JP5549354B2 - 平面アンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の窓ガラスおよびサンルーフに設けた円偏波の電波を高効率かつ広い帯域で送受信可能なマイクロ波用平面アンテナに関する。
近年、自動車用の無線通信に主としてGPS(Global Positioning System、全地球無線測位システム)、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service、衛星デジタルラジオ放送サービス)、VICS (Vehicle Information Communication System、道路交通情報通信システム)、ETC(Electronic Toll Collection、電子料金徴収システム)等にマイクロ波帯の電波が積極的に使用されているが、マイクロ波帯の電波はマルチパスに弱いという欠点がある。
このため、衛星から電波を受信する衛星通信など、マイクロ波帯の電波を自動車の窓ガラスに設ける平面アンテナで受信する場合、前記マルチパスによる影響を軽減させるために、円偏波を用いることが多いのが現状である。
円偏波のアンテナは、水平偏波と垂直偏波の位相を90度ずらして合成したもので、水平偏波も垂直偏波も斜め方向の偏波もすべて受信することができる。
また、円偏波は、通信相手の偏波が定まらない衛星通信などには特に有利であるため、衛星から電波を受信する場合には、円偏波を用いることが多いのが現状である。
そこで、GPS衛星等の円偏波の衛星電波を自動車等で受信する場合には、従来、自動車のボディー上に厚さ十数ミリ程度の肉厚で、直径数十ミリの大きさのマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)を装着していたが、ボディーから突起しているだけでなく、配線も露出するため、美観も損ねており、このため、自動車の窓ガラス面に設ける平面アンテナが要望されるようになった。
さらに、ガラスアンテナ用の平面アンテナの開発が各方面で進められているが、従来のガラスアンテナは縮退分離法を用いているため、低軸比となる受信周波数の帯域幅が狭く、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service、衛星デジタルラジオ放送サービス)の二波受信が困難である。さらに製造時にアンテナ形状にバラツキが生じる場合は、低軸比になる周波数帯域が受信対象の周波数範囲外となり、受信ができない等の問題があり、このため、低軸比となる周波数範囲が広い円偏波受信用の平面アンテナが要望されるようになった。
円偏波を受信する平面アンテナとしては、2つのアンテナを直交するように配置し、片側の位相を90度遅らせて給電し、円偏波を励振させる位相差給電法と呼ばれる円偏波の励振方法がある。
例えば、円偏波の電波を受信するアンテナを自動車の窓ガラス上に備えた窓ガラスアンテナ装置において、対称軸とした垂線に対して左右に所定の距離で配置した2点から、導体パターンにより、90度の角度、受信電波の1/4波長の長さで上方に拡張して形成した第1のアンテナパターンおよび第2のアンテナパターンと、接地パターン内部で前記2点間を接続し、受信電波の1/4波長の長さでループ状に形成した位相調整手段を備えたことを特徴とする窓ガラスアンテナ装置が記載されている。(特許文献1)
一方、2組の線状ダイポールアンテナを直交して配置したクロスダイポールアンテナがある。これは、直交ダイポールアンテナの給電電圧の位相を90度ずらすことで、2組のダイポール面に垂直な方向(z軸方向)で円偏波が発生する旨の記載がある。(非特許文献1)
特開平9−18221号公報
社団法人電子情報通信学会編、アンテナ工学ハンドブック(第2版)、株式会社オーム社発行、平成20年7月25日第2版第1刷発行(第131〜132頁、図4・58、図4・59)
しかしながら、前記特許文献1に記載のアンテナは、アンテナチューニング時に位相調整用のループ状のパターンや長さ等を変更しようとする場合に、アース側の導体パターンがループ状に形成した位相調整パターンを挟むような2つの平面上の導体パターンで面状に構成されているため、円偏波が良好に発生する周波数帯域幅が位相調整パターンに依存するため、狭帯域になるという問題点があった。
