JP5988604B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムに関するものであり、例えば、150℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズの上昇が極力小さいという特徴を有し、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムに関するものである。特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視し、高度な透明性が必要とされる光学用途、例えば、タッチパネル用として好適な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
従来、タッチパネル用途においては、位置検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式等の各種方式が採用されている。それらの中でも、多点検出が可能で、光透過率が高いこと、かつ分解能が高く応答速度が速いことが特徴である静電容量方式の普及が増加する傾向にある。静電容量方式のタッチパネルには表面型と投影型の2つの方式がある。表面型はカバー、透明導電層、ガラス基板の3層からなる構成となっており、投影型は、ガラスやプラスチック製のフィルム、透明電極層、演算処理を行うICを搭載した基板層から構成される。
透明導電性積層体の製造工程においては、加熱加工されるのが一般的である。例えば、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成し、その後、結晶化させるために150℃で熱処理を行う場合や(特許文献1)、導電性積層フィルム作製の際に低熱収縮化処理のために150℃で1時間放置する場合や(特許文献2)、透明導電性フィルムを加工する際に、銀ペーストなどを印刷するために150℃程度の熱処理が必要な場合がある(特許文献3)。透明導電性薄膜製造工程においては、高温雰囲気下における熱処理に伴い、ポリエステルフィルム中に含有されるオリゴマーと呼ばれる低分子量物(特に環状三量体)がフィルム表面に析出・結晶化し、塗布欠陥等の発生により、高精度な透明導電性薄膜を得るのが困難になる場合がある。
また、タッチパネル用途においては、近年、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)等の通信情報機器、ゲーム機等への搭載頻度が増加する傾向にあり、当該分野の市場成長に伴い、従来よりもさらに高度な視認性が嗜好される傾向にある。その結果、当該分野に使用されるポリエステルフィルムにおいては、加工後のオリゴマー析出に起因するフィルムヘーズ上昇に伴う視認性低下もますます問題視されるようになってきている状況にある。
ポリエステルフィルム基材上に塗布層を塗設することにより、オリゴマー析出を抑える手法も提案されている(特許文献4)。しかしながら、加工工程における搬送用ガイドロールとポリエステルフィルム面との接触、擦れなどによる塗布層が剥がれなどの不具合が生じることもあり、このような場合は、当該部分のオリゴマー析出が抑えられないこと、また、ポリエステル基材のオリゴマー析出量自体が減少した場合は、オリゴマー析出を抑える機能を有する塗布層との組み合わせでオリゴマー析出量を更に低減させることができることよりポリエステルフィルム基材自体のオリゴマー析出を抑える手法が強く求められている状況にもある。
特開2007−200823号公報 特開2007−42473号公報 特開2007−320144号公報 特開2003−237005号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムを提供することであって、具体的には例えば、150℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズの上昇が小さく抑えられ、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定構成のポリエステルフィルムによれば上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、エポキシ基をその分子鎖中に少なくとも2官能基含有するポリマーを3000〜30000ppm含有するポリエステルを厚みが4μm以上の両表層とし、少なくとも3層以上の積層構造を有する、全厚みが10〜188μmのフィルムの片面にITO膜が積層された光学部材用積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、例えば、150℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズの上昇が小さく抑えられ、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた光学用積層ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明の光学用積層ポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上の多層フィルムであることを必須の要件とするものである。本発明にいう光学用積層ポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、必要に応じ、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノーネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明で最表層にはエポキシ基をその分子鎖中に少なくとも2官能基含有するポリマーを3000〜30000ppm含有するポリエステルを使用する必要がある。エポキシ基の含有量が3000ppm未満とした場合、エポキシ基によるカルボキシル基の酸触媒失活能が十分でなく、30000ppmを超える場合は、エポキシ基とカルボキシル基の化学反応による架橋化によりポリエステルの粘度が上昇し、ポリエステルの押出機による押出が困難となる。
本発明で使用するエポキシ基をその分子鎖に少なくとも2官能基含有するポリマーとしては、ポリエステル樹脂と相溶性を有するポリマーであればその種は問わないが、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、これらの混合体、共重合体などが挙げられる。特に好適に用いられる樹脂としてはアクリル系樹脂とスチレン系樹脂の共重合体が挙げられる。
また、本発明で使用するエポキシ基をその分子鎖に少なくとも2官能基含有するポリマーの分子量としては、ポリエステル樹脂と相溶性を有する範囲であればその分子量は問わないが、好適に用いられるポリマーの分子量の範囲は、その平均モル分子量が350〜8000g/モルの範囲であり、好ましくは400〜3000g/モル、より好ましくは500〜3000g/モルの範囲である。
本発明のフィルムは、その最表層の厚みを4μm以上とすることが好ましく、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上である。最表層の厚みが4μm未満の場合、最表層のエポキシ基含有によるオリゴマー低減効果が薄れてしまうことがある。
