JP4749073B2 - 金型及びその製造方法 - Google Patents

金型及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4749073B2
JP4749073B2 JP2005216422A JP2005216422A JP4749073B2 JP 4749073 B2 JP4749073 B2 JP 4749073B2 JP 2005216422 A JP2005216422 A JP 2005216422A JP 2005216422 A JP2005216422 A JP 2005216422A JP 4749073 B2 JP4749073 B2 JP 4749073B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
lubricant
workpiece
lubricant reservoir
dlc film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005216422A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007029992A (ja
Inventor
康嗣 下島
裕之 細川
哲弥 北村
彦治 青木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Brother Industries Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2005216422A priority Critical patent/JP4749073B2/ja
Publication of JP2007029992A publication Critical patent/JP2007029992A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4749073B2 publication Critical patent/JP4749073B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B15/00Details of, or accessories for, presses; Auxiliary measures in connection with pressing
    • B30B15/0088Lubricating means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Mounting, Exchange, And Manufacturing Of Dies (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

本発明は金型に関し、特に、供給された潤滑剤の保持性能の高い金型及びその製造方法に関するものである。
従来、ワークを成形するための種々の金型やその金型による成形方法が提案されている。例えば、特許文献1には、オリフィスバックシートとオリフィスシートからなるインクジェットノズルの製造方法とその製造方法に用いられるポンチ( 金型に相当) が記載されている。このインクジェットノズルの製造方法においては、ダイス上に載置されたシートに円錐状のポンチの先端部をプレスして、ポンチの先端の形状と同じ凹部をシートに形成し、その後、ポンチが打ち込まれた面とは反対側の面に形成された凸部をラップ盤により研削してシートに微細穴を形成し、オリフィスバックシートを製造する。
特公昭63−48714号公報
しかし、特許文献1の技術では、ポンチ、特にポンチのうちでもシートと接触する部分は破損や摩耗が激しく、ポンチの寿命が短いといった問題が生じていた。特に、インクジェットノズルのノズル穴のように数μm〜数十μm程度の微細加工をプレスによって成形加工する場合には、ポンチの先端部も同程度の細さになるため、破損や摩耗などによりポンチの寿命が非常に短くなっている。
そこで、近年、シートと接触する部分に耐耗処理としてDLC被膜などの耐耗硬質素材を被覆し、DLC被膜の一部を除去した部分に潤滑剤を供給しつつ、ワークを成形する加工方法が採用されている。
しかし、このようにDLC被膜の一部を除去した部分に潤滑剤を供給しても、DLC被膜に対する潤滑剤の吸着力が低いこと等を要因とし、潤滑剤の油膜の保持性能は低く、金型の寿命を延ばすのにも限界があった。
本発明の目的は、DLC被膜の一部を除去した部分を特殊なエッチングパターン形状とすることにより、潤滑剤の保持性能が高く耐久性に優れた高寿命の金型及びその製造方法を提供しようとするものである。
