JP5207391B2 - プラスチック部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチック廃材の再資源化方法、ならびに、プラスチック原料、プラスチック部材およびそれらの製造方法に関する。
近年、わが国では所得水準の向上に伴い、エアコンディショナ(本明細書において、「エアコン」とも呼称する)、テレビジョン受信機(本明細書において、「テレビ」とも呼称する)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサなどの情報機器、プリンタ、ファックスなどの事務用機器、その他の各種の家具、文具、玩具などが、一般家庭に高い普及率で備えられるようになっており、家庭生活における利便性は飛躍的に向上しつつある。
一方、その結果、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄量も年々増加する傾向にある。ここで、従来は、これらの家電製品をはじめとする製品の廃棄物の再資源化は、鉄くずの回収ルートを通して行われる場合が多かった。
しかし、近年では、家電製品をはじめとする各種製品の部材の構成材料が変化し、鉄をはじめとする金属からなる部材が減少してプラスチックからなる部材の割合が増加する傾向にある。プラスチックは、鉄をはじめとする金属よりもデザインの自由度が大きく、構成成分の調製や添加剤の使用などにより金属では実現の難しい種々の特性を付与することができ、軽量であり耐久性が高いことなどの多くの利点を有するためである。
そして、近年の家電製品をはじめとする各種製品の廃棄物は、各種構成部材の材質構成が複雑化しており、鉄や銅をはじめとする有価金属からなる部材の割合が少なく、有価性が低く、かつ従来の処理方法では多大の手間と経費がかかるプラスチックからなる部材の割合が多くなっており、従来の鉄くずの回収ルートではこのような廃棄物を再資源化しても採算が取れないため、対応が難しい状況になりつつある。
そして、これらのプラスチックからなる部材は、原油などの埋蔵化石燃料を基礎原料として合成されるものが多く、資源の有効活用の観点から、これらのプラスチックからなる部材を備えた製品の再資源化の推進が近年強く要求されてきている。
また、原油などの埋蔵化石燃料の燃焼による二酸化炭素および硫黄酸化物の放出による地球温暖化、酸性雨といった環境破壊や、塩素化合物を含むプラスチックの焼却処理によるダイオキシンの生成、飛散といった環境汚染、さらには嵩の大きいプラスチックを含む廃棄物の増大によるゴミ埋立処理場の不足といった問題を抑制するという観点からも、これらのプラスチックからなる部材を備えた製品の廃棄物の再資源化が重要かつ緊急の課題となってきつつある。
なお、本明細書においては、プラスチックからなる部材を「プラスチック部材」とも呼称する。また、本明細書においては、プラスチック部材を備えた製品を「プラスチック製品」とも呼称する。さらに、本明細書においては、プラスチック製品の廃棄物を「プラスチック廃材」とも呼称する。
ここで、上記の状況を受けて、2001年4月に家電リサイクル法が施行された。ここで、家電リサイクル法においては、2002年1月現在においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
しかし、これらの家電製品をはじめとするプラスチック製品は、一般に複数のプラスチック部材を備えており、それらのプラスチック部材はプラスチックの材質が異なることが多く、複数種のプラスチックで構成された複合部材であることも多い。
なお、本明細書においては、複数種のプラスチックで構成された複合部材を「混合プラスチック部材」とも呼称する。また、本明細書においては、混合プラスチック部材を備えた製品を「混合プラスチック製品」とも呼称する。さらに、本明細書においては、混合プラスチック製品の廃棄物を「混合プラスチック廃材」とも呼称する。
ここで、これらの混合プラスチック廃材に含まれる混合プラスチック部材を再度加工して、家電製品をはじめとする各種の混合プラスチック製品の部材またはその原料として使用するには、これらの混合プラスチック部材をプラスチックの系統ごとに分離した上で、再度加工する必要がある。
なお、本明細書においては、このように、廃棄物を処理した後、製品の部材またはその原料に再び加工して使用することを、サーマルリサイクルと対比して「マテリアルリサイクル」と呼称する。
一方、従来から提案されているプラスチック廃材の再資源化方法には、単独の材質のプラスチックだけを含むプラスチック廃材を、手解体で分離して再資源化する方法が多い。しかし、このように手解体で分離して再資源化する方法は、メーカーや製造年を問わずに単独の材質のプラスチックが使用されている部材や、金属や異樹脂などの異物の付着が少なく比較的容易に単独の材質のプラスチックのみを回収できるものには有効であるが、メーカーや製造年によって異なる材質のプラスチックが使用されていたり、金属部品や異樹脂部品が多く使用されており、単独の材質のプラスチックのみを回収することが困難である部材には、多くの手間と費用がかかり、不適切な方法である。
また、このような問題を回避するための方法としては、混合プラスチック廃材から、プラスチックの系統別に分別することなく、混合プラスチック部材を分離して燃料として使用するという、いわゆるサーマルリサイクルに関する方法も従来から多く提案されている。このようにして、混合プラスチック廃材をサーマルリサイクルにより再資源化する方法としては、たとえば、特開平6−226242号公報(特許文献1)に、混合プラスチック廃材から分離した混合プラスチック部材を熱分解炉で加熱乾留分解し、分解ガスおよび油を燃料として使用する方法が開示されている。
