上記厚みは、上記ガスバリア層の層構造が多層構造である場合には、各層の合計厚みをいうものである。
上記積層領域に含まれる層としては、ガス透過層およびガスバリア層を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の層を有するものであっても良い。
このようなその他の層としては、ガス透過層およびガスバリア層の間に形成された接着層を有することが好ましい。
上記接着層を有することにより、上記ガスバリア層をガス透過層上に安定的に接着させることができるからである。
上記接着材料は、例えば、従来から知られたシーラント樹脂を使用できる。上記シーラント樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、ポリプロピレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体およびそれらの金属架橋物であるアイオノマー等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができ、なかでも低温シール性の観点からポリオレフィン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
上記厚みは、0.1μm〜200μmの範囲内とすることができ、なかでも5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、特に、10μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、なかでも特に15μm〜40μmの範囲内であることが好ましい。加工性やヒートシール性に優れたものとすることができるからである。
上記接着層の接着面に対する量は、0.001g/m2〜100g/m2の範囲であることが好ましく、0.01g/m2〜50g/m2であることがより好ましく、0.02g/m2〜10g/m2であることがさらに好ましく、0.03g/m2〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05g/m2〜1g/m2であることが最も好ましい。上記量が上述の範囲内であることにより、十分な接着性を有する接着層とすることができるからである。
上記形成箇所が上記細胞培養容器の一部である場合、上記形成箇所は、細胞培養時に底面側となる箇所、すなわち、細胞培養容器の細胞培養時に培地と接する箇所、および、細胞培養時に上面側となる箇所、すなわち、細胞培養容器の細胞培養時に培地と接しない箇所等とすることができる。
なお、既に説明した図1は、上記形成箇所が細胞培養容器の全面であり、細胞培養時に底面側となる箇所および上面側となる箇所の両者に形成される例を示すものである。
また、図3は、上記形成箇所が細胞培養容器の一部である場合であり、細胞培養時に上面側となる箇所に形成される例を示すものである。
なお、図3中の符号については、図1と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
上記剥離領域は、積層領域に形成される領域であり、上記ガスバリア層が剥離可能に積層されている領域である。
ここで剥離可能に積層されているとは、ガス透過層を破損することなく、剥離領域内のガス透過層を露出させることができることをいうものである。
例えば、既に説明した図1に示すように、剥離領域が内面側からガス透過層、接着層、ガスバリア層および基材層の順で積層されている場合、接着層、ガスバリア層および基材層の全てがガス透過層に対して剥離可能に積層されていることが好ましい。
上記その他の層としては、ガスバリア層の外面側に形成され、ガスバリア層と共に剥離される基材層を挙げることができる。
上記樹脂材料としては、具体的には、塩化ビニル樹脂、PET、PP、PS、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、OPS等を挙げることができる。また、金属材料としては、アルミニウム等を挙げることができる。
上記基材は、例えば、紙、アルミニウム箔等の金属箔、ユポ(登録商標)等も用いることができる。
上記厚みは、例えば、0.005mm〜2mmの範囲内とすることができる。
なお、ガス透過層の外面側表面上に形成された層からガスバリア層までの全ての層とは、例えば、既に説明した図1に示すように、剥離領域が内面側からガス透過層、接着層、ガスバリア層および基材層の順で積層されている場合、接着層およびガスバリア層をいうものである。
図4は、ハーフカット部を説明する説明図であり、図4(a)は、平面視上、四角形状の剥離領域12が形成される例を示すものである。図4(b)および(d)は太線で示されるハーフカット部5が直線状である例を示すものであり、図4(c)は太線で示されるハーフカット部5が点線状である例を示すものである。
上記形成箇所が剥離領域の外周の全周を含む箇所である場合、上記ハーフカット部により囲まれる剥離領域のガスバリア層をガス透過層から分離可能なものとすることが容易だからである。
また、上記形成箇所が剥離領域の外周の一部を含む箇所である場合、剥離領域をガス透過層から剥離した後に、ハーフカット部が形成されていない箇所で細胞培養容器に接続可能なものとすることが容易だからである。
既に説明した図4(b)および(c)は、太線で示されるハーフカット部の形成箇所が、剥離領域の外周の全周を含む箇所である例を示すものであり、図4(d)は、太線で示されるハーフカット部の形成箇所が、四角形状の剥離領域の3辺に形成され、剥離領域の外周の一部を含む箇所である例である。
