JP2009226774A - 透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルム Download PDF

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泰史 川崎
Shigehiro Masuda
成裕 増田
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Abstract

【課題】 加熱加工によるポリエステルフィルム表面へのオリゴマー析出量を低減し、帯電防止性を与えることにより工程内での塵埃の付着を防止できる透明導電性用途に好適な透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの一方の面にチタンアルコキシド系化合物を含有する塗布層を有し、もう一方の面にハードコート層を有することを特徴とする透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルムに関するものであり、特にタッチパネル用として好適に用いることのできるポリエステルフィルムに関するものである。
タッチパネルには各種の方式があるが、抵抗膜方式が薄型化や省電力化を達成するために普及している。この抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性積層体と透明導電性薄膜付きガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、透明導電性積層体に電流を流し透明導電性薄膜付きガラスに於ける電圧を計測するような構造となっている。透明導電性積層体を指やペン等による押圧操作を介して透明導電性薄膜付きガラスに接触させると、その接触部分が通電することにより、その接触部分の位置が検知される。
透明導電性積層体とは、透明導電性薄膜を有する積層体のことであり、当該透明導電性薄膜はフィルム基材に形成させてなるものである。透明導電性積層体には、透明性を向上させ、タッチパネル用としての押圧操作に耐えられるように、ハードコート層を設けることが一般的に行われており、耐擦傷性等の向上に役立てている。
ところで、透明導電性積層体を形成する際には、加熱加工されるのが一般的である。例えば、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成し、その後結晶化させるために150℃で熱処理を行う場合や(特許文献1)、導電性積層フィルム作成の際に低熱収縮化処理のために150℃で1時間放置する場合や(特許文献2)、透明導電性フィルムを加工する際に、銀ペーストなどを印刷するために150℃程度の加熱が必要な場合がある(特許文献3)。透明導電性薄膜は、オリゴマー析出防止性が低い場合があり、これら加熱加工の際にポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマーが表面に析出する場合がある。オリゴマーが表面に析出してしまうと、当該加熱加工の後加工において欠陥が発生する場合や、工程を汚染してしまう場合や、透明性・視認性が悪化する場合や、透明導電性薄膜の導電性が悪化する場合がある。
これら、オリゴマーの析出を防止するために、ポリエステルフィルム上にシリコーン樹脂とイソシアネート系樹脂の架橋体からなる硬化性樹脂層を設けることが提案されている(特許文献3)。しかし、当該硬化性樹脂層は熱硬化により形成されるもので、イソシアネート系樹脂のブロック化剤の解離のために高温処理必要があり、加工中にカールや、たるみが発生しやすい状況にあり、取り扱いに注意が必要であった。
さらに低欠点化のために、より精密な後加工が求められている。そのため、後加工において塵埃が少ないクリーン度の高い環境が求められるばかりでなく、基体となるポリエステルフィルムにも塵埃の付着が少ないものが求められる。ところが、ポリエステルフィルムも一般のプラスチックフィルム同様、静電気が発生しやすいという問題を抱えており、後加工の際に工程中の塵埃が付着し、透明性・視認性の悪化を引き起こす場合がある。
特開2007−200823号公報 特開2007−42473号公報 特開2007−320144号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、加熱加工によるフィルム表面へのオリゴマー析出量を低減し、帯電防止性を与えることにより工程内での塵埃の付着を防止できる透明導電性用途に好適な透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の塗布層を有するポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの一方の面にチタンアルコキシド系化合物を含有する塗布層を有し、もう一方の面にハードコート層を有することを特徴とする透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましく、1種の芳香族ジカルボン酸と1種の脂肪族グリコールとからなるポリエステルであってもよく、1種以上の他の成分を共重合させた共重合ポリエステルであってもよい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルの成分として用いるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。またp−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸も用いることができる。
また、フィルム加工中の熱履歴等により、フィルム中に含有しているオリゴマーがフィルムの表面に析出する量を低減するために、多層構造フィルムの最外層に低オリゴマー化したポリエステルを用いることも可能である。ポリエステル中のオリゴマー量を低減する方法としては、固相重合法等を用いることができる。
本発明のフィルムには、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において種々の表面機能層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えるとフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのがよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜300μm、好ましくは20〜200μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明においてはポリエステルフィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成は、塗布液をフィルムにコーティングすることにより設けられ、フィルム製造工程内で行うインラインコーティングにより設けられても、また、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。
