JP2009245935A - 透明導電性積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明導電性積層フィルムの製造方法は、JIS B0601−1994に規定の算術平均粗さRa、最大高さRyおよび十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たす保護層を、ノルボルネン系樹脂フィルム上に形成する工程(A)、およびポリエチレンジオキシチオフェンを含有する導電性塗料を、該保護層上に塗工し、放射線を照射して透明導電層を形成する工程(C)を含むことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
また、液晶ディスプレー等の平板型画像表示装置に装着されるタッチパネルや電子ペーパー等において、透明電極フィルムを用いる場合には透明性に優れ、複屈折が小さく、高強度で高耐熱性、低吸水性である必要があり、このような特性を満足した上に、変形に対し耐性のある導電層を有するフィルムが見出される必要が生じている。
本発明の透明導電性積層フィルムの製造方法は、JIS B0601−1994に規定の算術平均粗さRa、最大高さRyおよび十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たす保護層を、ノルボルネン系樹脂フィルム上に形成する工程(A)、およびポリエチレンジオキシチオフェンを含有する導電性塗料を、該保護層上に塗工し、硬化して透明導電層を形成する工程(C)を含むことを特徴とするものである。
上記ノルボルネン系樹脂フィルムは、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体から導かれる構造単位を有する樹脂からなることが好ましい。
本発明は、上記製造方法により製造された透明導電性積層フィルムであって、該フィルムの透明導電層の表面抵抗率が、2×103Ω/□以下であり、かつ、該フィルムの保護層または透明導電層の算術平均粗さRa、最大高さRyおよび十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たすことを特徴とするものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
上記ノルボルネン系樹脂フィルムを構成するノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系化合物を少なくとも1種含む単量体組成物を重合し、また必要に応じてさらに水素添加して得られた樹脂である。
上記単量体組成物に用いられるノルボルネン系化合物としては、例えば、下記式(1)で表されるノルボルネン系化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルカルボニルオキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシエチルカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジブロモ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−アミノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−エチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シクロヘキシル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−フェニル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−(4−ビフェニル)−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8,9−トリメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
8−メチル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
8−フェニル−トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン、
7−フルオロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ブロモ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8−ジクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7,8,9−トリクロロ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−クロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ジクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−トリクロロメチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−ヒドロキシ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−シアノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
7−アミノ−トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.18,11.07,12]ペンタデカ−3−エン、
ヘキサシクロ[8.4.0.12,5.17,14.19,12.08,13]ヘプタデカ−3−エン、
8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−(4−ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フェニルカルボニルオキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−フェノキシエチルカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,9−ジメチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−フルオロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−クロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ブロモ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,9−ジクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8,8,9,9−テトラクロロ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ヒドロキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−ヒドロキシエチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
8−アミノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン。
−(CH2)zCOOR …(2)
(式中、Rは、置換または非置換の炭素原子数1〜15の炭化水素基を表し、zは、0または1〜10の整数を表す。)
上記単量体組成物の重合方法については、単量体組成物の重合が可能である限り、特に制限されるものではないが、例えば、開環(共)重合反応または付加(共)重合反応によって重合することができる。
