JP2009221370A - マイクロパターン複合材、微小3次元構造体の製造方法及びマイクロパターン形成用硬化性組成物 - Google Patents

マイクロパターン複合材、微小3次元構造体の製造方法及びマイクロパターン形成用硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】流路などの微小セル構造を積層形成するための10μm以下の大きさの複数のマイクロパターンを有するマイクロパターン複合材であって、各層の位置合わせを容易とし、かつ加熱の必要なく確実に接着すること可能とするマイクロパターン複合材を提供する。
【解決手段】支持体4と、該支持体4上にマイクロパターンが形成されており、かつ、そのままでは接着力を有しないが、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により接着能を発現するマイクロパターンフィルム5Aとを備える、マイクロパターン複合材6。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、化学実験をダウンサイジングしたり、微量な検体を分析するのに用いられるマイクロチップやマイクロリアクターを製造するのに用いられるマイクロパターン複合材に関し、マイクロメートルオーダー以下の貫通部分または溝が形成されているマイクロパターンを備えるマイクロパターン複合材、該マイクロパターン複合材を用いた微小3次元構造体の製造方法及びマイクロパターン形成用硬化性組成物に関する。
Lab−on−a−Chipもしくは、マイクロTAS、マイクロ化学チップなどと呼ばれるマイクロチップ型の液体操作デバイスが、化学実験をダウンサイジングしたり、検体発生現場等において分析を簡便にかつ速やかに行うための機器として注目されている。上記マイクロチップ型の液体操作デバイスでは、1μm〜1mmの毛管寸法のマイクロキャビティおよびマイクロチャネルを含むマイクロ構造によって、微小容量の流体を操作することができる。
上記液体操作デバイスは、通常、両面が平坦面とされている複数の基板により構成されており、該基板の平坦面の一部に微小流路が形成されている。この微小流路にガス・液体を流入させて、成分分析・合成反応などを行うことができる。微小流路は、各基板にエンボス加工もしくは貫通加工することにより設けられている。
このような液体操作デバイスを低コストで製造するために、プラスチック基板を用いる試みがなされてきているが、プラスチック基板を用いた場合には、微細加工の精度をあげて流路構造を小さくするほど、複数の基板の接合に際し、微細流路が埋められ易かった。このため、微細な流路構造を確実に形成するための様々な工夫がなされてきている。
下記の特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート(PET)製シート状基板上に、シルク印刷などにより銀リード線付き炭素電極を形成し、その上に、両面接着テープを用いて、被検液を収容する空間を有するPET製スペーサーを貼り付ける方法が開示されている。これにより、マイクロ流路・定量空間を有するバイオセンサを作製できるとされている。しかし、スペーサーの空間部分は、打ち抜き加工やレーザーアブレーション加工等の貫通加工技術により形成されていたため、構造の小型化に制約があった。
また、下記の特許文献2では、より微細な50μm以下の流路構造を作製することができる材料として、パターン形成後に接着性を有し、かつその後、高エネルギー線照射あるいは加熱により最終硬化させる過程で別の基材と接着可能な材料が提案されている。具体的には、(A)分子内に開環重合性反応基を有する化合物と、(C)高エネルギー線を吸収し酸あるいは塩基を発生する化合物とを必須成分とする半硬化状態の感光性樹脂組成物が提案されている。この感光性樹脂組成物を用いれば、最小寸法が50μm以下、高さが1μm以上1mm以下の3次元パターンであって、表面のタックが98N/m以上である、接着性を有する3次元パターンを形成することができる。
他方、下記の特許文献3には、光後硬化型の樹脂組成物からなるレジストフィルムを用いたマイクロリアクターの製造方法が開示されている。ここでは、光後硬化型樹脂組成物からなるレジストフィルムが先ず形成される。次に、レジストフィルムに、流路部分が遮光部となるように、マスクを介して光が照射される。しかる後、光照射部分が、十分な現像液耐性を有し、かつ接着力を失わない程度に硬化した時点で、光が照射されたレジストフィルムを現像により除去する。それによって、流路が形成される。そして、光照射部分が完全に硬化して接着力を失う前に、流路が形成されたレジストフィルムが他の層と接着される。このレジストフィルムは、光ラジカル反応等による早い架橋反応を起こす官能基と、カチオン重合による遅い架橋反応を起こす官能基とを有するため、露光後の現像性と、現像後の硬化接着とを両立させることができる。
また、下記の特許文献4には、微小流路の溝を形成する樹脂基板あるいは蓋基板の接着しようとする面に、真空紫外線を照射して前処理を行い、ついで両者を加圧接合することによって、微細流路化学デバイスを製造する方法が開示されている。
特開平5−164724公報 特開2003−307849公報 特開2005−329479号公報 特開2006−187730号公報
特許文献2に記載の3次元パターンの形成方法および特許文献3に記載のマイクロリアクターの製造方法では、光硬化型の樹脂組成物からなるレジストフィルムのフォトリソグラフィー法によるパターニングによって、数十マイクロメートル以下の流路等を形成することができ、更に形成されたパターンが接着性を有している。従って、複数のパターンを一度に形成し、積層接着させることが可能である。これらは、いずれもフォトリソグラフィーパターニングのための早い反応と、接着のための遅い反応とを組み合わせることで、従来両立しなかった2つの機能の両立を実現している。しかしながら、10μmを下回る構造を形成した場合には、露光・現像の再現性が悪くなるという問題があった。また、現像されたパターンが粘着性を有するがために、接触アライメント法すなわち何度も接触し直しながら正確な位置決めを行う方法を適用することができず、各層間で精密な位置決めを行う必要がある場合に、作業性に劣るという問題があった。更に、特許文献2の方法では、被着体上でフィルム化、露光、現像の各工程を行なうため、被着体に残膜や現像液による汚染が生じ易かった。
特許文献4に記載の方法では、特別な材料でなく汎用樹脂に、真空紫外領域の高エネルギー線と高温加熱とを施しながら圧接することで層間の接着が果たされているので、被接体の汚染の心配はない。しかしながら、真空紫外線を照射するのに大型の設備が必要となるとともに、高温に晒されることによる影響も残る。よって、例えば、チップ上に予めタンパク質等の生化学分子を配置しておくのに望ましくない。また、特許文献2の方法も、加熱が前提であり、同様にタンパク質のチップ内封入に支障がある。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、10μm以下の微細構造を有し、接触アライメント法を適用することができ、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着性を発現するマイクロパターンを備えるマイクロパターン複合材、微小3次元構造体の製造方法及びマイクロパターン形成用硬化性組成物を提供することにある。
本発明のより限定的な目的は、特に接着時に加熱の必要がない、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能が遅延発現するマイクロパターンを有するマイクロパターン複合材を提供することにある。
本発明に係るマイクロパターン複合材は、支持体と、該支持体上に形成されており、かつ紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能を発揮するマイクロパターンとを備えることを特徴とする。
接着能は、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により発現するが、好ましくは、紫外線もしくは上記エネルギー線の照射後に適当な可使時間を与えるように、接着能は遅延発現することが望ましい。すなわち、遅延発現とは、紫外線もしくは上記エネルギー線の照射後に、マイクロパターンを貼りあわせるための接着可能な時間をある程度有すること(以降、可使時間とも言う)を示す。好ましい可使時間は30秒〜24時間、さらに好ましくは1分〜5時間、特に好ましくは1分〜5分である。
本発明に係るマイクロパターン複合材では、好ましくは、支持体に支持された状態で、接着力はないあるいは微粘着性を有するマイクロパターンが用意される。従って、支持体に支持された状態でマイクロパターンが取扱われ、接触アライメント法を適用し得るため、多数のマイクロパターンを精密に位置合わせすることができる。よって、マイクロパターンが積層接着された後述の3次元構造体を容易にかつ高精度に形成することができる。
本発明に係るマイクロパターン複合材では、好ましくは、前記マイクロパターンの厚み方向のヤング率が、1〜5MPaとされる。また、好ましくは、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射前の前記マイクロパターンの前記支持体に対する剥離力は、0.1N/10mm以下とされる。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法は、本発明のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを被着体に積層する工程と、前記被着体に積層された前記マイクロパターンを、前記被着体に圧接する工程と、圧接後に、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を前記マイクロパターンに照射し、前記マイクロパターンを被着体に接着させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る微小3次元構造体の他の製造方法は、本発明のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射する工程と、照射後に、前記マイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを被着体に積層する工程と、前記被着体に積層された前記マイクロパターンを、前記被着体に圧接する工程とを備えることを特徴とする。すなわち、上記マイクロパターンの被着体への接着は、マイクロパターンを被着体に圧接した後の紫外線もしくは上記エネルギー線の照射により行われてもよい。また、マイクロパターン材料の組成によっては、被着体に積層する前にマイクロパターンに紫外線を照射もしくは上記エネルギー線を照射し、マイクロパターンに遅延硬化を起こさせて接着能を発現させ、時間差でマイクロパターンの被着体への接着を進行させてもよい。圧接する際の圧力は、望ましくは0.1〜1MPaである。更に望ましくは、0.2〜0.5MPaである。圧力が低すぎると、接合しない部分が生じることがあり、圧力が高すぎると、微小構造を破損してしまうことがある。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法のある特定の局面では、前記被着体が別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンであって、該マイクロパターンに紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されている。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法では、好ましくは、前記マイクロパターンが前記被着体に接着した後に、前記マイクロパターンから前記支持体を剥離する工程がさらに備えられている。従って、支持体に支持された状態で、マイクロパターンの位置合わせと積層・圧接とが行われ、マイクロパターンが被着体に接着した後に、支持体がマイクロパターンから剥離されてもよい。このような転写法を用いてマイクロパターンが被着体表面に積層接着されることによって、非常に小さな中空構造や橋渡し構造、片持ち粱構造などの微小3次元構造が多数集積された微小3次元構造体を安定にかつ確実に作製することができる。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法では、好ましくは、前記支持体の剥離後に、前記支持体が剥離されて露出した前記マイクロパターン上に、別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンをさらに積層する工程と、積層された別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射し、各層のマイクロパターンを互いに接着させる工程とがさらに備えられている。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法では、好ましくは、前記支持体が剥離されて露出した前記マイクロパターン上に、該マイクロパターンの接着反応が完全に完了する前に、前記マイクロパターンとは異なるフィルム材を積層し、接着させる工程がさらに備えられている。すなわち、マイクロパターンに、上記マイクロパターン複合材以外の他のフィルムが積層されてもよい。このフィルム材はマイクロパターンの接着反応が完全に完了する前に積層されるので、マイクロパターンの遅延接着によって、フィルム材がマイクロパターンに接着される。
本発明に係る微小3次元構造体の別の製造方法では、本発明のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターン少なくとも2層積層する工程と、積層された各層の前記マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線をそれぞれ照射し、各層のマイクロパターンを互いに接着させる工程とを備えることを特徴とする。この場合、好ましくは、積層された一方のマイクロパターンを、他方のマイクロパターンに圧接させる工程がさらに備えられ、圧接後に紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射が行われる。
本発明に係るマイクロパターン形成用硬化性組成物は、本発明のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを形成するために用いられる硬化性組成物であって、(A)アルカリ可溶性バインダー樹脂と、(B)ラジカル重合性不飽和基を有する化合物と、(C)可視光線の照射により活性化されるラジカル反応開始剤と、(D)イオン性官能基を一分子中に2個以上有するカチオン重合性化合物と、(E)紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により活性化されるカチオン重合開始剤とを含むことを特徴とする。このマイクロパターン形成用硬化性組成物は、可視光線の照射により、上記(B)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物が架橋し、可視光線の照射後の現像プロセスにより上記マイクロパターンを与える。得られたマイクロパターンでは、上記カチオン重合性化合物(D)及び上記カチオン重合開始剤(E)は、可視光線の照射では活性化しないか若しくはほとんど活性化しないものであるため、大半が未反応の状態で残存している。
以下、本発明の詳細を説明する。
先ず、本発明において、上記マイクロパターンを形成するのに用いられる硬化性組成物につき説明する。
本発明に係るマイクロパターン形成用硬化性組成物は、(A)アルカリ可溶性バインダー樹脂と、(B)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物と、(C)可視光線の照射により活性化されるラジカル反応開始剤と、(D)イオン性官能基を一分子中に2個以上有するカチオン重合性化合物と、(E)紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により活性化されるカチオン重合開始剤とを含む。
本発明におけるマイクロパターン形成用硬化性組成物は、本発明のマイクロパターン複合材のマイクロパターンを得るのに用いられる硬化性組成物であり、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)を硬化させることにより、マイクロパターン複合材における上記マイクロパターンが得られる。
上記ラジカル反応開始剤(C)は、可視光線が照射されると活性化され、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)を重合させる。すなわち、可視光線が照射されると、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)のラジカル重合性不飽和結合のラジカル重合が進行し、架橋・重合する。例えば、上記硬化性組成物に可視光線を部分的に照射した後、アルカリ溶液を用いた現像を行うことにより、可視光線が照射されていない部分が除去される。可視光線が照射されていない部分は、現像により除去されずに残る。これにより硬化性組成物からなるマイクロパターンが得られる。得られたマイクロパターンでは、上記化合物(D)及び上記化合物(E)の大半が未反応の状態で残存しているので、マイクロパターンは、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着性が発現する性質を有する。すなわち、マイクロパターンに紫外線もしくは上記エネルギー線が照射されると、化合物(C)が活性化され、それによって化合物(D)の第2の硬化反応が進行し、接着能が発現する。
よって、本発明のマイクロパターン複合材におけるマイクロパターンは、本発明のマイクロパターン形成用硬化性組成物に含まれている上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)は硬化しているが、上記化合物(D)の大半が硬化していない状態、すなわち第2の硬化反応が完了していない中間体の段階にある。
(A)アルカリ可溶性バインダー樹脂
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂(A)は、レジスト現像として一般的な、アルカリ現像においてアルカリ現像液に溶解性を有するものである。本発明に用いられるアルカリ可溶性バインダー樹脂(A)としては特に限定されないが、分子鎖中にカルボン酸、若しくは、ジカルボン酸無水物、あるいはカルボン酸塩を含有することで、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水溶液への溶解性を有する高分子化合物が好ましい。
このようなアルカリ可溶性バインダー樹脂(A)としては、例えば、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合した共重合体等のアルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物が挙げられる。
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和二重結合を有する単官能化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
また、上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物;フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド;メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド等からなる成分を含有してもよい。
更に、上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物は、現像時の溶解性を制御する等の目的で水酸基を有する単官能不飽和化合物を含有してもよい。水酸基を有する単官能不飽和化合物としては特に限定されず、例えば、分子内に水酸基を1つ有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物において、カルボキシル基含有単官能不飽和化合物に起因する成分の割合の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は40重量%である。10重量%未満であると、アルカリ可溶性を付与することが困難であり、40重量%を超えると、現像時の膨潤が著しくパターンの形成が困難となることがある。より好ましい下限は15重量%、より好ましい上限は30重量%である。
上記カルボキシル基含有単官能不飽和化合物と不飽和二重結合を有する単官能化合物とを共重合する方法としては特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調節剤を用いて、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により重合する方法が挙げられる。なかでも、溶液重合が好適である。
上記アルカリ可溶性カルボキシル基含有高分子化合物を製造する場合に用いるラジカル重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等の従来公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、上記分子量調節剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等を用いることができる。
また、上記アルカリ可溶性バインダー樹脂(A)としては、特に、側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体(A1)が好適である。
側鎖に(メタ)アクリル基とカルボキシル基とを有するアルカリ可溶性(メタ)アクリル共重合体(A1)としては、例えば、少なくとも酸性官能基を有する構成単位と水酸基を有する構成単位とからなる主鎖を有し、ラジカル重合性基含有イソシアネート化合物が該イソシアネート化合物のイソシアネート基を介して上記酸性官能基の少なくとも一部にアミド結合している及び/又は上記水酸基の少なくとも一部にウレタン結合している重合体(A1−1)が好適である。
上記重合体(A1−1)は、ラジカル重合性基含有イソシアネート化合物の仕込み量を当量比(NCO/OH)が1.0以上となるように調節することによって、ラジカル重合性基の側鎖を上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物中に高い比率で導入することが可能となり、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物の感度を向上させることができる。また、酸性官能基を有する構成単位の含有量を適宜の割合に調節できるので、アルカリ可溶性(現像性)を自由に調節できる。
上記重合体(A1−1)において、イソシアネート基の当量比(NCO/OH)を1.0以上に調節するとともに、水酸基を有する構成単位の含有割合を、仕込み量で14モル%以上とすることが好ましい。イソシアネート基の上記当量比(NCO/OH)を1.0以上に調節することによりイソシアネート基の導入率を高めることができ、同時に、水酸基を有する構成単位の仕込み量を14モル%以上とすることにより、イソシアネート基が反応する部分が増えるので、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(A)にラジカル重合性基の側鎖を非常に多量に導入することが可能となり、特に高い感度が得られる。
上記ラジカル重合性基含有イソシアネート化合物の仕込み量の好ましい上限としては、イソシアネート基の当量比(NCO/OH)が2.0である。上記当量比(NCO/OH)が2.0を超えると、反応性官能基を有するアルカリ可溶性高分子化合物中に未反応のラジカル重合性基含有イソシアネート化合物が多量に残ってしまい、上記反応性官能基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂(A)の物性を低下させる。
上記酸性官能基を有する構成単位は、アルカリ現像性に寄与し、その含有割合としては特に限定されず、反応性官能を有するアルカリ可溶性高分子化合物(A)に要求されるアルカリ可溶性の程度により適宜調整される。上記酸性官能基を有する構成単位を重合体の主鎖へと導入するために使用される単量体としては、二重結合含有基と酸性官能基とを有する化合物が挙げられる。
上記酸性官能基としては特に限定されず、通常はカルボキシル基であるが、アルカリ現像性に寄与できる成分であればカルボキシル基以外であってもよい。
上記アルカリ可溶性バインダー樹脂(A)の配合割合としては、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)100重量部に対して、30〜100重量部の範囲が好ましい。30重量部未満では、アルカリ溶液で充分に現像できないことがあり、100重量部を超えると、耐水性が悪くなることがある。より好ましくは、40〜80重量部である。
(B)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物
ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)としては、(B1)ラジカル重合性を有するオリゴマー、(B2)ラジカル重合性二重結合を一分子中に2個以上有する化合物が挙げられる。これらいずれかを単独で使用しても、両方を併用しても良い。
(B1)ラジカル重合性を有するオリゴマー
上記オリゴマー(B1)としては、ラジカル重合性二重結合を有する限り、特に限定されない。このようなオリゴマーとしては、(メタ)アクリル系オリゴマー、ポリエステルオリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリアミド系オリゴマー、ポリイミド系オリゴマー、ポリウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、フェノール系オリゴマー、クレゾールノボラック系オリゴマーなどが挙げられる。また、上記オリゴマー(B)としては、SBSやSISなどの熱可塑性エラストマーが、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル基、またはビニロキシ基などのようなラジカル重合性二重結合を有するよう変性にされたオリゴマーを用いてもよい。上記オリゴマー(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記オリゴマー(B1)の数平均分子量は、100以上、10万以下であることが好ましい。数平均分子量が100未満では、凝集力が下がりマイクロパターンの強度が落ちることがあり、10万を超えると現像できないことがある。
(B2)ラジカル重合性二重結合を一分子中に2個以上有する化合物
上記化合物(B2)としては、一分子中にラジカル重合性二重結合を2個以上有する限り、特に限定されず、例えば、ラジカル重合性二重結合を有する官能基が一分子中に2個以上有する適宜の化合物が挙げられる。このようなラジカル重合性二重結合を有する官能基としては、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニルエステル基、ビニロキシ基などが挙げられる。
上記化合物(B2)としては、カプロラクトン変性、エチレンオキサイド変性及び/またはプロピレンオキサイド変性された分子内に2以上のラジカル重合性不飽和結合を有する化合物が好ましい。このラジカル重合性不飽和結合を有する化合物を用いた場合には、50〜200mJ/cm程度の可視光線の照射量で、パターンを形成することができる。
上記化合物(B2)としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物等が挙げられる。なかでも、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をカプロラクトン変性した化合物は、重合反応の進行が速く、露光感度を向上させやすいことから特に好適である。
また、上記化合物(B2)が、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート化合物である場合、該多官能(メタ)アクリレート化合物としては特に限定されず、例えば、上述した3官能以上の(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性した化合物等が挙げられる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートにカルボキシル基を付加させた化合物を、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性したものが好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレート化合物をエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性させる具体的な方法としては特に限定されず、例えば、多価アルコールとエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールを合成した後、このエチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性アルコールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとを反応させ、エチレンオキサイド変性及び/又はプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸を合成した後、アルコールとエステル化反応させる方法;(メタ)アクリル酸、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド、並びに、多価アルコールを一括反応させる方法等が挙げられる。
上記化合物(B2)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物(B2)の配合割合は、上記オリゴマー(B1)100重量部に対し、200重量部の範囲であることが好ましい。20重量部未満では、充分な解像度が得られないことがあり、200重量部を超えると、充分な凝集力が得られないことがある。
(C)可視光線の照射により活性化されるラジカル反応性開始剤
上記ラジカル反応開始剤(C)としては、可視光線の照射により活性化され、ラジカルを発生し、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)のラジカル反応を進行させ、架橋させる適宜のラジカル反応開始剤を用いることができる。このラジカル反応は速やかに完了するので、フォトマスクを用いて、マイクロパターン形成用硬化性組成物に部分的に可視光線を照射することにより、硬化性組成物のフォトマスクの光透過部分に対応する部分を速やかに硬化させることができる。さらに、アルカリ溶液で洗浄し、光未照射部分を現像して除去することにより、マイクロパターンが得られる。
なお、可視光線の照射により、ラジカル反応開始剤(C)は活性化されるが、カチオン重合開始剤(E)は活性化されない。従って、可視光線が照射された後においては、硬化性組成物中において上記化合物(D)は、重合せずに残存している。よって、例えば、マイクロパターン形成用硬化性組成物を支持体上に塗工し、フォトリソグラフィーを行うことで、本発明のマイクロパターン複合材が得られる。
上記ラジカル反応開始剤としては、可視光線の照射により単独でラジカルを発生するPI型開始剤と、可視光線の照射により2分子間でエネルギー移動または水素移動が起こり、それによってラジカルを発生するPII型開始剤とが挙げられる。
上記PI型開始剤におけるラジカル発生機構は、下記式で示される。
Figure 2009221370
また、上記PII型開始剤におけるラジカル発生機構は、下記式で示される。
Figure 2009221370
上記可視光線の照射により活性化されるPI型開始剤としては、チタノセン系ラジカル反応開始剤が挙げられる。具体的には、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル]チタニウム(商品名:IRGACURE 784)等が挙げられる。
上記IRGACURE 784は、約550nm付近でも吸収をもつことから、例えばアルゴンイオンレーザー(488nm)やFD−Nd/YAGレーザー(532nm)を用いた直接描写システムなどに有効である。ただし、IRGACURE784は、従来の光重合開始剤に比べると酸素による重合阻害の影響を受け易い。よって、IRGACURE784を用いる場合には、可視光線の照射に際し、硬化性組成物の表面に、酸素を透過しないカバーフィルムを貼付することが好ましい。
上記可視光線の照射により活性化されるPII型開始剤としては、染料とラジカル発生剤または水素ドナーとの組み合わせや、α−ジケトン誘導体と水素ドナーとの組み合せが好ましい。
上記PII型開始剤としては、具体的には、山岡等,「表面」,27(7),548(1989)や、佐藤等,「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」,IBP18(1994)に記載のカンファーキノン、ベンジルトリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、メチルチオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)等が挙げられる。さらに、単独の可視光重合開始剤の他、有機過酸化物と色素、ジフェニルヨードニウム塩と色素、イミダゾールとケト化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾールとチオピリリウム塩、金属アレーンとシアニン色素などの特公昭45−37377号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾールとラジカル反応開始剤等の公知の複合開始剤を挙げることができる。