請求項1の金型は、ワークとの間に潤滑剤を介在させた状態でワークの成形加工に用いる金型において、前記金型の表面のうちの少なくともワークと接触する成形型面には、金型の母材よりも硬質のDLC被膜からなる硬質被膜が形成され、前記成形型面には、規則的な配列パターンにて徴小深さの複数の潤滑剤溜が前記DLC被膜を除去することにより形成され、前記潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有し、前記鋭角部の底部には、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面を設けたものである。
この金型の表面のうち少なくともワークと接触する成形型面に、徴小深さの潤滑剤溜を規則的な配列パターンで形成するので、供給された潤滑剤が潤滑剤溜に溜められ金型とワークとの間に介在した状態、すなわち潤滑性が保持された状態で、ワークが成形加工される。さらに、潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有し、鋭角部の底部には、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面を設けたので、潤滑剤が潤滑剤溜の鋭角部から成形型面へ流れ出し易くなり、潤滑性が向上する。
さらに、この金型によれば、潤滑剤の吸着力の低いDLC被膜を除去しているので、潤滑剤溜に潤滑剤を確実に溜めることができ、潤滑剤溜は微小深さに形成されているので、ワークの成形加工に影響を与えない。
請求項2の金型は、請求項1の発明において、前記潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った1対の鋭角部を有することを特徴とするものである。この金型によれば、金型が摺動する際の往動時だけでなく復動時にも潤滑剤が鋭角部を介して成形型面へ流れ出し易くなるので、潤滑性が向上する。
請求項の金型は、請求項1又は請求項の発明において、前記潤滑剤溜は、前記成形型面のうち成形時にワークに先に接触する先端にも形成されているものである。この金型によれば、金型の先端部にも潤滑剤を確実に供給することができる。
請求項の金型は、請求項1から請求項何れかの発明において、前記金型は、プレス金型である。
請求項の金型製造方法は、ワークの成形加工に用いる金型部材を有する金型を製造する方法において、前記金型部材の表面にその母材よりも硬質のDLC被膜を形成する被膜形成工程と、前記金型部材の表面に集束イオンビーム又はレーザーによって前記DLC被膜を除去することにより、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有する徴小深さの潤滑剤溜を規則的な配列パターンにて形成する潤滑剤溜形成工程とを備えたものである。
この金型の製造方法によれば、被膜形成工程において、母材よりも硬質のDLC被膜を形成し、次に、潤滑剤溜形成工程において、潤滑剤の保持性能を高めるために、集束イオンビーム又はレーザーによってDLC被膜を除去することにより規則的な配列パターンの徴小深さの潤滑剤溜を金型部材の表面に形成し、ワークの成形加工に用いる金型が製造される。
請求項1の発明によれば、金型の成形型面に、金型の母材よりも硬質のDLC被膜からなる硬質被膜を形成し、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有し、鋭角部の底部には、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面を設けた潤滑剤溜を規則的な配列パターンで設けた。摩擦係数が非常に低いDLC被膜を金型の形成型面に形成することで、金型の摩耗を防ぐとともに、耐久性に優れた長寿命の金型を実現することができる。また、潤滑剤溜の摺動方向の両端部が先細り形状に形成されているので、潤滑剤が潤滑剤溜の鋭角部から成形型面へ流れ出し易くなり、成形型面の全域に潤滑剤を供給することができるので、潤滑性が向上する。また、金型とワークとの接触面で高い潤滑性を維持することで、耐耗性や耐久性の優れた高寿命の金型を実現することができる。
潤滑剤の吸着力の低いDLC被膜を除去することにより潤滑剤溜を形成したので、潤滑剤が過剰に流出するのを防ぎ、潤滑剤溜に潤滑剤を確実に溜めることができ、ワークの成形に伴って、潤滑剤が潤滑剤溜から少しずつ流出する。また、潤滑剤溜は微小深さに形成されているので、ワークの成形加工に影響を与えない。
請求項2の発明によれば、潤滑剤溜を金型の摺動方向に尖った1対の鋭角部を有するように形成したので、金型が摺動する際の往動時も復動時にも潤滑剤が鋭角部を介して成形型面へ流れ出し易くなり、成形型面の全体に潤滑剤を循環させることができる。
