JP2017123976A - バイオロジカルインジケータ用基材、バイオロジカルインジケータ、バイオロジカルインジケータ用基材保管体、バイオロジカルインジケータ保管体、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法、バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法および殺菌装置の殺菌能力評価方法 - Google Patents

バイオロジカルインジケータ用基材、バイオロジカルインジケータ、バイオロジカルインジケータ用基材保管体、バイオロジカルインジケータ保管体、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法、バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法および殺菌装置の殺菌能力評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるバイオロジカルインジケータ用基材を提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材を提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1

Description

本発明は、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるバイオロジカルインジケータ用基材に関するものである。
食品等の充填に用いられる包装材料は、衛生上の観点等から、その生産ライン内等において殺菌処理され、無菌状態とされる場合がある。このような包装材料等の殺菌対象物の殺菌処理に用いられる殺菌装置は、殺菌対象物が十分に殺菌可能かを確認するために、殺菌処理の種類に対応した指標菌を用いて殺菌能力評価が行われる。
このような評価方法としては、一般的には、殺菌対象物に所定の菌数の指標菌を直接塗布して測定用サンプルを作製し、これを用いて殺菌装置の殺菌能力評価を行う方法(以下、直接塗布法と称する場合がある。)が知られている。
直接塗布法は、測定用サンプルを殺菌装置により殺菌処理した後に、測定用サンプルから指標菌を塗布した評価対象部位を評価用サンプルとして切り出し、その切り出した評価用サンプルを培地内に回収して指標菌を培養することで、殺菌装置の殺菌能力評価を行うことができる。
また、評価方法としては、例えば、基材上に指標菌を担持させたバイオロジカルインジケータを用いる方法が特許文献1に記載されている。
特許文献1では、バイオロジカルインジケータを、例えばプラスチックフィルム製の袋状容器に封入した状態で高圧殺菌装置により殺菌処理した後に、袋状容器に封入されたバイオロジカルインジケータを評価用サンプルとして培地内に回収して指標菌を培養することで、殺菌装置の殺菌能力評価を行うことが記載されている。
特開平4−365499号公報
近年、食品等の製造管理にバリデーションの考え方が取り込まれ、包装材料の殺菌処理についても、コールドスポットにおける殺菌効果や、包装材料の各部位の殺菌効果の把握が求められている。
したがって、例えば、殺菌対象物がペットボトル容器等のような立体形状の包装材料等である場合には、その立体形状の殺菌対象物の様々な部位について殺菌状態を評価することが要求される場合がある。
しかしながら、特許文献1のバイオロジカルインジケータは、評価対象部位によっては配置が難しい場合があるといった問題がある。例えば、評価対象部位がペットボトル容器の底部である場合には配置可能であるが、胴体部の側面等である場合には配置が難しい場合がある。
また、直接塗布法は、通常、各評価対象部位毎に指標菌が塗布された測定用サンプルを形成する必要があるため、準備する測定用サンプルの数、殺菌装置により処理する測定用サンプル数等が多くなるといった問題がある。また、直接塗布法は、多数の測定用サンプルを解体して、指標菌が塗布された評価対象部位を評価用サンプルとして取り出すという煩雑な処理が必要になるが、評価対象部位の増加によりその処理に長時間を要するといった問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるバイオロジカルインジケータ用基材を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材を提供する。
本発明によれば、バイオロジカルインジケータ用基材に含まれる基材の菌層形成面に例えば指標菌液を塗布しその塗膜を乾燥することで容易に指標菌を含む菌層を有するバイオロジカルインジケータを得ることができる。
また、このようにして得られたバイオロジカルインジケータは、基材の菌層形成面とは反対側の表面に両面粘着層が形成されていることにより、殺菌対象物に貼付して容易に殺菌装置の殺菌能力評価に用いる測定用サンプルを容易に作製でき、さらに、測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に取り出したものを評価用サンプルとして使用できる。
したがって、バイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができる。
本発明においては、上記基材の平面視面積は、上記両面粘着層の平面視面積より小さいことが好ましい。バイオロジカルインジケータ用基材は、両面粘着層の基材により覆われない露出箇所を把持することで、取り扱いの容易なものとなるからである。
本発明は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータを提供する。
本発明によれば、基材の菌層形成面とは反対側の表面に両面粘着層が形成されていることにより、バイオロジカルインジケータは、殺菌対象物に貼付して容易に殺菌装置の殺菌能力評価に用いる測定用サンプルを容易に作製でき、さらに、測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に取り出したものを評価用サンプルとして使用できる。
したがって、バイオロジカルインジケータは、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なものとなる。
本発明は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータ用基材と、を有し、上記バイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有し、上記両面粘着層が上記離型層と接するように上記支持部の表面に配置されることを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材保管体を提供する。
本発明によれば、バイオロジカルインジケータ用基材保管体に含まれる基材の菌層形成面に例えば指標菌液を塗布しその塗膜を乾燥することで容易に指標菌を含む菌層を有するバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができる。
また、上記支持部を有することにより、バイオロジカルインジケータ用基材保管体は、バイオロジカルインジケータを容易に取り出し可能なバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができる。
本発明は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータと、を有し、上記バイオロジカルインジケータは、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有し、上記両面粘着層が上記離型層と接するように上記支持部の表面に配置されることを特徴とするバイオロジカルインジケータ保管体を提供する。
本発明によれば、上記支持部を有することにより、バイオロジカルインジケータ保管体は、バイオロジカルインジケータを容易に取り出し可能なものとなる。
本発明は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部に含まれる上記離型層の上記密着層とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有する第1積層体を準備する第1積層体準備工程と、上記第1積層体準備工程により得られた上記第1積層体を殺菌処理する第1殺菌処理工程と、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材を殺菌処理する第2殺菌処理工程と、上記基材を、上記第1積層体に含まれる上記両面粘着層の上記離型層とは反対側の表面に配置する積層工程と、を有し、上記積層工程は、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程後に行われることを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記積層工程が、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程後に行われることにより、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、例えば、基材が金属基材等の菌層形成面から両面粘着層側表面まで殺菌処理の効果が透過しない基材であっても、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面等を安定的に殺菌できる。
このため、上記製造方法は、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価が可能なバイオロジカルインジケータ保管体を形成可能なバイオロジカルインジケータ用基材保管体を得ることができる。
本発明は、上述のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を用いてバイオロジカルインジケータ用基材保管体を形成するバイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程と、上記バイオロジカルインジケータ用基材保管体に含まれる上記基材の上記菌層形成面に、上記指標菌を含む指標菌溶液を塗布し、上記指標菌を含む菌層を形成する菌層形成工程と、を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法によりバイオロジカルインジケータ用基材保管体を準備することにより、上記製造方法は、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価が可能なバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができる。
本発明は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有するバイオロジカルインジケータを、殺菌対象物に貼り付ける貼り付け工程と、上記貼り付け工程後に、殺菌装置を用いて上記殺菌対象物を殺菌処理する殺菌工程と、上記殺菌工程後に、上記バイオロジカルインジケータに含まれる上記指標菌を培養することで上記殺菌対象物の殺菌状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とする殺菌装置の殺菌能力評価方法を提供する。