一方、前記非特許文献1に記載のアンテナは、円偏波が発生するために直交ダイポールアンテナの給電電圧の位相を90度ずらす必要があり、一般的には2組の線状ダイポールアンテナの給電点に接続するそれぞれの同軸ケーブルの長さの差を送受信周波数帯の中間周波数の波長の1/4の長さに調整したり、移相器や方向性結合器を接続したり、2組の線状ダイポールアンテナのそれぞれの長さを調整したり、逆V字形のダイポールアンテナを用いたりしても、アンテナのチューニング作業も容易ではなく、円偏波の電波の送受信は狭帯域になるという恐れがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成で、円偏波の電波を高効率で広い帯域で送受信でき、指向特性も優れ、またアンテナのチューニング作業を容易に行えることを目的とする。
すなわち、本発明は、車両用窓ガラスに設ける円偏波の電波を送受信する平面アンテナにおいて、略矩形状の第1帯状エレメントの一部に略矩形状の空白アンテナ領域を設け、該空白アンテナ領域の壁部の一部をスリット部によって開口させた略矩形状の第1帯状エレメントと、該第1帯状エレメントの上辺部または下辺部と連結する略L字状または略T字状の導電性の第2帯状エレメントとを備え、前記壁部の下端部を正極の給電点とし、スリット部を挟んで前記壁部の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点としてそれぞれ同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続しており、
前記第1帯状エレメント内の前記略矩形状の空白アンテナ領域の水平方向のいずれか一端に、略矩形状のインピーダンス調整用の空白調整領域を近接して並設し、両空白領域間の壁部の一部にスリット部を設けて両空白領域を連通させたことを特徴とする平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記第2帯状エレメントの第2帯状水平部に近接して水平方向に延ばして容量結合する略矩形状の第3帯状エレメントを設けたことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記略矩形状の第1帯状エレメント内の空白アンテナ領域およびインピーダンス調整用の空白調整領域の上部または下部の導電部分の水平小幅部の垂直方向の幅、他方より小幅に形成したことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、第1帯状エレメントと第2帯状エレメントとの接続位置は、第1帯状エレメントの前記略矩形状の空白アンテナ領域の内側の上辺の略中心近傍位置としたことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記第1帯状エレメントの略矩形状の空白アンテナ領域の内周の全長を、送受信周波数帯の中間周波数の波長としたことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、前記第1帯状エレメントのインピーダンス調整用の空白調整領域と略矩形状の空白アンテナ領域の空白部とを連通させる前記スリット部の位置を、該略矩形状の空白アンテナ領域の空白部の内周の全長が送受信周波数帯の中間周波数の波長となる位置に設けたことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、導電性材料からなる前記正極の給電点および負極の給電点ならびに第1帯状エレメント、第2帯状エレメントおよび第3帯状エレメントをガラス板の表面上に形成したことを特徴とする上述の平面アンテナである。
あるいはまた、本発明は、導電性材料からなる前記正極の給電点および負極の給電点ならびに第1帯状エレメント、第2帯状エレメントおよび第3帯状エレメントを透明フイルム上に形成しガラス板面に貼着させたことを特徴とする上述の平面アンテナである。
本発明によれば、アンテナをガラス面上に平面的に設けたために、シンプルな構造となり、従来のマイクロストリップアンテナ(パッチアンテナ)のような自動車のボディー上に突設させることによって美観が損なわれることもない。
また、電磁流混合型の円偏波アンテナを構成し、低軸比となる周波数範囲を広げ、軸比特性を広帯域とすることで、GPS衛星や衛星ラジオ等の放送衛星から送信されてくる円偏波の電波を効率良く広い帯域で受信でき、指向特性にも優れ、製造時のアンテナ形状のバラツキの影響を受けにくい。
さらに、前記パターンをガラス板の表面上に導電性材料によって印刷、または前記パターンを透明フイルム上に導電性材料によって印刷により形成し、該フイルムをガラス面上に貼着するようにすれば、ユーザーやディーラーが自動車の窓ガラスの所定面に自由に容易に後付できる。
