JP2014100882A - 両面塗布フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 長時間の熱処理、高い張力下でのスパッタリング工程、高温高湿雰囲気下での耐久性試験などの工程を経た後であっても、ヘーズの上昇が抑えられ、光学部材加工後でも光学特性・視認性に優れたフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであり、厚み4μm以上の両最表層のポリエステル層の軟化点がそれ以外の層よりも高く、フィルム厚みが10〜80μmであり、フィルムの片面に塗布層、反対面にアクリレート構造を有するバインダーポリマーを含有する活性エネルギー線硬化樹脂層を有し、熱処理(180℃、90分間)前後におけるヘーズ変化率が0.4%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴する両面塗布フィルム。
0<Ti≦20 …(1)
0≦P≦300 …(2)
(上記式中、Tiはポリエステルフィルム中のTi元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)である)
【選択図】 なし

Description

本発明は、両面塗布フィルムに関するものであり、例えば、180℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズの上昇が極力小さいことを特徴とし、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた両面塗布フィルムに関し、特に光を透過して見る、いわゆる視認性を重視し、高度な透明性が必要とされる光学用途、例えば、タッチパネル用として好適な両面塗布フィルムに関するものである。
従来、タッチパネル用途においては、位置検出方法により、抵抗膜方式、静電容量方式等の各種方式が採用されている。それらの中でも、多点検出が可能で、光透過率が高いこと、かつ分解能が高く応答速度が速いことが特徴である静電容量方式の普及が増加する傾向にある。静電容量方式のタッチパネルには表面型と投影型の2つの方式がある。表面型はカバー、透明導電層、ガラス基板の3層から成る構成となっており、投影型は、ガラスやプラスチック製のフィルム、透明電極層、演算処理を行うICを搭載した基板層から構成される。
透明導電性積層体の製造工程においては、加熱加工されるのが一般的である。例えば、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成し、その後、結晶化させるために150℃で熱処理を行う場合や(特許文献1)、導電性積層フィルム作製の際に低熱収縮化処理のために150℃で1時間放置する場合や(特許文献2)、透明導電性フィルムを加工する際に、銀ペーストなどを印刷するために150℃程度の熱処理が必要な場合がある(特許文献3)。透明導電性薄膜製造工程においては、高温雰囲気下における熱処理に伴い、ポリエステルフィルム中に含有されるオリゴマーと呼ばれる低分子量物(特に環状三量体)がフィルム表面に析出・結晶化し、塗布欠陥等の発生により、高精度な透明導電性薄膜を得るのが困難になる場合がある。
また、タッチパネル用途においては、近年、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)等の通信情報機器、ゲーム機等への搭載頻度が増加する傾向にあり、当該分野の市場成長に伴い、従来のものよりもさらに高度な視認性が嗜好される傾向にある。その結果、当該分野に使用されるポリエステルフィルムにおいては、熱処理工程を経た後、オリゴマー析出起因によるフィルムヘーズ上昇により、視認性が低下する傾向にあった。近年、スパッタリング法によりITO膜を形成し、その後、結晶化させる工程においては、生産性向上を目的として、より高温での熱処理(例えば、180℃等)を行なう傾向にあり、フィルムのオリゴマー析出に伴う視認性低下がますます問題視される状況にある。
そのため、フィルムのオリゴマー析出防止策として、各種提案がなされている。例えば、ポリエステルフィルム基材上に塗布層を塗設することにより、オリゴマー析出を抑える手法も提案されている(特許文献4)。しかしながら、加工工程における搬送用ガイドロールとポリエステルフィルム面との接触、擦れなどにより、塗布層が剥がれる等の不具合を生じる場合もある。このような場合、当該部分のオリゴマー析出が抑えられないこと、また、ポリエステル基材のオリゴマー析出量自体が減少した場合は、オリゴマー析出を抑える機能を有する塗布層との組み合わせでオリゴマー析出量を更に低減させることができることよりポリエステルフィルム基材自体のオリゴマー析出を抑える手法が強く求められている状況にもある。
一方、透明導電層においてはパターニングさせるのが一般的であるが、下地が露出した開口部起因のフィルム面へのキズ付着が問題となる場合がある(例えば、特許文献5)。
従来、その解決策として、例えば、フィルム表面硬度の向上を目的としてハードコート層を設ける対策が講じられているが、フィルム表面のキズ付着は防止できる反面、フィルムを熱処理する過程で発生するオリゴマーを抑制するためにはハードコート層の塗布厚み(乾燥後)を厚く設定しなければならず、その結果、ハードコート層を設けたフィルム表面が平坦になりすぎて、ロール状にフィルムを巻取る際に塗布層を設けたフィルム面側にキズが入る等の不具合を生じる場合がある。
特開2007−200823号公報 特開2007−42473号公報 特開2007−320144号公報 特開2003−237005号公報 特開2012−133771号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた両面塗布フィルムを提供することであって、具体的には例えば、180℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズの上昇が小さく抑えられ、光学部材用の製品として加工した後でも光学特性・視認性に優れた両面塗布フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定構成のポリエステルフィルムによれば上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、少なくとも3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであり、厚み4μm以上の両最表層のポリエステル層の軟化点がそれ以外の層の軟化点よりも高く、フィルム厚みが10〜80μmであり、ポリエステルフィルムの片面に塗布層、反対面にアクリレート構造を有するバインダーポリマーを含有する活性エネルギー線硬化樹脂層をそれぞれ有し、熱処理(180℃、90分間)前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)が0.4%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴する両面塗布フィルムに存する。
