JP2009242224A - 砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法 - Google Patents

砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】砒素を含む製錬中間産物から砒素を安定な形で系外へ抜き出す。
【解決手段】硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーを、酸性領域で酸化浸出し浸出液を得る浸出工程と、当該浸出液に酸化剤を添加して、3価砒素を5価砒素へ酸化して調整液を得る液調整工程と、当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程と、を有する砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、砒素を含む非鉄製錬中間産物から砒素を抽出し、これを安定な砒素化合物とする砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法に関する。
砒素を含有する化合物の安定化について、以下の文献が存在する。
特許文献1には、製錬煙灰に含まれる砒素を対象としたスコロダイトの生成方法が記載されている。
特許文献2には、硫化砒素の浸出法に関し、硫化砒素を含むスラリーに空気を吹き込みながらアルカリを添加し、pHを5〜8に保持しながら砒素の浸出を行うことが記載されている。
特許文献3、4は、硫化砒素を酸性領域で溶解する技術に関するもので、硫化砒素殿物から三酸化二砒素(As)を製造する方法、さらに、酸性領域での硫化砒素の溶解についての記載がある。
非特許文献1は、砒酸鉄、砒酸カルシウム、砒酸マグネシウムの溶解度積について報告している。当該文献によれば、砒酸カルシウムと砒酸マグネシウムとは、アルカリ領域でのみ安定であり、一方、砒酸鉄は中性から酸性領域で安定であり、極少の溶解度がpH3.2で20mg/lと報告されている。
非特許文献2には、砒酸鉄とスコロダイトとの溶解度が開示されている。当該文献によれば、弱酸性領域においてスコロダイトからの砒素の溶解度は、非結質の砒酸鉄のそれより2桁低いことが示され、スコロダイトが安定な砒素化合物であることを開示している。
非特許文献3では、硫酸工場排水や製錬排水に含まれる砒素を対象としたスコロダイトの生成方法が記載されている。
特開2005−161123号公報 特公昭61−24329号公報 特公昭58−24378号公報 特開2003−137552号公報 西村忠久・戸沢一光:東北大学選鉱製錬研究所報告第764号第34巻第1号別刷 1978.June E.Krause and V.A.Ettel,"Solubilities and Stabilities of Ferric Arsenate Compounds"Hydrometallurgy,22,311−337,(1989) Dimitrios Filippou and George P.Demopoulos,"Arsenic Immobilization by Cotrolled Scorodite Precipitation"JOM Dec.,52−55,(1997)
近年、世界的に非鉄製錬を取り巻く鉱石原料確保の環境は、非常に厳しいものがある。
特に、銅製錬の分野においては、非鉄メジャーによる寡占化が進み、さらに新興国等の新たな消費大国が出現したことにより、需給が逼迫した状況にある。
当該状況下、各国においては環境分野への規制が強化され、義務化されつつある。本発明者らは、今後は環境と共存できる鉱山開発や製錬所が、産業上重要な使命となるものと考えた。
ここで、非鉄製錬において懸念される公害には、SOガスによる大気汚染や、砒素による土壌汚染や排水汚染が挙げられる。特に砒素に関しては、将来的に銅鉱石中の砒素含有量が増えることになることから、今までにも増して万全の対策が必要となる。
従来、国内の臨海非鉄製錬所では、クリーン精鉱を処理原料とすることで問題なく操業を行ってきた。しかし、今後、銅鉱石中の砒素含有量の増加が予想されることから、砒素を製錬中間産物として系外へ抜き出し、何らかの形で安定化し管理保管することが必要となると考えた。
ここで、本発明者らは、上記文献を検討した。
例えば、特許文献3、4とも、溶解の基礎反応は以下である。
Cu2++1/3As+4/3HO=CuS+2/3HAsO+2H・・・・(式1)
式1から明らかなように、特許文献3、4に開示された砒素の浸出は、銅溶液と硫化砒素とを、直接反応させて砒素を浸出するものである。さらに、特許文献3、4によれば、銅イオンの確保の為、硫酸銅にて銅溶液を調達するか、または、別工程で銅溶液を作成し、この銅溶液(銅はイオンの状態である。)へAsを添加して反応させ、砒素を浸出することが開示されている。これらの反応では酸が発生し、この酸が濃縮していく格好のものである。その為、砒素の濃厚液調製時には、同時に酸濃度の高い液となってしまう。
結局、いずれの特許文献および非特許文献に記載された方法とも、非鉄製錬中間産物から砒素を抽出し、これを安定な砒素化合物とする砒素の処理方法としては、課題を残すものであった。
一方、将来的に銅鉱石中の砒素品位が上昇し、銅製錬では、排水処理系統で発生する硫化砒素殿物の量が増えるとともに、さらに、銅電解工場への砒素の負荷量も増大していく。このため、銅電解液の浄液工程で発生する砒素が濃縮した製錬中間産物の量も増え、これら中間産物の製錬所内での繰り返し処理は困難となっていくと考えられる。従って、本発明が解決しようとする課題は、これら砒素を含む製錬中間産物から、砒素を安定な形で系外へ抜き出す処理方法を提供することである。
本発明は、このような状況の下でなされたものである。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、鋭意研究を行った結果、非鉄製錬の操業において必然的に発生する中間産物である、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物、および、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物の、2種類の非鉄製錬中間産物を同時に処理する画期的な処理方法に想到し、本発明を完成したものである。
そして、本発明者等は、3価砒素含有水溶液に、硫化銅、銅イオン、および、銅の5価砒素化合物の3種類の物質を、触媒として共存させた条件下で、当該3価砒素含有水溶液を加温しつつ、ここへ酸化性ガスを吹き込むことで、短時間に3価砒素を5価砒素へ酸化出来る酸化反応を知見した。さらに、本発明者らは、当該酸化反応終期には、3価砒素の99%以上までが5価砒素に酸化されることを確認し、本発明を完成した。
即ち、課題を解決するための第1の手段は、
硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーを、酸性領域で酸化浸出し浸出液を得る浸出工程と、
当該浸出液に酸化剤を添加して、3価砒素を5価砒素へ酸化して調整液を得る液調整工程と、
当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程と、を有することを特徴とする砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第2の手段は、
前記砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物が、脱銅電解スライムであることを特徴とする第1の手段に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第3の手段は、
前記浸出工程が、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、pHを1.0以上2.0以下として浸出を行う第1浸出工程と、
次いで、水酸化ナトリウム添加により、pHを2.0以上とした後、pHを非保持のまま、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、30分間以上浸出を行う第2浸出工程と、
次いで、温度を80℃以上とし、さらに30分間以上浸出する第3浸出工程とを、有することを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第4の手段は、
前記浸出工程が、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、pHを1.0以上2.0以下として浸出を行う第1浸出工程と、
次いで、水酸化ナトリウム添加により、pHを2.0以上とした後、pHを非保持のまま、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、30分間以上浸出を行う第2浸出工程と、
次いで、温度を80℃以上とし、さらに30分間以上浸出浸出する第3浸出工程と、
次いで、前記混合ガスの吹き込みを停止し、さらに10分間以上攪拌する第4浸出工程とを、有することを特徴とする第1または第2の手段に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第5の手段は、
前記液調整工程が、40℃以上において前記浸出液へ過酸化水素を添加し、3価砒素を5価砒素に酸化した後、当該反応後液と金属銅とを接触させ、残留する過酸化水素を除去する液調整工程であることを特徴とする第1から第4の手段のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第6の手段は、