本発明のフィルムの全フィルム厚みは、10〜188μmの範囲が好ましい。全フィルム厚みが10μm未満の場合、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成する際、フィルム強度が加工テンションに負けてしまい、シワが生じて適正に透明導電膜が形成できない恐れがある。また、188μmより厚い場合、フィルムに透明導電膜を形成した後、フィルム−フィルムを貼り合わせて形成する透明導電膜シート(積層透明導電膜フィルム)のシート柔軟性(Flexibility)が損なわれてしまうことがある。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合しても良い。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステルフィルム中に配合する粒子の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、通常0.02〜3μm、好ましくは0.02〜2.5μm、さらに好ましくは0.02〜2μmの範囲である。平均粒径が0.02μm未満の粒子を用いた場合には、十分な易滑性の付与ができないことがあり、その結果、フィルム製造工程における巻き特性が劣る傾向がある。また、平均粒径が3μmを超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎてフィルムがヘージーとなる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.3重量%の範囲である。粒子含有量が0.0005重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、フィルム加工時に傷等の外観不良が生じることがある。一方、0.5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸工程中及び、またはその後のフィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離形性等の機能を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成したりコロナ処理等の表面処理を施したりしてもよい。
本発明の光学用積層ポリエステルフィルムにおいて、その上に加工される層との密着性の向上、加工時の滑り性向上などを目的として塗布層を設けてもよい。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に、延伸後のポリエステルフィルムの熱処理工程で、塗布層を高温で処理することができるため、塗布層上に形成され得る各種の表面機能層との接着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。また、延伸前にコーティングを行う場合は、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜で均一な塗工を行うことができる。すなわち、インラインコーティング、特に延伸前のコーティングにより、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
また、本発明のフィルムの塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防5止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、必要に応じ、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを光学用として用いる場合、着色剤、導電材料等を加えてもよく、さらにその上に、外光の映り込みや静電気による電撃、ゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成してもよい。
本発明において用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となることがある。
塗布層の厚さは乾燥厚さで、通常0.003〜1.5μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は十分な性能が得られない恐れがあり、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる。
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、画像の鮮明度が落ちる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。塗布層中の粒子の含有量は、透明性を阻害しない適切な添加量として10重量%以下が好ましく、さらには5重量%以下が好ましい。
また、塗布層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
また、本発明のポリエステルフィルムに関して、着色剤、導電材料等を加えてもよく、さらにその上に静電気による電撃、ゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成してもよい。
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。また、必要に応じ、フィルムの滑り性や耐摩耗性を改良する目的などのために、ポリエステルに対し、不活性な無機または有機の微粒子などを配合することもできる。
本発明における積層ポリエステルフィルムを熱処理(150℃、90分間)した前後におけるフィルム表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー(環状三量体)量(OL)は、10.0mg/m以下であることが好ましい。より好ましくは8.0mg/m以下、さらに好ましくは5.0mg/m以下である。OLが10.0mg/mを超える場合、後加工において、例えば、150℃、90分間等、高温雰囲気下で長時間の加熱処理に伴い、オリゴマー析出量が多くなり、フィルムの透明性が低下する場合がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
(3)ポリエステル原料に含有される含有オリゴマー量の測定方法
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)積層ポリエステル層の厚み
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
(5)積層ポリエステルフィルムの表面から抽出されるオリゴマー量(OL)の測定方法
あらかじめ、未処理の積層ポリエステルフィルムを空気中、150℃で90分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを上部が開いている縦横10cm、高さ3cmの箱の内面に出来るだけ密着させて箱形の形状とする。塗布層を設けている場合は塗布層面が内側となるようにする。次いで、上記の方法で作成した箱の中にDMF4mlを入れて3分間放置した後、DMFを回収する。回収したDMFを液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とした。なお、DMF中のオリゴマー量は上記(3)ポリエステル原料に含有される含有オリゴマー量の測定方法に記載の絶対検量線法に従い算出した。