開環重合による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の開環重合反応により行うことができ、上記単量体組成物を、重合触媒、重合反応用溶媒および必要に応じて分子量調節剤を用いて、開環重合させることによって製造することができる。
本発明において、単量体組成物の重合を開環(共)重合反応により行う場合は、メタセシス触媒の存在下で行われる。
(A)W、MoまたはReを有する化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下「化合物(A)」という。)と、
(B)デミングの周期律表IA族元素(例えば、Li、Na、K等)、IIA族元素(例えば、Mg、Ca等)、IIB族元素(例えば、Zn、Cd、Hg等)、IIIA族元素(例えば、B、Al等)、IVA族元素(例えば、Si、Sn、Pb等)またはIVB族元素(例えば、Ti、Zr等)を有する化合物であって、この元素と炭素原子との結合またはこの元素と水素原子との結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下「化合物(B)」という。)との組み合わせからなる触媒である。
上記化合物(A)としては、W、MoまたはReを有するハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリド錯体およびその誘導体、あるいはこれらの組み合わせが挙げられるが、WまたはMoを有する化合物、特にこれらハロゲン化物、オキシハロゲン化物およびアルコキシハロゲン化物が、重合活性、実用性の点から好ましい。また、反応によって上記化合物を生成する2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。さらに、これらの化合物は、適当な錯化剤、例えば、P(C6H5)5、C5H5Nなどによって錯化されていてもよい。
(1)単体ホウ素、BF3、BCl3、B(O-n-C4H9)3、(C2H5O3)2、BF、B2O3、H3BO3等のホウ素の非有機金属化合物、Si(OC2H5)4等のケイ素の非有機金属化合物;
(2)アルコール類、ヒドロパーオキシド類およびパーオキシド類;
(3)水;
(4)酸素;
(5)アルデヒド、ケトン等のカルボニル化合物およびその重合物;
(6)エチレンオキシド、エピクロルヒドリン、オキセタン等の環状エーテル類;
(7)N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、アニリン、モルホリン、ピペリジン等のアミン類およびアゾベンゼン等のアゾ化合物;
(8)N−ニトロソジメチルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン等のN−ニトロソ化合物;
(9)トリクロルメラミン、N−クロルサクシノイミド、フェニルスルフェニルクロリド等のS−ClまたはN−Cl基を含む化合物。
メタセシス触媒の使用量は、上記化合物(A)と重合に供される全単量体のモル比(化合物:全単量体)が、通常1:500〜1:50,000、好ましくは1:1,000〜1:10,000となる量が望ましい。
化合物(A)と化合物(B)との割合(化合物(A):化合物(B))は、金属原子比で1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30が望ましい。
化合物(A)と化合物(C)との割合(化合物(C):化合物(A))は、モル比で0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1が望ましい。
開環(共)重合反応において用いられる重合溶媒としては、重合に供される単量体組成物や触媒等が溶解して、かつ触媒が失活することがなく、また生成した開環(共)重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン;クロロベンゼン等のハロゲン化アリール化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタン等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。このような重合溶媒は、分子量調節剤溶液を構成する溶媒、上記ノルボルネン系化合物、共重合可能な単量体および/またはメタセシス触媒を溶解するための溶媒として用いられる。
重合溶媒の使用量は、溶媒と重合に供する単量体組成物との重量比(溶媒:単量体組成物)は、通常1:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1となる量が望ましい。
得られる開環(共)重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって調節することも可能であるが、分子量調節剤を反応系に共存させることによっても調節することができる。
好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−エチルスチレンが挙げられる。これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。このような分子量調節剤は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
分子量調節剤の使用量は、開環(共)重合反応に供されるノルボルネン系化合物1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。
上記開環(共)重合体は、ノルボルネン系化合物単独で、またはノルボルネン系化合物と共重合可能な単量体とを開環(共)重合させて得ることができるが、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の共役ジエン化合物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなど、主鎖に炭素−炭素間二重結合を2つ以上含む不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下でノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を開環(共)重合させてもよい。
付加(共)重合反応による重合体の製造は、ノルボルネン系化合物について公知の付加重合反応により行うことができ、ノルボルネン系化合物を含む単量体組成物を、重合触媒、必要に応じて重合反応用溶媒、および必要に応じて分子量調節剤を用いて、付加重合させることによって製造することができる。
上記付加(共)重合反応に係る重合触媒としては、例えば、下記(b−1−1)〜(b−1−3)のようなパラジウム、ニッケル、コバルト、チタニウム、ジルコニウム等の単一触媒や多成分系触媒が挙げられるが、該重合触媒はこれらに限定されるものではない。
〔Pd(CH3CN)4〕〔BF4〕2、〔Pd(PhCN)4〕〔SbF6〕〔(η3−crotyl)Pd(cycloocta−1,5−diene)〕〔PF6〕、〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔B(3,5−(CF3)2C6F3)4〕、〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔PF6〕、〔(η3−allyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔B(C6F5)4〕、〔(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)〕〔SbF6〕、Toluene・Ni(C6F5)2、Benzene・Ni(C6F5)2、Mesitylene・Ni(C6F5)2、Ethylether・Ni(C6F5)2等が挙げられる。
