JP2005168690A - 摺動部品 - Google Patents

摺動部品 Download PDF

Info

Publication number
JP2005168690A
JP2005168690A JP2003411234A JP2003411234A JP2005168690A JP 2005168690 A JP2005168690 A JP 2005168690A JP 2003411234 A JP2003411234 A JP 2003411234A JP 2003411234 A JP2003411234 A JP 2003411234A JP 2005168690 A JP2005168690 A JP 2005168690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grease
grease reservoir
sliding
thickener
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003411234A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Kitamura
哲弥 北村
Hikoharu Aoki
彦治 青木
Hideki Namigata
英樹 波形
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2003411234A priority Critical patent/JP2005168690A/ja
Priority to CN 200410102260 priority patent/CN1626717B/zh
Publication of JP2005168690A publication Critical patent/JP2005168690A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 グリースの保持性能に優れ、耐久性に優れる摺動部品を提供する。
【解決手段】 グリース40が供給される天秤の天秤軸25には、連結部材が摺動する摺動部が形成され、この摺動部は、基材30の表層部にCr被膜31とDLC被膜32とを形成されている。DLC被膜32には、グリース40の増ちょう剤41の直径よりも深い凹部34からなるグリース溜35が形成されている。グリース溜35は、増ちょう剤41の直径よりも深いため、グリース溜35に入り込んだ増ちょう剤41を確実に保持し、グリース40の保持性能を向上させ、摺動部の焼き付きを防ぎ、天秤軸25の耐久性を高めることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は摺動部品に関し、特にグリースの保持能力に優れた摺動部品に関するものである。
従来、ミシンなどの種々の装置には、複数の摺動部品が摺動自在に組付けられていることが多く、これらの摺動部品においては、その摺動部の焼き付けを防止したり、摩耗を軽減するために、摺動部に潤滑剤を供給したり、摺動部の表面に耐摩耗性の高い被膜を形成するのが一般的である。
例えば、特許文献1には、ミシンの針棒の摺動部分に耐摩耗性被膜として、摩擦係数が低く且つ高硬度のDLC被膜(ダイヤモンドライクカーボン被膜)が形成されている。しかし、潤滑剤として潤滑油を用いた場合、DLC被膜は潤滑油をはじくので、供給された潤滑油が直ぐに流出する。そこで、特許文献1の発明では、DLC被膜に油溝を形成し、潤滑油を油溝に溜めることで潤滑油の流出を極力防止し、摺動部の潤滑性能を維持するようにした摺動部品が開示されている。
特開2003−247691号公報
しかし、DLC被膜に油溝を形成しても、潤滑油は液状であり軟らかいため、摺動部から潤滑油が流出しやすく、潤滑油の保持性能を向上させるには限界がある。そこで、潤滑剤として、繊維状の増ちょう剤を潤滑油の中に分散させた固体状又は半固体状のグリースを採用することも考えられる。増ちょう剤は、一般に直径0.1μm程度の繊維状に形成され、液架橋力やファンデルワールス力によって潤滑油を保持し、グリースを固体状又は半固体状にして、潤滑油の保持性能を向上させることができる。
しかし、上述した油溝が、繊維状の増ちょう剤の直径よりも浅い場合には、油溝にグリースが充填したとしても、増ちょう剤の一部が油溝から突出するため、摺動部を摺動する他方の摺動部品に引っ張られて増ちょう剤が油溝から飛び出してしまい、グリースの保持性能がたいして向上しないといった問題がある。これとは反対に、油溝を深く形成すると、グリースが油溝から摺動部へと供給されにくくなり、潤滑性能が悪化するといった問題が生じる。
本発明の目的は、グリースの保持性能に優れ、耐久性に優れる摺動部品を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、表面の少なくとも一部に摺動部を有し、前記摺動部に繊維状の増ちょう剤を含むグリースが供給された状態で摺動される摺動部品において、前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、前記硬質被膜には、繊維状の増ちょう剤の直径よりも深いグリース溜が形成されているものである。
この摺動部品によれば、表面の少なくとも一部に形成された摺動部にグリースが供給されると、グリースに含まれる繊維状の増ちょう剤が、その直径よりも深いグリース溜であって、硬質被膜に形成されたグリース溜に入り込み、この増ちょう剤によってグリースがグリース溜で保持された状態で、摺動部品が摺動される。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記硬質被膜はDLC被膜からなるものである。この摺動部品によれば、高硬質で摩擦係数が非常に低いDLC被膜が形成された摺動部で摺動される。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記グリース溜の深さは0.5μm以上である。この摺動部品によれば、0.5μm以上の深さに形成されたグリース溜に、一般に0.1μm前後の太さの繊維状の増ちょう剤が入り込み、この増ちょう剤によってグリースがグリース溜に保持される。従って、0.5μmより浅いグリース溜に入り込んだ増ちょう剤のように他の摺動部品に引っ張られて増ちょう剤が流れ出すことがない。
請求項4の発明は、請求項1〜3何れかの発明において、前記グリース溜の深さは20μm以下である。この摺動部品によれば、20μm以下の深さに形成されたグリース溜に増ちょう剤により保持されたグリースが、摺動部の表面に適度に供給された状態で、衝動部品が摺動される。即ち、20μmより深いグリース溜のように、グリース溜に溜められたグリースが摺動部に供給されないといったことがない。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れかの発明において、前記増ちょう剤は、ひまし油の脂肪酸を用いて生成された金属塩である。この摺動部品によれば、増ちょう剤は金属塩からなり、この金属塩はひまし油の脂肪酸を用いて生成される。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記金属塩はリチウム塩である。この摺動部品によれば、増ちょう剤を構成するリチウム塩がひまし油の脂肪酸から生成される。
請求項1の発明によれば、繊維状の増ちょう剤の直径よりも深いグリース溜が形成されているため、グリース溜に入り込んだ増ちょう剤が他方の摺動部品により引っ張られることがほとんどないため、増ちょう剤がグリース溜から飛び出すことがなく、グリース溜によるグリースの保持性能を向上させることができ、摺動部品の焼き付きを防ぎ、摺動部の耐久性を高めることができる。また、グリースの保持性能の向上に伴い、グリースを供給する労力や時間を大幅に削減することができる。
請求項2の発明によれば、摺動部を高硬質で摩擦係数が非常に低いDLC被膜によって構成することで、摺動部品の耐久性や耐摩耗性を高めることができる。
請求項3の発明によれば、グリース溜の深さを一般的な増ちょう剤の直径である0.1μmよりも深い0.5μm以上にするので、増ちょう剤を確実にグリース溜で保持し、グリースの保持性能を向上させることができる。
請求項4の発明によれば、グリース溜の深さを20μm以下にすることで、グリース溜に溜められたグリースを摺動部の表面に適度に供給することができ、摺動部の潤滑性を安定させることができる。
請求項5の発明によれば、増ちょう剤の直径を細く形成することができるひまし油を用いて生成した金属塩を増ちょう剤として適用することで、グリース溜を浅くし、また、硬質被膜を薄くすることもでき、製造コストの削減や製造時間の削減を実現することができる。
請求項6の発明によれば、細く形成することができるリチウム塩を増ちょう剤として適用することで、グリース溜を浅くし、また、硬質被膜を薄くすることもでき、製造コストの削減や製造時間の削減を実現することができる。
本願の発明は、表面の少なくとも一部に摺動部を有し、前記摺動部に繊維状の増ちょう剤を含むグリースが供給された状態で摺動される摺動部品において、前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、前記硬質被膜には、繊維状の増ちょう剤の直径よりも深いグリース溜が形成されていることを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。本実施例は、2本針ミシンの天秤に本発明を適用した一例である。尚、以下の説明において、図1に示すように前後左右を定義する。最初に、2本針ミシン1について簡単に説明する。図1に示すように、2本針ミシン1は、左右方向に長いベッド部2と、このベッド部2の右端部から上方に延びる脚柱部3と、脚柱部3からベッド部2と対向するように左方へ延びるアーム部4とを備えている。