請求項の発明によれば、成形時にワークに先に接触し、ワークからの押圧力が大きく、破損の多い部分である成形型面の先端部にも、規則的な配列パターンにて徴小深さの複数の潤滑剤溜を形成することで、金型の先端部にも潤滑剤を確実に供給することができ、金型の強度を維持しつつ、金型の潤滑性を向上させることができる。
請求項の発明によれば、請求項1〜3の何れかと同様の効果を奏することができる。
請求項の発明により製造された金型は、請求項1の発明と同様の効果を奏することができ、硬質被膜として摩擦係数の低いDLC被膜を形成することで、金型の成形型面の摩耗を低減することができ、且つ微細加工が可能な集束イオンビーム又はレーザーにより潤滑剤溜を形成することで、微細な潤滑剤溜を迅速に、且つ正確に形成することができる。
本願の発明は、ワークとの間に潤滑剤を介在させた状態でワークの成形加工に用いる金型において、金型の表面のうちの少なくともワークと接触する成形型面に特殊なエッチングパターン形状の徴小深さの潤滑剤溜を形成したことを特徴とするものであり、本願の発明は、その金型及び金型の製造方法を含むものである。
以下、本願の発明の実施例について、図面を参照して説明する。本実施例は、インクジェットプリンタのノズルプレートを成形加工するためのプレス金型及びそのプレス金型の製造方法に本発明を適用した一例であり、特に、プレス金型の潤滑油保持性能を高め、ノズルプレート素材との間に潤滑剤を介在させた状態で成形加工することを可能にするものである。
最初に、プレス金型1について説明する。図1に示すように、プレス金型1は、本体部とその下端部分に形成された成形に供する成形型部4を有し、本体部は円錐部1aとその下端から下方へ延びる円柱部1bを有し、成形型部4でノズルプレート16を成形加工するものである。
図2はプレス金型1の先端部分の成形型部4の拡大斜視図であるが、図2に示すように、成形型部4は、円柱部1bの下端に連なる部分円錐状のテーパ部2と、このテーパ部2の下端に連なる円柱状のポンチ部3とを一体形成したものである。尚、テーパ部2の表面、ポンチ部3の表面及び先端部1cが、ノズルプレート素材と接触する成形型面5に相当する。
テーパ部2は、プレス金型1の本体部の円柱部1b( 直径約50μm) の下端から、ポンチ部3( 直径約20μm) の上端に亙って直径が小さくなるように形成されている。ポンチ部3は、ノズルプレート16のノズル孔17の吐出口17a( 図6参照) を成形できるように直径約20μmの円柱状に形成されている。
図3に示すように、成形型部4をなすテーパ部2とポンチ部3の構造について説明する。テーパ部2とポンチ部3は、本体部と一体の金型部材7と、Cr(クロム)被膜8と、DLC( ダイヤモンドライクカーボン) 被膜9からなる。金型部材7は、プレス金型1の母材であり、この金型部材7は高硬質のクロムモリブデン鋼(SCM415)からなる金型素材を金型部材7の形状に切削加工後浸炭焼入れを施したものである。
Cr被膜8は、金型部材7の表面からDLC被膜9が剥離するのを防ぐために、金型部材7の表面に約0. 5μmの厚さに形成されている。このCr被膜8は、後述するように潤滑剤溜11を形成するためにDLC被膜9の一部が除去されても残り、Cr被膜8は金型部材7を覆って金型部材7を酸化や破損などから保護する。尚、Cr被膜8とDLC被膜9が硬質被膜に相当し、Cr被膜8はDLC被膜9と金型部材7との間に形成されている。
DLC被膜9は、金型部材7を構成するクロムモリブデン鋼よりも硬質の被膜であって、Cr被膜8の外周面に約1. 5μmの厚さに形成されている。このDLC被膜9は、被膜形成時の水素含有量によってその硬度を調整することができ、HV( ビッカース硬さ) で、数100からダイヤモンドのHVに近い8000程度の高硬度被膜に形成することができ、本構成では、Cr被膜8(HV200)や金型部材7(HV200)よりも高硬度なDLC被膜9(HV800)が形成されている。DLC被膜9の摩擦係数は約0. 1以下であり、耐摩耗性及び摺動性において非常に優れた被膜である。尚、Cr被膜8とDLC被膜9の厚さは一例に過ぎず、前記の値よりも小さくてもよく、大きくてもよい。