σまたはσ,π結合を有するパラジウム錯体と有機アルミニウムまたは超強酸塩との組み合わせ、ジ−μ−クロロ−ビス(6−メトキシビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pdと、メチルアルモキサン(MAOと略す)、AgSbF6またはAgBF4から選ばれた化合物との組み合わせ、〔(η3−アリール)PdCl〕2と、AgSbF6またはAgBF4との組み合わせ、〔(cycloocta−1,5−diene)Pd(CH3)Cl〕とPPh3とNaB〔3,5−(CF3)2C6H3〕4との組み合わせ等が挙げられる。
(I)ニッケル化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物から選ばれた遷移金属化合物、
(II)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物、
(III)有機アルミニウム化合物
の3成分から成る組み合わせ。
上記遷移金属化合物(I)の例としては、下記(I−1)および下記(I−2)が挙げられる。
である。)。
(II−1)超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス〔3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル〕ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸等である。
ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物等の遷移金属化合物は、単量体1モルに対して、0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物は、遷移金属化合物1モル原子に対して1〜5,000モル、また非共役ジエン、ルイス酸、イオン性ホウ素化合物は遷移金属化合物の1モル原子に対して0〜100モルである。
上記付加(共)重合反応において用いられる重合溶媒としては、重合に供される単量体組成物や触媒等が溶解してかつ触媒が失活することがなく、また、生成した付加重合体が溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
付加(共)重合体の分子量の調節を、分子量調節剤として水素またはα−オレフィンを重合系内に添加することにより行うこともできる。生成する付加(共)重合体の分子量は、添加する分子量調節剤が多いほど低下する。
上記開環(共)重合反応により得られる重合体は、その分子中にオレフィン性不飽和結合を有している。また、上記付加(共)重合反応においても、重合体がその分子中にオレフィン性不飽和結合を有する場合がある。このように、重合体分子中にオレフィン性不飽和結合が存在すると、係るオレフィン性不飽和結合が経時着色やゲル化等劣化の原因となる場合があるので、このオレフィン性不飽和結合を飽和結合に変換する水素添加反応を行うことが好ましい。
これらの水素添加触媒は、通常、開環(共)重合体と水素添加触媒との重量比(開環(共)重合体:水素添加触媒)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
ノルボルネン系樹脂は、固有粘度〔η〕inhが、好ましくは0.2〜2.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは0.4〜0.85dl/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、好ましくは5000〜100万、さらに好ましくは1万〜50万、特に好ましくは1.5万〜25万であり、重量平均分子量(Mw)が1万〜200万、さらに好ましくは2万〜100万、特に好ましくは3万〜50万のものが好適である。固有粘度〔η〕inh、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲にあると、ノルボルネン系樹脂フィルムは機械的強度が優れたものとなり、破損しにくいノルボルネン系樹脂製フィルムが得られる。
本発明の目的を損なわない範囲において、ノルボルネン系樹脂にさらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を添加することができる。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を直接溶融成形することにより、または溶媒に溶解しキャスティング(キャスト成形)する方法により好適に成形することができる。
本発明に用いるノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂またはノルボルネン系樹脂と上述した添加剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形することにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形等を挙げることができる。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解した液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラムまたはポリエステルフィルム等の基材の上に、該液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させ、その後基材から塗膜を剥離することにより、ノルボルネン系樹脂フィルムを得ることができる。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、光透過性が通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であるのが望ましい。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、透明導電層または保護層との接着性を高める目的で、表面処理を施したものであることが好ましい。該表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられるが、これらのうち、プラズマ処理、コロナ処理およびコーティング処理が好ましい。表面処理の条件は、使用する高分子フィルムの特性により異なるが、高分子フィルム表面の水の接触角が、70°以下、好ましくは60°以下、より好ましくは40°以下になるように親水化することが望ましい。また、コロナ処理の条件にて、上記数値範囲を満たす接触角を得るためのコロナ放電電子の照射量としては、10〜1000W/m2/分が好ましく、50〜500W/m2/分がより好ましい。上記下限値より照射量が低い場合には、充分な表面処理の効果が得られないことがある。また上記上限値より照射量が高い場合には、基材となるノルボルネン系樹脂フィルムに損傷を与えるおそれがある。加えて、コロナ処理を、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスまたは二酸化炭素等の雰囲気下で行うことで、さらなる親水化効果が得られる。さらに、コーティング処理を施した後、コーティング層を含むノルボルネン系樹脂フィルムにコロナ処理を施すこと、ノルボルネン系樹脂フィルムにコロナ処理した後にコーティングすることも好ましい。コーティング層を含むノルボルネン系樹脂フィルムにコロナ処理を施す場合も、コーティング層表面の水の接触角が70°以下、好ましくは60°以下、より好ましくは40°以下となっていることが望ましい。
上記ポリウレタン層は、ノルボルネン系樹脂フィルム表面に、ポリウレタン組成物を塗布することにより形成される。該ポリウレタン組成物には、ポリウレタン樹脂および溶剤が含有される。
合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン、アントラハイドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のポリエーテルポリオールのうち、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が好ましい。
上記ポリウレタン組成物に用いられる溶剤は、上述したポリウレタン樹脂を溶解または分散するものであれば特に制限はない。また、ポリウレタン組成物は有機溶剤系であってもよいし、エマルジョン、コロイド分散液、水溶液等の水系であってもよい。
上記エポキシ系架橋剤は、分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有しているものであれば特に制限されるものではない。例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、ハロゲン化エポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、エポキシ化合物として、共役ジエン系モノマーの重合体、共役ジエン系モノマーとエチレン性不飽和結合基を有する化合物との共重合体、ジエン系モノマーとエチレン性不飽和結合性基を有する化合物との共重合体、天然ゴム等の(共)重合体をエポキシ化した化合物も挙げられる。
ノルボルネン系樹脂フィルムは、延伸処理を施した位相差フィルムであってもよい。延伸処理の方法としては、樹脂フィルムを一軸延伸または二軸延伸する方法が用いられる。
二軸延伸処理法の場合、同時に二方向に延伸処理を行う方法、一軸延伸処理した後に該延伸処理における延伸方向と異なる方向に延伸処理する方法を利用することができる。このとき、2つの延伸軸の交わり角度は、目的とする光学フィルムに要求される特性に応じて決定され、特に限定されないが、通常、120〜60度の範囲である。また、延伸速度は、各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常は1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、より好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
このようなノルボルネン系樹脂フィルムは、市販のものであってもよく、例えば、ARTON(登録商標)FILM G(JSR株式会社製、膜厚188μm)、ARTON(登録商標)FILM R50(JSR株式会社製、膜厚150μm)等が好適である。
工程(A)とは、本発明の透明導電性積層フィルムの製造方法において、JIS B0601−1994に規定の算術平均粗さRa、最大高さRyおよび十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たす保護層を、上述したノルボルネン系樹脂フィルム上に形成する工程である。
保護層は、紫外線、電子線等の放射線である活性エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂(以下「バインダー」ともいう。)と粒子とを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下「保護層形成用組成物」ともいう。)を、活性エネルギー線により硬化させてなる層である。なお、上記ハードコート層は、上記バインダーを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下「ハードコート処理剤」ともいう。)を活性エネルギー線により硬化させてなる層(以下「ハードコート層」ともいう。)である。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、さらにアクリレート化合物を含有することが好ましい。
アクリレート化合物は、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有しているものであれば特に制限されるものではない。例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらのうち、多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の反応性を向上させることができる。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート類;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類;
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら単官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリヒドロキシエチルトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;
イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌレートのポリ(メタ)アクリレート類;
トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート等のシクロアルカンのポリ(メタ)アクリレート類;
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸とから得られる(メタ)アクリレート等のビスフェノールAの(メタ)アクリレート誘導体類;
3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタンジ(メタ)アクリレート、3−(2−パーフルオロヘキシル)エトキシ−1,2−ジ(メタ)アクリロイルプロパン、N−n−プロピル−N−2,3−ジ(メタ)アクリロイルプロピルパーフルオロオクチルスルホンアミド等の含フッ素(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらのうち、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなど、1分子内に含まれるアクリロイル基の数が多く、架橋密度の向上が図れ、優れた硬度を与える多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。これら多官能(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
アクリレート化合物を硬化させる際には、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)を用いることが好ましい。
光重合開始剤(光ラジカル発生剤)の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイルプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。これらのうち、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。これら光重合開始剤(光ラジカル発生剤)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に含有される粒子としては、無機粒子、有機粒子およびこれらの併用でもよい。
保護層における、粒子の含有量は、保護層の全重量に対して10〜50重量%程度が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。これにより、白ぼけ、黒浮き等のむらを防止することができ、背景画像を鮮明に表示することができる。加えて、アンチニュートンリング性と、ギラツキをも防止し、これらのバランスを適切に調整することが可能となる。
いずれの場合においても、形成された保護層の表面形状は、0.1≦Ra≦0.2μm、かつ0.2≦Rz≦2.0μmといった数値範囲内に制限することにより、保護層の透明性を確保して、ヘイズを適切な値に調節することができる。これにより、黒の背景画像の表面に本発明の透明導電性積層フィルムを配置した場合に、いわゆる白ぼけ、黒浮きなど、黒の背景画像にぼやけた白っぽい部分が生じることを有効に防止することができ、背景画像を鮮明に映し出すことができる。加えて、Ryを0.5≦Ry≦2.5μmとすることで、抵抗膜式タッチパネルにおいて、非接触時の誤動作を有効に防ぐことができる。なお、上記Ra、RyおよびRzは、それぞれJIS B0601−1994に規定の算術平均粗さ、最大高さおよび十点平均粗さを表す。
活性エネルギー線の照射は、特に限定されず、用いる樹脂組成物の組成、活性エネルギー線の種対、樹脂組成物の厚み等に応じて、当該分野で広知の方法によって、適宜調整して行うことができる。保護層の膜厚は特に限定されないが、通常、1〜20μm程度であることが好ましく、1〜10μm程度であることがより好ましく、さらに好ましくは1〜5μm程度である。
工程(B)とは、本発明の透明導電性積層フィルムの製造方法において、好ましくは上記工程(A)に続く工程であって、上記保護層に表面処理を施す工程である。
上記保護層は、透明導電層との接着性を高める目的で、表面処理を施したものであることが好ましい。表面処理としては、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられるが、これらのうち、コロナ処理は、保護層と透明導電層との密着を強固とすることができるため好ましい。この場合のコロナ処理の条件としては、コロナ放電電子の照射量として1〜1,000W/m2/minが好ましく、10〜100W/m2/minがより好ましい。1W/m2/minより照射量が低い場合には、十分な表面改質効果が得られない場合があり、また1,000W/m2/minより照射量が高い場合には、保護層の内部にまで処理効果が及び、保護層そのものが変質してしまう恐れがある。また、透明導電層を設ける面と反対側にも保護層またはハードコート層を有する場合には、保護層またはハードコート層にも、表面処理を施してもよい。
工程(C)とは、本発明の透明導電性積層フィルムの製造方法において、上記工程(A)、好ましくは上記工程(B)に続く工程であって、ポリエチレンジオキシチオフェンを含有する導電性塗料を、上記保護層上に塗工し、放射線を照射して透明導電層を形成する工程である。
導電性塗料としては、ポリエチレンジオキシチオフェンを含有する塗料であれば特に限定されるものではないが、該ポリエチレンジオキシチオフェンと、ポリスチレンスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド化合物と、(メタ)アクリルモノマーと、光重合開始剤とを含有することが好ましい。具体的には、エチレンジオキシチオフェンを酸化重合し、ポリスチレンスルホン酸と、(メタ)アクリルアミド化合物と、(メタ)アクリルモノマーと、光重合開始剤を加えて溶剤中に分散したものである。
π共役系導電性高分子として、ポリエチレンジオキシチオフェンを用いることが、透明性、抵抗値、および環境安定性の点から好ましい。
ポリスチレンスルホン酸を用いることで、ポリエチレンジオキシチオフェンのドーパントとして機能させることができる。加えて、ポリエチレンジオキシチオフェンを溶媒に可溶化させる上でも好適である。
(メタ)アクリルアミド化合物としては、ビニル基およびアミド結合を有する化合物であれば、特に制限はない。具体的には、N−ビニル−アセトアミド、N−ビニル−プロピオンアミド、N−ビニル−ブチルアミド、N−ビニル−イソブチルアミド、N−メチル−N−ビニル−アセトアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーは、環境安定性を向上させるために用いられる。例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらのうち、多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、より環境安定性を向上させることができる。
光重合開始剤は、紫外線の照射によって、上記の(メタ)アクリルアミド化合物および上記(メタ)アクリルモノマーを硬化させるために用いられる。具体的には、光ラジカル発生剤および/または熱ラジカル発生剤であるラジカル重合開始剤が好適である。
界面活性剤は、導電性塗料をフィルム面に対して均一に塗布するために用いられる。すなわち、塗料の表面張力を下げることにより、ハジキのない塗布面を形成し、抵抗値の面内均一性を高めることができると考えられる。
上記界面活性剤の添加量は、特に制限されるものではないが、導電性塗料の固形分の合計を100重量部としたときに、通常、0.001〜10重量部が好ましい。上記界面活性剤の添加量が0.001重量部未満となると、添加効果の発現に乏しい傾向がある。一方、界面活性剤の添加量が10重量部を越えると、導電性の低下が引き起こされる傾向がある。
粘度調整剤は、透明導電層の表面抵抗率の均一性をより高めるため好適である。すなわち、塗工時からその直後においては低粘度であって、均一塗工性と適度なレベリング性とを有し、一方で、溶媒および/または分散媒の乾燥が進んだ状態では、透明導電層の厚みおよび表面形状が変化しないような高粘度の状態となることでより均一な抵抗値が得られると考えられる。
また、円相当径と厚さとの比(アスペクト比)は、通常2〜200、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜200である。アスペクト比が、上記数値範囲内であると濃度に応じた適度なチキソトロピー性を導電性塗料に効果的に付与することが可能となり、導電層の厚みをより均一に保つことができる。
Al2Si3O12、Fe7Si8O22(OH)2、CaSO4・2H2O、NaCl、Al2Si2O5(OH)4、Al2Si2O5(OH)4・2H2O、Ba(Al2Si6O16)・6H2O、NaCa2Fe4(Al,Fe)Al2Si6O22(OH)2、(Na,Ca)4-8(AlSiO4)6(SO4)1-2、(Mg,Li)3Si4O10(OH)2Na0.3・4H2O、CaFeSi2O6、Fe2O6、Zn4(Si2O7)(OH)2・H2O、FeAl2O4、CaAl2Si7O18・6H2O、Ba2Mn8O16、Li2(Mg,Fe)3(Al,Fe3+)2Si8O22(OH)2、(Ca,Na)2-3(Mg,Fe,Al)5Si6(Si,Al)2O22(OH)2、MnWO4、Mg7(SiO4)3(F,OH)2、(K,Ba)(Al,Si)2Si2O8、CaMgB6O8(OH)6・3H2O、Ca3Al2(Si2O8)(SiO4)1-m(OH)4m、Ca5(PO4)3(OH)、Zn5(CO3)2(OH)6、(Mg,Fe)SiO3、FeTiO3、CaFe2+ 3Fe3+O(Si2O7)(OH)、(Mg,Fe)2Al4Si5O18・nH2O、CaB3O3(OH)5・4H2O、AgI、Ag(Cl,Br,I)、MnFe2O4、NaAlSi2O6、KFe3(SO4)2(OH)6、(Mg,Fe)10Si12O32(OH)4、CaMnSi2O6、KMg(Cl,SO4)・2.75H2O、KAlSiO4、Al2Si2O5(OH)4、Na2B4O6(OH)2・3H2O、MgSO4・H2O、CaFeSiO4、CuAuTe4、AuTe2、CaMn(CO3)2、Al2SiO5、Na3Sr2Ti3(Si2O7)2(O,OH,F)2、K2Mg2(SO4)3、Ca(Al2Si4O12)・4H2O、CaAl2(Si2O7)(OH)2・H2O、(Mg,Fe)Al2(PO4)2(OH)2、(Na,Ca)8(AlSiO4)6(SO4,S,Cl)2、γFeO(OH)、K(Li,Al)2-3(AlSi3O10)(O,OH,F)2、KAlSi2O6、FeO・OH・nH2O、Co3S4、PbO、Li(Mn,Fe)PO4、Cu3AsS4、γFe2O3、MgCr2O4、MgFe2O4、MgCO3、Fe3O4、Cu2(CO3)(OH)2、MnO(OH)、(Mn,Fe)Ta2O6、(Na,K)Mn8O16・nH2O、FeS2、CaAl2(Al2Si2)10(OH)2、Na4(AlSi3O8)3(Cl2,CO3,SO4)、Ca4(Al2Si2O8)3(Cl2,CO3,SO4)、Ca3Fe2(SiO4)3、FeSO4・7H2O、KAlSi3O8、Ca2Ta2O6(O,OH,F)、NiS、Pb5(AsO4)3Cl、Pb3O4、Fe3Si4O10(OH)2、MoS2、(Ce,La,Y,Th)PO4、(Li,Na)Al(PO4)(OH,F)、CaMgSiO4、(Al,Mg)8(Si4O10)4(OH)8・12H2O、KAl2(AlSi3O10)(OH)2、Al2Si2O5(OH)4、Pb5Au(Te,Sb)4S5-8、(Na,K)Al3(SO4)2(OH)6、Na2Al2Si3O10・2H2O、(Na,K)AlSiO4、KNa2Li(Fe,Mn)2TiO2(Si4O11)2、NiAs、KNO3、NaNO3、Fe2(Al,Si)4O10(OH)2Na0.3・nH2O、Mg3(SiO4)(F,OH)2、Na8(AlSiO4)6SO4、
