JP2009243960A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体層に印加されるバイアス電圧のノイズによる放射線画像の画質の低下を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】電磁波検出素子10の検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層6に対してバイアス電源30からのバイアス電圧を供給する配線32に、抵抗値をm[Ω]とし、電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器42を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、放射線画像撮影装置に関する。
近年、TFT(Thin film transistor)アクティブマトリックス基板上にX線感応層を配置し、X線情報を直接デジタルデータに変換できるFPD(flat panel detector)等の放射線画像撮影装置が実用化されている。このFPDは、従来のイメージングプレートに比べて、即時に画像を確認でき、動画も確認できるといったメリットがあり、急速に普及が進んでいる。
この種の放射線画像撮影装置は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式や、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光を半導体層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
この種の放射線画像撮影装置では、半導体層の一方の面にバイアス電圧を印加する電極を設けると共に、半導体層の他方の面に電荷を収集する電極を多数設け、半導体層に発生した電荷を収集して画像を示す情報として蓄積する。
ところで、この種の放射線画像撮影装置では、多量の放射線が入射した場合に半導体層に多量の電荷が発生し、収集された電荷を蓄積するコンデンサにかかる電圧が上昇し、このコンデンサにかかる電圧の上昇が、蓄積量の飽和によるダイナミックレンジの制限、並びに、コンデンサにつながるスイッチング素子が耐電圧破壊を引き起こす場合がある。
そこで、特許文献3には、バイアス電圧を供給する配線に抵抗器を設け、半導体層に多量の電荷が発生して配線に流れる電流量が多くなった場合に抵抗器で電圧を低下させることにより、半導体層に対して印加されるバイアス電圧を自動的に制限する技術が開示されている。
特開平11−212837号公報 特開2001−68657号公報 特開2000−111652号公報
ところで、この種の放射線画像撮影装置は、微少な電荷を画像に変換するためノイズに弱く、特に、蓄積された電荷を読み出す際に半導体層に印加されるバイアス電圧のノイズが放射線画像に重畳され、放射線画像の画質が低下する場合がある、という問題点があった。
なお、特許文献3に記載の技術は、放射線画像を撮影する際の曝射時に、半導体層に多量の放射線が入射した場合の、電荷を蓄積するコンデンサにかかる電圧の上昇の抑制、及び当該コンデンサにつながるスイッチング素子が耐電圧オーバーによって破壊されることの防止を目的としてバイアス電圧を供給する配線に抵抗を設けた技術であり、蓄積された電荷を読み出す際のバイアス電圧のノイズの低減を目的としたものではない。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、放射線画像の画質の低下を抑制することができる放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の放射線画像撮影装置は、検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層を有し、当該半導体層に対してバイアス電圧を印加して前記半導体層に発生した電荷を収集して画像を示す情報として蓄積する電磁波検出素子と、前記電磁波検出素子に配線を介して接続され、前記バイアス電圧を供給する電源と、前記配線に設けられた、抵抗値をm[Ω]とし、前記電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器と、を備えている。
本発明の放射線画像撮影装置は、電磁波検出素子が、検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層を有しており、当該半導体層に対してバイアス電圧を印加して半導体層に発生した電荷を収集することにより、発生した電荷を画像を示す情報として蓄積しており、電源から配線を介して当該電磁波検出素子にバイアス電圧が供給されている。
そして、本発明では、電源からのバイアス電圧が供給される配線に、抵抗値をm[Ω]とし、電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器が設けられている。