しかし、この方法によれば、混合プラスチック廃材のサーマルリサイクルによる再資源化は可能であるが、燃焼による炭酸ガスの発生などの問題があるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。
そこで、混合プラスチック廃材から混合プラスチック部材を分離して、さらにその混合プラスチック部材をプラスチックの系統ごとに分離することのできる方法について、各方面で多くの開発努力がなされている。たとえば、混合プラスチック部材の比重差を利用し、液体中でプラスチックの系統ごとに分離する方法は従来より広く用いられてきた。つまり、液体中に混合プラスチック部材または混合プラスチック部材の破砕物を投入した際、液体比重より小さな物は浮遊し、液体比重より大きな物は沈降することを用いて分離するものである。
このような方法として、例えば特開2006−159052号公報(特許文献2)に、風力選別と磁力選別を用いてフィルム状物、銅線などを除去した後、水を用いた比重選別を行うことで再利用可能プラスチック生産方法について開示されている。
ところで、従来よりプラスチック製品に様々な機能を付与し、高付加価値化を図るべく各種添加剤が開発され、プラスチック製品の要求特性や用途に応じて適宜添加されてきた。なかでも難燃剤はプラスチックの燃焼を抑止し、プラスチック製品の安全性を向上させる添加剤として幅広く使用されている。また、このような難燃剤は臭素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤など様々な種類があり、混合プラスチック廃棄物の中にはこうした難燃剤を含有するものも見受けられる。
一般的に難燃剤は燃焼を抑止する反面、プラスチックの熱特性や衝撃特性を低下させる。また、臭素系難燃剤には、ポリ臭素化ビフェニル(PBBs)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)といった2006年7月施行の欧州RoHS指令において、環境汚染をもたらす可能性があるとしてその使用が規制されていている物質が使用されることがある。こうしたことから、プラスチック製品のマテリアルリサイクルを行うに際し、難燃剤を含有するプラスチック廃材は難燃剤を含有しないプラスチック廃材に混入しないよう、プラスチック廃材を回収するか、あるいはプラスチック廃材中に含有する難燃剤を除去し、リサイクルする事が一般的である。
たとえば国際公開第03/11956号パンフレット(特許文献3)には、難燃剤含有ポリスチレン系プラスチックを含むプラスチック系廃材を、ポリスチレン系プラスチックを溶解し得る溶媒に溶解させた後に、得られた溶液を遠心分離することによりポリスチレン系プラスチックを分離回収することで難燃剤を取り除く方法について開示されている。
上述した特許文献1の方法は比重による選別であるが、難燃剤をベースレジンへ添加することによる比重への影響がそれほど大きくなく、難燃剤の添加/無添加プラスチックの比重が比較的近しい場合には、両者の選別が精度良く行われない可能性がある。また、特許文献3の方法は溶媒を使用するため、溶媒の適正処理が必要でありまたプラスチックのマテリアルリサイクルには不適切であるため、社会的要請に充分に沿った方法であるとはいえない。
特開平6−226242号公報 特開2006−159052号公報 国際公開第03/11956号パンフレット
上記のように、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収し、該プラスチックからマテリアルリサイクルによりプラスチック原料またはプラスチック部材を製造することができる効率的かつ低コストなプラスチック廃材の再資源化方法の開発が強く望まれているにもかかわらず、そのような再資源化方法は未だ公知となっていないのが現状である。
上記現状に基づき、本発明の課題は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収することができ、該プラスチックからマテリアルリサイクルによりプラスチック原料またはプラスチック成形体を製造でき、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減できる、効率的かつ低コストなプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
また、本発明の別の課題は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収することができ、該プラスチックからマテリアルリサイクルによりプラスチック原料またはプラスチック成形体を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するためには、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを高純度で効率的に分離回収するとともに、混合プラスチック廃棄物中に存在する難燃剤含有プラスチックを効率的に除去する工程を付加すればよいとの着想を得、そのようなプラスチック廃材の再資源化方法を開発すべく、単一組成のプラスチックの分離回収方法や難燃剤含有プラスチックの検知方法など、多くの種類の方法について実験を行い、鋭意検討を重ねた。