図1に示すように、アーム部4の内部には、左右方向向きに主軸10が配設され、この主軸10の下方には主軸10と略平行に針棒揺動軸11が配設されている。主軸10の右端部は、アーム部4から外部へ突出し、その突出部分には手動用のプーリ12が固着されている。この主軸10はミシンモータ(図示略)により回転駆動される。
図1,図2に示すように、アーム部4の左端部分のアーム頭部には、クランク13と、クランクレバー14と、針棒抱き15と、針棒16と、針棒支持部材17と、天秤18を有する天秤機構19などが設けられている。
クランク13は、主軸10の左端部に固着され主軸10と共に回転駆動される。クランクレバー14のヘッド部14aは、クランク13から左方に延びる連結軸13aに回動可能に連結され、クランクレバー14の下端部は針棒抱き15に回動可能に連結されている。針棒16は円柱状に形成され、その中段部に針棒抱き15が固定され、針棒支持部材17の上端部と下端部で摺動可能に支持されている。針棒16の下端部は、アーム部4から下方へ突出し、2本針21が装着されている。
従って、ミシンモータの回転駆動力が、主軸10を介してクランク13に伝達されると、その回転駆動力がクランクレバー14を介して針棒抱き15に伝達されて、針棒抱き15が針棒16及び2本針21と共に上下に往復駆動され、針棒16は、針棒揺動軸11が揺動駆動されることにより、針棒支持部材17と共に前後水平方向に揺動駆動される。
図2に示すように、天秤機構19は、天秤18(摺動部品に相当)と、連結部材22と、天秤18を回動可能にミシンフレームに支持する回動軸23とを備えている。連結部材22は、クランクレバー14の左端部に回動可能に連結され、天秤軸25に摺動可能に支持されている。天秤18は、下端部の円柱状の天秤軸25と、上糸が掛けられる天秤部26とを有する。図3,図4に示すように、天秤軸25は、鋼製の円柱ロッド状の基材30の表層部に、Cr(クロム)被膜31とDLC被膜32とを形成した構造を備えている。尚、Cr被膜31とDLC被膜32が硬質被膜に相当する。
Cr被膜31は、基材30の表面からDLC被膜32が剥離するのを防ぐために、基材30の表面のうちの摺動部33となる部分に、約0.5μmの厚さで形成されている。このCr被膜31は、後述するようにグリース溜35を形成するためにDLC被膜32の一部が除去されても除去されずに残るので、基材30を酸化や破損などから保護することができる。
DLC被膜32は、Cr被膜31の表面に約5μmの厚さで形成されている。このDLC被膜32は、被膜形成時の水素含有量によって硬度の調整をすることができ、HV(ビッカース硬さ)を、数100からダイヤモンドのHVに近い8000程度の高硬度被膜に形成することができ、本実施例では、Cr被膜(HV200)や基材(浸炭焼き入れによりHV600)よりも高硬度なHV1000以上のDLC被膜32が形成されている。DLC被膜32の摩擦係数は、約0.1以下であり、耐摩耗性及び摺動性において非常に優れた被膜である。尚、Cr被膜31とDLC被膜32の厚さは一例に過ぎず、前記の値よりも小さくてもよく大きくてもよい。
DLC被膜32には、グリース40を溜めてグリース40の保持性能を向上させるために、Cr被膜31まで貫通され、増ちょう剤41の直径(約0.1μm)よりも深く且つ20μm以下の深さの複数の凹部34からなるグリース溜35が形成されている。これらグリース溜35を、グリース40に含まれる増ちょう剤41の直径よりも深く形成することで、増ちょう剤41をグリース溜35に保持し、グリース40の保持性能を向上させている。これら複数の凹部34は、周方向90°間隔で上下方向(軸方向)に所定高さずれたパターンとなるように配設されている。各凹部34は菱形状に形成され、図4に示すように、グリース溜35からの潤滑油43の流出性を高めるために、開口面に対して底面がやや小さく形成され、摺動部33の表面36と凹部34の側壁面37との間の角度が約120°になっている。
次に、図5を参照してグリース溜35の深さと天秤軸25の寿命比について定量的に説明する。図5に示す寿命比は、DLC被膜32にグリース溜35を形成しない場合を「1」とした比である。ここで採用されたグリース40は、ひまし油の硬化脂肪酸を用いて生成されたリチウム塩からなる直径約0.1μm程度の繊維状に形成された増ちょう剤41と、エステル系合成油(粘度11mm/s)からなる潤滑油43と、潤滑油43の酸化防止用の添加剤(図示略)からなるものである。
