JP2005172083A - 摺動部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐久性と耐摩耗性に優れた摺動部品を提供する。
【解決手段】 天秤の天秤軸25の摺動部33には、Cr被膜31とDLC被膜32が形成され、そのDLC被膜32は一部が除去されて潤滑剤溜35が形成されている。天秤軸25に対する連結部材22の相対速度が大きくなる摺動部33の中段部分では、摺動部33の表面に対して潤滑剤溜35の面積比率が大きくなるように、また、天秤軸25に対する連結部材22からの圧力が大きくなる天秤軸25の上下両端部分では、摺動部33の表面に対して潤滑剤溜35の面積比率が小さくなるように潤滑剤溜35が形成されている。従って、潤滑剤が多量に必要な摺動部33の中段部においては多量の潤滑剤が溜められ、圧力が大きい上下両端部ではDLC被膜32を多く残して摺動部33が連結部材22から受ける面圧を下げることで、耐久性と耐摩耗性を高めることができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は摺動部品に関し、特に、摺動部の表面に硬質被膜を形成し、その硬質被膜に潤滑剤溜を形成した摺動部品に関するものである。
従来、ミシンなどの種々の装置には、複数の摺動部品が摺動自在に組み付けられていることが多く、これらの摺動部品においては、相手方の摺動部品が摺動する摺動部の焼き付けを防止したり摩耗を軽減するために、摺動部に潤滑剤を供給したり、摺動部の表面に耐摩耗性に優れた被膜を形成するのが一般的である。
例えば、特許文献1には、ミシンの針棒の摺動部分に耐摩耗性被膜として、摩擦係数が低く且つ高硬度のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜が形成されている。しかし、潤滑剤として潤滑油を用いる場合、このDLC被膜は潤滑油をはじく性質を有するので、摺動部に供給された潤滑油が直ぐに流出してしまう。そこで、特許文献1の摺動部品においては、DLC被膜が形成された摺動部の全域に亙って均一に油溝を形成し、潤滑油を油溝に溜めることで潤滑油の流出を極力防止し、摺動部の摺動性能を維持するように構成された摺動部品が開示されている。
特開2003−247691号公報
しかし、特許文献1の摺動部品においては、DLC被膜が形成された摺動部に均一に油溝が形成されているが、摺動部の位置によって潤滑剤の必要な量などが異なるため、摺動部の全域において耐久性と耐摩耗性を高めているとは言い難い。例えば、針棒支持部材に支持されて針棒は上下方向に往復摺動するが、針棒の往復摺動の中段位置はその上限位置と下限位置に対し摺動速度が大きいため、その中段位置において針棒支持部材と接触する針棒の部分は焼き付きを起こしやすく、多くの潤滑剤が必要となる。その結果、摺動部の表面のうちの焼き付きを起こしやすい部分では、摺動部の表面に対する油溝の面積比率を大きくする必要がある。
しかし、摺動速度が大きい部分と同様の油溝の面積比率で針棒支持部材から大きい圧力を受ける部分に油溝を形成すると、それ以外の部分に比べて面圧が高くなり当該部分の摩耗が進行し、耐摩耗性が低下する。逆に、針棒支持部材から大きい圧力を受ける部分の面圧を下げる為に、その他の部分の油溝の面積比率を均一に下げると、摺動速度が大きい状態で針棒支持部材に接触する針棒の部分に必要な量の潤滑剤が供給されず、焼き付きが起こり、耐久性が低下する。
本発明の目的は、摺動速度や圧力を加味して潤滑剤溜を形成することで耐久性と耐摩耗性に優れた摺動部品を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、表面の少なくとも一部に相手方の摺動部品が摺動する摺動部を有し、前記摺動部に潤滑剤が供給された状態で摺動する摺動部品において、前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、前記硬質被膜には潤滑剤が溜められる潤滑剤溜が形成され、前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対速度が小さい部分よりも大きい部分の方が大きいものである。
この摺動部品によれば、表面の少なくとも一部に摺動部を有し、その摺動部の表面の硬質被膜に形成された潤滑剤溜に供給された潤滑剤が溜められ、その溜められた潤滑剤が潤滑剤溜から摺動部の表面に供給されつつ、相手方の摺動部品が摺動部で摺動する。摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対速度が大きい部分では摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率が大きいため、相対速度の大きい部分の潤滑剤溜には多量の潤滑剤が溜められるので、潤滑剤が切れることなく摺動部に供給され、摺動部と相手方の摺動部品との間には常に潤滑剤が介在した状態で、相手方の摺動部品が摺動部を摺動する。