前記結晶化工程が、前記液調整後液へ、第一鉄(Fe2+)塩を添加溶解し、それを酸化反応させる結晶化工程であることを特徴とする第1から第5の手段のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第7の手段は、
前記酸化反応を、pH1以下の領域で行う事を特徴とする第1から第6の手段のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第8の手段は、
前記酸化反応を、液温度50℃以上において行うことを特徴とする第1から第7の手段のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第9の手段は、
前記酸化反応が、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込むものであることを特徴とする第1から第8の手段のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法である。
第10の手段は、
三酸化二砒素(As)および/または亜砒酸イオンを含み、50℃以上に加温され、pH値が1以上の中性側であり、硫化銅と銅イオンと銅の5価砒素化合物とを含む水溶液へ、
空気および/または酸素を吹き込むことで、当該水溶液中の3価砒素を5価砒素へ酸化することを特徴とする砒素の酸化方法である。
第11の手段は、
三酸化二砒素(As)および/または亜砒酸イオンを含み、50℃以上に加温され、pH値が2以上の中性側であり、硫化銅を含む水溶液へ、
空気および/または酸素を吹き込むことで、前記硫化銅の一部を溶解させて銅の5価砒素化合物を生成させながら、当該水溶液中の3価砒素を5価砒素へ酸化することを特徴とする砒素の酸化方法である。
第12の手段は、
空気および/または酸素の吹き込み開始時のpH値が2以上であり、吹き込み停止時のpH値が2未満であることを特徴とする第10または第11の手段に記載の砒素の酸化方法である。
第13の手段は、
前記水溶液中の3価砒素が5価砒素へ酸化した後、パルプが生成した当該水溶液を濾過して濾過殿物を回収し、当該濾過殿物を前記硫化銅の代替物として用いることを特徴とする第10から第12の手段のいずれかに記載の砒素の酸化方法である。
第14の手段は、
前記水溶液中の3価砒素が5価砒素へ酸化した後、パルプが生成した当該水溶液を中和してpH値を3以上とすることで、当該水溶液中の銅イオンを銅の5価砒素化合物として晶出させた後、濾過して濾液と濾過殿物を回収し、当該濾過殿物を硫化銅の代替物として用いることを特徴とする第10から第13の手段いずれかに記載の砒素の酸化方法である。
本発明に係る第1から第9に記載のいずれかの手段によれば、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物とから、砒素を抽出し、濾過性に優れ且つ安定なスコロダイトの結晶へと処理することが出来た。
また、第10から第14に記載のいずれかの手段によれば、非鉄製錬所内で容易に調達可能な資材を用いることで、低操業コスト、低設備コストでありながら99%以上の酸化率をもって、3価砒素を5価砒素へ酸化することが可能になった。さらに、本発明によれば、酸化反応終了時の溶液のpH値は1以上、2未満であり、スコロダイト(FeAsO・2HO)生成に好適である。従って、当該観点からも低操業コスト、低設備コスト
に資するものである。
上述したように本発明は、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物とから、砒素を抽出し、濾過性に優れ且つ安定なスコロダイトの結晶へと処理する、砒素の処理方法に関するものである。
そして、低操業コスト、低設備コストでありながら99%以上の酸化率をもって、3価砒素を5価砒素に酸化する方法を提供することである。
以下、図1に示すフローチャートを参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について、1.砒素を含む非鉄製錬中間産物、2.浸出工程、3.液調整工程、4.結晶化工程、実施例1の順に詳細に説明する。
次に、第2の実施形態として、低操業コスト、低設備コストでありながら99%以上の酸化率をもって、3価砒素を5価砒素へ酸化する方法について、図2に示すフローチャートを参照しながら、1.被処理対象物、2.3価砒素の酸化反応、3.3価砒素の酸化反応開始時のpH値、4.3価砒素の酸化反応終了時のpH値、実施例2〜6、比較例1〜5の順に詳細に説明し、さらに、本発明者らの考える、5.3価砒素の酸化反応モデルについて説明する。
1.砒素を含む非鉄製錬中間産物
硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)とは、例えば、砒素を含む製錬工程水や排水に硫化剤を反応させ回収される殿物である。尚、硫化剤としては、硫化水素、水硫化ソーダ、硫化ソーダ等がある。
砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)とは、例えば、脱銅電解スライムである。
ここで、脱銅電解スライムについて、さらに詳しく説明する。
当該脱銅電解スライムは、銅電解精製工場において実施される浄液工程(銅電解液に蓄積する砒素等の不純物を、電解採取により回収除去する工程)で、銅、砒素等が泥状の金属として電解析出することで発生する殿物である。この電解採取による銅電解液の浄液工程は、銅電解精製工場において、一般的に採用されている方法である。従って、当該脱銅電解スライムは、電気銅の品質を確保するために必然的に発生する殿物である。
各製錬所では、この脱銅電解スライムを、銅電解精製工場の前工程である乾式銅製錬工場へ戻すことで処理を行っている。しかし、結果として、砒素が、銅電解精製工場と乾式銅製錬工場との間を循環することとなり、当該砒素の最終的な取り扱いが問題である。当該問題は、今後、さらに大きな問題となるものである。
2.浸出工程
浸出工程(3)は、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)や砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)から砒素を抽出し、当該砒素を含む浸出液(4)を得る工程である。
本研究者等は、まず、脱銅電解スライムの酸化溶解を酸性領域で行い、得られた銅溶液を用いて硫化砒素を溶解する方法の検討を行った。
ところが、当該方法にてスコロダイト結晶生成に必要な砒素の高濃度液を得ようとすると、その溶液は強酸溶液になってしまう。例えば、上記(式1)の反応で、砒素濃度が47g/lの液を調製しようとした場合、その溶液の酸濃度は計算上184g/lであり、pH換算ではpH−(マイナス)0.57の強酸溶液になる。
ここで、砒素化合物であるスコロダイトは、強酸領域では生成が困難である。従って、得られた砒素溶液は、pHを調整しpH1程度に中和することが求められる。しかし、こ
の際にNaOHを用いて中和すると、NaOHの使用量が多量となり、pH調整後の液中のNa濃度が高くなる。このため、後述する結晶化工程(6)では溶液の粘性が増大し、攪拌等が不能となり、スコロダイト(7)を得ることは不可能となる。さらに、この浸出方法で硫化砒素の高浸出率を確保する為には、浸出終了時に、溶液中に銅を多量に溶存させる必要があり、銅の回収工程を別途設ける必要が出てくる。
そこで、本発明者らは、硫酸やNaOHの使用量を最小に抑え、且つ、砒素の濃厚液の調製が可能となる浸出方法を鋭意研究した。
当該研究の結果、本発明者らは、次の(式2)で例示される反応プロセスに想到した。
Cu+1/3As+1/2O+1/3HO=2/3HAsO+CuS・・・(式2)
(尚、Cuとは、金属形態の銅を示す。)
上記(式2)で例示される反応プロセスを詳細に検討した結果、当該反応プロセスを用いて砒素の濃厚液を調製する際における、[1]〜[3]の課題も明らかとなった。
[1]得られる浸出液(4)が冷却されても、結晶が析出しないこと。これは、実機操業時の濾過時等において、結晶が析出すれば操業不可能となるためである。
[2]最終的に得られる砒素の結晶物(スコロダイト(7))からの不純物、特に、鉛の溶出を抑えること。
[3]当該反応プロセスを用いて砒素濃度が高い浸出液(4)を得るための、金属形態のCu原料の幅広い選定が求められること。
上記課題[1]〜[3]に対し、本発明者らは以下の発明により、当該課題を解決した。
[1]
得られる浸出液(4)中に含有される砒素において、溶解度が小さい3価砒素から溶解度が大きい5価砒素への酸化を積極的に進める。
具体的には、浸出工程(3)を3段階に分けることで、酸化効率を高めることを可能にした。また、未酸化の3価砒素に対しては、NaOHを、結晶化工程(6)での結晶化に問題のない範囲で当該浸出液へ浸出時に適量添加(具体的には、NaOH添加量を、溶液中のNa濃度が15g/lを超えない量とする。)することで、3価砒素の溶解度を高めることとした。この時、結晶化工程(6)における浸出液(4)の粘性増加は抑止された。
[2]
スコロダイト(7)からの溶出元素として、砒素のみならず鉛も問題となる。これは、浸出液(4)中の鉛が、結晶化工程で配合する硫酸第1鉄塩の多量の硫酸根と硫酸鉛を形成し、これがスコロダイト(7)に混入するためと推定される。
浸出液への過量の鉛の溶出を防ぐためには、浸出液(4)中の3価砒素の5価砒素への酸化が90%を超えないように抑え、溶液が過酸化状態となるのを避けること、さらに、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)である硫化砒素殿物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)である脱銅電解スライムとを、適正配合して反応を行うことで、過量の鉛の溶出を防ぐことが出来た。
