JP2009225429A - アンテナ装置および複合アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インピーダンス整合を容易に調整すること。
【解決手段】 アンテナ装置(10)は、摂動素子(211)をもつカール状の放射素子(21)と、この放射素子に直接給電する第1の給電ライン(22)と、放射素子(21)に対して電磁結合により給電する第2の給電ライン(23)とを備える。放射素子(21)と第1の給電ライン(22)と第2の給電ライン(23)とによって平衡型のアンテナパターン(20)が構成される。アンテナパターン(20)は同一平面上に形成される。第2の給電ライン(23)は、第1の給電ライン(22)と平行に延在することが好ましい。アンテナパターン(20)は、樹脂フィルム(11)上に形成されてよいし、ガラス内に埋め込まれてもよい。
【選択図】 図3

Description

本発明は、アンテナ装置に関し、特に、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)アンテナ等として使用されるアンテナ装置に関する。
この技術分野において周知のように、GPS(Global Positioning System)は、人工衛星を用いた衛星測位システムである。GPSは、地球を周回している24基の人工衛星のうちの4基以上の人工衛星からの周波数約1.57GHzの電波(GPS信号)を受信し、この受信した電波から移動体と人工衛星との位置関係および時間誤差を測定して、三角測量の原理に基づいて、移動体の地図上における位置や高度を高精度で算出することを可能としたものである。
GPSは、近年では、走行する自動車の位置を検出するカーナビゲーションシステム等に利用され、広く普及している。カーナビゲーション装置は、このGPS信号を受信するためのGPS用アンテナと、このGPS用アンテナが受信したGPS信号を処理して車両の現在位置を検出する処理装置と、この処理装置で検出された位置を地図上に表示するための表示装置等から構成される。
一方、近年の移動体通信機器等、小型の通信機器(例えば、GPS方式のカーナビゲーション装置や携帯用ナビゲーション装置、衛星波受信機等)の発達に伴い、これらの機器に用いられるアンテナ装置に関して、小型化、高性能化が要求されている。
アンテナ装置の中でも平面型アンテナ装置(例えば、円偏波パッチアンテナ等)は、その構造上薄く、小型であり、半導体回路との集積化が比較的容易であるとの利点がある。そのため、平面型アンテナ装置は、小型の通信機器用のアンテナとして広く用いられている。
このような平面型アンテナ装置としては、例えば、円偏波アンテナ素子と、裏面にLNA(低雑音増幅器)が形成された回路基板とを備えた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。円偏波アンテナ素子は、いわゆる、パッチアンテナ素子から成る。円偏波アンテナ素子は、セラミックス等の高誘電体で形成された誘電体基板を含む。この誘電体基板の表面には放射素子が設けられ、裏面にはグランドパターンが形成される。誘電体基板には、その表面から裏面へ貫通するピン孔が形成されている。このピン孔に、放射素子と回路基板とを接続する給電ピンが挿通されている。このような構成の平面型アンテナ装置においては、高誘電体からなる誘電体基盤によりアンテナの静電容量を確保することができるため、共振周波数が低くなり、平面型アンテナ装置の小型化を図ることができる。このようなパッチアンテナ素子では、放射素子と対向してグランドパターンが設けられているので、高仰角方向の利得が高くなっている。
兎に角、GPS用アンテナとしては、円偏波アンテナ素子が使用される。すなわち、GPS信号は円偏波である。また、円偏波はETC信号にも使用されている。
周知のように、ETC(Electronic toll Collection)は、高速道路等の有料道路の通行料を支払うための料金所における渋滞を緩和するための方策として開発されたシステムである。すなわち、ETCとは、高速道路料金所において、無線通信を利用して自動的に通行料金の支払いを行うシステムである。ETCでは、料金所に設置されているゲートに設けられた路側アンテナと、ETC用アンテナを有する車載通信機器を搭載した通行車両との間でETC信号の双方向通信を行い、通行車両の車両情報等を取得し、通行車両を停止させることなく高速道路通行料金の支払い業務を行うことを可能としたものである。