0<Ti≦20 …(1)
0≦P≦300 …(2)
(上記式中、Tiはポリエステルフィルム中のTi元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)である)
本発明の両面塗布フィルムによれば、例えば、180℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での工程を経た後であっても、フィルムヘーズが小さく、光学特性・視認性に優れた積層ポリエステルフィルムを提供することができ、光学用途に好適であり、その工業的価値は高い。
本発明の両面塗布フィルムは、好ましくは、少なくとも3層以上の積層構成からなることを必須の要件とする。また、本発明にいう両面塗布を構成するポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押し出される、いわゆる押出法により、押し出されたポリエステルフィルムであって、必要に応じ、縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。
本発明において、ポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト(PEN)等が例示される。
また、本発明で用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、および、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)の一種または、二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノーネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
なお、本発明においては2種類以上のポリエステルを用いてポリエステルフィルムを製造してもよい。
本発明において、両面塗布フィルムを構成するポリエステルフィルム中には、オリゴマーの析出を抑制するために、チタン化合物(Ti)およびリン化合物(P)を使用する必要があり、当該化合物の含有量に関して、下記式(1)、(2)を同時に満足する必要がある。
0<Ti≦20 …(1)
0≦P≦300 …(2)
Tiに関して、好ましくは2〜10ppmの範囲である。Tiが上記(1)式の上限を超える場合、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーで且つ高透明性を有するフィルムが得られない。また、光学用途等、特に両面塗布フィルムの色調を重視する用途に対応困難になる。一方、Pに関して、好ましくは5〜200ppmの範囲がよい。Pが上記(2)式の上限を超える場合、ポリエステル製造時にゲル化が発生し、異物となってフィルムの品質を低下させ、例えば、光学的評価を伴う検査工程に対応困難になる。上記(1)、(2)式を同時に満足することにより、ポリエステルフィルム中の含有オリゴマー量低減に対して、顕著な効果を奏することが可能となる。
本発明における両面塗布フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいては、少なくとも3層以上の多層構成である必要があり、両最表層のポリエステル層の軟化点がそれ以外の層の軟化点よりも高いことを必須の要件とするものである。好ましくは両最表層のポリエステル層と中間層の軟化点の差が3℃以上、好ましくは5℃以上であるのがよい。
当該条件を満足するための具体的手法として、好ましくは両外層を構成するポリエステル層中におけるオリゴマー(環状三量体)含有量が0.5重量%以下であるポリエステルを80%以上含有することにより、前記軟化点の差を発現することが可能となる。オリゴマー含有量が0.5重量%を超えたポリエステルを使用した場合、もしくはその含有量が80%未満だった場合、両面塗布フィルムが150℃条件下での長時間の熱処理や、高い張力がかかる条件下でのスパッタリング工程や、高温高湿雰囲気下での耐久性試験など、過酷な条件下での加工工程で使用される際、フィルムヘーズが大きく上昇し、加工後、光学特性、あるいは視認性の点で光学部材用として不適となる場合がある。
本発明の両面塗布フィルムを構成するポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上のポリエステル層から構成されるポリエステルフィルムである必要があり、かつ両外層のポリエステル層厚みが4μm以上であることを必須の要件とするものである。好ましくは両外層のポリエステル層の厚みは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上がよい。両外層を構成するポリエステル層厚みが4μm未満の場合、所望するオリゴマー析出封止効果が得られない。
本発明においては、前記オリゴマー含有量の少ないポリエステルを用いて、特にポリエステル層厚みを4μm以上にして積層させた場合、得られるフィルム自体のフィルムヘーズがより低く抑えることが可能となり、高透明なフィルムが必要とされる光学用途に好適である。
これは、オリゴマー含有量の少ないポリエステルを多量に含むポリエステル層においては往々にして、極限粘度が高い傾向にあり、ポリエステル層中に含まれる粒子自体の流動性が抑制されるため、粒子自体はフィルム表面に移動し難く、結果的にフィルム成形後、フィルム最表面に露出して突起を形成する頻度が少なくなると推察される。そのため、得られたフィルム表面に光を照射した際にはフィルム表面の突起起因の光散乱の発生頻度が少なく、その分、フィルムヘーズの上昇が抑制されるためと推察される。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、10〜80μmの範囲を必須の要件とするものである。好ましくは10〜60μmの範囲が好ましい。フィルム厚みが10μm未満の場合、透明導電性膜を形成するために、スパッタリング法によりITO膜を形成する際、フィルム強度が加工テンションに負けてしまい、シワが生じて、正常な透明導電膜が形成できない場合がある。一方、80μm以上の場合にはとフィルムの腰が強くなりすぎて、タッチパネル最終製品に仕上げた際に本発明の積層ポリエステルフィルムに積層される粘着剤のクッション効果による書き味が低下する、あるいはタッチパネルの応答性が低下する等の不具合を生じる場合がある。