ここで、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)との適正配合について説明する。
当該適正配合量は、上記(式2)より反応がなされると仮定し、上記反応に必要な量論量のAs量を1倍当量としたとき、量論量の1倍当量以上は必要であり、好ましくは量論量の1.1倍当量以上である。このように、Asを量論量より多く配合することにより、鉛の溶出を低く抑えることが出来る。この現象の理由は不明であるが、As
を量論量より多く配合することにより、浸出残渣(8)中に存在する単体硫黄量が多くなり、当該単体硫黄が作用するためとも考えられる。
尚、当該浸出残渣(8)は、銅製錬工程(9)へ戻すことが出来る。
[3]
上述した(式2)で例示される反応プロセスにおいては、金属形態の銅として純銅を用いた場合であっても反応可能といえる。すなわち、屑銅などの純銅を共存させ、硫化砒素パルプを酸性域で酸化浸出させることでも、反応は進むものである。尤も、金属形態の銅に関しては、銅製錬工場において、必然的に脱銅電解スライムが生成している。そして、当該脱銅電解スライムには砒素が濃縮している。従って、当該砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)を銅系原料として用いることにより、砒素の濃縮が容易にできると伴に、処理コストを低減させる観点からも好ましい。さらに、脱銅電解スライム中の銅は、単体としての銅の存在以外に、金属間化合物である砒化銅としての銅の存在が相当量認められる。そして、銅が砒化銅等の合金形態であっても、酸性下において酸化浸出で溶解可能なものであれば銅系原料として利用することが可能であり、これら合金形態の銅の利用も砒素濃度を上げる観点からも、コストの観点からも好ましい。尚、当該砒化銅は、湿式亜鉛製錬の脱砒素工程で発生する場合が多いが、これらの砒化銅は本発明に係る銅系原料として好適である。
浸出工程(3)における操作について、さらに、下記に例示する。
第1の浸出工程では、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)とを混合し、混合スラリーとする。それぞれの非鉄製錬中間産物の配合は、前述のように当該非鉄製錬中間産物に含まれるメタル態様の銅に対して、硫化物形態の砒素が上述した(式2)の反応における量論量の1倍当量以上になるようにする。もっとも金属銅の含有量が不明の場合は、近似的に、銅含有量をメタル態様の銅と仮定してもよいが、これは、硫化砒素に関しても同様である。
当該混合スラリーの調製時または調製後において、酸を添加してもよい。酸の添加により、脱銅電解スライムの浸出が促進されるからである。酸は、硫酸が好ましい。酸の添加は、混合スラリーのpHを1〜2程度とすればよい、これにより脱銅電解スライムの浸出が十分に行える。特に、pH1程度であれば、後工程である砒素の結晶化工程(6)においても好適である。
結局、本発明者らは、第1の浸出工程において上述したようにpHを1〜2という、あまり低くない酸性条件下とし、且つ、浸出時の混合スラリーの温度を80℃以下とした場合であっても、十分な酸化浸出が可能であることをも見出した。
試験的に、混合スラリーの温度である浸出温度を測定した。浸出時間は120分間とした。原料や配合、浸出条件のPH1〜2は、同条件として、浸出温度を90、80、65、50℃と変化させて、最終の浸出率を質量比で求めると、それぞれ91.0%、91.4%、91.6%、91.2%となり、大きな差異はなかった。このように、pHが十分に低い訳でもなく、且つ、液温が高温でもない条件下でありながら、高浸出率が得られる理由として、脱銅電解スライムの1次粒子が10〜30μmと非常に細かく、元来、反応性に富んでいるからではないかと推定している。
さらに注目すべきは、上記(式2)の反応は、酸発生または酸消費のどちらの反応でもないことである。従って、反応の始期において、一旦、浸出pHを設定すれば、当該pHを維持したままで反応が進むと考えられる。しかし実際の反応では、pHが徐々に低下していく。尚、当該pH低下の明確な反応は、未だ不明である。
従って、第1浸出工程では、pHを非保持としながら、当該pHを1〜2間に保つため、上述した浸出率確保の観点と併せて、浸出時pH範囲の保持の観点からも、その条件を精査することが求められる。
尚、反応が進むとpHは低下し、最終的には、1以下になる可能性がある。
しかし、上記基本反応式である(式2)を素反応に分解して考えれば、(式3)、(式
4)、(式5)であると考えられる。
(Cu)+2H+1/2O=Cu++HO・・・(式3)
(As)+3/4O+1/2HO=HAsO・・・(式4)
Cu2++1/3As+4/3HO=CuS+2/3HAsO+2H・・・(式5)
そうであるなら、pH低下を抑制するためには、(式3)の進行を促進させて酸を消費させる、(式5)の進行を抑制して酸の発生を抑える、ことが有効であると考察された。
以上の考察と、試行錯誤とを重ねた結果、浸出温度を80℃〜90℃とすれば、浸出反応の進行と伴にpHの低下幅が大きく、浸出液(4)のpHも1を割り込み易くなり、管理が不安定に成ると共に、第2浸出工程におけるNaOH使用が増加することが判明した。一方、浸出温度を80℃以下、好ましくは70℃以下とすると、浸出反応の進行に拘わらず、pHの低下幅が小さく管理が安定し、浸出液(4)のpHを確実に1〜2間に収めることが可能となった。
この結果、浸出温度を80℃以下とすることで、浸出開始のpHを2弱に設定すれば、第1浸出工程の終了時のpHを常に1以上とすることが出来、浸出時にpHコントロールをせずともpHを1〜2間に保つことが出来た。尚、浸出開始時のpH制御は、所定量の硫酸を添加して行う。また、第1浸出工程における浸出率確保の意味から、当該第1浸出工程は、少なくとも30分間以上行うことが良い。
第1浸出工程で生成する砒素を浸出した後にスラリーは、さらに第2浸出工程にて浸出を行い、当該浸出液に溶存している銅を除去しつつ、さらに砒素を浸出すると共に、3価砒素を5価砒素へ酸化を進める。
第1浸出工程終了時の浸出液には、銅が数g/l存在しており、これを除去する必要がある。
また、浸出した砒素は、約30%前後が5価砒素へ酸化しているに過ぎない。
第2浸出工程では、第1浸出工程で生成し混合スラリーにNaOHを添加し、当該混合スラリーのpHを2.0以上とする。pHを上昇させることにより、3価砒素の5価砒素への酸化が促進される。これは、砒素が、酸性より中性領域へ近づくほど酸化され易いからである。
第2浸出工程における混合スラリーの温度は、第1浸出工程と同様に、さほど高温を必要とせず、80℃以下が好適である。一般的には、3価砒素の5価砒素への酸化は、温度が高い程、良好である。しかし、本検討結果は逆である。当該第2浸出工程における混合スラリーの温度は、80℃以下が好適であることの詳細な理由は不明であるが、原料成分の複雑さに起因する可能性がある。
試験として、第1浸出工程にて生成した混合スラリーを用い、温度のみを変更した条件で第2浸出工程を施した。
同様の組成を有する原料試料を準備し、第1浸出工程の温度を60℃、浸出時間を120分とした。一方、第2浸出工程の温度を90℃,80℃,70℃,60℃と変化させ、
浸出時間は45分間のみとした。浸出温度を90,80,70,60℃でそれぞれの浸出各温度での、第2浸出工程における3価砒素の5価砒素への酸化変換率を調べた。当該3価砒素の5価砒素への酸化変換率の結果を表1に示す。
Figure 2009242224
表1の結果から、80℃以上では、3価砒素の5価砒素への酸化率が激減することがわかった。以上の結果より、第2浸出工程では、浸出温度に上限があり、80℃以下の低い温度であれば、3価砒素の5価砒素への酸化率は高いことがわかった。なお、上述したように、反応全体では(式5)の進行によってpHが低下していく。しかし、pHが1を割ることはなかった。
第2浸出工程の反応時間は、反応の進行を十分保証する観点から30分間以上、好ましくは45分間以上、実施するべきである。
第3浸出工程では、第1および第2浸出工程を経て生成し混合スラリーから、銅を除去する工程である。第1および第2浸出工程を経た混合スラリーは、液中に銅がまだ数100mg/l〜1g/l程度残っている。そこで、当該残留する銅を、50mg/l以下に除去する必要がある。これには、第3浸出工程の温度を上げることが効果的であることに、想到した。第3浸出工程の温度は、好ましくは80℃以上とし、30分間以上反応を行うのが良い。銅の含有量が数mg/l程度となる迄、除去されるからである。
試験として、第3浸出工程の反応温度のみを変え、最終浸出液中の銅濃度を測定した。原料試料は各試験共同一であり、第1浸出工程は浸出温度60℃、時間120分間、第2浸出工程は、浸出温度60℃、時間45分間とした。この条件で得られた混合スラリー試料を、浸出温度90℃,80℃,70℃、浸出時間は各45分間で浸出試験をした。結果を表2に示す。
Figure 2009242224
表2から明らかなように、反応温度が80℃以上になれば、急激に銅の濃度が減少することが判明し、反応温度は80℃以上が好ましいことがわかった。なお、第3浸出工程でもpHは低下する挙動を示すものの、浸出反応終了時点においても、尚、pHは1を割ることがなかった。そして、当該pH値は、後工程にとっても好ましいpHであることが判明した。さらにpHは1を割ることがなかったので、後工程におけるpH調整が簡易になり、pH調整に用いる薬剤の使用量も抑制できた。すなわち、砒素処理をする上で非常に