請求項2の発明は、表面の少なくとも一部に相手方の摺動部品が摺動する摺動部を有し、前記摺動部に潤滑剤が供給された状態で摺動する摺動部品において、前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、前記硬質被膜には潤滑剤が溜められる潤滑剤溜が形成され、前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が小さい部分よりも大きい部分の方が小さいものである。
この摺動部品によれば、表面の少なくとも一部に摺動部を有し、その摺動部の表面の硬質被膜に形成された潤滑剤溜に供給された潤滑剤が溜められ、その溜められた潤滑剤が潤滑剤溜から摺動部の表面に供給されつつ、相手方の摺動部品が摺動部で摺動する。摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が大きい部分では摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率が小さいため、圧力が大きい部分では潤滑剤溜が形成されていない摺動部の表面積が大きくなり、摺動部と相手方の摺動部品とが接触して荷重支持する面積が大きくなるので、面圧が低く維持され、耐摩耗性が向上する。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が小さい部分よりも大きい部分の方が小さいものである。この摺動部品によれば、請求項1,2の欄で説明した作用を複合させたような作用を得られる。
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記摺動部品の摺動部に対して前記相手方の摺動部品が往復摺動するものであって、前記潤滑剤溜の面積比率は、前記摺動部の中央部分においてはその両端部分よりも大きいものである。
この摺動部品によれば、摺動部品の摺動部に対して往復摺動する相手方の摺動部品は摺動部の中央部分で摺動部品に対する相対速度が最大となるが、その中央部分は両端部分よりも潤滑剤溜の面積比率が大きく多量の潤滑剤が溜められるため、潤滑剤が切れることがなく、摺動部と相手方の摺動部品との間に常に潤滑剤が介在した状態で摺動する。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記摺動部の両端部にも潤滑剤溜が形成されているものである。この摺動部品によれば、前記潤滑剤溜の面積比率の小さい摺動部の両端部分に形成された潤滑剤溜から中央部分に比べ少量の潤滑剤が供給されつつ、相手方の摺動部品が低速で摺動する。
請求項6の発明は、請求項1〜3の何れかの発明において、前記摺動部品の摺動部に対して前記相手方の摺動部品が一方向回転摺動するものである。この摺動部品によれば、摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対回転速度が大きい部分においては、前記潤滑剤溜の面積比率が大きくなるように潤滑剤溜が形成され、また、大きい圧力が作用する部分においては前記潤滑剤溜の面積比率が小さくなるように潤滑剤溜が形成されている。
請求項1の発明によれば、少なくとも摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対速度が大きい部分では小さい部分よりも潤滑剤溜の面積比率が大きいので、多量の潤滑剤が溜められて摺動部品の摺動部と相手方の摺動部品との間に常に潤滑剤が介在した状態で相手方の摺動部品が摺動するので、摺動性能を高め、焼き付けを防止し、摺動部品の耐久性を高めると共に摩耗を防止し耐摩耗性を高めることができる。前記相対速度が小さく、焼き付けが起こりにくい部分においては、潤滑剤溜の面積比率を低いため、溜める潤滑剤の量を節減することができる。
請求項2の発明によれば、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力の大きい部分では小さい部分よりも潤滑剤溜の面積比率が低いので、摺動部と相手方の摺動部品が接触し荷重支持する面積が大きいため、相手方の摺動部品から受ける摺動部の面圧を下げることができ、摺動部品の摩耗を大幅に削減し、耐摩耗性を高めることができる。また、上述したように潤滑剤溜の面積比率を低くする、即ち、潤滑剤溜を少なくすることで、大きい圧力を受ける部分に供給された潤滑剤の全てが潤滑剤溜に流入することなく、一部の潤滑剤が摺動部の表面に残されるので、潤滑性能を高めて耐久性を向上させることができる。
