JP2006158825A - ミシンのルーパ機構 - Google Patents

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looper
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Kenichiro Ide
研一郎 井手
Motomare Ogaki
元希 大垣
Tatsuaki Kaneda
達明 金田
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Abstract

【課題】 上ルーパ軸案内の摺動部や回動部での油漏れを軽減すると共に耐焼付き性を向上させるミシンのルーパ機構を提供する。
【解決手段】 ミシンフレームの前面に固定された上ルーパ支持台と、上ルーパ支持台の円穴に回転可能に支承された上ルーパ軸案内と、前記上ルーパ軸案内の支持孔にスライド可能に支持され先端部に上ルーパを取付けた上ルーパ軸と、上ルーパ軸の基端部に連結されミシン主軸の回転に連動して上下に円弧動するレバーとを備えたミシンのルーパ機構において、上ルーパ軸案内の支持孔あるいは上ルーパ軸の摺動面の一方が、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ミシンのルーパ機構に関し、特に、潤滑油が供給される可動部分の部品に関するものである。
この種ミシンのルーパ機構としては、上ルーパ軸案内への給油により焼付きを防止させるようにしたものが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
実開平7−283号公報(第2頁、第1図)
上ルーパ軸案内5は、図3に示すように、円柱状に形成されており、上ルーパ支持台3の前面に穿設された円穴4に回転可能に支承されている。上ルーパ支持台3はミシンフレーム1の前面にボルト2により固定されている。円柱状の上ルーパ軸案内5は円穴4に回転可能に支承されている。上ルーパ軸案内5の側面に貫穿された支持孔6は上ルーパ軸7をスライド可能に支持するためのものである。
上ルーパ軸7の上端に上ルーパ8を取付けると共に、その下端側をピン9を介してレバー10に連結している。このレバー10は、図示を省略したミシン主軸に連動して揺動軸11を中心に揺動する。ミシン主軸の回転に伴ってレバー10が揺動すると、上ルーパ軸7は、支持孔6内を摺動して昇降するとともに、上ルーパ軸案内5を円穴4内で回動させる。これにより、上ルーパ軸7の上ルーパ8は放物線状の軌跡を描くように運動し、図示しない針および下ルーパと協働して縫い目を形成するようにしている。
上ルーパ軸7と上ルーパ軸案内5との摺動部および上ルーパ軸案内5と上ルーパ支持台3との回動部には公知の方法で潤滑油が供給されている。また、上ルーパ軸7の摺動面や上ルーパ軸案内5の外周部には、硬質クロム処理等が施されている。
ところが、このような構成からなるミシンのルーパ機構においては、長時間ミシンを運転すると、上ルーパ軸案内の摺動部や回動部に供給される潤滑油が蓄積されしまい、この蓄積された潤滑油が余剰の油となって外部に飛散してしまうという問題が発生していた。また、この対策として給油制限をすると、摺動部で焼付きが発生していた。
従って、本発明の課題は、上ルーパ軸案内の摺動部や回動部での油漏れを軽減すると共に耐焼付き性を向上させるミシンのルーパ機構を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的と達成するために、ミシンフレームの前面に固定された上ルーパ支持台と、上ルーパ支持台の円穴に回転可能に支承された上ルーパ軸案内と、前記上ルーパ軸案内の支持孔にスライド可能に支持され先端部に上ルーパを取付けた上ルーパ軸と、上ルーパ軸の基端部に連結されミシン主軸の回転に連動して上下に揺動するレバーとを備えたミシンのルーパ機構において、上ルーパ軸案内の支持孔あるいは上ルーパ軸の摺動面の一方が、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成されていることを特徴とする。
なお、上ルーパ支持台の円穴あるいは上ルーパ軸案内の回動面の一方を、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成させるのが望ましい。
本願請求項1に係る発明によれば、上ルーパ軸案内の支持孔あるいは上ルーパ軸の摺動面の一方を、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成させているので、これらの摺動部への潤滑油の供給を削減することができ、外部への油漏れを防止することができる。また、ダイヤモンドライクカーボン層と摺動面との間に、クロム層およびクロム−炭化タングステン傾斜層を被覆させることで付着強度が飛躍的に向上しているから、摺動面に形成された保護膜が高速運動時においても剥離せずに耐久性を向上させることができる。
本願請求項2に係る発明によれば、上ルーパ支持台の円穴あるいは上ルーパ軸案内の回動面の一方も、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成させているので、これらの回動部への潤滑油の供給をより削減することができる。