ETC用アンテナは、車室内で取り付けられる場合が多い。例えば、ETC用アンテナは、角度を付けた状態でダッシュボードの上に設置されたり、フロントの窓ガラス上に設置される。又、ETC用アンテナは純正取付けが普及してきている。すなわち、ETC用アンテナは、車両メーカの工場で車室内に取り付けられる。この際には、ETC用アンテナは、ルームミラーの裏側や、ダッシュボードの下に埋め込まれた状態で設置される場合が多い。
また、スパイラル形状の素子で円偏波を放射する円偏波平面アンテナ(カールアンテナ素子)も知られている。
図1及び図2を参照して、従来のカールアンテナ素子について説明する。図1はカールアンテナ素子60の斜視図であり、図2はカールアンテナ素子60の平面図である。
カールアンテナ素子60は、スパイラル状(渦巻き状)の放射素子(アンテナエレメント)62と、この放射素子61と対向するグランド板64と、このグランド板64から垂直方向に立ち上がった給電部66とから構成される。グランド板64と放射素子61とは、互いに略平行に配置されている。グランド板64の略中央に、給電部66の給電点66aが設けられている。なお、グランド板64の中央部には、貫通孔などの絶縁体部分64aが設けられている。したがって、給電点66aとグランド板64とは電気的に接続されていない。とにかく、従来のカールアンテナ素子60は、立体構造のアンテナ素子である。
なお、カールアンテナ素子は、例えば、特許文献2や特許文献3に開示されている。これら特許文献2、3に開示されたカールアンテナ素子は、立体構造をしており、アンテナエレメントと平行に対向するグランド面を持つことで、インピーダンスの整合を容易にしている。また、これら特許文献2、3に開示されたカールアンテナ素子は、アンテナエレメントと対向するグランド面により天頂方向に利得の高い指向性アンテナとなっている。
上述したパッチアンテナ素子やカールアンテナ素子は、3次元構造であるので、アンテナ素子の厚みが大きくなってしまい、薄型化が困難である。すなわち、アンテナエレメントに対向するグランド面を設置できない場合、円偏波アンテナ素子として、パッチアンテナ素子やカールアンテナ素子を使用することができない。
この問題を解決するために、円偏波アンテナ素子として、車両のフロントガラスに貼り付けられるフィルムアンテナが知られている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4に開示されたフィルムアンテナは、透明フィルム上に、円偏波を受信するための1つのループ状の円偏波アンテナ素子を備えている。この円偏波アンテナ素子は、右旋円偏波アンテナで、ループアンテナと無給電素子とを備えている。ループアンテナの給電側の端部は、ランド状に形成されて第1及び第2の給電端子となっている。第1及び第2の給電端子は、それぞれ、低雑音増幅器(LNA)回路を含むコネクタの第1及び第2の接続端子に接続される。コネクタは同軸ケーブルに接続される。したがって、第1の給電端子は、LNA回路を介して同軸ケーブルの内導体に接続され、第2の給電端子は、同軸ケーブルの外導体に接続される。
尚、車載用アンテナ装置として、地上波デジタル放送の受信に用いられる車載用地上波デジタルアンテナ装置も知られている。
特開2001−339232号公報 特開2007−235460号公報 特開2003−218632号公報 特開2006−13696号公報
上述の特許文献2,3に開示されるような放射素子(カールアンテナ素子)に対向したグランド面を必要とするアンテナ装置を、特許文献4に開示されるようなフィルムアンテナ構造とした場合、フィルムアンテナでは放射素子と対向するグランド面を形成することができず、放射素子のインピーダンスマッチングが非常に困難になる。
本発明の目的は、例えばカールアンテナ素子のようにグランド面を必要とする放射素子をフィルムアンテナとして、対向するグランド面が十分に確保できない場合であっても、インピーダンス整合が可能なアンテナ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、GPS用アンテナと地上波デジタル放送受信用アンテナとして動作可能な、複合アンテナ装置を提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、摂動素子(211)をもつカール状の放射素子(21)と、この放射素子に直接給電する第1の給電ライン(22)と、放射素子(21)に対して電磁結合により給電する第2の給電ライン(23)とを備え、放射素子(21)と第1の給電ライン(22)と第2の給電ライン(23)とによって平衡型のアンテナパターン(20)を構成し、アンテナパターン(20)が同一平面上に形成されていることを特徴とするアンテナ装置(10)が得られる。