インラインコーティングとは、具体的には、ポリエステルを溶融押出してから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムのいずれかにコーティングする。これらの中では、一軸延伸フィルムにコーティングした後に乾燥および横方向への延伸を行い、さらに基材フィルムと共に熱処理をする方法が一般的である。
本発明のフィルムは、特定の塗布層を有するが、当該塗布層は、チタンアルコキシド系化合物を含有する必要がある。
本発明で用いるチタンアルコキシド系化合物とは、1分子中にあるチタン原子の少なくとも1つにアルコキシド化合物が1つ以上結合している化合物のことである。具体例としては、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、およびそれらのダイマーをはじめとする、オリゴマー等が挙げられる。また、架橋構造を有していてもよいし、加水分解していてもよい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。また当該塗布層はポリエステルフィルム上に形成するSiO層とは反対側のポリエステルフィルム側に形成することが必須であるが、SiO層側にも積層し、加熱加工によるオリゴマー析出防止等を図ってもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムにおいて、塗布層の面状の向上、オリゴマー析出防止性等を向上させるためにポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル等のバインダーポリマーを併用することも可能である。
さらに塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を使用してもよく、種々公知の樹脂が使用でき、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物などが挙げられる。
また、塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、塗布層中に不活性粒子を含有させてもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、有機粒子等が挙げられる。
さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて塗布層に消泡剤、界面活性剤、増粘剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート、スプレーコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるわけではないが、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、70〜150℃の範囲、好ましくは80〜110℃の範囲で3〜200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムを熱処理(180℃、10分間)した後、チタンアルコキシド系化合物を塗布し、乾燥して得られた塗布層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー(環状三量体)量は、通常1.5mg/m以下であり、好ましくは1.0mg/m以下、さらに好ましくは0.5mg/m以下である。オリゴマー量が1.5mg/mを超える場合、後加工において、加熱処理によるオリゴマー析出量が多くなり、フィルムの透明性・視認性が低下する場合や、工程装置にオリゴマーが析出付着し、それが蓄積されて脱離することにより、フィルム上へ飛散することによる異物欠陥が発生したりする等の不具合を生じる可能性がある。
本発明の積層ポリエステルフィルムのチタンアルコキシド系化合物を塗布し、乾燥して得られた塗布層における表面固有抵抗は、通常1×1013Ω以下、好ましくは1×1012Ω以下である。表面固有抵抗が1×1013Ωより高い場合は、塵埃等の付着異物防止性の低下による透明性・視認性が悪化する場合があり、また、ハンドリング性も低下することにより、より精巧な後加工を十分に行うことができない場合がある。
また、本発明はポリエステルフィルムの塗布層とは反対の面にハードコート層を有することが必要である。
ハードコート層の材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂等の硬化型樹脂が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、通常、0.1〜30μmの範囲であり、好ましくは1〜10μmの範囲である。厚さが0.1μm未満であると、硬度が不足する場合がある。また、厚さが30μmを超えると、クラックやカールが発生する場合がある。
ハードコート層とポリエステルフィルムとの密着性を向上させるために、ポリエステルフィルム上に塗布層を設けてもよい。塗布層の構成成分としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニル等のバインダーポリマーが挙げられる。また、ハードコート層は通常オリゴマー封止性を有するので、特に問題にならないが、加熱によるオリゴマー析出防止のさらなる向上のために、オリゴマー封止性の塗布層を設けることも可能である。
チタンアルコキシド系化合物を含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られた塗布層側に透明導電性薄膜を形成するに際して、透明性および導電性薄膜の耐擦傷性や耐屈曲性を向上させ、タッチパネル用としての打点特性の向上等のために、透明導電性薄膜の下敷き層としてSiO層を設けることも可能である。
SiO層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗工法などにより形成できる。
SiO層の厚みは、通常、1〜300nmの範囲であり、好ましくは10〜50nmの範囲である。厚みが10nm未満であると連続被膜となりにくく、耐擦傷性の向上が不十分な場合がある。また、厚みが300nmを超えると透明性の向上が不十分になる場合や、またクラックが発生する恐れもある。
また、各種の性能向上のために、SiO層とチタンアルコキシド系化合物を塗布し、乾燥して得られた塗布層の間に中間層を設けることも可能である。中間層としては、例えば、導電性薄膜の表面電気抵抗の変化率を抑制し、安定性に優れた透明導電性積層体を形成する目的や、透明導電性積層体にした場合の透過光の着色を抑える目的等のために、SiO層や金属酸化物よりなる層やメラミン樹脂等の有機物による層が挙げられる。
透明導電性薄膜の材料は特に限定されず、透明な導電性の膜を形成することができるものを使用することができる。例えば、酸化スズを含有する酸化インジウム、アンチモンを含有する酸化スズ等が挙げられる。
透明導電性薄膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンンプレーティング法等が挙げられる。