本発明の実施例1のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例2のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例3のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例4のアンテナパターンの正面図。 比較例1のアンテナパターンの正面図。 本発明の実施例1のアンテナの軸比の周波数特性図。 本発明の実施例1のアンテナ受信利得の周波数特性図。 本発明の実施例2のアンテナの軸比の周波数特性図。 本発明の実施例2のアンテナ受信利得の周波数特性図。 本発明の実施例3のアンテナの軸比の周波数特性図。 本発明の実施例3のアンテナ受信利得の周波数特性図。 本発明の実施例4のアンテナの軸比の周波数特性図。 本発明の実施例4のアンテナ受信利得の周波数特性図。 比較例1のアンテナの軸比の周波数特性図。 比較例1のアンテナ受信利得の周波数特性図。
本発明の平面アンテナは、電波の受信用だけでなく、送信用として用いることもできる。本発明の平面アンテナは、円偏波の電波を送受信する車両用窓ガラス1に設けるアンテナであって、以下に示されるようなパターンで構成される。電気的に導通している導電性の各構成の境界線部分は、識別のため実線で表される。
すなわち、本発明の平面アンテナは、図1に示すように、前記略矩形状の第1帯状エレメント10の一部に略矩形状の非導電性領域である空白アンテナ領域11を設け、該空白アンテナ領域の壁部12の縦辺の一部をスリット部15によって開口させ、略矩形状の第1帯状エレメント10を形成した。さらに、該第1帯状エレメント10の上辺部または下辺部に略L字状または略T字状の導電性の第2帯状エレメント20を連結した構成である。
前記スリット部15に面する壁部12の下端部を正極の給電点2とし、同軸ケーブルの内部導線を接続した。前記スリット部15を挟んで前記壁部12の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点3として同軸ケーブルの外部導線を接続した。
前記同軸ケーブルの外部導線を接続する面状導電性領域14の面積を大きくすることで、平衡回路の平面アンテナと不平衡回路の同軸ケーブルを平衡励振させ、平面アンテナの受信利得を向上することができる。
また、第2帯状エレメント20の全長は、第2帯状水平部22の先端から第2帯状垂直部21の帯状の幅の中心までの長さおよび第2帯状水平部22の帯状の幅の半分の位置から第1帯状エレメント10と第2帯状エレメント20との接続位置までの第2帯状垂直部21の垂直方向の長さを加算した長さである。
前記第2帯状エレメント20は、送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/2の長さになるようにすればよいが、前記第2帯状エレメント20による受信感度と前記第1帯状エレメント10の領域内の空白アンテナ領域11による受信感度が等しくなるように設定することが好ましい。
前記第2帯状エレメント20の全長を送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/2の長さにしたのは、空白アンテナ領域11から発生する電界の位相に対して、前記第2帯状エレメント20から発生する電界の位相を略90度遅らせる作用があり、空白アンテナ領域11から発生する電界の偏波は空白アンテナ領域11の横辺に対して垂直となり、第2帯状エレメント20から出力する電界の偏波は第2帯状水平部22と平行となり、空白アンテナ領域11から出力する電界の大きさと第2帯状エレメント20から出力する電界の大きさを等しくし、第2帯状エレメント20から出力する電界の位相を90度遅らせることで円偏波を発生させるためである。
前記第1帯状エレメント10の領域内の空白アンテナ領域11の内側の縦辺の長さは、使用する同軸ケーブルの特性インピーダンスや自動車のボディーなどの平面アンテナ周辺の導電体によって変化するが、平面アンテナの送受信周波数帯の中間周波数の波長の1/50〜1/5が好ましい。
また、前記第2帯状水平部22は、前記第1帯状エレメント10の領域内の空白アンテナ領域11の横辺に略平行となるように設けるのが好ましい。
前記第2帯状水平部22を、前記第1帯状エレメント10の領域内の空白アンテナ領域11の横辺に対し略平行となるように設けたのは、該空白アンテナ領域11による受信電波に対して前記第2帯状エレメント20の偏波面を直交させる作用があるためである。
また、図1、図2に示すように、前記第2帯状水平部22は、連結する前記第2帯状垂直部21の左側(図1)および右側(図2)のいずれの方向に延ばしても良い。
