JP2021162667A - 感光性樹脂積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系現像液により除去可能であり、マスク層要素の耐傷性が良好でありかつ剥離可能な保護層と密着性を維持しているマスク層要素を有する感光性樹脂積層体を提供する。【解決手段】支持体上に感光性樹脂層、マスク層要素、マスク層要素から剥離可能な保護層をこの順に有する感光性樹脂積層体であって、マスク層要素が、ポリビニルアルコール、アニオン性ポリマー、赤外線吸収物質を含有する感光性樹脂積層体である。【選択図】 なし

Description

本発明は、感光性樹脂積層体に関する。
各種印刷分野において、デジタル画像形成技術として知られているコンピューター製版技術(コンピューター・トゥ・プレート(CTP)技術)は、一般的なものとなってきている。このようなCTP技術の一つとして、赤外レーザー感応式のマスク要素およびマスク層要素を有する感光性樹脂積層体を用いた凸版印刷版を形成する方法が知られている。具体的には、まず、感光性樹脂層上に紫外光に対して不透過性である、赤外レーザー感応式のマスク層要素を設ける。次に、デジタルデバイスで制御された画像データに基づいてレーザー照射を行い、マスク層要素から画像マスクを形成する。その後、画像マスクを介して紫外光で露光し、画像部分を選択的に硬化させ、未硬化部を現像液で除去して凸版印刷版を形成する。
このような方法においては、現像液の取り扱いを容易とするため、水を主成分とする現像液が好適に用いられる。そして水を主成分とした現像液に対応し、水に溶解または分散可能なポリマーを感光性樹脂層およびマスク層要素に用いて感光性樹脂積層体を形成し、これを用いた凸版印刷版原版が知られている(例えば特許文献1)。
マスク層要素には、放射線不透明材料であるカーボンブラックと皮膜形成可能なバインダーからなるものが一般的に使われている。マスク層要素は光重合層に対する化学放射線の透過を阻止するために、一般的に2.0以上の透過光学濃度(遮光性)が必要であり、赤外線レーザーによりアブレーションされるものである。膜形成可能なバインダーとしては、水溶性に優れることから例えば、ポリビニルアルコールビニルを配合することが知られている(例えば、特許文献2〜4)。
特開平09−171247号公報 特開2016−188900号公報 特開2019−95470号公報 特開2013−101394号公報
ところで、マスク層要素にケン化度が90%以下のポリビニルアルコールを用いた場合、感光性樹脂層に含まれる(メタ)アクリレート化合物、可塑剤が時間の経過と共にマスク層要素へ移行し、マスク層要素を可塑化することで耐傷性が低下する課題があった。そのような課題に対して、例えば、特許文献2〜4のように水溶性のポリアミドを配合してマスク層と感光性樹脂層との密着性を向上させ、耐傷性を良化させることが提案されているが、水溶性のポリアミドは粘着性が高いため取り扱い時にマスク層にゴミが付着しやすいなどの課題があった。一方、マスク層要素にケン化度が90%より大きいポリビニルアルコールを用いた場合、ポリビニルアルコールの水酸基数が増えることで、感光性樹脂層に含まれる(メタ)アクリレート化合物、可塑剤との相溶しなくなることから、物質の移行が抑制され、耐傷性が向上することがあるが、樹脂の凝集力が増加して、マスク層要素上に設けられた剥離可能な保護層との密着力が低下するという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、マスク層要素および保護層を有する感光性樹脂積層体において、マスク層要素の耐傷性、およびマスク層要素と保護層との間の良好な密着性の両立を課題とする。
すなわち、本発明は、支持体上に感光性樹脂層、マスク層要素、および保護層をこの順に有する感光性樹脂積層体であって、前記マスク層要素が、ケン化度が90%より大きいポリビニルアルコール、アニオン性ポリマー、および赤外線吸収物質を含有する、感光性樹脂積層体に関する。
本発明によれば、マスク層要素の耐傷性が良好であり、かつ、マスク層要素と保護層とが良好な密着性を有する感光性樹脂積層体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明に係る感光性樹脂積層体は、支持体上に設けられた感光性樹脂層、マスク層要素、および保護層をこの順に有する。感光性樹脂層とマスク層要素との間に別の層を有していても、感光性樹脂層とマスク層要素が直接積層していてもよいが、感光性樹脂層とマスク層要素が直接積層していることが好ましい。
本発明におけるマスク層要素は、ケン化度が90%より大きいポリビニルアルコール、アニオン性ポリマー、および赤外線吸収物質を含有する。ここで、マスク層要素におけるケン化度とは、マスク層要素に含まれるポリビニルアルコール全体のケン化度をいい、2種以上のポリビニルアルコールを含む場合は、2種以上のポリビニルアルコール全体としてのケン化度をいう。マスク層要素に含まれるポリビニルアルコールが水溶性であるため、本発明におけるマスク層要素は水系現像液で除去することが可能であるという効果を有する。ポリビニルアルコールのケン化度が90%より大きいことにより、ポリビニルアルコールの水酸基数が増えることで、感光性樹脂層に含まれる(メタ)アクリレート化合物、可塑剤との相溶性が低くなることから、感光性樹脂層からマスク層要素への(メタ)アクリレート化合物、可塑剤などの物質の移行が抑制され、耐傷性が向上する。マスク層要素におけるポリビニルアルコールのケン化度は92%より大きいことが好ましく、95%より大きいことがさらに好ましい。なお、本発明のポリビニルアルコールのケン化度はJIS K6726ポリビニルアルコールの試験方法で測定した値である。
