JP2009225822A - ミシンの針棒及びミシン - Google Patents
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Abstract
【課題】 ミシンの針棒及びミシンにおいて、ドライ環境化における針棒の耐久性を低下させることなく、基線の視認性を高めて、針棒の動作タイミングと下限位置の調整を容易に行えること。
【解決手段】 ミシン機枠の軸受け部材に軸心方向に往復移動可能に挿通支持され且つ針棒駆動手段により往復移動するように駆動されるミシンの針棒は、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整の為に針棒19の外周面に印される3本の基線22,23,24を設け、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分にDLC被膜25を形成した。
【選択図】 図3
【解決手段】 ミシン機枠の軸受け部材に軸心方向に往復移動可能に挿通支持され且つ針棒駆動手段により往復移動するように駆動されるミシンの針棒は、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整の為に針棒19の外周面に印される3本の基線22,23,24を設け、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分にDLC被膜25を形成した。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ミシンの針棒及びミシンに関し、特に軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、基線とその近傍部を除いた部分に耐摩耗被膜を形成したものに関する。
従来、ミシンの針棒は、ミシン機枠の軸受け部材に軸心方向に往復移動可能に挿通支持され且つ針棒駆動手段により往復移動するように駆動され、針棒の動作タイミングと下限位置の調整の為に、針棒の外周面には複数の基線が印されている。これらの基線は、針棒の外周部に機械加工などで細い溝を形成した後、焼入れ処理を行ってから針棒の外周面に対して研磨処理を行うことにより形成される。この研磨処理により針棒の外周面は金属光沢色となるが、溝については研磨処理が行われないため、焼入れ処理時に生じた酸化物が溝に残るので基線は黒色である。
例えば、特許文献1に記載の針棒ストローク調整装置においては、針棒の長さ方向に直交する上下2本のライン(基線)が設けられ、針棒クランプの上端を何れかの基線に合わせた状態で針棒を針棒クランプに固定することにより、生地の厚さや種類に応じて針棒の上下ストローク量の調整を行えるようにしている。
特開2002−219293号公報
工業用ミシンなどにおいて、潤滑油による潤滑を廃したドライ化が進められており、軸受け部材と針棒との摺動面を潤滑する為の潤滑材としてグリースが採用されている。軸受け部材の摺動面に開口するグリース収容部を設け、グリース収容部に充填されたグリースを摺動面に滲出させて摺動面を潤滑することにより、摺動面の磨耗や焼き付きを防止している。ドライ環境化において針棒の耐久性を高める為に、針棒の外周部に基線を形成した後、針棒の外周面にDLC被膜などの耐摩耗性に優れた被膜を形成するのが一般的である。
しかし、針棒の外周面にDLC被膜を形成した場合、DLC被膜はほぼ黒色であり基線も黒色なので基線が見えにくくなり、針棒の動作タイミングと下限位置の調整を行うのが難しくなるという問題がある。
一方、DLC被膜を形成しない場合は、針棒の外周面に金属光沢色が残るため基線が見やすくなるが、ドライ環境化における針棒の耐久性が低下する。
一方、DLC被膜を形成しない場合は、針棒の外周面に金属光沢色が残るため基線が見やすくなるが、ドライ環境化における針棒の耐久性が低下する。
本発明の目的は、ドライ環境化における針棒の耐久性を低下させることなく、基線の視認性を高めて、針棒の動作タイミングと下限位置の調整を容易に行えるミシンの針棒及びミシンを提供することである。
請求項1のミシンの針棒は、ミシン機枠の軸受け部材に軸心方向に往復移動可能に挿通支持され且つ針棒駆動手段により往復移動するように駆動されるミシンの針棒において、前記針棒駆動手段に前記針棒を取付ける位置を示す基線を前記針棒の外周面に有し、前記軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、前記基線を除いた部分に耐摩耗被膜を形成したことを特徴としている。