このように、本発明の放射線画像撮影装置は、電磁波検出素子の検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層に対して電源からのバイアス電圧を供給する配線に、抵抗値をm[Ω]とし、電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器を設けることによってバイアス電圧からのノイズによる放射線画像の画質の低下を抑制することができることを本出願人は見出した。
なお、上記放射線画像撮影装置は、上記抵抗器が、前記n:mの比率が1:100〜1:1,000の範囲内であることが更に好ましい。
また、上記放射線画像撮影装置は、前記配線に、前記抵抗器を含んで構成され、抵抗値を変更可能な可変抵抗回路を設けてもよい。
また、上記放射線画像撮影装置は、前記可変抵抗回路の抵抗値を制御する制御手段をさらに備え、前記制御手段が、前記画像を示す情報として蓄積された電荷を前記電磁波検出素子から読出す際よりも前記電磁波検出素子への電磁波の照射中に前記可変抵抗回路の抵抗値が小さくなるように制御してもよい。
また、上記放射線画像撮影装置は、前記検出対象とする電磁波が、放射線であり、前記電磁波検出素子が、被写体を透過した放射線が照射されることにより、当該放射線により表わされる放射線画像を撮影し、前記制御手段が、前記被写体の撮影部位、及び前記被写体の静止画像又は動画像を撮影する撮影モードの少なくとも一方に応じて前記電磁波検出素子への電磁波の照射中に前記可変抵抗回路の抵抗値を制御してもよい。
また、上記放射線画像撮影装置は、前記電磁波検出素子の容量に並列に接続されたコンデンサをさらに備えてもよい。
さらに、上記放射線画像撮影装置は、前記コンデンサと並列に接続されたスイッチ素子と、前記電源からのバイアス電圧の供給を停止する際に、前記スイッチ素子をオンとして前記コンデンサをショートさせる制御を行う第2制御手段と、をさらに備えてもよい。
ここで、前記電磁波は上記半導体層において検出されて電荷を発生させる電磁波を意味し、たとえば間接変換方式の放射線画像撮影装置に用いられる電磁波検出素子の場合はシンチレータによって発せられる光がこれに相当する。
このように、本発明によれば、電磁波検出素子の検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層に対して電源からのバイアス電圧を供給する配線に、抵抗値をm[Ω]とし、電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器を設けているので、バイアス電圧からのノイズによる放射線画像の画質の低下を抑制することができる、という優れた効果を有する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、本発明を、直接変換方式の放射線画像撮影装置100に適用した場合について説明する
[第1の実施の形態]
図1には、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の全体構成が示されている。
同図に示すように、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100は、電磁波検出素子10を備えている。
電磁波検出素子10は、後述する上部電極と半導体層と下部電極を備え、照射された放射線を受けて電荷を発生するセンサ部103と、画像センサ部103で発生した電荷を蓄積する電荷蓄積容量5と、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すためのTFTスイッチ4と、を含んで構成される画素が2次元状に多数設けられている。電荷蓄積容量5の一方の電極は後述する蓄積容量配線102(図2参照。)を介して接地されてグランドレベルとされている。なお、図1では、電荷蓄積容量5の一方の電極が個別にグランドに接続されているものとして示している。
また、電磁波検出素子10には、上記TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、上記電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。
各信号配線3には、当該信号配線3に接続された何れかのTFTスイッチ4がONされることにより電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号検出回路105が接続されており、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするための制御信号を出力するスキャン信号制御装置104が接続されている。