本発明によれば、上述のバイオロジカルインジケータを用いることにより、殺菌装置の殺菌能力評価方法は、殺菌装置の殺菌能力評価を容易に行うことができる。
本発明は、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるバイオロジカルインジケータ用基材を提供できるといった効果を奏する。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明のバイオロジカルインジケータの一例を示す概略平面図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の一例を示す概略平面図である。 図5のC−C線断面図である。 本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の一例を示す概略平面図である。 図7のD−D線断面図である。 バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法の一例を示す工程図である。 バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法の一例を示す工程図である。 実施例1および比較例1における指標菌の配置箇所を示す説明図である。
本発明は、バイオロジカルインジケータ用基材およびこれを用いて製造可能なバイオロジカルインジケータと、バイオロジカルインジケータ用基材保管体およびこれを用いて製造可能なバイオロジカルインジケータ保管体ならびにこれらの製造方法と、バイオロジカルインジケータを用いた殺菌装置の殺菌能力評価方法と、に関するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材、バイオロジカルインジケータ、バイオロジカルインジケータ用基材保管体、バイオロジカルインジケータ保管体、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法、バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法および殺菌装置の殺菌能力評価方法について詳細に説明する。
A.バイオロジカルインジケータ用基材
まず、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材について説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータ用基材について図を参照して説明する。図1は、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材の一例を示す概略平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。
図1および図2に例示するように、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材10は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面1aを有する基材1と、上記基材1の上記菌層形成面1aとは反対側の表面に形成された両面粘着層2と、を有するものである。
本発明によれば、バイオロジカルインジケータ用基材に含まれる基材の菌層形成面に例えば指標菌液を塗布しその塗膜を乾燥することで容易に指標菌を含む菌層を有するバイオロジカルインジケータを得ることができる。
また、このようにして得られたバイオロジカルインジケータは、基材の菌層形成面とは反対側の表面に両面粘着層が形成されていることにより、殺菌対象物に貼付して容易に殺菌装置の殺菌能力評価に用いる測定用サンプルを容易に作製でき、さらに、測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に取り出したものを評価用サンプルとして使用できる。
ここで、直接塗布法を用いた場合の殺菌能力評価方法としては、例えば、フィルムやPETボトル等の容器の外面の殺菌状態を評価する場合は、殺菌処理後の測定用サンプルを微生物汚染が発生しないように回収し、測定用サンプルの指標菌を塗布した箇所を滅菌した鋏やカッターナイフで切り抜いて評価用サンプルを作製する。その後、評価用サンプルをシャーレに貼付した後に寒天培地を重層し、または評価用サンプルを液体培地が分注されたねじ口付き試験管、三角フラスコ等に回収し、所定の期間培養する方法(評価方法1)が一般的に用いられる。
また、直接塗布法を用いた場合の殺菌能力評価方法としては、例えば、フランジ付き容器等の容器の内面の殺菌状態を評価する場合は、測定用サンプルをそのまま評価用サンプルとして使用し、評価用サンプルである容器内に直接液体培地または寒天培地を分注し、分注後、培養中に微生物汚染が発生しないように、上記容器を予め滅菌した蓋材でトレーシーラー等を用いて密閉し、所定の期間培養する方法(評価方法2)が一般的に用いられる。
このため、例えば、殺菌対象物の合計6箇所の評価対象部位が設定され、それぞれの評価対象部位について5回ずつ殺菌能力評価を行う場合、従来の直接塗布法では、測定用サンプルを解体して評価用サンプルを取り出すまたは測定用サンプル自体を評価用サンプルと使用する必要があることから通常、1個の殺菌対象物に対して1箇所の評価対象部位のみに指標菌を塗布して測定用サンプルを準備する必要がある。したがって、直接塗布法では、合計で30個の測定用サンプルを準備し、殺菌装置により30個の測定用サンプルについて殺菌処理(合計30回)を行う必要がある。
これに対して、本発明におけるバイオロジカルインジケータは、両面粘着層を用いて容易に殺菌対象物に貼付可能であるため、1個の殺菌対象物に対して一度に6箇所全ての評価対象部位に貼付して測定用サンプルを準備できる。このように、本発明におけるバイオロジカルインジケータを用いることにより、測定用サンプルを容易に作製できる。
また、本発明におけるバイオロジカルインジケータを用いた殺菌能力評価法(以下、本評価方法と称する場合がある。)は、合計で5個の測定用サンプルを準備し、殺菌装置により5個の測定用サンプルについて殺菌処理(合計5回)することで、直接塗布法と同数の殺菌能力評価を行うことが可能となる。このようなことから、本評価方法は、評価時間の短縮を図ることができる。
また、直接塗布法を用いた場合の評価方法1は、評価用サンプルとして測定用サンプルの指標菌を塗布した箇所をコンタミネーションが発生しないように切り抜く作業が必要となり、慎重な作業が必要となる。
これに対して、本評価方法は、回収した測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に評価用サンプルとして剥がすことのみで評価用サンプルを容易に作製できるため、評価用サンプルの作製時間の短縮化を図ることができる。また、その結果、本評価方法は、評価時間の短縮を図ることができる。
さらに、直接塗布法を用いた場合の評価方法2は、予め滅菌した蓋材を準備する必要や、評価用サンプルに蓋材をシールする際にトレーシーラーをアルコールや次亜塩素酸溶液で除菌、殺菌してからクリーンベンチ内等のクリーンな環境でシールする必要がある。
これに対し、本評価方法では、殺菌処理した測定用サンプルをクリーンベンチ等のクリーンな環境に回収し、回収した測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に評価用サンプルとして剥がし、液体培地に回収するのみで、殺菌能力評価を実施できる。このようなことから、本評価方法は、評価時間の短縮を図ることができる。
このようなことから、本評価方法は、殺菌能力評価に要する時間および必要サンプル数を大きく減らすことができる。
また、殺菌対象物の評価対象部位に菌等が付着している場合、その菌は、バイオロジカルインジケータにより覆われているため、殺菌装置による殺菌処理によっても殺菌されずに残存することがある。そうすると、殺菌評価後のバイオロジカルインジケータは、その両面粘着層の殺菌対象物側の表面に菌等が付着した状態となることがある。
これに対して、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材を用いて形成されたバイオロジカルインジケータは、基材の菌層形成面とは反対側の表面に両面粘着層が形成されているため、殺菌状態の確認時に、両面粘着層を容易に除去でき、殺菌対象物の表面に由来する菌等による影響を排除することができる。
このようなことから、バイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるのである。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材は、基材および両面粘着層を有するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材の各構成について詳細に説明する。
1.基材
本発明における基材は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有するものである。
ここで、指標菌が配置される菌層形成面とは、バイオロジカルインジケータを形成する際に、指標菌を含む菌層が形成される側の表面をいうものである。
また、殺菌状態の確認とは、殺菌装置の殺菌対象物に対する殺菌能力を評価するために用いられることをいうものである。
なお、殺菌対象物については、殺菌が要求されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、食品の包装材料、薬品の包装材料、化粧品の包装材料等を挙げることができ、なかでも、ペットボトル容器、カップ容器、トレー容器、紙パック、注出口付きパウチ等の立体形状の包装材料であることが好ましい。殺菌装置の殺菌能力評価が容易なバイオロジカルインジケータを得ることができるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
上記基材の構成材料としては、指標菌を安定的に支持できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、紙基材、樹脂基材、金属基材および無機基材等を構成可能な紙、樹脂材料、金属材料および無機材料を挙げることができる。
紙基材を構成する紙としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、アート紙、その他各種板紙、加工紙、合成紙などが使用できる。また、紙基材としては、濾紙を用いてもよい。
樹脂基材を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレートなどのアクリル系材料等の合成樹脂材料;セルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクタン、もしくはその共重合体のような生分解性ポリマー等の天然樹脂材料等を挙げることができる。
上記金属基材を構成する金属材料としては、所望の形状に成型可能なものであればよく、例えば、アルミニウム、ステンレス等を挙げることができる。これらの金属材料は汎用性があり容易に入手可能であることから好ましい。
上記無機基材を構成する無機材料としては、ガラス等が挙げられる。
上記基材の構造としては、板状の板状基材、多数の空孔を有する多孔質基材、上記紙基材のように、繊維状の構成材料を積層してなる不織布基材等とすることができる。