上記形成箇所は、例えば、細胞培養時に底面側となる箇所および細胞培養時に上面側となる箇所等とすることができる。上記形成箇所が細胞培養時に底面側となる箇所であることにより、剥離領域のガスバリア層を剥離することで、細胞培養容器を細胞の顕微鏡観察の容易なものとすることができるからである。
また、上記形成箇所が細胞培養時に上面側となる箇所であることにより、剥離領域のガスバリア層を剥離することで、細胞培養容器をガス透過性に優れたものとすることができるからである。
既に説明した図1は、上記形成箇所が細胞培養時に底面側となる箇所と上面側となる箇所の両者を含む例を示すものである。また、既に説明した図3は、上記形成箇所が、細胞培養時に上面側となる箇所である例を示すものである。
例えば、上記剥離領域は、細胞培養時に底面側となる箇所と上面側となる箇所との2か所に配置されるものとすることができる。
上記面積は、例えば、10mm2〜60,000mm2の範囲内とすることができ、なかでも、2,000mm2〜42,000mm2の範囲内であることが好ましく、特に12,000mm2〜30,000mm2の範囲内であることが好ましい。
上記剥離領域の面積の細胞培養容器の全内面積に対する面積割合としては、0.02%〜90%の範囲内であることが好ましく、なかでも5%〜70%の範囲内であることが好ましく、特に20%〜50%の範囲内であることが好ましい。
上記面積または面積割合が上述の範囲内であることにより、細胞培養容器を、細胞培養に必要なガス透過性を有するものとすることが容易だからである。
なお、上記面積は、剥離領域の数が2以上である場合には、剥離領域の合計面積をいうものである。
また、上記面積は、剥離領域に剥離されることにより露出するガス透過層の面積をいうものである。
本態様の細胞培養容器は、積層領域を少なくとも有するものである。
本態様においては、上記積層領域が細胞培養容器の一部の領域に形成されるものである場合には、積層領域と共にガスバリア性を有する細胞培養容器を形成可能であり、ガス透過層を含まない非積層領域を有するものである。
このような非積層領域としては、例えば、ガスバリア性外枠層を有するものとすることができる。
上記ガスバリア性外枠層のガスバリア性、構成材料、厚みについては、上記ガスバリア層と同様とすることができる。
上記ガスバリア性外枠層は、上記ガスバリア層と接続されたものであっても良い。また、ガスバリア層と接続されている場合、ガスバリア性外枠層は、ガスバリア層と一体として形成されるものであっても良く、別体として形成されるものであっても良い。
既に説明した図3は、細胞培養容器10が、積層領域11と非積層領域13とを有し、非積層領域13にガスバリア性外枠層6を有する例を示すものである。
なお、図3中の符号については、図1および図2と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。また、図3においては、ガスバリア性外枠層がガスバリア層と別体として形成される例を示すものである。
このようなその他の構成としては、培地や細胞を細胞培養容器内に充填する際に用いる注入部を挙げることができる。
上記注入部としては、培地および細胞等を細胞培養容器内への充填前後においてガスバリア性を有するものであればよく、細胞培養容器に一般的に用いられるものとすることができる。例えば、培地および細胞等が通過可能な注入口および注入口を密閉する密閉部を有するもの等とすることができる。
上記注入口は、培地および細胞等が通過可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、積層領域または非積層領域を構成する層に形成された開口部、細胞培養容器の外側に向かって凸状に形成された円筒形状の凸部、フレキシブル性を有するチューブ等とすることができる。また、注入口が非積層領域に形成される場合、非積層領域を構成するガスバリア性外枠層と一体形成され、ガスバリア性外枠層の構成材料および厚みと同様のものであっても良いが、ガスバリア性外枠層と別体として形成されるものであっても良い。
上記製造方法としては、例えば、ガス透過層、接着層、ガスバリア層および基材層がこの順で積層した積層体を2枚準備し、この積層体を重ね合わせた後、4辺をヒートシールし、次いで、剥離領域とする箇所の外周に沿って、接着層、ガスバリア層および基材層を切断することによりハーフカット部を形成する方法を挙げることができる。
次に、本発明における細胞培養容器の第2実施態様について説明する。
本態様の細胞培養容器は、ガスバリア性を有し、箱状のものであり、積層領域を有するものである。
なお、図2において、細胞培養容器10は、積層領域11と非積層領域13とを有し、非積層領域には、ガスバリア性外枠層6および注入口8aおよび注入口8aを密閉するスクリュー式の蓋部8bを有する注入部8を有するものである。
以下、本態様の細胞培養容器の各構成について詳細に説明する。
本態様の細胞培養容器は、ガスバリア性を有するものである。
このような細胞培養容器の厚み方向の二酸化炭素透過率および酸素透過率については、上記「1.第1実施態様」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
上記積層領域は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された領域である。