図5に示すように、グリース溜35は、深さ0.5μm〜20μmに形成することが望ましい。グリース溜35の深さを0.5μm以下、即ち、増ちょう剤41の直径の値よりも浅いか少し深い程度にすると、増ちょう剤41がグリース溜35に充填されたとしても、増ちょう剤41の多くがグリース溜35からたちまち流出することになり、摺動部33を摺動する連結部材22に引っ張られて、これらの増ちょう剤41がグリース溜35から流れ出してしまい、グリース溜35によるグリース40の保持性能が低下してグリース40が直ぐに流出してしまう。従って、摺動部33の潤滑性能が低くなり摺動部33が焼き付き易くなり、天秤軸25の耐久性を高めることが困難である。
これとは反対に、グリース溜35の深さを20μm以上にすると、グリース溜35に溜められたグリース40の潤滑油43がグリース溜35から供給されにくくなり、摺動部33の表面への潤滑油43の供給が減少し、摺動部33の潤滑性が低下して摺動部33が焼き付き易くなり、天秤軸25の耐久性を高めることが困難である。しかも、グリース溜35を深さ20μm以上に形成するためには、DLC被膜32を20μm以上の厚さで形成する必要があるが、DLC被膜32を20μm以上形成することは困難であり、製造コストの増大といった問題も生じる。
一方、グリース溜35の深さを0.5〜20μmで形成すると、グリース溜35に増ちょう剤41を保持することができ、その結果、グリース溜35における潤滑油43の保持性能を向上させることができると共に、グリース溜35の側壁面37を登って摺動部33の表面に潤滑油43を適度に供給させて、潤滑性能を向上させることができ、天秤軸25の耐久性を大幅に高めることができる。特に、図5から判るように、グリース溜35の深さを5μm程度に形成すると、グリース溜35を形成しない場合と比較して寿命が約4倍になる。
次に、天秤機構19の作用について説明する。ミシンモータの回転駆動力によりクランク13が回転されると、クランク13の連結軸13aがヘッド部14a及び連結部材22と共に、図2に示す円軌道Aで回転駆動され、この回転駆動により連結部材22が天秤軸25にガイドされて略上下方向に往復摺動され、この往復摺動によって天秤18が回動軸23の回りで揺動駆動されて、上糸が引き締められる。
次に、天秤18、特に天秤軸25の製造方法について簡単に説明する。最初に、鋼製の天秤18を製作し、天秤軸25の基材30の表面のうちの摺動部33となる部分にCr被膜31と、そのCr被膜31の表面にDLC被膜32を真空中でUBMスパッタリングにより連続的に成膜する。具体的には、最初に、Crをターゲットとしてスパッタリングを行って、Cr被膜31を所定の厚さ成膜し、次に、Crのスパッタリングを継続しつつ、グラファイトをターゲットとするスパッタリングを同時並行的に行い、このグラファイトに対するCrのスパッタ率を徐々に小さくし、グラファイトのスパッタ率が徐々に大きくなるように移行して、Cr被膜31の表面にDLC被膜32を成膜する。
次に、図6に示すように、Cr被膜31とDLC被膜32が形成された天秤軸25に、菱形の穴46が形成されたアルミニウム製のマスキング部材47を略密着状に外嵌し、この状態で、マスキング部材47から露出しているDLC被膜32を酸素プラズマによってCr被膜31が露出するまでプラズマエッチングしてグリース溜35を形成し、天秤軸25を完成する。
次に、上述した天秤18の天秤軸25の作用及び効果について説明する。
天秤軸25に形成されたグリース溜35は、増ちょう剤41の直径よりも深く形成されているので、グリース溜35に入った増ちょう剤41が連結部材22により引っ張られることがなく、グリース溜35から外部に飛び出すことがほとんどない。従って、グリース溜35に充填されたグリース40の保持性能を向上させることができ、天秤軸25の焼き付きを防ぎ、耐久性を高めることができる。グリース溜35の深さを20μm以下とすることで、グリース溜35に溜まった潤滑油43がグリース溜35から摺動部33へと適度に供給されるので潤滑性能を向上させることができる。
潤滑油43をはじくDLC被膜32が除去されて、グリース溜35の底でCr被膜31が露出されているので、グリース溜35に溜められた潤滑油43がはじかれることがなく、潤滑油43の保持性能を向上させることができる。グリース溜35の底面においても、基材30を露出させることなくCr被膜31で覆っているので、基材30を酸化や破損などから保護することができ、天秤軸25の耐久性を大幅に高めることができる。
グリース40の増ちょう剤41として、微細な太さに形成することが可能なひまし油の脂肪酸を用いて生成したリチウム塩を適用することで、グリース溜35を浅く形成しても潤滑油43の保持性能を向上させることができる。それゆえ、DLC被膜32を薄く形成することで製造コストを節減することができ、グリース溜35を浅く形成することで製造時間を短縮することができる。