本発明においては、上記基材に配置される指標菌が黒麹カビ(Aspergillus niger)である場合には、上記基材が不織布基材であることが好ましく、なかでも、紙基材であることが好ましく、濾紙であることが好ましい。上記基材が紙基材等の不織布基材であることにより、基材は、指標菌であるカビを安定的に保持できるからである。
本発明においては、評価対象の殺菌装置の殺菌処理が過酸化水素溶液等を用いた薬剤殺菌処理である場合には、上記基材が、金属基材であることが好ましく、アルミニウム基材またはステンレス基材であることが好ましい。基材が金属基材であることにより、基材は、殺菌装置による殺菌処理時に薬剤の吸着が少ないものとなる。このため、バイオロジカルインジケータ用基材は、基材に残存した薬剤による指標菌に対する影響が少ないバイオロジカルインジケータを得ることができる。
したがって、バイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価が可能なバイオロジカルインジケータを得ることができるからである。
上記基材の厚みは、指標菌を安定的に支持できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、5μm〜100μmの範囲内とすることができ、なかでも、7μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、基材は、両面粘着層からの剥離容易なものとなるからである。
上記基材の平面視形状は、指標菌を安定的に支持できるものであれば特に限定されるものではなく、三角形状、四角形状等の多角形状、円形状、楕円形状等とすることができる。
上記基材の平面視面積としては、指標菌を安定的に支持できるものであれば特に限定されるものではなく、殺菌対象物の大きさ等に応じて適宜設定されるものである。
上記平面視面積は、殺菌対象物がペットボトル容器である場合、例えば、1mm〜100mmの範囲内とすることができる。
本発明においては、なかでも、上記基材の平面視面積が、上記両面粘着層の平面視面積より小さいことが好ましい。上記基材が、平面視上、両面粘着層内に含まれるように配置可能となり、バイオロジカルインジケータ用基材は、両面粘着層の基材により覆われない露出箇所を把持することで、取り扱いの容易なものとなるからである。
また、バイオロジカルインジケータ用基材を用いて後述のバイオロジカルインジケータ保管体を形成した場合には、バイオロジカルインジケータの取り出し容易なバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができるからである。
なお、既に説明した図1および図2は、基材1の平面視面積が両面粘着層2の平面視面積より小さく、基材が平面視上両面粘着層2内に含まれるように配置される例を示すものである。
2.両面粘着層
本発明における両面粘着層は、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成されるものである。
上記両面粘着層は、バイオロジカルインジケータを殺菌対象物に対して貼付可能であり、かつ、基材に対して再剥離可能に粘着できるものである。
ここで、表面に形成されるとは、表面に直接接するように形成される態様に限定されず、他の層を介して形成される態様も含むものであるが、上記両面粘着層は通常、基材と直接接するように形成されるものである。
このような両面粘着層としては、粘着剤層のみからなる単層構造であってもよいが、通常、一般的な両面粘着テープのように、支持体と、支持体の両面に配置された2層の粘着剤層とを有する積層構造のものが用いられる。
なお、既に説明した図2は、両面粘着層2が支持体2aと、支持体2aの両面に配置された2層の粘着剤層(2b1および2b2)とを有する積層構造のものである例を示すものである。
上記支持体の構成材料および構造については、上記粘着剤層と安定的に接着可能なものであればよく、例えば、上記「1.基材」の項に記載の基材の内容と同様とすることができる。
本発明においては、評価対象の殺菌装置の殺菌処理が過酸化水素溶液等を用いた薬剤殺菌処理である場合には、上記支持体が、不織布基材であることが好ましく、なかでも紙基材であることが好ましい。支持体が紙基材等の不織布基材であることにより、支持体は、滅菌装置による滅菌処理時に薬剤を吸着し易いものとなる。このため、両面粘着層は、滅菌対象物表面に付着していた菌類と接触した場合でも、その菌類を滅菌して排除できる。その結果、滅菌状態を評価する際に、両面粘着層が評価用サンプルに含まれた状態で指標菌の培養を行う場合でも、両面粘着層は、滅菌対象物の表面に由来する菌等による影響を排除することができるからである。
上記支持体の厚みとしては、上記粘着剤層と安定的に接着可能なものであればよく、例えば、上記「1.基材」の項に記載の基材の厚みと同様とすることができる。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、バイオロジカルインジケータを殺菌対象物に対して貼付可能であり、かつ、基材に対して再剥離可能に粘着できる粘着剤層を形成可能なものであれば特に限定されるものではない。
上記粘着剤としては、例えば、天然ゴム、ブタジエン−スチレンゴム、アクリルゴムなどの合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤;アクリル酸、アクリル酸ブチルなどを主成分とするアクリル系粘着剤;シリコン系粘着剤;フッ素系粘着剤等の一般的な粘着剤を使用できる。
上記粘着剤は、必要に応じて、粘着付与剤、軟化剤、酸化防止剤等の添加剤を含むことができる。
両面粘着層が積層構造である場合、上記粘着剤は、基材側の粘着剤層および殺菌対象物側の粘着剤層で同一であっても良く、異なるものであってもよい。
上記粘着剤層の厚みとしては、所望の両面粘着性を発揮できるものであればよい。
上記厚みは、両面粘着層が積層構造である場合、基材側および殺菌対象物側の粘着剤層のそれぞれについて、1μm〜500μmの範囲内とすることができる。
両面粘着層が積層構造である場合、上記厚みは、基材側の粘着剤層および殺菌対象物側の粘着剤層で同一であっても良く、異なるものであってもよい。
上記粘着剤層の上記基材に対する粘着性の程度については、バイオロジカルインジケータの殺菌対象物に対する粘着容易性、基材に対する再剥離性の観点等から適宜調整することができる。
粘着剤層の基材に対する粘着性は、例えば、再剥離容易性の観点から、上記基材に対して弱粘着性とすることができる。一方、上記粘着性は、例えば、殺菌装置による殺菌処理が高温熱風処理である場合等に基材の粘着剤層からの脱落防止の観点から、上記基材に対して強粘着性であってもよい。
両面粘着層が積層構造である場合、基材側の粘着剤層および殺菌対象物側の粘着剤層の粘着性は、同一であっても良く、異なるものであってもよい。
上記粘着剤層の形成方法としては、所望の厚みの粘着剤層を形成可能な方法であればよく、例えば、溶剤に粘着剤を分散または溶解して得られた粘着剤塗工液を塗布し、得られた塗膜から溶剤を乾燥除去する方法を挙げることができる。
塗布方法としては、例えば、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法等の公知の塗布方法を用いることができる。
積層構造の両面粘着層としては、市販品の両面粘着テープを使用することができる。両面粘着層として使用可能な両面粘着テープとしては、例えば、ニチバン社製 ナイスタックリムカ(登録商標)、3M社製 スコッチ(登録商標)等を挙げることができる。
上記両面粘着層の平面視形状としては、上記基材を安定的に支持できるものであればよく、上記「1.基材」の項に記載の基材の平面視形状と同様とすることができる。
上記両面粘着層の平面視面積としては、上記基材を安定的に支持できるものであればよく、殺菌対象物の大きさ等に応じて適宜設定されるものである。
上記平面視面積は、殺菌対象物がペットボトル容器である場合、例えば、10mm〜100mmの範囲内とすることができる。
3.バイオロジカルインジケータ用基材
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材は、上記基材および上記両面粘着層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
上記バイオロジカルインジケータ用基材の各構成の菌の付着状態としては、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面が無菌状態であることが好ましく、なかでも、両面粘着層の殺菌対象物側表面も無菌状態であることが好ましく、特に、バイオロジカルインジケータ用基材の全ての構成の全表面が無菌状態であることが好ましい。これらの表面は、測定用サンプルの形成時に他の構成により被覆された被覆面となり、評価用サンプルの形成時に他の構成により被覆されない露出面となる可能性がある。このため、測定用サンプルの形成時に被覆面となる表面に付着している菌は、殺菌装置による殺菌処理を受けた場合でも殺菌されずに残る可能性がある。そして、そのような菌が残った状態の表面が評価用サンプルとなった際に露出面となると、その露出面の菌の影響により、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価を行うことができない場合があるからである。
なお、菌の付着状態については、例えば、菌の付着状態の確認対象となる表面を、各構成から削り取って、確認用サンプルとして、所定期間培養した際に、目視により培地内に菌の発生が見られない場合に無菌状態であり、滅菌されていると判断することができる。
無菌状態であることの判断としては、例えば、上述の確認用サンプルを、トリプトソイブイヨン液培地内に回収し、37℃の培養条件下、7日間培養した際に、目視により培地内に菌の発生が見られない場合に無菌状態であると判断することができる。
なお、トリプトソイブイヨン液培地については、細胞培養に一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、栄研化学社製のものを使用できる。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材の製造方法としては、上記各構成を精度よく積層できる方法であればよく、公知の積層方法を用いることができる。上記製造方法としては、例えば、両面粘着層を準備した後、基材をピンセット等の把持手段を用いて両面粘着剤層の上に積層する方法を挙げることができる。
上記製造方法は、必要に応じて、バイオロジカルインジケータ用基材の各構成の表面を無菌状態とするための殺菌処理工程を有するものであってもよい。
殺菌処理工程における殺菌処理としては、公知の殺菌処理を用いることができ、例えば、γ線照射処理、紫外線照射処理、電子線処理等の放射線殺菌処理;エチレンオキサイドガス処理、過酸化水素処理等の薬剤殺菌処理;乾熱殺菌処理、蒸気殺菌処理等の加熱殺菌処理等が挙げられる。
また、過酸化水素処理としては、過酸化水素溶液に浸漬する処理、過酸化水素ガスを噴霧する処理、過酸化水素溶液をスプレーする処理を用いることができる。
なお、上記薬剤殺菌処理は、必要に応じて熱風乾燥等の乾燥処理を含むものであってもよい。