上記積層領域は、上記剥離領域を有するものである。
なお、このような積層領域としては、上記「1.第1実施態様」の「(2)積層領域」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記剥離領域は、積層領域に形成される領域であり、上記ガスバリア層が剥離可能に積層されている領域である。
なお、ガス透過層に対して剥離可能に積層されている層、ならびに、剥離領域の形成箇所、積層領域内の数および面積については、上記「1.第1実施態様」の「(3)剥離領域」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、上記剥離領域に後述する支持層が形成される場合、剥離領域の面積は、支持層により被覆される面積を含まないものである。したがって、剥離領域の全面に支持層が形成されている場合、上記剥離領域の面積は、上記支持層の開口部の合計面積をいうものである。
また、上記その他の層は、剥離領域の形成箇所が細胞培養時に底面側となる箇所である場合に、剥離領域の上記ガス透過層の上記ガスバリア層側表面上に配置された支持層を有することが好ましい。上記支持層を有することにより、剥離領域のガスバリア層が剥離された後に、上記ガス透過層を支持し、上記ガス透過層の培地の重みによる撓みの発生を抑制することができるからである。
なお、既に説明した図2は、細胞培養容器10が、剥離領域12の上記ガス透過層1の上記ガスバリア層2側表面上に配置された支持層7を有する例を示すものである。
このような支持層としては、剥離領域のガスバリア層が剥離された後に、剥離領域内の露出したガス透過層を介したガスの透過を妨げないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ガス透過層が露出する開口部を有するものとすることができる。
既に説明した図2は、開口部を有する支持層を有する例を示すものである。
また、図5および図6は、図2の細胞培養容器の底面の一例および他の例を示す概略平面図である。図5および図6は、平面視形状が長方形状である開口部7aを有し、平面視形状が格子状である支持層7を有するものであり、図6は、支持層7が細胞観察用開口部7bを有する例を示すものである。なお、図5および図6中のその他の符号については、図2と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
このような支持層としては、培地の充填前後で、ガス透過層の培地支持面側の表面の位置が5mm以上低くなる箇所が生じないものとすることができる。
なお、培地の充填後としては、ガス透過層の培地支持面側表面から培地液面までの距離が2cmである場合とすることができる。また、このような撓みの測定方法としては、細胞培養容器に培地を充填して確認する方法であっても良いが、ガス透過層の撓みの視認容易のため、細胞培養容器の底面側に形成される剥離領域に含まれるガス透過層と同一面積のガス透過性フィルムを測定用サンプルとして準備し、そのガス透過性フィルムの周囲を固定した状態で行う方法を用いても良い。
上記形状は、例えば、三角形状、四角形状および六角形状等の多角形状、円形状および楕円形状等とすることができる。
本実施形態においては、なかでも、上記形状が、四角形状および六角形状であることが好ましい。上記形状であることにより、開口部の形成が容易だからである。また、上記開口部を一定間隔で整列配置することが容易であり、安定的にガス透過層を支持することができる支持層とすることができるからである。
複数の開口部を区画するように配置された支持層により、ガス透過層を安定的に支持することができるからである。
上記開口部の数が2以上である場合、上記開口部の配置としては、上記ガス透過層の撓みの発生を抑制できるものであれば良いが、開口部が一定間隔で整列配置され、上記支持層の平面視形状が格子状となるもの、または開口部の形状が六角形状である場合にはハニカム状となるものが好ましい。上記配置であることにより、安定的にガス透過層を支持することができる支持層とすることができるからである。
上記面積は、例えば、1mm2〜10,000mm2の範囲内とすることができ、なかでも、25mm2〜2,500mm2の範囲内あることが好ましく、特に100mm2〜500mm2の範囲内であることが好ましい。上記面積が上述の範囲内であることにより、上記ガス透過層へのガスの十分な供給が可能であり、上記ガス透過層の撓みの発生を十分に抑制可能な支持層とすることができるからである。
なお、上記面積は、1つあたりの開口部の面積をいうものである。
上記開口率は、例えば、10%〜90%の範囲内であることが好ましく、なかでも、30%〜85%の範囲内であることが好ましく、特に、60%〜80%の範囲内であることが好ましい。上記開口率が上述の範囲内であることにより、上記ガス透過層へのガスの十分な供給が可能であり、上記ガス透過層の撓みの発生を十分に抑制可能な支持層とすることができるからである。
なお、開口率は、上記剥離領域の面積に対する、上記開口部の全面積の割合(開口部の全面積/剥離領域の面積×100)により求められるものである。
また、開口率は、支持層が後述する細胞観察用開口部を有する場合、細胞観察用開口部も開口部として含むものである。
既に説明した図6は、支持層7が2つの円形状の細胞観察用開口部7bを有する例を示すものである。