上記アンテナ装置(10)において、第2の給電ライン(23)は第1の給電ライン(22)と平行に延在することが好ましい。アンテナパターン(20)は樹脂フィルム(11)上に形成されてよい。また、アンテナパターン(20)はガラス(30)内に埋め込まれてもよい。平衡型のアンテナパターン(20)は、例えば、所定の周波数帯が約1.57GHzのGPS信号を受信するGPS用アンテナとして使用されてよい。
また、本発明の題2の態様によれば、摂動素子(211)をもつカール状の放射素子(21)と、この放射素子に直接給電する第1の給電ライン(22A)と、放射素子に対して電磁結合により給電する第2の給電ライン(23A)とを備え、第1の給電ライン(22A)と第2の給電ライン(23A)とは、互いに近接して平行に、かつ、放射素子(21)の大きさより長く延在しており、第1および第2の給電ラインの根本部には、それぞれ、第1および第2の給電点(26、27)が形成されており、第1および第2の給電点(26、27)間をオープンとすることにより、放射素子(21)と第1の給電ライン(22A)と第2の給電ライン(22A)とによって平衡型のアンテナパターン(20A)を構成し、第1および第2の給電点(26、27)間をショートすることにより、アンテナパターン(20A)をモノポールアンテナとして動作させ得、アンテナパターン(20A)が同一平面上に形成されていることを特徴とする複合アンテナ装置(10A)が得られる。
上記複合アンテナ装置(10A)において、第1および第2の給電点(26、27)間に所定の周波数帯の並列共振回路(60)が挿入されることが望ましい。これにより、所定の周波数帯で第1および第2の給電点(26、27)間をオープンとし、所定の周波数帯以外で、第1および第2の給電点(26、27)間をショートさせるようにしている。平衡型のアンテナパターン(20A)は、例えば、所定の周波数帯が約1.57GHzのGPS信号を受信するGPS用アンテナとして使用され、モノポールアンテナが、地上波デジタル放送の使用周波数帯を受信する地上波デジタル放送受信用アンテナとして使用されてよい。
尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。
本発明では、第2の給電ラインを放射素子に電磁結合で接続しているので、アンテナ・インピーダンスを調整し、インピーダンス整合を最適に調整することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るアンテナ装置10について説明する。図1はアンテナ装置10の平面図である。図示のアンテナ装置10は、GPS衛星からのGPS信号を受信するためのGPS用アンテナである。
図示のアンテナ装置10は、フィルムアンテナから成る。すなわち、アンテナ装置10は、透明な樹脂フィルム11と、この樹脂フィルム11上に形成されたGPSアンテナパターン20とから構成される。GPSアンテナパターン20は、同一平面上に形成されている。
GPSアンテナパターン20は、摂動素子211をもつカール状の放射素子(アンテナエレメント)21と、この放射素子21に直接給電するための第1の給電ライン22と、この第1の給電ライン22と近接して平行に延在して、放射素子21に対して電磁結合により給電する第2の給電ライン23とから構成されている。ここで、第2の給電ライン23の電磁結合による給電は、アンテナ装置10のインピーダンス整合の調整を容易にするためである。
図示の第1および第2の給電ライン22、23は、放射素子21の大きさ(径)より短く延在している。