本発明は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収するプラスチック廃材の再資源化方法であって、プラスチック廃材の組成を検出し、所望の組成のプラスチック廃材を選択的に回収する乾式分離工程と、再資源化される特定組成のプラスチックを選別回収する高純度分離回収工程を含むことを特徴とする。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、乾式分離工程が、光学的手法を利用した乾式分離手段を用いて行われることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、乾式分離工程において、プラスチック廃材の組成とプラスチック廃材に含有される特定の化学物質の組成が検出されることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、プラスチック廃材に含有される特定の化学物質はハロゲン系化合物であることが、好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法はまた、乾式分離工程において、前記乾式分離手段を複数回用いることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、高純度分離回収工程は、プラスチック廃材を液体を利用して比重により選別する比重選別手段を用いることが好ましい。
また本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、プラスチック廃材が、プラスチック部材の破砕物またはプラスチック製品の破砕物であることが好ましい。この場合、破砕物が、10〜100mmのスクリーンサイズを有する破砕機で作成されたものであることが、好ましい。
本発明はまた、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収するプラスチック廃材の再資源化方法であって、以下の(A)〜(C)の手段を用いる乾式分離工程と、以下の(D)、(E)の手段を用いる高純度分離回収工程とを含むことを特徴とするプラスチック廃材の再資源化方法についても提供する。
(A)プラスチック廃材を分級する分級手段、
(B)風力により軽量物を除去する風力選別手段、
(C)光学的手法を利用した乾式分離手段、
(D)気体雰囲気中のプラスチック廃材を液体雰囲気に暴露した後、気体雰囲気に暴露する湿潤手段、
(E)プラスチック廃材を液体を用いて比重により選別する比重選別手段。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において、分級手段のスクリーンサイズが、風力選別手段での被選別経路の最小径の0.1〜0.4倍サイズであることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法において再資源化されるプラスチックは、ポリオレフィン系プラスチックおよび/またはポリスチレン系プラスチックであることが好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法における前記プラスチック製品は、家電製品、OA機器、電気電子部品からなる群から回収される、少なくとも1種であることが、好ましい。
本発明はまた、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を用いたプラスチック原料の製造方法についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法または上述した本発明のプラスチック原料の製造方法を用いたプラスチック部材の製造方法についても提供する。
本発明によれば、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収することができ、該プラスチックからマテリアルリサイクルによりプラスチック原料またはプラスチック成形体を製造でき、サーマルリサイクルされるプラスチック廃材を低減できる、効率的かつ低コストなプラスチック廃材の再資源化方法を提供することである。
また、本発明によれば、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収することができ、該プラスチックからマテリアルリサイクルによりプラスチック原料またはプラスチック成形体を製造する方法を提供することにある。
本発明におけるプラスチック廃材の再資源化方法の好ましい一例を示すフロー図である。 家電4品目であるテレビ、冷蔵庫、エアコンおよび洗濯機を構成するプラスチック組成の代表的な一例を示す図である。
図1は、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法の好ましい一例を示したフローである。本発明によるプラスチック廃材の再資源化方法は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収するプラスチック廃材の再資源化方法であって、プラスチック廃材の組成を検出し、所望の組成のプラスチック廃材を選択的に回収する乾式分離工程と、再資源化される特定組成のプラスチックを選別回収する高純度分離回収工程とを基本的に含む。以下、図1を参照しながら、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法について具体的に説明する。