信号検出回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路を内蔵している。信号検出回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路により増幅して検出することにより、画像を構成する各画素の情報として、各電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量を検出する。
この信号検出回路105及びスキャン信号制御装置104には、信号検出回路105において検出された電気信号に所定の処理を施すとともに、信号検出回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、スキャン信号制御装置104に対してスキャン信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する信号処理装置106が接続されている。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る電磁波検出素子10についてより詳細に説明する。なお、図2には、本実施形態に係る電磁波検出素子10の1画素単位の構造を示す平面図が示されており、図3には、図2のA−A線断面図が示されている。
図3に示すように、電磁波検出素子10は、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101、蓄積容量下部電極14、ゲート電極2及び蓄積容量配線102(図2参照。)が形成されており、ゲート電極2は走査配線101に接続され、蓄積容量下部電極14は蓄積容量配線102に接続されている。この走査配線101、蓄積容量下部電極14、ゲート電極2及び蓄積容量配線102が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
絶縁膜15上のゲート電極2に対応する位置には、半導体活性層8が形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成され、また、絶縁膜15上の蓄積容量下部電極14に対応する位置に蓄積容量上部電極18が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続され、ドレイン電極13は蓄積容量上部電極18に接続されている(図2参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、蓄積容量上部電極18及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう。)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。
このソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間にはコンタクト層(不図示)が形成されている。このコンタクト層は、不純物添加アモルファスシリコン等の不純物添加半導体からなる。本実施の形態に係る電磁波検出素子10では、ゲート電極2やゲート絶縁膜15、ソース電極9、ドレイン電極13、半導体層6によりTFTスイッチ4が構成されており、蓄積容量下部電極14やゲート絶縁膜15、蓄積容量上部電極18により電荷蓄積容量5が構成されている。
そして、これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、感光性を有するアクリル樹脂などの有機材料からなり、膜厚が1〜4μm、比誘電率が2〜4である。本実施の形態に係る電磁波検出素子10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。これにより、上層に配置される半導体層6の形状が平坦化されるため、半導体層6の凹凸による吸収効率の低下や、リーク電流の増加を抑制することができる。この層間絶縁膜12には、蓄積容量上部電極18と対向する位置にコンタクトホール16が形成されている。
層間絶縁膜12上には、各画素毎に、各々コンタクトホール16を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、非晶質透明導電酸化膜(ITO)からなり、蓄積容量上部電極18と接続されている。
下部電極11上の基板1上の画素が設けられた領域のほぼ全面には、半導体層6が形成されている。この半導体層6は、X線などの電磁波が照射されることにより、内部に電荷(電子−正孔)を発生するものである。つまり、半導体層6は電磁波導電性を有し、X線による画像情報を電荷情報に変換するためのものである。また、半導体層6は、例えば、セレンを主成分とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなる。ここで、主成分とは、50%以上の含有率を有するということである。
この半導体層6上には、上部電極7が形成されている。この上部電極7には、後述するバイアス電源30(図4参照。)が接続されており、バイアス電源30からバイアス電圧が供給されている。