図示の放射素子21は、四角形(菱形)をしている。すなわち、放射素子21は、第1の給電ライン22の先端22aから順に、時計回りに、第1の辺21−1、第2の辺21−2、第3の辺21−3、および第4の辺21−4を有する。この第4の辺21−4の先端21−4aに上記摂動素子211の一端が接続されている。換言すれば、摂動素子211は、放射素子21の第1の辺21−1の内側に設けられている。第1及び第2の給電ライン22および23に近接した位置に第1及び第4の辺21−1および21−4が設けられ、第1及び第2の給電ライン22および23から離れた位置に第2及び第3の辺21−2および21−3が設けられている。したがって、図3の破線Aより下側分に、第1及び第4の辺21−1および21−4が設けられ、破線Aより上側に、第2及び第3の辺21−2および21−3が設けられている。尚、上述した図示の例では放射素子21を時計回りとして右旋円偏波を受信する場合について記載したが、左旋円偏波を受信する場合には、放射素子21は反時計回りとなる。
第1の給電ライン22の根元部には第1の給電点26が形成され、第2の給電ライン23の根元部には第2の給電点27が形成されている。第1及び第2の給電点26および27と中間端子29aとの間にはバラン29が配置され、中間端子29aと第1及び第2の給電点26および27と間で不平衡給電−平衡給電の変換が行われ、第1及び第2の給電点26および27の各々に給電が行われる。バラン29は、後述するコネクタ40(図5)内に配置された回路基板上に実装されている。
図示の例では、第1の給電ライン22から放射素子21の第1の辺21−1に直接給電をし、第2の給電ライン23から放射素子21の第4の辺21−4に電磁結合により給電している。第2の給電ライン23は、放射素子21の第4の辺21−4と電磁結合する電磁結合部分231を持つ。
このように、放射素子21と第1の給電ライン22と第2の給電ライン23とによって平衡型のGPSアンテナパターン20が構成されている。平衡型とすることにより、放射素子21と対向するグランド面を不要としている。
図3に示すアンテナ装置10において、インピーダンス調整は第2の給電ライン23で行われ、軸比調整は摂動素子211で行われ、受信周波数の調整は、放射素子21の外周長で行われる。したがって、アンテナ装置10を容易に設計することが可能である。
次に、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置10における、電磁結合による給電ついてさらに詳細に説明する。
図3の破線Aより下側の、放射素子21の第1及び第4の辺21−1および21−4に電流が集中して分布する。したがって、インピーダンス調整用の第2の給電ライン23は、第1の辺21−1又は第4の辺21−4と電磁結合させることがより効果的である。
逆に、図3の破線より上側の、放射素子21の第2及び第3の辺21−2および21−3では、電流分布が小さい。したがって、これら第2の辺21−2又は第3の辺21−3にインピーダンス調整用の第2の給電ライン23を電磁結合させた場合には、第1の辺21−1又は第4の辺21−4にインピーダンス調整用の第2の給電ライン23を電磁結合させた場合に比較して、効果は小さい。
したがって、放射素子21の第1及び第4の辺21−1および21−4であれば、どの位置でもインピーダンス調整を行うようにしても良い。例えば、インピーダンス調整用の第2の給電ライン23を、図3の破線で示すような位置に設けることができる。
図3に示したアンテナ装置10では、次のようにしてインピーダンス調整が行われる。すなわち、第2の給電ライン23の電磁結合部分231の長さaを調整することによって、インピーダンスのインダクタンス成分Lを調整することができる。また、放射素子21の第4の辺21−4と第2の給電ライン23の電磁結合部分231との間のギャップ長bを調整することによって、インピーダンスのキャパシタンス成分Cを調整することができる。このようにして、アンテナ装置10のインピーダンス整合を容易に調整することができる。
図4は、図3に示したアンテナ装置10の放射特性を示す図である。図4より、アンテナ装置10は、天頂方向がボアサイトであることが分かる。すなわち、アンテナ装置10は、非常に薄型化が可能で天頂方向がボアサイトの指向性アンテナである。
図5は、図3に示したアンテナ装置10をガラス30に取り付けた状態を示す平面図である。アンテナ装置10は、フロントガラスなどのガラス30の内側に、両面テープを使用して設置される。
アンテナ装置10の第1の給電点26及び第2の給電点27にはコネクタ(アンプユニット)40が接続され、コネクタ(アンプユニット)40には同軸ケーブル50が接続されている。