図1に示す例では、まず、家庭などから廃棄された使用済みのプラスチック製品(プラスチック廃材)を回収する(ステップS1)。ここで、当該工程で回収されるプラスチック製品は、家電製品、OA機器、電気電子部品からなる群から回収される、少なくとも1種であることが好ましく、冷蔵庫、洗濯機、エアコンおよびテレビ(薄型テレビを含む)のうちの少なくともいずれかである家電リサイクル法の対象の家電製品(廃家電製品)であることが特に望ましい。家電リサイクル法の対象家電製品は、市場で使用され廃棄された後、その回収ルートやリサイクル手法が明確に管理されているのに対し、家電リサイクル法の対象外家電製品は、市場で使用され廃棄された後はその回収ルートやリサイクル手法が確立されておらず、したがって廃家電製品として家電リサイクル法の対象品目に選択的にリサイクルすることにより、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法により得られる家電新製品が市場で使用され廃棄された後、規定の回収ルートで回収され適正にリサイクルされるので、プラスチック廃材を効果的に回収し、再資源化できるようになるためである。
ここで、図2は、家電4品目であるテレビ、冷蔵庫、エアコンおよび洗濯機を構成するプラスチック組成の代表的な一例を示す図である。後述するように、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法におけるプラスチック廃材を構成するプラスチックとしてはポリオレフィン系プラスチックおよび/またはポリスチレン系プラスチックが好ましい。図2から、家電4品目のうち、冷蔵庫および洗濯機においては、特にPP(ポリプロピレン)の構成比率が大きいことが分かる。家電4品目材において、ポリオレフィン系プラスチックおよびポリスチレン系プラスチックの占める割合はテレビでは95.1%、冷蔵庫では67.3%、洗濯機では85.7%、エアコンでは68.1%となり、一般的に60%を超える。このため、本発明において回収されるプラスチック製品は、上述した家電リサイクル法の対象家電製品の中でも、冷蔵庫および洗濯機からなる群から選ばれる少なくともいずれかの製品の廃棄物であることが特に望ましい。
続く工程では、回収したプラスチック製品を手解体する(ステップS2)。手解体されたプラスチック製品を手解体して混合プラスチック廃材を得、これを本発明の方法の以下の工程に供する。一方、混合プラスチック廃材以外の部材は、回収され、別途再資源化される(ステップS3)。
図1に示す例では、次に、混合プラスチック廃材を破砕する(ステップS4)。破砕方法としては、たとえばハンマー式破砕機、一軸破砕機、二軸破砕機、または裁断機などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法では、このような破砕工程を含むことで、後の工程の作業性が向上するという利点がある。
当該工程で得られるプラスチック破砕物の粒径については、特に制限されるものではないが、5mm以上であることが好ましく、8mm以上であることがより好ましい。また、プラスチック破砕物の粒径は30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。プラスチック破砕物の粒径が5mm未満である場合は、破砕に長時間を有するため、プラスチックが溶融あるいは熱酸化劣化を起こす傾向があり、また、この粒径が30mmを超える場合には、後述する混合物の分離回収装置により分離回収されたプラスチックを加熱溶融する際の作業性に悪影響がある虞がある。
図1に示す例では、上述した破砕後のプラスチック破砕物を、本発明の特徴の1つである乾式分離工程に供する。本発明のプラスチック廃材の再資源化方法における乾式分離工程は、光学的手法を利用した乾式分離手段を用いて行われることが好ましい。これにより、多くの人員を割り当てることなく所望の組成のプラスチックを回収する事ができ、効率的である。ここで、光学的手法を利用した乾式分離手段は特に制限されることは無いが、たとえば赤外分光法、フーリエ変換赤外分光法、ラマン散乱分光法、可視・紫外線吸収スペクトル法、蛍光スペクトル法、原子吸光法、発光分析法、ICP発光分析法、蛍光X線分析法などがある。特に、赤外分光法やラマン散乱分光法は比較的技術開発が進んでおり、多量のプラスチックを処理するのに適している。
ここで、乾式分離工程では、プラスチック廃材の組成とプラスチック廃材に含有される特定の化学物質の組成が検出されることが好ましい。プラスチック廃材を再資源化するにあたり、最も環境配慮性が優れるマテリアルリサイクルを実施するには所望の組成のプラスチックを高純度で分離回収する必要があり、したがってプラスチック廃材の組成を検出することは、所望の組成のプラスチックを分離回収するのに大変有効である。また、プラスチックには各種添加剤が添加されているが、過去に使用された添加剤の中には、近年環境汚染に繋がるとして使用を規制されているものもあり、そういった添加剤を除去することはマテリアルリサイクルには必須である。したがってプラスチック廃材に含有される特定の化学物質の組成を検出することは、分離回収したプラスチックを好適にマテリアルリサイクルするのに大変有効である。
ここで、乾式分離工程で検出される、プラスチック廃材に含有される特定の化学物質はハロゲン系化合物であることが好ましい。前記添加剤の1種である難燃剤にはポリ臭素化ビフェニル(PBBs)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)といった2006年7月施行の欧州RoHS指令にて使用が規制されたものがあり、精度よく除去しなければ分離回収したプラスチックの市場価値が低下する虞がある。また、一般にプラスチックに難燃剤を添加すると、その耐熱性や衝撃特性などの低下がみられるため、所望の要求特性を満たさない可能性がある。こうしたことに鑑み、プラスチック廃材に含有されるハロゲン系化合物を検出することでハロゲン系化合物を精度よく除去することが可能となり、分離回収したプラスチックを好適にマテリアルリサイクルすることが出来る。
また、乾式分離工程において、乾式分離手段を複数回用いることが好ましい。上述のように、プラスチックのマテリアルリサイクルの実施には所望の組成のプラスチックを高純度で回収することと特定の化学物質を精度良く除去することが必要である。前記乾式分離手段を一度のみ用いた場合、マテリアルリサイクルのために市場が要求する純度や含有物を満たさず、サーマルリサイクルしかできなかったり、あるいはマテリアルリサイクルが可能であっても市場価値の低いプラスチックとなる虞がある。前記乾式分離手段を複数回用いることで、所望の組成で、かつ特定の化学物質を精度よく除去したプラスチックを人手をかけることなく分離回収することが可能であり、プラスチックの市場価値を向上させる事が可能である。
こうした乾式分離手段を複数回用いる手法としては、特に制限はないが、たとえば、(1)1回目の乾式分離手段で所望の組成のプラスチックのみを分離回収し、2回目の乾式分離手段で分離回収された所望の組成のプラスチックのうち、ハロゲン系化合物を含有するものを検出し、除去する、(2)1回目の乾式分離手段でハロゲン系化合物を含有するものを検出、除去した後、2回目の乾式分離手段で所望の組成のプラスチックのみを分離回収する、(3)乾式分離手段を実施する度に、所望の組成のプラスチックとハロゲン系化合物を一度に検出し、所望の組成のプラスチックのうちハロゲン系化合物を含有しないもののみを分離回収する、などが挙げられ、いずれの手法も好適に適用可能である。中でも、乾式分離手段の選別能に制約がない場合は(3)乾式分離手段を実施するたびに、所望の組成のプラスチックとハロゲン系化合物を一度に検出し、所望の組成のプラスチックのうちハロゲン系化合物を含有しないもののみを分離回収することで、より精度よく所望の組成のプラスチックをハロゲン系化合物を含有することなく分離回収できるため、特に好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、前記高純度分離回収工程が、少なくともプラスチック廃材を液体を利用して比重により選別する比重選別手段を用いることが望ましい。上述した乾式分離手段で所望の組成のプラスチックを分離回収し、更に比重選別を施すことにより、乾式分離手段では除去できない微量の異樹脂や異物を取り除くことが可能であり、より高純度で所望の組成のプラスチックを分離回収することが可能となり、また、プラスチック製品には、金属や異樹脂などの異物をプラスチックに付着させているものもあり、このような異物が付着したプラスチックを光学的手法による乾式分離手段を施した場合、異物が付着した状態のプラスチックが選別回収される場合がある。
このような異物が混入したプラスチックは市場価値が低下するため、除去することが好ましい。付着する異物の多くは付着しているプラスチックとは比重が異なるものが多い。したがって、たとえば金属が付着したプラスチックはプラスチック単体と比較して比重が大きくなり、このように比重に特徴があるプラスチックの選別には比重選別手段を用いる事が有効である。こうした湿式選別手段を用い、所望の組成のプラスチックをより高純度で分離回収することは市場価値のさらなる向上に有益である。
本発明で再資源化されるプラスチック廃材は、プラスチック部材の破砕物またはプラスチック製品の破砕物であることが好ましく、前記破砕物は、10〜100mmのスクリーンサイズを有する破砕機で作成されたものであることが好ましい。プラスチック部材やプラスチック製品を破砕し、破砕物を本発明の再資源化方法に処することで、乾式分離工程と高純度分離回収工程での分離精度が大きく向上する。また、破砕する際に使用する破砕機のスクリーンサイズが10mm未満であると破砕に長時間を要するため、プラスチックが溶融あるいは熱酸化劣化を起こすという傾向があり、また100mmを超えると、嵩比重が小さくなり以後の工程での作業性に悪影響を及ぼすという傾向がある。具体的にはスクリーンサイズが50mm程度の破砕機を用いることが特に好ましい。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法における乾式分離工程は、以下の(A)〜(C)の手段を用いることが好ましく、また、高純度分離回収工程は、以下の(D)、(E)の手段を用いることが好ましい。
(A)プラスチック廃材を分級する分級手段、
(B)風力により軽量物を除去する風力選別手段、
(C)光学的手法を利用した乾式分離手段、
(D)気体雰囲気中のプラスチック廃材を液体雰囲気に暴露した後、気体雰囲気に暴露する湿潤手段、
(E)プラスチック廃材を液体を用いて比重により選別する比重選別手段。
上述したような光学的手法を利用した乾式分離手段は一般に選別可能な粒径サイズの限界がある。プラスチック製品を破砕すると、微小な破砕物や大型片が発生する。こうした微小な破砕物や大型片は乾式分離手段の選別可能粒径サイズの限界を超過している場合もある。したがって、図1に示す例のように、乾式分離工程が、(A)分級手段を用いた分級工程(ステップS5)を含むことで、こうした微小な破砕物や大型片を除去し、乾式分離手段での選別精度を向上させることができる。このような分級手段は市場で一般的に入手可能な分級機器を用いることができる。また、破砕物の中には発泡体などの軽量物が含まれる事がある。こうした発泡体は一般に非常に軽比重であり、したがって大きな体積を有する。
また、後工程である高純度分離回収工程の比重選別手段において軽比重側が所望の組成のプラスチックである場合には、除去出来ずに混入する虞がある。こうしたことから、図1に示す例のように、乾式分離工程が、風力選別手段を用いた風力選別工程(ステップS6)を含むことで、発泡体などの軽量物を除去し、選別効率を向上させるとともに選別精度を向上させるというメリットがある。さらに風力選別手段を用いると、微小な破砕物を除去することも出来、選別精度向上に有益である。このような風力選別手段は特に制限される物ではなく、エアテーブル方式や円筒カラム方式、密閉循環式風力選別方式などの風力選別機が適用可能であるが、粉塵などの微粒子を含んでいる物を効率よく、かつ作業環境を悪化させることなく選別できるという点で、密閉循環式風力選別方式の風力選別機を用いることが特に好適に適用可能である。
本発明のプラスチック廃材の再資源化方法は、好ましくは、図1に示す例のように、上述した(C)光学的手法を利用した乾式分離手段を用いた工程(ステップS7)を含む。これらの工程の順序については特に制限されるものではないが、選別の効率の観点からは、図1に示す例のように、まず、(A)分級手段を用いた分級により微小な破砕物や大型片を除去し(ステップS5)、次いで、(B)風力選別手段を用いた風力選別により軽量物や微小な破砕物を除去し(ステップS6)、その後に(C)光学的手法を利用した乾式分離手段を用いた工程(ステップS7)の順で行うことが好ましい。
ここで、分級手段でのスクリーンサイズは、前記風力選別手段での被選別経路の最小径の0.1〜0.4倍サイズであることが好ましい。スクリーンサイズが風力選別手段に用いられる風力選別機の、被選別物経路の最小径の0.1倍サイズ未満であると破砕に必要以上に時間を要するという傾向にあり、また除去される大型の破砕物の割合が増加し、生産性が低下する。0.4倍サイズより大きいと風力選別機内に大型の破砕物が詰り、生産性や選別能が低下するという傾向がある。ここで、除去された大型の破砕物は再度破砕することで適切なサイズに調整した後、風力選別手段に投入してもよい。
液体を用いた比重選別を行う時、対象物の表面の細孔などの存在により水が浸透しにくい箇所に気泡が発生し、本来沈降すべき重比重物の見かけの比重が小さくなって浮上する場合がある。したがって、図1に示す例のように、高純度分離回収工程が、(D)気体雰囲気中のプラスチック廃材を液体雰囲気に暴露した後、気体雰囲気に暴露する湿潤手段を用いた湿潤工程(ステップS8)を含むことが好ましい。対象物の表面の水の浸透しにくい箇所に気泡が付着したプラスチック廃材を気体雰囲気に曝すことで、上記気泡は破裂するが、この際気泡内の圧力は雰囲気圧力より高圧であるため、より強い圧力でプラスチック表面に水が広がる。このため、細孔などの存在により水が浸透しにくいプラスチック廃材の表面にも水が浸透しやすくなるという利点がある。
液体雰囲気に曝す際に用いる液体は、特に限定されるものではないが、水を用いることが好ましい。水を用いることで、液体自体を低コストで入手することが可能であり、また廃水処理も容易にかつ低コストで行うことができるという利点がある。前記液体は、水にNaClやその他の有機物あるいは無機物などを溶解させた溶液あるいはその混合溶液でもよい。
図1に示す例では、高純度分離回収工程として、上述した湿潤工程(ステップS8)の後、プラスチック廃材を液体を用いて比重により選別する比重選別手段を用いて、比重選別を行う(ステップS9)。ここで、本発明において再資源化されるプラスチックは、ポリオレフィン系プラスチックおよび/またはポリスチレン系プラスチックであることが望ましい。上述した図2からも明らかなように、家電4品目のプラスチック組成物からなる部材において、ポリオレフィン系プラスチックおよびポリスチレン系プラスチックの占める割合はテレビでは95.1%、冷蔵庫では67.3%、洗濯機では85.7%、エアコンでは68.1%となり、一般的に60%を超える。したがって、家電4品目のプラスチック部材のうち、ポリオレフィン系プラスチックおよび/またはポリスチレン系プラスチック組成物からなる部材をマテリアルリサイクルすることが特に重要であると言える。また以下の表1は、主要な系統別のプラスチック組成物の比重の範囲の代表的な一例を示している。
Figure 0005207391
また、表1から明らかなように、ポリオレフィン系プラスチックの比重の範囲は一般的に、0.89〜0.91の範囲に含まれることが分かる。また、ポリスチレン系プラスチックの比重の範囲は一般的に1.04〜1.05の範囲に含まれることが分かる。したがって、一般的に、比重が1.01〜1.08の範囲にある比重液を用いることで、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材からポリオレフィン系プラスチックおよびポリスチレン系プラスチックを選択的に分離する事ができ、また0.92〜1.00の範囲にある比重液を用いれば、ポリオレフィン系プラスチックとポリスチレン系プラスチックを分離する事ができる。比重1.0未満の場合は、たとえばエタノールなどのアルコールを水で希釈し比重を調整した溶液を、比重1.0の場合はたとえば水を好適に用いることができる。また比重1.0を越える場合は、たとえば塩化ナトリウムなどの塩類を水に溶解させて比重を調整した溶液を好適に用いることができるが、比重調整の手間や比重液の廃液処理の際の便宜を考慮すると、水が特に好ましい。