(6)フィルムの加工適性
積層ポリエステルフィルムにおいて、塗布層とは反対側の面に、アルゴンガス95%と酸素ガス5%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ25nmの ITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は150℃×1時間の加熱 処理により結晶化させた。本手法でのスパッタリング加工時に、加工部分のフィルムの平面性を目視で評価した。
○:フィルムの加工部分が幅方向全体にわたりうねり、シワの発生無く良好に加工できている
×:フィルムの加工部分にうねり、シワ等の発生し、幅方向で均一に加工できていない
(7)フィルム−フィルム シート柔軟性(flexibility)評価方法(実用特性代用評価)
A4カット判サイズのフィルムサンプルをループ状に曲げ、そのループの直径方向を押しつぶしたときのロードによって、コシの強弱を評価した。
○:フィルムのコシが弱くシート柔軟性が良好(実用上、問題ないレベル)
×:フィルムのコシが強くシート柔軟性が不良(実用上、問題あるレベル)
〈ポリエステルの製造〉
[ポリエステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.65、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.97重量%であった。
[ポリエステル(B)]
エポキシ基含有ポリマーを30重量%含有したポリエステルマスターバッチとして「UVA3000PET」(BASFジャパン株式会社製 ポリエステル(B))を使用した。極限粘度0.51であった。
[ポリエステル(C)の製造方法]
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、平均粒子径1.6μmのエチレングリコールに分散させたシリカ粒子を0.2部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は、極限粘度0.65、オリゴマー(環状三量体)含有量0.82重量%であった。
実施例1:
上記ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ84.0重量%、1.0重量%、15重量%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)100%の原料をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(ABA)で、厚み構成比がA:B:A=6:38:6になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、フィルムをロール上に巻き上げ厚さ50μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例2:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ82.0重量%、3.0重量%、15.0重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例3:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ80.0重量%、5.0重量%、15.0重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例4:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ78.0重量%、7.0重量%、15.0重量%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例5:
実施例1において、厚み構成比を6:11:6と変更し、得られる積層ポリエステルフィルムの厚さを23μmとした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例6:
実施例1において、厚み構成比を6:176:6と変更し、得られる積層ポリエステルフィルムの厚さを188μmとした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例7:
実施例1において、厚み構成比を4:1:4と変更し、得られる積層ポリエステルフィルムの厚さを9μmとした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例8:
実施例1において、厚み構成比を6:238:6と変更し、得られる積層ポリエステルフィルムの厚さを250μmとした以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
実施例9:
実施例1において、厚み構成比を=2:46:2とした以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
比較例1:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(C)、をそれぞれ85%、15%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
比較例2:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(B)、(C)、をそれぞれ84.5%、0.5%、15%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を下記表1に示す。
比較例3:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(A)、(B)、(C)、をそれぞれ75%、10%、15%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムの製膜をトライした。製膜時にA層の押出し機に負荷がかかりすぎ、積層ポリエステルフィルムを得ることはできなかった。
Figure 0005988604
本発明のフィルムは、例えば、光学部材用のフィルムとして好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. エポキシ基をその分子鎖中に少なくとも2官能基含有するポリマーを3000〜30000ppm含有するポリエステルを厚みが4μm以上の両表層とし、少なくとも3層以上の積層構造を有する、全厚みが10〜188μmのフィルムの片面にITO膜が積層された光学部材用積層ポリエステルフィルム。
  2. 積層ポリエステルフィルムの表面から抽出されるオリゴマー量が10.0mg/m以下であることを特徴とする請求項1 に記載の積層ポリエステルフィルム。
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