また、殺菌処理工程における殺菌方法としては、上記表面に付着している菌の数を減らすことができ、無菌状態とすることができる方法であればよく、基材、両面粘着層およびその他の構成等の各構成をバイオロジカルインジケータ用基材の形成前に殺菌処理する方法であってもよく、バイオロジカルインジケータ用基材を形成した状態、すなわち、上記各構成が積層された状態で殺菌処理する方法であってもよい。
上記バイオロジカルインジケータ用基材の用途は、殺菌装置の殺菌対象物に対する殺菌効果の評価に用いられるバイオロジカルインジケータに用いられるものであり、なかでも、立体形状の包装材料の殺菌装置の殺菌能力評価に用いられることが好ましい。
B.バイオロジカルインジケータ
次に、本発明のバイオロジカルインジケータについて説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータは、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータについて図を参照して説明する。図3は、本発明のバイオロジカルインジケータの一例を示す概略平面図であり、図4は、図3のB−B線断面図である。
図3および図4に例示するように、本発明のバイオロジカルインジケータ20は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材1と、上記基材1の上記菌層形成面1aとは反対側の表面に形成された両面粘着層2と、上記基材1の上記菌層形成面1aに形成され、上記指標菌を含む菌層3と、を有するものである。
本発明によれば、基材の菌層形成面とは反対側の表面に両面粘着層が形成されていることにより、バイオロジカルインジケータは、殺菌対象物に貼付して容易に殺菌装置の殺菌能力評価に用いる測定用サンプルを容易に作製でき、さらに、測定用サンプルから指標菌を含む菌層を基材と共に取り出したものを評価用サンプルとして使用できる。
したがって、バイオロジカルインジケータは、殺菌装置の殺菌能力評価が容易なものとなる。
本発明のバイオロジカルインジケータは、基材、両面粘着層および菌層を有するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータの各構成について詳細に説明する。
なお、基材および両面粘着層については、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
1.菌層
本発明における菌層は、上記基材の上記菌層形成面に形成され、殺菌状態の確認に用いられる指標菌を含むものである。
ここで、上記基材の上記菌層形成面に形成されるとは、菌層形成面に直接接するように形成される態様に限定されず、菌層形成面および菌層の間に他の層を介して形成される態様も含むものであるが、通常、上記基材の菌層形成面と直接接するように形成されるものである。
また、上記菌層は、通常、上記バイオロジカルインジケータの最表面に露出するように形成されるものである。
上記指標菌は、殺菌状態の確認に用いられるものであり、評価対象である殺菌装置の殺菌処理の種類および殺菌対象物の用途等に応じて適宜選択することができる。上記指標菌は、例えば、バチルス属、クロストリジウム属等の芽胞菌、カビ等の真菌を用いることができる。
より具体的には、殺菌処理が乾熱殺菌処理等の加熱殺菌処理である場合の指標菌としての芽胞菌は、Geobacillus stearothermophilus、Bacillus atrophaeus等を用いることができる。
また、殺菌処理が過酸化水素溶液等を用いた薬剤殺菌処理である場合には、上記指標菌としての芽胞菌は、Geobacillus stearothermophilus、Bacillus atrophaeus等を用いることができる。
また、殺菌処理が放射線殺菌処理である場合には、上記指標菌としての芽胞菌は、Bacillus pumilus等を用いることができる。
上記菌層は、上記指標菌を含むものであるが、これ以外に必要に応じて、各種糖類、脱脂乳、グルタミン酸ナトリウム、血清、デキストリン等の乾燥保護剤等を含むものであってもよい。
上記菌層の形成方法としては、上記指標菌を所定量含む菌層を形成可能な方法であればよく、例えば、指標菌を含む指標菌溶液を調製し、次いで、指標菌溶液を塗布して指標菌を含む菌層を形成する方法を挙げることができる。
指標菌溶液の調製方法としては、指標菌を培養し、集菌した後、必要に応じて乾燥保護剤が添加された水等の分散媒中に懸濁して指標菌溶液を調製する方法を挙げることができる。
指標菌溶液を塗布して菌層を形成する方法としては、基材の上記菌層形成面に、指標菌溶液を塗布して指標菌溶液の塗膜を形成し、次いで、塗膜を乾燥する方法を挙げることができる。
なお、指標菌溶液の塗布方法としては、所定の菌数を含む量の指標菌溶液をスポイト等を用いて基材上に定量滴下する方法を挙げることができる。
上記乾燥方法としては、常温常圧下での乾燥、凍結乾燥等を挙げることができる。
2.バイオロジカルインジケータ
本発明のバイオロジカルインジケータは、基材、両面粘着層および菌層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
このようなその他の構成としては、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載のバイオロジカルインジケータ用基材と同様とすることができる。
上記バイオロジカルインジケータの菌層以外の各構成の菌の付着状態については、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
なお、基材の菌層形成面の菌の付着状態は、上記菌層由来の菌の付着は含まないものである。
本発明のバイオロジカルインジケータの製造方法としては、上記各構成が精度良く積層できる方法であればよく、例えば、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載のバイオロジカルインジケータ用基材を準備し、次いで、バイオロジカルインジケータ用基材に含まれる基材の菌層形成面に、菌層を形成する方法を用いることができる。
上記製造方法は、必要に応じて、上記菌層以外の各構成の表面を無菌状態とするための殺菌処理工程を有するものであってもよい。このような殺菌処理工程における殺菌処理および殺菌方法としては、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体
次に、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体について説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータ用基材と、を有し、上記バイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有し、上記両面粘着層が上記離型層と接するように上記支持部の表面に配置されることを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体について図を参照して説明する。図5は、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の一例を示す概略平面図であり、図6は図5のC−C線断面図である。図5および図6に例示するように、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体30は、支持基板31a、上記支持基板31aの一方の表面に形成された密着層31bおよび上記密着層31bの上記支持基板31aとは反対側の表面に形成された離型層31cを有する支持部31と、上記支持部31の表面に配置されたバイオロジカルインジケータ用基材10と、を有し、上記バイオロジカルインジケータ用基材10は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面1aを有する基材1と、上記基材1の上記菌層形成面1aとは反対側の表面に形成された両面粘着層2と、を有し、上記両面粘着層2が上記離型層31cと接するように上記支持部31の表面に配置されるものである。
また、この例では、バイオロジカルインジケータ用基材保管体30が、バイオロジカルインジケータ用基材10の全面を覆うように形成された蓋部32を有する例を示すものである。なお、図5は、説明の容易のため、蓋部32の記載を省略するものである。
本発明によれば、上記支持部を有することにより、バイオロジカルインジケータ用基材保管体は、バイオロジカルインジケータを容易に取り出し可能なバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができる。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体は、支持部およびバイオロジカルインジケータ用基材を有するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の各構成について詳細に説明する。
1.バイオロジカルインジケータ用基材
本発明におけるバイオロジカルインジケータ用基材は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有するものである。
また、上記バイオロジカルインジケータ用基材は、上記両面粘着層が上記離型層と接するように上記支持部の表面に配置されるものである。
なお、バイオロジカルインジケータ用基材については、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記バイオロジカルインジケータ用基材の上記支持部上の配置数は、1以上であればよく、2以上であることが好ましい。
なお、既に説明した図5および図6は、上記配置数が2以上である例を示すものである。
上記バイオロジカルインジケータ用基材の上記支持部上の配置数が2以上である場合、隣接するバイオロジカルインジケータ用基材同士は接するように配置されるものであっても良く、離間して配置されるものであってもよい。
また、隣接するバイオロジカルインジケータ用基材同士が接するように配置される場合、隣接するバイオロジカルインジケータ用基材同士は、両者が連続的に繋がって一体として形成されているものであってもよいが、両者の間に切れ込み部が形成されることで両者が分離した別体として形成されているものであることが好ましい。バイオロジカルインジケータ用基材保管体は、それぞれのバイオロジカルインジケータ用基材を1個ずつ取り出すことが容易なものとなるからである。
なお、既に説明した図5および図6は、上記配置数が2以上である例を示すものであり、隣接するバイオロジカルインジケータ用基材10間に切れ込み部33が形成されることで、両者が分離した別体として形成されている例を示すものである。
2.支持部
本発明における支持部は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有するものである。
(1)支持基板
上記支持基板は、上記バイオロジカルインジケータ用基材を支持するものである。
このような支持基板の構成材料としては、所望の強度を有する支持基板を形成可能であればよく、例えば、樹脂材料または無機材料を挙げることができる。
樹脂材料および無機材料としては、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、支持基板の構造についても所望の強度を有する支持基板を形成可能であればよく、例えば、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の基材の構造と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記支持基板の厚みとしては、上記バイオロジカルインジケータ用基材を安定的に支持可能であればよく、100μm〜3000μmの範囲内とすることができる。