このミシンの針棒では、針棒を取付ける位置を示す基線が針棒の外周面に設けられ、軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、基線を除いた部分に耐摩耗被膜が形成されている。この耐摩耗被膜によりドライ環境化における針棒の耐久性を高めることができる。針棒の外周摺動面において基線には、耐摩耗被膜が形成されないので基線が見やすくなる。それ故、針棒の動作タイミングと下限位置の調整を容易に行なうことができる。また、耐摩耗被膜が形成されない部分は僅かなので針棒の耐久性に影響しない。
請求項2のミシンの針棒は、請求項1の発明において、前記耐摩耗被膜はDLC被膜からなることを特徴としている。
請求項3のミシンの針棒は、請求項1又は2の発明において、前記針棒の外周摺動面のうち前記基線とその近傍部をマスキング部材でマスキングした状態で前記耐摩耗被膜を形成することを特徴としている。
請求項3のミシンの針棒は、請求項1又は2の発明において、前記針棒の外周摺動面のうち前記基線とその近傍部をマスキング部材でマスキングした状態で前記耐摩耗被膜を形成することを特徴としている。
請求項4のミシンの針棒は、請求項1又は2の発明において、前記針棒の外周摺動面と前記基線とに前記耐摩耗被膜を形成し、その後、前記基線部分が露出した他の部分が覆われるマスキング部材でマスキングした状態で前記耐摩耗被膜を除去することを特徴としている。
請求項5のミシンの針棒は、請求項3の発明において、前記マスキング部材は、複数のパターン形成穴を有することを特徴としている。
請求項6のミシンは、請求項1〜5の何れかに記載のミシンの針棒を備えたことを特徴としている。
請求項6のミシンは、請求項1〜5の何れかに記載のミシンの針棒を備えたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、針棒を取付ける位置を示す基線を針棒の外周面に有し、軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、基線を除いた部分に耐摩耗被膜を形成したので、耐摩耗被膜によりドライ環境化における針棒の耐久性が向上する。軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち基線には、耐摩耗被膜が形成されないので、基線の視認性が向上し針棒の動作タイミングと下限位置の調整を容易に行うことができる。
請求項2の発明によれば、耐摩耗被膜はDLC被膜からなるので、高硬度で摩擦係数が非常に低いDLC被膜を軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、基線を除いた部分に形成することができ、ドライ環境化における針棒の耐久性が向上する。
請求項3の発明によれば、針棒の外周摺動面のうち基線とその近傍部をマスキング部材でマスキングした状態で耐摩耗被膜を形成するので、針棒の外周摺動面のうち基線とその近傍部を除いた部分に耐摩耗被膜を簡単に形成することができる。
請求項4の発明によれば、針棒の外周摺動面と基線とに耐摩耗被膜を形成し、その後、基線部分が露出した他の部分が覆われるマスキング部材でマスキングした状態で耐摩耗被膜を除去するので、針棒の外周摺動面のうち基線を除いた部分に耐摩耗被膜を簡単に形成することができる。
請求項5の発明によれば、マスキング部材は、複数のパターン形成穴を有するので、このマスキング部材でマスキングした状態で耐摩耗被膜を除去することで、針棒の外周摺動面のうち基線とその近傍部に複数のパターン形成穴に対応する複数のパターンの凹部が形成される。これら複数の凹部がグリース溜まりの役割を果たすので、ドライ環境化における針棒の耐久性が格段に向上する。
請求項6の発明によれば、ミシンが請求項1〜5の何れかのミシンの針棒を備えた場合、請求項1〜5の何れかと同様の効果を奏する。
以下、本発明を実施する為の最良の形態について説明する。
図1、図2に示すように、工業用の本縫いミシン1は、ベッド部2と、このベッド部2の右端部分に立設された脚柱部3と、この脚柱部3の上端部から左方へ片持ち状に延びて上方からベッド部2に対向するアーム部4とを備えている。
アーム部4の内部にはミシンモータで回転駆動される主軸14が配設され、アーム部4の頭部5の内部には、下端に縫針21を取り付けた針棒19を往復移動させる針棒駆動機構15(針棒駆動手段)と、天秤7を上下揺動させる天秤上下揺動機構が設けられ、これらは主軸14に連動連結されている。
アーム部4の内部にはミシンモータで回転駆動される主軸14が配設され、アーム部4の頭部5の内部には、下端に縫針21を取り付けた針棒19を往復移動させる針棒駆動機構15(針棒駆動手段)と、天秤7を上下揺動させる天秤上下揺動機構が設けられ、これらは主軸14に連動連結されている。
ベッド部2の内部には、主軸14に連動連結された下軸30と、この下軸30に連動連結された糸捕捉用釜及び送り歯駆動機構31などが組み込まれている。主軸14に設けられたプーリ12と、このプーリ12に掛装されたベルト13を介して主軸14と下軸30は連動連結されている。