好適な砒素溶解液が得られた。
第4浸出工程は、処理対象である原料系に水銀が多く含まれる場合や、第3浸出工程で微量残留する銅を、安定的、且つ、ほぼ完全に除去したい場合に、設けることが好ましい工程である。
具体的には、酸素ガス等の混合ガスの吹き込みを停止することで、原料から浸出液(4)に微量溶解した水銀および残留する銅を、(式6)(式7)に示す硫化反応により除去するものである。
Hg2++4/3S+4/3HO=HgS+1/3SO 2−+8/3H・・・(式6)
Cu2++4/3S+4/3HO=CuS+1/3SO 2−+8/3H・・・(式7)
つまり、浸出残渣(8)に含まれるS(硫黄)を硫化剤として活用するものである。
尚、当該S(硫黄)は、(式2)に示す反応当量以上に過量配合された硫化砒素が、下式(式8)による溶解時にもたらされるものである。
As+3/2O+HO=2HAsO+3S・・・・・・(式8)
当該第4浸出工程を設け反応時間を10分間以上設けることにより、例えば銅は、反応温度が80℃であっても安定的に1mg/l前後まで除去することが出来る。
3.液調整工程
液調整工程(5)は、上記浸出工程(3)で得られた浸出液(4)へ過酸化水素を添加し、当該浸出液(4)中に含まれる未酸化の3価砒素を、5価砒素に酸化する酸化工程と、当該酸化後液に残留する過酸化水素を除去する脱酸工程とを有する。
(酸化工程)
本発明者らの検討によれば、空気や酸素ガスは、3価砒素を、ほぼ完全に5価Asへ酸化させるための酸化剤としては酸化力が弱い。ここで本発明者らは、酸化剤として汎用的に使われている過酸化水素(H)を採用した。尚、用いる過酸化水素は、30〜35%濃度の汎用的に使われているもので良い。
当該過酸化水素による、3価砒素の酸化を(式9)、(式10)に示す。
HAsO+H=HAsO +H・・・・(式9)
HAsO+H=HAsO・・・・(式10)
過酸化水素の添加時間は、5分間以上かけて行えば、一部分解による気泡の発生が
抑制され添加効率が上がるが、好ましくは、10分間〜15分間が良い。
過酸化水素の添加量は、3価砒素の酸化反応に必要な量論量の1〜1.1倍量で良い。
過酸化水素による3価砒素の酸化は非常に早く、添加中にpHの低下と反応熱による温度の上昇が観察される。従って、(3価砒素濃度にもよるが、)過酸化水素の添加を65〜70℃で開始すれば、添加終了時には温度が80℃近くまで上がっている。
反応時間は、酸化を完全に行う観点から、過酸化水素添加完了後60分間以上かけることが肝要である。
(脱酸工程)
脱酸工程は、上記酸化工程で得られた酸化後液中に残留する過酸化水素を除去する工程である。
上述した未酸化の3価砒素を、5価砒素に酸化する酸化工程の後、当該酸化後液中に残留する過酸化水素は、その濃度にもよるが、次工程の結晶化工程(6)にて添加する第1鉄塩の一部を酸化するため、第一鉄イオン濃度を正確に管理するためには、除去することが望ましい。
当該酸化後液中に残留する過酸化水素を除去するには、金、銀等の金属のコロイドを添加し、過酸化水素を分解する方法も考えられる。しかし、ハンドリング性やロスによる損失を考えると実操業では不適である。
ここで、本発明者等は、分解ではなく消費による除去という概念に想到し、当該概念を検討した。その結果、当該酸化後液中に残留する過酸化水素と、金属銅とを接触させ(式11)に示す反応で、過酸化水素を消費させて除去する方法が最も合理的であることに想到した。
Cu+H+HSO=CuSO+2HO・・・・(式11)
反応温度は、反応を完結させるため40℃以上が好ましい。
反応時間は、pHが一定値を示した時点で終了と判断出来る。これは、当該反応が(式11)に示すようにpHの上昇を伴うものだからである。
4.結晶化工程
結晶化工程(6)は、液調整工程(5)を終えた液調整液中の砒素を、スコロダイト(7)へと結晶化する工程である。
液調整工程(5)を終えた液調整液中の砒素濃度は、スコロダイト(7)の生産性を考えた場合、30g/l以上の濃厚液であることが好ましく、さらに好ましくは40g/l以上であると良い。
まず、液調整工程(5)を終えた液調整液に対し、第一鉄(Fe2+)塩を添加溶解し、室温にて硫酸(HSO)を添加してpH1に調整する。
ここで、第一鉄塩には種々あるが、設備の耐腐食性に負荷をかけず、汎用的な薬剤であることから硫酸第一鉄が好ましい。
硫酸第一鉄の添加量は、鉄純分量として被処理砒素総モル量の1倍当量以上、好ましくは1.5倍当量以上加えれば良いが、コスト面を考えると1.5倍当量で良い。
以上の調合をおこなった後、当該液調整液を所定の反応温度まで昇温する。ここで反応温度が50℃以上あれば、スコロダイト(7)が析出可能である。しかし、反応温度が高い方がスコロダイト(7)の粒径が大きくなるので、大気雰囲気下で昇温可能な90〜100℃が望ましい。
当該液調整液が所定の反応温度に到達したら、空気または酸素またはこれら混合ガスの吹く込みを開始し、また攪拌も強攪拌とし、気液混合状態をつくり所定の反応温度を保ちながら高温酸化による結晶化反応を進める。
当該結晶化反応は2〜3時間程度で下記推定式(式12)〜(式17)によって殆ど決定される。液の酸化還元電位も95℃で400mV以上(Ag/AgCl電極基準)を示し、砒素の90%以上がスコロダイトへの変換を完了する。
反応の前半
2FeSO+1/2O+HSO=Fe(SO+HO・・・(式12)
2HAsO+Fe(SO+4HO=2FeAsO・2HO+3HSO・・・・(式13)
全反応式 (式12)+(式13)は下式である。
2HAsO+2FeSO+1/2O+3HO=2FeAsO・2HO+2HSO・・・・(式14)
As濃度が低下した反応後半
2FeSO+1/2O+HSO=Fe(SO+HO・・・(式15)
2/3HAsO+1/3Fe(SO+4/3HO=2/3FeAsO・2HO+HSO・・・・(式16)
全反応式 (式15)+(式16)は下式である。
2/3HAsO+2FeSO+1/2O+4/3HO=2/3FeAsO・2HO+2/3Fe(SO・・・・(式17)
即ち、酸化方法にもよるが、反応2〜3時間までに、当該溶液のpH、砒素濃度および鉄濃度が急激に低下し、液の酸化還元電位も95℃で400mV以上(Ag/AgCl電極基準)を示す。このことは、当該溶液中の砒素の90%以上が、スコロダイトへの変換を完了したことを示している。その後、結晶化反応を継続しても、当該溶液中に残留する砒素が少量低下するのみで、pHや液の酸還元電位は殆ど変化しない。
尚、結晶化反応を平衡状態で終えるには、当該結晶化反応を5〜7時間で完結することが好ましい。
一方、生成する、ろ液(10)は、排水処理工程(11)にて処理すればよい。
以上、詳細に説明したように本発明によれば、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物(1)や砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物(2)の両非鉄製錬中間産物を、製錬工程へ繰り返すことなく、同時に処理することが可能となり、しかも含有する砒素は、安定物質であるスコロダイトへ変換させるため、砒素を安定に管理保管が可能となる。これは、将来の銅鉱石中の砒素品位上昇への対応策となることは無論、環境対策上その効果は甚大である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
<浸出>
(第1浸出工程)
表3に品位を示す硫化砒素殿物553wet・gと、表4に品位を示す脱銅電解スライム 113dry・gとを、2リットルビーカー(4枚バッフル付き)に測り取り、純水1,210mlを加えスラリー(pH2.48、at26℃)とした。当該配合における硫化砒素の量は、上記(式2)の量論量の約1.3倍相当量である。
尚、当該脱銅電解スライムは、乾燥時に凝結していたものを事前にカッターミルで解砕し、710μmアンダーとしたものを用いた。また、化学分析値は、特に記載ない場合、ICP分析装置を用いて測定した値であり、(%)は、(質量%)の意味である。
Figure 2009242224
Figure 2009242224
次いでスラリーに、95%硫酸(HSO)を16.3g添加した。この時点ではpH1.47(at.29℃)であった。さらに、当該スラリーを50℃まで昇温した。この時点ではpH1.43(at.50℃)であった。次いで、攪拌を強攪拌とし、ビーカー底部よりガラス管を用い、酸素ガスを、430ml/分で吹き込みを開始し、50℃を維持しつつ120分間浸出を行った。この時点ではpH1.38(at.50℃)であった。ここで、当該スラリーの少量をサンプリングし、液分析を行った結果を表5に示す。
尚、T−Asとは、砒素の全量の意味である。
Figure 2009242224
(第2浸出工程)
第1浸出工程に引き続き、当該浸出スラリーに、500g・NaOH/l濃度のNaOH溶液を61ml添加し中和を行った。この中和直後のpHは3.81(at.59℃)であった。
次いで、浸出温度を60℃へ調整して恒温とし、第1浸出工程と同量の酸素を吹き込みながら45分間浸出を続け第2浸出工程を終了した。この時点ではpH2.26(at.60℃)であった。ここで、当該スラリーの少量をサンプリングし、液分析を行った結果を表6に示す。
Figure 2009242224
(第3浸出工程)
第2浸出工程に引き続き、スラリーの温度を80℃へ昇温し、80℃に達したら45分間維持しつつ、第1、第2浸出工程と同量の酸素を引き込みながら浸出を行い、第3浸出工程を終了した。この時点ではpH2.03(at.80℃)であった。ここで、当該スラリーの少量をサンプリングし、液分析を行った結果を表7に示す。