以上説明した実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1)上述した実施例においては、ひまし油の硬化脂肪酸を用いて生成されたリチウム塩からなる繊維状の増ちょう剤41を含むグリース40を適用したが、適用するグリースは上述したグリースに特に限定するものではない。例えば、他の石けん系グリース(カルシウム石けんグリース、ナトリウム石けんグリース、アルミニウム石けんグリース、リチウム石けんグリース(牛脂系)、複合型など)や、非石けん系グリース(ウレアグリース、ベントナイトグリース、有機系グリース、無機系グリースなど)などのグリースを適用してもよい。特に、耐熱性に優れたウレアグリースは、摺動部品の耐久性を大幅に高めることができる。尚、各グリースの増ちょう剤の繊維の太さに応じて、グリース溜の深さを決定することが望ましい。
2)上述した実施例においては、潤滑油としてエステル系合成油を採用したが、使用条件などに適合させて、他の合成油や鉱物油などを潤滑油として適用してもよい。
3)上述した実施例においては、基材30とDLC被膜32との間にCr被膜31を形成したが、このCr被膜31は、必ずしも必要なものではなく省略してもよい。但し、このように構成する場合には、エッチング工程においてDLC被膜を基材が露出しない程度にエッチングしてグリース溜を形成し、基材をDLC被膜により錆などから保護することが望ましい。DLC被膜の一部をエッチングした場合、残ったDLC被膜の表面はエッチングによって性質が変化し、潤滑油をはじく性質が弱められて潤滑油の付着性を有するため、DLC被膜を薄膜として残しても潤滑剤の保持性能が劣化することはない。
4)上述した実施例におけるCr被膜31の代わりに、W(タングステン)被膜,Ti(チタン)被膜,Si(シリコン)被膜,Ni(ニッケル)被膜などを適用してもよい。
5)上述した実施例においては、DLC被膜32をCr被膜31が露呈するまでプラズマエッチングしたが、Cr被膜が露呈しない程度のグリース溜をDLC被膜に形成してそのグリース溜を油溜としてもよい。
6)上述した実施例においては、凹部34を菱形に形成したが、凹部34の形状は円状、矩形状、三角形状、又は格子状や連続的な溝状など種々の形状を適用することができ、所望の形状に応じて変更可能である。但し、溝状に凹部を形成する場合、溝の長さを長くするとグリースが溝に沿って流れて流出し易くなり、潤滑性を高めにくくなる。また、凹部34を一定の間隔で周期的に形成したが、異なる間隔で非周期的に凹部を形成してもよい。
7)上述した実施例においては、DLC被膜32をUBMスパッタリングにより形成したが、DLC被膜はUBMスパッタリング以外の物理蒸着方法や、CVD法などの化学的蒸着法により成膜してもよい。
8)上述した実施例においては、DLC被膜32をプラズマエッチングにより除去してグリース溜35を形成したが、レーザによりDLC被膜を除去してグリース溜を形成してもよい。使用するレーザとしては、フェムト秒レーザ(レーザの波長が870nm,パルス幅がフェムト秒)、紫外線レーザ(レーザの波長が紫外線領域。例えば、パルス幅が20〜100nmであって、波長が353nmのTHG−YAGレーザ,波長が265nmのFHG−YAGレーザなどの固体レーザ)、エキシマレーザ(波長が308nm又は248nm,パルス幅が20〜30nm)などが考えられる。特に、レーザエッチングにより除去する場合には、複数のレーザによってDLC被膜を多方向から照射することで、エッチング工程に要する時間を大幅に削減することができる。また、摺動部品にマスクキング部材をマスクする必要がないので、DLC被膜の除去工程を簡単化することができる。
9)上述した実施例においては、エッチングによりDLC被膜32を除去してグリース溜35を形成したが、ヤスリ、サンドペーパ又はショットブラストなどによりDLC被膜を除去してグリース溜を形成してもよい。
10)上述した実施例においては、DLC被膜32を形成した後、プラズマエッチングで所定の部分のDLC被膜32を除去してグリース溜35を形成したが、基材にマスキング部材を取り付けた状態で、マスキング部材から露出されている部分のDLC被膜を形成し、マスキング部材に覆われてDLC被膜が形成されず、DLC被膜が形成された部分に対して凹んだ凹部をグリース溜としてもよい。
尚、ミシンの天秤以外に、種々の機械類の摺動部品に適用することができる。また、摺動部は直線運動的に摺動する摺動部に限るものではなく、回転運動で摺動する摺動部も含まれる。本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更例をも包含するものである。
本発明の実施例に係る2本針ミシンのアーム部内の内部機構を示す斜視図である。 前記内部機構を示す左側面図である。 天秤軸とそのグリース溜の要部拡大図である。 天秤軸のグリース溜近傍部の要部拡大断面図である。 グリース溜の深さと天秤軸の寿命の関係を示す実験結果のグラフである。 天秤軸とマスキング部材を示す図である。
符号の説明
18 天秤
25 天秤軸
31 Cr被膜
32 DLC被膜
33 摺動部
35 グリース溜
40 グリース
41 増ちょう剤
43 潤滑油