図4には、本実施の形態に係る電磁波検出素子10の1画素部分に注目した等価回路図が示されている。
同図に示すように、TFTスイッチ4のソース電極9は信号配線3に接続され、この信号配線3は信号検出回路105に内蔵された増幅回路してのチャージアンプ105Aに接続されている。また、TFTスイッチ4のドレイン電極13は電荷蓄積容量5の蓄積容量上部電極18及び下部電極11に接続され、ゲート電極2は走査配線101に接続されている。
また、上部電極7は、配線32を介してバイアス電源30に接続されており、バイアス電源30からバイアス電圧が供給されている。また、バイアス電源30は、配線33を介して接地されている。
さらに、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、配線32にノイズを低減させるための抵抗器42を設けている。
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の動作原理について簡単に説明する。
上部電極7と蓄積容量下部電極14との間にバイアス電圧を印加した状態で、半導体層6にX線が照射されると、半導体層6内に電荷(電子−正孔対)が発生する。半導体層6と電荷蓄積容量5とは電気的に直列に接続された構造となっている。このため、半導体層6内に発生した電子は+(プラス)電極側に、正孔は−(マイナス)電極側に移動する。画像検出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に負バイアスが印加されてOFF状態に保持されている。この結果、電荷蓄積容量5に電荷が蓄積される。
画像読出時には、TFTスイッチ4のゲート電極2に走査配線101を介して順次ON信号(+10〜20V)が印加される。これにより、TFTスイッチ4が順次ONされ、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量に応じた電気信号が信号配線3に流れ出す。信号検出回路105は、信号配線3に流れ出した電気信号に基づいて各センサ部103の電荷蓄積容量5に蓄積された電荷量を、画像を構成する各画素の情報として検出する。これにより、電磁波検出素子10に照射されたX線により示される画像を示す画像情報を得ることができる。
ところで、本実施の形態に係る電磁波検出素子10は、電荷蓄積容量5に蓄積された電荷を読み出す際に、バイアス電源30から半導体層6に印加されるバイアス電圧のノイズが画像に重畳され、画像の画質が低下する場合がある。
ここで、放射線を直接、半導体層6で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の電磁波検出素子10での半導体層6に蓄積される電荷とX線照射時の電源から半導体層6に供給される電荷を比較して、バイアス電圧のノイズの放射線画像への影響について説明する。
半導体層6が、例えば、a−Seである場合、半導体層6の容量Cpcは以下の(1)式から求められる。
Cpc=ε0×εr×S/d ・・・(1)
ここで、
ε0:真空の誘電率(8.85×10−12[F/m])
εr:比誘電率
S:半導体層6の面積
d:半導体層6の膜厚
a−Seの比誘電率εrを約6.5とし、半導体層6を17インチ四方(面積S=(17×0.0254))とし、半導体層6の膜厚d=1mmとすると、上記(1)式から半導体層6の容量Cpcは以下のように求まる。
Cpc=8.85×10−12×6.5×(17×0.0254)/(0.001)
≒10700[pF]
よって、半導体層6に蓄積される電荷量は、バイアス電圧をVを10kVとした場合、Q=Cpc×VよりQ=10700×10−12×10×1000=1.07×10−4 [C]と求められる。
これに対し、X線照射時にバイアス電源30から1秒間に供給される最大電荷量は、感度をG[e-/μGy/pix]とし、X線線量率をR[μGy/s]とし、画素数をPとし、電子の電荷量を1.6×10−19 [C]とすると以下の(2)式から求められる。
最大電荷量=G×R×P×1.6×10−19 [C/s] ・・・(2)
ここで、G=0.1〜0.7M[e-/μGy/pix]とし、R=2〜10×103 [μGy/s]とし、P=4〜16M[pix]とすると上記(2)式から最大電荷量は約6×10−3 [C/s]と求まる。
よって、半導体層6がa−Seである場合、バイアス電源30から1秒間に供給される電荷量は、半導体層6に蓄積される電荷量の約56倍(≒6×10−3/1.07×10−4)である。
一方、半導体層6が、例えば、CdTe(テルル化カドミウム)である場合、半導体層6の容量Cpcは上述した(1)式から以下のように求まる。なお、CdTeの比誘電率εrは約14とする。
Cpc=8.85×10−12×14×(17×0.0254)/(0.0002)
≒115,000[pF]
よって、半導体層6に蓄積される電荷量は、バイアス電圧をVを20Vとした場合、Q=Cpc×VよりQ=115,000×10−12×20=2.3×10−6 [C]と求められる。