本発明のポリエステルフィルム中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
ポリエステルフィルム中に配合する粒子の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、通常0.02μm〜3μm、好ましくは0.02μm〜2.5μm、さらに好ましくは0.02μm〜2μmの範囲である。平均粒径が0.02μm未満の粒子を用いた場合には、充分な易滑性の付与ができないため、フィルム製造工程における巻き特性が劣る傾向がある。また、平均粒径が3μmを超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎてフィルムがヘージーとなる場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量は、通常0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.001〜0.3重量%の範囲である。粒子含有量が0.0005重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合がありフィルム加工時に傷等の外観不良が生じる。一方、0.5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明のポリエステルフィルムは延伸工程中、またはその後のフィルムに接着性、帯電防止性、滑り性、離形性等の機能を付与するために、フィルムの片面または両面に塗布層を形成したりコロナ処理等の表面処理を施したりしてもよい。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、その上に加工される層との密着性向上、加工時の滑り性向上などを目的として塗布層を設けてもよい。塗布層に関しては、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。製膜と同時に塗布が可能であるため、製造が安価に対応可能であることから、インラインコーティングが好ましく用いられる。
インラインコーティングについては、以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に縦延伸が終了した横延伸前にコーティング処理を施すことができる。インラインコーティングによりポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、製膜と同時に塗布が可能になると共に、延伸後のポリエステルフィルムの熱処理工程で、塗布層を高温で処理することができるため、塗布層上に形成され得る各種の表面機能層との接着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。また、延伸前にコーティングを行う場合は、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、薄膜で均一な塗工を行うことができる。すなわち、インラインコーティング、特に延伸前のコーティングにより、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
また、本発明のフィルムの塗布層は、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機粒子、無機粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが必要である。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
本発明における積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。当該表面処理は片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は、水系または水分散系が好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルムを例えば、光学用として使用する場合、着色剤、導電材料等を加えてもよく、さらにその上に、外光の映り込みや静電気による電撃、ゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成してもよい。
本発明において用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、水溶液または水分散液であることが望ましいが、水を主たる媒体としており、本発明の要旨を越えない範囲であれば、有機溶剤を含有していてもよい。
塗布液の固形分濃度には特に制限はないが、通常0.3〜65重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。濃度がこれらの範囲より高すぎる場合も低すぎる場合も、機能を十分に発現するために必要な厚さの塗布層を設けることが困難となることがある。
塗布層の厚さ(乾燥後)は通常、0.003〜1.5μm、好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.01〜0.3μmである。塗布層の厚さが0.003μm未満の場合は十分な性能が得られない恐れがある。一方、1.5μmを超えるとフィルム同士のブロッキングが起こりやすくなる場合がある。
本発明におけるポリエステルフィルムへの塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
本発明において、滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させることが好ましい。塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、画像の鮮明度が落ちる傾向がある。
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。塗布層中の粒子の含有量は、透明性を阻害しない適切な添加量として10重量%以下が好ましく、さらには5重量%以下が好ましい。
また、塗布層は、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