上記ラジカル反応開始剤(C)の配合割合については、ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)100重量部に対し、0.01〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、0.05〜5の範囲である。ラジカル反応開始剤(C)が少なすぎると、ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)の光架橋・重合が十分に進行し難いことがあったり、架橋・重合速度が遅くなり過ぎることがあり、多すぎると、得られるマイクロパターンの物性が低下するおそれがある。
(D)イオン反応性官能基を一分子中に2個以上有する化合物
上記化合物(D)は、マイクロパターン形成用硬化性組成物に紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射された際に、硬化する化合物である。上記化合物(D)のイオン性反応基としては、アニオン系官能基とカチオン官能基とが挙げられる。
上記アニオン系官能基としては、エポキシ基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができる。
上記カチオン反応基としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基、スチリル基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
上記化合物(D)としては、エポキシ基、オキセタニル基、ビニロキシ基、ステアリル基、アルコキシシリル基などのイオン反応性官能基を一分子中に2個以上有する化合物を挙げることができる。より具体的には、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により、硬化される各種エポキシ化合物を挙げることができる。このようなエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化SBSなどを挙げることができる。
上記化合物(D)の配合割合については、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対し、20〜300重量部の範囲とすることが好ましい。20重量部未満では、最終的に得られるマイクロパターンの硬化後の硬度が不十分となることがあり、形成されるマイクロパターンの精度が低下するおそれがあり、300重量部を超えると、充分な解像度が得られないことがある。より好ましくは、40〜200重量部の範囲である。
(E)紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により活性化されるカチオン重合開始剤
上記カチオン重合開始剤(E)は、紫外線もしくは紫外線よりも短波長のエネルギー線の照射より活性化され、化合物(D)の硬化を進行させる化合物である。
上記カチオン重合開始剤(E)としては、例えば、感光性オニウム塩やフェロセン系化合物などのカチオンを発生させる化合物を挙げることができる。このような感光性オニウム塩としては、トリアリールスルフォニウム塩、ジアリールスルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などのSbF6−、PF6−、BF4−、B(PhF4−を対アニオンとする化合物を挙げることができる。上記スルフォニウム化合物としては、例えFe−フェロセン錯体を挙げることができる。これらは、1種のみが単独で用いられてもよく、2種類以上が用いられても良い。
上記カチオン重合開始剤(E)の配合割合については、化合物(D)100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10重量部の範囲である。0.1重量部未満では、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により化合物(D)の重合が不足し充分な接着性を発現できなくなる。また、50重量部を超えると、得られるマイクロパターン複合材の物性が低下するおそれがある。
(その他の成分)
本発明の目的を阻害しない限り、上記マイクロパターン形成用硬化性組成物には、他の成分が適宜添加されてもよい。このような他の成分としては、フィルムを形成する際の溶剤、柔軟性を付与するための可塑剤、光反応性を制御するための反応促進剤もしくは反応抑制剤、適宜の充填剤、安定性を高めるための酸化防止剤、耐候性を高めるための紫外線吸収剤、あるいは酸素吸収剤などが挙げられる。また、導電性を付与するために、金属微粒子、有機導電性化合物あるいは固体電解質などを添加してもよい。
(光源)
上記マイクロパターン形成用硬化性組成物における架橋や硬化を進めるための光源としては、使用する光の波長に応じて適宜の光源を用いることができる。このような光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。また、フィルター等を用いて不要な波長成分を低減又は除去してもよいし、各種光源を組み合わせて用いても良い。
(マイクロパターン複合材)
本発明に係るマイクロパターン複合材は、支持体上に、マイクロパターンが積層された構造を有する。このマイクロパターンは、例えば、上述した本発明のマイクロパターン形成用硬化性組成物を用いて形成され得る。この状態におけるマイクロパターンには、10μm以下のオーダーの微小貫通構造もしくは微小溝構造が形成されている。さらに、このマイクロパターンは、そのままでは接着力はないもしくは微粘着性を有するが、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能を発現する。好ましくは、支持体上のマイクロパターンは、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能を遅延発現する。紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射前のマイクロパターンの支持体に対する剥離力は、好ましくは0.1N/10mm以下とされる。剥離力が0.1N/10mmを超えると、マイクロパターン複合材形成の際の転写工程において、支持体から容易に剥離できなくなることがある。
上記剥離力は、以下の測定方法で測定される。
[剥離力の測定方法]
180度引き剥がし粘着力試験
JIS Z0237:2000に準拠
1.試験片
厚み25μmのPET支持体付き、のサンプルを 幅25mmに切断したもの。
2.試験版
厚さ2.0mmの市販アクリル板(キャスト品)を幅約50mm、長さ約125mmに切断したものであり、エタノール洗浄されている。
3.圧着
0.2MPaのゴムローラーで1往復(300mm/分)
4.放置時間
23℃、湿度50%で、20分静置
5.剥離方法
180度方向に速度300mm/分
6.記録
測定始めと終わりを除いた部分の平均値
また、10μm以下のオーダーとは、流路や反応槽を形成するための溝や貫通孔の幅もしくは径などの寸法が10μm以下、すなわち反応槽を形成するための最終寸法部分が10μm以下であることを意味するものとする。
上記マイクロパターンの形成は、支持体上に上記マイクロパターン形成用硬化性組成物を塗工した後に、流路や貫通孔となる部分を遮蔽部とするマスクを用いて、支持体上の硬化性組成物に可視光線を照射すればよい。流路や貫通孔となる部分では、可視光線が照射されないため、ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)の架橋は進行しない。流路や貫通孔となる部分以外の部分では可視光線が照射されるので、ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物(B)の架橋が進行する。次に、アルカリ溶液で現像することにより、可視光線が照射されていない部分の硬化性組成物が除去され、可視光線が照射されている部分において流路や貫通孔が形成される。このようにしてマイクロパターンが支持体上に支持された状態で用意され、これが、本発明のマイクロパターン複合材に相当する。すなわち、本発明のマイクロパターン複合材は、上記支持体と、該支持体上に形成されており、かつ紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射することにより接着能を発揮する上記マイクロパターンとを備えている。
上記マイクロパターンには、未反応の化合物(D)と、化合物(D)の後硬化を果たすための化合物(E)とが含まれている。このため、マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射することにより、イオン重合反応を進行させ、接着能を発現あるいは遅延発現させることができる。
上記支持体としては、マイクロパターンの形成に際して、現像液に耐え得る適宜の材料からなる支持体を用いることができる。もっとも、転写後に支持体を容易に剥離するには、支持体として、柔軟性を有する合成樹脂フィルムを用いることが望ましい。このような合成樹脂フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの適宜の合成樹脂フィルムを挙げることができる。支持体の厚みについては、支持体は転写後に剥離されるものであるため特に限定されないが、取扱性を高めるには、10μm〜100μmが好ましい。
上記支持体のマイクロパターンが積層される面は、離型処理されていることが望ましい。それによって、転写後に、マイクロパターンから支持体を容易に剥離することができる。上記離型処理は、シリコン系離型材やフッ素系離型材を支持体に適宜塗布することにより行われ得る。
なお、マイクロパターンの被着体に接着される面に、離型性の保護フィルムを貼り付けても良い。その際には、マイクロパターンに対する支持体の離型性が、マイクロパターンに対する保護フィルムの離型性に比べて、高くされていることが好ましい。
また、マイクロパターンの厚み方向のヤング率は、1〜5MPaとされていることが好ましい。ヤング率の範囲がこの範囲内の場合、上述したように、転写法を用いて被着体表面に積層された際に、非常に小さな中空構造、橋渡し構造または片持ち梁構造などの微小な3次元構造が被着体に存在していた場合であっても、これらを埋めることなく接着することができる。ヤング率がこの範囲外の場合、転写法により、これらの構造を埋めることなく接着することが困難となる。
(微小3次元構造体の製造方法)
本発明において、微小3次元構造体を得るにあたっては、上記マイクロパターン複合材を用意する。次に、該マイクロパターン複合材のマイクロパターンを別途用意された被着体に積層する。しかる後、被着体に積層されたマイクロパターンを、被着体に圧接する。次いでマイクロパターンに接着能を発現させる。この接着能は、マイクロパターンを被着体に積層・圧接した後に、マイクロパターンに紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射することにより行われる。あるいは、上記マイクロパターンに接着能を発現させるための紫外線もしくは上記エネルギー線の照射は、マイクロパターンを被着体に積層する前であってもよい。すなわち、マイクロパターンの被着体への接着は、前述した硬化性組成物中の化合物(D)をイオン重合させることにより行われる。光カチオン重合による化合物(D)の重合・硬化は、紫外線もしくは上記エネルギー線の照射を停止した後においても進行する。従って、マイクロパターンを硬化させるための紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射は、マイクロパターンを被着体に積層する前に行われてもよく、マイクロパターンを被着体に積層し、圧接した後に行われてもよい。
なお、マイクロパターンを被着体に積層する前に、マイクロパターンに紫外線もしくは上記エネルギー線を照射した場合、積層後にさらに加熱して、マイクロパターンの硬化を促進してもよい。
紫外線もしくは上記エネルギー線の照射量は、2J/cm〜10J/cmが好ましい。
また、マイクロパターンの硬化を促進させるための加熱は、マイクロパターンを形成する硬化性組成物が熱硬化剤を含む場合に好ましく行われる。すなわち、熱硬化剤の作用によって、上記化合物(D)の硬化を促進させることができる。
本発明に係る微小3次元構造体の製造方法では、好ましくは、マイクロパターンが被着体に接着した後に、マイクロパターンから支持体が剥離される。すなわち、支持体は、複合材として用いられ、転写法により、上記マイクロパターンを被着体に積層接着させることができる。この場合、このようにして得られた紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されているマイクロパターンを次の被着体として、該マイクロパターン上に別のマイクロパターン複合材のマイクロパターンをさらに積層してもよい。すなわち、マイクロパターン上に、別のマイクロターン複合材のマイクロパターンを同様にして転写して積層し、積層されたマイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射してもよい。これにより、支持体が剥離されて露出した被着体としてのマイクロパターンに、別のマイクロパターンが接着される。このようにして、複数のマイクロパターンが積層された微小3次元構造体を容易に得ることができる。
よって、上記被着体は、別のマイクロパターン複合材のマイクロパターンであって、該マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されているものであってもよい。
さらに、被着体上に積層された1つのもしくは複数のマイクロパターン上に、本発明のマイクロパターン複合材のマイクロパターンとは異なるフィルム材を積層し、接着させてもよい。好ましくは、フィルム材は、マイクロパターンの接着反応が完全に完了する前にマイクロパターン上に積層される。
上記フィルム材としては、粘着性もしくは非粘着性を有する適宜のフィルム材を用いることができる。このようなフィルム材を構成する材料としては、例えば、金属や樹脂、セルロース等の打ち抜き加工品、合成樹脂薄肉成形品、予め用意されたこれらの積層体などを挙げることができる。
上記フィルム材には、マイクロパターンが形成されていてもよく、形成されていなくてもよい。上記フィルム材の厚みについては、特に限定されず、例えば10μm〜2mm程度とされる。
本発明に係るマイクロパターン複合材では、そのままでは接着力を有しておらず、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により接着能を発現又は遅延発現するマイクロパターンが支持体上に形成されて用意される。従って、予め貫通孔や溝などを形成するためのマイクロパターンが支持体に支持された状態で用意されているため、本発明のマイクロパターン複合材のマイクロパターンに紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射するだけで、予め形成されたマイクロパターンの形状にほとんど影響を与えることなく、被着体等にマイクロパターンを容易にかつ確実に接着させることができる。
また、紫外線もしくは上記エネルギー線の照射前においては、マイクロパターンは接着力を有していないため、接触アライメント法を適用することができる。それによって、マイクロパターンの位置合わせを精度良く行うことができ、さらに積層接着された3次元構造体を容易にかつ高精度に形成することもできる。更に、接着に際して加熱を必要としないため、例えば被着体に予めタンパク質などの生化学材料が修飾されてもいても、その機能が損なわれることもない。
特に、本発明のマイクロパターン形成用硬化性組成物を用いて、本発明のマイクロパターン複合材のマイクロパターンを形成する場合には、支持体上に該硬化性組成物層を形成した後に、フォトリソグラフィーにより、複数のマイクロパターンを一度に容易に形成することができる。しかも、上記マイクロパターンの形成に際してのフォトリソグラフィー法による処理と、マイクロパターン複合材が得られた後に、マイクロパターンを被着体に接着させるに際しての紫外線もしくは上記エネルギー線の照射とが別々に行われるため、マイクロパターンの形成を高精度に行い、かつ余裕をもってマイクロパターンを被着体に接着させることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
(実施例1)
(A)アルカリ可溶性のバインダー樹脂として、アクリル酸を20重量%含有しているポリブチルアクリレート樹脂20重量部と、
(B1)ラジカル重合性二重結合を有するオリゴマーとして、分子量3000のアクリル系オリゴマーであるサイクロマーACA Z300(ダイセルサイテック社製)25重量部と、
(B2)ラジカル重合性二重結合を一分子中に二個以上有する化合物として、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部と、
(C)可視光線の照射により活性化されるラジカル反応開始剤として、イルガキュア784(チバスペシャリティケミカルズ社製)1重量部と、
(D)イオン反応性官能基を一分子中に2個以上有する化合物として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート834(ジャパンエポキシレジン社製)25重量部及びビスフェノールA型エポキシ樹脂エピコート1001(ジャパンエポキシレジン社製)20重量部と、
(E)紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により活性化されるカチオン重合開始剤として、アデカオプトマーSP−150(ADEKA社製)2重量部と、
溶剤として酢酸エチル40重量部とを配合し、遮光下、適宜加熱して、撹拌・混合することにより均一なキャスト用硬化性組成物の溶液を得た。
上記のようにして得られた硬化性組成物溶液を、支持体としてのポリカーボネートフィルム上に、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗工し、乾燥した。次に、図3(a)に示すフォトマスク1を用意した。フォトマスク1では、透明なガラスプレート2上に、マイクロパターンとしての流路等を形成する部分に、遮光性薄膜3が貼り合わされている。遮光性薄膜3の平面形状は、形成するマイクロパターンに応じた形状とされている。遮光性薄膜3は、光を遮光する金属クロム薄膜からなる。
次に、図3(b)に示すように、支持体としてのポリカーボネートフィルム4上に、硬化性組成物層5が塗工されている複合シート上に、上記フォトマスク1を配置し、主発光波長400nm、照度1mW/cmの可視光線をエネルギー量120mJ/cmとなるように照射した。照射により、遮光性薄膜3が存在しない部分では、上記可視光線が硬化性組成物層5上に照射され、遮光性薄膜3の下方では、硬化性組成物層5は、露光されなかった。しかる後、現像液として0.24%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)を用い、現像を行った。すなわち、0.24%TMAHに上記複合シートを浸漬し、引き上げることにより、可視光線が照射されていない未反応部分の硬化性組成物層5を除去した。
その結果、図1に示すように、ポリカーボネートフィルム4上に、マイクロパターンフィルム5Aが形成されているマイクロパターン複合材6が得られた。このマイクロパターンフィルム5Aでは、上記フォトマスク1の遮光性薄膜3が設けられている部分に相当する形状の流路が形成されていた。もっとも、流路の底には、下方のポリカーボネートフィルム4が存在していた。従って、有底の微細流路が形成されていた。
図1に示すマイクロパターン複合材6では、マイクロパターンフィルム5Aの表面は、微粘着性を有するが、そのままでは強固な接着力は有しない。マイクロパターンフィルム5Aのポリカーボネートフィルム4に対する剥離力は、0.08N/10mmであった。また、マイクロパターンフィルム5Aの厚み方向のヤング率は、3MPaであった。
(実施例2)
実施例1で得られたマイクロパターン複合材6のマイクロパターンフィルム5A上に、貫通孔を有する厚さ1nmのアクリル系樹脂プレートを積層して、積層体を得た。この積層体をゴムローラーで軽くしごき、しかる後、2枚の2mm厚の石英ガラス板で挟み挟持サンプルを得た。このようにして得られた挟持サンプルに対し、0.1MPaの背圧をかけつつ、ポリカーボネートフィルム1が配置されている側の石英ガラス板の外側から365nm以下の波長の紫外線を4000mJ/cmのエネルギー量となるように照射した。このようにして、上記各アクリル系樹脂プレートとマイクロパターン複合材6とを接合した。それによって、図2に示すように、マイクロパターン複合材6にアクリル樹脂プレート7が接合された微小3次元構造体としてのマイクロチップ8を得た。
上記のように、そのままでは接着力を有しない、微粘着性のマイクロパターンフィルム5Aと、アクリル系樹脂プレート7とが、上記紫外線の照射により強固に接着されることを確認した。なお、アクリル系樹脂プレート7の開口7a〜7cのいずれかにキャピラリーを接着し、シリンジを用いて墨汁を注入し、0.2MPaの圧力を加えたが、接着面における剥離や液の漏洩は認められなかった。
(実施例3)
実施例1で得られたマイクロパターン複合材6のマイクロパターンフィルム5Aに365nm以下の波長の紫外線を4000mJ/cmのエネルギー量となるように照射した。しかる後、実施例2で用いた貫通孔7a〜7cを有する厚さ1mmのアクリル系樹脂プレート7に、マイクロパターン複合材6をマイクロパターンフィルム5A側から積層し、積層体を得た。この積層体をゴムローラーで軽くしごいた後、2mmの厚みのガラス板を積層体の一方面上に載置し、6時間静置した。それによって、アクリル系樹脂プレート7とマイクロパターンフィルム5Aとポリカーボネートフィルム4とが接合された、図2に示したのと同じ構造のマイクロチップ8を得た。このように、光照射後に、マイクロパターンフィルム5Aとアクリル系樹脂プレート7とを密着させた場合においても、遅延硬化反応により接着が進行し、完了することを確認した。
実施例3においても、アクリル系樹脂プレート7の開口7a〜7cのいずれかの開口にキャピラリーを接着し、シリンジを用いて墨汁を注入し、0.2MPaの圧力を加えたとところ、接着面における剥離や液の漏洩は認められなかった。
(実施例4)
表面剥離処理された市販のポリエチレンテレフタレートを支持体として用いたこと、図4に示したフォトマスク11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、マイクロパターンフィルムが形成されているマイクロパターン複合材を用意した。図4に示すフォトマスク11では、平面形状が円形のドット状の多数の遮光性薄膜12と、外周縁に沿うように、矩形枠状の形状とされた遮光性薄膜13とが光透過性の樹脂シート14に貼り合わされている。
図5は、上記フォトマスク11を用いて得られたマイクロパターン複合材15を示す斜視図である。ここでは、ポリエチレンテレフタレートフィルム16上に、マイクロパターンフィルム17が貼り合わされている。
マイクロパターンフィルム17は、そのままでは接着力を有しないが、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能を発現する微粘着性のフィルムであり、上記遮光性薄膜12に対応した部分に、平面形状が円形の貫通孔が形成されている。複数の円形の貫通孔17aがマトリックス状に配置されている。
しかる後、上記マイクロパターン複合材15のマイクロパターンフィルム17上に、複数の印刷電極がマトリックス状に形成された1mmのアクリル系樹脂プレートを積層し、積層体を得た。この積層体をゴムローラーを用いて、積層体の厚み方向に力を加えて軽くしごいた後、ポリエチレンテレフタレートフィルム16側から365nm以下の波長の紫外線を4000mJ/cmのエネルギー量となるように照射し、アクリル系樹脂プレートと、マイクロパターンフィルム17とを接着した。しかる後、ポリエチレンテレフタレートフィルム16を剥離し、図5に示すように、上記マイクロパターンフィルム17の貫通孔17aからなる各ウェル内に、金からなる電極18が配置されたマイクロウェルアレイを作製した。このように、金からなる電極18の周縁部を汚染することなく、転写接着により、微小3次元構造体を形成することができた。
(実施例5)
表面が剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを支持体として用いたこと、図6に示したフォトマスク21を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてマイクロパターン複合材を得た。フォトマスク21では、複数の正方形の遮光部21aがマトリックス状に配置されている。次に、得られたマイクロパターン複合材のマイクロパターンフィルムを、貫通孔を有する厚さ0.5mmのポリカーボネートプレートに積層し、積層体を得た。この積層体を厚み方向に圧力を加えるように、ゴムローラーで軽くしごいた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、さらに別の貫通孔を有する厚さ0.5mmのポリカーボネートプレートを積層し、マイクロパターンフィルムが2枚のポリカーボネートプレートにより積層されてなる積層体を得た。この積層体に、365nm以下の波長の紫外線を4000mJ/cmのエネルギー量となるように照射し、マイクロパターンフィルムと、両側のポリカーボネートプレートと接着し、図7に示す上面及び下面に開口を有する微小3次元構造を備えたマイクロプレート23を得た。このように、マイクロパターンフィルムを支持していた支持体とは異なる2枚のポリカーボネートプレートに、マイクロパターンが挟持された微小3次元構造体を容易に作製することができた。
(実施例6)
支持体として、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたこと、図8(a)及び(b)に示した各マスク31,32を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、支持体上に、マイクロパターンフィルムが形成されているマイクロパターン複合材を4枚作製した。マスク31,32では、複数本の互いに平行に延びるストライプ状の遮光部31a,32aが設けられている。次に、得られた1枚のマイクロパターンフィルム上に、1mmのアクリル系樹脂プレートを積層し、積層体を得た。この積層体をゴムローラーを用いて、厚み方向に力が加わるように軽くしごいた。しかる後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、剥離により露出したマイクロパターンフィルム面に、365nm以下の波長の紫外線をエネルギー量が4000mJ/cmとなるように照射した。しかる後、さらに1枚のマイクロパターン複合材のマイクロパターンフィルムを、複数の平行に延びるパターンが、先に転写されたマイクロパターンフィルムにおいて複数本の平行に延びるパターンと直交する方向となるように積層し、積層体をゴムローラーで軽くしごいた。しかる後、もう1枚のマイクロパターン複合材のポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、剥離面に、365nm以下の波長の紫外線をエネルギー量が4000mJ/cmとなるように照射した。この操作を繰り返し、図9に斜視図で示すように、厚み方向に隣り合うマイクロパターンの延びる方向が直交するように、4層のマイクロパターンが積層されたフォトニッククリスタル積層体41を得た。
実施例1で作製したマイクロパターン複合材の斜視図である。 実施例1で作製されたマイクロパターン複合材に他の部材としてのアクリル系樹脂プレートが積層されたマイクロチップを示す斜視図である。 (a)は、実施例1で用いたフォトマスクを示す図であり、(b)は、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィーのための露光工程を示す模式的正面断面図である。 実施例4で用いたフォトマスクを示す斜視図である。 実施例4で作製されたマイクロウェルアレイを示す斜視図である。 実施例5で用いたフォトマスクを示す平面図である。 実施例5で形成されたマイクロプレートを示す斜視図である。 (a)及び(b)は、実施例6で用いた各フォトマスクを示す平面図である。 実施例6で得られたフォトニッククリスタル構造体を示す斜視図である。
符号の説明
1…フォトマスク
2…ガラスプレート
3…遮光性薄膜
4…ポリカーボネートフィルム
5…硬化性組成物層
5A…マイクロパターンフィルム
6…マイクロパターン複合材
7…アクリル系樹脂プレート
8…マイクロチップ
11…フォトマスク
12…遮光性薄膜
13…遮光性薄膜
14…樹脂シート
15…マイクロパターン複合材
16…ポリエチレンテレフタレートフィルム
17…マイクロパターンフィルム
17a…貫通孔
18…電極
21…フォトマスク
21a…遮光部
23…マイクロプレート
31,32…マスク
31a,32a…遮光部
41…フォトニッククリスタル積層体

Claims (11)

  1. 支持体と、該支持体上に形成されており、かつ紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されると接着能を発揮するマイクロパターンとを備えることを特徴とする、マイクロパターン複合材。
  2. 前記マイクロパターンの厚み方向のヤング率が、1〜5MPaである、請求項1に記載のマイクロパターン複合材。
  3. 紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射前の前記マイクロパターンの前記支持体に対する剥離力が、0.1N/10mm以下である、請求項1または2に記載のマイクロパターン複合材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを被着体に積層する工程と、
    前記被着体に積層された前記マイクロパターンを、前記被着体に圧接する工程と、
    圧接後に、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を前記マイクロパターンに照射し、前記マイクロパターンを被着体に接着させる工程とを備えることを特徴とする、微小3次元構造体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射する工程と、
    照射後に、前記マイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを被着体に積層する工程と、
    前記被着体に積層された前記マイクロパターンを、前記被着体に圧接する工程とを備えることを特徴とする、微小3次元構造体の製造方法。
  6. 前記被着体が別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンであって、該マイクロパターンに紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線が照射されている、請求項4または5に記載の微小3次元構造体の製造方法。
  7. 前記マイクロパターンが前記被着体に接着した後に、前記マイクロパターンから前記支持体を剥離する工程をさらに備える、請求項4〜6のいずれか1項に記載の微小3次元構造体の製造方法。
  8. 前記支持体の剥離後に、前記支持体が剥離されて露出した前記マイクロパターン上に、別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンをさらに積層する工程と、
    積層された別の前記マイクロパターン複合材のマイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線を照射し、各層のマイクロパターンを互いに接着させる工程とをさらに備える、請求項7に記載の微小3次元構造体の製造方法。
  9. 前記支持体が剥離されて露出した前記マイクロパターン上に、該マイクロパターンの接着反応が完全に完了する前に、前記マイクロパターンとは異なるフィルム材を積層し、接着させる工程をさらに備える、請求項7に記載の微小3次元構造体の製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを少なくとも2層積層する工程と、
    積層された各層の前記マイクロパターンに、紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線をそれぞれ照射し、各層のマイクロパターンを互いに接着させる工程とを備えることを特徴とする、微小3次元構造体の製造方法。
  11. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロパターン複合材の前記マイクロパターンを形成するために用いられる硬化性組成物であって、
    (A)アルカリ可溶性バインダー樹脂と、
    (B)ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物と、
    (C)可視光線の照射により活性化されるラジカル反応開始剤と、
    (D)イオン性官能基を一分子中に2個以上有するカチオン重合性化合物と、
    (E)紫外線もしくはそれよりも短波長のエネルギー線の照射により活性化されるカチオン重合開始剤とを含むことを特徴とする、マイクロパターン形成用硬化性組成物。
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