これに対し、X線照射時にバイアス電源30から1秒間に供給される最大電荷量は、G=1〜2M[e-/μGy/pix]とし、R=2〜10×103[μGy/s]とし、P=4〜16M[pix]とすると、上記(2)式から、約2.4×10−2 [C/s]と求まる。
よって、半導体層6がCdTeである場合、バイアス電源30から1秒間に供給される最大電荷量は、半導体層6に蓄積される電荷量の約10400倍(≒2.4×10−2/2.3×10−6)である。
よって、直接変換方式の電磁波検出素子10では、バイアス電源30から供給される電荷は半導体層6に蓄積されている電荷量よりも数十倍から1万倍も大きく、バイアス電源30からのノイズの影響を受けやすい。
ここで、本発明者は、バイアス電源30と上部電極7を接続する配線32に高抵抗値の抵抗器42を直列に接続した場合、放射線画像のノイズが低減することを見出した。
図5には、配線32に抵抗器42を設けない放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影した場合(「対策なし」)と、配線32に抵抗器42を設けた放射線画像撮影装置100により、当該抵抗器42の抵抗値をm[Ω]とし、バイアス電源30から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率を1:100〜1:1:10,000の範囲で比率を変えて放射線画像を撮影した場合の各放射線画像に発生するノイズ量の一例が周波数毎に示されている。なお、同図の周波数は、所定のサンプリング周波数を1として各周波数を正規化した正規化周波数[fs]として示している。また、ノイズ量は、n:mが1:10,000で且つ正規化周波数が0.25[fs]のノイズ量を1として各ノイズ量を正規化した正規化ノイズとして示している。
また、図6には、バイアス電源30から供給されるバイアス電圧nに対する抵抗器42の抵抗値mの比率(抵抗比率)を0.001〜10,000の範囲で変えた場合の放射線画像に発生する平均ノイズ量の一例が示されている。なお、同図の平均ノイズ量は、n:mが1:10,000の平均ノイズ量を1として各平均ノイズ量を正規化した平均正規化ノイズとして示している。
図5及び図6に示されるように、n:mの比率が大きくなるほどバイアス電圧に含まれるノイズが小さくなり、放射線画像に発生するノイズ量が小さくなる。なお、図5では、n:mが1:1,000、1:5,000及び1:10,000の場合の間でノイズ量の差が小さく、グラフの大部分が重なっている。また、図6では抵抗比率が1,000以上では測定限界以下となっており、ノイズの抑制効果は飽和している。
このため、放射線画像に発生するノイズ量を小さく抑えるには、バイアス電圧nに対する抵抗器42の抵抗値mの比率を大きくすることが好ましい。
一方、抵抗器42の抵抗値mを大きくした場合は、半導体層6にX線を照射して放射線画像を撮影する際に、抵抗器42でのバイアス電圧の低下が大きくなって上部電極7から半導体層6に対して印加されるバイアス電圧が低下し、半導体層6内に発生した電子を十分に下部電極11に収集させることができないため、X線に対するセンサ部103の感度が低下する。
本発明者は、放射線画像に発生するノイズ量を抑えるには、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内とする必要があり、さらにセンサ部103の感度の低下による画質の低下を抑制しつつ、ノイズ量を抑えるには、n:mの比率が1:100〜1:1,000の範囲内であることが好ましいことを見出した。
図7(A)〜(C)には、抵抗器42を設けない放射線画像撮影装置100により放射線画像を撮影した場合(「対策なし」)と、配線32に抵抗器42を設けた放射線画像撮影装置100により、n:mの比率を1:100、及び1:500として撮影した場合の各放射線画像の一例が示されている。
以上のように、本実施の形態によれば、半導体層6に対してバイアス電源30からのバイアス電圧を供給する配線32に、抵抗値をm[Ω]とし、電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器42を設けているので、バイアス電圧からのノイズによる放射線画像の画質の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、抵抗器42の抵抗値mとバイアス電源30から供給されるバイアス電圧nの比率n:mを1:100〜1:1:1,000の範囲内とすることにより、センサ部103の感度の低下による画質の低下を抑制しつつ、ノイズ量の少ない放射線画像を得ることができる。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図3参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