成形型面5に潤滑剤を溜めて潤滑剤の保持性能を高め、ノズルプレート16と成形型面5との接触面の摩擦抵抗を減らして摺動性を高く維持するために、成形型面5に対応する領域のDLC被膜9には、徴小深さの複数の凹部10からなる潤滑剤溜11が規則的な配列パターンにて形成されている。これら凹部10は、図7に示すように金型の摺動方向に尖った1対の鋭角部を有する四角形形状であり、図8に示すように、鋭角部の底部は、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面になるように、鋭角部の先端が先細り形状に形成されている。図9に示すように、凹部10の深さは、DLC被膜9の厚さ(約1.5μm)とほぼ同程度の徴小な深さであり、プレス成形後のノズルプレート16の成形形状に影響を与えるものではない。尚、凹部10では、DLC被膜9が除去されCr被膜8が露出している。
前記凹部10の規則的な配列パターンは、例えば、図2に示す格子状や、図5に示す千鳥状に構成されている。このような、規則的な配列パターンで形成することにより、成形型面5の全域に潤滑剤を循環させることが可能になり、供給された潤滑剤が潤滑剤溜に溜められ金型とワークとの間に介在した状態、すなわち潤滑性が保持された状態で、ワークを成形加工できる。
さらに、ノズルプレート16を成形加工する際に、ノズルプレート素材に先に接触し、高い摺動性を必要とする成形型面5の先端部1cにも、規則的な配列パターンで凹部10が形成されている。従って、金型の先端部にも潤滑剤を確実に供給することができ、プレス金型1の強度低下を防止しつつ、潤滑剤の保持性能を向上させ、プレス金型1の摺動性と耐久性や耐耗性を高めることができる。
次に、プレス金型1の製造方法(請求項6の製造方法)について図4−1等を参照して説明する。最初に、クロムモリブデン鋼からなる金型素材を切削加工し、浸炭焼入れを施す( 図4−1) ことにより、金型部材7を製作する。このとき、図6に示すノズルプレート16のノズル孔17の吐出口17aの内径、Cr被膜8の厚さ及びDLC被膜9の厚さに基づいて、金型部材7のテーパ部2とポンチ部3の内径を定め形成する。
次に、被膜形成工程において、UBMスパッタリング( アンバランスドマグネトロンスパッタリング) 法を用いて、この金型部材7の成形型面5の表面にCr被膜8とDLC被膜9を連続的に形成する。
このCr被膜8とDLC被膜9を形成する場合、最初に、Crをターゲットとしてスパッタリングを行ってCr被膜8を所定の厚さ成膜し( 図4−2) 、その後、Crのスパッタリングを継続しつつ、グラファイトをターゲットとするスパッタリングを同時並行的に行い、このCrとグラファイトのスパッタリングの比率を徐々に小さくしグラファイトのスパッタリングの比率が徐々に大きくなるように移行して、Cr被膜8の表面にDLC被膜9を成膜する( 図4−3) 。
次に、潤滑剤溜形成工程において、集束イオンビーム法によって、潤滑剤溜11を構成する徴小深さの複数の凹部10を成形型面5に規則的な配列パターンで形成する。この場合、具体的には、イオン源として液体ガリウムを用い、加速電圧30KV、ビーム電流1. 3nAに設定し、ビーム径を約100nmまで集束させた集束イオンビーム15を、各凹部10を形成する位置で約1分程度スキャンさせる( 図4−4)。1対の鋭角部の傾斜面を形成する際は、イオンビームを斜めに入射するように照射させ(図3)、Cr被膜8が露出するように各凹部10を形成する。
次に、上述したプレス金型1、プレス金型の製造方法の作用及び効果について説明する。プレス金型1のDLC被膜9に、複数の凹部10からなる潤滑剤溜11を規則的な配列パターンで形成するので、成形型面5の全域に潤滑剤を供給することができ、潤滑性が向上する。また、潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有し、鋭角部の底部には、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面を設けたので、金型の摺動時、潤滑剤が潤滑剤溜の鋭角部から流れ出し易くなり潤滑性が向上し、ノズルプレート16とプレス金型1の接触面の潤滑性が高い状態でワークを成形するので、プレス金型1の耗を抑制し、耐久性を高めることができる。
複数の凹部10は徴小深さに形成されているので、成形後のノズルプレート16の形状に影響を与えることなく上述の効果が得られる。成形型面5には、摩擦係数の極めて低い高硬度のDLC被膜9が形成されているので、成形型部4の摩耗を大幅に低減することができ高寿命のプレス金型1を提供することができる。DLC被膜9は摩擦係数が低いので、ノズルプレート16とプレス金型1の接触面の発熱を防ぎ、潤滑剤の劣化を抑えることができる。更に、ノズルプレート16との噛み合いを防ぐことができ、成形後のノズルプレート16のダメージがない。
DLC被膜9は、その性質上、潤滑剤をはじく性質があるが、Cr被膜8が露出するまでDLC被膜9が除去されているので、凹部10の底面にDLC被膜9が形成されている場合に比べて潤滑剤が流出しにくい。また、凹部10には、金型部材7が露出しないようにCr被膜8が除去されず残されているので、金型部材7を酸化による錆や破損等から保護することができる。