上記支持基板の平面視形状としては、上記バイオロジカルインジケータ用基材を安定的に支持可能であればよく、例えば、四角形状、円形状等とすることができる。
なお、既に説明した図5は、支持基板31aの平面視形状が四角形状である例を示すものである。
上記支持基板の形状としては、平板形状、底面および側面を有する容器形状等とすることができる。
なお、既に説明した図5および図6は、支持基板31aの形状が底面および側面を有する容器形状である例を示すものである。
上記支持基板としては、市販品の細胞培養等に用いられる丸型または角型のシャーレ等を使用してもよい。また、シャーレに付属する蓋を後述する蓋部として使用してもよい。
(2)密着層
上記密着層は、上記支持基板の一方の表面に形成されるものである。
上記密着層は、支持基板および離型層を密着させるものであり、バイオロジカルインジケータを支持部と分離して取り出す際に、支持基板および離型層が密着した状態を維持するものである。すなわち、密着層は、通常、支持基板および離型層のそれぞれに対する密着性が、上記バイオロジカルインジケータ用基材に含まれる両面粘着層の離型層に対する密着性より高いものである。
また、上記密着層は、通常、上記支持基板および離型層の両者と直接接するように形成されるものである。
上記密着層としては、粘着剤層または接着剤層等とすることができ、それぞれ、後述する離型層の構成材料等に応じて適宜選択することができる。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の「2.両面粘着層」の項に記載の粘着剤と同様とすることができる。
また、上記接着剤層を構成する接着剤としては、加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤等を挙げることができる。
また、上記接着剤としては、2液硬化型ウレタン系接着剤等の2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤等の公知の接着剤を用いることができる。
上記感熱接着剤としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポエイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン−アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体、あるいはそれらを変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記密着層としては、より具体的には、離型層が4フッ化エチレン樹脂(PTFE)等のフッ素系樹脂を含むものである場合、密着層として粘着剤層を用いることができる。
また、粘着剤層を構成する粘着剤としては、フッ素系樹脂を含む支持体を用いる市販のフッ素系樹脂テープに使用されている粘着剤と同様とすることができる。上記粘着剤としては、具体的には、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を挙げることができる。
上記密着層の厚みとしては、所望の密着性が得られるものであればよく、離型層および支持基板の種類に応じて適宜設定されるものである。
具体的には、上記厚みは、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の「2.両面粘着層」の項に記載の粘着剤層の厚みと同様とすることができる。
上記密着層の形成方法としては、離型層および支持基板を安定的に密着可能な密着層を形成できる方法であればよい。
上記形成方法としては、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の粘着剤層の形成方法と同様とすることができる。
上記密着層としては、離型層の表面に積層された積層体として、市販品の離型性粘着テープを使用してもよい。
上記密着層および離型層が積層された積層体として使用可能な離型性粘着テープとしては、例えば、日東電工社製 NITOFLON(登録商標)、中興化成工業社製 チューコーフロー(登録商標)等を挙げることができる。
(3)離型層
上記離型層は、上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成されるものである。
上記離型層は、バイオロジカルインジケータ保管体からバイオロジカルインジケータを取り出す際にバイオロジカルインジケータに含まれる両面粘着層に対して容易剥離性を有するものである。すなわち、離型層は、通常、上記バイオロジカルインジケータ用基材に含まれる基材より両面粘着層に対する密着性が低いものである。
このような離型層の構成材料としては、従来公知の離型性に優れた樹脂材料を含むものを用いることができる。
上記樹脂材料としては、例えば、ワックス類;シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂等のシリコーン系樹脂;フッ素樹脂、フッ素変性樹脂等のフッ素系樹脂;ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂および熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂材料は単独でも混合物としても使用できる。
本発明においては、上記樹脂材料が、フッ素系樹脂であることが好ましい。フッ素系樹脂は離型性に優れた離型層の形成が容易だからである。
上記構成材料は、上記樹脂材料以外に、必要に応じてフィラー、架橋剤、触媒等の添加剤を含むものであってもよい。
上記離型層の厚みとしては、両面粘着層に対して所望の離型性が得られるものであればよく、両面粘着層の種類等に応じて適宜設定されるものである。
上記厚みとしては、例えば、乾燥基準時の単位面積当たりの質量として0.5g/m〜5g/mの範囲内程度とすることができる。
上記離型層の平面視面積としては、少なくとも両面粘着層の全面と平面視上重なるものであればよく、両面粘着層の平面視形状に応じて適宜設定されるものである。
上記離型層の形成方法としては、所望の厚みの離型層を形成できる方法であればよく、例えば、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の粘着剤層の形成方法と同様とすることができる。
(4)支持部
上記支持部は、支持基板、密着層および離型層を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
3.バイオロジカルインジケータ用基材保管体
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体は、支持部およびバイオロジカルインジケータ用基材を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
上記その他の構成としては、バイオロジカルインジケータ用基材を覆うように形成される蓋部を挙げることができる。蓋部を有することにより、バイオロジカルインジケータ用基材保管体は、コンタミを防止できるからである。
上記蓋部の形状としては、バイオロジカルインジケータ用基材の上面を覆うことができ、再閉可能なものであればよいが、支持部および蓋部によりバイオロジカルインジケータ用基材の全周囲を囲むことができる形状であることが好ましい。上記形状としては、例えば、平板形状、上面および側面を有するキャップ形状等とすることができる。
なお、既に説明した図6は、上記蓋部32の形状がキャップ形状であり、蓋部32の形状が、支持部31および蓋部32によりバイオロジカルインジケータ用基材10の全周囲を囲むことができる形状である例を示すものである。
上記蓋部の構成材料、構造および厚みについては、上記支持基板と同様とすることができる。
上記バイオロジカルインジケータ用基材保管体の菌の付着状態については、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明においては、なかでも、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の全ての構成の全表面が無菌状態であることが好ましい。
なお、このようなバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法については、後述する「E.バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法」を好ましく用いることができる。
D.バイオロジカルインジケータ保管体
次に、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体について説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータ保管体は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータと、を有し、上記バイオロジカルインジケータは、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有し、上記両面粘着層が上記離型層と接するように上記支持部の表面に配置されることを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータ保管体について図を参照して説明する。図7は、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の一例を示す概略断面図であり、図8は、図7のD−D線断面図である。図7および図8に例示するように本発明のバイオロジカルインジケータ保管体40は、支持基板31a、上記支持基板31aの一方の表面に形成された密着層31bおよび上記密着層31bの上記支持基板31aとは反対側の表面に形成された離型層31cを有する支持部31と、上記支持部31の表面に配置されたバイオロジカルインジケータ20と、を有し、上記バイオロジカルインジケータ20は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面1aを有する基材1と、上記基材1の上記菌層形成面1aとは反対側の表面に形成された両面粘着層2と、上記基材1の上記菌層形成面1aに形成され、上記指標菌を含む菌層3と、を有し、上記両面粘着層2が上記離型層31cと接するように上記支持部31の表面に配置されるものである。
本発明によれば、上記支持部を有することにより、バイオロジカルインジケータ保管体は、バイオロジカルインジケータを容易に取り出し可能なものとなる。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体は、支持部およびバイオロジカルインジケータ用基材を有するものである。