上述したように、コネクタ(アンプユニット)40は、その内部に配置された回路基板(図示せず)上に実装された上記バラン29(図3)を有する。コネクタ40は、回路基板上に形成された低雑音増幅器(LNA)回路(図示せず)とグランドパターン(図示せず)とを含む。バラン29の中間端子29a(図3)はこのLNA回路の入力端に接続される。
一方、図示はしないが、この技術分野において周知のように、同軸ケーブル50は、中心にある内導体と、円筒状の外導体とを有する。LNA回路の出力端は、同軸ケーブル50の内導体に接続され、回路基板上に形成された上記グランドパターンは同軸ケーブル50の外導体に接続される。
図5に示したアンテナ装置10は、樹脂フィルム11上にGPSアンテナパターン20を形成している。これに対して、樹脂フィルム11を使用せず、直接、GPSアンテナパターン20を自動車のフロントガラス30に埋め込んでもよい。このようなアンテナ装置は、ガラスプリントアンテナと呼ばれる。
図3に示したアンテナ装置(フィルムアンテナ)10は、ディーラオプション品として販売される。したがって、アンテナ装置(フィルムアンテナ)10は、工場装着ではなく、ディーラでの後付け品として位置づけられる。これに対して、ガラスプリントアンテナは、工場装着のGPS用アンテナであって、OEM部品として位置づけられる。
このようなガラスプリントアンテナでは、ガラスの端部において、第1の給電点26には第1の信号ライン端子(図示せず)が接続され、第2の給電点27には第2の信号ライン端子(図示せず)が接続される。これら第1及び第2の信号ライン端子には、バランおよびLNA回路を内蔵したコネクタ(図示せず)が装着される。すなわち、コネクタ(アンプユニット)を第1及び第2の信号ライン端子に差し込む形式となる。
このような構成のガラスプリントアンテナでは、AM/FMラジオやリアデフォッガーなどのプリントパターンと同時に、ガラス30にGPSアンテナパターン20をプリントするため、GPSアンテナを形成するためのコスト(工数)は新たに発生しない。また、ガラス30へのコネクタ(アンプユニット)の取付けとなるため、各車両毎に取付形状を変更する必要がない。すなわち、製品共通化の度合いが向上する。さらに、ガラスメーカのガラス納入時にアンプユニットを装着することにより、自動車メーカでのGPSアンテナに関わる装着工数を低減することができる。後付けでフィルムアンテナをガラスに貼り付けるよりは、スタイリッシュで車室内の美感を保つことができる。
なお、ガラス30直下にアンプユニット(コネクタ)を設置するのではなく、リード線(同軸信号線)などで引き出し、離れた場所にアンプユニットを設置しても良い。
図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置10Aについて説明する。図6は複合アンテナ装置10Aの平面図である。図示のアンテナ装置10Aは、GPS衛星からのGPS信号を受信するためのGPS用アンテナと、地上波デジタル放送の使用周波数帯を受信する地上波デジタル放送受信用アンテナと、を複合した複合アンテナ装置である。
図示の複合アンテナ装置10Aは、フィルムアンテナから成る。すなわち、複合アンテナ装置10Aは、透明な樹脂フィルム(図示せず)と、この樹脂フィルム上に形成された複合アンテナパターン20Aとから構成される。複合アンテナパターン20Aは、同一平面上に形成されている。
複合アンテナパターン20Aは、摂動素子211を持つカール状の放射素子(アンテナエレメント)21と、この放射素子21に直接給電するための第1の給電ライン22Aと、この第1の給電ライン22Aと近接して平行に延在して、放射素子21に対して電磁結合により給電する第2の給電ライン23Aとから構成されている。
図示の複合アンテナパターン20Aは、図3に示したGPSアンテナパターン20とは異なり、第1および第2の給電ライン22A、23Aは、放射素子21の大きさ(径)より長く延在している。
換言すると、図3に示したGPSアンテナパターン20においては、給電ライン22、23の根本から放射素子21の頂点までの距離が63mmであるのに対して、図6に示した複合アンテナパターン20Aにおいては、給電ライン22A、23Aの根本から放射素子21の頂点までの距離Lが120mmである。このように、第1および第2の給電ライン22A、23Aを延長して、複合アンテナパターン20Aの全長を600MHz帯の(1/4)波長程度にしている。
図6に示した放射素子21の構成は、図3に示した放射素子21のそれと同一なので、その詳細な説明については省略する。
第1の給電ライン22Aの根本部には第1の給電点26が形成され、第2の給電ライン23Aの根本部には第2の給電点27が形成されている。第1及び第2の給電点26、27間には、図3に図示されているような、バラン(図示せず)が配置されている。
図6に加えて図7をも参照して、第1および第2の給電点26、27間に所定の周波数帯の並列共振回路60が挿入されている。図示の例では、所定の周波数帯は1.5GHz帯である。これにより、所定の周波数帯(1.5GHz帯)で第1および第2の給電点26、27間をオープンとし、所定の周波数帯(1.5GHz帯)以外で、第1および第2の給電点26、27間をショートさせるようにしている。
第1および第2の給電点26、27間をオープンとすることにより、放射素子21と第1の給電ライン22Aと第2の給電ライン23Aとによって平衡型のアンテナパターン20Aを構成し、第1および第2の給電点26、27間をショートすることにより、アンテナパターン20Aをモノポールアンテナとして動作させることができる。
図示のアンテナ装置10Aにおいては、平衡型のアンテナパターン20Aが、所定の周波数帯が約1.57GHzのGPS信号を受信するGPS用アンテナとして使用され、モノポールアンテナが、地上波デジタル放送の使用周波数帯を受信する地上波デジタル放送受信用アンテナとして使用される。
尚、図7に示されるように、第1の給電点26には、マッチング用コイル62が接続されている。
図8及び図9を参照して、第1および第2の給電点26、27間がオープンのときの、図6に示したアンテナ装置10Aの放射特性のシミュレーション結果を示す。図8は、アンテナ装置10Aの軸比周波数特性を示す図で、横軸は周波数(Frequency)[GHz]を示し、縦軸は軸比(Axial Ratio)[dB]を示す。図9は、アンテナ装置10Aの指向特性を示す図で、鎖線は右旋円偏波RHCPの利得特性を示し、実線は左旋円偏波LHCPの利得特性を示す。
図8より、GPS信号の周波数(約1.57GHz)で軸比が小さいことが分かる。また、図9より、天頂方向(0°)で、右旋円偏波RHCPの利得が大きいことが分かる。
図10及び図11を参照して、第1および第2の給電点26、27間がショートのときの、図6に示したアンテナ装置10Aの放射特性のシミュレーション結果を示す。図10は、アンテナ装置10Aの電圧定在波比(VSWR)の特性を示し、横軸は周波数(Frequency)[GHz]を示し、縦軸はVSWRを示す。図11は、アンテナ装置10Aの指向特性を示す図で、鎖線は垂直偏波の利得特性を示し、実線は水平偏波の利得特性を示す。
図10より、地上波デジタル放送の使用周波数帯(470MHz〜770MHz)において、VSWRが小さいことが分かる。また、図11より、水平偏波の利得が大きいことが分かる。
以上の説明から、第1および第2の給電点26、27間をオープン、ショートすることにより、アンテナ装置10Aを複合アンテナ装置として動作させることができることが分かる。
以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。例えば、上記実施の形態では、放射素子(アンテナエレメント)21として四角形(菱形)のカール状のものを使用しているが、これに限定されない。すなわち、放射素子(アンテナエレメント)21は、四角形(菱形)に限定されず、円形、多角形等のカール状であっても良い。また、上記実施の形態では、中間端子29aと第1及び第2の給電点26、27との間にバラン29を配置して、第1及び第2の給電点26、27への給電を行っているが、バラン29を用いずに第1及び第2の給電点26、27への給電を行うようにしても良い。
