JP2009226875A - プラスチック廃材の再資源化方法、プラスチック成形体の製造方法およびプラスチック成形体 - Google Patents

プラスチック廃材の再資源化方法、プラスチック成形体の製造方法およびプラスチック成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】非相溶樹脂であるポリカーボネート樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイ樹脂でも、マテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることができ、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減し、効率的なプラスチック廃材の再資源化方法を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂と、その他の熱可塑性樹脂(A)とからなるアロイ樹脂で形成されたプラスチック廃材を再資源化する方法、当該プラスチック廃材の再資源化方法を含む、プラスチック成形体の製造方法、ならびに、当該プラスチック廃材の再資源化方法により製造された、プラスチック成形体。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック廃材の再資源化方法に関する。また、本発明はプラスチック成形体の製造方法およびプラスチック成形体にも関する。
近年、わが国では所得水準の向上に伴ない、エアコンディショナ(本明細書において、以下、「エアコン」とも記載する。)、テレビジョン受信機(本明細書において、以下、「テレビ」とも記載する。)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。従来は、これらの家電製品などの廃材の再資源化は、鉄くずの回収ルートを通して行なわれる場合が多かった。
しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少し、プラスチックからなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチックは、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を発揮し、軽量で、耐久性が高いなどの多くの利点を有するためである。
近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃材は、各種構成部材の材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なくなり、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチックからなる部材(以下、「プラスチック部材」とも言う。)の割合が多くなっている。また、従来の鉄くずの回収ルートでは、このような廃材を再資源化しても採算が取れないため、対応が難しい状況になりつつある。
これらのプラスチック部材は、原油などの埋蔵化石燃料を基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチック部材の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。
また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化、酸性雨といった環境破壊、塩素化合物を含むプラスチックの焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチックを含む廃材の増大によるゴミ埋立処理場の不足といった問題が発生しており、これらを抑制するという観点からも、プラスチックからなる廃材の再資源化が、重要かつ緊急に解決すべき課題となりつつある。
上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法が施行された。家電リサイクル法においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機の家電製品4品目のリサイクルが義務付けられ、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
そして、上記の家電リサイクル法の施行を受けて、プラスチック製品の廃材(以下、「プラスチック廃材」とも言う。)の回収は進みつつある。回収されたプラスチック廃材の再資源化方法としては、プラスチック廃材を燃料として使用する、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法が従来から多く活用されている。しかし、このような方法によれば、燃焼による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。
そこで、回収されたプラスチック廃材から、たとえば手作業で解体し、プラスチックの系統ごとにプラスチック部材を分離して、それらのプラスチック部材を再度、製品の部材またはその原料に加工して使用するプラスチック廃材の再資源化方法が提案されている。このような再資源化方法は、上記のサーマルリサイクルと対比して、マテリアルリサイクルと言われている。
上記のようにしてプラスチックの系統ごとに分離されたプラスチック部材の中でも、プラスチックからなる部材は、加熱溶融して再度成形することにより比較的容易にマテリアルリサイクルすることが可能である。そのため、現在、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルの比率を高めることを目的として、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルによる再資源化方法の研究開発が、各方面で多大な努力を払って行なわれている。
しかしながら、プラスチック廃材、特に、家電製品および事務用機器などに使用されていたプラスチック廃材は、厳しい環境で長期間使用されることが多いため、廃材となった時点ですでに特性が低下しており、変色または退色などの外観上の特性の低下だけでなく、強度、柔軟性などの物性も低下し、耐久性に乏しい材料になっていることが多い。そのため、プラスチック廃材は、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるプラスチックのバージン材料の代替とはならず、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いられることが多い。ここで、本明細書において、バージン材料とは、未使用の樹脂組成物のことを意味するものとする。また、本明細書において、特性の低下したプラスチック廃材を、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるバージン材料の代替用途ではなく、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いることを、カスケードリサイクルと記載するものとする。
現在のところ、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルとしては、このようなカスケードリサイクルが主流となっている。そのため、プラスチック廃材から再生されるプラスチック成形体の用途が限られてしまい、サーマルリサイクルされているプラスチック廃材が大量にあるという問題がある。
このような問題を克服するため、上記のプラスチック廃材からのマテリアルリサイクルにより得られるプラスチック成形体の特性を向上させ、要求特性の高いプラスチック部材としても使用可能な水準に到達させるべく、多くの研究開発がなされている。たとえば、プラスチック廃材(マテリアルリサイクル材料)にバージン材料を混合することによって特性を保持する方法が、数多く提案されている(たとえば、特開2000−159900号公報(特許文献1)、特開2001−26719号公報(特許文献2)、特開2003−160724号公報(特許文献3)などを参照。)。しかしながら、特許文献1〜3に開示されたようなマテリアルリサイクル方法においては、プラスチック廃材よりも多量のバージン材料を混合する必要がある場合が多く、資源循環型社会に対応しているとは言い難い。
一方で、使用済み製品の構成部品の劣化度に基づいてリサイクルの方策を決定し、繰返し再資源化するリサイクルシステムについても提案されている(たとえば、特開平7−24437号公報(特許文献4)を参照。)。しかしながら、この特許文献4に開示されたリサイクルシステムにおいては、方策を決定するための判断基準である劣化度は、バージン材料との比較によって判定可能な物性に基づくものであり、回収された廃材の初期の特性が既知の場合のみに有効となるが、実際に回収される廃材は膨大な数量があり、これらのひとつひとつの初期特性を把握し、さらには廃材の特性とその初期特性を逐一比較するには、膨大な時間と処理能力が必要であり、現実的にはこのようなリサイクルシステムの実現は困難であり、コスト的に不利である。
また、廃材となる製品の内部に使用される部品は、外観に使用される部品に比べて、光などの影響を受けにくいため、見かけ上の劣化度が低く、物性値の有意な差として劣化の進み具合が顕われない場合もある。したがって、このようなリサイクルシステムにおいては、廃材の材料組成の識別は可能であっても、劣化度でもって材料の振り分けを行なうことは困難である。
さらに、プラスチック廃材(廃芳香族ポリカーボネート樹脂)を、エステル交換反応によりモノマー化し原料再生を行うケミカルリサイクル方法についても提案がなされている(たとえば、特開2003−171324号公報(特許文献5)を参照。)。しかしながら、本手法では、モノマー化に必要な設備が大がかりとなり多大なコストを要することと、ポリカーボネートとその他の熱可塑性樹脂とのアロイ材への適用は難しいといった課題がある。
特開2000−159900号公報 特開2001−26719号公報 特開2003−160724号公報 特開平7−24437号公報 特開2003−171324号公報
上記のように、市場から回収されたプラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルによる再資源化方法であって、得られるプラスチック成形体の用途が広く、プラスチック部材またはその原料としても使用可能な特性を有する成形体を得る方法が望まれている。また、効率的かつ低コストのプラスチック廃材の再資源化方法の開発が強く望まれている。しかし、そのような再資源化方法は未だ知られていない。
また、最近は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display:FED)、電子ペーパーなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)が身の回りの製品に搭載されてきており、たとえば、テレビ、パーソナルコンピュータ、モニター、ビデオ、カメラ、携帯電話、カーナビゲーション、情報携帯端末、小型ゲーム機など、様々な分野で幅広く利用されてきている。FPDの市場規模はその省電力、省スペース、軽量といった特性から、近年の高度情報化社会の進展に伴い急激に増加している。これに伴い、これらFPDの廃棄量も年々増加していくことが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、リサイクル性向上等の要求が強くなってきている。
ところが、これらFPDは比較的新しい製品であること、また、現状は比較的廃棄物の量が少ないこともあり、ブラウン管テレビのようなリサイクルは実用化されていない。廃棄されたFPDは廃棄物の処理施設で破砕されて、シュレッダーダストとともに埋め立て処理あるいは焼却処理されているのが現状である。
加えて液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに代表される薄型テレビにおいては、近い将来、家電リサイクル法の適用品目として追加される動きもある。この場合、資源の有効活用や再商品化率向上などの観点から、当該製品のキャビネットなどに使用されているプラスチック廃材の再資源化方法の開発についても強く望まれている。
たとえば、薄型テレビの一例である液晶テレビのキャビネットにおいては、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)がよく使用されている。当該アロイ樹脂は耐熱性、自消性、成形性に富み、機械的特性も非常に優れた材料の1つである。その反面、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とは基本的に非相溶であるため、たとえば射出成形の際の熱エネルギーにより、ポリカーボネート樹脂中に分散されていたアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂が凝集を起こし、機械的特性の低下を引き起こすことがある。リサイクルを考えた場合、少なくとも射出成形を2回(バージン材料の成形と廃材の成形)行うことから、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂がより凝集し、機械的特性の低下を引き起こし、これがポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)のリサイクル性を阻害する一要因ともなっている。この現象は、ポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材(PC+PS)においても同様である。
上記の現状に基づき、本発明の課題は、非相溶樹脂であるポリカーボネート樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイ樹脂でも、マテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることができ、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減し、効率的なプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
また、本発明の課題は、より詳しくは、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とのアロイ樹脂(PC+ABS)および/またはポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ樹脂(PC+PS)においても、マテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることができ、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減し、効率的なプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
さらに、本発明の別の課題は、プラスチック廃材から、マテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を提供することにある。
本発明者らは、プラスチック廃材を形成するポリカーボネート樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイ樹脂が、熱エネルギー負荷により相変化を起こす点に着目し、前記廃材の射出成形条件を工夫してプラスチック成形体を得ることにより、上記課題を解決し得るとの着想を得、プラスチック廃材の再資源化方法を開発すべく物性についての実験を行ない鋭意検討を重ねた。また詳しくは、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とのアロイ樹脂(PC+ABS)および/またはポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂のアロイ樹脂(PC+PS)により構成されるプラスチック廃材に着目した。その結果、前記廃材を射出成形する際の樹脂溶融温度を、バージン材料を成形する際の通常温度よりも低くすることで、前記廃材にかかる熱エネルギー負荷を小さくし、前記廃材中のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂やポリスチレン系樹脂の凝集を抑制することにより、機械的特性の低下を抑えることに成功した。すなわち、本発明は以下の通りである。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、ポリカーボネート樹脂と、その他の熱可塑性樹脂(A)とからなるアロイ樹脂で形成されたプラスチック廃材を再資源化することを特徴とする。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、熱可塑性樹脂(A)は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂およびポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、ポリカーボネート樹脂相への前記熱可塑性樹脂(A)の分散性を保持することが好ましい。
また、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、プラスチック廃材を射出成形する際の射出成形温度を、前記プラスチック廃材と同一材の未使用樹脂の射出成形温度よりも低くすることで、前記熱可塑性樹脂(A)の分散性を保持することが好ましく、プラスチック廃材の射出成形温度を、前記プラスチック廃材と同一材の未使用樹脂の射出成形温度よりも10〜40℃低くすることがより好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、プラスチック廃材の射出成形温度を該廃材の樹脂流動性により決定することが好ましく、メルトフローレートおよびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを用いて樹脂流動性を測定することがより好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材は、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかの廃棄物であることが好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材は、フラットパネルディスプレイ製品の部品であることが好ましく、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることがより好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を含むプラスチック成形体の製造方法についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明のプラスチック成形体の製造方法により製造された、プラスチック成形体についても提供する。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、本来はマテリアルリサイクルが難しいポリカーボネート樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイ樹脂で形成されたプラスチック廃材を効率よくマテリアルリサイクルすることができ、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることが可能となり、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減することができる。
また、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、プラスチック廃材を射出成形する際に樹脂溶融温度を下げられるため、成形加工時の省エネルギー化につながる。さらに、樹脂溶融温度を下げることにより成形時間の短縮が可能となるため、生産性向上にも寄与できる。
そして、本発明のプラスチック成形体の製造方法により、プラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルを行ない、多様な用途に適した特性を有するプラスチック成形体を提供することができる。
<使用済み家電製品等に含まれるプラスチック部材>
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、再資源化するプラスチック廃材が、ポリカーボネート樹脂と、その他の熱可塑性樹脂(A)とからなるアロイ樹脂で形成されたものであることを特徴とする。ここで、熱可塑性樹脂(A)としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、メタクリル(PMMA)樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合樹脂などが挙げられ、中でも、家電製品、OA機器、電機電子部品の筐体などで、非常に多くの使用実績があるという観点から、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂および/またはポリスチレン系樹脂が好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材としては、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかの廃棄物であることが好ましい。なお、上記家電製品としては、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機などからなる群から選ばれる製品であり、特に、液晶テレビ、複写機などに使用される難燃剤を含有するプラスチックからなる部材も含まれる。使用済み製品として廃棄された液晶テレビ、複写機のキャビネットから回収されたプラスチックの材質としては、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂からなるアロイ樹脂(PC+ABS)、ポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂からなるアロイ樹脂(PC+PS)などが挙げられる。
また、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、最近、拡大基調にあるフラットパネルディスプレイが搭載された製品(フラットディスプレイ製品)から回収されるプラスチック廃材にも適用でき、効率的なプラスチック廃材の再資源化を図ることができる。この場合、フラットパネルディスプレイ製品は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
ここで、本明細書において、「プラスチック」または「熱可塑性樹脂」と呼称する際には、狭義の熱可塑性樹脂の組成物のみを示すのではなく、熱可塑性エラストマー組成物および高分子組成物なども含む広い意味での熱可塑性樹脂の組成物を示すものとする。
<使用済み液晶テレビキャビネットの再資源化方法の手順>
図1は、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法の好ましい一例を示すフローチャートである。以下、使用済み製品として具体的には液晶テレビのキャビネットを例に挙げ、図1を参照しながら、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法について詳細に説明する。当該液晶テレビのキャビネットは、たとえば、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂からなるアロイ樹脂(PC+ABS)で形成される。なお、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法における使用済み製品としては、その他の家電製品やOA機器、電気電子部品、FPD製品に使用されているプラスチック廃材であっても勿論よい。
まず、使用済み液晶テレビからキャビネット(材質はポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂からなるアロイ樹脂(PC+ABS))を回収する(ステップS1)。キャビネットは通常、複数本のビスで固定されているため、ドライバーを用いてビスを外すことにより筐体を取り外すことができる。
次に、キャビネットとは異なる材質のもの(「異材質物」と称する)を除去する(ステップS2)。異材質物としては、たとえば、キャビネットに取り付けられたシール、ロゴバッチ、振動防止用テープ、コード結束用バンドなどが挙げられる。また前部のキャビネットには塗装が施されていることが多いが該塗膜も異材質物である。これら異材質物の混入は物性低下要因となるため除去することが好ましい。キャビネットから異材質物を除去する方法としては、切削、研磨などの機械的方法や、薬品を用いた除去など、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜使用することができる。
次に、キャビネットを10mm程度に破砕する(ステップS3)。その後、キャビネット破砕物を洗浄し、付着している汚れ、埃、異物などを除去する(ステップS4)。該キャビネット破砕物を洗浄する方法は、破砕した樹脂同士をこすり合わせることにより異物などを除去する乾式方法や、水洗浄などの湿式方法が挙げられるが、その方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜使用することができる。
次に、洗浄したキャビネット破砕物を乾燥する(ステップS5)。ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)は、比較的加水分解を起こしやすい樹脂であるため、乾燥を行うことが好ましい。乾燥条件としては、たとえば、80℃で4〜6時間程度であるが特に限定はされない。また、乾燥設備についても、恒温器、除湿乾燥機、熱風乾燥機などが挙げられるが、これについても特に限定はされない。
次に、乾燥させたキャビネット破砕物を加熱溶融し、ペレット状の成形用樹脂原料を製造する(ステップS6)。キャビネット破砕物からのペレット製造は、押出成形機により行なうことができる。押出成形機は、特に限定されるものではなく、たとえば単軸押出成形機、二軸押出成形機あるいは多軸式押出成形機などを好ましく使用することができる。
キャビネット破砕物をペレット状に成形してマテリアルリサイクルする場合には、押出成形した後に、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどの方法により造粒することができる。また、後で射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行なえ、大量に処理できる点で、アンダーウォーターカット法が特に好ましい。
ペレットの粒径は1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。また、ペレットの粒径は8mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。ペレットの粒径が1mm未満の場合には、浮遊するため作業性が低下しやすく、ペレットの粒径が8mmを超えると、成形機のシリンダ内で充分に溶融しないため、均一な混練が困難になりやすい。
上述した成形用樹脂原料の形状は、ペレット状に限定されず、たとえばシート状、フィルム状、パイプ状などの形態とすることができる。したがって、押出成形機の種類、使用の態様あるいは求められる特性などから適宜決定することができる。また、上述した成形用樹脂原料には、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラ、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加することができる。
なお、プラスチック部材の製造工程を簡略化するため、ペレット状などに成形することなく、破砕したプラスチックを射出成形機にそのまま投入し、プラスチック部材を直接作製することもできるが、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)および/またはポリカーボネート樹脂とポリスチレン系樹脂からなるアロイ樹脂(PC+PS)などの場合、押出加工によるせん断力により、ポリカーボネート樹脂の中にアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂またはポリスチレン系樹脂がほどよく分散するため、該樹脂を扱う場合は、押出加工によるペレット製造を行うことが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法においては、ポリカーボネート樹脂相への熱可塑性樹脂(A)(好ましくは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂および/またはポリスチレン系樹脂)の分散性を保持することが好ましい。ここで、たとえばポリカーボネート樹脂(PC樹脂)とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂(ABS樹脂)とからなるアロイ樹脂(PC+ABS樹脂)は、PC樹脂とABS樹脂が非相溶で、PC樹脂の中にABS樹脂が分散した所謂海島構造をとっている。この場合、PC樹脂が海でABS樹脂が島となる。また、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)とポリスチレン系樹脂(PS樹脂)とからなるアロイ樹脂(PC+PS樹脂)についても、PC+ABS樹脂と同様、PC樹脂が海でPS樹脂が島の海島構造をとっている。これらの樹脂は、射出成形などの熱エネルギーを負荷すると、PC樹脂中のABS樹脂またはPS樹脂が凝集し易くなる。一方、押出成形などのせん断応力が加わるとPC樹脂中のABS樹脂またはPS樹脂が分散し易くなる。このように、PC+ABS樹脂および/またはPC+PS樹脂は、熱エネルギーやせん断応力の負荷で相変化を起こし、樹脂の持つ特性が大きく変わることが知られている。
本発明者らは、これら樹脂が有する相変化の性質に着目し、リサイクル材への適応性を検討した。PC+ABS樹脂および/またはPC+PS樹脂のリサイクルを考えた場合、少なくとも射出成形を2回(バージン材料の成形と廃材の成形)行うため、バージン材料と比べて樹脂に負荷される熱エネルギーが増大し、よりABS樹脂またはPS樹脂が凝集して耐衝撃特性が低下する。したがって、本発明者らは、熱エネルギーを過度に加えないためには、プラスチック廃材を射出成形する際の射出成形温度を、前記プラスチック廃材と同一材の未使用樹脂の射出成形温度よりも低くすることで、前記熱可塑性樹脂(A)の分散性を保持することが好ましいことを見出した。一方、該樹脂の流動性に着目した場合、リサイクル材は負荷される熱エネルギーが大きいため溶融粘度が小さくなり流動性が大きくなる。よって、該樹脂のリサイクル材は流動性が大きいため、通常の成形温度よりも低い温度で射出成形することが可能になる。このようにPC+ABS樹脂および/またはPC+PS樹脂のリサイクル材は、バージン材よりも低い射出成形温度で成形することで、樹脂に負荷される熱エネルギーを抑え、結果的にPC樹脂中のABS樹脂またはPS樹脂の凝集を抑えることができるため、好ましい。これによって、衝撃性能の優れたリサイクル材の提供が可能となる。
具体的には、PC+ABS樹脂および/またはPC+PS樹脂のリサイクル材は、通常の射出成形温度よりも10〜40℃低くすることが好ましい。射出成形温度を低くする度合いが10℃未満であると、PC樹脂中のABS樹脂またはPS樹脂の凝集の抑制が十分でなく、また40℃を超えると樹脂の溶融が十分ではないため射出成形ができないといった弊害が生じる。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、図1に示す例のように、プラスチック廃材から製造したペレットおよび、同一材のバージンペレットを用いて、樹脂の流動性を測定し(ステップS7)、測定されたプラスチック廃材の樹脂流動性によって、上述した射出成形温度を決定することが好ましい。樹脂の流動性の指標としては、メルトフローレート、スパイラルフローなどがある。メルトフローレートは溶液状態にあるポリマーの流動性を示す最も普及している尺度の一つで、溶液指数ともいう。押出式プラストメーターで、一定圧力、一定温度の下に、規定の寸法をもつノズル(オリフィス)から流出する量を測定し、g/10minの単位で表わした指数である。一般にメルトフローレートの数値が大きいほど溶融時の流動性や加工性は良好であるが、引張り強さ、耐ストレスクラッキング性が低下する傾向にある。一方、スパイラルフローは成形材料の金型中での流動性を評価する、射出成形の実用的な手法として用いられている。スパイラルフローでは、渦巻状の容易に完全充填しないほど長い流動長を持つ試験金型を用い、温度や圧力条件などを変えて射出成形し、本金型に充填した長さを計測して流動性を評価する。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、図1に示す例のように、プラスチック廃材から製造したペレットおよび、同一材のバージンペレットを用いて、これらメルトフローレートおよび/またはスパイラルフローを測定して、樹脂溶融温度と樹脂流動性の相関を取り、本発明のプラスチック廃材の射出成形温度を決定するようにすることが、好ましい(ステップS8)。
次に、上述したステップS6で製造したペレット状の樹脂原料を射出成形機で加熱溶融し、プラスチック成形体を製造する(ステップS9)。射出成形機としては、特に限定されるものではないが、たとえばスクリューインライン式射出成形機またはプランジャ式射出成形機などが挙げられる。
本発明は、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を含むプラスチック成形体の製造方法についても提供する。本発明のプラスチック成形体の製造方法における上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法以外の工程は、適宜公知の工程を組み合わせることができ、特に制限されるものではない。さらに、本発明は、上述した本発明のプラスチック成形体の製造方法により製造されたプラスチック成形体についても提供する。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
した液晶テレビ(製造日より3年経過品)を手作業により解体して、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)(PC+ABSサイコロイC6600、SABICイノベーティブプラスチックス製)(以下、「PC+ABS廃材」)により成形された筐体キャビネットを回収した。その後、ラベルなどの付着物を除去し、破砕した後、水洗浄を行った。次に、除湿乾燥機((株)松井製作所製)にて乾燥後、スクリュー径25mm、L/D=26の二軸溶融混練押出機((株)テクノベル製))を用いて、設定温度260℃で加熱溶融混練するとともに押出成形し、ペレタイザーを用いてカットし、ペレット状の成形用樹脂原料を得た。
続いて、この成形用樹脂原料廃材原料を10トン射出成形機(日精樹脂工業(株)製)のホッパーに投入し、成形温度260℃、金型温度40℃、冷却時間30秒の射出成形条件で、ASTM準拠の物性測定用試験片を作製した。また、面衝撃強度測定のために、厚み3mmの物性測定用試験片も作製した。そして、これら各試験片を用いて、後述する引張強度、伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度を測定した。
併せて、比較対象として、同一材のプラスチック(PC+ABSサイコロイC6600、SABICイノベーティブプラスチックス製)のバージン材料(以下、「PC+ABSバージン材」)についても、同様に物性測定を行った。
<物性測定方法>
(1)引張強度(MPa)および伸び(%)
JIS K7113の規定に準拠して、引張破断点降伏強さ、引張破断点伸びとしてそれぞれ測定した。なお、「引張強度」、「伸び」とは、材料を一定の速度で引張、応力と歪との関係を求めるもので、伸長された材料は、はじめに弾性変形をし、その後塑性変形をはじめ、極大強度に達し、さらに降伏点を超えるとネッキングを生じ、破断に至る。応力の一番大きいところ(最大点応力)を「引張強度」、破断したときの歪(破断点伸び)を「伸び」としている。
(2)曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(MPa)
JIS K7203の規定に準拠してそれぞれ測定した。なお、「曲げ強度」、「曲げ弾性率」とは、2点で支えた試験片の中心に応力をかけることにより、応力と歪との関係を求めるものである。応力の一番大きいところを「曲げ強度」、応力−歪曲線の傾きを「曲げ弾性率」としている。
(3)ノッチ付アイゾット衝撃強度(KJ/m2
JIS K7110の規定に準拠して測定した。
(4)面衝撃強度(cm)
JIS K7211の規定に準拠して測定した。
実験例1の物性測定結果を表1に示す。表1から、PC+ABS廃材およびPC+ABSバージン材を同じ成形温度(260℃)で成形した場合、アイゾット衝撃強度において、PC+ABS廃材はPC+ABSバージン材と比較して大幅に物性低下することが分かった。
Figure 2009226875
<実験例2>
次に、PC+ABS廃材をペレット状の原料に加工するまでは実験例1と同様で、射出成形温度をそれぞれ260℃、250℃、240℃、230℃、220℃として物性測定用試験片を作製した(金型温度は40℃、冷却時間は30秒で一定とした。)。そして、実験例1と同様の方法にて物性測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009226875
表2から、PC+ABS廃材の射出成形温度を低下させることによってアイゾット衝撃強度が向上した。PC+ABS廃材の射出成形温度をPC+ABSバージン材の射出成形温度よりも10℃下げることによってアイゾット衝撃強度の向上が見られ、20℃以上下げることによって、アイゾット衝撃強度はPC+ABSバージン材と同等以上となった。さらに、射出成形温度を50℃下げると樹脂の充填不足が発生した。また、PC+ABSバージン材についても同様の実験を試みたが、射出成形温度240℃で樹脂の充填不足が発生した。これにより、射出成形温度を下げることでアイゾッド衝撃強度の向上が見込まれるが、射出成形温度を過剰に下げれば成形不良が発生することがわかった。
<実験例3>
次に、実験例2で作製したPC+ABS廃材の物性測定用試験片を用いて、分子量測定(高速GPC装置HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を使用)を実施した。それぞれの射出成形温度でのPC+ABS廃材の重量平均分子量(Mw)の測定結果を表3に示す。
Figure 2009226875
表3の結果、PC+ABS廃材の射出成形温度260℃、250℃、240℃、230℃、220℃サンプルのいずれにおいても重量平均分子量(Mw)の変化はほとんど無かった。これにより、射出成形温度260℃のPC+ABS廃材のアイゾッド衝撃強度の低下が、樹脂の劣化によるものではないことが分かる。
<実験例4>
次に、実験例1で作製したPC+ABS廃材のペレットおよびPC+ABSバージンペレットを用い、JIS K7210に準拠してメルトフローレート(MFR)を測定した(メルトフローテスター(CEAST製)を使用)。測定条件として、樹脂溶融温度を260℃、250℃、240℃、230℃、220℃とし、荷重錘を2.16kg一定とした。結果を表4に示す。
Figure 2009226875
表4の結果、PC+ABS廃材は樹脂溶融温度を下げることでMFRが低下し、流動性が小さくなった。PC+ABS廃材の樹脂溶融温度240℃サンプルとPC+ABSバージン材の樹脂溶融温度260℃サンプルでそれぞれのMFRがほぼ同等となった。
<実験例5>
最後に、実験例1で作製したPC+ABS廃材のペレットおよびPC+ABSバージンペレットを用いてスパイラルフローを測定した。スパイラルフローを作製するための成形機はFNX−110(日精樹脂(株)製)(110t成形機)を使用し、スパイラル深さ1mmの金型を使用した。スパイラルフロー作製条件として、PC+ABS廃材は樹脂溶融温度を260℃、250℃、240℃、230℃、220℃とし、PC+ABSバージン材は樹脂溶融温度を260℃として測定した。結果を表5に示す。
Figure 2009226875
表5の結果、実験例4と同様、PC+ABS廃材は樹脂溶融温度を下げることでスパイラルフロー長が低下し、流動性が小さくなった。PC+ABS廃材の樹脂溶融温度240℃サンプルとPC+ABSバージン材の樹脂溶融温度260℃サンプルでそれぞれのスパイラルフロー長がほぼ同等となった。
実験例4および実験例5の結果から、今回の実験例に用いたサンプルにおいては、PC+ABS廃材の樹脂溶融温度240℃サンプルとPC+ABSバージン材の樹脂溶融温度260℃サンプルで相関が取れる結果となった。すなわち、本サンプルのPC+ABS廃材はPC+ABSバージン材よりも20℃低い射出成形条件にて成形が可能であることが示唆される。このようにして、PC+ABS廃材とPC+ABSバージン材のメルトフローレートおよび/またはスパイラルフローを測定することで、PC+ABS廃材の射出成形温度を決定することができる。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、家電製品やOA機器や電気・電子部品から回収されたプラスチック廃材の再資源化方法に限定されるものではなく、ポリカーボネート樹脂と、その他の熱可塑性樹脂(A)とからなるアロイ樹脂(好ましくは、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂とからなるアロイ樹脂(PC+ABS)および/またはポリカーボネート樹脂(PC樹脂)とポリスチレン系樹脂(PS樹脂)からなるアロイ樹脂(PC+PS樹脂))により構成される部材を備える製品であれば、どのような製品にも好適に適用可能である。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、本来はマテリアルリサイクルが難しいポリカーボネート樹脂とその他の熱可塑性樹脂とのアロイ樹脂で形成されたプラスチック廃材を効率よくマテリアルリサイクルすることができ、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることが可能となり、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減することができる。
また、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、プラスチック廃材を射出成形する際に樹脂溶融温度を下げられるため、成形加工時の省エネルギー化につながる。さらに、樹脂溶融温度を下げることにより成形時間の短縮が可能となるため、生産性向上にも寄与できる。
そして、本発明のプラスチック成形体の製造方法により、プラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルを行ない、多様な用途に適した特性を有するプラスチック成形体を提供することができる。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法の好ましい一例を示すフローチャートである。

Claims (12)

  1. ポリカーボネート樹脂と、その他の熱可塑性樹脂(A)とからなるアロイ樹脂で形成されたプラスチック廃材を再資源化する方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂およびポリスチレン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかである、請求項1に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  3. ポリカーボネート樹脂相への前記熱可塑性樹脂(A)の分散性を保持する、請求項1または2に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  4. 前記プラスチック廃材を射出成形する際の射出成形温度を、前記プラスチック廃材と同一材の未使用樹脂の射出成形温度よりも低くすることで、前記熱可塑性樹脂(A)の分散性を保持する、請求項3に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  5. 前記プラスチック廃材の射出成形温度を、前記プラスチック廃材と同一材の未使用樹脂の射出成形温度よりも10〜40℃低くする、請求項4に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  6. 前記プラスチック廃材の射出成形温度を該廃材の樹脂流動性により決定する、請求項4または5に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  7. メルトフローレートおよびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを用いて樹脂流動性を測定する、請求項6に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  8. 前記プラスチック廃材が、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかの廃棄物である、請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  9. 前記プラスチック廃材がフラットパネルディスプレイ製品の部品である、請求項1〜7のいずれかに記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  10. 前記フラットパネルディスプレイ製品は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項9に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のプラスチック廃材の再資源化方法を含む、プラスチック成形体の製造方法。
  12. 請求項11に記載のプラスチック成形体の製造方法により製造された、プラスチック成形体。
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