上述したプレス金型の製造方法においては、微細加工の可能な集束イオンビーム法により凹部10を形成するので、直径約20μmの小径のポンチ部3にも複数の凹部10を正確に形成することができる。
以上説明した、プレス金型1、プレス金型の製造方法を部分的に変更した変更例について説明する。
1)上述のプレス金型1においては、先端部の表面にCr被膜8とDLC被膜9を成膜したが、これら被膜8, 9は必ずしも必須の構成ではなく、金型の形状や、金型部材を構成する金属材料に応じて適宜省略可能である。このように両被膜8,9を省略する場合には、金型部材の表面部に直接潤滑剤溜を形成すればよい。
2)上述のプレス金型1においては、DLC被膜9を表面に成膜したが、DLC被膜の代わりにCrN被膜などの硬質被膜を成膜してもよく、硬質被膜は金型部材よりも硬質の耐耗と摩擦低減に寄与するものであればよい。
3)上述の実施例では、DLC被膜9の厚さと同じ約1. 5μmの深さの凹部10を形成したが、凹部10の深さは、必ずしも、DLC被膜9の厚さと同じにする必要はない。例えば、潤滑剤の粘度や成形型面の表面粗さから、油膜の厚さがわかる場合には、この油膜の厚さに対して0. 1〜5倍程度の深さの凹部を形成することが望ましい。凹部の深さを油膜の厚さに対して0. 1倍以上にすることで、潤滑剤の保持性能を向上させることができると共に、5倍以下にすることで、凹部に溜められた潤滑剤の供給性を向上させることができる。
4)上述の実施例においては、潤滑剤として液体の潤滑油を採用したが、ナノレベルの粒子からなる潤滑剤を採用してもよい。この場合、酸化シリコン( 直径約10〜40nm),酸化チタン( 直径約20nm),酸化アルミニウム( 直径約10nm) などの粒子を適用することができる。
5)上述のプレス金型の製造方法においては、集束イオンビーム法によって凹部10を形成したが、フェムト秒レーザー, エキシマレーザ, 紫外線レーザーなどによるレーザエッチングによってDLC被膜又は金型部材の所望の領域を除去して凹部を形成してもよい。また、凹部の開口面積が大きい場合には、プラズマエッチングなどのエッチングによりDLC被膜の一部を除去して凹部を形成してもよい。尚、プラズマエッチングの場合、DLC被膜を残す部分を覆うマスクを行う必要があるが、ビームやレーザーによる場合はマスクをする必要がない。
6)上述の実施例においては、インクジェットのノズルプレート16にノズル孔17を形成するためのプレス金型1とその製造方法に本発明を適用した場合を例として説明したが、その他種々のプレス成形用の金型、例えば、半導体のリードフレーム用のプレス金型や、ミシン又は車の部品を成形するためのプレス金型とその製造方法に本発明を適用することもできる。
7)上述の実施例においては、焼き入れ鋼(クロムモリブデン鋼)で金型部材7を構成したが、超硬(例えば、微量コバルトを含むタングステンカーバイド(W-C-Co,HV1000〜2000))にて構成してもよい。そしてDLC被膜としては超硬よりも硬くても良いが、超硬よりも硬度が低いDLC被膜を形成してもよい。
8)超硬の材質で金型部材を構成する場合には、Cr被膜の代わりに、W(タングステン)被膜を形成し、そして上層にDLC被膜を同様に形成する。この場合において、DLC被膜の傾斜材料はWである。
本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更例をも包含するものである。
本発明の実施例に係るプレス金型の要部斜視図である。 プレス金型の成形型部に規則的な配列パターンで潤滑剤溜を形成した拡大斜視図である。 プレス金型製造途中の潤滑剤溜形成工程を示す金型部材の要部断面図である。 プレス金型製造途中の金型部材の要部断面図である。 プレス金型製造途中のCr被膜を形成した金型部材の要部断面図である。 プレス金型製造途中のCr被膜とDLC被膜を形成した金型部材の要部断面図である。 プレス金型製造途中の潤滑剤溜形成工程を示す金型部材の要部断面図である。 プレス金型の成形型部に規則的な配列パターンで潤滑剤溜を形成した拡大斜視図である。 プレス成形後に研削加工したノズルプレートの要部拡大断面図である。 潤滑剤溜の要部拡大平面図である。 潤滑剤溜の要部拡大斜視図である。 図7のIX−IX線の断面図である。
1 プレス金型
2 テーパ部
3 ポンチ部
4 成形型部
5 成形型面
7 金型部材
8 Cr被膜
9 DLC被膜
10 凹部
11 潤滑剤溜
15 集束イオンビーム
16 ノズルプレート
30 マスク部材

Claims (5)