従来のカールアンテナ素子の斜視図である。 図1に示したカールアンテナ素子の平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置を示す平面図である。 図3に示したアンテナ装置の放射特性を示す図である。 図3に示したアンテナ装置をガラスに取り付けた状態を示す平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るアンテナ装置を示す平面図である。 図6に示したアンテナ装置の給電ラインの根本部を拡大して示す部分拡大図である。 第1および第2の給電点間がオープンのときの、図6に示したアンテナ装置の軸比周波数特性を示す図である。 第1および第2の給電点間がオープンのときの、図6に示したアンテナ装置の指向特性を示す図である。 第1および第2の給電点間がショートのときの、図6に示したアンテナ装置の電圧定在波比(VSWR)の特性を示す図である。 第1および第2の給電点間がショートのときの、図6に示したアンテナ装置の指向特性を示す図である。
符号の説明
10、10A アンテナ装置
11 樹脂フィルム
20 GPSアンテナパターン
20A 複合アンテナパターン
21 放射素子(アンテナエレメント)
21−1 第1の辺
21−2 第2の辺
21−3 第3の辺
21−4 第4の辺
211 摂動素子
22、22A 第1の給電ライン
23、23A 第2の給電ライン
231 電磁結合部分
26 第1の給電点
27 第2の給電点
29 バラン
30 ガラス
40 コネクタ(アンプユニット)
50 同軸ケーブル
60 並列共振回路
62 マッチング用コイル

Claims (8)

  1. 摂動素子をもつカール状の放射素子と、
    該放射素子に直接給電する第1の給電ラインと、
    前記放射素子に対して電磁結合により給電する第2の給電ラインとを備え、
    前記放射素子と前記第1の給電ラインと第2の給電ラインとによって平衡型のアンテナパターンを構成し、
    前記アンテナパターンが同一平面上に形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記第2の給電ラインが前記第1の給電ラインと平行に延在している、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記アンテナパターンが樹脂フィルム上に形成されている、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記アンテナパターンがガラス内に埋め込まれている、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
  5. 前記平衡型のアンテナパターンが、前記所定の周波数帯が約1.57GHzのGPS信号を受信するGPS用アンテナとして使用される、請求項1乃至4のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  6. 摂動素子をもつカール状の放射素子と、
    該放射素子に直接給電する第1の給電ラインと、
    前記放射素子に対して電磁結合により給電する第2の給電ラインとを備え、
    前記第1の給電ラインと前記第2の給電ラインとは、互いに近接して平行に、かつ、前記放射素子の大きさより長く延在しており、
    前記第1および前記第2の給電ラインの根本部には、それぞれ、第1および第2の給電点が形成されており、
    前記第1および前記第2の給電点間をオープンとすることにより、前記放射素子と前記第1の給電ラインと第2の給電ラインとによって平衡型のアンテナパターンを構成し、
    前記第1および前記第2の給電点間をショートすることにより、前記アンテナパターンをモノポールアンテナとして動作させ得、
    前記アンテナパターンが同一平面上に形成されていることを特徴とする複合アンテナ装置。
  7. 前記第1および前記第2の給電点間に所定の周波数帯の並列共振回路が挿入されており、
    これにより、前記所定の周波数帯で前記第1および前記第2の給電点間をオープンとし、前記所定の周波数帯以外で、前記第1および前記第2の給電点間をショートさせるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の複合アンテナ装置。
  8. 前記平衡型のアンテナパターンが、前記所定の周波数帯が約1.57GHzのGPS信号を受信するGPS用アンテナとして使用され、
    前記モノポールアンテナが、地上波デジタル放送の使用周波数帯を受信する地上波デジタル放送受信用アンテナとして使用される、
    請求項6又は7に記載の複合アンテナ装置。
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