本発明における両面塗布フィルムに関して、例えば、タッチパネル用等、長時間、高温雰囲気下に晒された後であっても、高度な透明性が要求される場合がある。かかる観点より、熱処理(180℃、90分間)前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)が0.4%以下であることを必須の要件とするものである。ΔHに関して、好ましくは0.2%以下がよい。ΔHが0.4%を超える場合には、視認性が低下し、例えば、タッチパネル用等、高度な視認性が必要とされる用途に不適となる。
さらに本発明における両面塗布フィルムにおいては、熱処理前のフィルムヘーズに関して、タッチパネル等、特に透明性を必要とされる用途に対応するため、1.3%以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0%以下がよい。当該フィルムヘーズが1.3%を越える場合、熱処理後、フィルムヘーズが上昇した際に視認性が低下する等の不具合を生じる場合がある。
また、本発明の両面塗布フィルムを構成するポリエステルフィルムに関して、本発明の主旨を損なわない範囲において、着色剤、導電材料等を加えてもよく、さらにその上に静電気による電撃、ゴミ付着防止、さらには電磁波シールドを目的とした機能性多層薄膜を形成してもよい。
また、本発明の両面塗布フィルムを構成するポリエステルフィルムに関して、本発明の主旨を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、蛍光増白剤、潤滑剤、遮光剤、マット化剤、および染料、顔料などの着色剤等を配合してもよい。また、必要に応じ、フィルムの滑り性や耐摩耗性を改良する目的などのために、ポリエステルに対し、不活性な無機または有機の微粒子などを配合することもできる。
本発明における両面塗布フィルムにおいては、塗布層の反対側に透明導電層積層時の耐久性等を考慮して、アクリレート構造を有するバインダーポリマーを含有する活性エネルギー線硬化樹脂層を設けることを必須要件とするものである。
本発明において、バインダーポリマーとは、高分子化合物安全性評価フロースキーム(昭和60年11月 化学物質審議会主催)に準じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量(Mn)が1000以上の高分子化合物で、かつ造膜性を有するものと定義する。
本発明において、活性エネルギー線硬化樹脂層を構成するアクリレート構造を有するバインダーポリマーの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート等が例示される。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、前記アクリレートをメタクリレートにしたものを併用してもよく、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、技術情報協会2010年12月21日発行「機能性アクリレートの選び方・使い方事例集」にも具体例に関する記載がある。
本発明において、上記アクリレート構造を有するバインダーポリマーを硬化するために使用する光重合開始剤の具体例として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンなどが挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤として、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。チタノセン系光重合開始剤として、例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。オキシムエステル系重合開始剤として、例えば、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
本発明における両面塗布フィルムを構成する活性エネルギー線硬化樹脂層に関して、塗布厚み(乾燥後)は1〜5μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは1〜3μmがよい。当該厚み(乾燥後)が1μm未満の場合、所望する硬度を有する活性エネルギー線硬化樹脂層を得るのが困難になる場合があり、一方、5μmを超える場合には活性エネルギー線硬化樹脂層を設けた側のフィルム面が平坦になりすぎて、フィルムをロール状に巻き取る際にフィルムにキズが入る等の不具合を生じる場合がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)
(株)島津製作所社製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いてストークスの抵抗則にもとづく沈降法によって粒子の大きさを測定した。
(3)ポリエステル原料に含有される含有オリゴマー量の測定方法
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させる。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加える。沈殿物を濾過により除去し、さらに沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製:LC−7A)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をクロロホルム/HFIP混合溶媒に溶解させたポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とする。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、あらかじめ分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製『MCI GEL ODS 1HU』
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)ポリエステル層の厚み
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚さとした。
(5)フィルムヘーズの測定
試料フィルムをJIS−K−7136に準じ、村上色彩技術研究所製ヘーズメーター「HM−150」により、フィルムヘーズ(%)を測定した。
(6)熱処理前後のフィルムヘーズ変化率(ΔH)の測定
試料フィルムを所定の熱処理条件(180℃、90分)で処理した後、(5)項と同様にして、フィルムヘーズを測定した。
なお、下記式を用いて、熱処理前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)を求めた。