図8には、本実施の形態に係る電磁波検出素子10の1画素部分に注目した等価回路図が示されている。なお、図8における図4と同一部分については説明を省略する。
配線32には抵抗器42を含んで構成され、抵抗値を変更可能な可変抵抗回路40が設けられている。この可変抵抗回路40には、抵抗器42と並列に、抵抗器44とスイッチ素子46が直列に接続された直列配線が設けられている。スイッチ素子46は、オン・オフが制御部50から送信される切替指示信号SWR1により制御されている。可変抵抗回路40は、スイッチ素子46のオン・オフが切替えられることにより、回路全体での抵抗値が変更可能とされている。
また、制御部50は電磁波検出素子10に対してX線を射出する放射線源60と接続されている。放射線源60は制御部50から送信される射出指示信号XRによりX線の射出が制御されている。さらに、制御部50は上述の信号処理装置34とも接続されている。
制御部50は、CPU、RAM等から成るメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等から成る不揮発性の記憶部を備えたコンピュータと、このコンピュータに接続された周辺回路を含んで構成されており、不揮発性の記憶部に記憶された所定のプログラムがコンピュータのCPUによって実行され、コンピュータと周辺回路が協働することで、スイッチ素子46のオン・オフを制御すると共に、放射線源60におけるX線の射出を制御し、また、信号処理装置34を制御することにより電磁波検出素子10による放射線画像の撮影動作を制御する。
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の動作原理について簡単に説明する。
本実施の形態に係る制御部50は、電磁波検出素子10で放射線画像を撮影する際に、スイッチ素子46をオン状態とし、電磁波検出素子10から放射線画像を読み出す際に、スイッチ素子46をオフ状態とするように制御している。
図9には、放射線画像撮影時及び放射線画像読出時の制御部50による制御の流れを示すタイムチャートが示されている。
同図に示すように、制御部50は、放射線画像を撮影する際、切替指示信号SWR1にオン信号を出力してスイッチ素子46をオン状態とさせると共に、射出指示信号XRに放射線源60からのX線の射出を指示するオン信号を出力して放射線源60からX線を射出させる。
このように、放射線画像を撮影する際に、スイッチ素子46をオン状態とすることにより可変抵抗回路40全体での抵抗値が低下して、半導体層6に対して印加されるバイアス電圧HVの低下が抑制されるため、X線に対するセンサ部103の感度の低下を抑制することができる。
一方、制御部50は、放射線画像を読出す際、切替指示信号SWR1にオフ信号を出力してスイッチ素子46をオフ状態とさせ、その後、信号処理装置34を制御してスキャン信号制御装置32から1ラインずつ順に各走査配線101(gate1〜gateN)にオン信号を出力させ、各走査配線101に接続された各TFTスイッチ4を1ラインずつ順にONさせて、放射線画像の読み出しを行う。
このように、放射線画像を読出す際に、スイッチ素子46をオフ状態とすることにより可変抵抗回路40全体での抵抗値が上昇し、放射線画像にノイズが重畳されることを低減することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、配線32に、抵抗値を変更可能な可変抵抗回路40を設け、放射線画像を撮影する際に可変抵抗回路40の抵抗値を低くすることにより、センサ部103の感度の低下を抑制できる。また、放射線画像を読出す際に可変抵抗回路40の抵抗値を高くすることにより、バイアス電圧から重畳されるノイズを小さく抑えることができるため、放射線画像の画質の低下を抑制することができる。
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の構成は、上記第1及び第2の実施の形態(図1〜図3参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
図10には、本実施の形態に係る電磁波検出素子10の1画素部分に注目した等価回路図が示されている。なお、図10における図8と同一部分については説明を省略する。
本実施の形態に係る可変抵抗回路40は、抵抗器42、及び抵抗器44とスイッチ素子46が直列に接続された直列配線と並列に、スイッチ素子48が設けられている。スイッチ素子48は、オン・オフが制御部50から送信される切替指示信号SWR2により制御されている。可変抵抗回路40は、スイッチ素子46、及びスイッチ素子48のオン・オフが切替えられることにより、回路全体での抵抗値が変更可能とされている。
また、可変抵抗回路40と上部電極7とを接続する配線32は、分岐しており、分岐した配線がコンデンサ70の一端に接続されている。このコンデンサ70の他端は接地されている。さらに、このコンデンサ70には、並列に、抵抗器72とスイッチ素子74が直列に接続された直列配線が設けられている。スイッチ素子74は、オン・オフが制御部50から送信される切替指示信号SWにより制御されている。