Claims (6)

  1. 表面の少なくとも一部に摺動部を有し、前記摺動部に繊維状の増ちょう剤を含むグリースが供給された状態で摺動される摺動部品において、
    前記摺動部の表面には硬質被膜が形成され、
    前記硬質被膜には、繊維状の増ちょう剤の直径よりも深いグリース溜が形成されていることを特徴とする摺動部品。
  2. 前記硬質被膜はDLC被膜からなることを特徴とする請求項1に記載の摺動部品。
  3. 前記グリース溜の深さは0.5μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部品。
  4. 前記グリース溜の深さは20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の摺動部品。
  5. 前記増ちょう剤は、ひまし油の脂肪酸を用いて生成された金属塩であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の摺動部品。
  6. 前記金属塩はリチウム塩であることを特徴とする請求項5に記載の摺動部品。




JP2003411234A 2003-12-10 2003-12-10 摺動部品 Pending JP2005168690A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003411234A JP2005168690A (ja) 2003-12-10 2003-12-10 摺動部品
CN 200410102260 CN1626717B (zh) 2003-12-10 2004-12-10 滑动部件及缝纫机

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003411234A JP2005168690A (ja) 2003-12-10 2003-12-10 摺動部品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005168690A true JP2005168690A (ja) 2005-06-30

Family

ID=34732031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003411234A Pending JP2005168690A (ja) 2003-12-10 2003-12-10 摺動部品

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2005168690A (ja)
CN (1) CN1626717B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013370A (ja) * 2007-07-09 2009-01-22 Toyota Motor Corp 摺動構造
JP2017214996A (ja) * 2016-06-01 2017-12-07 キヤノンマシナリー株式会社 摺動面構造及び摺動面構造の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60255970A (ja) * 1984-05-29 1985-12-17 Mazda Motor Corp 耐摩耗性に優れた摺接部材の製造法
JP2002045587A (ja) * 2000-08-03 2002-02-12 Juki Corp ミシン用摺動装置およびミシン

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013370A (ja) * 2007-07-09 2009-01-22 Toyota Motor Corp 摺動構造
JP2017214996A (ja) * 2016-06-01 2017-12-07 キヤノンマシナリー株式会社 摺動面構造及び摺動面構造の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN1626717A (zh) 2005-06-15
CN1626717B (zh) 2010-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6630568B2 (ja) 摩擦領域ならびにシャフトの関節機能および/またはスライド機能を備えたアセンブリのための金属リング形状のガイド部材
CN103089479B (zh) 带有硬软复合涂层与织构化表面的耐磨活塞环及制备方法
US20090326570A1 (en) Treated needle holding tube for use in tattooing
CN103032566B (zh) 带有dlc涂层的滑动件
NO337751B1 (no) Selvsmørende føringselement
JP4341572B2 (ja) ポンチ及びインクジェットヘッドのノズル形成用ポンチ
JP4745604B2 (ja) 摺動部品の製造方法及び摺動部品
JP2005168690A (ja) 摺動部品
JP4749073B2 (ja) 金型及びその製造方法
JP2005172083A (ja) 摺動部品
JP4442349B2 (ja) 転がり軸受け及び主軸装置
CN110760956B (zh) 环锭式纺纱机的钢领/钢丝圈系统
CN101617137A (zh) 轴瓦
JP4438936B2 (ja) 摺動部品の製造方法
JP2005172084A (ja) 摺動部品
JP6004355B2 (ja) 潤滑層の破断抑制方法および摺動部を有する構造体
JP2007167317A (ja) ミシン部品
JP4117681B2 (ja) 金型、プレス加工用ポンチ、金型の製造方法及び成形加工方法
JP2018194006A (ja) バルブリフタ
JP6031150B1 (ja) ガラス切断専用ホイールホルダ
KR100583658B1 (ko) 미세그루브를 갖는 부시타입 베어링 및 그 제조방법
JP2007255277A (ja) カムフォロア
JP4649100B2 (ja) ミシン
JP2006177467A (ja) 転がり軸受け及び主軸装置
JP2010196614A (ja) 油圧モータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090409

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090603

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100209

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100216

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20100312