本工程を行なうことにより、比重液に投入した粗破砕物中に含まれる再生プラスチック原料に含まれない、その他の系統のプラスチック、たとえば軟質塩化ビニル系樹脂やポリアセタール系樹脂などを除去することができる。表1にも示したように、たとえば軟質塩化ビニル系樹脂からなる熱可塑性樹脂の比重の範囲は一般的に、1.16〜1.35g/cm3の範囲に含まれ、比較的高い値である。なお、本発明によるプラスチック廃材の再資源化方法では、必要に応じて対象物を微破砕してもよい。この際、微破砕の粒径に特に制限はないが、5mm以上であることが好ましく、特に8mm以上であることがより好ましい。また、この粒径は30mm以下であることが好ましく、特に20mm以下であることが好ましい。この粒径が5mm未満の場合には、破砕に長時間を要するためプラスチックが溶融あるいは熱酸化劣化を起こすという傾向があり、この粒径が30mmを超えると、本発明の混合物の分離回収装置により分離回収されたプラスチックを加熱成形する際の作業性に悪影響を及ぼすという傾向があるためである。
なお、本発明は、複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から単一組成のプラスチックを選択的に分離回収するプラスチック廃材の再資源化方法であって、上述した(A)〜(C)の手段を用いる乾式分離工程と、上述した(D)、(E)の手段を用いる高純度分離回収工程とを含むことを特徴とするプラスチック廃材の再資源化方法についても提供する。この場合における各手段は、上述したとおりである。
本発明はまた、上述した本発明のプラスチック廃材の再資源化方法を用いたプラスチック原料の製造方法をも提供する。本発明の方法により製造されたプラスチック原料は、ペレット状であることが好ましい。このとき、このペレットの粒径は1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。また、このペレットの粒径は8mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましい。このペレットの粒径が1mm未満の場合には、浮遊するため作業性が低下するという傾向があり、このペレットの粒径が8mmを超えると、成形機のシリンダー内で十分に溶融しないため均一混練されないという傾向があるためである。
なお、ペレット状のプラスチック原料を成形する場合、押出成形した後に、シートカット、ストランドカット、ホットエアカット、アンダーウォーターカットなどのいずれの方法により造粒してもよい。これらの造粒方法の中でも、後に射出成形により特定の形状に成形する場合には、樹脂原料の供給が円滑に行え、大量処理にも対応できるアンダーウォーターカットが特に好ましい。
なお、プラスチック原料の形状としては、ペレット状に特に限定されるものではなく、たとえばシート状、フィルム状、パイプ状などいずれの形態であってもよく、押出成形機の種類、使用の態様あるいは求められる特性などから適宜決定すればよい。
さらに、プラスチック原料には、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加してもよい。このとき、プラスチック原料を黒などの濃色に着色すると、本発明のプラスチック廃材の再資源化方法により得られる家電新製品が市場で使用され廃棄された後、規定の回収ルートで回収されるが、再び本発明による再資源化を試みた際に光学的手法を用いた乾式分離手段で十分な純度で選別されない虞があり、望ましくない。
さらに本発明は、上述した本発明の再資源化方法を用いたプラスチック成形体の製造方法も提供する。本発明の方法により製造されたプラスチック成形体は、プラスチックからなる部材(プラスチック部材)であってもよい。この場合、このプラスチック部材は、エアコン、テレビ、冷蔵庫および洗濯機よりなる群から選ばれる製品に用いられることが好ましい。
プラスチック部材は、上述したプラスチック原料から、射出成形などの方法を用いて成形することができる。このとき用いる射出成形機としては、特に限定するものではないが、たとえばスクリューインライン式射出成形機、プランジャ式射出成形機などが挙げられる。
また、このプラスチック部材の成形のステップをより簡略化するために、ペレット状などの形状を有するプラスチック原料を作製することなく、破砕したプラスチックを射出成形機にそのまま投入し、プラスチック部材を直接作製しても構わない。
さらに、このプラスチック部材は、熱安定剤や光安定剤、帯電防止剤、滑剤、フィラー、銅害防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を、必要により、本発明の効果を害しない範囲の量で添加した上で成形して作製してもよいが、濃色に着色することは既述のように望ましくない。これらの添加剤を添加するステップとしては、押出成形機または射出成形機へのプラスチック原料または破砕したプラスチックの投入時が好ましい。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1の手順に従って、ポリオレフィン系プラスチックを回収した。なお、プラスチック製品としては、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビを入手し(ステップS1)、それを廃棄物として手解体を行い特定のプラスチック部材を回収した後(ステップS2)、残渣を混合プラスチック廃材とした。