請求項3の発明によれば、請求項1と請求項2の効果と同様の効果を奏することができる。
請求項4の発明によれば、中央部分で低速で往復摺動する摺動部品において、請求項1又は請求項2と同様の効果を奏することができる。
請求項5の発明によれば、摺動部品が停止又は低速になる両端部分においては少量の潤滑剤により耐久性を高めることができる。
請求項6の発明によれば、一方向回転摺動する摺動部品において請求項1又は請求項2と同様の効果を奏することができる。
本願の発明は、表面の少なくとも一部に相手方の摺動部品が摺動する摺動部を有し、前記摺動部に潤滑剤が供給された状態で摺動する摺動部品において、前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、前記硬質被膜には潤滑剤が溜められる潤滑剤溜が形成され、前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対速度が小さい部分よりも大きい部分の方が大きいか、または、前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が小さい部分よりも大きい部分の方が小さいことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。本実施例は、2本針ミシンの天秤に本発明を適用した一例である。尚、以下の説明において、図1に示すように前後左右を定義する。最初に、2本針ミシン1について簡単に説明する。図1に示すように、2本針ミシン1は、左右方向に長いベッド部2と、このベッド部2の右端部から上方に延びる脚柱部3と、脚柱部3からベッド部2と対向するように左方へ延びるアーム部4とを備えている。
図1に示すように、アーム部4には左右方向向きに主軸10が配設され、この主軸10の下方には主軸10と略平行に針棒揺動軸11が配設されている。主軸10の右端部は、アーム部4から外部へ突出し、その突出部分には手動用のプーリ12が設けられている。この主軸10はミシンモータ(図示略)により回転駆動される。
図1,図2に示すように、アーム部4の左端部分のアーム頭部には、クランク13と、クランクレバー14と、針棒抱き15と、針棒16と、針棒支持部材17と、天秤18を有する天秤機構19などが設けられている。
クランク13は、主軸10の左端部に固着され主軸10と共に回転駆動される。クランクレバー14のヘッド部14aは、クランク13から左方に延びる連結軸13aに回動可能に連結され、クランクレバー14の下端部は針棒抱き15に回動可能に連結されている。針棒16は円柱状に形成され、その中段部分には針棒抱き15が固定され、針棒支持部材17の上端部と下端部で摺動可能に支持されている。針棒16の下端部は、アーム部4のミシンフレームから下方へ突出し2本針21が装着されている。
従って、ミシンモータの回転駆動力が主軸10を介してクランク13に伝達されると、その回転駆動力がクランクレバー14を介して針棒抱き15に伝達されて、針棒抱き15が針棒16と2本針21と共に上下方向に往復駆動され、針棒16は針棒揺動軸11が揺動駆動されることにより、針棒支持部材17と共に前後水平方向に揺動駆動される。
図2に示すように、天秤機構19は、天秤(摺動部品に相当)18と、連結部材(相手方の摺動部品に相当)22と、天秤18を回動可能にミシンフレームに支持する回動軸23とを備えている。連結部材22は、クランクレバー14のヘッド部14aの左端部に回動可能に連結され、天秤軸25に摺動可能に支持されている。天秤18は、下端部の円柱状の天秤軸25と上糸が掛けられる天秤部26とを有する。図3,図4に示すように、天秤軸25は、鋼製の円柱ロッド状の基材30の表層部にCr(クロム)被膜31とDLC被膜32とを形成した構造を備えている。尚、Cr被膜31とDLC被膜32が硬質被膜に相当する。
Cr被膜31は、基材30の表面からDLC被膜32が剥離するのを防ぐために基材30の表面のうちの、連結部材22が摺動する摺動部33となる部分に、約0.5μmの厚さで形成されている。このCr被膜31は、後述するように潤滑剤溜35を形成するためにDLC被膜32の一部が除去されても除去されずに残るので、基材30を酸化や破損等から保護することができる。
DLC被膜32は、Cr被膜31の表面に厚さ約5μmの厚さに形成されている。このDLC被膜32は、被膜形成時の水素含有量によって硬度の調整をすることができ、HV(ビッカース硬さ)を数100からダイヤモンドのHVに近い8000程度の高硬度被膜に形成することができ、本実施例では、Cr被膜31(HV200)や基材30(浸炭焼き入れによりHV600)よりも高硬度なHV1000以上のDLC被膜32が形成されている。DLC被膜32の摩擦係数は、約0.1以下であり、耐摩耗性及び摺動性において非常に優れた被膜である。尚、Cr被膜31とDLC被膜32の厚さや硬さは一例に過ぎず、前記の値よりも小さくても大きくてもよい。