以下、本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。但し、図3に関して述べた従来のルーパ機構と共通する部分については同じ符号を用い、その説明を省略する。クロム層A、クロム−炭化タングステン傾斜層B、ダイヤモンドライクカーボン層Cの順からなる保護膜Xは、公知のスパッタ装置で形成される。因みに公知のスパッタ装置には、Crターゲットが取付けられたマグネトロンスパッタ部材と、WCターゲットが取付けられたアンバランスマグネトロンスパッタ部材とが備えられている。
上ルーパ軸7をスパッタ装置に格納すると、マグネトロンスパッタ部材による処理が行われて上ルーパ軸7の摺動面にクロム層Aが形成される。このクロム層Aが膜厚になると、マグネトロンスパッタ部材とアンバランスマグネトロンスパッタ部材とによる処理が続いて行われ、クロム層Aの表面にクロム−炭化タングステン傾斜層Bが形成される。このクロム−炭化タングステン傾斜層Bが膜厚になると、アンバランススパッタ部材による処理が続いて行われる。これにより、クロム−炭化タングステン傾斜層の表面にダイヤモンドライクカーボン層Cが形成される。
また、上ルーパ軸案内5をスパッタ装置に格納すると、マグネトロンスパッタ部材による処理が行われて上ルーパ軸案内5の回動面にクロム層が形成される。このクロム層が膜厚になると、マグネトロンスパッタ部材とアンバランスマグネトロンスパッタ部材とによる処理が続いて行われ、クロム層の表面にクロム−炭化タングステン傾斜層が形成される。このクロム−炭化タングステン傾斜層が膜厚になると、アンバランススパッタ部材による処理が続いて行われる。これにより、クロム−炭化タングステン傾斜層の表面にダイヤモンドライクカーボン層が形成される。
なお上ルーパ軸7および上ルーパ軸案内5の各層A,B,Cは、スパッタ装置で連続的に形成されているので、無境界となっており、各層A,B,Cは夫々剥離し難くなっている。また各層A、B,Cからなる保護膜Xの硬度に関しては1000〜2000Hvにしておくのが望ましい。
上ルーパ軸7の摺動面と上ルーパ軸案内5の回動面とに前記保護膜Xが形成されたミシンのルーパ機構(試料:DLC)に関し、給油を通常の約10%、ミシンの駆動回転数を8500rpmに設定して運転テストを実施した。従来ルーパ機構(試料:HCr)についても同一条件に設定して運転テストを行なった。上ルーパ8の先端を基準にした100時間毎のガタ量と最終的なガタ増加量を以下の表に示す。
Figure 2006158825
なお上記表において、測定方向の「運動」は上ルーパ軸7の長手方向(Z方向)のガタを対象としたものであり、「前後」はミシンの布送り方向に沿う方向(Y方向)のガタを、「左右」はZ方向およびY方向と直交する方向(X方向)のガタを対象としたものである(図1参照。)。また測定位置の「上」とは上ルーパ8が上死点にある状態のことを指し、「下」とは上ルーパ8が下死点にある状態(図1)のことを指す。
以上の結果に見られるように、上ルーパ8上死点(測定位置「上」)においてZ方向(運動)とY方向(前後)のガタ増加量が若干ではあるが減少している。これは上ルーパ機構の摺動部において異常摩耗が軽減され耐久性が向上されたことを意味するものである。また200時間ミシンを駆動させても、ルーパ機構の摺動部において焼付きが生じなかった。
本発明に係るミシンのルーパ機構の要部を示す斜視図である。 同上ルーパ機構における上ルーパ軸の摺動面を示す断面図である。 従来のルーパ機構の要部を示す斜視図ある。
符号の説明
1 ミシンフレーム
3 上ルーパ支持台
4 円穴
5 上ルーパ軸案内
6 支持孔
7 上ルーパ軸
8 上ルーパ
10 レバー
A クロム層
B クロム−炭化タングステン傾斜層
C ダイヤモンドライクカーボン層
X 保護膜

Claims (2)

  1. ミシンフレームの前面に固定された上ルーパ支持台と、上ルーパ支持台の円穴に回転可能に支承された上ルーパ軸案内と、前記上ルーパ軸案内の支持孔にスライド可能に支持され先端部に上ルーパを取付けた上ルーパ軸と、上ルーパ軸の基端部に連結されミシン主軸の回転に連動して上下に揺動するレバーとを備えたミシンのルーパ機構において、上ルーパ軸案内の支持孔あるいは上ルーパ軸の摺動面の一方が、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成されていることを特徴とするミシンのルーパ機構。
  2. 上ルーパ支持台の円穴あるいは上ルーパ軸案内の回動面の一方が、クロム層、クロム−炭化タングステン傾斜層、ダイヤモンドライクカーボン層の順からなる保護膜で形成されている請求項1記載のミシンのルーパ機構。
JP2004357769A 2004-12-10 2004-12-10 ミシンのルーパ機構 Pending JP2006158825A (ja)

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JP2009273573A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Pegasus Sewing Mach Mfg Co Ltd ミシンの給油装置

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