JP2009230122A - 変倍光学系および撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変倍光学系において、小型で大口径比でありながら、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高画質の画像を取得可能な高い光学性能を保持する。
【解決手段】変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備える。第1レンズ群G1は、物体側から順に、負レンズ群G1nと、正レンズ群G1pとが配されてなる。第2レンズ群G2は、最も物体側に全体として正の屈折力を有するサブレンズ群G2sが配されている。サブレンズ群G2sは、物体側から順に、正の屈折力を有し少なくとも1面が非球面とされた第1レンズL21と、負の屈折力を有する第2レンズL22と、正の屈折力を有する第3レンズL23とからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ビデオカメラや電子スチルカメラ等に用いられる変倍光学系および撮像装置に関し、特に監視カメラ用途として好適で、可視域および近赤外の双方において使用可能な変倍光学系および該変倍光学系を備えた撮像装置に関するものである。
従来、無人の施設を稼働させるために監視カメラが用いられている。このような監視カメラでは、昼間は可視光による撮影を行い、夜間は近赤外による撮影を行うことが多いため、可視域と近赤外域の双方に対応可能なことが求められている。そのため、レンズ系としては、可視域から近赤外域まで色収差が良好に補正されていることが必要となる。また、監視カメラに適用する光学系としては、変倍可能であり、コンパクトで良好な光学性能を有するものが求められている。
可視域から近赤外域まで使用可能で、小型化が図られ、監視カメラに搭載可能な変倍光学系としては、例えば、下記特許文献1、2に記載のものが知られている。これら特許文献1、2に記載の光学系は、物体側から順に、負の第1群と、絞りと、正の第2群とからなり、第1群は物体側から順に2枚の負メニスカスレンズ、両凹レンズと正レンズの接合レンズが配されてなり、第2群は最も物体側に2枚の正の単レンズを有する構成を採っている。
特開2005−134887号公報 特開2006−91643号公報
ところで、近年では、監視カメラ用途でも、より高画質な映像を望む声が高まってきており、特に100万画素以上の撮像素子を有するカメラに対応可能で、可視域から近赤外域まで使用可能な変倍光学系に対する要望が高まっている。しかしながら、従来の光学系において上記要望を満たすためには、口径比を小さくする等の変更が必要になり、その場合には、監視カメラ用途における低照度の撮影条件下での使用が困難になる虞があった。監視カメラは、低照度の環境下でも被写体を特定できることが要求されるため、そのレンズ系は、大口径比の明るい光学系であることが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型で大口径比でありながら、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高画質の画像を取得可能な高い光学性能を保持する変倍光学系および該変倍光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の変倍光学系は、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、該第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることにより広角端から望遠端への変倍を行い、該変倍に伴う像面位置の補正を前記第1レンズ群の移動により行い、前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズ群と、正レンズ群とが配されてなり、前記第2レンズ群は、最も物体側に全体として正の屈折力を有するサブレンズ群が配され、該サブレンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有し少なくとも1面が非球面とされた第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとからなることを特徴とするものである。
なお、上記の各「レンズ群」は、複数のレンズから構成されるものだけでなく、単レンズのみで構成されるものも含むものとする。
本発明の変倍光学系は、第2レンズ群の最も物体側に配置されたサブレンズ群が、正、負、正のレンズ配置を有することで、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって良好な色収差の補正をすることが容易となる。また、第2レンズ群の最も物体側のレンズを非球面レンズとすることで、口径比の増大に伴って増加する傾向にある球面収差の補正が容易となるため、大口径比を実現しやすくなる。さらにこの非球面レンズにより、球面収差以外の収差についても補正が容易となるため、小型化を図りつつ高い光学性能を得ることが容易になる。