本発明におけるバイオロジカルインジケータについては、上記「B.バイオロジカルインジケータ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、バイオロジカルインジケータの支持部の表面への配置数および切れ込み部については、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の「1.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明における支持部については、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、バイオロジカルインジケータ用基材保管体は、支持部およびバイオロジカルインジケータ用基材を有するものであるが、必要に応じてその他の構成を有するものであってもよい。
このようなその他の構成は、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記バイオロジカルインジケータ保管体の菌層以外の各構成の菌の付着状態については、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本発明においては、なかでも、バイオロジカルインジケータ保管体の菌層以外の全ての構成の全表面が無菌状態であることが好ましい。
なお、このようなバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法については、後述する「F.バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法」を好ましく用いることができる。
E.バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法
次に、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法について説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部に含まれる上記離型層の上記密着層とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有する第1積層体を準備する第1積層体準備工程と、上記第1積層体準備工程により得られた上記第1積層体を殺菌処理する第1殺菌処理工程と、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材を殺菌処理する第2殺菌処理工程と、上記基材を、上記第1積層体に含まれる上記両面粘着層の上記離型層とは反対側の表面に配置する積層工程と、を有し、上記積層工程は、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程後に行われることを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法について図を参照して説明する。図9は、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法の一例を示す工程図である。図9に例示するように、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、支持基板31a、上記支持基板31aの一方の表面に形成された密着層31b、上記密着層31bの上記支持基板31aとは反対側の表面に形成された離型層31cを有する支持部31と、上記支持部31の上記離型層31cの上記密着層31bとは反対側の表面に形成された両面粘着層2と、を有する第1積層体を準備し(図9(a))、上記第1積層体を殺菌処理し(図9(b))、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材1を殺菌処理し(図9(c))、上記基材1を、上記第1積層体に含まれる両面粘着層2の上記離型層31cとは反対側の表面に配置する方法である。
なお、図9(a)〜(d)は、それぞれ、第1積層体準備工程、第1殺菌処理工程、第2殺菌処理工程および積層工程である。
また、この例では、第1殺菌処理工程および第2殺菌処理工程における殺菌処理が、エチレンオキサイドガスgを第1積層体および基材1に供給する過酸化水素殺菌である例を示すものである。
本発明によれば、上記積層工程が、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程後に行われることにより、バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、例えば、基材が金属基材等の菌層形成面から両面粘着層側表面まで殺菌処理の効果が透過しない基材であっても、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面等を安定的に殺菌できる。
このため、上記製造方法は、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価が可能なバイオロジカルインジケータ保管体を形成可能なバイオロジカルインジケータ用基材保管体を得ることができる。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、第1積層体準備工程、第1殺菌処理工程、第2殺菌処理工程および積層工程を有するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.第1積層体準備工程
本発明における第1積層体準備工程は、支持基板、上記支持基板の一方の表面に形成された密着層および上記密着層の上記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、上記支持部に含まれる上記離型層の上記密着層とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有する第1積層体を準備する工程である。
本工程における支持部および両面粘着層を積層する方法としては、両者が所望の位置関係で積層できる方法であればよく、まず支持部を準備し、次いで、支持部の離型層の表面に、別途用意した両面粘着層を積層する方法を挙げることができる。
本工程において用いられる支持部および両面粘着層については、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.第1殺菌処理工程および第2殺菌処理工程
本発明における第1殺菌処理工程は、上記第1積層体準備工程により得られた上記第1積層体を殺菌処理する工程である。
また、第2殺菌処理工程は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材を殺菌処理する工程である。
このような第1積層体および基材に対する殺菌処理としては、公知の殺菌処理を用いることができる。上記殺菌処理としては、例えば、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の殺菌処理を用いることができる。
本工程においては、なかでも、上記殺菌処理が、放射線殺菌処理または薬剤殺菌処理であることが好ましい。これらの殺菌処理は、基材が金属基材等である場合に、菌層形成面から両面粘着層側表面まで殺菌処理の効果が透過しにくい処理である。したがって、本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
本工程において用いられる基材については、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本工程においては、なかでも、上記基材が金属基材または無機基材であることが好ましく、金属基材であることが好ましい。これらの基材は、第1積層体の表面に積層されている状態では基材の第1積層体側表面まで殺菌処理が透過しにくい。このため、上記基材は、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面等を安定的に殺菌できるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
3.積層工程
本発明における積層工程は、上記基材を、上記第1積層体に含まれる上記両面粘着層の上記離型層とは反対側の表面に配置する工程である。
上記積層工程は、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程の後に行われるものである。
本工程における上記基材を、上記第1積層体に含まれる上記両面粘着層の上記離型層とは反対側の表面に配置する配置方法としては、両者が所望の位置関係で積層できる方法であればよく、まず第1積層体を準備し、次いで、第1積層体の両面粘着層の表面に、上記基材を積層する方法を挙げることができる。
4.バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法は、第1積層体準備工程、第1殺菌処理工程、第2殺菌処理工程および積層工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。
その他の工程としては、例えば、バイオロジカルインジケータ用基材保管体のその他の構成を準備し、殺菌処理し、バイオロジカルインジケータ用基材保管体に配置する工程を挙げることができる。
より具体的には、その他の工程としては、バイオロジカルインジケータ用基材を覆うように形成される蓋部を準備する蓋部準備工程、蓋部を殺菌処理する蓋部殺菌処理工程、積層工程および蓋部殺菌処理工程後に蓋部をバイオロジカルインジケータ用基材を覆うように配置する蓋部配置工程等を挙げることができる。
本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法により製造されるバイオロジカルインジケータ用基材保管体については、上記「C.バイオロジカルインジケータ用基材保管体」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
5.その他の実施態様
本発明は、第1積層体準備工程、第1殺菌処理工程、第2殺菌処理工程および積層工程を有し、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程を積層工程後に同時に行うことを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を提供することができる。
本発明によれば、基材が紙基材、樹脂基材等のように、殺菌処理が基材を透過し、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面等にも到達可能な場合には、上記第1殺菌処理工程および上記第2殺菌処理工程を上記積層工程の後に同時に行うことで、殺菌処理工程の実施回数を減らすことができる。
なお、第1殺菌処理工程および第2殺菌処理工程を積層工程後に同時に行うこと以外は、各工程の詳細やその他の事項については、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
本発明においては、なかでも、上記基材が、紙基材または樹脂基材であることが好ましい。これらの基材は、第1積層体の表面に積層されている状態でも、基材の第1積層体側表面まで殺菌処理の効果が透過し易い。このため、上記基材は、積層工程の後に第1殺菌処理工程および第2殺菌処理工程を同時に行った場合でも、基材の両面粘着層側表面および両面粘着層の基材側表面等を安定的に殺菌できるからである。
F.バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法