図3,図4に示すように、DLC被膜32には、供給される潤滑油からなる潤滑剤40を溜めて潤滑剤40の保持性能を高めるために、Cr被膜31まで貫通された複数の凹部34からなる潤滑剤溜35が形成されている。これら複数の凹部34は、周方向90°間隔で上下方向に一列に配列されている。また、各凹部列においては、摺動部33の中段部分に形成された各凹部34の上下間隔は狭く配設され、摺動部33の上端部分と下端部分に近づくにつれて各凹部34の上下間隔が広がるように凹部34が配設されている。
つまり、天秤軸25の摺動部33を摺動する連結部材22の天秤軸25に対する相対速度が大きくなる摺動部33の中段部分は、摺動部33の表面に対して潤滑剤溜35の面積比率が大きく、摺動部33の上端部分又は下端部分に近づくにつれて潤滑剤溜35の面積比率が小さくなるように潤滑剤溜35が配設されている。従って、潤滑剤溜35の面積比率が大きい摺動部33の中段部分では、溜められる潤滑剤40の量が多く潤滑剤40が切れることがないため、摺動する連結部材22と摺動部33の中段部分は固体接触することがなく潤滑剤40を介して接触し、焼付けを防止し耐久性が高められる。
一方、円軌道Aを回転駆動する連結部材22から受ける圧力が大きくなる摺動部33の上端部分と下端部分においては、潤滑剤溜35の面積比率が小さく除去されずに残ったDLC被膜32の表面積が大きいため、連結部材22から受ける圧力が分散されてDLC被膜32の荷重支持部分に作用する面圧が小さくなり、DLC被膜32の摩耗の進行速度が非常に遅い。また、大きい圧力が作用すると潤滑剤40の油圧も大きくなり、潤滑剤溜35に潤滑剤40が流入しやすくなるが、潤滑剤溜35が少ないため、全ての潤滑剤40が潤滑剤溜35に流入することなく、DLC被膜32の表面に残される。
次に、天秤機構19の作用について説明する。この天秤機構19によると、ミシンモータの回転駆動力によりクランク13が回転駆動されると、クランク13の連結軸13aがヘッド部14a及び連結部材22と共に、図2に示す円軌道Aで回転駆動され、この回転駆動により連結部材22が天秤軸25にガイドされて略上下方向に往復摺動され、この往復摺動によって天秤18が回動軸23の周りで揺動駆動されて、上糸が引き締められる。
次に、天秤18、特に天秤軸25の製造方法について簡単に説明する。最初に、鋼製のの基材30を天秤18の形状に合わせて製作し、基材30の表面のうちの摺動部33となる部分にCr被膜31と、そのCr被膜31の表面にDLC被膜32を真空中でUBMスパッタリングにより連続的に成膜する。具体的には、最初に、Crをターゲットとしてスパッタリングを行い、Cr被膜31を所定の厚さに成膜し、次に、Crのスパッタリングを継続しつつ、グラファイトをターゲットとするスパッタリングを同時並行的に行い、このグラファイトに対するCrのスパッタ率を徐々に小さくし、グラファイトのスパッタ率が徐々に大きくなるように移行して、Cr被膜31の表面にDLC被膜32を成膜する。
次に、図5に示すように、Cr被膜31とDLC被膜32が形成された天秤軸25に、菱形の穴46が形成されたアルミニウム製のマスキング部材47を略密着状に外嵌し、この状態で、マスキング部材47から露出しているDLC被膜32を酸素プラズマによってCr被膜31が露出するまでプラズマエッチングして潤滑剤溜35を形成し、天秤軸25が完成する。
次に、上述した天秤18の天秤軸25の作用及び効果について説明する。
上述した天秤軸25においては、摺動部33の表面に対する潤滑剤溜35の面積比率が上下両端部分に比べ摺動部33の中段部分の方が大きいため、連結部材22の摺動速度が最大になる摺動部33の中段部分では潤滑剤40が切れることがなく、摺動部33と連結部材22との間に常に潤滑剤40が介在された状態で連結部材22が摺動するので、潤滑性能を高め、摺動部33と連結部材22との焼き付けを防止し、天秤軸25の耐久性を高めることができる。
連結部材22から大きい圧力を受ける摺動部33の上下両端部分は、摺動部33の表面に対して潤滑剤溜35の面積比率が小さいので、除去されずに残ったDLC被膜32が多く、連結部材22から受ける大きい圧力を分散させて摺動部33に作用する面圧を下げることができるので、DLC被膜32の表面の摩耗を減少させ、耐摩耗性を高めることができる。また、摺動部33の上下両端部分において、前記潤滑剤溜35の面積比率を小さくする、即ち、潤滑剤溜35を減らすことで、連結部材22から大きな圧力を受ける潤滑剤40が全て潤滑剤溜35に流入することなく、一部の潤滑剤40が摺動部33に残されるので、摺動部33の潤滑性能を高めることができる。