第2帯状水平部22を前記第2帯状垂直部21の左側に配置した場合、ガラス板1の表面の奥に向かって左旋回、第2帯状水平部22を前記第2帯状垂直部21の右側に配置した場合はガラス板1の表面の奥に向かって右旋回の円偏波を発生することができる。
また、図3に示すように、前記第1帯状エレメント10内において、前記略矩形状のインピーダンス調整用の空白調整領域16を前記空白アンテナ領域11の水平方向のいずれか一端の縦辺に近接して並設し、両空白領域間に設けた壁部12の一部に前記スリット部15を設けて両空白領域を連通させて形成するとよい。その理由は、前記インピーダンス調整用の空白調整領域16と、空白アンテナ領域11間を連結させる前記スリット部15に対して正極の給電点2と負極の給電点3を対向して配置することで、インピーダンスの調整が容易になり受信感度を向上させることができるためである。
さらに、図3に示すように、前記略矩形状の第1帯状エレメント10内の空白アンテナ領域11およびインピーダンス調整用の空白調整領域16の上部または下部の導電部分の水平小幅部13の垂直方向の幅を、他方より小幅に形成してもよいが、該空白アンテナ領域11およびインピーダンス調整用の空白調整領域16の上部または下部の導電部分の水平小幅部13の垂直方向の幅を送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/100の長さに設定するのが好ましい。
また、図4に示すように、前記略矩形状の第3帯状エレメント30を前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部21に近接して水平方向に延ばして容量結合させて設けても良い。これによって、チューニング作業が容易になる。
さらに、図1乃至図2および図4に示すように、前記略矩形状の第1帯状エレメント10内の水平小幅部13の幅を、他方より小幅に形成してもよいが、水平小幅部13の幅を送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/100の長さに設定することが好ましい。
また、図1乃至図4に示すように、第1帯状エレメント10と第2帯状エレメント20との接続位置は、前記第1帯状エレメント10の前記略矩形状の空白アンテナ領域11の内側の上辺の略中心近傍位置に形成するとよい。その理由は、正極の給電点2および負極の給電点3の間から給電した電波の電界が該空白アンテナ領域11の上辺の略中心近傍位置で限りなく高いため、該電界を効率よく第2帯状エレメント20に伝送することができ、受信する場合も可逆の理が成り立つことから、空白アンテナ領域11および第2帯状エレメント20で電波を効率よく送受信することができるためである。
また、前記第2帯状エレメント20の全長は、送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/2の長さに設定することが好ましい。
また、前記第2帯状エレメント20の第2帯状垂直部21の垂直方向の長さは、送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/4の長さに設定すればよい。これによって、第2帯状水平部22から効率よく電波を発生することができる。
前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部22の垂直方向の幅(帯状の幅)は、該第2帯状エレメント20による受信感度と前記第1帯状エレメント10の領域内の空白アンテナ領域11による受信感度とが等しくなるように設定すればよい。すなわち、送受信周波数帯の中間周波数の波長の1/50〜1/5になるように形成することが好ましい。
また、前記第2帯状エレメント20の第2帯状垂直部21は、前記第1帯状エレメント10の上辺部または下辺部と略直角に接続するのが好ましい。
さらに、前記第1帯状エレメント10の略矩形状の空白アンテナ領域11の内周の全長が、平面アンテナの送受信周波数帯の中間周波数の波長となるように設ければよい。これによって、空白アンテナ領域11が共振し、空白アンテナ領域11から効率よく電波を発生することができる。
さらに、図3に示すように、前記第1帯状エレメント10のインピーダンス調整用の空白調整領域16と略矩形状の空白アンテナ領域11の空白部とを連通させた前記スリット部15の位置は、該略矩形状の空白アンテナ領域11の空白部の内周の全長が送受信周波数帯の中間周波数の波長となる位置に設ければよい。
また、本発明の平面アンテナの前記第2帯状水平部22は、連結する前記第2帯状垂直部21の左側および右側のそれぞれの方向に同時に延ばして、略T字状の導電性の第2帯状エレメント20としてもよい。