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100の動作原理について簡単に説明する。
本実施の形態に係る制御部50は、放射線画像を撮影する際に、被写体の撮影部位、及び被写体の静止画像又は動画像を撮影する撮影モードに応じてスイッチ素子46、及びスイッチ素子48のオン・オフを制御して可変抵抗回路40の抵抗値を制御している。例えば、静止画像を撮影する撮影モードであり、被写体の撮影部位が胸部等のX線の透過性の高い部分である場合は、照射されるX線の線量が少ないため、例えば、スイッチ素子46をオン状態とし、スイッチ素子48をオフ状態として照射中の可変抵抗回路40の抵抗値を比較的小さく(例えば、100kΩ程度に)する。また、静止画像を撮影する撮影モードであり、被写体の撮影部位が腰椎等のX線の透過性の低い部分である場合は、照射されるX線の線量が多いため、スイッチ素子46、及びスイッチ素子48を共にオン状態として照射中の可変抵抗回路40の抵抗値を小さく(例えば、0Ω程度)としてバイアス電圧に電圧ドロップやリンギングが発生することを抑えている。また、放射線画像を連続的に撮影することにより動画像を撮影する撮影モードである場合は、スイッチ素子46、及びスイッチ素子48を共にオフ状態として照射中の可変抵抗回路40の抵抗値を最も大きく(例えば、10MΩ程度)してバイアス電圧からのノイズの重畳を抑えている。
また、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置100では、配線32に接続されたコンデンサ70により平滑フィルタを形成しており、このコンデンサ70によりバイアス電圧のノイズを低減させている。
本実施の形態に係る制御部50は、装置本体の電源がオンされて所定の初期処理が完了すると、切替指示信号SWにオフ信号を出力してスイッチ素子74をオフ状態とさせる。また、制御部50は、装置終了処理時や、電磁波検出素子10の放電破壊時、電磁波検出素子10の異常検知時などの装置異常などによりバイアス電源30からのバイアス電圧の供給を停止する際に、切替指示信号SWにオン信号を出力してコンデンサ70をショートさせる制御を行う。これにより、装置終了処理時や装置異常時にバイアス電圧が立ち下がる際の立ち下がりを早くすることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、静止画像を撮影する際に、被写体の撮影部位がX線の透過性の高い部分である場合は、可変抵抗回路40の抵抗値を比較的小さくすることにより、バイアス電圧に電圧ドロップやリンギングが発生することを抑えることで感度の低下を抑え、かつ放射線画像を読出す際にはスイッチ素子46、48をオフ状態とすることにより可変抵抗回路40全体での抵抗値が上昇し、放射線画像にノイズが重畳されることを低減することができる。被写体の撮影部位がX線の透過性の低い部分である場合は、放射線画像を撮影する際に、可変抵抗回路40の抵抗値を最も小さくすることにより、センサ部103の感度の低下を抑えることができる。また、動画像を撮影する撮影モードである場合は、可変抵抗回路40の抵抗値を最も大きくすることにより、バイアス電圧からのノイズの重畳を抑え、放射線画像に発生するノイズ量を抑えることができる。
なお、上記各実施の形態では、検出対象とする電磁波としてX線を検出することにより画像を検出する放射線画像撮影装置100に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、検出対象とする電磁波は可視光や紫外線、赤外線等いずれであってもよい。
また、上記各実施の形態では、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の電磁波検出素子10を用いた放射線画像撮影装置100に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線を一度シンチレータで光に変換し、変換した光を半導体層で電荷に変換して蓄積する間接変換方式の電磁波検出素子を用いた放射線画像撮影装置に適用してもよい。
図11には、間接変換方式の電磁波検出素子の半導体層にバイアス電源から供給されるバイアス電圧nに対する抵抗器42の抵抗値mの比率(抵抗比率)を0.001〜10,000の範囲で変えた場合の放射線画像に発生する平均ノイズ量の一例が示されている。なお、同図の平均ノイズ量は、n:mが1:100の平均ノイズ量を1として各平均ノイズ量を正規化した平均正規化ノイズとして示している。
図11に示されるように、間接変換方式の電磁波検出素子においても、n:mの比率が大きくなるほどバイアス電圧に含まれるノイズが小さくなり、放射線画像に発生するノイズ量が小さくなる。