また、マスク層要素に含まれるポリビニルアルコールは、平均重合度は300以上3000以下の範囲が好ましく、800以上2500以下がより好ましい。ここで、ポリビニルアルコールの平均重合度とは、マスク層要素に含まれるポリビニルアルコール全体の平均重合度をいい、2種以上のポリビニルアルコールを含む場合は、2種以上のポリビニルアルコール全体としての平均重合度をいう。平均重合度が300以上であれば皮膜強度を維持することが可能であり、平均重合度が800以上であれば耐傷性がより良好となるため好ましい。
また、平均重合度が3000以下であれば、塗膜形成が容易となる点で好ましく、さらに、平均重合度が2500以下であれば水系現像液での除去が容易であるためより好ましい。平均重合度は、ケン化前のポリ酢酸ビニルの数平均分子量を酢酸ビニルの分子量で割ることで求めることができる。
ポリビニルアルコールは、マスク層要素の固形分100質量部に対して10〜80質量部含まれることが好ましい。10質量部以上であれば、安定して被膜の形成を行うことができ、80質量部以下であれば、赤外レーザーによるアブレーションが容易となるため好ましい。
本発明におけるマスク層要素はアニオン性ポリマーを含有する。アニオン性ポリマーを含有することで、マスク層要素上に設けられた剥離可能な保護層と良好な密着力を有することが可能となるため好ましい。
アニオン性ポリマーとしては、ポリエステル骨格を有することが好ましく、さらに好ましくはテレフタル酸骨格を有するアニオン性ポリエステルである。このようなアニオン性ポリマーをマスク層要素に配合することで、剥離可能な保護層として好ましく用いられるポリエステルフィルムとの密着性が向上し、剥離可能な保護層と良好な密着力を有することができるため好ましい。
このようなアニオン性ポリマーとしては、アニオン性基として、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基を有することが好ましい。アニオン性ポリマーがスルホ基および/またはカルボキシル基を有することがより好ましい。これらの官能基を有するアニオン性ポリマーはポリビニルアルコールと相溶性が良好であるため、均一な組成の層を形成することが可能となり、好ましい。
また、このようなアニオン性ポリマーはガラス転移点が40℃以上であることが好ましい。40℃以上であることでマスク層要素の粘着性を抑制でき、マスク層要素の取り扱いが容易となるため好ましい。
アニオン性ポリマーはマスク層要素に含まれるポリビニルアルコール100質量部に対して、3〜80質量部含まれることが好ましい。アニオン性ポリマーがマスク層要素に含まれるポリビニルアルコール100質量部に対して、3〜80質量部であることで、安定して被膜の形成を行うことができ、ポリエステルフィルムとの密着性が良好となるため好ましい。
なお、前記アニオン性ポリマーの重量平均分子量は2000〜100000であることが好ましい。アニオン性ポリマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレン換算を行い求めることが可能である。
次に、本発明におけるマスク層要素に含まれる赤外線吸収物質としては、通常750nm〜20000nmの範囲の波長に吸収特性を有する物質であれば、特に限定されない。例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、シアニンブラックなどの黒色顔料、酸化マンガン、酸化鉄、酸化クロム、亜クロム酸銅等の無機顔料や、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニン染料、シアニン染料、メロシアン染料、ポリメチン染料、金属チオレート染料等の色素類が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、アブレーション効率と紫外線吸収性能の両者を満足する観点から、カーボンブラックが特に好ましい。
さらに、カーボンブラックは、粒径が10〜200nmの広い範囲で使用可能であり、粒径を選択できるために好ましい。カーボンブラックの粒径を小さくできることはアブレーション効率の面から好ましい。本発明において、粒径は動的光散乱法で測定したものである。
また、本発明におけるマスク層要素には紫外線を遮光するために紫外線吸収物質を含有することが好ましい。紫外線吸収物質としては特に限定されないが、好ましくは、300〜 400nmの領域に吸収を有する化合物である。例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、カーボンブラック等を挙げることができる。これらを2種以上含有してもよい。これらの中でもカーボンブラックは、紫外線領域だけでなく赤外線領域にも吸収特性があるので、特に好ましく用いられる。
なお、本発明におけるマスク層要素に用いられるカーボンブラックとしては、アニオン性基を有することが好ましい。アニオン性基を有することで、分散剤を用いることなくカーボンブラックを分散することが可能となり、マスク層要素の耐傷性が向上する。また、アニオン性基を有するポリマーへの分散性が良好となり、カーボンブラックの凝集を抑制することができる。さらに、カーボンブラックのアニオン性基はスルホ基であることが好ましい。スルホ基は水中での解離定数が大きく、カーボンブラックの凝集を抑制する効果が大きい。