図1、図2に示すように、脚柱部3の上端に一体的に連結されたアーム部4の基端部分の内部には、ミシンモータが配設されている。このミシンモータの出力軸はカップリング11により主軸14の基端部に連結されている。カップリング11には下軸30へ回転駆動力を伝達するためのベルト13を掛装するプーリ12が設けられている。尚、脚柱部3の前面には送り調節ダイヤル8が設けられている。図1においてアーム部4の右端側には主軸14を手動で操作するための手動プーリ10が設けられている。
図2に示すように、アーム部4には、主軸14が左右向きに配設され、アーム部4の頭部5には、主軸14の左端部に連結させて、針棒19を駆動する針棒駆動機構15が配設されている。針棒19の下部は、ミシン機枠Fに固着された軸受け部材20(軸受けメタル)により往復移動可能に挿通支持されている。
針棒19の長さ方向途中部には針棒抱き18が固定されており、この針棒抱き18は、針棒19の高さ位置を調整可能に構成されている。主軸14の左端部には、針棒クランク16(釣合い錘)が固着され、この針棒クランク16の左側に針棒クランクロッド17の上端部が回動可能に支持されている。針棒クランクロッド17の下端部は針棒抱き18を介して針棒19に連結されている。
次に、針棒19について説明する。
図3に示すように、針棒19の下部の外周面には、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整を行う為の3本の基線22,23,24が設けられている。基線22,23,24は、水平方向に針棒19の外周の長さよりも短くなるように設けられ、基線24は基線22,23に対して水平方向にズレた位置にある。
図3に示すように、針棒19の下部の外周面には、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整を行う為の3本の基線22,23,24が設けられている。基線22,23,24は、水平方向に針棒19の外周の長さよりも短くなるように設けられ、基線24は基線22,23に対して水平方向にズレた位置にある。
基線22,23,24は針棒19の外周部に機械加工などで細い溝部26(図4参照)を形成した後、焼入れ処理を行ってから針棒19の外周面に対して研磨処理を行うことにより形成される。溝部26については研磨処理が行われないため、焼入れ処理時に生じた酸化物が溝部26に残るので基線22,23,24は黒色である。
次に、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整方法について簡単に説明する。
先ず、手動プーリ10を操作し針棒19を最下位置に合わせる。このとき、軸受け部材20の下端に基線22が位置するように、針棒抱き18に対する針棒19の高さ位置を調整する。次に、針棒19が上昇し軸受け部材20の下端に基線23が位置するとき、回転釜の剣先が縫針21の目孔に形成される上糸の糸輪を捕捉する出会い位置にあることを確認し、さらに、針棒19が上昇し軸受け部材20の下端に基線24が位置するとき、糸切り装置による糸切り動作が開始するのを確認することにより、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整を行う。
先ず、手動プーリ10を操作し針棒19を最下位置に合わせる。このとき、軸受け部材20の下端に基線22が位置するように、針棒抱き18に対する針棒19の高さ位置を調整する。次に、針棒19が上昇し軸受け部材20の下端に基線23が位置するとき、回転釜の剣先が縫針21の目孔に形成される上糸の糸輪を捕捉する出会い位置にあることを確認し、さらに、針棒19が上昇し軸受け部材20の下端に基線24が位置するとき、糸切り装置による糸切り動作が開始するのを確認することにより、針棒19の動作タイミングと下限位置の調整を行う。
図3、図4に示すように、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分には、ほぼ黒色のDLC被膜25(耐摩耗被膜)が2〜6μm程度の微小な膜厚で形成されている。DLC被膜25の硬度は水素含有量等により調節することができ、HVで数百からダイヤモンドのHVに近い8000程度の高硬度被膜にすることができる。また、DLC被膜25の摩擦係数は約0.1以下である。従って、DLC被膜25は耐磨耗性と摺動性に非常に優れた被膜である。
次に、針棒19の外周摺動面において、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分に形成されるDLC被膜25の形成方法について説明する。