次に、上述した実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1)上述した実施例においては、天秤軸25に沿って直線的に往復摺動する連結部材22に本発明を適用したが曲線的又は回転的に往復摺動する摺動部品に適用してもよい。以下、図面を参照して2例記載する。
1−a)図6に示すように、内部に軸穴50が形成された軸受51(相手方の摺動部品に相当)と、軸穴50の内径よりも外径が小さく内角が240°の回転軸52(摺動部品に相当)を備え、前記回転軸52はその下端部分近傍のみが軸穴50の内周面と接触しつつ、図6に示す中心位置から矢印53に示す方向に夫々120°ずつ、回転軸52の軸心を中心として自転摺動される構成において、回転軸52の外周面のうち、低速で自転摺動している状態で軸穴50の内周面と接触するエッジ部分52Aの近傍よりも高速で自転摺動している状態で軸穴50の内周面と接触する中央部分52Bの近傍の方が回転軸52の外周部(摺動部に相当)の表面に対する潤滑剤溜の面積比率が大きくなるように、回転軸52の外周部に潤滑剤溜(図示略)が形成されている。
1−b)図7に示すように、U字状のガイド溝55が形成されたガイド部材56(摺動部品に相当)と、ガイド溝55にガイドされつつ揺動される揺動軸57とを備えた構成において、揺動軸57が低速で揺動するガイド溝55の両端部分よりも揺動軸57が高速で摺動するガイド溝55の中央部分の方がガイド溝55の内周部(摺動部に相当)の表面に対する潤滑剤溜の面積比率が大きくなるように、ガイド溝55の内周部に潤滑剤溜(図示略)が形成されている。
2)上述した実施例においては、連結部材22が上下方向に往復摺動する天秤18の天秤軸25に本発明を適用したが、一方向回転摺動する部材に本発明を適用してもよい。以下、図面を参照して2例説明する。
2−a)クランク13から延びる連結軸13aに本発明を適用してもよい。この連結軸13aは、クランクレバー14のヘッド部14aに内嵌された状態で、図2の軌道A上を回転駆動されるが、このクランクレバー14は針棒16へ駆動力を伝達するため、針棒16の下端に取り付けられた2本針21が加工布に刺さっている状態と、刺さっていない状態ではクランクレバー14のヘッド部14aから受ける圧力が異なり、連結軸13aの表面のうち大きい圧力を受ける部分と小さい圧力を受ける部分とがある。従って、強い圧力を受ける部分においては、連結軸13aの表面に対する潤滑剤溜の面積比率を小さくし、その他の部分では前記面積比率を大きくなるように潤滑剤溜を形成してもよい。
2−b)図8に示すように、軸受60に回転可能に支持される二段軸61において、二段軸61の大径部61aは小径部61bよりも高速で回転されるので、大径部61aの外周部には小径部61bの外周部よりも潤滑剤溜(図示略)の面積比率を小さくなるように潤滑剤溜を形成してもよい。
3)上述した実施例においては、摺動部33にDLC被膜32を形成したが、DLC被膜32の代わりにCrN被膜などの種々の硬質被膜を形成してもよく、硬質被膜は特に限定するものではない。
4)上述した実施例においては、基材30とDLC被膜32との間にCr被膜31を形成したが、このCr被膜31は、必須の構成ではなく適宜省略可能である。但し、Cr被膜を省略する場合には、基材を保護するために基材が露出しない程度にDLC被膜を除去して潤滑剤溜を形成することが望ましい。このように構成しても、DLC被膜はエッチングによりその性質が変化し、潤滑油をはじく性質が弱められ、潤滑油の付着性が高められるため潤滑油の保持性能を高めることができる。
5)上述した実施例におけるCr被膜31の代わりに、W(タングステン)被膜,Ti(チタン)被膜,Si(シリコン)被膜,Ni(ニッケル)被膜などを適用してもよい。
6)上述した実施例においては、Cr被膜31が露出するまでDLC被膜32を除去したが、Cr被膜が露出しない程度にDLC被膜を除去して潤滑剤溜を形成してもよい。
7)上述した実施例においては、凹部34を菱形に形成したが、凹部34の形状は円状、矩形状、三角形状、又は格子状や連続的な溝状など種々の形状を適用することができ、所望の形状に応じて変更可能である。但し、溝状に凹部を形成する場合、溝の長さを長くすると潤滑剤が溝に沿って流れて流出しやすくなり、潤滑性を高めにくくなる。また、凹部34の列を周方向に90°間隔で形成したが、180°間隔、120°間隔など等間隔に形成してもよく、各凹部34の列の間隔を異ならせて形成してもよい。