上記面積は、例えば、10mm2〜2000mm2の範囲内とすることができ、なかでも、100mm2〜1500mm2の範囲内であることが好ましく、特に400mm2〜900mm2の範囲内であることが好ましい。上記面積が上述の範囲内であることにより、ガス透過層上の細胞を容易に観察可能なものとすることができるからである。
なお、上記面積は、1つあたりの細胞観察用開口部の面積をいうものである。
上記数は、例えば、2つとすることができる。
上記材料は、例えば、ガラス等の無機材料、金属材料および樹脂材料を挙げることができ、なかでも、樹脂材料であることが好ましい。上記材料が樹脂材料であることにより、支持層を形成容易なものとすることができるからである。
上記樹脂材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等を好適に用いることができ、なかでも、ポリスチレン樹脂であることが好ましい。上記材料は細胞培養用途の容器に広く用いられているからである。
なお、本態様においては、上記材料の2以上を組み合わせて用いても良い。
上記厚みは、例えば、1mm〜5mmの範囲内とすることができ、なかでも、1mm〜3mmの範囲内であることが好ましく、特に、1mm〜2mmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、支持層を安定的に上記ガス透過層を支持可能なものとすることができるからである。
なお、上記厚みは、具体的には、図2中のaで示されるものである。
本態様において、上記支持層がガスバリア性外枠層と接続されるものである場合には、上記支持層が、上記ガスバリア性外枠層と一体で形成されていることが好ましい。上記細胞培養容器を、形成容易なものとすることができるからである。
なお、既に説明した図2、図5および図6は、上記支持層が、上記ガスバリア性外枠層と一体で形成されている例を示すものである。
本態様の細胞培養容器は、積層領域を少なくとも有するものである。
本態様においては、上記積層領域が細胞培養容器の一部の領域に形成されるものである場合には、積層領域と共にガスバリア性を有する細胞培養容器を形成可能な非積層領域を有するものである。
なお、このような非積層領域については、上記「1.第1実施態様」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
このようなその他の構成としては、培地や細胞を細胞培養容器内に充填する際に用いる注入部を挙げることができる。
上記注入部としては、培地および細胞等を細胞培養容器内への充填前後においてガスバリア性を有するものであればよく、細胞培養容器に一般的に用いられるものとすることができる。例えば、培地および細胞等が通過可能な注入口および注入口を密閉する密閉部を有するものとすることができる。
上記注入口については、細胞培養容器の外側に向かって凸状に形成された円筒形状の凸部等とすることができる。また、注入口が非積層領域に形成される場合、注入口は、非積層領域を構成するガスバリア性外枠層と一体形成され、ガスバリア性外枠層の構成材料および厚みと同様のものとすることができる。
上記密閉部としては、注入口を密閉可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スクリューキャップ式等の注入口に対して脱着可能な蓋部を挙げることができる。
例えば、市販の細胞培養容器の底面に開口部を形成することにより支持層を形成し、次いで、ガス透過性フィルムを支持層の培地支持面側、すなわち、容器内面側に配置し、ガス透過性フィルムを容器に対して固定する方法を挙げることができる。
また、底面に支持層が形成された細胞培養容器の形成方法については、開口部を含まない底面と外枠部とにより密閉された容器を形成した後に、底面に開口部を形成する方法であっても良く、射出成形法等を用いて開口部を含む底面を外枠部と共に同時に形成する方法であっても良い。
次に、本発明の培地入細胞培養容器について説明する。
本発明の培地入細胞培養容器は、ガスバリア性を有する細胞培養容器と、上記細胞培養容器内に充填された培地と、を有し、上記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、上記積層領域では、上記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有することを特徴とするものである。
図7および図8に例示するように、本発明の培地入細胞培養容器20は、ガスバリア性を有する細胞培養容器10と、上記細胞培養容器10内に充填された培地21とを有するものであって、上記細胞培養容器10は、内面側からガス透過層1およびガスバリア層2の順で積層された積層領域11を有し、上記積層領域11では、上記ガスバリア層2が剥離可能に積層されている剥離領域12を有するものである。
剥離領域のガスバリア層をガス透過層から剥離することで、ガス透過層を露出させることができる。このため、上記培地入細胞培養容器を、細胞培養時にガス透過性を容易に発現可能なものとすることができる。
また、細胞培養容器に培地を充填し、密閉するのみで、二酸化炭素透過が抑制された培地入細胞培養容器とすることができることから、培地入細胞培養容器を、形成の容易なものとすることができる。
以下、本発明の培地入細胞培養容器の各構成について詳細に説明する。
なお、上記細胞培養容器については、上記「A.細胞培養容器」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明における培地は、上記細胞培養容器内に充填されるものである。