この混合プラスチック廃材をスクリーン径が50mmである一般の破砕機で破砕し(ステップS4)、一般のトロンメルを用いて70mm以上の大型片と10mm未満の微粒子を除去した(ステップS5)。その後、密閉循環式風力選別機を用いて発泡材などの軽量物を除去し(ステップS6)、近赤外線センサーを使用した乾式分離手段(マルチソータMT1400XD、アーステクニカ株式会社製)を用いてポリオレフィン系プラスチックを回収し、回収したポリオレフィン系プラスチックを再度乾式分離手段に処することでハロゲン系化合物を含有するものを除去した(ステップS7)。こうして回収したポリオレフィン系プラスチックを微破砕した後、微破砕物を湿潤手段により水に浸した後空気に曝露した(ステップS8)。その後、水を用いた比重選別手段により軽量物側を分離回収した(ステップS9)。回収されたポリオレフィン系プラスチックを脱水、乾燥した後、スクリュー径45mmの二軸溶融混練押出機を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状のプラスチック原料を作成した(ステップS10)。次に、作成したペレット状のプラスチック原料を10トン射出成形機をホッパーに投入し、成形温度230℃、金型温度40℃の射出成形条件で成形し、プラスチック成形体を作製した(ステップS11)。
<比較例1>
ステップS8の湿潤工程と、ステップS9の比重分離工程を介さずにポリオレフィン系プラスチックを回収したこと以外は、実施例1と同様にしてプラスチック成形体を作製した。
参考例1
ステップS7の乾式分離手段を1度のみ行い、ハロゲン系化合物を含有したものを除去することなく、ポリオレフィン系プラスチックを回収したこと以外は実施例1と同様にしてプラスチック成形体を作製した。
<評価試験>
実施例1、比較例1、参考例1で作製した各プラスチック成形体について、以下の各種物性の評価試験を行った。結果を表2に示す。
(1)純度
また、各プラスチック成形体について、テトラヒドロフラン(THF)に16時間浸漬し、溶媒不純物の重量をポリオレフィン系プラスチックの重量とし、全体の重量からその比を求め、ポリオレフィン系プラスチックの純度を算出した。
(2)引張強度および伸び
それぞれ引張破断点降伏強さおよび引張破断点伸びとしてJIS K7113に準じて測定した。ここで、「引張強度」、「伸び」とは、材料を一定の速度で引張、応力と歪の関係を求めるもので、伸長された材料は、はじめに弾性変形をし、その後塑性変形をはじめ、極大強度に達し、さらに降伏点を超えるとネッキングを生じ、破断に至る。応力の一番大きいところ(最大点応力)を「引張強度」、破断したときの歪(破断点伸び)を「伸び」としている。
(3)曲げ強度および曲げ弾性率
JIS K7203に準じて測定した。「曲げ強度」、「曲げ弾性率」とは、2点で支えた試験片の中心に応力をかけることにより、応力と歪の関係を求めるものである。応力の一番大きいところを「曲げ強度」、応力−歪曲線の傾きを「曲げ弾性率」としている。
(4)アイゾッド衝撃強度
JIS K7110に準じて測定した。「アイゾッド衝撃強度」とは、材料に高速で負荷を与えた際、その破壊に対する抵抗力を表現するものである。一般に強度が大きいと硬くて強い材料、小さいと脆くて弱い材料といえるが、ゴムのように弾性が大きいために破壊しにくい材料もある。
(5)50%破壊高さ(面衝撃強度)
JIS K7211に準じて測定した。「面衝撃強度」とは、一定の高さから錘を落下させ、どの高さで材料が割れるかを示すものである。たとえば、冷蔵庫の外観部材においては、部材に物体が衝突したときの割れやすさの指標となるものである。
Figure 0005207391
また、蛍光X線を用いて、実施例1、参考例1で作製したポリオレフィン系プラスチックに含有されるハロゲン系化合物(臭素)の濃度を測定した結果を表3に示す。
Figure 0005207391

Claims (1)

  1. プラスチック部材の破砕物またはプラスチック製品の破砕物である複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から、単一組成のプラスチックを選択的に分離回収するプラスチック廃材の再資源化方法を用いた、または、当該プラスチック廃材の再資源化方法を用いたプラスチック原料の製造方法を用いたプラスチック部材の製造方法であって、
    前記複数種のプラスチックで構成されたプラスチック廃材を近赤外線センサーを用いた同一の乾式分離手段に複数回通すことで、当該プラスチック廃材の組成とプラスチック廃材に含有されるハロゲン系化合物を検出し、所望のハロゲン系化合物を含有しない前記単一組成のプラスチックで構成されたプラスチック廃材を選択的に回収する乾式分離工程と、
    前記乾式分離工程で選択的に回収された所望の単一組成のプラスチックで構成されたプラスチック廃材から、液体を利用して比重により選別する比重選別手段を用いて再資源化される前記単一組成のプラスチックを選別回収する高純度分離回収工程を含み、
    プラスチック部材の破砕物またはプラスチック製品の破砕物10〜100mmのスクリーンサイズを有する破砕機で作成されたものであり、
    前記プラスチック製品が、家電製品、OA機器、電気電子部品からなる群から回収される、少なくとも1種であり、
    再資源化されるプラスチックが、ポリオレフィン系プラスチックおよび/またはポリスチレン系プラスチックである、プラスチック部材の製造方法。
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