9)上述した実施例においては、DLC被膜32をプラズマエッチングにより除去して潤滑剤溜35を形成したが、集束イオンビームやレーザなどにより除去してもよい。集束イオンビームのイオン源としては液体ガリウムなどを適用することができる。また、使用するレーザとしては、フェムト秒レーザ(レーザの波長が870nm,パルス幅がフェムト秒)、紫外線レーザ(レーザの波長が紫外線領域。例えば、パルス幅が20〜100nmであって、波長が353nmのTHG−YAGレーザ,波長が265nmのFHG−YAGレーザなどの固体レーザ)、エキシマレーザ(波長が308nm又は248nm,パルス幅が20〜30nm)などが考えられる。このように、集束イオンビームやレーザによりDLC被膜を除去する場合には、摺動部品にマスクキング部材をマスクする必要がないので、DLC被膜の除去工程を簡単化することができる。
10)上述した実施例においては、エッチングによりDLC被膜32を除去して潤滑剤溜を形成したが、ヤスリ、サンドペーパ又はショットブラストなどによりDLC被膜を除去して潤滑剤溜を形成してもよい。
11)上述した実施例においては、DLC被膜32を形成した後、DLC被膜32の一部を除去して潤滑剤溜を形成したが、基材にマスキング部材を取り付けた状態で、マスキング部材から露出されている部分にDLC被膜を形成し、マスキング部材に覆われてDLC被膜が形成されず、DLC被膜が形成された部分に対して凹んだ凹部を潤滑剤溜としてもよい。
尚、本発明はミシンの天秤以外に、往復摺動や一方向回転摺動する種々の機械類の摺動部品に適用することができる。即ち、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更例をも包含するものである。
本発明の実施例に係る2本針ミシンのアーム部内の内部機構を示す斜視図である。 前記内部機構を示す左側面図である。 天秤軸とその潤滑剤溜の要部拡大図である。 天秤軸の潤滑剤溜近傍部の要部拡大断面図である。 天秤とマスキング部材を示す図である。 変更例に係る回転軸と軸受を示す図である。 変更例に係るガイド部材と揺動軸を示す図である。 変更例に係る軸受と二段軸を示す図である。
符号の説明
18 天秤
22 連結部材
25 天秤軸
30 基材
31 Cr被膜
32 DLC被膜
33 摺動部
35 潤滑剤溜
40 潤滑剤

Claims (6)

  1. 表面の少なくとも一部に相手方の摺動部品が摺動する摺動部を有し、前記摺動部に潤滑剤が供給された状態で摺動する摺動部品において、
    前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、
    前記硬質被膜には潤滑剤が溜められる潤滑剤溜が形成され、
    前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の相対速度が小さい部分よりも大きい部分の方が大きいことを特徴とする摺動部品。
  2. 表面の少なくとも一部に相手方の摺動部品が摺動する摺動部を有し、前記摺動部に潤滑剤が供給された状態で摺動する摺動部品において、
    前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、
    前記硬質被膜には潤滑剤が溜められる潤滑剤溜が形成され、
    前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が小さい部分よりも大きい部分の方が小さいことを特徴とする摺動部品。
  3. 前記摺動部の表面に対する潤滑剤溜の面積比率は、摺動部品に対する相手方の摺動部品の圧力が小さい部分よりも大きい部分の方が小さいことを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
  4. 前記摺動部品の摺動部に対して前記相手方の摺動部品が往復摺動するものであって、
    前記潤滑剤溜の面積比率は、前記摺動部の中央部分においてはその両端部分よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の摺動部品。
  5. 前記摺動部の両端部分にも潤滑剤溜が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の摺動部品。
  6. 前記摺動部品の摺動部に対して前記相手方の摺動部品が一方向回転摺動するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の摺動部品。
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