本発明において、マスク層要素における赤外線吸収物質の含有量は、アブレーション効率を向上させるため、マスク層要素の全固形分中5質量%以上が好ましく、一方、70質量%以下であることで耐傷性がより向上する。
本発明に係る感光性樹脂積層体に含まれるマスク層要素は、(1)赤外レーザーを効率よく吸収して、その熱によって該層の一部または全部が蒸発または融除し、レーザーの照射部分と未照射部分の光学濃度に差が生じる、すなわち照射部分の光学濃度の低下が起こる働きと、(2)紫外光を実用上遮断する働きを有するものである。なお、ここでいう紫外光を実用上遮断するとは、マスク層要素の光学濃度(optical density)が2.0以上のことを指し、2.5以上であることがより好ましい。光学濃度は一般にDで表され、以下の式で定義される。
D=log10(100/T)=log10(I0/I)
(ここで、Tは透過率(単位は%)、I0は透過率測定の際の入射光強度、Iは透過光強度である。)
光学濃度の測定には、入射光強度を一定にして透過光強度の測定値から算出する方法と、ある透過光強度に達するまでに必要な入射光強度の測定値から算出する方法が知られているが、本発明における光学濃度は前者の透過光強度から算出した値をいう。光学濃度は、オルソクロマチックフィルターを用いて、マクベス透過濃度計「TR−927」(コルモルゲンインスツルメンツ(Kollmorgen Instruments Corp.)社製)により測定することができる。なお、紫外線吸収物質は、上記マスク層要素の光学濃度が2.0以上となるように含有することが好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体に使用されるマスク層要素は、その他の成分としてフィラー、界面活性剤又は塗布助剤などを本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明における感光性樹脂層には、水に溶解可能または分散可能なポリマーを含有することが好ましい。また、感光性樹脂層は、反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールとは異なる重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。さらに、感光性樹脂層は、可塑剤を含むことが好ましい。本発明における感光性樹脂層は、(メタ)アクリレート化合物および可塑剤を含む構成であることがより好ましい。
水に溶解可能または分散可能なポリマーとしては、例えば主鎖にエーテル結合を有するポリアミド、分子内に塩基性窒素原子あるいは第4級アンモニウム塩を有するポリアミド、分子内にスルホン酸塩を有するポリアミド、ナイロン6、ナイロン66およびその他の共重合成分からなる共重合ポリアミド、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、セルロース系ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層にポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体を含有することが好ましい。水に溶解可能または分散可能なポリマーの中でポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコール誘導体はマスク層要素に含まれるポリビニルアルコールと同じ重合単位を有し、密着性が良好であるので好ましく用いられる。
感光性樹脂層に含まれるポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体のケン化度が、マスク層要素に含まれるポリビニルアルコールのケン化度よりも小さいことが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体のケン化度は90%以下であることが好ましく、より好ましくは85%以下である。ここで、ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体のケン化度は、感光性樹脂層に含まれるポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコール誘導体の全体としてのケン化度をいう。ケン化度が90%以下であることで、感光性樹脂層に配合された(メタ)アクリレート化合物、可塑剤のブリードアウトを抑制することができる。
マスク層要素に含まれるポリビニルアルコールのケン化度と、感光性樹脂層に含まれるポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体のケン化度の差は、10以上が好ましく、15以上がより好ましい。