次に、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法について説明する。
本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法は、上述のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を用いてバイオロジカルインジケータ用基材保管体を形成するバイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程と、上記バイオロジカルインジケータ用基材保管体に含まれる上記基材の上記菌層形成面に、上記指標菌を含む指標菌溶液を塗布し、上記指標菌を含む菌層を形成する菌層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法について図を参照して説明する。図10は、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法の一例を示す工程図である。図10に例示するように、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法は、上述のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を用いてバイオロジカルインジケータ用基材保管体30を形成し(図10(a))、次いで、上記バイオロジカルインジケータ用基材保管体30に含まれる上記基材1の上記菌層形成面1aに、上記指標菌を含む指標菌溶液3aを塗布aし(図10(b))、指標菌溶液の塗膜を乾燥することで、上記指標菌を含む菌層3を形成する方法である(図10(c))。
なお、図10(a)は、バイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程であり、図10(b)および(c)は、菌層形成工程である。
本発明によれば、上述のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法によりバイオロジカルインジケータ用基材保管体を準備することにより、上記製造方法は、殺菌装置の高精度な殺菌能力評価が可能なバイオロジカルインジケータ保管体を得ることができる。
本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法は、バイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程および菌層形成工程を有するものである。
以下、本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法の各工程について詳細に説明する。
なお、バイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程は、上記「E.バイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
1.菌層形成工程
本発明における菌層形成工程は、上記バイオロジカルインジケータ用基材保管体に含まれる上記基材の上記菌層形成面に、上記指標菌を含む指標菌溶液を塗布し、上記指標菌を含む菌層を形成する工程である。
本工程における指標菌溶液の調製方法および菌層の形成方法としては、上記「B.バイオロジカルインジケータ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.バイオロジカルインジケータ保管体の製造方法
本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法は、バイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程および菌層形成工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。
本発明のバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法により製造されるバイオロジカルインジケータ保管体については、上記「D.バイオロジカルインジケータ保管体」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
G.殺菌装置の殺菌能力評価方法
次に、本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法について説明する。
本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有するバイオロジカルインジケータを、殺菌対象物に貼り付ける貼り付け工程と、上記貼り付け工程後に、殺菌装置を用いて上記殺菌対象物を殺菌処理する殺菌工程と、上記殺菌工程後に、上記バイオロジカルインジケータに含まれる上記指標菌を培養することで上記殺菌対象物の殺菌状態を評価する評価工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法について図を参照して説明する。図11は、本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法の一例を示す工程図である。図11に例示するように、本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有するバイオロジカルインジケータ20を、殺菌対象物11である容器に貼り付けb(図11(a))、殺菌装置50を用いて上記殺菌対象物11を殺菌処理し((図11(b))、殺菌処理後の殺菌対象物11を殺菌装置から取り出し、上記バイオロジカルインジケータに含まれる基材をピンセット等の把持手段で把持して両面粘着層に対して所定の引っ張り力で引っ張ることにより、両面粘着層および基材の間を剥離cし、両面粘着層2を殺菌対象物11に残して、基材および菌層を含む積層体10aを評価用サンプルとして、培地62入りの培養容器である試験管61内に回収dし(図11(c))、次いで、試験管61の口を密栓63で封止し、評価用サンプルとして基材と共に回収された菌層に含まれる指標菌を試験管61内の培地62中で培養することで、上記殺菌対象物の殺菌状態を評価する方法である(図11(d))。
なお、図11(a)は貼り付け工程であり、図11(b)は殺菌工程であり、図11(c)および(d)は評価工程である。
また、この例は、殺菌装置50は、殺菌処理装置として過酸化水素ガス供給部51を有し、殺菌対象物である容器の内部および外表面にそれぞれ過酸化水素ガスg1およびg2を供給して過酸化水素殺菌するものである。また、殺菌装置50は、殺菌対象物11を搬送するベルトコンベア等の搬送装置53と、殺菌対象物11に対して過酸化水素ガス(g1およおびg2)を供給した後に、殺菌対象物11に対して加熱した乾燥空気hを供給し、殺菌対象物11を乾燥する乾燥装置52と、を有するものである。
本発明によれば、上述のバイオロジカルインジケータを用いることにより、殺菌装置の殺菌能力評価方法は、殺菌装置の殺菌能力評価を容易に行うことができる。
本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法は、貼り付け工程、殺菌工程および評価工程を有するものである。
以下、本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法の各工程について詳細に説明する。
1.貼り付け工程
本発明における貼り付け工程は、殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、上記基材の上記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、上記基材の上記菌層形成面に形成され、上記指標菌を含む菌層と、を有するバイオロジカルインジケータを、殺菌対象物に貼り付ける工程である。
本工程において、バイオロジカルインジケータを殺菌対象物に貼り付ける方法としては、殺菌対象物の評価対象部位に貼り付けて、測定用サンプルを作製できる方法であればよく、ピンセット等の把持手段を用いて評価対象部位にバイオロジカルインジケータを貼り付ける方法を用いることができる。
また、本工程は、通常、クリーンベンチ等の無菌条件下で行われるものである。
本工程において、殺菌対象物に貼り付けるバイオロジカルインジケータの数およびバイオロジカルインジケータが貼り付けられる評価対象部位については、本発明の殺菌能力評価方法の評価対象である殺菌装置および殺菌対象物に応じて適宜設定されるものである。
なお、殺菌対象物およびバイオロジカルインジケータについては、それぞれ、「A.バイオロジカルインジケータ用基材」および「B.バイオロジカルインジケータ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.殺菌工程
本発明における殺菌工程は、上記貼り付け工程後に、殺菌装置を用いて上記殺菌対象物を殺菌処理する工程である。
本工程における殺菌装置を用いた殺菌処理としては、殺菌対象物の種類等に応じて適宜設定されるものであるが、上記「A.バイオロジカルインジケータ用基材」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、殺菌装置としては、本発明の殺菌能力評価方法の評価対象となるものであり、殺菌対象物を殺菌処理するものである。このような殺菌装置としては、少なくとも、殺菌処理の種類に応じて設置される殺菌処理装置を含むものであればよく、必要に応じて、殺菌対象物を搬送する搬送装置、殺菌対象物を乾燥する乾燥装置等を有するものを用いることができる。
3.評価工程
本発明における評価工程は、上記殺菌工程後に、上記バイオロジカルインジケータに含まれる上記指標菌を培養することで上記殺菌対象物の殺菌状態を評価する工程である。
本工程における指標菌の培養方法については、殺菌対象物の殺菌状態を精度良く評価できる方法であればよく、指標菌を培地内に回収し、指標菌を培地内で培養する方法を挙げることができる。
指標菌の培地内への回収方法としては、殺菌対象物に貼付されているバイオロジカルインジケータから、少なくとも指標菌が含まれる菌層を回収できる方法であればよく、例えば、基材および菌層の両者を含む積層体を評価用サンプルとして培地内に回収する方法を挙げることができる。
本工程において、上記回収方法は、評価用サンプルが、両面粘着層を含むものであってもよいが、両面粘着層を含まないものであることが好ましい。本発明の評価方法は、殺菌対象物の表面に由来する菌等による影響を排除することができるからである。
両面粘着層を含まない評価用サンプルの準備方法としては、例えば、殺菌対象物に貼付されているバイオロジカルインジケータの基材をピンセット等の把持手段で把持して両面粘着層に対して引っ張ることにより、両面粘着層および基材の間を剥離し、両面粘着層を殺菌対象物に残して、基材および菌層を含み、両面粘着層を含まない評価用サンプルを準備する方法を挙げることができる。
指標菌が回収され、培養される培地、回収された指標菌を培地内で培養する際の培養条件、培養期間等については、一般的な殺菌状態の確認方法に用いられるものと同様とすることができ、指標菌の種類等に応じて適宜設定されるものである。
上記培地を保持して指標菌を培養する培養容器としては、指標菌の培養を行うことが可能なものであればよく、試験管や、シャーレ等の一般的な培養容器を用いることができる。