具体的には、培地としては、細胞培養に一般的に用いられるものとすることができ、IMDM培地、MEM培地、X-VIV015培地、RPMI1640培地、DXF培地等を挙げることができる。
また、上記培地に含まれる培地成分としては、それぞれの培地に一般的に用いられるのとすることができるが、上記培地がガン免疫療法に用いられる樹状細胞、リンパ球等の細胞培養に用いられる場合には、GM-CSF、SCF、IL-2、IL-4等のサイトカインを含み、さらに、緩衝剤、エネルギー源、栄養素、補酵素、無機イオン、pH緩衝液等を含むものとすることができる。これらの培地成分は、培養すべき細胞に応じて適切な配合量で含有するように調製される。
また、上記培地成分は、必要に応じて、血清や細胞成長因子を含むものとすることができる。
上記エネルギー源は、グルコースなどが用いられ、細胞の生理活動に必要な燃料となる。
上記栄養素は、核酸、アミノ酸などの細胞の構成原料が選択される。
上記補酵素は、ビタミン類や微量金属などの細胞内酵素活性の増強および安定化する役割のものが選択される。
上記無機イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどの生体内に存在するイオンであり、培地の浸透圧の調整を行う役割を果たす。
上記pH緩衝剤液は、以上の培地成分を配合した培地のpHを調整する役割を果たし、リン酸緩衝液、重曹、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N'−2−エタンスルホン酸(HEPES)等から適切なものが使用される。
本発明の培地入細胞培養容器は、上記細胞培養容器および培地を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであってもよい。
具体的には、上記細胞および培地としてガン免疫療法向けの細胞培養等の培地を用いた樹状細胞、リンパ球等の細胞の培養の保管およびこれを用いた細胞培養等に好ましく用いることができる。
次に、本発明の細胞の培養方法について説明する。
本発明の細胞の培養方法は、ガスバリア性を有する細胞培養容器と、上記細胞培養容器内に充填された培地とを有し、上記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、上記積層領域では、上記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有する培地入細胞培養容器を準備し、上記培地入細胞培養容器に細胞を注入する細胞注入工程と、上記剥離領域の上記ガスバリア層を上記ガス透過層から剥離する剥離工程と、上記細胞注入工程および上記剥離工程後に上記培地入細胞培養容器内の上記細胞を培養する培養工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、上記培地入細胞培養容器20は、ガスバリア性を有する細胞培養容器10と、上記細胞培養容器10内に充填された培地21とを有し、上記細胞培養容器10は、内面側からガス透過層1およびガスバリア層2の順で積層された積層領域11を有し、上記積層領域11では、上記ガスバリア層2が剥離可能に積層されている剥離領域12を有するものである。
また、図9(a)〜(c)が、それぞれ、細胞注入工程、剥離工程および培養工程である。
また、図9中の符号については、図1と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
以下、本発明の細胞の培養方法の各工程について詳細に説明する。
本発明における細胞注入工程は、上記培地入細胞培養容器を準備し、上記培地入細胞培養容器に細胞を注入する工程である。
なお、上記培地入細胞培養容器については、上述の「A.培地入細胞培養容器」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
例えば、培地入細胞培養容器に含まれる細胞培養容器が袋状である態様の場合、すなわち、第1実施態様の細胞培養容器であり、注入部の密閉部がゴム栓部である場合には、培地等に細胞を懸濁させた細胞懸濁液を、注入部からシリンジ等を用いて加圧状態で注入する方法等を挙げることができる。
また、培地入細胞培養容器に含まれる細胞培養容器が箱状である態様の場合、すなわち、第2実施態様の細胞培養容器である場合には、注入口を密閉する密閉部としての蓋部を開封し、細胞懸濁液を注入口から無加圧状態で注ぎ込む方法等を挙げることができる。
本発明における剥離工程は、上記剥離領域の上記ガスバリア層を上記ガス透過層から剥離する工程である。
上記剥離方法は、例えば、所定の力で上記ガスバリア層をガス透過層面に垂直または水平方向に引っ張る等の方法を用いることができる。
また、上記ガスバリア層を剥離する際に要する力としては、剥離領域のガスバリア層を安定的にガス透過層から剥離できるものであれば良く、例えば、細胞培養容器の使用者が道具を使用することなく、素手で剥離できる力程度とすることができる。
また、剥離領域においてガスバリア層上に基材層が形成されている場合、ガスバリア層を引っ張る方法としては、ガスバリア層を直接引っ張る方法であっても、基材層を引っ張ることにより間接的にガスバリア層を引っ張る方法であってもよい。
既に説明した図9(b)は、本工程後の剥離領域のガスバリア層が細胞培養容器から分離される例を示すものである。
一方、図10は、本工程後の剥離領域のガスバリア層が細胞培養容器に接続された状態である例を示すものである。
なお、図10は、剥離された剥離領域のガスバリア層が、折り曲げられた基材層を介して細胞培養容器に接続されるものである。
また、図10中の符号については、図9と同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明における培養工程は、上記細胞注入工程および上記剥離工程後に上記培地入細胞培養容器内の上記細胞を培養する工程である。
本発明の細胞の培養方法は、細胞注入工程、剥離工程および培養工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
上記その他の工程としては、例えば、上記剥離工程後に、上記ガス透過層から細胞を顕微鏡等を用いて観察する細胞観察工程、上記剥離工程前に、上記培地入細胞培養容器を保管する保管工程等を挙げることができる。
また、上記その他の工程は、細胞培養容器の注入部が注入口および密閉部として注入口を密閉する蓋部等を有する場合、注入工程前に行われ、注入口を密閉する密閉部を開封する開封工程、および注入工程後に行われ、注入口を密閉部により密閉する密閉工程等を有するものであっても良い。
ガス透過層として厚さ50μmのOPSフィルムと、厚さ50μmの接着層と、ガスバリア層としてPET/アルミ箔/PETがこの順で積層したフィルムと、を積層し、培養バックを作製した。
次いで、剥離領域となる箇所の外周の全周に沿ってガスバリア層を切断することによりハーフカット部を形成し、細胞培養容器とした。
なお、ガス透過層の酸素透過率は、50,000cm3/m2・24hr・atmであり、二酸化炭素透過率は、100,000cm3/m2・24hr・atmであった。
また、ガスバリア性フィルムであるPET/アルミ箔/PETの酸素透過率は0.3cm3/m2・24hr・atmであり、二酸化炭素透過率は、0.6cm3/m2・24hr・atmであった。
また、得られた細胞培養容器の内容量は、2Lであり、剥離領域の面積は10,000mm2とした。
実施例1の細胞培養容器のハーフカット部によって囲まれる剥離領域のガスバリア層を剥離除去した以外は、実施例1と同様にして細胞培養容器とした。
実施例1および比較例1の細胞培養容器に、pH緩衝液として重炭酸イオンを含み、pHが7.2〜7.4であるRPMI1640培地を2L入れ、2週間常温にて放置前後でpHを測定した。
その結果、実施例1の細胞培養容器では2週間後のpHは放置前と変化はなかったが、比較例1の細胞培養容器では、2週間後のpHは7.0以下となった。
2 … ガスバリア層
3 … 接着層
4 … 基材層
5 … ハーフカット部
6 … ガスバリア性外枠層
7 … 支持層
7a … 開口部
8 … 注入部
10 … 細胞培養容器
11 … 積層領域
12 … 剥離領域
12a … ガス透過領域
13 … 非積層領域
20 … 培地入細胞培養容器
21 … 培地
31 … 細胞
Claims (5)
- ガスバリア性を有する細胞培養容器であって、
前記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、
前記積層領域では、前記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有することを特徴とする細胞培養容器。 - 前記積層領域が、前記ガス透過層および前記ガスバリア層の間に形成された接着層を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の細胞培養容器。
- 前記ガス透過層の厚みが5μm〜200μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞培養容器。
- ガスバリア性を有する細胞培養容器と、
前記細胞培養容器内に充填された培地と、
を有し、
前記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、
前記積層領域では、前記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有することを特徴とする培地入細胞培養容器。 - ガスバリア性を有する細胞培養容器と、前記細胞培養容器内に充填された培地とを有し、
前記細胞培養容器は、内面側からガス透過層およびガスバリア層の順で積層された積層領域を有し、
前記積層領域では、前記ガスバリア層が剥離可能に積層されている剥離領域を有する培地入細胞培養容器を準備し、前記培地入細胞培養容器に細胞を注入する細胞注入工程と、
前記剥離領域の前記ガスバリア層を前記ガス透過層から剥離する剥離工程と、
前記細胞注入工程および前記剥離工程後に前記培地入細胞培養容器内の前記細胞を培養する培養工程と、
を有することを特徴とする細胞の培養方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014239911A JP6613558B2 (ja) | 2014-11-27 | 2014-11-27 | 細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014239911A JP6613558B2 (ja) | 2014-11-27 | 2014-11-27 | 細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016101095A true JP2016101095A (ja) | 2016-06-02 |
JP6613558B2 JP6613558B2 (ja) | 2019-12-04 |
Family
ID=56087647
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014239911A Active JP6613558B2 (ja) | 2014-11-27 | 2014-11-27 | 細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6613558B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017123786A (ja) * | 2016-01-12 | 2017-07-20 | ヤマト科学株式会社 | 加湿用バッグおよび加湿用バッグを備えるインキュベータ |
JP2018000081A (ja) * | 2016-06-30 | 2018-01-11 | 株式会社新菱 | ガス供給機能付き容器、細胞培養容器、運搬用容器、保存用容器、細胞培養方法、内容物運搬方法および内容物保存方法 |
JP2019103469A (ja) * | 2017-12-14 | 2019-06-27 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 培養容器基材、及び培養容器 |
KR102116633B1 (ko) * | 2019-01-02 | 2020-05-29 | 웨이 케이. 수 | 미생물 배양용 배양백 |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03124578A (ja) * | 1989-09-28 | 1991-05-28 | Terumo Corp | 細胞保存容器 |
JPH10262647A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10262648A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10262649A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10337178A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-12-22 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JP2854394B2 (ja) * | 1990-07-12 | 1999-02-03 | 株式会社ニッショー | 液体培地入りカルチヤーバツグの製造方法 |
JPH11506933A (ja) * | 1995-06-05 | 1999-06-22 | アクゾ・ノベル・エヌ・ベー | 微生物を検出するデバイスおよび方法 |
-
2014
- 2014-11-27 JP JP2014239911A patent/JP6613558B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03124578A (ja) * | 1989-09-28 | 1991-05-28 | Terumo Corp | 細胞保存容器 |
JP2854394B2 (ja) * | 1990-07-12 | 1999-02-03 | 株式会社ニッショー | 液体培地入りカルチヤーバツグの製造方法 |
JPH11506933A (ja) * | 1995-06-05 | 1999-06-22 | アクゾ・ノベル・エヌ・ベー | 微生物を検出するデバイスおよび方法 |
JPH10262647A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10262648A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10262649A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-10-06 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
JPH10337178A (ja) * | 1997-03-19 | 1998-12-22 | Becton Dickinson & Co | 培養容器アセンブリ、これに用いる蓋およびこれを用いた細胞培養方法 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017123786A (ja) * | 2016-01-12 | 2017-07-20 | ヤマト科学株式会社 | 加湿用バッグおよび加湿用バッグを備えるインキュベータ |
JP2018000081A (ja) * | 2016-06-30 | 2018-01-11 | 株式会社新菱 | ガス供給機能付き容器、細胞培養容器、運搬用容器、保存用容器、細胞培養方法、内容物運搬方法および内容物保存方法 |
JP2019103469A (ja) * | 2017-12-14 | 2019-06-27 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 培養容器基材、及び培養容器 |