前記感光性樹脂層に含まれるポリビニルアルコール誘導体としては水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマー側鎖に導入した重合体などが挙げられる。例えば、ケン化度60〜90%のポリビニルアルコールの水酸基に酸無水物を反応させ、水酸基を起点として酸性基であるカルボキシル基をポリマー側鎖に導入したポリマーである。また、側鎖に反応性基を導入したポリマーを用いることもできる。反応性基とは、ラジカル反応などにより架橋することができる官能基のことである。このような官能基としては、非芳香族の不飽和炭素−炭素結合、中でもエチレン性二重結合が多く使用され、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
ラジカル反応などにより架橋することができる反応性基を導入することで、感光性樹脂層に対して、ネガフィルムを介して紫外光により露光し、露光部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液で除去する方法により、微細なレリーフ画像を形成することができる。
側鎖に反応性基を導入したポリビニルアルコールとして、反応性基を側鎖に導入したものが知られており、例えば、以下の方法で合成できる。
第一の方法としては以下の方法が挙げられる。ケン化度60〜90%のポリビニルアルコールと酸無水物とを反応させ、ポリビニルアルコールの水酸基を起点としてカルボキシル基をポリマー側鎖に導入する。そのカルボキシル基に不飽和エポキシ化合物を反応させることにより反応性基を導入する。
第二の方法としては以下の方法が挙げられる。酢酸ビニルと、不飽和カルボン酸もしくはその塩、または不飽和カルボン酸エステルとを共重合させポリマーを得る。そのポリマーを部分ケン化し、このポリマーのもつカルボキシル基と不飽和エポキシ化合物を反応させることにより反応性基を導入する。なかでも第一の方法で得られたポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
このような反応性基は、化合物中に0.08モル/kg以上0.72モル/kg以下存在することが好ましく、0.12モル/kg以上0.36モル/kg以下存在することがより好ましい。0.08モル/kg以上とすることで、反応性基が反応しポリマーとの架橋密度が向上することで、現像時に微細なレリーフ画像の欠けが発生する課題が改善される。0.72モル/kg以下とすることで、水溶解性を維持し、良好な水現像性を得られる。このようにして得られた反応性基を有するポリビニルアルコールは、少なくとも次の(I)、(II)、および(III)の構造単位を有する。
Figure 2021162667
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xは末端に不飽和炭素−炭素結合を有する官能基を示す。)
本発明において、反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールは(I)の構造単位を60〜90%有することが好ましく、さらに好ましくは70〜85%である。(I)の構造単位を60モル%以上とすることで水溶解性が向上し十分な水現像性を得ることが出来るため好ましい。(I)の構造単位を90モル%以下とすることで、常温水に対する溶解性が向上して十分な水現像性を得ることが出来るため好ましい。また、側鎖に反応性基を導入したポリビニルアルコールの平均重合度は300〜2000の範囲が好ましく、500〜1000がより好ましい。平均重合度を300以上とすることで耐水性が向上し、十分な耐水性を得ることが出来る。平均重合度を2000以下とすることで水溶解性が向上し、十分な水現像性が得られる。なお、側鎖に反応性基を導入したポリビニルアルコールの数平均分子量としては、10,000〜150,000が好ましい。数平均分子量を10,000以上とすることで、レリーフとしての強度が増し、取扱い性や耐傷性を向上することができるため好ましく、150,000以下とすることで、水溶解性が向上し、十分な水現像性が得ることができるため好ましい。反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールは、感光性樹脂層に10〜70質量%含まれることが好ましい。反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールが10〜70質量%含まれることで、厚み精度の高い感光性樹脂層を形成できる。
また、感光性樹脂層は、反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールとは異なる重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物を含有することが好ましい。本発明において、反応性基を側鎖に有するポリビニルアルコールとは異なる重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物は、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。一般的に使用される前記化合物としては、従来公知の化合物すべてが含まれる。具体的な例としては、次のようなものが挙げられる。
ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、ネオペンチルグリコール−(メタ)アクリル酸−安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、スチレン及びその誘導体、ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、N−フェニルマレイミド及びその誘導体、N−(メタ)アクリルオキシコハク酸イミド、(メタ)アクリル酸−2−ナフチル、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾル、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、(2−メチル−エチルジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、イミドアクリレート、[4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチル(メタ)アクリレート、(2−オキシ−1,3−ジオキソランー4−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−(オキシジイミダゾリジン−1−イル)エチル(メタ)アクリレート、2,2、6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などである。 これらの重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物の、感光性樹脂層中における含有量は、後述するポリマー100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましい。インクを用いて印刷する際に、印刷版の膨潤を抑制する観点から5質量部以上が好ましい。また、感光性樹脂層の形成が容易になることから200質量部以下が好ましい。
さらに、感光性樹脂層に用いられる光重合開始剤は、光によって重合性の炭素−炭素不飽和基を重合させることができるものであれば全て使用できる。なかでも、光吸収によって自己分解や、水素引き抜きによってラジカルを生成する機能を有するものが好ましく用いられる。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などある。光重合開始剤の含有量としては、バインダーポリマー100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲が好ましい。
本発明における感光性樹脂層には、相溶性、柔軟性を高めるための相溶助剤としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン及びその誘導体、トリメチロールプロパン及びその誘導体、トリメチロールエタンおよびその誘導体、ペンタエリスリトールおよびその誘導体などの多価アルコール類を含有することも可能である。これらの多価アルコールの含有量は、感光性樹脂層中、40質量%以下であることが好ましい。
さらに、感光性樹脂層の熱安定性を上げる為に、従来公知の重合禁止剤を添加することができる。好ましい重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒドロキシアミン誘導体などが挙げられる。重合禁止剤の配合量は、感光性樹脂層に対して、0.001〜5質量%の範囲で使用することが一般的である。
また、感光性樹脂層は、その他の成分として可塑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、消泡剤、香料などを含有することができる。
次に、本発明に係る感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層とマスク層要素の間に接着力調整層を設けることができる。接着力調整層には水に溶解可能または分散可能なポリマーを用いることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えば主鎖にエーテル結合を有するポリアミド、分子内に塩基性窒素原子あるいは第4級アンモニウム塩を有するポリアミド、分子内にスルホン酸塩を有するポリアミド、ナイロン6、ナイロン66およびその他の共重合成分からなる共重合ポリアミド、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアクリルアミドおよびその誘導体、セルロース系ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
このようなポリマーの中で、特にポリビニルアルコールおよびその誘導体はマスク層要素に含まれるポリビニルアルコールと同様の重合単位を有し、密着性が向上するため好ましく用いられる。なお、接着力調整層には必要に応じて、その他の成分として可塑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、消泡剤、香料などを含有することができる。
次に、本発明に係る感光性樹脂積層体を用いた凸版印刷版原版について説明する。本発明の積層体は、少なくとも支持体と、支持体上に感光性樹脂層、マスク層要素、マスク層要素から剥離可能な保護層をこの順有し、感光性樹脂層とマスク層要素の間に接着力調整層を設けることができる。
支持体としては、ポリエステルなどのプラスチックシートやスチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシート、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板を使用することができる。
支持体の厚さは特に限定されないが、取扱性、柔軟性の観点から100〜350μmの範囲が好ましい。100μm以上であれば支持体としての取扱性が向上し、350μm以下であれば感光性樹脂積層体である印刷原版としての柔軟性が向上し、印刷機の円筒状の版胴への取り付けが容易である。
支持体は、感光性樹脂層との接着性を向上させる目的で、その表面にサンドブラストなどの機械的処理、コロナ放電などの物理的処理をしてもよい。
また、支持体と感応性樹脂組成物層との間に中間層を有しても良い。中間層は、中間層の成分を溶剤に溶解した中間層組成物溶液を、支持体上に流延、または塗布し、乾燥することによって形成することが出来る。また、中間層は、第一中間層、第二中間層と複数層形成することも可能である。
感光性樹脂層は、層の成分を溶媒に溶解した組成物溶液を流延し、乾燥することによって形成することができる。感光性樹脂層の厚さは、十分なレリーフ深度を有し印刷適性を向上させる観点から、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。一方、露光に用いられる活性光線を底部まで十分に到達させて画像再現性をより向上させる観点から、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
次に、マスク層要素は、層の成分を溶媒に溶解した組成物溶液を流延し、乾燥することによって形成することができる。マスク層要素は紫外光を事実上遮断し、描画時には赤外レーザー光を吸収し、その熱により瞬間的に一部または全部が昇華または融除するものが好ましい。これによりレーザーの照射部分と未照射部分の光学濃度に差が生じ、従来の原画フィルムと同様の機能を果たすことができる。
また、マスク層要素と感光性樹脂層の間に設けられる接着力調整層は、層の成分を溶媒に溶解した組成物溶液を流延し、乾燥することによって形成することができる。接着力調整層の膜厚は0.1μm〜15μmが好ましい。0.1μm以上であれば、接着力調整層の形成が容易となるため好ましい。15μm以下であれば、紫外光を露光した際の該層による光の屈折や散乱が抑制され、よりシャープなレリーフ画像が得られるため好ましく、5μm以下であればより好ましい。
さらに、本発明におけるマスク層要素から剥離可能な保護層は、表面保護、異物等の付着防止の観点から設けられる。
保護層の材質は特に限定されないが、ポリエステル、ポリエチレンなどのプラスチックシートが使用される。特にポリエステルフィルムは寸法安定性、耐傷性の観点から好ましく用いられる。保護層の厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が取扱性、コストの観点から好ましい。また、保護層表面は、原画フィルムの密着性向上を目的として粗面化されていてもよい。なお、保護層のマスク層要素と密着する表面に易接着層を設けることによりマスク層要素との密着力を発現することも可能である。
次に、本発明に係る感光性樹脂積層体の製造方法について説明する。例えば、水に溶解可能または分散可能なポリマーを水/アルコール混合溶媒に加熱溶解した後に、重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤および必要に応じて可塑剤などのその他の添加剤等を添加し、撹拌して十分に混合し、感光性樹脂層組成物用溶液を得る。
次に、中間層の組成物を溶媒に加熱溶解し、撹拌して十分に混合し、中間層組成物用溶液を得る。
得られた中間層組成物用溶液を、支持体上にバーコーターを用いて塗布、乾燥することによって、支持体/中間層からなる積層体を形成する。
次に、支持体/中間層からなる積層体の中間層上に前記感光性樹脂層組成物用溶液を流延し、溶媒を乾燥させることで支持体/中間層/感光性樹脂層からなる積層体を作製する。
一方、マスク層要素は、この形成方法に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン性ポリマーを水/アルコール混合溶媒に溶解させた後、赤外線吸収物質を分散させ、マスク層要素溶液を作製し、感光性樹脂層上に塗布して溶媒を乾燥することにより、マスク層要素を形成することができる。また、マスク層要素溶液を一旦保護層に塗布し、マスク層要素/保護層からなる積層体を形成してから、マスク層要素/保護層のマスク層要素側を感光性樹脂層にラミネートすることでも感光性樹脂積層体を形成することができる。
感光性樹脂積層体が接着力調整層を有する場合、接着力調整層の形成方法は特に限定されないが、薄膜形成の簡便さから、接着力調整層成分を溶媒に溶解した溶液をマスク層要素/保護層のマスク層要素上に塗布し、溶媒を除去する方法が特に好ましく行われる。そうして得られた接着力調整層/マスク層要素/保護層からなる積層体の接着力調整層側を感光性樹脂層にラミネートすることで感光性樹脂積層体を得ることができる。
なお、溶媒の除去方法としては、例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、自然乾燥などを挙げることができる。接着力調整層成分を溶解する溶媒は特に限定されないが、水やアルコール、または水とアルコールの混合物が好ましく使用される。
次に、本発明に係る感光性樹脂積層体を用いた凸版印刷版の製造方法について説明する。
本発明に係る感光性樹脂積層体より形成される凸版印刷版は、前述の凸版印刷版原版を露光および現像することにより得られる。