フィルムヘーズ変化率(ΔH:%)=(熱処理後のフィルムヘーズ)−(熱処理前のフィルムヘーズ)
(7)両面塗布フィルムの表面粗さ(SRa)測定
直接位相検出干渉法、いわゆるマイケルソンの干渉を利用した2光束干渉法を用いた、非接触表面計測システム「マイクロマップ社製Micromap512)」により、試料フィルムの塗布層表面および活性エネルギー線硬化樹脂層表面の表面粗さを計測した。なお、測定波長は554nmとし、対物レンズは20倍を用いて、20°視野計測し、その平均値を採用した。
(8)ポリエステルフィルム中の金属元素およびリン元素量の定量
蛍光X線分析装置((株)島津製作所社製型式「XRF−1500」を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルムFP法により単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。なお、本方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
Figure 2014100882
(9)ポリエステルフィルムの各ポリエステル層の軟化点測定
あらかじめ(4)項の要領にて試料フィルムの層構成を確認した後、露出したフィルム断面において、各ポリエステル層の中央部1箇所をNano NaviII/E−Sweep/nano−TA2(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、下記測定条件により測定を行い、N=3の平均値をもって、ポリエステル層の軟化点とした。
《測定条件》
昇温速度:5℃/sec
探針:サーマルカンチレバーAN2−200
測定温度範囲:常温(23℃)〜300℃
測定雰囲気:大気圧
(10)透明導電膜積層後のフィルム視認性評価方法(実用特性代用評価)
両面塗布フィルムにおいて、活性エネルギー線硬化樹脂層上にアルゴンガス95%と酸素ガス5%とからなる0.4Paの雰囲気下で、酸化インジウム95重量%、酸化スズ5重量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法により、厚さ25nmのITO膜(透明導電性薄膜)を形成した。また、ITO膜は180℃×1時間の加熱処理により結晶化させた。得られたフィルムの透明性・視認性について、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
◎:透明性・視認性、特に良好(実用上、問題ないレベル)
○:透明性・視認性良好(実用上、問題ないレベル)
×:透明性・視認性不良(実用上、問題あるレベル)
(11)フィルムの加工適性1
スパッタリング加工前に、加工部分のフィルム外観(キズ)を暗室下、三波長の蛍光灯下において、ハロゲンライトをフィルム面に照射し、目視による官能評価を行い、下記判定基準により、判定を行なった。
《判定基準》
○:フィルム面にキズが確認されない(実用上、問題ないレベル)
×:フィルム面にキズが確認される(実用上、問題あるレベル)
(12)フィルムの加工適性2
スパッタリング加工時に、加工部分のフィルム平面性を目視による官能評価を行い、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
○:フィルムの加工部分が幅方向全体にわたりうねり、シワの発生なく良好に加工できている(実用上、問題ないレベル)
×:フィルムの加工部分にうねり、シワ等の発生し、幅方向で均一に加工できていない(実用上、問題あるレベル)
(13)粘着剤のクッション効果(実用特性代用評価)
新タック化成社ノンキャリアフィルム「KF4#50」の軽剥離側セパを剥がし、両面塗布フィルムの塗布層面に貼り合わせた。次に重剥離側セパを剥がし、日本板硝子社製板ガラス(「フロート板ガラス(5mm厚さ)」に貼り合せ、両面塗布フィルム(塗布層側)/粘着層/ガラス構成体を作成した。得られた構成体を両面塗布フィルム側からボールペンのペン先を接触させ、その粘着剤のクッション効果について、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
○:ペンを接触している間、接触した箇所に粘着層が追従する。接触をやめると粘着層の追従変形が元に戻る(クッション効果を感じることができる)
×:ペンを接触させても粘着層が変形せず、クッション効果が感じることができない
○は実用上、問題ないレベルである。
(14)総合評価
試料フィルムに関して、下記判定基準により、総合評価を行った。
《判定基準》
○:フィルム視認性、フィルム加工適性1、フィルム加工適性2、粘着剤のクッション効果の全てが○以上(実用上、問題ないレベル)
×:フィルム視認性、フィルム加工適性1、フィルム加工適性2、粘着剤のクッション
効果の内、少なくとも1項目が×判定。(実用上、問題あるレベル)
〈ポリエステルの製造〉
[ポリエステル(A)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネートを加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径1.6μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.2重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.55のポリエステルAを得た。
[ポリエステル(B)の製造方法]
ポリエステル(A)を、あらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75、オリゴマー(環状三量体)含有量0.46重量%のポリエステル(B)を得た。
[ポリエステル(C)の製造方法]
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸を添加した後、二酸化ゲルマニウムを加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度は0.63のポリエステル(C)を得た。
実施例1:
上記ポリエステル(B)、(C)、をそれぞれ85%、15%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A)100%の原料をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(ABA)で、厚み構成比がA:B:A=6:11:6になるように共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、下記塗布剤を片面に塗布し、テンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、フィルムをロール状に巻き上げた。塗布層(乾燥後)の塗布厚みが0.1μmとなるように塗布した、厚さ23μmの塗布フィルムを得た。次に塗布層の反対面に下記組成からなる活性エネルギー線硬化樹脂層を塗布厚み(乾燥後)が2μmになるように塗布、80℃、1分間熱処理した後、メタルハライドランプ使用にて、積算光量350mJ/cm2の紫外線照射を施し、両面塗布フィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
[塗布液の調製]
以下のA、B、C、D、Eの化合物をそれぞれ30、10、40、10、10重量部となるように混合した。
・4級アンモニウム塩基含有ポリマー(A):
2−ヒドロキシ3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー
対イオン:メチルスルホネート 数平均分子量:30000
・ポリエチレングリコール含有アクリレートポリマー(B):
ポリエチレングリコール含有モノアクリレートポリマー 数平均分子量:20000
・架橋剤(C):メラミン架橋剤(DIC社製:ベッカミン「MAS」)
・粒子(D):アルミナ表面変性コロイダルシリカ(平均粒径:50nm)
・バインダー(E):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
[活性エネルギー線硬化樹脂層を構成する塗布液の調製]
・アクリレート構造を有するバインダーポリマー
JSR社製オプスターZ7540 100重量部
・光重合開始剤
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア127 0.5重量部
・粒子
コロイダルシリカ(平均粒径:70nm) 0.005重量部
・メチルエチルケトン 500重量部
・酢酸ブチル 500重量部
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
実施例2:
実施例1において、厚み構成比を4:15:4と変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
実施例3:
実施例1において、厚み構成比を6:38:6と変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
比較例1:
実施例1において、厚み構成比を3:17:3と変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
比較例2:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(B)、(C)、をそれぞれ65%、35%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:278℃ B層の軟化点:275℃
比較例3:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(B)、(C)、をそれぞれ70%、30%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステルフィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:279℃ B層の軟化点:275℃
比較例4:
実施例1において、厚み構成比がA:B:A=4:1:4とし、厚みを9μmとした以外は実施例1と同様の方法で、両面塗布フィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
比較例5:
実施例1において、厚み構成比がA:B:A=5:75:5とし、厚みを85μmとした以外は実施例1と同様の方法で、両面塗布フィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
比較例6:
実施例1において、A層の原料としてポリエステル(B)を100%の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で、両面塗布フィルムを得た。得られた両面塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:275℃ B層の軟化点:275℃
比較例7:
実施例1において、活性エネルギー線硬化樹脂層を設けない以外は実施例1と同様にして製造し、塗布フィルムを得た。得られた塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
比較例8:
実施例1において、塗布層を設けない以外は実施例1と同様にして製造し、塗布フィルムを得た。得られた塗布フィルムの特性を下記表1に示す。
A層の軟化点:281℃ B層の軟化点:275℃
Figure 2014100882
Figure 2014100882
本発明の両面塗布フィルムは、例えば、光学用途において好適に利用することができる。

Claims (2)

  1. 少なくとも3層以上の積層構造を有するポリエステルフィルムであり、厚み4μm以上の両最表層のポリエステル層の軟化点がそれ以外の層の軟化点よりも高く、フィルム厚みが10〜80μmであり、ポリエステルフィルムの片面に塗布層、反対面にアクリレート構造を有するバインダーポリマーを含有する活性エネルギー線硬化樹脂層をそれぞれ有し、熱処理(180℃、90分間)前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)が0.4%以下であり、下記式(1)および(2)を同時に満足することを特徴する両面塗布フィルム。
    0<Ti≦20 …(1)
    0≦P≦300 …(2)
    (上記式中、Tiはポリエステルフィルム中のTi元素量(ppm)、Pはリン元素量(ppm)である)
  2. 塗布層がフィルム製膜工程中に塗設されたものである請求項1記載の両面塗布フィルム。
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US11230616B2 (en) 2017-07-24 2022-01-25 Rohm And Haas Company Chloride-free cationic polymers using acetate anions

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