  1. ワークとの間に潤滑剤を介在させた状態でワークの成形加工に用いる金型において、
    前記金型の表面のうちの少なくともワークと接触する成形型面には、金型の母材よりも硬質のDLC被膜からなる硬質被膜が形成され、
    前記成形型面には、規則的な配列パターンにて徴小深さの複数の潤滑剤溜が前記DLC被膜を除去することにより形成され、
    前記潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有し、
    前記鋭角部の底部には、金型の摺動方向に鋭角部の先端にいく程浅くなる傾斜面を設けたことを特徴とする金型。
  2. 前記潤滑剤溜は、金型の摺動方向に尖った一対の鋭角部を有することを特徴とする請求項1に記載の金型。
  3. 前記潤滑剤溜は、前記成形型面のうち成形時にワークに先に接触する先端にも形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金型。
  4. 前記金型は、プレス金型であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の金型。
  5. ワークの成形加工に用いる金型部材を有する金型を製造する方法において、
    前記金型部材の表面に、その母材よりも硬質のDLC被膜を形成する被膜形成工程と、
    前記金型部材の表面に、集束イオンビーム又はレーザーによって前記DLC被膜を除去することにより、金型の摺動方向に尖った少なくとも1つの鋭角部を有する微小深さの潤滑剤溜を規則的な配列パターンにて形成する潤滑剤溜形成工程と、
    を備えたことを特徴とする金型の製造方法。
JP2005216422A 2005-07-26 2005-07-26 金型及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4749073B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005216422A JP4749073B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 金型及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005216422A JP4749073B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 金型及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007029992A JP2007029992A (ja) 2007-02-08
JP4749073B2 true JP4749073B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=37789878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005216422A Expired - Fee Related JP4749073B2 (ja) 2005-07-26 2005-07-26 金型及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4749073B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2036630B1 (de) * 2007-09-14 2013-01-16 Feintool Intellectual Property AG Verfahren und Vorrichtung zum Schmieren von Werkzeug und Werkstück beim Schneiden
JP2009158841A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Hitachi Chem Co Ltd めっき用導電性基材、その製造方法及びそれを用いた導体層パターン付き基材の製造方法、導体層パターン付き基材、透光性電磁波遮蔽部材
US20130160510A1 (en) * 2010-08-05 2013-06-27 Yuji Kobayashi Method for shot peening
JP5950374B1 (ja) * 2015-05-25 2016-07-13 飯田機械株式会社 深絞り加工機
JP7363023B2 (ja) * 2018-10-31 2023-10-18 東洋製罐グループホールディングス株式会社 プレス加工用金型およびプレス加工方法