第2帯状水平部22を、前記第2帯状垂直部21の左側に送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/4に延ばし、前記第2帯状垂直部21の右側に送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/10に延ばして配置した場合、ガラス板1の表面の奥に向かって左旋回の円偏波を発生することができる。
また、第2帯状水平部22を、前記第2帯状垂直部21の左側に送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/10に延ばし、前記第2帯状垂直部21の右側に送受信周波数帯の中間周波数の波長の略1/4に延ばして配置した場合、ガラス板1の表面の奥に向かって右旋回の円偏波を発生することができる。
また、前記各給電点2,3および各エレメント10,20,30は、ガラス板1の表面上に導電性材料によって印刷して形成してもよいが、透明フイルム上に導電性材料を印刷により形成し、ガラス板1面に貼着させて形成するようにしてもよく、パンチングメタル状をガラス面またはフイルムに印刷して形成してもよい。該導電性材料は、導電性フィラーに無機系バインダー、有機系バインダーまたは該無機系バインダーおよび該有機系バインダーの複合系バインダーを混ぜたペーストを用いることができるが、これに限るものではない。該導電性フィラーは、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、C、SnO2、ITO、ZnOを用いることができるが、これに限るものではない。該無機系バインダーは、ガラス、セラミックス、アルミナ、シリカを用いることができるが、これに限るものではない。該有機系バインダーは、エポキシ、ポリイミド、ポリエステル、アクリル、シリコーンを用いることができるが、これに限るものではない。該透明フイルムは、PETフイルム、ポリイミドフイルム、PENフイルム、PPSフイルム、PEIフイルム、PSFフイルムを用いることができるが、これに限るものではない。該形成の方法は、印刷、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング、無電解メッキ、電解メッキを用いることができるが、これに限るものではない。
ここで、車両とは、自動車、鉄道等の車両を示すが、飛行機、船舶等の窓ガラスにも応用できる。
さらに、本発明の平面アンテナの取付部位は、前部窓ガラス、後部窓ガラス、側部窓ガラスおよびサンルーフのいずれに設けるようにしても良い。
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示すように実施例1のアンテナは、左旋回の偏波面をもつ平面アンテナであり、略矩形状の第1帯状エレメント10内に、略矩形状の空白アンテナ領域11を設け、符号12で示す壁部の縦辺の一部を開口してスリット部15を設けた。
また、前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺の略中間部に、幅広で導電性の第2帯状垂直部21からなる略L字状の第2帯状エレメント20を接続した。前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部22は、前記第2帯状垂直部21の上端より左側に延ばして形成した。
各エレメントの寸法は以下の通りとした。
すなわち、第1帯状エレメント10の長さは、縦辺を45mm、横辺を50mmとし、略矩形状の空白アンテナ領域11の長さは、縦辺を6mm、横辺を40mmとし、前記スリット部15の間隔は1mmとした。
また、前記第2帯状水平部22の水平方向の長さ(第2帯状水平部22の左端から第2帯状垂直部21の左側辺までの長さ)は24mmとし、帯状の幅は6mmとした。さらに、前記第2帯状垂直部21の垂直方向の長さは20mmとし、帯状の幅は8mmとした。
また、前記壁部12の幅は1mmとした。
さらに、前記第2帯状垂直部21の帯状の幅の中心から前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺の左側角部までの長さは23mmとした。
前記スリット部15の上部側の壁部12の下端部を正極の給電点2とし、スリット部15を挟んで前記壁部12の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点3として形成した。