先ず、図5−1に示すように、針棒19の外周摺動面において溝部26とその近傍部を覆うように円筒状のマスキング部材25がほぼ密着状に取付けられる。次に、図5−2に示すように、針棒19の外周摺動面のうちのマスキング部材25でマスキングされていない表面部分に、耐磨耗性被膜としてのDLC被膜25が物理蒸着法により形成される。
先ず、図5−1に示すように、針棒19の外周摺動面において溝部26とその近傍部を覆うように円筒状のマスキング部材25がほぼ密着状に取付けられる。次に、図5−2に示すように、針棒19の外周摺動面のうちのマスキング部材25でマスキングされていない表面部分に、耐磨耗性被膜としてのDLC被膜25が物理蒸着法により形成される。
物理蒸着法としては、ターゲットにグラファイトを用い、高周波によって発生したプラズマをターゲットに印加して行うスパッタリングや、アーク放電等により蒸気化された炭素原子をイオン化して負の電位の被膜対象物に加速させて堆積させるイオンプレーティング等の汎用的な方法を使用できる。次に、図4に示すように、針棒19の外周摺動面からマスキング部材25が除去されると、針棒19の外周摺動面においてDLC被膜25が形成されていない溝部26の近傍部には、針棒19の金属面が露出するため、この部分が金属光沢色となる。
次に、ミシン1の針棒19の作用、効果について説明する。
このミシン1の針棒19では、針棒19の外周面に針棒19を取付ける位置を示す3本の基線22,23,24が印され、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分に黒色のDLC被膜25が形成されている。針棒19の外周摺動面において基線22,23,24とその近傍部には、DLC被膜25が形成されておらず針棒19の金属面が露出するため、この部分が金属光沢色となる。
このミシン1の針棒19では、針棒19の外周面に針棒19を取付ける位置を示す3本の基線22,23,24が印され、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分に黒色のDLC被膜25が形成されている。針棒19の外周摺動面において基線22,23,24とその近傍部には、DLC被膜25が形成されておらず針棒19の金属面が露出するため、この部分が金属光沢色となる。
このように、針棒19を取付ける位置を示す3本の基線22,23,24が針棒の外周面に設けられ、軸受け部材20に対する針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその近傍部を除いた部分に高硬度で摩擦係数が非常に低いDLC被膜25が形成されたので、DLC被膜25によりドライ環境化における針棒19の耐久性が向上する。
針棒19の外周摺動面のうち基線22,23,24とその近傍部には、DLC被膜25が形成されないので、基線22,23,24の視認性が向上し針棒19の動作タイミングと下限位置の調整を容易に行うことができる。しかも、DLC被膜25が形成されない部分は僅かなので針棒の耐久性に影響しない。また、マスキング部材25でマスキングした状態でDLC被膜25を形成するので、針棒19の外周摺動面のうち基線22,23,24とその近傍部を除いた部分にDLC被膜25を簡単に形成することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]針棒19の外周摺動面においてDLC被膜25を形成する部分にマスキングする代わりに、基線22,23,24を含む針棒19の外周摺動面全体にDLC被膜25を形成した後、基線22,23,24とその近傍部以外にマスキングを施した状態でエッチング処理を行って、DLC被膜25を除去してもよい。
1]針棒19の外周摺動面においてDLC被膜25を形成する部分にマスキングする代わりに、基線22,23,24を含む針棒19の外周摺動面全体にDLC被膜25を形成した後、基線22,23,24とその近傍部以外にマスキングを施した状態でエッチング処理を行って、DLC被膜25を除去してもよい。
図6-1に示すように、針棒19の外周摺動面にCr被膜35が形成され、さらに、そのCr被膜35の表面にDLC被膜25が形成される。このCr被膜35とDLC被膜25は、真空中でUBMスパッタリングにより連続的に成膜される。具体的には、先ず、Crをターゲットしてスパッタリングを行い、Cr被膜35が所定の膜厚形成されたら、次に、Crのスパッタリングを行いつつ、グラファイトをターゲットとするスパッタリングを同時に行い、このCrとグラファイトとのスパッタ率を徐々にグラファイトのスパッタ率が大きくなるように移行することで、DLC被膜25がCr被膜35の表面に形成される。