CN109482721B (zh) * 2018-12-19 2021-05-04 武汉理工大学 一种防止冲孔积屑瘤影响的负角度冲头

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60126219A (ja) * 1983-12-09 1985-07-05 Shionogi & Co Ltd 抗腫瘍剤組成物
JP2663150B2 (ja) * 1988-08-08 1997-10-15 理化学研究所 しごき加工方法およびしごき加工用ダイス
JPH04294831A (ja) * 1991-03-26 1992-10-19 Kawasaki Steel Corp プレス用金型及び金型の粗面加工方法
JP2818314B2 (ja) * 1991-04-12 1998-10-30 新日本製鐵株式会社 製缶用diパンチの加工方法
JPH05285566A (ja) * 1992-04-08 1993-11-02 Rikagaku Kenkyusho イオンビームエッチングによる金型成形方法
JP2003253422A (ja) * 2002-03-04 2003-09-10 Sanyo Special Steel Co Ltd マンドレルあるいは成形金型などの工具の高寿命化方法および高寿命化されたマンドレルあるいは成形金型などの工具
JP2004001034A (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Toshiba Corp プレス金型

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007029992A (ja) 2007-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4749073B2 (ja) 金型及びその製造方法
JP4341572B2 (ja) ポンチ及びインクジェットヘッドのノズル形成用ポンチ
Wu et al. Tribological characteristics and advanced processing methods of textured surfaces: a review
JP5432971B2 (ja) 摺動部材およびその製造方法
TWI619830B (zh) 保護膜及其製造方法
WO2017169303A1 (ja) 機械加工工具の刃先部構造及びその表面処理方法
JP4117681B2 (ja) 金型、プレス加工用ポンチ、金型の製造方法及び成形加工方法
US7891694B2 (en) Method for machining the running surfaces of winter sports appliances
JPH09253770A (ja) 金 型
JP2011079064A (ja) シート状摺動部材および工作機械の案内構造用摺動部材
JP2004001034A (ja) プレス金型
TWI669222B (zh) Texture processing method of sliding member
JP2017053469A (ja) 摺動部材およびその製造方法
JP4941987B2 (ja) 微細加工用超硬材料工具
JP2007321806A (ja) 転がり摺動部品及び該転がり摺動部品を備えた転動装置
JP2009243619A (ja) 転がり摺動部材及び鋼管成形ロール用軸受
JP2005172083A (ja) 摺動部品
CN111054940A (zh) 一种具有涂层的刀具及其制备方法
JP6604105B2 (ja) 超硬工具及びその製造方法
JP2009279593A (ja) パンチ
CN214723482U (zh) 刻划轮组、保持器单元、刻划轮的销、以及刻划轮
JP2007321855A (ja) 転がり摺動部材及び転動装置
JP2024129853A (ja) 筒状体の扱き加工方法
WO2011111724A1 (ja) 動圧溝形成用金型および動圧型焼結含油軸受の製造方法
JP2004298978A (ja) エンボスキャリアテープ打ち抜き加工用打ち抜きピン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080520

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110406

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110502

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees