JP2015176066A - 感光性樹脂印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【課題】
耐水性と水現像性を両立させた、原画フィルムを必要としないで凸状のレリーフ像を形成することが可能な感光性樹脂印刷版原版を提供できる。
【解決手段】
支持体上に少なくとも、水に溶解または分散可能な樹脂および紫外線により硬化可能なモノマーを含有する感光性樹脂層(A)、および赤外線吸収物質を含有する水不溶性の感熱マスク層(C)がこの順に積層されており、感熱マスク層(C)の水浸透時間が50〜400秒であることを特徴とする感光性樹脂印刷版原版
【選択図】なし
耐水性と水現像性を両立させた、原画フィルムを必要としないで凸状のレリーフ像を形成することが可能な感光性樹脂印刷版原版を提供できる。
【解決手段】
支持体上に少なくとも、水に溶解または分散可能な樹脂および紫外線により硬化可能なモノマーを含有する感光性樹脂層(A)、および赤外線吸収物質を含有する水不溶性の感熱マスク層(C)がこの順に積層されており、感熱マスク層(C)の水浸透時間が50〜400秒であることを特徴とする感光性樹脂印刷版原版
【選択図】なし
Description
本発明は、原画フィルムを必要としないで凸状のレリーフ像を形成することが可能な感光性樹脂印刷版原版に関する。
各種印刷の分野において、ネガフィルム、ポジティブの原画フィルムを必要とせず、製造時間およびコストにおいて有利となるデジタル画像形成製版技術(コンピューター・トゥ・プレート(CTP)技術)が一般的なものとなってきている。
感光性樹脂凸版やフレキソなどの凸版印刷版の分野におけるCTP技術としては、従来から使用されている写真マスク(フォトマスクやネガフィルムともいう)を使用せず、コンピューター上で処理された情報を印刷版原版上に直接出力し、デジタルデータより画像マスクを感光性樹脂層上に形成し、その後、活性光線、多くの場合では紫外線を画像マスク側から全面露光することによって、画像マスクの非被覆部のみ選択的に感光性樹脂層を硬化させ、印刷版を得る方式が主流である。この方式の利点は、(1)ネガフィルムの製造工程が不要となること、(2)ネガフィルムを密着させる際の異物混入がなくなること加えて、(3)シャープな構造のレリーフが得られることなどが挙げられる。
画像マスクを形成できる感光性樹脂印刷版原版の具体的な例として、水に溶解または分散可能なポリマーをバインダーとした感熱マスク層(C)を有する感光性樹脂印刷版原版が提案されている(引用文献1)。感熱マスク層(C)に水に溶解または分散可能なポリマーを採用すると、水現像によりレリーフを作成する感光性樹脂印刷版原版においては感熱マスク層(C)が現像液に溶解するため良好な現像性を示す。しかし、水現像性の感光性樹脂印刷版原版は感光性樹脂層(A)にも水に溶解又は分散可能なポリマーを採用していることが多く、層間の感光性モノマーの物質移動が起こり、感熱マスク層(C)に含まれるカーボンブラックなどの赤外線吸収物質の分散状態を著しく低下させ、結果として画像マスクの被覆部の紫外線の遮蔽性が失われてしまうという不具合があった。
感熱マスク層(C)の組成としてカーボンブラックとその分散バインダーとしてブチラール樹脂および極性基含有ポリアミドが提案されている(引用文献2)。しかし、この感熱マスク層組成では耐水性に乏しい。現像液として水を使用する製版現場においてはしばしば濡れた手で感光性樹脂印刷版原版を取り扱うが、耐水性の乏しい感熱マスク層(C)は僅かな水で膨潤し、傷ついて活性光線の遮断する機能が失われてしまう。また高温多湿な環境化においては空気中の水分だけで感熱マスク層(C)が膨潤し、耐傷性が著しく低下し取り扱いが困難になる可能性がある。
一方で熱硬化性樹脂を添加し熱架橋させた感熱マスク層(C)が提案されている(引用文献3)。しかし、感熱マスク層(C)を過度に架橋させてしまうと水が浸透せず、水現像に著しく時間を要するという問題があった。
本発明の目的は、上記問題を鑑みて、耐水性と水現像性を両立させた、原画フィルムを必要としないで凸状のレリーフ像を形成することが可能な感光性樹脂印刷版原版を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、主として以下の構成を有する感光性樹脂印刷版原版が提供される。すなわち、「支持体上に少なくとも、水に溶解または分散可能な樹脂および紫外線により硬化可能なモノマーを含有する感光性樹脂層(A)、および赤外線吸収物質を含有する水不溶性の感熱マスク層(C)をこの順に積層されており、感熱マスク層(C)の水浸透時間が50〜400秒であることを特徴とする感光性樹脂印刷版原版」である。
本発明によれば、耐水性と水現像性を両立させた、原画フィルムを必要としないで凸状のレリーフ像を形成することが可能な感光性樹脂印刷版原版を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明における感光性樹脂印刷版原版は、支持体上に、少なくとも、水に溶解または分散可能な樹脂および紫外光により硬化可能なモノマーを含有する感光性樹脂層(A)、および赤外線吸収物質を含有する感熱マスク層(C)をこの順に有する。
本発明における感光性樹脂層(A)は、水またはアルコールに溶解または分散可能な樹脂および紫外光により硬化可能なモノマーを含有する。また、感光性樹脂層(A)は紫外光、好ましくは300〜400nmの光を照射することにより、光硬化する。感光性樹脂層(A)の素材としては、感光性樹脂組成物が用いられ、好ましくは厚さ0.1〜10mmのシート状に形成したものである。
前記感光性樹脂組成物は、水またはアルコールに溶解または分散可能な樹脂および紫外光により硬化可能なモノマーを含有する。さらに好ましくは、光重合開始剤を含有する。
本発明における水またはアルコールに溶解または分散可能な樹脂は、感光性樹脂組成物を固体状態にして形態を保持するための担体樹脂としての機能を有するとともに、感光性樹脂層(A)の水またはアルコールによる現像性を付与するために使用される。このような樹脂として、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(部分ケン化ポリビニルアルコール)、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンオキサイド、親水性基を導入したポリアミド樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体など、およびこれら樹脂の変性体が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、親水性基を導入したポリアミド樹脂、およびこれら樹脂の変性体が好ましく用いられる。
紫外光により硬化可能なモノマーとは、一般的に、ラジカル重合により架橋可能な物質である。ラジカル重合により架橋可能な物質であれば、特に限定されるものではないが、例えば次のようなものを挙げることができる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
本発明に好ましく使用される光重合開始剤とは、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば特に限定されない。なかでも、自己開裂や水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などある。
感光性樹脂組成物には、その他の成分として、相溶性、柔軟性を高める等の目的で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類を含有することが可能であり、熱安定性を上げる為に、従来公知の重合禁止剤を含有することもできる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類などが挙げられる。また、染料、顔料、界面活性剤、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤などを含有することもできる。
感光性樹脂組成物から感光性樹脂層(A)を得る方法としては特に限定されないが、例えば、水またはアルコールに溶解または分散可能な樹脂を溶剤に溶解した後に、紫外光により硬化可能なモノマー、光重合開始剤および必要に応じてその他添加剤を添加して充分撹拌し、感光性樹脂組成物溶液を得て、この溶液から溶剤を除去した後に、好ましくは接着剤を塗布した支持体上に溶融押し出しすることにより得ることができる。あるいは一部溶媒が残存している溶液を、接着剤を塗布した支持体上に溶融押し出しし、一部残存している溶媒を経時によって自然乾燥させることによっても得ることができる。
本発明における支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定なものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板やポリエステルなどのプラスチックシート、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシートが挙げられる。
本発明における感熱マスク層(C)は、(1)赤外レーザーを効率よく吸収して、その熱によって瞬間的に該層の一部または全部が蒸発または融除し、レーザーの照射部分と未照射部分の光学濃度に差が生じる、すなわち照射部分の光学濃度の低下が起こる働きと、(2)紫外光を実用上遮断する働きを有するものである。
感熱マスク層(C)は、赤外線吸収物質を含有する感熱層である。感熱マスク層(C)は、赤外レーザーを吸収し熱に変換する機能を有する赤外線吸収物質の他に、好ましくは、熱によって蒸発、融除する機能を有する熱分解性化合物と紫外線を遮断する機能を有する紫外線吸収物質を含有する。
ここで、紫外線を遮断する機能を有するとは、感熱マスク層(C)の光学濃度(optical density)が2.0以上のことを指し、より好ましくは2.5以上であり5.0以下であることが好ましい。光学濃度は一般にDで表され、以下の式で定義される。
D=log10(100/T)=log10(I0/I)
(ここで、Tは透過率(単位は%)、I0は透過率測定の際の入射光強度、Iは透過光強度である)。
D=log10(100/T)=log10(I0/I)
(ここで、Tは透過率(単位は%)、I0は透過率測定の際の入射光強度、Iは透過光強度である)。
光学濃度が2.0より小さい場合、感熱マスク層(C)を介して感光性樹脂層(A)が露光され、望みのレリーフを得ることができない場合がある。また、5.0以上であると感熱マスク層(C)の膜厚が厚くなり、レーザー描画による画像マスク形成が困難となる場合がある。
光学濃度の測定には、入射光強度を一定にして透過光強度の測定値から算出する方法と、ある透過光強度に達するまでに必要な入射光強度の測定値から算出する方法が知られているが、本発明における光学濃度は前者の透過光強度から算出した値をいう。
光学濃度は、オルソクロマチックフィルターを用いて、マクベス透過濃度計「TR−927」(コルモルゲンインスツルメンツ(Kollmorgen Instruments Corp.)社製)を用いることで測定することができる。
赤外線吸収物質としては、赤外線を吸収して熱に変換し得る物質であれば、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、ローダミン色素、ナフトキノン系色素、ポリメチン系染料、ジイモニウム塩、アゾイモニウム系色素、カルコゲン系色素、カーボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン等の金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、さらにビスマス、スズ、テルル、鉄、アルミの金属粉などが挙げられる。
これらのなかでも、光熱変換率および、経済性、取扱い性、および後述する紫外線吸収機能の面から、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックは、その製造方法からファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのものが市販されており、商業的にも安価であるため、好ましく使用される。
赤外線吸収物質の使用量は、感熱マスク層(C)の全組成物に対して2〜75重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましい。2重量%以上であれば光熱変換が効率良く行われ、75重量%以下であれば他の成分が不足して、感熱マスク層(C)に傷がつきやすいという問題が生じない。
感熱マスク層(C)に好ましく使用される熱分解性化合物としては、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、スチレン樹脂などが好ましく用いられる。熱分解性およびカーボンブラックの分散しやすさからアクリル樹脂が最も好ましく用いられる。
アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルからなる群から選ばれる1つ以上のモノマーの重合体あるいは共重合体のことをいう。
アクリル樹脂の中でも、水やアルコールに溶解しないグレードを選択することによって、下層の感光性樹脂層(A)への物質移動を抑制する事ができるので、水/アルコール不溶型のアクリル樹脂がさらに好ましく用いられる。
熱分解性化合物の使用量は、感熱マスク層(C)の全組成物に対して80重量%以下が好ましく、15〜60重量%がより好ましい。使用量が80重量%以下であれば、後述する光熱変換物質量の低下に伴い熱分解性化合物の分解がうまくできないという問題が発生しない。
感熱マスク層(C)に好ましく使用される紫外線吸収物質としては特に限定されないが、好ましくは、300nm〜400nmの領域に吸収を有する化合物である。例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、カーボンブラック、および赤外線吸収物質で列挙した金属あるいは金属酸化物などを挙げることができる。なかでもカーボンブラックは、紫外光領域だけでなく赤外光領域にも吸収特性があり、光熱変換物質としても機能するので、特に好ましく用いられる。
紫外線吸収物質の使用量は、感熱マスク層(C)の全組成物に対して0.1重量%〜75重量%が好ましく、1〜60重量%がより好ましい。使用量が0.1重量%以上であれば必要な光学濃度が得られ、75重量%以下であれば他の成分が不足して感熱マスク層(C)に傷がつきやすいという問題が生じない。
感熱マスク層(C)は感光性樹脂層(A)の上に直接、あるいは接着調整層(B)を介して積層される。感光性樹脂層(A)および後述する接着調整層(B)は、水に溶解または分散可能な樹脂を含有している。感熱マスク層(C)が組成として水が浸透しやすい膜であると空気中の水分や手についた水分が簡単に感熱マスク層(C)を透過して感光性樹脂層(A)または接着調整層(B)を溶解または膨潤させ、結果として感熱マスク層がやぶれて紫外線を遮断する機能が失われてしまう。よって本発明に使用する感熱マスク層(C)は耐水浸透性を備えている必要がある。
本発明においては、感熱マスク層(C)の耐水浸透性の指標として水浸透時間を以下に示す方法で測定する。厚さ50μmの“ソルブロン”SO(水溶性フィルム、アイセロ(株)製)に感熱マスク層用塗工液組成物を、バーコーターを用いて乾燥塗膜の光学濃度が2.7になる膜厚で塗布し、150℃1分間乾燥させて、感熱マスク層(C)/水溶性フィルムの積層体を得る。積層体を感熱マスク層(C)が上になるようにして水平に置き、感熱マスク層(C)から高さ方向に1cm離れた位置からスポイトを用いて0.5ccの水滴を静かに垂らす(水滴は約15mmの円形の水滴となる。)。水滴を垂らしてから水滴の浸透が進み、感熱マスク層(C)を透過し、水溶性フィルムが溶解して水滴が積層体を通り抜けるまでの時間を計測し、積層体の水浸透時間とする。水溶性フィルムのみの水浸透時間も計測し、積層体の水浸透時間との差をとることで感熱マスク層(C)の水浸透時間を算出する。
感熱マスク層(C)に耐水浸透性を付与する方法は特に限定されないが、例えば、感熱マスク層(C)の全成分を撥水性をもつ成分で構成する方法、硬化性の樹脂をバインダーとして用い層を架橋させる方法などによって達成できる。
本発明においては、水浸透時間が50〜400秒であることが必要であり、100〜300秒であることが好ましい。水浸透時間が50秒未満であると感熱マスク層の耐水性が不足し、空気中の水分や現像工程で手についた水分によって簡単に感熱マスク層がやぶれてしまう。水浸透時間が400秒より長ければ感熱マスク層を水現像にて除去する際に長い時間を要する。耐水浸透性を付与する方法は特に限定されないが、感熱マスク層(C)組成を水不溶性とするか硬化性の樹脂をバインダーとして用い層を架橋させる方法によって達成される。特に赤外線吸収物質としてカーボンブラックを用いる場合は、膜の構造が疎密になりやすいため硬化性の樹脂を用いて架橋される方法が有用である。
硬化性の樹脂をバインダーとして用いた場合、樹脂の硬化方法は特に限定されないが、感熱マスク層(C)が紫外光を吸収する機能を有するので光硬化は困難あるいは不効率であるため、熱硬化が好ましい。バインダーとして用いる熱硬化樹脂としては、例えば、多官能エポキシ化合物と、尿素系樹脂、アミン系化合物、アミド系化合物、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせが挙げられる。
ここで、多官能エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、尿素系樹脂としては、ブチル化尿素樹脂、ブチル化メラミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化尿素メラミン共縮合樹脂、アミノアルキッド樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂、メチル化メミニン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。
また、アミン系化合物としては、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
また、アミド系化合物としては、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるポリアミド系硬化剤やジシアンジアミドなどがあり、水酸基含有化合物としてはフェノール樹脂、多価アルコールなどがあり、チオール系化合物としては、多価チオールなどがある。
また、カルボン酸としては、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ドデシニルコハク酸、ピロメリット酸、クロレン酸、マレイン酸、フマル酸やこれらの無水物が好ましく使用される。
複数成分による硬化性の樹脂を用いる方法とは別に、単独成分で用いても硬化性のある樹脂を用いても良い。単体で用いても硬化性のある樹脂としては、エポキシ樹脂の他、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、架橋性ポリエステル樹脂、架橋性ポリアミド樹脂などが挙げられる。これら樹脂は組み合わせて使用することも可能である。
これら熱硬化性樹脂の使用量は感熱マスク層(C)の全組成物量に対して10重量%〜50重量%が好ましく、20重量%〜40重量%がより好ましい。10重量%以上であれば耐水浸透性を付与するに十分な架橋構造が得られ、50重量%以下であれば感熱マスク層(C)のレーザー融除が効率よく行われる。
また、赤外線吸収物質としてカーボンブラックのような顔料を用いる場合は、その分散を行いやすくするため、可塑剤、界面活性剤、分散助剤などを添加しても良い。
感熱マスク層(C)を形成する方法は特に限定されないが、カーボンブラックなどの有機物を用いる場合には、感熱マスク層組成物をそのまま、あるいは適当な溶媒に溶解させてコーティングし、熱キュアさせることによって得ることができる。
コーティングにより得られる感熱マスク層(C)の厚さは0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜3μmがより好ましい。0.5μm以上であれば、表面傷が発生しにくく、また光の漏れが生じにくく、一定の高光学濃度を得ることができ、また高い塗工技術を必要としない。また、10μm以下であれば感熱マスク層(C)を融除するのに高いエネルギーが必要とされないので、コスト的に有利である。
本発明の感光性樹脂印刷版原版は、感光性樹脂層(A)と感熱マスク層(C)の間に接着力調整層(B)を設けてもよい。接着力調整層(B)は、ケン化度30モル%以上の部分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリアミド等の水溶解性および/または水分酸性の樹脂を含有することが好ましい。また、接着力調整層(B)には、適当な接着力を最適化するための樹脂類やモノマー類、塗工性や安定性を調整するための界面活性剤や可塑剤などの添加剤を含有させることも任意である。
接着力調整層(B)の形成方法は特に限定されないが、薄膜形成の簡便さから、接着力調整層(B)成分を溶媒に溶解した状態で、感熱マスク層(C)上にコーティングしてから溶媒を除去する方法が好ましく行われる。溶媒の除去方法には例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、あるいは自然乾燥などが行われる。
また、感熱マスク層(C)が水不溶性の場合、感熱マスク層(C)の接着力調整層を接する面にコロナ放電処理を施し、表面を親水性とした後に親水性の接着力調整層(B)を感熱マスク層(C)に接する様に積層すると、層(B)/(C)間の接着力を増大させることができる。
接着力調整層(B)をコーティングするために使用する溶媒は特に限定されないが、水やアルコール、または水とアルコールの混合物が主に使用される。水やアルコールを使用した場合、感熱マスク層(C)が水不溶性であると、感熱マスク層(C)上にコーティングしても感熱マスク層(C)が侵食を受けることがないため好ましい。
接着力調整層(B)の膜厚は15μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。15μm以下であれば、紫外光を露光した際の該層による光の屈曲や散乱が抑えられ、シャープなレリーフ画像が得られる。また、0.1μm以上であれば、接着力調整層(B)の形成が容易となる。
こうして感熱マスク層(C)上に接着力調整層(B)を積層した後、接着力調整層(B)に接するようにさらに感光性樹脂層(A)を積層することにより、層(A)/(B)/(C)の順に十分な接着力で積層された積層体が得られる。
本発明では、感熱マスク層(C)の上に、カバーフィルム(E)を設けることが好ましい。カバーフィルム(E)は、感熱マスク層(C)を外傷から保護する目的等に使用することができる。カバーフィルム(E)には、感熱マスク層(C)から剥離可能なポリマーフィルムが好ましく使用される。このようなカバーフィルム(E)として、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムが挙げられる。あるいはシリコーンなどが塗布された剥離紙もカバーフィルム(E)として使用できる。
カバーフィルム(E)の膜厚は25μm〜200μmが好ましく、50μm〜150μmがより好ましい。25μm以上であれば取り扱いが容易であり、かつ感熱マスク層(C)を外傷から保護する機能が発現し、200μm以下であれば安価で経済的に有利であり、かつ剥離しやすいという利点を有する。
感熱マスク層(C)の上に剥離補助層(D)を設けても良い。剥離補助層(D)は好ましくは感熱マスク層(C)とカバーフィルム(E)の間に設けられる。剥離補助層(D)は、感光性樹脂印刷版原版から剥離補助層(D)のみまたはカバーフィルム(E)のみまたはカバーフィルム(E)および剥離補助層(D)両方を容易に剥離せしめる機能を有することが好ましい。カバーフィルム(E)と感熱マスク層(C)が直接積層されており両層間の接着力が強いと、カバーフィルム(E)を剥離できない、または、感熱マスク層(C)ごと剥離してしまう可能性がある。
したがって、剥離補助層(D)は、感熱マスク層(C)との接着力が強く、カバーフィルム(E)との接着力が剥離可能な程度に弱い物質、あるいは感熱マスク層(C)との接着力が剥離可能な程度に弱く、カバーフィルム(E)との接着力が強い物質から構成されことが好ましい。なお、カバーフィルム(E)を剥離した後、剥離補助層(D)は感熱マスク層(C)側に残留し最外層になる場合があるので、取り扱いの面から粘着質でないことや、該層を通して紫外光露光されるため実質透明であることが好ましい。
剥離補助層(D)に使用される材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂などであり、水に溶解または分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、ケン化度60モル%〜99モル%の部分ケン化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
剥離補助層(D)は、さらに、赤外線で融除しやすくするために赤外線吸収物質を含有してもよい。赤外線吸収物質としては感熱マスク層(C)で記載したものを使用することができる。また、塗工性や濡れ性、剥離性向上のために界面活性剤を添加しても良い。特にリン酸エステル系の界面活性剤を剥離補助層(D)に含有するとカバーフィルム(E)からの剥離性が良化する。
剥離補助層(D)の膜厚は5μm以下が好ましく、0.01μm以上0.5μm以下がより好ましい。0.5μm以下であれば、下層の感熱マスク層(C)のレーザー融除性を損なうことがない。また、0.01μm以上であれば、剥離補助層(D)の形成が容易である。
感光性樹脂印刷版原版からカバーフィルム(E)を200mm/分で剥離する時、1cm当たりの剥離力が0.5g/cm〜20g/cmであることが好ましく、1g/cm〜15g/cmがさらに好ましい。0.5g/cm以上であれば、作業中にカバーフィルム(E)が剥離することなく作業できるので好ましく、20g/cm以下であれば無理なくカバーフィルム(E)を剥離することができるので好ましい。
次に本発明の感光性樹脂印刷版原版の好ましい製造方法を記載する。
第1の例は、基板上に感光性樹脂層(A)、接着力調整層(B)、感熱マスク層(C)、剥離補助層(D)およびカバーフィルム(E)を順次積層した構造を有する原版である。カバーフィルム(E)上に順次コーティング法で、剥離補助層(D)、感熱マスク層(C)および接着力調整層(B)を積層した感熱マスクシートと、基板上に感光性樹脂層(A)を積層した感光性樹脂シートとを接着力調整層(B)が感熱マスク層(A)と接するようにラミネートすることによって得ることができる。ラミネート方法としては特に限定されず、例えば、感光性樹脂層(A)あるいは接着力調整層(B)の表面を水および/またはアルコールで膨潤させ、感熱マスクシートを貼り合わせる方法、感光性樹脂層(A)と同じ、あるいは類似組成の高粘度の液体を、感光性樹脂シートと感熱マスクシートの間に流し込んで両者を貼り合わせる方法、常温下であるいは加熱しながらプレス機でプレスする方法などがある。
第2の例は、基板上に感光性樹脂層(A)、接着力調整層(B)および感熱マスク層(C)を順次積層した構造を有する原版である。まず、基板上に感光性樹脂層(A)を積層した感光性樹脂シートに、接着力調整層(B)の成分が溶解している液をコーティング、乾燥させて、次いで、感熱マスク層(C)の成分が溶解あるいは分散している液をコーティング、加熱して硬化させることによって得ることができる。
別の方法として、剥離紙に同様のコーティング法で感熱マスク層(C)および接着力調整層(B)を順次積層した感熱マスクシートを用意し、次いで、基板上に感光性樹脂層(A)を積層した感光性樹脂シートと感熱マスクシートとを、感光性樹脂層(A)が接着力調整層(B)と接するようにラミネートした後、剥離紙を剥離することによって得ることもできる。剥離した剥離紙は、同目的で再利用できるという利点がある。
第3の例は、基板上に感光性樹脂層(A)、接着力調整層(B)、感熱マスク層(C)、剥離補助層(D)を順次積層した構造を有する原版である。この原版は、第1の例で得られた原版からカバーフィルム(E)を剥離することによって得ることができる。この例では、カバーフィルム(E)を再利用できるという利点がある。
第4の例は、基板上に感光性樹脂層(A)、接着力調整層(B)、感熱マスク層(C)、カバーフィルム(E)を順次積層した構造を有する原版である。カバーフィルム(E)上に順次コーティング法で感熱マスク層(C)および接着力調整層(B)を積層した感熱マスクシートと、基板上に感光性樹脂層(A)を積層した感光性樹脂シートとをラミネートすることによって得ることができる。
以上のようにして得られた感光性樹脂印刷版原版は、下記する工程を経て、樹脂凸版印刷版を製造することができる。
本発明における樹脂凸版印刷版の製造方法は、(1)上述の感光性樹脂印刷版原版を用い、(2)赤外レーザーで感熱マスク層(C)に像様照射することによって画像マスク(C’)を形成する工程、(3)形成された画像マスク(C’)側から紫外光を用いて露光し、感光性樹脂層(A)に潜像を形成する工程、(4)水を主成分とする液により現像処理し、画像マスク(C’)および紫外光未露光部の感光性樹脂層(A)を除去する工程からなる。
剥離補助層(D)および/またはカバーフィルム(E)が存在する場合には、少なくともカバーフィルム(E)を剥離した後、感熱マスク層(C)に赤外レーザーを画像状に像様照射して、画像マスク(C’)を形成することが好ましい。より好ましくは、剥離補助層(D)とカバーフィルム(E)が存在し、カバーフィルム(E)のみを剥離した後、感熱マスク層(C)に赤外レーザーを画像状に像様照射して、画像マスク(C’)を形成することである。
(2)赤外レーザーで感熱マスク層(C)に像様照射して画像マスク(C’)を形成する工程としては、赤外レーザーを画像データに基づきON/OFFさせて、感熱マスク層(C)に対して走査照射する工程を採用することができる。感熱マスク層(C)は、赤外レーザーが照射されると赤外線吸収物質の作用で熱が発生し、その熱の作用で熱分解性化合物が分解して感熱マスク層(C)が除去、すなわちレーザー融除される。レーザー融除された部分は、光学濃度が大きく低下し、紫外光に対して実質透明になる。画像データに基づき、感熱マスク層(C)を選択的にレーザー融除する事によって、感光性樹脂層(A)に潜像を形成しうる画像マスク(C’)が得られる。
赤外レーザー照射には、発振波長が750nm〜3000nmの範囲にあるものが用いられる。このようなレーザーとしては、例えば、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ペロブスカイトレーザー、Nd−YAGレーザーやエメラルドガラスレーザーなどの固体レーザー、InGaAsP、InGaAsやGaAsAlなどの半導体レーザー、ローダミン色素のような色素レーザーなどが挙げられる。またこれらの光源をファイバーにより増幅させるファーバーレーザーも用いることができる。なかでも、半導体レーザーは近年の技術的進歩により、小型化し、経済的にも他のレーザー光源よりも有利であるので好ましい。また、Nd−YAGレーザーも高出力であり、歯科用や医療用に多く利用されており、経済的にも安価であるので好ましい。
(3)形成された画像マスク(C’)側から紫外光を用いて露光し、感光性樹脂層(A)に潜像を形成する工程とは、上記の方法でレーザー照射された感光性樹脂印刷版材に、紫外光を、好ましくは300〜400nmの波長の紫外光を、レーザーにより画像が形成された画像マスク(C’)を通して全面に露光し、画像マスク(C’)におけるレーザー融除部の下部の感光性樹脂層(A)を選択的に光硬化する工程である。
露光の際、感光性樹脂印刷版原版のサイド面からも紫外光が入り込むので、紫外光が透過しないカバーでサイド面を覆うようにしておくのが良い。300〜400nmの波長を露光できる光源として、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯などが使用できる。紫外光で露光された部分の感光性樹脂層(A)は、現像液により溶出分散できない物質に変化する。
(4)水を主成分とする液により現像処理し、画像マスク(C’)および紫外光未露光部の感光性樹脂層(A)を除去する工程は、例えば、感光性樹脂層(A)を溶解分散可能な水を主成分とする現像液を持つブラシ式洗い出し機やスプレー式洗い出し機を用いて現像することで達成される。この工程を経て、紫外光で露光された部分が残存し、レリーフ像を有する樹脂凸版印刷版が得られる。
剥離補助層(D)が残存している場合は、(4)の現像工程で除去されることが好ましい。
水を主成分とする現像液は、水道水、蒸留水、水のいずれかを主成分とし、炭素数1〜6のアルコールを含有してもよい。ここで、主成分とは、70重量%以上であることを言う。また、これらの液に感光性樹脂層(A)、接着力調整層(B)、感熱マスク層(C)、剥離補助層(D)の成分が混入したものも使用できる。
画像マスク(C’)は耐傷性、耐水性向上の目的で水不溶性にしており、水やアルコールからなる現像液には溶解しない。しかし、感熱マスク層(C)の水浸透時間を400秒以下とすることで現像液が画像マスク(C’)を透過し、下の層である現像液に溶解分散可能な接着力調整層(B)または感光性樹脂層(A)を溶解分散させる。画像マスク(C’)は、コシの強い、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)製またはナイロン製のブラシで擦ることで、物理的に除去することができる。この際、30℃から70℃の比較的高温の現像水を用いることによって、画像マスク(C’)の除去を効率的に行うことができる。
その後、必要に応じ、版面に付着している現像液を乾燥する処理、感光性樹脂印刷版の後露光や粘着性除去処理等を行うこともできる。
本発明の製造方法で製造された樹脂凸版印刷版は、印刷機に装着できる樹脂凸版印刷版として好ましく使用される。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
<水溶性ポリアミド樹脂1の合成>