(Mg,Fe)2SiO4、(Ca、Na)(Mg,Fe,Al)Si2O6、As2S3、KAlSi3O8、FeSiO3、NaAl2(AlSi3O10)(OH)2、NaCa2Fe4(Al,Fe)Al2Si6O22(OH)2、VS4、Ca2NaH(SiO3)3、CaTiO3、Li(AlSi4O10)、Be2SiO4、Kca(Al3Si5O16)・6H2O、KMg3(AlSi3O10)(OH)2、Pb2CO3Cl2、Ca2MnAl2O(SiO4)(Si2O7)(OH)、Cu8(Si4O11)2(OH)2・H2O、K2Ca2Mg(SO4)2・2H2O、KAlSi3O8、CaMoO4、Ca2Al(AlSi3O10)(OH)2、Ag3AsS3、CaSiO3、Ag3SbS3、MnO2、Pb5(PO4)3Cl、MnTiO3、Al2Si4O10(OH)2、Na2Ti2Si2O9、AsS、MnCO3、MnSiO3、Na2Fe2+ 3Fe3+ 2Si8O22(OH)2、Mg2SiO4、KV2(AlSi3O10)(OH2)、(K,Na)AlSi3O8、(Mg,Fe)3(Al,Si)4O10(OH)2(Ca0.5,Na)0.3・4H2O、CaWo4、CaAl2Si3O10・3H2O、(Fe,Mg)Al2(PO4)2(OH)2、Cu5(SiO3)4(OH)2、FeCO3、Al2SiO5、Mg(Al,Fe)BO4、ZnCO3、LiAlSi2O6、Cu2FeSnS4、Fe2Al9O6(SiO4)4(O,OH)2、Sb2O3、NaCa2Al5Si13O36・14H2O、PbWo4、SrCO3、(Au,Ag)Te2、(Fe,Mn)Ta2O6、CuO、Mn2SiO4、ThSiO4、Na2B4O5(OH)4・3H2O、CaTiO(SiO4)、Al2SiO4(F,OH)2、Cu(UO2)2(PO4)2・8-12H2O、(Na,Ca)(Li,Mg,Al)(Al,Fe,Mn)6(BO3)3(Si6O18)(OH)4、Ca2Mg5Si8O22(OH)2、CuAl6(PO4)4(OH)8・5H2O、Ca(UO2)2(VO4)2・5-8.5H2O、NaCaB5O6(OH)6・5H2O、Pb5(VO4)3Cl、Al(PO4)・2H2O、(Mg,Ca)0.3(Mg,Fe,Al)3.0(Al,Si)4O10(OH)4・8H2O、Ca10(Mg,Fe)2Al4(SiO4)5(Si2O7)2(OH)4、Fe3(Po4)2・8H2O、Al3(PO4)2(OH)3・5H2O、Zn2SiO4、BaCO3、(Fe,Mn)WO4、CaSiO3、PbMoO4、ZnS、Ca(Mg,Al)3-2(Al2Si2O10)(OH)2、(Mg,Al,Fe3+)8Si4(O,OH)20、ZnO、ZrSiO4、Ca2Al3O(SiO4)(Si2O7)(OH)等が挙げられる。
透明導電層は、通常、上述した導電性塗料を、ノルボルネン系樹脂フィルムまたは該フィルムに保護層を積層したフィルムに塗布、乾燥、加えて放射線(紫外線および/または電子線)を照射することにより形成することができる。
透明導電層の厚さとしては、特に限定するものではないが、通常、0.01〜5μm、好ましくは0.02〜4μm、より好ましくは0.05〜3μm程度である。透明導電層の厚さが薄すぎると、所定の膜強度が得られない場合があり、また厚すぎると、透明導電性積層フィルムの光透過性が損なわれる場合がある。
透明導電層は、その全光線透過率が通常80%以上、好ましくは90%以上であることが望ましい。
本発明の透明導電性積層フィルムは、上記工程(A)および(C)を含む製造方法により製造され、該フィルムの透明導電層の表面抵抗率が、2×103Ω/□以下、好ましくは1.5×103Ω/□以下であり、かつ、該フィルムの透明導電層の該算術平均粗さRa、該最大高さRyおよび該十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たすことを特徴とするものである。それぞれ、特に、0.1≦Ra≦0.15μm、1.0≦Ry≦2.0μmおよび0.5≦Rz≦1.5μmであることが視認性のバランスの点で好ましい。
このような透明導電性積層フィルムは、下記の各種物性値を有することが好ましい。
透明導電性積層フィルムの全光線透過率は、例えば、市販されているスガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP型」等を用いて測定する場合、80〜95%が好ましく、85〜90%がより好ましい。
透明導電性積層フィルムのヘイズは、例えば、市販されているスガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP型」等を用いて測定する場合、0〜40%が好ましく、5〜10%がより好ましい。
表面抵抗率を2×103Ω/□以下とすることにより、変形等への耐性がありながら充分な導電性を有し、透明電極としての機能を充分に有する透明導電性積層フィルムを得ることができる。なお、表面抵抗率は、三菱化学(株)製の低抵抗率計「ロレスタ−GP」等を用いて測定することができる。
透明導電性積層フィルムの抵抗値の面内均一性は、以下の方法により求める場合、2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。
電位のズレ(%)=[(電位実測値)−(電位計算値)]/(電位計算値)×100
測定10×10点において上記電位のズレを求め、その絶対値の最大値を抵抗値の面内均一性(%)とする。
本発明の透明導電性積層フィルムは、屈曲時における表面抵抗の曲率半径依存性が小さいものが好ましい。具体的には、曲率半径0.5mmまで変形したときの抵抗値が、曲率半径100mmに変形したときの抵抗値に対し、変化率で1.5倍以内であることが好ましい。
(表面抵抗[Ω])=(印加電圧)/(測定された電流値)
透明導電性積層フィルムの環境耐久性として、該フィルムを温度85℃、相対湿度85%の環境下にて300時間保持する前後の表面抵抗率を、それぞれR0、Rとする場合の抵抗率変化を下式に従い求める場合、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。
(抵抗変化率)=R/R0
透明導電性積層フィルムの透明導電層表面または保護層表面の、JIS B0601−1994に規定の算術平均粗さRaは、触針式表面形状測定機(FORM TALYSURF SERIES2、Taylor Hobsons社製)を用いて、測定長5mmにて測定する場合、0.1≦Ra≦0.2μmが好ましく、0.1≦Ra≦0.15μmがより好ましい。同様に、最大高さRyは、0.5≦Ry≦2.5μmが好ましく、1.0≦Ry≦2.0μmがより好ましく、十点平均粗さRzは、0.2≦Rz≦2.0μmが好ましく、0.5≦Rz≦1.5μmがより好ましい。なお、透明導電層は薄膜であることから、保護層の表面粗さを追随し、透明導電性積層フィルム自体の表面粗さも保護層と同一の数値範囲に規定される。
透明導電性積層フィルムのアンチニュートンリング性の評価法として、3波長の蛍光灯の下、黒い台紙の上にガラス板を乗せ、導電面を指で押し当てた時のニュートンリングを目視により観察する。この評価法にてニュートンリング(干渉ムラ)が見られないことが好ましい。
本発明のタッチパネルは、上記透明導電性積層フィルムを具備してなることを特徴とするものである。
本発明の表示装置は、上記タッチパネルを具備してなることを特徴とするものである。
本発明の表示装置は、下記の物性値を有することが好ましい。
本発明の表示装置の反射率を下記の方法に従い測定する場合、1〜10%が好ましく、1〜5%が特に好ましい。
上記反射率測定において作製したタッチパネル付き表示装置の電源をONにして、黒色表示を行った際の表示状態をタッチパネル面に正対したときの画面表示を目視にて観察する場合、明瞭な黒一色の画面として観察されることが好ましい。
(1)全光線透過率
スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP型」を用い、全光線透過率(%)を測定した。
スガ試験機(株)製のヘイズメーター「HGM−2DP型」を用い、ヘイズ(%)を測定した。
三菱化学(株)製の低抵抗率計「ロレスタ−GP」を用い、表面抵抗率(kΩ/□)を測定した。
対角7インチサイズの透明導電性積層フィルム短辺の対向する2辺に導電性ペースト(太陽インキ製造社製ECM−100)を塗布し、120℃×30分間乾燥させることで平行な一対の電極を形成した。この一対の電極に対して一定電圧をかけた状態で、透明導電性積層フィルム表面上の縦横10×10点について格子状に電位測定をおこなった。表面抵抗率が面内で均一であると仮定した際の電位の計算値と実測値とのズレを下式により求めた。
電位のズレ(%)=[(電位実測値)−(電位計算値)]/(電位計算値)×100
測定10×10点において上記電位のズレを求め、その絶対値の最大値を面内均一性(%)とした。
長さ110mm、幅10mmに調製した透明導電性積層フィルムを、曲率半径3mmの円柱状の絶縁体に導電層を外側にして、該円柱に対し半周分巻きつけ、フィルム両端よりそれぞれ5mmの点に一定電圧を印加し、そのときの電流値を測定した。フィルム屈曲時の表面抵抗は下式より求めた。
(フィルム屈曲時の表面抵抗[Ω])=(印加電圧)/(測定された電流値)
透明導電性積層フィルムを温度85℃、相対湿度85%の環境下にて300時間保持の前後の表面抵抗率を、それぞれR0、Rとした場合の抵抗率変化を下式で求めた。
(抵抗変化率)=R/R0
直線偏光板と透明導電性積層フィルムの非導電層側とを粘着剤を介して、貼り付けて上部電極とした。この上部電極とスパッタリングによりITO(錫ドープ酸化インジウム)をガラス基板上(厚さ1mm)に製膜した透明電極を下部電極として、導電性ペーストを用いて電極を上下別々に形成し、対角7インチサイズの4線式抵抗膜方式のタッチパネルを得た。
触針式表面形状測定機(FORM TALYSURF SERIES2、Taylor Hobsons社製)を用いて、測定長5mmにて測定した。なお、Ra、RyおよびRzは、それぞれJIS B0601−1994によって規定されている算術平均粗さ、最大高さおよび十点平均粗さを示す。
3波長の蛍光灯の下、黒い台紙の上にガラス板を乗せ、コーティング面を指で押し当てた時のニュートンリング(干渉ムラ)を目視により観察し、「○」はニュートンリングが見られない、「×」はニュートンリングが見える、として評価した。
上記反射率測定において作製したタッチパネル付き表示装置の電源をONにして、黒色表示をおこなった際の表示状態をタッチパネル面に正対したときの画面表示を目視にて観察し、以下の区分にて評価をおこなった。
◎ ;明瞭な黒一色の画面として観察された。
○ ;黒一色の画面として観察されたが、わずかながら反射光による白ぼけも観察された。
× ;黒色以外の色が観察された。
ポリスチレンスルホン酸ドープのポリチオフェン分散液であるTYPE S300 NEW(AGFA社製)に水を添加して固形分濃度を1.5重量%に調製したもの100gに、(メタ)アクリルアミド化合物としてN−メチル−N−ビニル−アセトアミド2.0g、(メタ)アクリルモノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート0.4g、光重合開始剤としてダロキュア1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.05gおよびエタノールを30g加えて、十分に攪拌することにより、活性エネルギー線硬化型の導電性塗料(1)を得た。
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシサイド(商品名「パーロイル355」、日本油脂社製、水溶解度:0.01%)2部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1部、および水20部を撹拌して乳化後、超音波ホモジナイザーでさらに微粒子化し、水性分散体を得た。得られた水性分散体に、数平均粒子径1.0μmの単分散ポリスチレン粒子15部を添加し、16時間撹拌した。次いで、スチレン(ST)70部、ジビニルベンゼン(DVB)20部およびグリシジルメタクリレート(GMA)10部を加え、40℃で3時間ゆっくり撹拌して、モノマー成分(ST、DVB、およびGMA)を単分散ポリスチレン粒子に吸収させた。その後、75℃に昇温して、3時間重合反応を行うことにより、第一の重合体からなる(a)粒子を含有するエマルジョンを得た。なお、(a)粒子の数平均粒子径は1.8μmであり、凝固物はほとんど発生しなかった。
紫外線硬化性樹脂組成物(デソライトZ−7524、75%、JSR(株)製)にメチルエチルケトンにより固形分濃度が45重量%となるように希釈してハードコート処理剤Aを調製した。
導電性塗料(1)に、ヘクトライト(層状無機酸化物からなる粘度調整剤)である商品名「ルーセンタイトSWF」(コープケミカル社製)を1重量%で水に分散させた分散液3gをさらに添加した以外は、調製例1と同様にして、導電性塗料(2)を得た。
導電性塗料(1)に、フッ素系界面活性剤である商品名「サーフロンS−111n」(AGCセイケミカル社製)〔有効成分が3%となるように水で希釈したもの〕0.026gをさらに添加した以外は、調製例1と同様にして、導電性塗料(3)を得た。
ノルボルネン系樹脂からなる透明フィルム、ARTON(登録商標)FILM R50(JSR株式会社製、膜厚150μm)をテンター内で、Tg+10℃(150℃)に加熱し、延伸速度300%/分でフィルムの縦方向に1.2倍に延伸した後、Tg−20℃(110℃)の雰囲気下で約1分間この状態を保持しながら冷却し、さらに室温で冷却し、テンター内から取り出すことにより、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内位相差を測定したところ波長550nmにおいて140nmであった。
ノルボルネン系樹脂からなる透明フィルム、ARTON(登録商標)FILM G(JSR株式会社製、膜厚188μm)、ARTON(登録商標)FILM R50(JSR株式会社製、膜厚150μm)、および作製例1で作製した位相差フィルムそれぞれに対して、大気下で放電量80W・min/m2にて一方の表面にコロナ処理をおこなった後、保護層形成用組成物(1)をウェット膜厚6μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて80℃で1分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し片面に保護層を有するフィルムを得た。この片面に保護層を有するフィルムの表面粗さを測定したところ、3種いずれのフィルムを用いた場合でもRa=0.16、Ry=0.93、Rz=0.46であった。