本発明の変倍光学系においては、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記サブレンズ群の焦点距離をf2sとしたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
0.7<f2s/f2<2.0 … (1)
また、本発明の変倍光学系においては、前記第1レンズおよび前記第3レンズのd線におけるアッベ数の平均値をνd2mとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
νd2m>50.0 … (2)
また、本発明の変倍光学系においては、前記第2レンズ群は、最も像側に正レンズが配されるようにしてもよく、該正レンズのd線におけるアッベ数をνd25としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。
νd25>65.0 … (3)
また、本発明の変倍光学系においては、前記サブレンズ群を構成する前記第1レンズが両凸レンズであり、前記第2レンズが両凹レンズであり、前記第3レンズが両凸レンズであり、前記第2レンズ群は、物体側から順に、前記サブレンズ群と、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズとが配されてなる5枚構成としてもよい。
なおここで、「第1レンズが両凸レンズ」とは、近軸領域における形状を言うものである。
また、本発明の変倍光学系においては、前記第1レンズ群は、物体側から順に、負メニスカスレンズと、負の屈折力を有する両凹レンズと、正レンズとが配されてなる3枚構成としてもよい。あるいは、前記第1レンズ群は、物体側から順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、負の屈折力を有する両凹レンズと、正レンズとが配されてなる4枚構成としてもよい。
また、本発明の変倍光学系においては、前記第1レンズ群が少なくとも1つの正レンズを有し、前記第1レンズ群が有する前記少なくとも1つの正レンズのd線におけるアッベ数をνd1pとしたとき、下記条件式(4)を満たすことが好ましい。
νd1p<21.0 … (4)
ここで、第1レンズ群が有する正レンズのうち、最も像側に配された正レンズが条件式(4)を満たすことが好ましく、この場合には軸上色収差の補正に有利となる。
また、本発明の変倍光学系においては、前記第2レンズ群の像側に、変倍時に固定されている負の屈折力を有する第3レンズ群をさらに備えているように構成してもよい。
本発明の撮像装置は、上記記載の変倍光学系と、該変倍光学系によって結像された被写体の像を撮像する撮像素子とを備えたことを特徴とするものである。撮像装置とは、例えば、テレビカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ等である。
本発明の変倍光学系は、物体側から順に、負レンズ群と正レンズ群とからなり全体として負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、この第2レンズ群の最も物体側のサブレンズ群を正レンズ、負レンズ、正レンズを順に配することにより構成し、非球面レンズを効果的に配置しているため、小型で大口径比でありながら、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高画質の画像を取得可能な高い光学性能を実現することができる。
本発明の撮像装置は、本発明の変倍光学系を備えているため、小型に構成可能であり、低照度の撮影条件下においても良好に使用可能で、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高画質の映像を得ることができる。
本発明の実施例1にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例2にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例3にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例4にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 本発明の実施例5にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図6(A)〜図6(H)は本発明の実施例1の変倍光学系の各収差図 図7(A)〜図7(H)は本発明の実施例2の変倍光学系の各収差図 図8(A)〜図8(H)は本発明の実施例3の変倍光学系の各収差図 図9(A)〜図9(H)は本発明の実施例4の変倍光学系の各収差図 図10(A)〜図10(H)は本発明の実施例5の変倍光学系の各収差図 本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略断面図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる変倍光学系の構成を示す断面図であり、後述の実施例1の変倍光学系に対応している。また、図2〜図5は、本発明の別の実施の形態にかかる変倍光学系の構成を示す断面図であり、それぞれ後述の実施例2〜実施例5の変倍光学系に対応している。
図1〜図5に示す実施例1〜実施例5ともに、基本的な構成は同様であり、各図の図示方法も同様であるため、ここでは、図1を参照しながら、本発明の実施形態にかかる変倍光学系について説明する。
この変倍光学系は、光軸Zに沿って、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、開口絞りStと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、を備えている。このような負のパワーが先行する構成は、広角化に適し、バックフォーカスの確保も比較的容易であるという特長を有している。
なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、図1では、左側が物体側、右側が像側であり、広角端における無限遠合焦時のレンズ配置を示したものであり、広角端から望遠端へ変倍するときの各レンズ群の移動軌跡をその下に模式的に矢印で示している。
この変倍光学系は、可視域および近赤外域の双方において使用可能なものであり、例えば昼夜兼用の監視カメラ等に好適に使用可能である。図1では、変倍光学系が撮像装置に適用される場合を考慮して、変倍光学系の結像面に配置された撮像素子5も図示している。撮像素子5は、変倍光学系によって結像された被写体の像を撮像するものであり、撮像素子5の撮像面が変倍光学系の結像面に位置するように配置される。
変倍光学系を撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と結像面(撮像面)の間にカバーガラスや、ローパスフィルタなどの各種フィルタ等を配置することが好ましく、図1に示す例では、これらを想定した平行平板状の光学部材PPが第2レンズ群G2と撮像素子5との間に配置されている。
この変倍光学系は、第2レンズ群G2を光軸Z上で物体側に移動させることにより広角端から望遠端への変倍を行い、その変倍に伴う像面位置の補正を第1レンズ群G1を光軸Z上で像面側に移動させることにより行うように構成されている。第1レンズ群G1および第2レンズ群G2は、広角端から望遠端へと変倍させるに従い、図1に実線の矢印で示した軌跡を描くように移動する。また、この変倍光学系は、第1レンズ群G1を光軸Zに沿って移動させることによりフォーカシングを行うものであり、第1レンズ群G1は、フォーカス群としての機能も兼ねている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負の屈折力を有する負レンズ群G1nと、正の屈折力を有する正レンズ群G1pとが配されてなる。図1に示す例では、第1レンズ群G1は3枚構成であり、負レンズ群G1nは物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズであるレンズL11と、負の屈折力を有する両凹レンズであるレンズL12とからなり、正レンズ群G1pは、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズであるレンズL13とからなる。
図1に示す例のように、レンズ系の最も物体側に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズを配置することで、望遠端での球面収差の補正がしやすくなるとともに、広角化に有利となる。
第2レンズ群G2は、最も物体側に全体として正の屈折力を有するサブレンズ群G2sが配されている。サブレンズ群G2sは、物体側から順に、正の屈折力を有し少なくとも1面が非球面とされた第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとからなる。
サブレンズ群G2sの第1レンズ、第2レンズ、第3レンズとしてはそれぞれ、図1に示す例では、両凸形状のレンズL21、両凹形状のレンズL22、両凸形状のレンズL23が対応する。また、図1に示す例では、第2レンズ群G2は、サブレンズ群G2sの像側にさらに、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズであるレンズL24と、正の屈折力を有するレンズL25を有する5枚構成とされている。
開口絞りStに近い位置に配置されたサブレンズ群G2sにおいて、2つの正レンズの間に負レンズを配置して、2つの正レンズで発生する色収差と逆方向の色収差を負レンズで発生させることにより、全体として発生する色収差量(特に軸上色収差量)を抑制することができ、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって良好な色収差補正を実現しやすくなる。
また、第2レンズ群G2の最も物体側のレンズL21を非球面レンズとすることで、大口径比に伴って発生する球面収差の補正をしやすくなり、大口径比を確保しやすくなる。より詳しくは、レンズL21は、負の屈折力を有する第1レンズ群G1により発散された光束を収束させるために両凸レンズとすることが好ましいが、仮に、レンズL21が球面レンズで構成されている場合には、光軸から離れて周辺に向かうに従い、正のパワーが強くなり、周辺部ほど球面収差が補正過剰となる虞がある。
これに対して、本実施形態のように、レンズL21を非球面レンズとして、図1に示す例のように、レンズL21の形状を光軸近傍から周辺に向かうに従い正のパワーが弱くなるように構成すれば、球面収差が補正過剰となるのを防止し、球面収差の発生量を抑制することができるため、大口径比を実現するのが容易となる。
また、レンズL21を非球面レンズとすることで、色収差を含めた諸収差の補正がしやすくなり、小型化を図りつつ高い光学性能を確保することが容易になる。特に、図1に示す例のように、物体側の面S8および像側の面S9の両面が非球面とされた両凸レンズとすることにより、より高い収差補正効果を得ることができる。サブレンズ群G2sを両凸レンズ、両凹レンズで構成した場合には、各レンズにそれぞれ強い正、負のパワーを持たせることができ、少ないレンズ枚数で小型化を図りつつ、効率良く収差補正することができる。
このように、本変倍光学系では、第2レンズ群G2のサブレンズ群G2sのパワー配置により、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって使用可能な光学性能を確保できるとともに、非球面レンズを効果的に配置することにより、大口径比を維持しつつコンパクトな構成で高い光学性能を実現することが可能となっている。例えば、図1に示す変倍光学系は、3枚の第1レンズ群G1と5枚の第2レンズ群G2からなる全体として8枚構成の系であり、変倍光学系としてはコンパクトに構成されている。
しかし、本発明の変倍光学系は、図1に示すレンズ枚数やレンズ形状に限定されず、後述の実施例のように各種の態様をとることができる。例えば、本発明の変倍光学系は、第2レンズ群G2の像側に、変倍時に固定されている負の屈折力を有する第3レンズ群をさらに備えるようにしてもよい。この第3レンズ群を追加することにより、像サイズを変えることが可能になり、撮像素子のサイズ変更に対応可能となる。具体的には、撮像素子として、6mmサイズのCCDを8mmサイズのCCDに変更する場合等に対応可能である。
本発明の変倍光学系は、上記構成に加え、さらに以下の好ましい態様を採用することにより、さらに良好な光学性能を得ることができる。以下に好ましい態様を列挙する。
本変倍光学系は、第2レンズ群G2の焦点距離をf2とし、サブレンズ群G2sの焦点距離をf2sとしたとき、下記条件式(1)を満たすことが好ましい。
0.7<f2s/f2<2.0 … (1)
条件式(1)は、第2レンズ群G2とサブレンズ群G2sの焦点距離の比に関するものであり、いわば、第2レンズ群G2に対するサブレンズ群G2sのパワー比の好適な範囲を示している。条件式(1)の上限を超えると、第2レンズ群G2のサブレンズ群G2sより像側のレンズによる正の屈折力が増大するため、球面収差が補正過剰となる。条件式(1)の下限を超えると、サブレンズ群G2sが有する正の屈折力が大きくなり、サブレンズ群G2sで発生する軸上色収差が増大してしまう。
球面収差と軸上色収差のバランスを良好に保つためには、本変倍光学系は、下記条件式(1−1)を満たすことがより好ましく、さらには下記条件式(1−2)を満たすことがより好ましい。
0.8<f2s/f2<1.6 … (1−1)
0.9<f2s/f2<1.2 … (1−2)
また、本変倍光学系は、サブレンズ群G2sの第1レンズおよび第3レンズのd線におけるアッベ数の平均値をνd2mとしたとき、下記条件式(2)を満たすことが好ましい。
νd2m>50.0 … (2)
条件式(2)の下限を超えると、サブレンズ群G2sの第1レンズおよび第3レンズで発生する軸上色収差が増大し、可視域から近赤外域までにわたって良好な光学性能を得ることが困難になる。
サブレンズ群G2sに用いる正レンズは、低分散材質からなることが好ましく、さらに、可視域から近赤外域までにわたってより良好な光学性能を得るためには、本変倍光学系は、下記条件式(2−1)を満たすことがより好ましい。
νd2m>65.0 … (2−1)
また、現在光学部品に使用可能な材質の特性を考慮すると、サブレンズ群G2sの第1レンズおよび第3レンズのd線におけるアッベ数の平均値νd2mは、下記条件式(2−2)を満たすことが好ましい。
νd2m<97.0 … (2−2)
また、本変倍光学系は、第2レンズ群G2の最も像側に正レンズが配されることが好ましく、該正レンズのd線におけるアッベ数をνd25としたとき、下記条件式(3)を満たすことが好ましい。条件式(3)の下限を超えると、倍率色収差の増大を招いてしまう。
νd25>65.0 … (3)
また、本変倍光学系は、第1レンズ群G1が少なくとも1つの正レンズを有し、第1レンズ群G1が有するこの少なくとも1つの正レンズのd線におけるアッベ数をνd1pとしたとき、下記条件式(4)を満たすことが好ましい。条件式(4)の上限を超えると、望遠端側において軸上色収差の増大を招いてしまう。
νd1p<21.0 … (4)
なお、本変倍光学系が例えば屋外等の厳しい環境において使用される場合には、最も物体側に配置されるレンズには、風雨による表面劣化、直射日光による温度変化に強く、さらには油脂・洗剤等の化学薬品に強い材質、すなわち耐水性、耐候性、耐酸性、耐薬品性等が高い材質を用いることが好ましく、さらには堅く、割れにくい材質を用いることが好ましい。以上のことから最も物体側に配置される材質としては、具体的にはガラスを用いることが好ましく、あるいは透明なセラミックスを用いてもよい。
非球面形状が形成されるレンズの材質としては、プラスチックを用いることが好ましく、この場合には、非球面形状を精度良く作製することができるとともに、軽量化および低コスト化を図ることが可能となる。
本変倍光学系が、広い温度範囲で使用可能なことが要求される場合には、各レンズの材質としては線膨張係数の小さいものを用いることが好ましい。また、本変倍光学系が厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コート膜を施すようにしてもよい。
図1に示す例では、レンズ系と結像面との間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等を配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
以上説明したように、本実施形態の変倍光学系によれば、要求される仕様等に応じて、上記した好ましい構成を適宜採用することで、可視域から近赤外域までの広い波長範囲にわたって良好に収差補正を行いつつ、小型化および大口径比を図ることができ、100万画素以上の撮像素子を有するカメラに対応した高画質の画像を容易に得ることが可能になる。
次に、本実施形態にかかる変倍光学系の具体的な数値実施例について説明する。
<実施例1>
実施例1のレンズ断面図は、図1に示したものであり、そのレンズ構成は、前述したとおりである。第2レンズ群G2の最も物体側のレンズL21の物体側の面S8と像側の面S9は非球面となっている。開口絞りStは、絞り径が可変であり、位置は固定されている。
実施例1にかかる変倍光学系のレンズデータを表1に、非球面データを表2に、各種データを表3に示す。なお、下に述べる表1〜表3中の記号の意味は後述の実施例についても同様である。
表1のレンズデータにおいて、Siは最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riはi番目の面の曲率半径を示し、Diはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、Ndjは最も物体側のレンズを1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjはj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。なお、レンズデータには、開口絞りStおよび光学部材PPも含めて示している。レンズデータの曲率半径は物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
また、表1のレンズデータでは、非球面は面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表2の非球面データは、これら非球面に関する非球面係数を示すものである。表2の非球面係数の数値の「E−n」(n:整数)は、「×10−n」を意味する。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数K、Bm(m=3、4、5、…)の値である。
Zd=C・h/{1+(1−K・C・h1/2}+ΣBm・h … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に
下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
K、Bm:非球面係数(m=3、4、5、…20)
表1のレンズデータにおいて、変倍を行うために間隔が変化する、第1レンズ群G1と開口絞りStの間隔、開口絞りStと第2レンズ群G2の間隔、第2レンズ群G2と光学部材PPの間隔に相当する面間隔の欄にはそれぞれ、可変D1、可変D2、可変D3と記載している。
表3の各種データに、広角端と望遠端における、全系の焦点距離、Fナンバー、全画角、可変D1、可変D2、可変D3の値を示す。レンズデータおよび各種データにおける長さの単位としてはここではmmを用いている。
Figure 2009230122
Figure 2009230122
Figure 2009230122
<実施例2>
実施例2のレンズ断面図は、図2に示したものである。実施例2の変倍光学系は、第1レンズ群G1と、開口絞りStと、第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は負メニスカスレンズのレンズL11、両凹レンズのレンズL12、正メニスカスレンズのレンズL13の3枚構成であり、第2レンズ群G2は両凸レンズのレンズL21、両凹レンズのレンズL22、両凸レンズのレンズL23、負メニスカスレンズのレンズL24、両凸レンズのレンズL25の5枚構成である。レンズL21の物体側の面S8と像側の面S9は非球面である。
実施例2にかかる変倍光学系のレンズデータを表4に、非球面データを表5に、各種データを表6に示す。
Figure 2009230122
Figure 2009230122
Figure 2009230122
<実施例3>
実施例3のレンズ断面図は、図3に示したものである。実施例3の変倍光学系は、第1レンズ群G1と、開口絞りStと、第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は負メニスカスレンズのレンズL11、両凹レンズのレンズL12、正メニスカスレンズのレンズL13の3枚構成であり、第2レンズ群G2は両凸レンズのレンズL21、負メニスカスレンズのレンズL22、両凸レンズのレンズL23、両凹レンズのレンズL24、両凸レンズのレンズL25の5枚構成である。レンズL21の物体側の面S8と像側の面S9は非球面である。
実施例3にかかる変倍光学系のレンズデータを表7に、非球面データを表8に、各種データを表9に示す。
Figure 2009230122
Figure 2009230122
Figure 2009230122
<実施例4>
実施例4のレンズ断面図は、図4に示したものである。実施例4の変倍光学系は、第1レンズ群G1と、開口絞りStと、第2レンズ群G2とからなる。第1レンズ群G1は負メニスカスレンズのレンズL11、負メニスカスレンズのレンズL12、両凹レンズのレンズL13、正メニスカスレンズのレンズL14の4枚構成であり、第2レンズ群G2は両凸レンズのレンズL21、両凹レンズのレンズL22、両凸レンズのレンズL23、両凹レンズのレンズL24、両凸レンズのレンズL25の5枚構成である。実施例4のレンズL21の物体側の面S10と像側の面S11は非球面である。
実施例4にかかる変倍光学系のレンズデータを表10に、非球面データを表11に、各種データを表12に示す。
Figure 2009230122
Figure 2009230122
Figure 2009230122
<実施例5>
実施例5のレンズ断面図は、図5に示したものである。実施例5の変倍光学系は、第1レンズ群G1と、開口絞りStと、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3とからなる。第1レンズ群G1は負メニスカスレンズのレンズL11、両凹レンズのレンズL12、正メニスカスレンズのレンズL13の3枚構成であり、第2レンズ群G2は両凸レンズのレンズL21、両凹レンズのレンズL22、両凸レンズのレンズL23、負メニスカスレンズのレンズL24、両凸レンズのレンズL25の5枚構成である。第3レンズ群G3は、変倍時に移動しない固定群であり、両凹レンズのレンズL31、両凸レンズのレンズL32の2枚構成からなる。実施例5においては、可変D3は上述の実施例とは異なり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔になる。レンズL21の物体側の面S8と像側の面S9は非球面である。
実施例5にかかる変倍光学系のレンズデータを表13に、非球面データを表14に、各種データを表15に示す。
Figure 2009230122
Figure 2009230122
Figure 2009230122
表16に、実施例1〜5における条件式(1)〜(4)に対応する値を示す。表16からわかるように、実施例1〜5のいずれも、条件式(1)〜(4)を満足している。
Figure 2009230122
図6(A)〜図6(H)に実施例1の変倍光学系の広角端および望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。WIDEと記された上段が広角端の収差であり、TELEと記された下段が望遠端の収差である。各収差図には、d線を基準波長とした収差を示すが、球面収差図にはg線(波長436nm)、C線(波長656.3nm)、波長880nmについての収差も示し、倍率色収差図にはg線、C線についての収差も示す。球面収差図のFno.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
同様に、図7(A)〜図7(H)、図8(A)〜図8(H)、図9(A)〜図9(H)、図10(A)〜図10(H)に、実施例2〜5のズームレンズの広角端および望遠端における、球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差の各収差図を示す。
以上のデータから、実施例1〜5は、約2倍の変倍光学系において、小型化を図りつつ、広角端でのF値が1.32〜1.77と大口径比の明るいレンズ系となっており、また、各収差が良好に補正され、広角端および望遠端ともに可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高い光学性能を有することがわかる。
図11に、本発明の変倍光学系を撮像装置である監視カメラに適用した概略構成図を示す。図11に示す監視カメラ10は、レンズ装置6と、カメラ本体7とから構成される。レンズ装置6の内部には本発明の実施形態にかかる変倍光学系1が配置されている。なお、図11では、第1レンズ群G1と、開口絞りStと、第2レンズ群G2とを有する変倍光学系1を概略的に示している。
また、カメラ本体7の内部には、変倍光学系1によって結像された被写体の像を撮像する撮像素子5が配置されている。撮像素子5の具体例としては、変倍光学系により形成される光学像を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を挙げることができる。撮像素子5は、その撮像面が、変倍光学系1の結像面に一致するように配置される。
レンズ装置6の上方には、開口絞りStの絞り径を変更するための絞り機構8が設けられている。レンズ装置6の下方には、変倍光学系1の倍率を変更するためのズームツマミ9と、変倍光学系1のフォーカスを調整するためのフォーカスツマミ11が設けられている。
本発明の実施形態にかかる変倍光学系1は、前述した長所を有するため、本実施形態の撮像装置は小型に構成可能であり、低照度の撮影条件下においても良好に使用可能であり、可視域から近赤外域までの広い波長帯域にわたって高画質の映像を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔および屈折率の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
また、上記実施形態では、撮像装置として監視カメラを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ビデオカメラや電子スチルカメラ等の他の撮像装置にも適用可能である。
1 変倍光学系
5 撮像素子
6 レンズ装置
7 カメラ本体
8 絞り機構
9 ズームツマミ
10 監視カメラ
11 フォーカスツマミ
G1 第1レンズ群
G1n 正レンズ群
G1p 負レンズ群
G2 第2レンズ群
G2s サブレンズ群
St 開口絞り
Z 光軸

Claims (10)

  1. 物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、絞りと、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備え、
    該第2レンズ群を光軸上で物体側に移動させることにより広角端から望遠端への変倍を行い、該変倍に伴う像面位置の補正を前記第1レンズ群の移動により行い、
    前記第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズ群と、正レンズ群とが配されてなり、
    前記第2レンズ群は、最も物体側に全体として正の屈折力を有するサブレンズ群が配され、該サブレンズ群が、物体側から順に、正の屈折力を有し少なくとも1面が非球面とされた第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズとからなることを特徴とする変倍光学系。
  2. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2とし、前記サブレンズ群の焦点距離をf2sとしたとき、下記条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の変倍光学系。
    0.7<f2s/f2<2.0 … (1)
  3. 前記第1レンズおよび前記第3レンズのd線におけるアッベ数の平均値をνd2mとしたとき、下記条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の変倍光学系。
    νd2m>50.0 … (2)
  4. 前記第2レンズ群は、最も像側に正レンズが配され、該正レンズのd線におけるアッベ数をνd25としたとき、下記条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の変倍光学系。
    νd25>65.0 … (3)
  5. 前記サブレンズ群を構成する前記第1レンズが両凸レンズであり、前記第2レンズが両凹レンズであり、前記第3レンズが両凸レンズであり、
    前記第2レンズ群が、物体側から順に、前記サブレンズ群と、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズと、正レンズとが配されてなる5枚構成であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  6. 前記第1レンズ群が、物体側から順に、負メニスカスレンズと、負の屈折力を有する両凹レンズと、正レンズとが配されてなる3枚構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  7. 前記第1レンズ群が、物体側から順に、負メニスカスレンズと、負メニスカスレンズと、負の屈折力を有する両凹レンズと、正レンズとが配されてなる4枚構成であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  8. 前記第1レンズ群が少なくとも1つの正レンズを有し、前記第1レンズ群が有する前記少なくとも1つの正レンズのd線におけるアッベ数をνd1pとしたとき、下記条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の変倍光学系。
    νd1p<21.0 … (4)
  9. 前記第2レンズ群の像側に、変倍時に固定されている負の屈折力を有する第3レンズ群をさらに備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の変倍光学系。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の変倍光学系と、
    該変倍光学系によって結像された被写体の像を撮像する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
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