前記略矩形状の第1帯状エレメント10内の空白アンテナ領域11の上辺側の水平小幅部13の幅は、1.5mmの小幅に形成した。前記各給電点2,3および各エレメント10,20は、ガラス板1の表面上に従来公知のAgとガラス粉とを混ぜた導電性のペーストによって印刷し、焼成して形成した。
このようにして得られたガラス板を自動車の後部窓に装着し、さらに該正極の給電点2および該負極の給電点3より同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続し、チューナー(図示せず)に接続し、軸比特性および利得特性を測定した。
この結果、軸比が3dB以下となる周波数帯域は、図14の点線の比較例1(後述;以下同様)のアンテナが示す2.25〜2.40GHzに比べ、図6に示すように実施例1のアンテナのほうが2.0〜2.5GHzと広くなることが判明した。図7に示すように実施例1のアンテナの利得特性は図15に示す比較例1のアンテナの結果とほぼ同等な利得特性が得られた。
[実施例2]
図2に示すように実施例2のアンテナは、右旋回の偏波面をもつ平面アンテナであり、実施例1に比べて略L字状の第2帯状エレメント20を左右反転させ、第2帯状水平部22の先端部を左向きから右向きに変更し、前記第2帯状垂直部21の帯状の幅を6mmとした以外は、実施例1のアンテナと同様の構成および寸法とした。前記各給電点2,3および各エレメント10,20は、ガラス板1の表面上に従来公知のAgとガラス粉とを混ぜた導電性のペーストによって印刷し、焼成して形成した。
このようにして得られたガラス板を自動車の後部窓に装着し、さらに該正極の給電点2および該負極の給電点3より同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続し、チューナー(図示せず)に接続し、軸比特性および利得特性を測定した。
この結果、実施例2のアンテナは、軸比が3dB以下となる周波数帯域が、図14に示す点線の比較例1に比べて、図8に示すように広くなることが判明し、図8および図9に示すように軸比特性および利得特性については実施例1のアンテナの結果とほぼ同等の受信特性が得られた。
[実施例3]
図3に示すように実施例3のアンテナは、左旋回の偏波面をもつ平面アンテナであり、略矩形状の第1帯状エレメント10内に設けた空白アンテナ領域11の左側に、略矩形状のインピーダンス調整用の空白調整領域16を近接して並設し、両空白領域間の壁部12の下端部の一部を開口してスリット部15とし、両空白領域を連通させた。
また、該空白アンテナ領域11の略中間部の上部小幅部より、幅広で導電性の略L字状の第2帯状エレメント20を接続した。前記第2帯状エレメント20は、実施例1と同様に、前記第2帯状垂直部21の上端より第2帯状水平部22を左側に延ばして形成した。
各エレメントの寸法は以下の通りとした。
第1帯状エレメント10の長さは、縦辺を40mm、横辺を70mmとし、略矩形状の空白アンテナ領域11の長さは、縦辺を8mm、横辺を40mmとし、前記スリット部15の間隔は1mmとした。
また、前記第2帯状水平部22の水平方向の長さは20mmとし、帯状水平部の幅は1mmとした。さらに、前記第2帯状垂直部21の垂直方向の長さは19mmとし、帯状垂直部の幅は3mmとした。
また、前記壁部12の幅は1mmとした。
さらに、該空白アンテナ領域11の略中間部位置での前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺に、幅広で導電性の略L字状の第2帯状エレメント20の第2帯状垂直部21を接続し、当該第2帯状垂直部21の(幅中心の)接続位置は、前記略矩形状の空白アンテナ領域の壁部12の幅中心から右へ20mm離れた前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺部となるように配置した。
前記スリット部15の上部の壁部12の下端部を正極の給電点2とし、スリット部15を挟んで前記壁部12の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点3とした。
前記略矩形状の第1帯状エレメント10内の空白アンテナ領域11の上部側の水平小幅部13の幅を0.5mmとした。前記各給電点2,3および各エレメント10,20は、ガラス板1の表面上に従来公知のAgとガラス粉とを混ぜた導電性のペーストによって印刷し、焼成して形成した。
このようにして得られたガラス板を自動車の後部窓に装着し、さらに該正極の給電点2および該負極の給電点3より同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続し、チューナー(図示せず)に接続し軸比特性および利得特性を測定した結果、実施例3のアンテナは、図10および図11に示すように軸比特性および利得特性について実施例1のアンテナとほぼ同じ受信特性が得られた。