ε−カプロラクタム 10重量部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩 90重量部および水100重量部をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、次いで水分を除去して水溶性ポリアミド樹脂1を得た。
ε−カプロラクタム 10重量部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩 90重量部および水100重量部をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、次いで水分を除去して水溶性ポリアミド樹脂1を得た。
<変性ポリビニルアルコール1の合成>
冷却管をつけたフラスコ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール“ゴーセノール”KL−05(ケン化度 78.5%〜82.0%、日本合成化学工業(株)製)50重量部、無水コハク酸2重量部およびアセトン 10重量部を入れ、60℃で6時間加熱した後、冷却管を外してアセトンを揮発させた。その後、100重量部のアセトンで未反応の無水コハク酸を溶出させる精製工程を2回行った後、60℃で減圧乾燥を5時間行い、水酸基にコハク酸がエステル結合した、変性ポリビニルアルコール1を得た。
冷却管をつけたフラスコ中に、部分ケン化ポリビニルアルコール“ゴーセノール”KL−05(ケン化度 78.5%〜82.0%、日本合成化学工業(株)製)50重量部、無水コハク酸2重量部およびアセトン 10重量部を入れ、60℃で6時間加熱した後、冷却管を外してアセトンを揮発させた。その後、100重量部のアセトンで未反応の無水コハク酸を溶出させる精製工程を2回行った後、60℃で減圧乾燥を5時間行い、水酸基にコハク酸がエステル結合した、変性ポリビニルアルコール1を得た。
<感光性樹脂層(A1)用の塗工液組成物1の調製>
撹拌ヘラおよび冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、水溶性ポリアミド樹脂1を7.5重量部、変性ポリビニルアルコール1を47.5重量部、ジエチレングリコール11重量部、水 38重量部およびエタノール 44重量部を入れ、撹拌しながら110℃で30分間、次いで70℃で90分間加熱しポリマーを溶解させた。ついで、“ブレンマー”G(グリシジルメタクリレート、日本油脂(株)製)3重量部を添加し、70℃で30分間撹拌した。さらに“ブレンマー”GMR(グリシジルメタクリレートのメタクリル酸付加物、日本油脂(株)製)12重量部、“ライトエステル”G201P(グリシジルメタクリレートのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)5重量部、“エポキシエステル”70PA(プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)6重量部、“NKエステル”A−200(重量平均分子量200のポリエチレングリコールのジアクリレート、新中村化学工業(株)製)5重量部、“イルガキュア”651(ベンジルジメチルケタール、チバ・ガイギー(株)製)0.1重量部、“イルガキュア”184(α−ヒドロキシケトン、チバ・ガイギー(株)製)1.5重量部、 “ダイレクトスカイブルー6B”(浜本染料(株)製)0.01重量部、“フォーマスタ”(消泡剤、サンノプコ(株)製)0.05重量部、“チヌビン”326(紫外線吸収剤、チバ・ガイギー(株)製)0.015重量部、および“Q−1300”(アンモニウム N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、和光純薬工業(株)製)0.005重量部を添加して30分間撹拌し、流動性のある感光性樹脂層(A1)の塗工液組成物1を得た。
撹拌ヘラおよび冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、水溶性ポリアミド樹脂1を7.5重量部、変性ポリビニルアルコール1を47.5重量部、ジエチレングリコール11重量部、水 38重量部およびエタノール 44重量部を入れ、撹拌しながら110℃で30分間、次いで70℃で90分間加熱しポリマーを溶解させた。ついで、“ブレンマー”G(グリシジルメタクリレート、日本油脂(株)製)3重量部を添加し、70℃で30分間撹拌した。さらに“ブレンマー”GMR(グリシジルメタクリレートのメタクリル酸付加物、日本油脂(株)製)12重量部、“ライトエステル”G201P(グリシジルメタクリレートのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)5重量部、“エポキシエステル”70PA(プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)6重量部、“NKエステル”A−200(重量平均分子量200のポリエチレングリコールのジアクリレート、新中村化学工業(株)製)5重量部、“イルガキュア”651(ベンジルジメチルケタール、チバ・ガイギー(株)製)0.1重量部、“イルガキュア”184(α−ヒドロキシケトン、チバ・ガイギー(株)製)1.5重量部、 “ダイレクトスカイブルー6B”(浜本染料(株)製)0.01重量部、“フォーマスタ”(消泡剤、サンノプコ(株)製)0.05重量部、“チヌビン”326(紫外線吸収剤、チバ・ガイギー(株)製)0.015重量部、および“Q−1300”(アンモニウム N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、和光純薬工業(株)製)0.005重量部を添加して30分間撹拌し、流動性のある感光性樹脂層(A1)の塗工液組成物1を得た。
<接着層塗布基板1の作製>
“バイロン31SS”(不飽和ポリエステル樹脂のトルエン溶液、東洋紡績(株)製)260重量部および“PS−8A”(ベンゾインエチルエーテル、和光純薬工業(株)製)2重量部の混合物を70℃で2時間加熱後30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7重量部を加えて2時間混合した。さらに、“コロネート”3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業(株)製)25重量部および“EC−1368”(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14重量部を添加し、接着層組成物1を得た。
“バイロン31SS”(不飽和ポリエステル樹脂のトルエン溶液、東洋紡績(株)製)260重量部および“PS−8A”(ベンゾインエチルエーテル、和光純薬工業(株)製)2重量部の混合物を70℃で2時間加熱後30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7重量部を加えて2時間混合した。さらに、“コロネート”3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業(株)製)25重量部および“EC−1368”(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14重量部を添加し、接着層組成物1を得た。
“ゴーセノール”KH−17(ケン化度78.5%〜81.5%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)50重量部を“ソルミックス”H−11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)200重量部および水200重量部の混合溶媒で70℃で2時間溶解させた後、“ブレンマー”G(グリシジルメタクリレート、日本油脂(株)製)1.5重量部を添加して1時間混合し、さらに(ジメチルアミノエチルメタクリレート)/(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)重量比2/1の共重合体(共栄社化学(株)製)3重量部、“イルガキュア”651(ベンジルジメチルケタール、チバ・ガイギー(株)製)5重量部、“エポキシエステル”70PA(プロピレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、共栄社化学(株)製)21重量部およびエチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート20重量部を添加して90分間混合し、50℃に冷却後“フロラード”TM FC−430(住友スリーエム(株)製)0.1重量部添加して30分間混合して接着層組成物2を得た。
厚さ250μmの“ルミラー”T60(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に、接着層組成物1を乾燥後膜厚が40μmとなるようバーコーターで塗布し、180℃のオーブンに3分間入れて溶媒を除去後、その上に接着層組成物2を乾燥膜厚が30μmとなるようバーコーター塗布し、160℃のオーブンで3分間乾燥させ、接着層塗布基板1を得た。
<感光性樹脂シート1の製造>
接着層塗布基板1を接着層形成面側から超高圧水銀灯で1000mJ/cm2露光した後、感光性樹脂層(A1)用の塗工液組成物1を接着層塗布基板1の接着層形成面に流延し、60℃のオーブン中で5時間乾燥させて、基板を含めておよそ厚さ900μmの感光性樹脂シート1を得た。感光性樹脂シート1の厚さは、基板上に所定厚のスペーサーを設置し、スぺーサーからはみ出ている部分の塗工液組成物1を、水平な金尺で掻き出すことによって制御した。
接着層塗布基板1を接着層形成面側から超高圧水銀灯で1000mJ/cm2露光した後、感光性樹脂層(A1)用の塗工液組成物1を接着層塗布基板1の接着層形成面に流延し、60℃のオーブン中で5時間乾燥させて、基板を含めておよそ厚さ900μmの感光性樹脂シート1を得た。感光性樹脂シート1の厚さは、基板上に所定厚のスペーサーを設置し、スぺーサーからはみ出ている部分の塗工液組成物1を、水平な金尺で掻き出すことによって制御した。
<接着力調整層(B1)用の塗工液組成物2の調製>
“ゴーセノール”KL−05(ケン化度78.5%〜82%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)11重量部を水 55重量部、メタノール 14重量部、n−プロパノール 10重量部およびn−ブタノール 10重量部に溶解させ、接着力調整層(B1)用の塗工液組成物2を得た。
“ゴーセノール”KL−05(ケン化度78.5%〜82%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)11重量部を水 55重量部、メタノール 14重量部、n−プロパノール 10重量部およびn−ブタノール 10重量部に溶解させ、接着力調整層(B1)用の塗工液組成物2を得た。
<剥離補助層(D1)用の塗工液組成物3の調製>
“ゴーセノール”AL−06(ケン化度91%〜94%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)11重量部を水55重量部、メタノール 14重量部、n−プロパノール 10重量部およびn−ブタノール 10重量部に溶解させ、剥離補助層(D1)用の塗工液組成物3を得た。
“ゴーセノール”AL−06(ケン化度91%〜94%のポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製)11重量部を水55重量部、メタノール 14重量部、n−プロパノール 10重量部およびn−ブタノール 10重量部に溶解させ、剥離補助層(D1)用の塗工液組成物3を得た。
<感熱マスク層(C1)用の塗工液組成物4の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)10重量部、およびメチルイソブチルケトン 24重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液1を調整した。分散液1に“ユーバン”20SE(メラミン樹脂、三井化学(株)製)6重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)1.5重量部、“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.04重量部を添加し30分間撹拌し、感熱マスク層(C1)用の塗工液組成物4を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)10重量部、およびメチルイソブチルケトン 24重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液1を調整した。分散液1に“ユーバン”20SE(メラミン樹脂、三井化学(株)製)6重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)1.5重量部、“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.04重量部を添加し30分間撹拌し、感熱マスク層(C1)用の塗工液組成物4を得た。
<感熱マスク層(C2)用の塗工液組成物5の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“ダイヤナール”BR−95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)10重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート 30重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液2を調整した。分散液2に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)2重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)0.8重量部、 “ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C2)用の塗工液組成物5を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“ダイヤナール”BR−95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)10重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート 30重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液2を調整した。分散液2に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)2重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)0.8重量部、 “ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C2)用の塗工液組成物5を得た。
<感熱マスク層(C3)用の塗工液組成物6の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)10重量部、メチルイソブチルケトン 30重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液3を調整した。分散液3に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)2重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)0.8重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)0.8重量部“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C3)用の塗工液組成物6を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)10重量部、メチルイソブチルケトン 30重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液3を調整した。分散液3に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)2重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)0.8重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)0.8重量部“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C3)用の塗工液組成物6を得た。
<感熱マスク層(C4)用の塗工液組成物7の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)15重量部、メチルイソブチルケトン 35重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液4を調整した。分散液4に“ユーバン”20SE(メラミン樹脂、三井化学(株)製)1重量部、“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C4)用の塗工液組成物7を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)20重量部、“フローレン”ALX−920M(アクリル樹脂、共栄社化学(株)製)15重量部、メチルイソブチルケトン 35重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液4を調整した。分散液4に“ユーバン”20SE(メラミン樹脂、三井化学(株)製)1重量部、“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.01重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C4)用の塗工液組成物7を得た。
<感熱マスク層(C5)用の塗工液組成物8の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)23重量部、“ダイヤナール”BR−95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)15重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート 38重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液5を調整した。分散液5に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)20重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)27重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)6重量部“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.7重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C5)用の塗工液組成物8を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)23重量部、“ダイヤナール”BR−95(アルコール不溶性のアクリル樹脂、三菱レイヨン(株)製)15重量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート 38重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、カーボンブラック分散液5を調整した。分散液5に“ユーバン”2061(メラミン樹脂、三井化学(株)製)20重量部、“アラルダイト”6071(エポキシ樹脂、旭チバ(株)製)27重量部、可塑剤ATBC(アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製)6重量部“ライトエステル”P−1M(リン酸モノマー、共栄社化学(株)製)0.7重量部を添加し、30分間撹拌し感熱マスク層(C5)用の塗工液組成物8を得た。
<感熱マスク層(C6)用の塗工液組成物9の調製>
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)2重量部、“ゴーセノール”KP205(ポリビニルアルコール、クラレ(株)製)4重量部、蒸留水3重量部、n−プロパノール3重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、感熱マスク層(C6)用の塗工液組成物9を得た。
“MA100”(カーボンブラック、三菱化学(株)製)2重量部、“ゴーセノール”KP205(ポリビニルアルコール、クラレ(株)製)4重量部、蒸留水3重量部、n−プロパノール3重量部をあらかじめ混合させたものを、3本ロールミルを用いて混練分散させ、感熱マスク層(C6)用の塗工液組成物9を得た。
<感熱マスクシート1〜6の製造>
厚さ100μmのルミラーS10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に、塗工液組成物3をバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.05μmになるように塗布、120℃で20秒間乾燥し、剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体を得た。このようにして得られた積層体の剥離補助層(D1)側に、塗工液組成物4中に塗布膜の光学濃度が2.7になるように溶媒を添加し濃度調整をしたものを、バーコーターを用いて塗布、150℃で20秒間乾燥し、感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体を得た。このようにして得られた積層体の感熱マスク層(C1)側に、塗工液組成物2をそれぞれバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布、150℃で乾燥し、接着調整層(B1)/感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体である感熱マスクシート1を得た。
厚さ100μmのルミラーS10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に、塗工液組成物3をバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.05μmになるように塗布、120℃で20秒間乾燥し、剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体を得た。このようにして得られた積層体の剥離補助層(D1)側に、塗工液組成物4中に塗布膜の光学濃度が2.7になるように溶媒を添加し濃度調整をしたものを、バーコーターを用いて塗布、150℃で20秒間乾燥し、感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体を得た。このようにして得られた積層体の感熱マスク層(C1)側に、塗工液組成物2をそれぞれバーコーターを用いて乾燥膜厚が0.3μmになるように塗布、150℃で乾燥し、接着調整層(B1)/感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体である感熱マスクシート1を得た。
前記工程を、塗工液組成物5〜9を用いて同様に実施し、接着調整層(B1)/感熱マスク層(C2)〜(C6)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の積層体である感熱マスクシート2〜6を得た。
<水浸透時間の評価>
感熱マスク層(C)の耐水浸透性の指標として水浸透時間を以下に示す方法で測定した。厚さ50μmの“ソルブロン”SO(水溶性フィルム、アイセロ(株)製)に感熱マスク層用塗工液組成物を、バーコーターを用いて乾燥塗膜の光学濃度が2.7になる膜厚で塗布し、150℃1分間乾燥させて、感熱マスク層(C)/水溶性フィルムの積層体を得た。積層体を感熱マスク層(C)が上になるようにして水平に置き、感熱マスク層(C)から高さ方向に1cm離れた位置からスポイトを用いて0.5ccの水滴を静かに垂らした。水滴は約15mmの円形の水滴となる。水滴を垂らしてから水滴の浸透が進み、感熱マスク層(C)を透過し、水溶性フィルムが溶解して水滴が積層体を通り抜けるまでの時間を計測し、積層体の水浸透時間とした。水溶性フィルムのみの水浸透時間も計測し、積層体の水浸透時間との差をとることで感熱マスク層(C)の水浸透時間を算出した。
感熱マスク層(C)の耐水浸透性の指標として水浸透時間を以下に示す方法で測定した。厚さ50μmの“ソルブロン”SO(水溶性フィルム、アイセロ(株)製)に感熱マスク層用塗工液組成物を、バーコーターを用いて乾燥塗膜の光学濃度が2.7になる膜厚で塗布し、150℃1分間乾燥させて、感熱マスク層(C)/水溶性フィルムの積層体を得た。積層体を感熱マスク層(C)が上になるようにして水平に置き、感熱マスク層(C)から高さ方向に1cm離れた位置からスポイトを用いて0.5ccの水滴を静かに垂らした。水滴は約15mmの円形の水滴となる。水滴を垂らしてから水滴の浸透が進み、感熱マスク層(C)を透過し、水溶性フィルムが溶解して水滴が積層体を通り抜けるまでの時間を計測し、積層体の水浸透時間とした。水溶性フィルムのみの水浸透時間も計測し、積層体の水浸透時間との差をとることで感熱マスク層(C)の水浸透時間を算出した。
(実施例1)
感光性樹脂シート1の感光性樹脂層(A1)上に、水/エタノール=50/50重量%の混合溶媒をバーコーター#20を用いて塗布して感光性樹脂層(A1)を膨潤させ、感熱マスクシート1の接着力調整層(B1)が感光性樹脂層(A1)に接するようにローラー圧着し、1週間静置させることによって、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版1を得た。
感光性樹脂シート1の感光性樹脂層(A1)上に、水/エタノール=50/50重量%の混合溶媒をバーコーター#20を用いて塗布して感光性樹脂層(A1)を膨潤させ、感熱マスクシート1の接着力調整層(B1)が感光性樹脂層(A1)に接するようにローラー圧着し、1週間静置させることによって、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C1)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版1を得た。
感熱マスク層(C1)の耐水浸透時間を測定すると250秒であった。
感熱マスク層(C1)の水耐性を評価するために堅牢度試験機(JIS規格10823に記載の試験機II型、(株)大栄科学精器製作所製)を用いて水で濡らした白綿布に500gの荷重をかけて感光性樹脂印刷版原版1からカバーフィルム(E)を剥離して露出している表面を擦った。10回往復擦っても感熱マスク層(C1)に貫通性の傷が入らなかった。
感熱マスク層(C1)の除去性を評価するためにPBT(ポリブチレンテレフタラート)製のブラシを備えたブラシ式現像機FTW43II(東レ(株)製)を用いて現像したところ、70秒現像した時点で黒色の感熱マスク層が完全に除去され、良好な除去性を示した。
(実施例2)
実施例1において、感熱マスクシート2を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C2)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
実施例1において、感熱マスクシート2を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C2)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
感熱マスク層(C2)の耐水浸透時間を測定すると55秒であった。
実施例1と同様にして耐水性を評価したところ10回往復擦っても感熱マスク層(C2)に貫通性の傷が入らなかった。
実施例1と同様にして感熱マスク層(C2)の除去性を評価したところ20秒現像した時点で黒色の感熱マスク層が完全に除去され、良好な除去性を示した。
(実施例3)
実施例1において、感熱マスクシート3を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C3)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
実施例1において、感熱マスクシート3を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C3)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
感熱マスク層(C3)の耐水浸透時間を測定すると200秒であった。
実施例1と同様にして耐水性を評価したところ10回往復擦っても感熱マスク層(C3)に貫通性の傷が入らなかった。
実施例1と同様にして感熱マスク層(C3)の除去性を評価したところ40秒現像した時点で黒色の感熱マスク層が完全に除去され、良好な除去性を示した。
(比較例1)
実施例1において、感熱マスクシート4を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C4)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版4を得た。
実施例1において、感熱マスクシート4を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C4)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版4を得た。
感熱マスク層(C4)の耐水浸透時間を測定すると30秒であった。
実施例1と同様にして耐水性を評価したところ5回往復擦った時点で感熱マスク層(C2)に貫通性の傷が入り、満足のいく耐水性を有していなかった。
実施例1と同様にして感熱マスク層(C2)の除去性を評価したところ5秒現像した時点で黒色の感熱マスク層が完全に除去され、除去性は良好だった。
(比較例2)
実施例1において、感熱マスクシート5を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C5)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
実施例1において、感熱マスクシート5を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C5)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版2を得た。
感熱マスク層(C5)の耐水浸透時間を測定すると500秒であった。
実施例1と同様にして耐水性を評価したところ10回往復擦っても感熱マスク層(C5)に貫通性の傷が入らなかった。
実施例1と同様にして感熱マスク層(C5)の除去性を評価したところ120秒現像しても黒色の感熱マスク層が完全に除去されず、低い除去性を示した。
(比較例3)
実施例1において、感熱マスクシート6を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C6)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版6を得た。
実施例1において、感熱マスクシート6を用いた以外は、実施例1と全て同様にして、接着剤塗布基板1/感光性樹脂層(A1)/接着力調整層(B1)/感熱マスク層(C6)/剥離補助層(D1)/カバーフィルム(E)の順に積層された感光性樹脂印刷版原版6を得た。
感熱マスク層(C6)の耐水浸透時間を測定すると20秒であった。
実施例1と同様にして耐水性を評価したところ4回往復擦った時点で感熱マスク層(C6)に貫通性の傷が入り、満足のいく耐水性を有していなかった。
実施例1と同様にして感熱マスク層(C6)の除去性を評価したところ5秒現像した時点で黒色の感熱マスク層が完全に除去され、除去性は良好だった。
Claims (2)
- 支持体上に少なくとも、水に溶解または分散可能な樹脂および紫外線により硬化可能なモノマーを含有する感光性樹脂層(A)、および赤外線吸収物質を含有する水不溶性の感熱マスク層(C)がこの順に積層されており、感熱マスク層(C)の水浸透時間が50〜400秒であることを特徴とする感光性樹脂印刷版原版
- 感熱マスク層(C)が硬化性の樹脂により架橋された層であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂印刷版原版。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014053918A JP2015176066A (ja) | 2014-03-17 | 2014-03-17 | 感光性樹脂印刷版原版 |
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP6726415B1 (ja) * | 2019-02-21 | 2020-07-22 | 東洋紡株式会社 | 水現像可能な感光性樹脂印刷原版 |
WO2020170691A1 (ja) * | 2019-02-21 | 2020-08-27 | 東洋紡株式会社 | 水現像可能な感光性樹脂印刷原版 |
WO2023026724A1 (ja) | 2021-08-24 | 2023-03-02 | 東レ株式会社 | 感光性樹脂印刷版原版 |
-
2014
- 2014-03-17 JP JP2014053918A patent/JP2015176066A/ja active Pending
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