作製例2で得られた片面に保護層を有する3種のフィルムそれぞれに対して、その表面保護層を設けていない面に、大気下で放電量80W・min/m2にて一方の表面にコロナ処理をおこなった後、ハードコート処理剤Aをウェット膜厚6μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて80℃で1分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し、一方の面に保護層を、他方の面にハードコート層を有するフィルムを得た。
作製例3で得られたARTON(登録商標)FILM Gを基材とする保護層面に、大気下で放電量80W・min/m2にてコロナ処理を施した後に、導電性塗料(1)をウェット膜厚12μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて120℃で5分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し片面に透明導電層を有する、透明導電性積層フィルム(1)を得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
実施例1において、導電性塗料(1)の代わりに導電性塗料(2)を用い、作製例3で得られたARTON(登録商標)FILM Gを基材とするフィルムの代わりに作製例3で得られたARTON(登録商標)FILM R50を基材とするフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、透明導電性積層フィルム(2)を得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
実施例1において、導電性塗料(1)の代わりに導電性塗料(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、透明導電性積層フィルム(3)を得た。各物性値の結果を表1に示す。
作製例3で得られたARTON(登録商標)FILM R50を基材とするハードコート層面に、大気下で放電量80W・min/m2にてコロナ処理を施した後に、導電性塗料(1)をウェット膜厚12μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、強制攪拌式乾燥機中にて120℃で5分間、溶剤乾燥させた後に、メタルハライドランプを用いて、照射量0.5J/cm2にて大気下で紫外線を照射し片面に透明導電層を有する、透明導電性積層フィルム(4)を得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
実施例1において、作製例3で得られたARTON(登録商標)FILM Gを基材とするフィルムの代わりに作製例3で得られた位相差フィルムを基材とするフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、透明導電性積層フィルム(5)を得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
導電性塗料(2)を調製する際に、ペンタエリスリトールトリアクリレートと「ダロキュア1173」と「ルーセンタイトSWF」を配合せずに導電性塗料(a)を調製し、実施例2において、導電性塗料(2)の代わりに導電性塗料(a)を用いた以外は実施例2と同様にして、透明導電性積層フィルム(6)を得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
実施例1において、ARTON(登録商標)FILM Gの代わりにPETフィルム(東洋紡社製、厚み188μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、透明導電性積層PETフィルムを得た。各物性値の結果を表1に示す。なお、表1中に記載の表面粗さ(Ra、RyおよびRz)は、透明導電層についての測定結果である。
実施例1〜6および比較例1で得られたフィルムをそれぞれ用いてなる上部電極と、スパッタリングによりITO(錫ドープ酸化インジウム)をガラス基板上(厚さ1mm)に製膜した透明電極を下部電極として用いて導電性ペーストを塗布し、120℃×30分間乾燥させて、上下電極それぞれに一対ずつの電極を形成し、対角7インチサイズの4線式抵抗膜方式のタッチパネル(実施例7〜12)およびPETフィルムを用いてなるタッチパネル(比較例2)を得た。
2・・・(b)粒子部
3・・・異形粒子
Claims (11)
- JIS B0601−1994に規定の算術平均粗さRa、最大高さRyおよび十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たす保護層を、ノルボルネン系樹脂フィルム上に形成する工程(A)、およびポリエチレンジオキシチオフェンを含有する導電性塗料を、該保護層上に塗工し、硬化させて透明導電層を形成する工程(C)を含むことを特徴とする、透明導電性積層フィルムの製造方法。
- 上記保護層が、アクリレート化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
- 上記ノルボルネン系樹脂フィルムが、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含む単量体から導かれる構造単位を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
R1とR2またはR3とR4とは、相互に結合してアルキリデン基を形成していてもよく、R1とR2、R3とR4またはR2とR3とは、相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよい。ただし、該炭素環および該複素環は、単環構造または多環構造を形成していてもよく、芳香環であっても非芳香環であってもよい。xは、0または1〜3の整数を表し、yは、0または1を表す。) - 上記導電性塗料が、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリルモノマーおよび光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
- 上記導電性塗料が、フッ素系界面活性剤および/またはアセチレン基を分子中に有するグリコール系界面活性剤を、さらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
- 上記導電性塗料が、層状無機酸化物からなる粘度調整剤を、さらに含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
- 上記工程(A)に次いで、上記保護層に表面処理を施す工程(B)を、さらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電性積層フィルムの製造方法。
- ノルボルネン系樹脂フィルム上に保護層と透明導電層とを有する透明導電性積層フィルムであって、
該透明導電性積層フィルムの透明導電層の表面抵抗率が、2×103Ω/□以下であり、かつ、
該透明導電性積層フィルムの保護層の該算術平均粗さRa、該最大高さRyおよび該十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。 - ノルボルネン系樹脂フィルム上に保護層と透明導電層とを有する透明導電性積層フィルムであって、
該透明導電性積層フィルムの透明導電層の表面抵抗率が、2×103Ω/□以下であり、かつ、
該透明導電性積層フィルムの透明導電層の該算術平均粗さRa、該最大高さRyおよび該十点平均粗さRzが、それぞれ、0.1≦Ra≦0.2μm、0.5≦Ry≦2.5μmおよび0.2≦Rz≦2.0μmを満たすことを特徴とする透明導電性積層フィルム。 - 請求項8または9に記載の透明導電性積層フィルムを具備してなることを特徴とするタッチパネル。
- 請求項10に記載のタッチパネルを具備してなることを特徴とする表示装置。
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