JP7155513B2 (ja) | 2017-12-14 | 2022-10-19 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 培養容器基材、及び培養容器 |
KR102116633B1 (ko) * | 2019-01-02 | 2020-05-29 | 웨이 케이. 수 | 미생물 배양용 배양백 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6613558B2 (ja) | 2019-12-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6613558B2 (ja) | 細胞培養容器、培地入細胞培養容器および細胞の培養方法 | |
US10023360B2 (en) | Sealing bag for hydrogen gas, and method for dissolving hydrogen gas | |
JP5098471B2 (ja) | 細胞培養用トレイ状容器並びに同容器への収容物の充填方法 | |
WO2007043699A9 (ja) | 培養容器及び培養方法 | |
KR101484865B1 (ko) | 다층 필름 및 세포 배양 용기 | |
JP6405690B2 (ja) | 複室培養容器、及び細胞培養方法 | |
WO2017145870A1 (ja) | 細胞培養容器および細胞培養容器の固定用治具 | |
NO340383B1 (no) | Emballasje for myke engangskontaktlinser samt fremgangsmåter for fremstilling derav. | |
CN103180430A (zh) | 粘附细胞用培养容器以及粘附细胞用培养容器的制造方法 | |
WO2019017464A1 (ja) | シール機構を具備する脆弱物保持デバイス | |
JP2017123976A (ja) | バイオロジカルインジケータ用基材、バイオロジカルインジケータ、バイオロジカルインジケータ用基材保管体、バイオロジカルインジケータ保管体、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法、バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法および殺菌装置の殺菌能力評価方法 | |
JP2008022715A (ja) | 細胞シート培養方法及び細胞培養容器 | |
MX2008008552A (es) | Montaje de sobreenvoltura y bolsa llena con fluido. | |
WO2020013172A1 (ja) | 移植片を移送するためのデバイス | |
WO2020013174A1 (ja) | 移植片を移送するためのデバイス | |
JP2008048654A (ja) | トレイ状容器 | |
EP3722411A1 (en) | Fragile-object retaining device provided with protective mechanism | |
CA2789100C (en) | Methods and devices for improved oxygen permeability in microorganism storage container | |
JP2016077164A (ja) | 細胞培養容器 | |
JP2017171380A (ja) | 容器 | |
JP2018121568A (ja) | シート状生体組織の輸送用容器及びそれを用いた輸送方法 | |
JP5622362B2 (ja) | 積層体 | |
JP6582375B2 (ja) | 培地包装体および培地容器 | |
JP6340704B2 (ja) | 水素ガスの密封袋、及び水素ガスの溶解方法 | |
JP2016016897A (ja) | 包装袋 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170927 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180724 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180821 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181019 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190326 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190523 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191008 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191021 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6613558 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |