JP5158790B2 - プラスチック廃材の再資源化方法、プラスチック成形体およびその製造方法 - Google Patents

プラスチック廃材の再資源化方法、プラスチック成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プラスチック廃材の再資源化方法、プラスチック成形体およびその製造方法
に関する。
近年、わが国では所得水準の向上に伴ない、エアコンディショナ(本明細書において、以下、「エアコン」とも記載する。)、テレビジョン受信機(本明細書において、以下、「テレビ」とも記載する。)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。従来は、これらの家電製品などの廃材の再資源化は、鉄くずの回収ルートを通して行なわれる場合が多かった。
しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少し、プラスチックからなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチックは、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を発揮し、軽量で、耐久性が高いなどの多くの利点を有するためである。
近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃材は、各種構成部材の材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なくなり、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチックからなる部材の割合が多くなっている。また、従来の鉄くずの回収ルートでは、このような廃材を再資源化しても採算が取れないため、対応が難しい状況になりつつある。
これらのプラスチックからなる部材は、原油などの埋蔵化石燃料を基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチックからなる部材の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。
また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化、酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含むプラスチックの焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチックを含む廃棄物の増大によるゴミ埋立処理場の不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチックからなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。なお、本明細書においては、プラスチックからなる部材を、「プラスチック部材」とも呼称する。また、本明細書においては、プラスチック部材の廃棄物を「プラスチック廃材」とも呼称する。
上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法が施行された。家電リサイクル法においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機の家電製品4品目のリサイクルが義務付けられ、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
そして、上記の家電リサイクル法の施行を受けて、プラスチック廃材の回収は進みつつある。回収されたプラスチック廃材の再資源化方法としては、プラスチック廃材を燃料として使用する、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法が従来から多く活用されている。しかし、このような方法によれば、燃焼による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。
そこで、回収されたプラスチック廃材から、たとえば手作業で解体し、プラスチックの系統ごとにプラスチック部材を分離して、それらのプラスチック部材を再度、製品の部材またはその原料に加工して使用するプラスチック廃材の再資源化方法が提案されている。このような再資源化方法は、上記のサーマルリサイクルと対比して、マテリアルリサイクルと言われている。
上述のようにしてプラスチックの系統ごとに分離されたプラスチック部材は、加熱溶融して再度成形することにより比較的容易にマテリアルリサイクルすることが可能である。そのため、現在、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルの比率を高めることを目的として、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルによる再資源化方法の研究開発が、各方面で多大な努力を払って行なわれている。
しかしながら、プラスチック廃材、特に、家電製品および事務用機器などに使用されていたプラスチック廃材は、厳しい環境で長期間使用されることが多いため、廃材となった時点ですでに特性が低下しており、変色または退色などの外観上の特性の低下だけでなく、強度、柔軟性などの物性も低下し、耐久性に乏しい材料になっていることが多い。そのため、プラスチック廃材は、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるプラスチックのバージン材の代替とはならず、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いられることが多い。
現在のところ、プラスチック廃材のマテリアルリサイクルとしては、このようなカスケードリサイクルが主流となっている。そのため、プラスチック廃材から再生されるプラスチック成形体の用途が限られてしまい、サーマルリサイクルされているプラスチック廃材が大量にあるという問題がある。ここで、本明細書において、「バージン材」とは、未使用のプラスチックのことを意味するものとする。また、本明細書において、特性の低下したプラスチック廃材を、要求特性の高いプラスチック部材に用いられるバージン材の代替用途ではなく、要求特性の低いプラスチック部材の原料として用いることを、「カスケードリサイクル」と記載するものとする。
このような問題を克服するため、上記のプラスチック廃材からのマテリアルリサイクルにより得られるプラスチック成形体の特性を向上させ、要求特性の高いプラスチック部材としても使用可能な水準に到達させるべく、多くの研究開発がなされている。たとえば、プラスチック廃材(マテリアルリサイクル材料)にバージン材を混合することによって特性を保持する方法が、数多く提案されている(たとえば特開2000−159900号公報(特許文献1)、特開2001−26719号公報(特許文献2)、特開2003−160724号公報(特許文献3)などを参照。)。ただし、このようなマテリアルリサイクル方法においては、プラスチック廃材よりも多量のバージン材を混合する必要がある場合が多く、資源循環型社会に対応しているとは言い難い。また、マテリアルリサイクル時における難燃剤などの添加剤の添加量などについては幅広い値が記されており、明確な値が記されているものは見当たらない。
また、プラスチック廃材に含まれる各種添加剤を再添加する際、添加剤の定量、定性等の分析が必要になる。たとえば、ポリマー中に含まれる臭素系難燃剤を定性または定量分析する方法として、ゲル浸透クロマトグラフ装置とガスクロマトグラフ装置とを複合させる方法が提案されている(たとえば、特開2006−38517号公報(特許文献4)を参照。)。しかしながら、このような分析方法はポリマーの溶解作業等の手間がかかり、実際のリサイクルシステムを考えた場合、適切な手段であると言い難い。
また、従来の難燃剤定量分析方法としては高速液体クロマトグラフがあり、高精度のデータを得ることが出来る(たとえば、高薄 一弘、「チャートで見る高分子添加剤の分離・分析技術」、株式会社 技術情報協会、1999年6月、第101〜107項(非特許文献1)を参照。)。しかしながら、分析のためにはポリマー樹脂から難燃剤を抽出する工程を要し、多大な時間がかり、分析自体の手間がかかるため、実際のリサイクルシステムには適していない。
また、難燃剤自体の劣化に着目した再資源化に関する方法は見当たらない。
特開2000−159900号公報 特開2001−26719号公報 特開2003−160724号公報 特開2006−38517号公報 高薄 一弘、「チャートで見る高分子添加剤の分離・分析技術」、株式会社 技術情報協会、1999年6月、第101〜107項
上記のように、市場から回収されたプラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルによる再資源化方法であって、得られるプラスチック成形体の用途が広く、プラスチック部材またはその原料としても使用可能な特性を有する成形体を得る方法が望まれている。また、効率的かつ低コストのプラスチック廃材の再資源化方法の開発が強く望まれている。しかし、そのような再資源化方法は未だ知られていない。
また、最近は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display:FED)、電子ペーパーなどのフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)が身の回りの製品に搭載されてきており、たとえば、テレビ、パーソナルコンピュータ、モニター、ビデオ、カメラ、携帯電話、カーナビゲーション、情報携帯端末、小型ゲーム機など、様々な分野で幅広く利用されてきている。FPDの市場規模はその省電力、省スペース、軽量といった特性から、近年の高度情報化社会の進展に伴い急激に増加している。これに伴い、これらFPDの廃棄量も年々増加していくことが予想され、リサイクル活動などの環境活動において、リサイクル性向上等の要求が強くなってきている。
ところが、これらFPDは比較的新しい製品であること、また、現状は比較的廃棄物の量が少ないこともあり、ブラウン管テレビのようなリサイクルは実用化されていない。廃棄されたFPDは廃棄物の処理施設で破砕されて、シュレッダーダストとともに埋め立て処理あるいは焼却処理されているのが現状である。
加えて液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどに代表される薄型テレビにおいては、近い将来、家電リサイクル法の適用品目として追加される動きもある。この場合、資源の有効活用や再商品化率向上などの観点から、当該製品のキャビネットなどに使用されているプラスチック廃材の再資源化方法の開発についても強く望まれている。
たとえば、薄型テレビの一例である液晶テレビのキャビネットにおいては、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材である変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE+PS)がよく使用されている。この変性ポリフェニレンエーテル樹脂は耐久性、耐熱性、自消性に富み、機械的特性も非常に優れた材料の1つである。また、液晶テレビのキャビネット材料として使用されている変性ポリフェニレンエーテル樹脂は、比較的使用温度が高くなることから、発火防止、消火のための難燃化、成型加工性向上のための可塑化を目的として、主にリン酸エステル系難燃剤が使用されている。
そこで、上記材料をマテリアルリサイクルするためには、バージン材と遜色無い難燃性、機械特性などが要求されるため、再資源化する際に、材料の劣化の度合いに応じ難燃剤などの添加剤を添加する必要がある。しかしながら、難燃剤を添加するにあたり、劣化度合いを判定するためには、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)などにより難燃剤の定量・定性を行い、難燃剤の添加量を決定する必要がある。また、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によりプラスチック廃材の分子量から劣化の有無を確認する。反面、HPLC、FT−IR、GPCなどの分析は試料作成のための樹脂の溶解、難燃剤の抽出といった前処理から分析と多大な時間を要するため、迅速な対応が不可能となる。しかし、難燃剤の添加について上記問題を解決するような方法は見当たらない。
上記の現状に基づき、本発明が解決しようとする課題は、難燃剤の添加量を迅速に決定することができ、難燃剤の使用量を必要最小限に抑えることにより、リサイクルコストを削減できるとともに効率的なプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、より詳しくは、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材である変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE+PS)のマテリアルリサイクルにより、難燃剤添加のための分析時間を低減し、効率的なプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
さらに、本発明の別の解決しようとする課題は、プラスチック廃材から、マテリアルリサイクルにより、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を提供することにある。
本来、プラスチック廃材において見られる樹脂流動性の上昇は、樹脂の劣化に伴う分子量低下によるものが主な原因である。そのため、加水分解性のある樹脂においては、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ならびに、ポリカーボネート樹脂とその他のプラスチックとのアロイ材から選ばれる少なくともいずれかにおいては、樹脂流動性の測定は主に樹脂自体の劣化の目安として用いられている。しかし、本発明者らは、プラスチック廃材であるポリフェニレンエーテル樹脂とその他のプラスチックとのアロイ材をゲル浸透クロマトグラフにより分析を行った結果、バージン材と比べても分子量変化が無く、ほとんど劣化してないことを見出した。しかし、長時間の使用に伴って流動性の上昇が見られる点に着目したところ、難燃剤の劣化がプラスチック廃材の流動性上昇の原因であることが分かった。そのため、プラスチック廃材を流動性の測定のみで難燃剤の劣化度合いを判定し、それに伴う最適な添加量を決定することで、かかる課題を解決し得るとの着想を得、プラスチック廃材の再資源化方法を開発すべく物性についての実験を行って鋭意検討を重ねた。
その結果、難燃剤劣化に伴う樹脂流動性の上昇と、従来の分析技術である高速液体クロマトグラフによる定量分析の結果との間に相関関係があることを確認した。さらには、高速液体クロマトグラフによる難燃剤の定量分析では、得られる難燃剤由来のピークは、難燃剤が加水分解、酸化などの劣化による低分子化であるため、劣化すると難燃剤ピークの減少と共に低分子側にピークが生じる。つまり、前記難燃剤の低分子成分の生成による難燃材の減少が、樹脂流動性の上昇と相関関係があることを確認した。ただし、上記流動性の評価については、樹脂劣化の受けにくいプラスチック廃材であれば特に限定されるものでない。
さらに詳しくは、本発明者らは、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材(PPE+PS)により構成されるプラスチック廃材に着目した。その結果、プラスチック廃材を樹脂流動性の測定のみで難燃剤の劣化度を判定し、前記相関データと照合し、劣化に伴った難燃剤を添加することで、バージン材と同等の難燃特性に回復させることに成功した。すなわち、本発明は以下の通りである。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、プラスチック廃材の樹脂流動性を測定する工程と、測定されたプラスチック廃材の樹脂流動性に応じた量の難燃剤を添加して、再資源化されたプラスチックの難燃性を改善する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、樹脂流動性として、メルトフローレートおよびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを測定することが、好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材はポリエーテル結合を有するプラスチックを含むことが好ましい。ここにおいて、ポリエーテル結合を有するプラスチックは、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイである変性ポリフェニレンエーテル樹脂であることが好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、添加する難燃剤はプラスチック廃材に含まれるものと同じ難燃剤であることが好ましい。この場合、難燃剤はリン酸エステル系難燃剤であることが好ましく、当該リン酸エステル系難燃剤は、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートおよびレゾルシノールビスジフェニルホスフェートから選ばれる少なくともいずれかであることがより好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材は、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが、好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材は、フラットパネルディスプレイが搭載された製品の部品であることが好ましい。この場合、フラットパネルディスプレイが搭載された製品が、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイおよび電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を含む、プラスチック成形体の製造方法についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明のプラスチック成形体の製造方法により製造されたプラスチック成形体についても提供する。本発明のプラスチック成形体は、マテリアルリサイクルされる製品に用いられることが好ましい。
本発明のプラスチック成形体がマテリアルリサイクルされる製品は、家電製品と、OA機器と、電機電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
また本発明のプラスチック成形体がマテリアルリサイクルされる製品が、フラットパネルディスプレイが搭載された製品の部品であってもよい。この場合、フラットパネルディスプレイが搭載された製品は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイおよび電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、難燃剤の劣化度判定に樹脂流動性を測定することで、再資源化時の難燃剤の添加量を決定することができる。
また、従来の高速液体クロマトグラフやフーリエ変換赤外分光法に比べ、測定時間を大幅に短縮できるためプラスチック廃材を効率的に再資源化することができる。さらに、難燃剤の最適添加量が分かるためリサイクルコスト削減につながる。
そして、本発明のプラスチック成形体の製造方法により、プラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルを行ない、多様な用途に適した特性を有するプラスチック成形体を提供することができる。
図1は、本発明の好ましい一例のプラスチック廃材の再資源化方法を示すフローチャートである。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、プラスチック廃材の樹脂流動性を測定する工程と、測定されたプラスチック廃材の樹脂流動性に応じた量の難燃剤を添加して、再資源化されたプラスチックの難燃性を改善する工程とを含むことを特徴とする。図1には、回収工程(ステップS1)と、異材質物の除去工程(ステップS2)と、破砕工程(ステップS3)と、洗浄工程(ステップS4)と、乾燥工程(ステップS5)と、バージン材の流動性測定工程(ステップS6)と、プラスチック廃材の樹脂流動性測定工程(ステップS7)と、難燃剤添加量決定工程(ステップS8)と、難燃剤添加工程(ステップS9)と、ペレット製造工程(ステップS10)とをこの順で含む場合が示されている。上述のように、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、このうち難燃剤添加量決定工程(ステップS8)および難燃剤添加工程(ステップS9)を少なくとも含んでいればよいが、図1に示す例のような他の工程を含むことが好ましい。以下、図1に示す場合を例に挙げて、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法について詳細に説明する。
〔1〕プラスチック廃材回収工程
図1に示す例では、まず、プラスチック廃材回収工程(ステップS1)において、プラスチック廃材を回収する。プラスチック廃材は、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。また、最近、拡大基調にあるフラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなど)が搭載された製品から回収されるプラスチック廃材にも適用でき、効率的なプラスチック廃材の再資源化を図ることができる。家電製品としては、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機などからなる群から選ばれる製品が挙げられ、特に、液晶テレビ、複写機などに使用される難燃剤を使用するプラスチックからなる部材も含まれる。また、フラットパネルディスプレイが搭載された製品としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイおよび電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
ここで、使用済み製品として廃棄された液晶テレビ、複写機などのキャビネットから回収されたプラスチックの材質としては、長期安定性を有する材料が好ましく、中でも構造的に安定である、ポリエーテル結合を有するプラスチックが好ましい。このようなポリエーテル結合を有するプラスチックとして、たとえば、ポリフェニレンエーテル樹脂とその他樹脂とのアロイ樹脂などが挙げられる。前記その他樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、特にポリスチレン樹脂またはハイインパクトポリスチレン樹脂が好ましい。具体的には、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイである変性ポリフェニレンエーテル樹脂がポリエーテル結合を有するプラスチックとして特に好適である。なお、本明細書において、「プラスチック」と呼称する際には、狭義の熱可塑性樹脂組成物のみを示すのではなく、熱可塑性エラストマー組成物および高分子組成物なども含む広い意味での熱可塑性樹脂組成物を示すものとする。
以下、プラスチック廃材が、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材(PPE+PS)により構成される使用済み液晶テレビキャビネットである場合を例に挙げて説明する。この場合、当該プラスチック廃材回収工程において、使用済み液晶テレビからキャビネット(材質はポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂からなるアロイ樹脂である変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE+PS))を回収する。キャビネットは通常、複数本のビスで固定されているため、ドライバーを用いてビスを外すことにより筐体を取り外すことができる。
〔2〕異材質物除去工程
図1に示す例では、次に、回収されたプラスチック廃材から、異なる材質のもの(異材質物)を除去する(ステップS2)。プラスチック廃材が、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ材(PPE+PS)により構成される使用済み液晶テレビキャビネットである場合、この異材質物として、たとえばキャビネットに取り付けられたシール、ロゴバッチ、振動防止用テープ、コード結束用バンドなどが挙げられる。また、前部のキャビネットには塗装が施されていることが多いが、この塗膜も異材質物である。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、これら異材質物の混入は物性低下の要因となるため除去することが好ましい。使用済み液晶テレビキャビネットから上述した異材質物を除去する方法としては、切削、研磨などの機械的方法や、薬品を用いた除去など、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜使用することができる。
〔3〕破砕工程
図1に示す例では、次に、破砕工程(ステップS3)において、上述したように異材質物を除去した後のプラスチック廃材を破砕して、プラスチック破砕物を得る。破砕方法としては、たとえばハンマー式破砕機、一軸破砕機、二軸破砕機、または裁断機などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、当該破砕工程を含むことで、後の手順における作業性が向上するという利点がある。
当該工程で得られるプラスチック破砕物の粒径については、特に制限されるものではないが、5mm以上であることが好ましく、8mm以上であることがより好ましい。また、プラスチック破砕物の粒径は30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。プラスチック破砕物の粒径が5mm未満である場合は、破砕に長時間を有するため、プラスチックが溶融あるいは熱酸化劣化を起こす傾向があり、また、この粒径が30mmを超える場合には、後の手順における作業性に悪影響を及ぼす傾向がある。具体的には、粒径10mm程度のプラスチック破砕物が好適である。
〔4〕洗浄工程
図1に示す例では、次に、プラスチック破砕物を洗浄し、キャビネットに付着している汚れ、埃、異物などを除去する(ステップS4)。該破砕物を洗浄する方法としては、プラスチック破砕物同士をこすり合わせることにより異物などを除去する乾式方法や、水洗浄などの湿式方法が挙げられるが、その方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜使用することができる。
〔5〕乾燥工程
図1に示す例では、次に、洗浄したプラスチック破砕物を乾燥する(ステップS5)。好適な乾燥条件としては、たとえば80℃で4〜6時間程度の条件が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、乾燥設備についても、恒温器、除湿乾燥機、熱風乾燥機などが挙げられるが、これについても特に限定はされない。
〔6〕バージン材の樹脂流動性測定工程
図1に示す例では、次に、プラスチック廃材を構成するプラスチックと同じプラスチックのバージン材について、樹脂流動性を測定する(ステップS6)。得られた結果を数値化することが容易であることから、樹脂流動性として、メルトフローレート(MFR)およびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを測定することが、好ましい。メルトフローレートは溶液状態にあるポリマーの流動性を示す最も普及している尺度の一つで、溶液指数ともいう。押出式プラストメーターで、一定圧力、一定温度の下に、規定の寸法をもつノズル(オリフィス)から流出する量を測定し、g/10minの単位で表した指数である。一般にメルトフローレートの数値が大きいほど溶融時の流動性や加工性は良好であるが、引張強さ、耐ストレスクラッキング性が低下する傾向にある。一方、スパイラルフローは成形材料の金型中での流動性を評価する、射出成形の実用的な手法として用いられている。スパイラルフローでは、渦巻状の容易に完全充填しないほど長い流動長を持つ試験金型を用い、温度や圧力条件などを変えて射出成形し、本金型に充填した長さを計測して流動性を評価する。なお、この作業は事前に行っておくことが好ましく、その場合には、当該工程は省略することができる。
また本発明においては、当該工程(ステップS6)において、プラスチック廃材を構成するプラスチックと同じプラスチックのバージン材について、当該バージン材中の難燃剤を高速液体クロマトグラフ(HPLC)による定量分析も併せて行っておくことが好ましい。このような定量分析も行っておくことにより、後述する難燃剤添加量決定工程(ステップS8)において難燃剤の添加量を決定するための指標の1つとなり得るデータを取得することができ、好ましい。なお、この作業も事前に行っておくことが好ましく、その場合には、当該工程は省略することができる。
〔7〕プラスチック廃材の樹脂流動性測定工程
図1に示す例では、次に、乾燥工程(ステップS5)で乾燥物として得られたプラスチック廃材の樹脂流動性を測定する(ステップS7)。当該工程においても、バージン材の樹脂流動性測定工程(ステップS6)について上述したのと同様の理由から、樹脂流動性として、MFRおよびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを測定することが、好ましい。当該工程において測定されたプラスチック廃材の樹脂流動性のデータと、上述したバージン材の樹脂流動性測定工程(ステップS6)において測定されたバージン材の樹脂流動性のデータとから、樹脂流動性の変化率の相関関係が分かり、この相関関係は難燃剤の必要添加量を決定するために有用な情報となる。
また当該工程でも、プラスチック廃材中の難燃剤のHPLCによる定量分析を併せて行うようにすることが好ましい。これにより、当該工程において測定されたプラスチック廃材中の難燃剤の定量データと、上述したバージン材の樹脂流動性測定工程(ステップS6)において測定されたバージン材中の難燃剤の定量データとから、プラスチックの劣化による難燃剤の量的変化の相関関係が分かり、この相関関係も難燃剤の必要添加量を決定するために有用な情報となる。
〔8〕難燃剤添加量決定工程
図1に示す例では、次に、上述したバージン材の樹脂流動性測定工程(ステップS6)およびプラスチック廃材の樹脂流動性測定工程(ステップS7)から得られたデータの相関関係を照合することで、プラスチック廃材(プラスチック破砕物)に添加する難燃剤の量を決定する(ステップS8)。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、このように、樹脂流動性を測定して、難燃剤の劣化度を判定するようにすることで、再資源化時の難燃剤の添加量を決定することができる。樹脂流動性の測定は、従来の高速液体クロマトグラフやフーリエ変換赤外分光法に比べ、測定時間を大幅に短縮できるためプラスチック廃材を効率的に再資源化することができるとともに、難燃剤の最適添加量が分かるためリサイクルコスト削減につながるという利点がある。
〔9〕難燃剤添加工程
次に、上述した難燃剤添加量決定工程(ステップS8)で決定された量の難燃剤を、プラスチック廃材に添加する(ステップS9)。当該工程において添加する難燃剤は、プラスチック廃材に含まれるものと同じ難燃剤であることが好ましい。これにより、異種難燃剤の混入を防ぐと共に、再度リサイクルを行う際に管理が容易であるという利点があるためである。このようにプラスチック廃材に含まれ、当該工程において添加され得る難燃剤としては、たとえばリン酸エステル系難燃剤、ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。中でも、ハロゲン系難燃剤は、焼却時のダイオキシン発生の原因として懸念されることなどからリン酸エステル系難燃剤が好ましい。
リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの縮合リン酸エステルを挙げることができる。これらの中でも、リン酸エステル系難燃剤が、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートおよびレゾルシノールビスジフェニルホスフェートから選ばれる少なくともいずれかであることが特に好ましい。
リン酸エステル系難燃剤は、市販されているものを特に制限なく適宜用いることができる。具体的には、縮合リン酸エステルを用いた市販のリン酸エステル系難燃剤として、PX−200(大八化学工業(株)製)、PX−201(大八化学工業(株)製)、PX−202(大八化学工業(株)製)、CR−733S(大八化学工業(株)製)、CR−741(大八化学工業(株)製)、CR−747(大八化学工業(株)製)、FP−600((株)ADEKA製)、FP−700((株)ADEKA製)などを挙げることができる。中でも、CR−741(大八化学工業(株)製)が特に好適に用いられ得る。
〔10〕ペレット製造工程
図1に示す例では、次に、難燃剤を添加した後のプラスチック廃材(プラスチック破砕物)を加熱溶融し、成形用樹脂原料となるペレット状のプラスチック成形体を製造する(ステップS10)。なお、本発明は、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を用いたプラスチック成形体の製造方法についても提供する。またさらに、本発明は、当該プラスチック成形体の製造方法により製造されたプラスチック成形体についても提供する。
プラスチック破砕物からのペレット製造は、押出成形機により好適に行なうことができる。押出成形機は、特に限定されるものではなく、たとえば単軸押出成形機、二軸押出成形機あるいは多軸式押出成形機などを好ましく使用することができる。プラスチック破砕物をペレット状に成形してマテリアルリサイクルする場合には、押出成形した後に、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどの方法により造粒することができる。また、後で射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行なえ、大量に処理できる点で、アンダーウォーターカット法が特に好ましい。
本発明のプラスチック成形体がペレット状である場合、その粒径は1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。また、ペレット状のプラスチック成形体の粒径は8mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。上記粒径が1mm未満の場合には、浮遊するため作業性が低下しやすく、上記粒径が8mmを超えると、成形機のシリンダ内で充分に溶融しないため、均一な混練が困難になりやすい。
本発明のプラスチック成形体は、ペレット状に限定されず、たとえばシート状、フィルム状、パイプ状などの形態とすることができる。したがって、押出成形機の種類、使用の態様あるいは求められる特性などから適宜決定することができる。また、成形用樹脂原料には、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラ、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加することができる。
本発明のプラスチック成形体は、マテリアルリサイクルされる製品におけるプラスチック部材に用いられることが好ましい。この場合、プラスチック部材の製造工程を簡略化するため、上述したようにペレット状などに成形することなく、プラスチック破砕物を射出成形機にそのまま投入し、プラスチック部材を直接作製することもできるが、添加された難燃剤をプラスチックによく混練させるためには、上述した押出加工によりペレット状のプラスチック成形体を製造した後、プラスチック部材に成形することが好ましい。
本発明のプラスチック成形体を用いるマテリアルリサイクルされる製品は、家電製品と、OA機器と、電機電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。また、本発明のプラスチック成形体を用いるマテリアルリサイクルされる製品は、フラットパネルディスプレイが搭載された製品の部品であってもよい。この場合、当該フラットパネルディスプレイが搭載された製品は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイおよび電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1>
現在、液晶テレビのキャビネット材などに使用されている、ポリフェニレンエーテル樹脂とスチレン系樹脂からなるアロイ樹脂である変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE+PS))は、市場されてからほとんど時間が経過していない(1年程度)。そのため、劣化判定のサンプルとして検討することは適切でないと考え、本発明者らはプラスチック廃材を下記手順で擬似的に作製した。
具体的には、室温80℃、湿度95%RHに設定した恒温恒湿器(LH−113、エスペック(株)製)に、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂からなるアロイ樹脂である変性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE+PS)のバージンペレット(以下、「PPE+PSバージン材」)(PPE+PSザイロンTV08J、旭化成ケミカルズ(株)製)を投入した。その後、投入時間400h、800h、1200hにて上記ペレットを取り出し、これを擬似的なプラスチック廃材(以下、「PPE+PS廃材」)とした。
次に、作製したPPE+PS廃材のペレットおよびPPE+PSバージン材のペレットを用い、JIS K7210に準拠してメルトフローレート(MFR)を測定した(メルトフローテスター、CEAST製)。測定条件として、樹脂溶融温度を250℃とし、荷重錘を5kg一定とした。結果を表1に示す。表1から、PPE+PS廃材は恒温恒湿槽の投入時間に伴いMFRが上昇し、流動性が上昇したことが分かる。
Figure 0005158790
<実験例2>
次に、実験例1で作製したPPE+PS廃材およびPPE+PSバージン材に含まれる難燃剤の定量分析を高速液体クロマトグラフ(高速GPC装置HLC−8220GPC、東ソー(株)製)にて実施した。なお、検量線を作成するため、リン酸エステル系難燃剤である(CR−741、大八化学工業(株)製)を使用した。高速液体クロマトグラフの生データを図2示す。図2より、保持時間12分過ぎあたりに難燃剤由来のピークが確認できる。投入時間に伴って難燃剤由来のピークの減少、低分子成分生成に起因して保持時間12.5分あたりにブロード状のピークが確認できる。
また、検量線からPPE+PS廃材およびPPE+PSバージン材に含まれる難燃剤の含有率を算出した。各ペレットの難燃剤含有率を表2に示す。表2から、PPE+PSバージン材には約20質量%程度の難燃剤が含まれていることが分かる。さらに、投入時間に伴い難燃剤含有率が減少していることから、難燃剤の劣化を確認できる。
Figure 0005158790
<実験例3>
次に、実験例1で作製したPPE+PS廃材およびPPE+PSバージン材を用いて、ゲル浸透クロマトグラフによる分子量測定(高速GPC装置HLC−8220GPC、東ソー(株)製)を実施した。それぞれのPPE+PS廃材とPPE+PSバージン材の重量平均分子量(Mw)の測定結果を表3に示す。表3から、投入時間0h(バージン)、400h、800h、1200hサンプルのいずれにおいても重量平均分子量(Mw)の変化はほとんど無かった。これにより、PPE+PS樹脂自身の劣化はほとんど無いことが分かる。これにより、樹脂流動性の上昇はPPE+PS樹脂自身の分子量低下ではなく、難燃剤による劣化が主たる原因であることが分かる。
Figure 0005158790
<実験例4>
次に、実験例1で得たメルトフローレートを横軸に、実験例2で得た難燃剤含有率を縦軸に取り作成したグラフを図3に示す。図3のグラフよりメルトフローレートの増加と共に難燃剤含有率が減少しており、これらの比例関係が成立しており、このことから相関が取れていることが分かる。これにより、メルトフローレートの値から難燃剤添加量を算出することができることが理解される。
図3に示した結果より各メルトフローレートに対する難燃剤添加量についてまとめた結果を表4に示す。なお、表4中、難燃剤添加量は、PPE+PSバージン材に含まれる難燃剤含有率から各PPE+PS廃材に含まれる難燃剤含有率の差をとったものである。表4から難燃剤添加量は、投入時間400hでは1.8重量%、800hでは2.8重量%、1200hでは4.0重量%となることが分かる。
Figure 0005158790
<実験例5>
次に、実験例1で作製したPPE+PS廃材のペレットを除湿乾燥機((株)松井製作所製)にて乾燥後、実験例4から得られた結果から必要量の難燃剤を添加し、スクリュー径25mm、L/D=26の二軸溶融混練押出機((株)テクノベル製))を用いて、設定温度260℃で加熱溶融混練するとともに押出成形し、ペレタイザーを用いてカットし、ペレット状のプラスチック成形体(以下、「PPE+PS再生材」)を得た。次に、除湿乾燥機((株)松井製作所製)にて乾燥後、このPPE+PS再生材のペレットを10トン射出成形機(日精樹脂工業(株)製)のホッパーに投入し、成形温度250℃、金型温度60℃、冷却時間30秒の射出成形条件で、ASTM準拠の物性測定用試験片を作製した。また、面衝撃強度測定のために、厚み3mmの物性測定用試験片も作製した。そして、これら各試験片を用いて、後述する引張強度、伸び、曲げ強度、曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度、面衝撃強度を測定した。併せて、比較対象として、同一材のPPE+PSバージン材についても、同様に物性測定を行った。
〔物性測定方法〕
(1)引張強度(MPa)および伸び(%)
JIS K7113の規定に準拠して、引張破断点降伏強さ、引張破断点伸びとしてそれぞれ測定した。なお、「引張強度」、「伸び」とは、材料を一定の速度で引張、応力と歪との関係を求めるもので、伸長された材料は、はじめに弾性変形をし、その後塑性変形をはじめ、極大強度に達し、さらに降伏点を超えるとネッキングを生じ、破断に至る。応力の一番大きいところ(最大点応力)を「引張強度」、破断したときの歪(破断点伸び)を「伸び」としている。
(2)曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(MPa)
JIS K7203の規定に準拠してそれぞれ測定した。なお、「曲げ強度」、「曲げ弾性率」とは、2点で支えた試験片の中心に応力をかけることにより、応力と歪との関係を求めるものである。応力の一番大きいところを「曲げ強度」、応力−歪曲線の傾きを「曲げ弾性率」としている。
(3)ノッチ付アイゾット衝撃強度(KJ/m2
JIS K7110の規定に準拠して測定した。
(4)面衝撃強度(cm)
JIS K7211の規定に準拠して測定した。
実験例5の物性測定結果を表5に示す。表5から、再生PPE+PS材はPPE+PSバージン材に比べ、物性低下はほとんど見られなかったことが分かる。
Figure 0005158790
<実験例6>
次に、PPE+PS再生材を乾燥後、10トン射出成形機により実験例5と同様の条件で燃焼試験用試験片を作製した。そして、これら各試験片を用いて、UL94V規格に準拠した燃焼試験を行った。なお、比較のためにPPE+PSバージン材、PPE+PS廃材についても同様の試験片を作製し燃焼試験を行った。燃焼試験の結果を表6に示す。表6から、PPE+PS再生材はいずれもPPE+PSバージン材と同等のV−0であり、良好な難燃性が得られたことが分かる。一方で、PPE+PS廃材は投入時間400hではV−0であったが、800h、1200hではV−1となり難燃性の低下が確認されたことが分かる。
Figure 0005158790
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法によれば、効率よくマテリアルリサイクルすることができ、多様な用途に応じた特性を有するプラスチック成形体を得ることが可能となる。また、プラスチック廃材を再生する際、難燃剤の最適な添加量を決定できるため、難燃剤添加にかかるコストを削減することが可能となる。さらに、本発明のプラスチック成形体の製造方法により、プラスチック廃材を主原料とするマテリアルリサイクルを行ない、多様な用途に適した特性を有するプラスチック成形体を提供することができる。
本発明の好ましい一例のプラスチック廃材の再資源化方法を示すフローチャートである。 実験例2においてPPE+PS廃材及びPPE+PSバージン材に含まれる難燃剤を高速液体クロマトグラフにより測定した際のデータである。 実験例1で得られたPPE+PS廃材及びPPE+PSバージン材によるメルトフローレートの結果を横軸に、実験例2で得られた各PPE+PS樹脂に含まれる難燃剤の含有率(質量%)をプロットしたグラフである。

Claims (6)

  1. ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイである変性ポリフェニレンエーテル樹脂であるプラスチック廃材の樹脂流動性を測定する工程と、
    測定されたプラスチック廃材の樹脂流動性が増加した場合に、応じた量のビスフェノールAビスジフェニルホスフェートおよびレゾルシノールビスジフェニルホスフェートから選ばれる少なくともいずれかであるリン酸エステル系難燃剤を添加して、再資源化されたプラスチックの難燃性を改善する工程とを含む、プラスチック廃材の再資源化方法。
  2. 樹脂流動性として、メルトフローレートおよびスパイラルフローから選ばれる少なくともいずれかを測定する、請求項1に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  3. プラスチック廃材が、家電製品と、OA機器と、電気電子部品とからなる群より選ばれる少なくともいずれかである、請求項1または2に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  4. プラスチック廃材が、フラットパネルディスプレイが搭載された製品の部品である、請求項1〜のいずれかに記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  5. フラットパネルディスプレイが搭載された製品が、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイおよび電子ペーパーから選ばれる少なくともいずれかである、請求項に記載のプラスチック廃材の再資源化方法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のプラスチック廃材の再資源化方法を含む、プラスチック成形体の製造方法。
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