例えば、保護層を剥離後、マスク層要素にレーザー描画機を用いて原画フィルムに相当する像の描画を実施した後、紫外線照射することによって、感光性樹脂層を像様に光硬化させる。紫外線照射は、通常300〜400nmの波長を照射できる高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、カーボンアーク灯、ケミカル灯、LEDなどを用いて行う。特に微細な細線、独立点の再現性が要求される場合は、保護層の剥離前に支持体側から短時間露光(裏露光)することも可能である。
次に、像様に光硬化させた感光性樹脂層を現像液に浸漬し、未硬化部分をブラシで擦りだして除去するブラシ式現像装置により基板上にレリーフ像を形成する。また、ブラシ式現像装置の他にスプレー式現像装置を使用することも可能である。現像時の液温は15〜40℃が好ましい。レリーフ像形成後、50〜70℃において10分間程度乾燥し、必要に応じてさらに大気中ないし真空中で活性光線処理して凸版印刷版を得ることができる。
なお、本発明に係る感光性樹脂積層体は、凸版印刷版として用いることが最も適しているが、平版印刷版、凹版印刷版に使用することも可能である。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
<酸変性ポリビニルアルコール>
合成例1:
三菱ケミカル(株)製のポリビニルアルコール“KL−05”(重合度約500、ケン化度80モル%)をアセトン中で膨潤させ、無水コハク酸1.0モル%を添加し、60℃で6時間撹拌して分子鎖にカルボキシル基を付加させたカルボン酸変性ポリビニルアルコールを得た。このポリマーをアセトンで洗浄して未反応の無水コハク酸を除去乾燥した。酸価を測定したところ、10.0mgKOH/gであった。
<反応性基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール>
合成例2:
合成例1のポリマー100質量部をエタノール/水=30/70(質量比)の混合溶媒200質量部に80℃で溶解した。ここにグリシジルメタクリレートを6質量部添加して部分ケン化ポリ酢酸ビニル中に反応性基を導入した。ポリマー中のカルボキシル基がグリシジルメタクリレートのエポキシ基と反応しポリマー側鎖中にメタクロイル基が導入されたことを電位差滴定法による分析結果から確認し、反応性基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコール1を得た。
重合可能なエチレン性二重結合を有する化合物としては表1記載のものを使用した。マスク層要素に用いるポリマーは表2記載のものを使用した。
<中間層/支持体からなる積層体の作製>
“バイロン”(登録商標)31SS(不飽和ポリエステル樹脂のトルエン溶液、東洋紡績(株)製)260質量部および“PS−8A”(ベンゾインエチルエーテル、和光純薬工業(株)製)2質量部の混合物を70℃で2時間加熱後30℃に冷却し、エチレングリコールジグリシジルエーテルジメタクリレート7質量部を加えて2時間混合した。さらに、“コロネート”(登録商標)3015E(多価イソシアネート樹脂の酢酸エチル溶液、日本ポリウレタン工業(株)製)25質量部および“EC−1368”(工業用接着剤、住友スリーエム(株)製)14質量部を添加して混合し、中間層(G1)用塗工液を得た。
厚さ250μmの“ルミラー”(登録商標)T60(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上に中間層(G1)用塗工液1を乾燥後膜厚が30μmになるようにバーコーターで塗布し、180℃のオーブンで3分間加熱して溶媒を除去して、支持体/中間層からなる積層体を得た。
<感光性樹脂層組成物溶液の調製>
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表1に示す変性ポリビニルアルコール1を添加し、“ソルミックス”(登録商標)H−11(アルコール混合物、日本アルコール(株)製)50質量部および水50質量部の混合溶媒を加え、撹拌しながら90℃で2時間加熱し、ポリマー成分を溶解させた後、その他の成分を添加し、30分撹拌し、感光性樹脂層組成物溶液1を得た。
<感光性樹脂層/中間層/支持体の積層体製造>
支持体/中間層上に感光性樹脂層組成物溶液1を流延させ、60℃で2時間乾燥し、650μmの感光性樹脂層1を有する感光性樹脂層1/中間層/支持体の積層体を得た。感光性樹脂層1の膜厚は、基板上に所定の厚みのスペーサーを置き、はみ出している部分の感光性樹脂層組成物溶液1を、水平な金尺で掻き出すことによって調整した。
<マスク層要素1〜10/保護層の積層体の作製>
表2に示すポリビニルアルコール1の10%水溶液10質量部とアニオン性ポリマー1の10%水溶液2質量部を混合し、その溶液にカーボンブラックの10%水溶液5質量部を混合した。マスク層要素液1を保護層である厚み100μmの“ルミラー”S10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)上にバーコーターで保護層の値をゼロとした光学濃度(オルソクロマチックフィルター、透過モード)が3.0になるように塗布し、120℃で30秒間乾燥し、マスク層要素1/保護層の積層体を得た。
表2に記載のとおり配合量を変更したこと以外は同様にしてマスク層要素2〜10/保護層の積層体を得た。
<接着力調整層/マスク層要素/保護層の積層体の作製>
三菱ケミカル(株)製のポリビニルアルコール“KL−05”(重合度約500、ケン化度80モル%)10質量部を水40質量部、メタノール20質量部、n−プロパノール20質量部およびn−ブタノール10質量部に溶解させ接着力調整層用溶液1を得た。
接着力調整層用溶液1をマスク層要素/保護層の積層体のマスク層要素上にバーコーターで厚みが1.0μmになるように塗布し、120℃で30秒間乾燥し、接着力調整層1/マスク層要素/保護層の積層体1を得た。マスク層要素2〜10を用いる以外は同様にして接着力調整層/マスク層要素2〜10/保護層の積層体を得た。
<マスク層要素の耐傷性評価>
マスク層要素の耐傷性は、下記方法で評価した。感光性樹脂積層体の保護層を剥離した後、30℃、80RH%で1時間保管後、25cm×2cmの大きさに切り出し、堅牢度試験機(大栄科学精器製作所:RT−300)の自重500gの摩擦子にカーペット素材の布(#4008、株式会社新ニッセン製)を装着し、擦り回数2回で評価を行った。その後、評価サンプルを、マスク層要素の傷面積に応じて下記ランクに分類した。傷面積の測定方法は、マイクロスコープ(KEYENCE製 VHX2000 レンズ100倍 透過光)を用いて、サンプル内の各傷面積を算出し、全傷の合計面積がサンプル面積に占める割合を算出した。
A:傷面積1%未満
B:傷面積1%〜5%未満
C:傷面積5%〜10%未満
D:傷面積10%以上。
<マスク層要素/保護層の密着性評価>
マスク層要素/保護層の密着性は、下記方法で評価した。感光性樹脂積層体を30cm×3cmの大きさに切り出し、オートグラフAGS−100N(島津製作所製)で保護層のマスク層の間で20cm/minの剥離速度で3cmの辺から保護層を180°剥離で20cm剥がした時の平均応力を測定した。平均応力が10mN/cm以下である場合は剥離力が小さすぎるため版を取り扱う際に保護層が剥がれやすく不具合を生じる可能性が高く、80mN/cm以上である場合は大きすぎ、剥離しにくいため保護層剥離時に感光性樹脂積層体にダメージを与える可能性がある。
[実施例1]
感光性樹脂層1/中間層/支持体の積層体の感光性樹脂層1上に水/エタノールを付着させ、膨潤させた後、表2に示すマスク層要素1を有する、接着力調整層/マスク層要素1/保護層の積層体の接着力調整層側を感光性樹脂層上にラミネートし、感光性樹脂積層体1を作製した。マスク層要素の耐傷性評価を実施したところ、Bランクであった。また、マスク層要素/保護層の密着性評価の平均応力は20mNであった。評価結果を表3に示す。
[実施例2〜5]
表2に示すマスク層要素2〜5を用いた以外は実施例1と同様に感光性樹脂積層体2〜5を作製した。評価結果を表3に示す。
[比較例1〜4]
表2に示すマスク層要素6〜10を用いた以外は実施例1と同様に感光性樹脂積層体を作製した。評価結果を表3に示す。
Figure 2021162667
Figure 2021162667
Figure 2021162667

Claims (11)

  1. 支持体上に感光性樹脂層、マスク層要素、および保護層をこの順に有する感光性樹脂積層体であって、前記マスク層要素が、ポリビニルアルコール、アニオン性ポリマー、および赤外線吸収物質を含有し、前記ポリビニルアルコールのケン化度が90%より大きい感光性樹脂積層体。
  2. 前記ポリビニルアルコールの平均重合度が300以上である、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。
  3. 前記アニオン性ポリマーがポリエステル骨格を有する、請求項1または2に記載の感光性樹脂積層体。
  4. 前記アニオン性ポリマーがスルホ基および/またはカルボキシル基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
  5. 前記アニオン性ポリマーのガラス転移点が40℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
  6. 前記赤外線吸収物質がカーボンブラックを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
  7. 前記カーボンブラックがアニオン性基を有する請求項6に記載の感光性樹脂積層体。
  8. 前記カーボンブラックのアニオン性基がスルホ基である請求項7に記載の感光性樹脂積層体。
  9. 前記感光性樹脂層がポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
  10. 前記感光性樹脂層に含まれるポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体のケン化度がマスク層要素に含まれるポリビニルアルコールのケン化度よりも小さい請求項9に記載の感光性樹脂積層体。
  11. 前記保護層がポリエステルフィルムである請求項1〜10のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023127770A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 富士フイルム株式会社 フレキソ印刷版原版、及び、フレキソ印刷版の製造方法

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