次に、図6-2に示すように、DLC被膜25の表面において、溝部26とその近傍部を除いた部分に略密着状にマスキング部材27が外嵌されて、DLC被膜25の表面の一部がマスクされる。尚、マスキング部材27は、アルミニウムで構成されている。
次に、図6-3に示すように、前述のマスクされた針棒19が真空槽中に導入され、その真空槽中に酸素が導入され、高周波(例えば、13.8MHz)高電圧が印加されて酸素ガスが電離されてプラズマ雰囲気が作られ、DLC被膜25が酸素プラズマガスと反応して二酸化炭素若しくは一酸化炭素になることで、マスキング部材27によりマスクされていない露呈している部分のDLC被膜25のみがCr被膜35が露呈されるまでプラズマエッチングされ、溝部26とその近傍部のDLC被膜25のみが除去される。
このように、針棒19の外周摺動面と基線22,23,24とにDLC被膜25を形成し、その後、基線部分が露出した他の部分が覆われるマスキング部材27でマスキングした状態でDLC被膜25を除去するので、針棒19の外周摺動面のうち基線22,23,24を除いた部分にDLC被膜25を簡単に形成することができる。
2]基線22,23,24とその外周方向にのみマスキング部材としてのリング部材28を外嵌させて、針棒19の外周摺動面のうち基線22,23,24とその外周方向を除いた部分にDLC被膜25を形成することも可能である。この場合、図7、図8に示すように、針棒19Aに形成された溝部26の位置に合わせてリング部材28を夫々外嵌させた後、前記実施例の場合と同様の方法によりDLC被膜25が形成される。
針棒19Aにおいては、前記実施例の針棒19よりもDLC被膜25が形成された部分が拡大するので、ドライ環境化における針棒の耐久性が格段に向上する。しかも、針棒19の外周摺動面のうち、基線22,23,24とその外周方向にはDLC被膜25が形成されないので、この部分が金属光沢色となって、基線22,23,24の視認性を高めることができる。
3]基線22,23,24とその外周方向に、例えば複数の円状のパターン形成穴37が形成されたマスキング部材36を取付けて、針棒19Bの外周摺動面のうち、複数のパターン形成穴37に対応する位置を除いた部分にDLC被膜25を形成することも可能である。
この場合、図9、図10に示すように、前記変更例1の場合と同様の方法により、針棒19Bの外周摺動面全体にDLC被膜25を形成し、マスキング部材36でマスキングした状態でDLC被膜25を除去することで、針棒19Bにおいて複数のパターン形成穴37に対応する位置に複数の凹部29が形成される。これら複数の凹部29がグリース溜まりの役割を果たすので、ドライ環境化における針棒19Bの耐久性が格段に向上する。
4]針棒19,19A,19Bの外周面に形成される基線は、3本に限定されることなく複数であればよい。この場合、基線の本数に合わせてDLC被膜25の面積を変更可能である。
5]耐摩耗被膜として、DLC被膜25以外にTiN被膜やCrN被膜を形成することも可能である。
5]耐摩耗被膜として、DLC被膜25以外にTiN被膜やCrN被膜を形成することも可能である。
F ミシン機枠
1 ミシン
15 針棒駆動手段
19,19A,19B 針棒
20 軸受け部材
25 DLC被膜
27,28,36 マスキング部材
37 パターン形成穴
1 ミシン
15 針棒駆動手段
19,19A,19B 針棒
20 軸受け部材
25 DLC被膜
27,28,36 マスキング部材
37 パターン形成穴
Claims (6)
- ミシン機枠の軸受け部材に軸心方向に往復移動可能に挿通支持され且つ針棒駆動手段により往復移動するように駆動されるミシンの針棒において、
前記針棒駆動手段に前記針棒を取付ける位置を示す基線を前記針棒の外周面に有し、
前記軸受け部材に対する針棒の外周摺動面のうち、前記基線を除いた部分に耐摩耗被膜を形成したことを特徴とするミシンの針棒。 - 前記耐摩耗被膜はDLC被膜からなることを特徴とする請求項1に記載のミシンの針棒。
- 前記針棒の外周摺動面のうち前記基線とその近傍部をマスキング部材でマスキングした状態で前記耐摩耗被膜を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの針棒。
- 前記針棒の外周摺動面と前記基線とに前記耐摩耗被膜を形成し、その後、前記基線部分が露出した他の部分が覆われるマスキング部材でマスキングした状態で前記耐摩耗被膜を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの針棒。
- 前記マスキング部材は、複数のパターン形成穴を有することを特徴とする請求項3に記載のミシンの針棒。
- 請求項1〜5の何れかに記載のミシンの針棒を備えたミシン。
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