[実施例4]
図4に示すように実施例4のアンテナは、左旋回の偏波面をもつ平面アンテナであり、略矩形状の第1帯状エレメント10内に、略矩形状の空白アンテナ領域11を設け、符号12で示す壁部の縦辺の一部を開口してスリット部15を設けた。
また、該空白アンテナ領域11の略中間部の前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺に、幅広で導電性の略L字状の第2帯状エレメント20の第2帯状垂直部21を接続した。前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部22は、前記第2帯状垂直部21の上端より左側に延ばして形成した。
さらに、第3帯状エレメント30を前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部22の上部側に近接して容量結合して設けた。
また、第1帯状エレメント10内の略矩形状の空白アンテナ領域11の壁部12の幅を1mm残し、その外側部分を切欠いた。
各エレメントの寸法は以下の通りとした。
第1帯状エレメント10の長さは、縦辺を46mm、横辺を86mmとし、第1帯状エレメント10の上辺の左側角部から右へ26mm離れた位置に前記壁部12の幅中心となるように前記壁部12を形成し、略矩形状の空白アンテナ領域11の各辺の長さは、縦辺を7mm、横辺を40mmとし、前記スリット部15の間隔は1mmとした。
また、前記第2帯状水平部22の水平方向の長さは14mmとし、帯状の幅は1mmとした。さらに、前記第2帯状垂直部21の垂直方向の長さは4.5mmとし、帯状の幅は2mmとした。
また、該空白アンテナ領域11の略中間部の前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺に、幅広で導電性の略L字状の第2帯状エレメント20を連結した第2帯状垂直部21を接続し、当該第2帯状垂直部21の(幅中心の)接続位置は、前記略矩形状の空白アンテナ領域の壁部12の幅中心から右へ23mm離れた前記略矩形状の第1帯状エレメント10の上辺部となるように配置した。
また、前記第3帯状水平部30の水平方向の長さは29mmとし、帯状の幅は7mmとした。さらに、第3帯状エレメント30を前記第2帯状エレメント20の第2帯状水平部22に近接させた距離は、0.5mmとした。
前記壁部12の下端部を正極の給電点2とし、スリット部15を挟んで前記壁部12の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点3とした。
前記略矩形状の第1帯状エレメント10の空白アンテナ領域11の上部側の水平小幅部13の垂直方向の幅は、0.5mmの小幅に形成した。前記各給電点2,3および各エレメント10,20,30は、ガラス板1の表面上に従来公知のAgとガラス粉とを混ぜた導電性のペーストによって印刷し、焼成して形成した。
このようにして得られたガラス板を自動車の後部窓に装着し、さらに該正極の給電点2および該負極の給電点3より同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続し、チューナー(図示せず)に接続し軸比特性および利得特性を測定した結果、実施例4のアンテナは、図12および図13に示すように軸比特性および利得特性について実施例1のアンテナとほぼ同じ受信特性が得られた。
[比較例1]
図5に示すアンテナパターンは、円偏波用のアンテナとして一般的な従来公知のパターンであり、左旋回の偏波面をもつクロスダイポールアンテナとした例であり、近接する2つの給電点の一方を正極の給電点2’、他方を負極の給電点3’とし、それぞれ長さが異なる第1線状エレメント100、100’を該正極の給電点2’より略直交し遠ざかる方向にそれぞれ放射状に延ばして配設し、それぞれ長さが異なる第2線状エレメント110、110’を該負極の給電点3’より略直交し遠ざかる方向にそれぞれ放射状に延ばして配設し、該第1線状エレメント100と該第2線状エレメント110をそれぞれ反対方向に直線状に延ばして配設してなる一対の線状ダイポールアンテナと、該第1線状エレメント100’と該第2線状エレメント110’をそれぞれ反対方向に直線状に延ばして配設してなる一対の線状ダイポールアンテナを略直交して線状ダイポールアンテナを2組設けた。
該第1線状エレメント100および該第2線状エレメント110のそれぞれの長さは、17.6mmとし、該第1線状エレメント100’および該第2線状エレメント110’のそれぞれの長さは、15.4mmとした。前記各線状エレメント100,100’,110,110’のそれぞれの幅は0.5mmとした。前記各給電点2’,3’および前記各線状エレメント100,100’,110,110’は、ガラス板1’の表面上に従来公知のAgとガラス粉とを混ぜた導電性のペーストによって印刷し、焼成して形成した。
このようにして得られたガラス板を自動車の後部窓に装着し、さらに該正極の給電点2’および該負極の給電点3’より同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続し、チューナー(図示せず)に接続し軸比特性および利得特性を測定した結果、比較例1のアンテナは、図14の点線に示すように、実線で示す実施例1のアンテナと比べて軸比が3dB以下となる周波数帯域が狭い軸比特性が見られ、図15の点線に示すように、実線で示す実施例1のアンテナと比べてほぼ同等の利得特性が見られた。
1、1’ ガラス板
2、2’ 正極の給電点
3、3’ 負極の給電点

10 第1帯状エレメント
11 空白アンテナ領域
12 空白アンテナ領域の壁部
13 水平小幅部
14 面状導電性領域
15 スリット部
16 空白調整領域

20 第2帯状エレメント
21 第2帯状垂直部
22 第2帯状水平部
30 第3帯状エレメント

100、100’ 第1線状エレメント
110、110’ 第2線状エレメント

Claims (8)

  1. 車両用窓ガラスに設ける円偏波の電波を送受信する平面アンテナにおいて、略矩形状の第1帯状エレメントの一部に略矩形状の空白アンテナ領域を設け、該空白アンテナ領域の壁部の一部をスリット部によって開口させた略矩形状の第1帯状エレメントと、該第1帯状エレメントの上辺部または下辺部と連結する略L字状または略T字状の導電性の第2帯状エレメントとを備え、前記壁部の下端部を正極の給電点とし、スリット部を挟んで前記壁部の下端部と対向する導電性の端部を負極の給電点としてそれぞれ同軸ケーブルの内部導線および外部導線を接続しており、
    前記第1帯状エレメント内の前記略矩形状の空白アンテナ領域の水平方向のいずれか一端に、略矩形状のインピーダンス調整用の空白調整領域を近接して並設し、両空白領域間の壁部の一部にスリット部を設けて両空白領域を連通させたことを特徴とする平面アンテナ。
  2. 前記第2帯状エレメントの第2帯状水平部に近接して水平方向に延ばして容量結合する略矩形状の第3帯状エレメントを設けたことを特徴とする請求項1記載の平面アンテナ。
  3. 前記略矩形状の第1帯状エレメント内の空白アンテナ領域およびインピーダンス調整用の空白調整領域の上部または下部の導電部分の水平小幅部の垂直方向の幅、他方より小幅に形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の平面アンテナ。
  4. 第1帯状エレメントと第2帯状エレメントとの接続位置は、第1帯状エレメントの前記略矩形状の空白アンテナ領域の内側の上辺の略中心近傍位置としたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の平面アンテナ。
  5. 前記第1帯状エレメントの略矩形状の空白アンテナ領域の内周の全長を、送受信周波数帯の中間周波数の波長としたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の平面アンテナ。
  6. 前記第1帯状エレメントのインピーダンス調整用の空白調整領域と略矩形状の空白アンテナ領域の空白部とを連通させる前記スリット部の位置を、該略矩形状の空白アンテナ領域の空白部の内周の全長が送受信周波数帯の中間周波数の波長となる位置に設けたことを特徴とする請求項2乃至のいずれかに記載の平面アンテナ。
  7. 導電性材料からなる前記正極の給電点および負極の給電点ならびに第1帯状エレメント、第2帯状エレメントおよび第3帯状エレメントをガラス板の表面上に形成したことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の平面アンテナ。
  8. 導電性材料からなる前記正極の給電点および負極の給電点ならびに第1帯状エレメント、第2帯状エレメントおよび第3帯状エレメントを透明フイルム上に形成しガラス板面に貼着させたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の平面アンテナ。
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