透明導電性薄膜の膜厚は、使用目的に応じて決定することができ、通常、10〜300nm、好ましくは15〜50nmである。膜厚が10nmより薄いと表面電気抵抗が良好な導電性を有する連続被膜となりにくくなる場合があり、300nmを越えると、透明性が十分に得られない場合がある。
本発明の透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルムによれば、加熱加工によるフィルム表面へのオリゴマー析出量を低減し、帯電防止性を与えることにより工程内での塵埃の付着を防止できる透明導電性用途に好適な積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定方法
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定方法
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)積層ポリエステルフィルムにおける一方の表面(チタンアルコキシド系化合物を含有する塗布層がある場合は当該塗布層表面)から抽出されるオリゴマー量(環状三量体)の測定方法
あらかじめ、未熱処理の積層ポリエステルフィルムを空気中、180℃で10分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面にできるだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF(ジメチルホルムアミド)4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)積層ポリエステルフィルムの表面固有抵抗の測定方法
日本ヒューレット・パッカード社製高抵抗測定器:HP4339Bおよび測定電極:HP16008Bを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後、印可電圧100Vで1分後のフィルム表面(チタンアルコキシド系化合物を塗布し、乾燥して得られた塗布層がある場合は当該塗布層)の表面固有抵抗値を測定した。表面固有抵抗が低いほど、帯電防止性が良好であるといえる。
(5)透明導電性薄膜積層後の視認性評価方法
積層ポリエステルフィルムのチタンアルコキシド系化合物を塗布し、乾燥して得られた塗布層とは反対側の面に、アルゴンガス95%と酸素ガス5%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ25nmのITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は150℃×1時間の加熱処理により結晶化させた。この状態で、フィルムを観察し、チタンアルコキシド系化合物を含有する塗布液を塗布し、乾燥して得られた塗布層面上にオリゴマーの析出量が少なく、透明性・視認性の悪化が見られない場合を○、オリゴマーの析出量が多く、透明性・視認性の悪化が見られる場合を×とした。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(I)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(I)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(II)の製造方法>
ポリエステル(I)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径1.6μmのシリカ粒子を0.3部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(I)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(II)を得た。得られたポリエステル(II)は、極限粘度0.65であった。
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
(A):チタンテトラノルマルブトキシド、マツモトファインケミカル株式会社製 「オルガチックス TA−25」
(B):チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、マツモトファインケミカル株式会社製 「オルガチックス TA−30」
(C):チタンオリゴマー、マツモトファインケミカル株式会社製 「オルガチックス PC−605」
実施例1:
ポリエステル(I)、(II)をそれぞれ90%、10%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(I)を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出しし、冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で4.0倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に弛緩し、厚さ125μm(表層5μm、中間層115μm)のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム上に、MEK(メチルエチルケトン)で希釈した塗布液(A)を乾燥後の塗工量が0.1g/mとなるように塗布し、80℃で乾燥し、塗布層を有する積層ポリエステルフィルムを得た。塗布層を有する側とは反対側の面に、アクリル・ウレタン系樹脂(大日本インキ化学株式会社製 「ユニディック17−806」100部に、光重合開始剤としてのヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン株式会社製 「イルガキュア184」)5部を加えて、50重量%濃度に希釈してなるトルエン溶液を塗布し、80℃で乾燥した後、紫外線照射を行い、厚さ5μmのハードコート層を形成したポリエステルフィルムを得た。でき上がったポリエステルフィルムは加熱によるオリゴマー析出量が少なく、表面固有抵抗も低い値を示した。このフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例2〜5:
実施例1において、塗布層を表1に示すように変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
比較例1:
実施例1において、塗布層を設けなかった以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
Figure 2009226774
なお、上記塗布液はいずれもMEKで希釈調整した。
本発明のフィルムは、例えば、タッチパネル用等に使用される、透明導電性用途に好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの一方の面にチタンアルコキシド系化合物を含有する塗布層を有し、もう一方の面にハードコート層を有することを特徴とする透明導電性フィルム用積層ポリエステルフィルム。
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