なお、直接変換方式では放射線照射時に放電した半導体層に蓄積されていた電荷をバイアス電源30から補充する。このため、半導体層に蓄積されている電荷以上には電荷量が発生しない間接変換方式に比べて、前述のように直接変換方式はバイアス電源30から供給される電荷が半導体層6に蓄積されている電荷量よりも数十倍から1万倍も大きく、バイアス電源30からのノイズの影響を受けやすいため、直接変換方式の電磁波検出素子に本発明を適用することがより好ましい。
その他、上記各実施の形態で説明した放射線画像撮影装置100の構成(図1参照。)及び電磁波検出素子10の構成(図2〜図4、図8、図10)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成を示す構成図である。 実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素単位の構成を示す平面図である。 実施の形態に係る電磁波検出素子の線断面図である。 第1の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素部分に注目した等価回路図である。 バイアス電圧n:抵抗値mの比率を変えて放射線画像を撮影した場合の各放射線画像に発生する周波数毎のノイズ量の一例を示すグラフである。 直接変換方式の電磁波検出素子でのバイアス電圧nに対する抵抗値mの比率を変えた場合の放射線画像に発生する平均ノイズ量の一例を示すグラフである。 バイアス電圧n:抵抗値mの比率を変えて撮影した各放射線画像の一例を示す図である。 第2の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素部分に注目した等価回路図である。 第2の実施の形態に係る放射線画像撮影時及び放射線画像読出時の制御部による制御の流れを示すタイムチャートである。 第3の実施の形態に係る電磁波検出素子の1画素部分に注目した等価回路図である。 間接変換方式の電磁波検出素子でのバイアス電圧nに対する抵抗値mの比率を変えた場合の放射線画像に発生する平均ノイズ量の一例を示すグラフである。
符号の説明
5 電荷蓄積容量
6 半導体層
10 電磁波検出素子
30 バイアス電源(電源)
32 配線
40 可変抵抗回路
42 抵抗器
46 スイッチ素子
48 スイッチ素子
50 制御部(制御手段、第2制御手段)
70 コンデンサ
74 スイッチ素子
100 放射線画像撮影装置

Claims (7)

  1. 検出対象とする電磁波が照射されることにより電荷が発生する半導体層を有し、当該半導体層に対してバイアス電圧を印加して前記半導体層に発生した電荷を収集して画像を示す情報として蓄積する電磁波検出素子と、
    前記電磁波検出素子に配線を介して接続され、前記バイアス電圧を供給する電源と、
    前記配線に設けられた、抵抗値をm[Ω]とし、前記電源から供給されるバイアス電圧をn[V]としたときに、n:mの比率が1:10〜1:10,000の範囲内である抵抗器と、
    を備えた放射線画像撮影装置。
  2. 前記抵抗器は、前記n:mの比率が1:100〜1:1,000の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影装置。
  3. 前記配線に、前記抵抗器を含んで構成され、抵抗値を変更可能な可変抵抗回路を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の放射線画像撮影装置。
  4. 前記可変抵抗回路の抵抗値を制御する制御手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記画像を示す情報として蓄積された電荷を前記電磁波検出素子から読出す際よりも前記電磁波検出素子への電磁波の照射中に前記可変抵抗回路の抵抗値が小さくなるように制御する
    請求項3記載の放射線画像撮影装置。
  5. 前記検出対象とする電磁波は、放射線であり、
    前記電磁波検出素子は、被写体を透過した放射線が照射されることにより、当該放射線により表わされる放射線画像を撮影し、
    前記制御手段は、前記被写体の撮影部位、及び前記被写体の静止画像又は動画像を撮影する撮影モードの少なくとも一方に応じて前記電磁波検出素子への電磁波の照射中に前記可変抵抗回路の抵抗値を制御する
    請求項4記載の放射線画像撮影装置。
  6. 前記電磁波検出素子の容量に並列に接続されたコンデンサをさらに備えた
    請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線画像撮影装置。
  7. 前記コンデンサと並列に接続されたスイッチ素子と、
    前記電源からのバイアス電圧の供給を停止する際に、前記スイッチ素子をオンとして前記コンデンサをショートさせる制御を行う第2制御手段と、
    をさらに備えた請求項6記載の放射線画像撮影装置。
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