Figure 2009242224
また、回収した浸出残渣の重量は、560wet・g(水分64%)であった。当該浸出残渣の水洗後の品位を表8に示す。表8から求めた浸出率は91.8%であった。
Figure 2009242224
<液調整>
(酸化)
第1〜第3浸出工程で得られた浸出液1,000mlを、1(L)ビーカーに取った。ここへ、含有される3価砒素を酸化するに必要な1.05倍当量の過酸化水素を添加した。
具体的には、30%過酸化水素水17.5gを、昇温中の当該浸出液が60℃となった時点から添加を開始し、12分間で添加を終了した。この時点で浸出液の酸化還元電位は81℃で526mV(Ag/AgCl電極基準)であったが、ここを反応開始とした。尚、攪拌は空気を巻き込まない程度の弱攪拌とした。
酸化反応時における浸出液の温度−pH−酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)の推移を表9に示す。
Figure 2009242224
(脱酸)
液調整に引き続き、上記の酸化反応終液全量を対象として、脱過酸化水素処理を行って、調整後液を得た。
脱過酸化水素剤として、本実施例では試薬1級の銅粉末を用いた。
反応条件は、反応温度を40℃とし、銅粉1.8gの添加直後を反応開始とした。
脱酸時における酸化反応終了液の温度−pH−酸化還元電位(Ag/AgCl電極基準)の推移を表10に示す。
尚、脱酸後における調整後液中の砒素濃度は45.3g/lであり、銅濃度は111mg/lと上昇していた。
Figure 2009242224
<結晶化>
液調整で得られた調整後液を純水で希釈し、砒素濃度を45g/lに調整した。当該調整液800mlを2Lビーカーに移し、95%硫酸を添加してpH1.15へ調整した。ここへ添加する第一鉄(Fe2+)量は、含有される砒素モル量の1.5倍モル量とした。具体的には、試薬1級の硫酸第一鉄(FeSO・7HO)を200g測り取り、当該調整液へ添加溶解し、さらに95%硫酸を添加して、30℃でpH1.0へ調整した。
当該溶液を加熱して95℃へ昇温し、次いでビーカー底部よりガラス管を用い酸素ガスを、950ml/分で吹き込み開始し、大気圧下において強攪拌し、気液混合状態で7時間反応させてスコロダイトを生成させた。
生成したスコロダイト結晶の性状を表11に示す。
Figure 2009242224
(第2の実施形態)
本発明者らの検討によると、上述した過酸化水素(H)を用いた酸化方法は、3価砒素の酸化速度が速く、かつ、溶液温度を高温として反応させることにより、ほぼ100%近い3価砒素の酸化が達成される。しかし、過酸化水素は高価な薬剤である。
一方、オゾン(O)を用いた酸化方法は、溶液温度に関係なく、かつ、短時間に、ほぼ100%近い3価砒素の酸化が達成される。しかし、以下の問題がある。
オゾン発生設備自体が高コストである。さらにオゾンの酸化力が強い為、周辺装置の仕様も高度化せざるを得ず、システム全体としては非常な高コストとなる。
オゾンは人体に有害である為、未反応で大気に放出されるオゾンを回収・無害化する付帯設備が必要となる。
オゾンは酸素より水に溶けやすく、反応後液は特異の刺激臭を放つ等の問題がある。当該問題を除くため、後工程において溶存したオゾンを除去する工程が必要となる。
一方、粉状金属銅等を触媒として添加する方法では、以下の問題点が明らかとなった。1)被処理液の砒素濃度が低い(例えば、3g/L程度)場合には、砒素の酸化率は100%近い。しかし、被処理液の砒素濃度が高い(例えば、60〜70g/L程度)場合は砒素の酸化率が79%程度に低下する。
2)金属銅(Cu°)が銅イオン(Cu2+)に変化する際に、3価砒素から5価砒素への変化に影響を与える。そして、当該変化の際、3価砒素に対して少なくとも等モル以上の金属銅が必要であるとしている。さらに、難水溶性銅化合物(CuO、CuS)においても、金属銅と同様の効果が認められるとしている。この結果、3価砒素化合物である亜砒酸の処理に際して、大量の薬剤(銅源)が必要である。
3)上記2)で説明したように、当該方法では亜砒酸(3価砒素)の処理に際して大量の銅源を使う。この結果、反応後の溶液には数10g/Lの大量の銅イオンが残る。従って、反応後の溶液からの銅の回収工程が必要となり、銅回収コストの負担増を招く。
4)当該反応は、酸性溶液中(例えば、pH値が0、FA(遊離酸)値が130g/L)における反応であるため、反応後の溶液には大量の酸分が残る。従って、反応後の溶液をベースとして5価砒素化合物を生成するためには、大量のアルカリが必要である。これは、当該方法において、粉状金属銅および/または難水溶性銅化合物を、溶解させる必要があるため、すなわち必然的に酸分が必要とされることから、避けられない問題でもある。
以下、本発明を実施するための第2の実施形態について、図2に示すフローチャートを参照しながら、1.被処理対象物、2.3価砒素の酸化反応、3.3価砒素の酸化反応開始時のpH値、4.3価砒素の酸化反応終了時のpH値、実施例2〜6、比較例1〜5の順に詳細に説明し、さらに、本発明者らの考える、5.3価砒素の酸化反応モデルについて説明する。
本実施形態によれば、非鉄製錬所内で容易に調達可能な資材を用いることで、低操業コスト、低設備コストでありながら99%以上の酸化率をもって、3価砒素を5価砒素へ酸
化することが可能になった。
1.被処理対象物
本実施の形態は、高濃度の砒素溶液の作製に最適な処理方法である。
つまり、本実施の形態によれば、溶解度の小さな3価砒素を、溶解度の大きな5価砒素へ容易に酸化可能である。従って、3価砒素源として固体である三酸化二砒素〈1〉を用いることにより、3価砒素が5価砒素へ酸化されるのと並行して当該三酸化二砒素が溶解し、3価砒素が適時供給される形となる。この結果、数10g/Lの高濃度な5価砒素溶液、すなわち濃厚な砒酸溶液の作成が容易となるものである。
2.3価砒素の酸化反応
酸化工程〈4〉に係る本実施の形態を導出するにあたり、本発明者らは、銅を砒素の酸化触媒として用い、3価砒素を酸素により酸化する工程に関して検討を行った。
当該検討のいくつかを、以下に記載する。
1)酸化触媒として銅イオンのみを使用する(後述の比較例1、比較例2に相当する。)。
2)酸化触媒として硫化銅のみを使用する(後述の比較例3に相当する。)。
3)酸化触媒として硫化銅と銅イオンとの2種を共存させて使用する(後述の比較例4に相当する。)。
4)酸化触媒として硫化銅と銅イオンと銅の5価砒素化合物との3種を共存させて使用する(後述の実施例2〜6に相当する。)。
上述の検討の結果、1)〜4)ともに、銅の酸化触媒効果は認められた。しかし、酸化速度、酸化率の観点から4)が、1)〜3)と比較して効果が飛躍的に向上することを知見した。
当該知見に基づき、酸化触媒としては、硫化銅と、銅イオンと、銅の5価砒素化合物(砒酸銅)との3種を共存させて使用することとした。
以下、(a)硫化銅源、(b)銅イオン源、(c)銅の5価砒素化合物(砒酸銅)、および、(d)反応温度、(e)吹き込みガス種と吹き込み量、について詳細に説明する。
(a)硫化銅源
硫化銅源〈2〉は、硫化銅固体、硫化銅粉末などを用いることが出来る。尤も、反応性を確保する観点からは、粉状であることが望ましい。また、硫化銅には、大別して、CuSとCuSとの形態が存在する(結晶格子中銅の一部が欠損した組成のCuもある。)。本実施形態においては、そのどちらでも効果があり、これらの混合であっても良い。さらに、硫化銅源は、出来るだけ純粋な硫化銅(不純物が極力少なく、純度の高い硫化銅。)であることが好ましい。これは、純度の高い硫化銅を用いることで、As、ZnS、PbS、CdS、等の混入を回避できるからである。
これら、As、ZnS、PbS、CdS、等が混入してくると、以下、(式18〜21)に記載する反応がおこり、3価砒素の酸化反応に必要な銅イオンの供給が妨げられる。
さらに、As、すなわち硫化砒素においては、意識的に銅イオンを添加した場合であっても以下に記載する反応がおこり、最適な銅イオン濃度の維持が難しくなるだけでなく、水素イオン(H)発生反応が起きる。そして、水素イオン(H)が発生すると、反応系のpH値が低下してしまい、本発明に係る3価砒素の酸化反応の維持が困難となり、3価砒素の酸化が困難になる。
Cu2++1/3As+4/3HO=CuS+2/3HAsO+2H・・・(式18)
Cu2++ZnS=CuS+Zn2+・・・(式19)
Cu2++PbS=CuS+Pb2+・・・(式20)
Cu2++CdS=CuS+Cd2+・・・(式21)
ここで、硫化銅源〈2〉として、製錬中間産物として回収される硫化銅を考えた場合、当該回収された硫化銅中には、上述したAs、ZnS、PbS、CdS、等が相当量含まれている。従って、硫化銅源〈2〉として、製錬中間産物として回収される硫化銅をそのまま用いることは好ましくない。もし、用いたい場合には、事前に上述の硫化物を反応分解等により除去し、硫化銅としての純度を上げておけば良い。
銅製錬所であれば、以下に記載する方法で、本発明に適した純度の高い硫化銅を簡単に製造可能である。
(1)電気銅を硫酸酸性下(FA(遊離酸)=50〜300g/L)で、加温しつつエアレーションして溶解(Cu=10〜30g/L)させ銅溶液を得る。
(2)得られた銅溶液を、50℃以上でNaSHやHS等の硫化剤と反応させて硫化銅を回収する。
(3)回収された硫化銅を水洗浄し、付着酸分を取り除く。
この水洗浄後の硫化銅は不純物が少なく、乾燥状態であっても湿潤状態であっても、本発明に適用可能である。
(b)銅イオン源
銅イオン源〈3〉は、処理水溶液において銅イオンとなるものを用いれば良い。例えば、硫酸銅は常温にて固体であり、水に溶解して直ぐに銅イオンとなるため好ましい。金属銅、金属銅粉を用いてもよいが、イオン化するまで溶解を待つ必要がある。
(c)銅の5価砒素化合物(砒酸銅)
本実施形態に係る銅の5価砒素化合物として砒酸銅がある。砒酸銅の溶解度積は、砒酸鉄(FeAsO)に匹敵するものであり、弱酸性から中性領域にて容易に形成する5価砒素化合物である。
本実施形態では、3価砒素を含む水溶液に硫化銅を添加し、初期pH値を2以上とし酸化反応を開始する。この為、添加された硫化銅表面では、3価砒素の5価砒素への酸化と、硫化銅の溶解による銅イオンの供給とが並行する為、瞬時に砒酸銅の生成が起きるものと考えられる。また、反応終了時には、溶液が弱酸性領域へ自然移行するものの、この時点では5価砒素および銅イオン共にg/Lオーダーまで濃縮されている。当該濃縮により、砒酸銅の生成能力は、依然低下することがない。
ここで、溶液のpH値が1を割り込む酸性側とならなければ、砒酸銅の形成能力が極端に低下することはない為、pH値の管理を行うことが好ましい。
(d)反応温度
砒素の酸化は、溶液温度が高いほうが良好である。具体的には、砒素の酸化を進めるためには50℃以上の温度が求められる。実操業を考慮し、反応槽の材質や反応後の濾過操作を前提とすれば70〜90℃、好ましくは80℃前後に加温〈5〉する。
(e)吹き込みガス種と吹き込み量
吹き込みガス〈6〉が、空気であっても3価砒素の酸化反応は可能である。しかし、酸素、または、空気と酸素との混合ガスを吹き込みガス〈6〉とした場合は、溶液中の砒素濃度が低い範囲であっても酸化速度が維持され、吹き込み(ガス)容量も小さくなるため、これに伴うヒートロスも少なくなり反応温度の維持管理が容易になる。そこで、酸化速度、反応温度の維持管理の観点から、吹き込みガス〈6〉は、酸素、または、酸素と空気との混合ガスが好ましい。
吹き込みガス〈6〉の単位時間当たりの吹き込み量は、反応槽の気液混合状態により、最適値が変化する。例えば、微細気泡発生装置等を用いれば、酸化効率はさらに向上し、吹き込み量を減らすことが可能となる。
従って、実機操業時には、その気液混合状態や酸素吹き込み方式等を加味して最適値を見出すことが肝要である。
3.3価砒素の酸化反応開始時のpH値
本発明に係る3価砒素の酸化反応の基本式は、以下であると考えられる。
As+HO=2HAsO・・・・(式22)
三酸化二砒素が水に亜砒酸(3価砒素)として溶解する反応
2HAsO+O+2HO=2HAsO +2H・・・・(式23)
亜砒酸(3価砒素)が酸化する反応
2HAsO+O+2HO=2HAsO・・・・(式24)
亜砒酸(3価砒素)が酸化する反応
後述する実施例のように、全砒素溶解時の砒素濃度が40g/L以上の濃厚液の場合は、亜砒酸の溶解度が小さいため三酸化二砒素は全量初期に溶解するのではない。
濃厚砒素液の場合は、亜砒酸が、(式23)、(式24)により溶解度の大きい砒酸へ酸化され、亜砒酸濃度が減少すると並行して、(式22)により亜砒酸が系内へ補給される反応が進行するものと考えられる。つまり、反応初期は、固体の三酸化二砒素が懸濁しながら溶解していくものと考えられる。
ここで、亜砒酸の砒酸への酸化は、(式23)、(式24)によるものと考えられる。
当該亜砒酸の砒酸への酸化反応において、初期の30分間で溶液のpH値が2前後へ急激に低下する挙動を示す。当該挙動から、pH2以上の中性側では主に(式23)により酸化が進んでいるものと推定できる。その後の30分間以降では、pH値の低下は緩慢となることから、反応は主に(式24)にて進んでいるものと推定できる。
以上のことから、本発明により3価砒素を効率的に酸化し、且つ、反応終了時のpH値を弱酸性に制御するためには、酸化反応開始時(空気および/または酸素の吹き込み開始時)のpH値を2以上とすれば良いことが理解される。
4.3価砒素の酸化反応終了時のpH値
本発明に係る実施の形態において、後述する実施例2〜6の結果が示すように、3価砒素の酸化反応終了時(空気および/または酸素の吹き込み停止時)のpH値は、全て2未満であり、具体的には1.8前後となった。
当該1.8前後のpH値は、5価砒素化合物生成に好ましいpH値である(酸濃度が適正値にある。)。これは、5価砒素化合物である砒酸鉄生成の最適pH域がpH3.5
〜4.5であるため、酸分の中和のため消費される中和剤が少なくて済むからである。
一方、スコロダイト(FeAsO・2HO)生成は、pH1前後の5価砒素溶液が元液として用いられるため、少量の逆中和剤(例えば硫酸)添加によりpH調整が可能となるからである。さらに、詳細は後述する実施例6にて説明するが、反応終了時のpH値は、2未満であり1以上であることが好ましい。
3価砒素の酸化反応終了時(空気および/または酸素の吹き込み停止時)のpH値が2未満であり、具体的には1.8前後となるのは、上記(式22)〜(式24)により、もたらされるものと考えられる。
まず、(式22)により、三酸化二砒素が水に亜砒酸(3価砒素)として溶解する。尤も、出発原料が固体の三酸化二砒素である場合に限られず、すでに亜砒酸として3価砒素が溶解している水溶液の場合でも同様である(従って、本発明は、一般の排水処理にも適
用可能である場合があると考えられる。)。
上述の酸化工程〈4〉で得られた産物を、濾過〈7〉において、濾液〈8〉と濾過物〈9〉とに分離する。濾過〈7〉においては、例えば、フィルタープレスの様な、通常の濾過方法を適用できる。上述の酸化工程〈4〉にて、銅の5価砒素化合物が生成されるものの、粘性が高まる等の濾過性の問題がないからである。
得られた濾液〈7〉は、上述したように1.8前後のpH値を有する砒酸溶液である。当該1.8前後のpH値は、5価砒素化合物生成に好ましいpH値であることから、濾液〈7〉から、低コスト且つ高生産性をもって5価砒素化合物を生成出来る。
一方、濾過物〈9〉は、硫化銅と、銅の5価砒素化合物との混合物であるので、そのまま酸化触媒として繰り返し使用することが出来る。この繰り返し使用の際、一部溶解した硫化銅に相応する量の硫化銅を、新たに追加添加すれば、触媒効果はさらなる向上が期待出来る。
5.3価砒素の酸化反応機構のモデル
本発明に係る硫化銅と、銅イオンと、銅の5価砒素化合物よる3元系触媒は、高い酸化率と酸化速度を兼ね備えたものである。この3元系触媒が発揮する酸化触媒効果は、硫化銅表面での各イオン種の接触がもたらす電池的な反応に起因するものと考えられる。
例えば、pH2前後の領域を例として、酸化反応機構のモデルを考える。
まず、3価砒素の酸化を電極反応に置き換えれば、陽極反応は(式25)、陰極反応は(式26)として示される。
As+5HO=2HAsO+4H+4e・・・・・(式25)
4H+O+4e=2HO・・・・・(式26)
すなわち3価砒素の酸化反応は(式25)にて示す反応が進むが、反応を進めるためには電気的に中性を維持する必要がある。従って、硫化銅表面で進む(式26)で示す陰極反応の進行が、反応性を左右するものと考えられる。このことから、常に活性度の高い硫化銅表面の確保が重要になるものと考えられる。
すなわち本反応モデル系では、銅イオンが共存し、且つ、弱酸pH領域の反応であるため、硫化銅表面では(式27)に示す砒酸銅化合物の晶出反応が起きるものと考えられる。
Cu2++HAsO+HO=CuHAsO・HO+2H ・・(式27)
上記(式27)により、硫化銅表面には水素イオン(H)が補給され、(式28)(式29)に示す反応が並行して進むと考えられる。
CuS+2H+1/2O=Cu2++S°+HO ・・・・・(式28)
CuS+H+2O=Cu2++HSO ・・・・・(式29)
ここで、硫化銅表面には、砒酸銅化合物が形成されているため、酸素供給が不十分となり、(式28)に示すS°(元素状硫黄)生成反応も進むと考えられる。さらに(式28)(式29)の進行に伴い、局所的にCuイオン濃度が上昇し、且つ、水素イオン(H)濃度の低下が生じるものと推定される。そして、当該局所においては、(式30)に示す硫化銅の生成反応が、上記(式28)(式29)と並行的に進行するものと考えられる。
Cu2++4/3S°+4/3HO=CuS+1/3HSO +7/3H・・・・・(式30)
(式30)は、硫化銅であるCuSの晶出を示すものであり、硫化銅の表面には活性度が高い新生面としてのCuS晶出が確保されることを意味するものである。
さらに(式30)で生成する水素イオン(H)は、(式28)(式29)の示す反応へ供給される他、砒酸銅化合物の溶解反応((式27の逆反応)でも消費される。この結果、銅イオンの硫化銅表面への補給と、砒酸(HAsO)の沖合への拡散とが、進行するものと考えられる。
尚、後述の[比較例5]に示すpH0条件下では、(式27)に示す反応が基本的に進行せず、また、(式30)に示す反応も進み難くなる為、酸化効率が極端に低下するのだと解釈される。
(実施例2)
試薬グレードの三酸化二砒素(品位を表12に示す。)、試薬グレードの硫化銅(品位を表13に示す。)を準備した。
上述したように、硫化銅には、大別してCuSとCuSとの2形態、さらに、結晶格子中銅の一部が欠損した組成のCuがある。そして、いずれの形態でも使用可能であり、また、いずれかの形態の混合であっても良い。
本実施例に用いた硫化銅のX線回折の結果を、図3に示す。尚、図3において、CuSのピークを△で、CuSのピークを☆で、Cuを◆で示した。当該X線回折の結果から、本実施例に用いた硫化銅はCuSと、CuSと、Cuとの混合物と考えられる。
Figure 2009242224
Figure 2009242224
反応容器は1リットルビーカーを使用し、攪拌措置は700rpmの2段タービン羽および4枚邪魔板を使用し、ガス吹き込みは、ガラス管を介して前記ビーカー底部より酸素の吹き込みを実施した(強攪拌状態とし、気液混合状態にて酸化した。)。
三酸化二砒素50gと、硫化銅48gとを反応容器に投入し、純水800ccでリパルプし80℃へ加温した。次いで、撹拌装置を用いて溶液の攪拌を開始し、さらに、当該反応容器の底部に酸素ガスの吹き込みを400cc/分にて開始し、3価砒素の酸化を行った。尚、酸素ガス吹き込み開始直前の溶液のpH値は3.09(at80℃)であった。
溶液の攪拌と酸素ガスの吹き込みとを90分間継続し、当該3価砒素の酸化を行った。そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表14に示す。尚、酸化還元電位は、Ag/AgCl電極基準値である。
Figure 2009242224
当該3価砒素の酸化を90分間継続して行った後、溶液を濾過し、沈殿物として回収した触媒を水洗浄し、当該触媒の品位分析とX線回折とを行った。当該反応後の触媒の品位分析結果を表15に、X線回折結果を図4に示した。尚、図4において、CuSのピークを△で、銅の5価砒素化合物のピークを○で示した。
Figure 2009242224
以上、表14、表15、および図4より、本実施例2に係る反応系において、硫化銅と、銅イオンと、銅の5価砒素化合物(砒酸銅)とが共存していることが理解されるものである。
さらに、本実施例2においては、3価砒素の酸化速度、酸化率とも高いことが判明した。特に、酸化率においては酸化反応開始後90分間の時点で、既に99%以上に達していることが認められた。
(実施例3)
反応容器に投入する硫化銅の量を半分の24gとした以外は、実施例2と同様の操作を行い、同様の測定を行った。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前の溶液のpH値は2.96(at80℃)であった。
30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した結果を表16に示し、沈殿物として回収した触媒の水洗後の品位分析結果を表17に示す。
Figure 2009242224
Figure 2009242224
本実施例3においては、CuS添加量を実施例2の半分とし、当該半減の効果を検討したものである。
その結果、実施例2に較べて、3価砒素の酸化速度は若干劣るが、酸化能力は十分保持され、酸化反応開始後120分間の時点で99%以上の酸化が認められた。実施例2と同様、3価砒素の酸化能力、速度共に、実用化に十分好適と考えられる。
(実施例4)
本実施例では、実施例2と同様だが、さらに試薬グレードの硫酸銅(CuSO・5HO)16gを反応容器に投入した。当該硫酸銅の投入量は、銅イオンとして5g/Lに相当する量である。本実施例は、反応初期より銅イオン濃度を高めた場合の実施例である。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前の溶液のpH値は2.98(at80℃)であった。
30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した結果を表18に示す。
本実施例では、反応終了時の120分時点において酸素ガス吹き込みを停止した。そして、濃度500g/LのNaOH溶液を添加して、溶液をpH=3.5へ中和し、液中に溶存する銅イオンを5価砒素化合物として晶出させた後、濾過操作を行った。尚、NaOH溶液の添加量は40ccであった。
濾過操作により得られた濾液の全砒素濃度は、29.6g/L、銅濃度は80mg/Lであり、砒酸銅化合物形成に伴う、濃度低下が認められた。
一方、濾過操作により回収された殿物は165g・wetであった。当該殿物のうち5g・wetを採取し、水分測定したところ水分=59.9%であった。また、当該殿物のうち5g・wetを、水洗浄し品位分析を行った。回収された殿物の品位分析結果を表19に示す。
Figure 2009242224
Figure 2009242224
本実施例4は、実施例2における反応初期よりCuイオン濃度を高めたものである。
表18の結果から、本実施例においても、高い酸化率にて反応が完結していることが認められた。
一方、本実施例4では、実施例2に比して若干酸化速度が落ちている。従って、反応系内の銅イオン濃度は、必要以上に高く設定する必要がないことが判明した。反応系内の銅イオン濃度は、1〜5g/L程度で十分と判断される。
尤も、触媒として、湿式硫化反応で生成された直後の硫化銅を用いる場合、当該硫化銅は難溶性の挙動を取る。そこで、湿式硫化反応で生成された直後の硫化銅を触媒として用いる場合は、反応系内への銅イオンの添加が有効である。
また、本実施例では、中和により添加した銅イオンを、銅の5価砒素化合物として回収している。銅イオンの回収方法は、銅の5価砒素化合物として回収する方法以外にも、元素状硫黄やZnS等の、銅イオンと反応し硫化銅を形成する薬剤を添加する方法によっても良い。
(実施例5)
試薬グレード三酸化二砒素50gを準備した。
実施例4で回収した全殿物(実施例4で、測定用サンプルに供した10g・wetは除く。)と、三酸化二砒素50gとを反応容器へ投入し、純水707ccでリパルプし、パルプ中の水分を800ccとした。当該パルプを80℃に加温し、次いで、反応容器の底部に酸素ガスの吹き込みを400cc/分にて開始した。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前のpH値は3.03(at79℃)であった。
30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した結果を表20に示す。
Figure 2009242224
90分間反応させた後、酸素吹き込みを停止し、500g/LのNaOH溶液を添加して溶液のpH値を3.0へ中和した後、当該溶液を濾過した。尚、該NaOH溶液の使用量は36ccであった。
得られた濾液の全砒素濃度は44.8g/L、Cu濃度は210mg/Lであり、砒素濃度はほぼ配合値濃度のものが回収されていることが判明した。
一方、得られた殿物は122g・wetであった。得られた殿物のうち5g・wetを採取し水分測定したところ水分=48.9%であった。また、得られた殿物のうち5g・wetを水洗浄し分析を行った。沈殿物として回収した触媒の品位分析結果を表21に示した。
Figure 2009242224
本実施例5は、実施例2〜6のなかで、最も酸化効率が高く、且つ、酸化速度も速かった。具体的には、反応60分時点で既に95%の酸化が認められ、反応90分時点ではほぼ100%近い99.6%の酸化率を示した。
本実施例5に係る触媒も、硫化銅と、銅イオンと、砒酸銅化合物(銅の5価砒素化合物)との3種共存である。そして、本実施例5に係る触媒は、実施例2、3に比較して、特に砒酸銅化合物(銅の5価砒素化合物)の含有比率が高いものである。当該砒酸銅化合物の高含有比率が、酸化性能向上へ寄与しているものと考えられる。すなわち、当該寄与現象は、「酸化反応のモデル」にて説明したように、砒酸銅化合物の形成・存在が活性なCuSの新生面生成に関与していることを裏付けるものと考えられる。
(実施例6)
パルプに濃硫酸を添加することで、酸素吹き込み開始直前のpH値を1.0(at80℃)へ調整した以外は、実施例3と同様の操作を行った。
30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した結果を表22に示す。また、反応後の触媒品位(水洗浄済み)を表23に示した。
Figure 2009242224
Figure 2009242224
本実施例6は、添加した硫化銅量は実施例3と同様であるが、酸化開始直前の溶液のpH値を1に調整したものである。
この結果、酸化能力が実施例3に較べて低下し、120分間後の時点で72%の酸化率であった。酸化率100%に到達させるためには、長時間反応させる必要があると考えられるが、酸化能力自体は十分保持している。
上述した酸化速度減少の原因は、共存する砒酸銅が大幅に減少した為であると考えられ
る。さらに、溶液のpH値が1では、硫化銅の溶解量が増える為、未溶解分として回収される硫化銅の量(リサイクル量)が減り、コスト的にも不利となる。
以上のことから、溶液のpH値は2以上として反応を開始し、少なくともpH値1以上で酸化反応を終了することが、反応性確保、CuS回収量確保の観点から好ましいと考えられる。
(比較例1)
試薬グレードの三酸化二砒素50gのみを反応容器に投入し、純水800ccでリパルプした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前のpH値は2.80(at80℃)であった。
そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表24に示す。
Figure 2009242224
本比較例1では、3価砒素の酸化が殆ど進まないことが判明した。
(比較例2)
試薬グレードの三酸化二砒素50gと、試薬グレード硫酸銅(CuSO・5HO)16g(Cuイオンとして5g/L)を反応容器に投入し、純水800ccでリパルプした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前のpH値は3.33(at80℃)であった。
そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表25に示す。
Figure 2009242224
本比較例2では、比較例1に較べれば酸化の進行が認められるが、その程度は小さい。
(比較例3)
試薬グレード三酸化二砒素50gと、試薬グレード硫酸銅(CuSO・5HO)32g(銅イオンとして10g/L)を反応装置に投入し、純水800ccでリパルプした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前のpH値は3.45(at81℃)であった。
そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表26に示す。
Figure 2009242224
本比較例3では、溶液中のCuイオン濃度を高くしたことにより、酸化の進行は認められる。しかし、その酸化の進行程度はまだ小さく、さらなる銅イオンの添加補給が必要と考えられ、実用化には不適と考えられる。
(比較例4)
試薬グレード三酸化二砒素50gと、試薬グレード硫化銅(CuS)48gと硫黄粉末20gとを反応装置に投入し、純水800ccでリパルプした以外は、実施例2と同様の操作を行った。
尚、酸素ガス吹き込み開始直前のpH値は2.67(at80℃)であった。
そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表27に示す。
Figure 2009242224
反応終了後に溶液を濾過し、得られた澱物を水洗浄し、品位分析とX線回折を行った。
反応後の触媒品位(水洗浄済み)を表28に、また、X線回折結果を図5に示した。尚、図5において、CuSのピークを△で、硫黄のピークを■で示した。
品位分析において、砒素が0.1%検出されたが、これは未洗浄分の液付着分由来と考えられる。
図5および表28より、本比較例4においては、銅イオンと銅の5価砒素化合物との存在は認められず、硫化銅単味の触媒系であることが理解される。
Figure 2009242224
本比較例4では、酸化の進行が認められる。従って、比較例2、3で説明したCuイオン単味よりも、硫化銅単味の方が酸化の方が触媒としての能力は高いことが判明した。しかし、実用化の観点からは、その酸化の進行程度はまだ小さく不適と考えられる。
(比較例5)
パルプに濃硫酸を添加し、pH値を0(at80℃)に調整した後 酸素吹き込みを開始した以外は、実施例2と同様の操作を行った。
そして30分間ごとに、溶液の、温度、pH値、酸化還元電位、銅イオン量、3価砒素量、5価砒素量を測定した。当該測定結果を表29に示す。
Figure 2009242224
反応終了後に溶液を濾過し、得られた澱物を水洗浄し、品位分析とX線回折を行った。
反応後の触媒品位(水洗浄済み)を表30に、また、X線回折結果を図6に示した。尚、図6において、CuSのピークを△で、三酸化二砒素のピークを□で示した。
Figure 2009242224
本比較例5においては、砒素の酸化が進行せず、反応後触媒にも砒素が10.6%検出された。また、図6が示す様に、X線回折の結果から三酸化二砒素が確認されることから、酸化反応後においても、三酸化二砒素が未溶解のまま残っているものと理解される。
これは、溶液が硫酸酸性のpH値が0で酸化反応を開始したため、三酸化二砒素の溶解度が低下したこと。さらに、溶液中へ溶出した3価砒素が、溶解度が大きな5価砒素へ酸化されることなく溶液中に残留し、溶液中の3価砒素濃度が低下しないため、三酸化二砒素の一部が未溶解のまま残っているためであると考えられる。
本比較例5の結果から、砒素の酸化反応を、砒酸銅が形成できないpH値が0の条件から始めた場合、触媒となる物質は、硫化銅と銅イオンとの2元系となり、酸化能力が激減したものと考えられる。結局のところ、本特許に係る砒素の酸化反応は、少なくともpH
値1以上条件で開始することが好ましいことが判明した。
本発明に係る砒素の処理方法を示すフローチャートである。 本発明(第2実施形態)の実施形態に係るフローチャートである。 実施例2に係る硫化銅のX線回折結果である。 実施例2に係る澱物のX線回折結果である。 比較例4に係る澱物のX線回折結果である。 比較例5に係る澱物のX線回折結果である。

Claims (14)

  1. 硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーを、酸性領域で酸化浸出し浸出液を得る浸出工程と、
    当該浸出液に酸化剤を添加して、3価砒素を5価砒素へ酸化して調整液を得る液調整工程と、
    当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程と、を有することを特徴とする砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  2. 前記砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物が、脱銅電解スライムであることを特徴とする請求項1に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  3. 前記浸出工程が、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、pHを1.0以上2.0以下として浸出を行う第1浸出工程と、
    次いで、水酸化ナトリウム添加により、pHを2.0以上とした後、pHを非保持のまま、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、30分間以上浸出を行う第2浸出工程と、
    次いで、温度を80℃以上とし、さらに30分間以上浸出する第3浸出工程とを、有することを特徴とする請求項1または2に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  4. 前記浸出工程が、硫化物形態の砒素を含む非鉄製錬中間産物と、砒素と金属形態の銅とを含む非鉄製錬中間産物との、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、pHを1.0以上2.0以下として浸出を行う第1浸出工程と、
    次いで、水酸化ナトリウム添加により、pHを2.0以上とした後、pHを非保持のまま、混合スラリーへ、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込みながら、温度を80℃以下とし、30分間以上浸出を行う第2浸出工程と、
    次いで、温度を80℃以上とし、さらに30分間以上浸出浸出する第3浸出工程と、
    次いで、前記混合ガスの吹き込みを停止し、さらに10分間以上攪拌する第4浸出工程とを、有することを特徴とする請求項1または2に記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  5. 前記液調整工程が、40℃以上において前記浸出液へ過酸化水素を添加し、3価砒素を5価砒素に酸化した後、当該反応後液と金属銅とを接触させ、残留する過酸化水素を除去する液調整工程であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  6. 前記結晶化工程が、前記液調整後液へ、第一鉄(Fe2+)塩を添加溶解し、それを酸化反応させる結晶化工程であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  7. 前記酸化反応を、pH1以下の領域で行う事を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  8. 前記酸化反応を、液温度50℃以上において行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  9. 前記酸化反応が、空気または酸素またはこれらの混合ガスを吹き込むものであることを
    特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の砒素を含む非鉄製錬中間産物の処理方法。
  10. 三酸化二砒素(As)および/または亜砒酸イオンを含み、50℃以上に加温され、pH値が1以上の中性側であり、硫化銅と銅イオンと銅の5価砒素化合物とを含む水溶液へ、
    空気および/または酸素を吹き込むことで、当該水溶液中の3価砒素を5価砒素へ酸化することを特徴とする砒素の酸化方法。
  11. 三酸化二砒素(As)および/または亜砒酸イオンを含み、50℃以上に加温され、pH値が2以上の中性側であり、硫化銅を含む水溶液へ、
    空気および/または酸素を吹き込むことで、前記硫化銅の一部を溶解させて銅の5価砒素化合物を生成させながら、当該水溶液中の3価砒素を5価砒素へ酸化することを特徴とする砒素の酸化方法。
  12. 空気および/または酸素の吹き込み開始時のpH値が2以上であり、吹き込み停止時のpH値が2未満であることを特徴とする請求項10または11に記載の砒素の酸化方法。
  13. 前記水溶液中の3価砒素が5価砒素へ酸化した後、パルプが生成した当該水溶液を濾過して濾過殿物を回収し、当該濾過殿物を前記硫化銅の代替物として用いることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の砒素の酸化方法。
  14. 前記水溶液中の3価砒素が5価砒素へ酸化した後、パルプが生成した当該水溶液を中和してpH値を3以上とすることで、当該水溶液中の銅イオンを銅の5価砒素化合物として晶出させた後、濾過して濾液と濾過殿物を回収し、当該濾過殿物を硫化銅の代替物として用いることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載の砒素の酸化方法。
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