本工程における上記殺菌対象物の殺菌状態を評価する方法としては、指標菌を所定の期間内培養して、指標菌が培養により増殖する様子の有無を確認し、指標菌が増殖している様子が観察された場合には殺菌装置による殺菌対象物の殺菌状態確認箇所の殺菌が不十分であったと判断し、指標菌が発生しない場合には上記殺菌状態確認箇所の殺菌が十分なされていると判断する方法とすることができる。
指標菌が培養により増殖する様子の有無の確認方法としては、例えば、目視により確認する方法を用いることができる。
また、上記殺菌状態の評価方法としては、例えば、指標菌を液体培地で培養した結果を基に、最確数(MPN法)等にて残存菌数、及び殺菌効果を評価する方法を用いることもできる。
4.殺菌装置の殺菌能力評価方法
本発明の殺菌装置の殺菌能力評価方法は、貼り付け工程、殺菌工程および評価工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。
その他の工程としては、例えば、バイオロジカルインジケータが、バイオロジカルインジケータ保管体に含まれる状態である場合、バイオロジカルインジケータの両面粘着層および支持部の離型層の間を剥離して、バイオロジカルインジケータ保管体からバイオロジカルインジケータを取り出す取り出し工程を挙げることができる。
バイオロジカルインジケータ保管体からバイオロジカルインジケータを取り出す方法としては、ピンセット等の把持手段により、バイオロジカルインジケータの両面粘着層を把持して、支持部対してバイオロジカルインジケータを引っ張る方法を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
以下の手順により本発明のバイオロジカルインジケータを作製した。
(1)支持基板として準備した角型シャーレに、密着層および離型層として幅60mm、長さ130mm程度のフッ素系樹脂基材のテープ(日東電工社製 NITOFLON(登録商標)を貼り付け、支持部を作製した。
(2)次に、支持部のフッ素系樹脂基材(離型層)上に、両面粘着層として15mm幅の易剥離性両面テープ(ニチバン社製 ナイスタック(登録商標))を張り付けて第1積層体を作製した。
(3)次に、両面テープに対して、7mm×7mm角程度の正方形状となるように、切り込みを入れた。
(4)厚さ7μmのアルミニウム箔を3mm角〜5mm角程度の正方形状となるように、カットして基材を作製し、シャーレに回収した。
(5)第1積層体および基材であるカットしたアルミニウム箔を回収したシャーレをエチレンオキサイドガス(EOG)を用いて殺菌処理した。
(6)EOG殺菌処理後、クリーンベンチ内でピンセットを用いて基材であるアルミニウム箔を第1積層体の両面テープ上に貼り付けた。これにより本発明のバイオロジカルインジケータ用基材保管体を作製した。
(7)指標菌溶液として、指標菌および滅菌水を準備し、滅菌水に指標菌を懸濁した懸濁液を作製した。
次いで、アルミニウム箔上に、指標菌溶液1μL塗布することで塗膜を形成し、その塗膜を風乾することで、菌層を形成し、バイオロジカルインジケータ保管体を作製した。
指標菌の菌数は、基材であるアルミニウム箔1枚当たり2.0×10個〜3.0×10個とした。
なお、指標菌は、Bacillus.atrophaeus ATCC9372を用いた。
(評価)
得られたバイオロジカルインジケータ保管体から、バイオロジカルインジケータを取り出し、図12に示すように、殺菌対象物であるインモールド成型カップの内面胴上部に貼り付けて測定用サンプルを得た。
次いで、殺菌装置として、既に説明した図11に示すような、過酸化水素ガス供給部および乾燥装置を有するものを準備し、測定用サンプルを殺菌装置内に配置し、過酸化水素供給量を3g/分、5g/分および7g/分として、ガス化した過酸化水素を測定用サンプルであるカップ内面に1秒間噴霧する殺菌処理を施した後、150℃の乾燥エアをカップに対して1秒間吹き付ける乾燥処理を1秒間隔で4回実施した。
乾燥処理後、測定用サンプルに両面粘着層を残して、基材であるアルミニウム箔および菌層を含む積層体を評価用サンプルとして取り出し、試験管内のトリプトソイブイヨン培地中に回収し、密栓で密封した。そして、37℃の培養条件下で、7日間(培養期間)培養し、培養後の濁りの有無を目視により確認し、菌の殺菌を確認した。
評価は、n数を5で行った。すなわち、同一評価対象部位にバイオロジカルインジケータを貼り付けた測定用サンプルを5個作製し、5個の測定用サンプルから5個の評価用サンプルを作製して、評価を行った。
なお、表1中の殺菌効果の数値は、LRV(Log Reduction Value:対数減少値)を表わすものである。
表1中の菌発生数は、5個の測定用サンプルのうち菌の発生が認められなかった測定用サンプルの数を示すものである。
[比較例1]
バイオロジカルインジケータ保管体を準備せず、指標菌を含む指標菌溶液を、従来の直接塗布法により測定用サンプルを作成するために準備した。
(評価)
殺菌対象物であるインモールド成型カップの内面胴上部に、実施例1と同じ指標菌溶液1μL塗布し塗膜を形成し、その塗膜を風乾して、菌層が殺菌対象物に直接積層された測定用サンプルを作製した。
次いで、殺菌処理後に測定用サンプルを解体し菌層が形成された箇所を評価用サンプルとして切り出した以外は、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を下記表1に示す。
表1より、比較例1の直接塗布法と、実施例1の本評価方法とで、同様の殺菌効果が観察された。
したがって、本発明のバイオロジカルインジケータを用いた殺菌装置の殺菌能力評価は、従来の殺菌装置の殺菌能力評価と同様の評価結果が得られることが確認できた。
1 … 基材
1a … 菌層形成面
2 … 両面粘着層
2a … 支持体
2b1、2b2 … 粘着剤層
3 … 菌層
10 … バイオロジカルインジケータ用基材
20 … バイオロジカルインジケータ
30 … バイオロジカルインジケータ用基材保管体
31 … 支持部
31a … 支持基板
31b … 密着層
31c … 離型層
40 … バイオロジカルインジケータ保管体
50 … 殺菌装置

Claims (8)

  1. 殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、
    前記基材の前記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、
    を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材。
  2. 前記基材の平面視面積は、前記両面粘着層の平面視面積より小さいことを特徴とする請求項1に記載のバイオロジカルインジケータ用基材。
  3. 殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、
    前記基材の前記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、
    前記基材の前記菌層形成面に形成され、前記指標菌を含む菌層と、
    を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ。
  4. 支持基板、前記支持基板の一方の表面に形成された密着層および前記密着層の前記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、
    前記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータ用基材と、
    を有し、
    前記バイオロジカルインジケータ用基材は、
    殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、
    前記基材の前記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、
    を有し、
    前記両面粘着層が前記離型層と接するように前記支持部の表面に配置されることを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材保管体。
  5. 支持基板、前記支持基板の一方の表面に形成された密着層および前記密着層の前記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、
    前記支持部の表面に配置されたバイオロジカルインジケータと、
    を有し、
    前記バイオロジカルインジケータは、
    殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、
    前記基材の前記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、
    前記基材の前記菌層形成面に形成され、前記指標菌を含む菌層と、
    を有し、
    前記両面粘着層が前記離型層と接するように前記支持部の表面に配置されることを特徴とするバイオロジカルインジケータ保管体。
  6. 支持基板、前記支持基板の一方の表面に形成された密着層および前記密着層の前記支持基板とは反対側の表面に形成された離型層を有する支持部と、前記支持部に含まれる前記離型層の前記密着層とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、を有する第1積層体を準備する第1積層体準備工程と、
    前記第1積層体準備工程により得られた前記第1積層体を殺菌処理する第1殺菌処理工程と、
    殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材を殺菌処理する第2殺菌処理工程と、
    前記基材を、前記第1積層体に含まれる前記両面粘着層の前記離型層とは反対側の表面に配置する積層工程と、
    を有し、
    前記積層工程は、前記第1殺菌処理工程および前記第2殺菌処理工程後に行われることを特徴とするバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法。
  7. 請求項6に記載のバイオロジカルインジケータ用基材保管体の製造方法を用いてバイオロジカルインジケータ用基材保管体を形成するバイオロジカルインジケータ用基材保管体準備工程と、
    前記バイオロジカルインジケータ用基材保管体に含まれる前記基材の前記菌層形成面に、前記指標菌を含む指標菌溶液を塗布し、前記指標菌を含む菌層を形成する菌層形成工程と、
    を有することを特徴とするバイオロジカルインジケータ保管体の製造方法。
  8. 殺菌状態の確認に用いられる指標菌が配置される菌層形成面を有する基材と、
    前記基材の前記菌層形成面とは反対側の表面に形成された両面粘着層と、
    前記基材の前記菌層形成面に形成され、前記指標菌を含む菌層と、
    を有するバイオロジカルインジケータを、殺菌対象物に貼り付ける貼り付け工程と、
    前記貼り付け工程後に、殺菌装置を用いて前記殺菌対象物を殺菌処理する殺菌工程と、
    前記殺菌工程後に、前記バイオロジカルインジケータに含まれる前記指標菌を培養することで前記殺菌対象物の殺菌状態を評価する評価工程と、
    を有することを特徴とする殺菌装置の殺菌能力評価方法。
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