JP2009218047A - アルカリ蓄電池用セパレータ及びその製造方法、アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】セパレータを長期間にわたり保管した場合や比較的高温に短時間曝した場合であっても水酸化カリウム水溶液系電解液に対する含浸性が良好で、かつアンモニア捕捉機能を損なわないアルカリ蓄電池用セパレータ及びその製造方法とアルカリ蓄電池を提供する。
【解決手段】スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布と、前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤とを有する。
【選択図】 なし
【解決手段】スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布と、前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤とを有する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アルカリ蓄電池用セパレータ及びその製造方法、アルカリ蓄電池に関する。
ニッケル・水素蓄電池用セパレータとして、スルホン化処理したポリオレフィン系不織布(以下、スルホン化セパレータと略記する)が使用されている。このセパレータの特徴は、他の親水処理ポリオレフィン系不織布セパレータやポリアミド系不織布セパレータと比較して、電池の自己放電を抑制する機能に優れていることにある。ここで「自己放電」とは、実際には放電していないが、電池内部において放電と同様の化学反応が起きてしまう現象をいう。例えば満充電にして電池を保管していても、これを長時間放置していると自己放電によって徐々に放電できる容量が減少してしまう。このような自己放電には、いくつかの原因があるといわれている。
例えば非特許文献1においては、アルカリ蓄電池、とくにニッケル・水素蓄電池では、不純物として電池系内に存在する窒素化合物が、正極・負極間を往復して酸化還元を繰り返すことによって触媒的に自己放電を促進することが、自己放電の大きな要因の1つであると考えられている。これはナイトロジェン・シャトル反応と呼称されている。
この非特許文献1には、ニッケル・水素蓄電池の自己放電の原因の1つが、電池内に発生するアンモニアであり、電池内に発生するアンモニアの多くは正極活物質である水酸化ニッケルに由来することが記載されている。また、非特許文献1には、ポリオレフィン系不織布にアクリル酸をグラフト重合したセパレータがアンモニアを捕捉する機能を有し、アンモニア捕捉機能を有しないポリアミド系不織布等に比べてニッケル・水素蓄電池の自己放電を抑制することができることも記載されている。
なお、正極活物質である水酸化ニッケルからアンモニアが発生するのは、特許文献1に記載されているように、水酸化ニッケルからなる正極活物質を製造するに際して、ニッケルにアンモニウムイオンを供給してアンモニウム錯塩とし、この状態で水酸化ニッケルを成長させるため、正極活物質内にアンモニウムイオンが残留することによると推察されている。
スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布セパレータは、アルカリ蓄電池内に不純物として混入している窒素化合物を最終的にアンモニウム塩としてセパレータに化学結合しているスルホン酸基に捕捉させることによって、上述のナイトロジェン・シャトル反応を阻害するため自己放電が抑制されると推察されている。
このようにアルカリ蓄電池、とくにニッケル・水素蓄電池の自己放電抑制のためには、セパレータがアンモニウムイオン捕捉機能を備えていることが好ましいといわれている。逆の見方をすれば、窒素化合物あるいは水酸化カリウム系の強アルカリ性電解液中で分解して低分子量の窒素化合物を発生させるような物質を電池系内に混入させるべきではないとも言える。本来は電池材料の製造工程で混入する窒素化合物をなくせばよいが、窒素化合物が混入しないようにすることは工業的には現実的ではない。勿論、不要な窒素化合物をできるだけ電池内に持ち込まないようにセパレータ材料を選択するべきである。
ニッケル・カドミウム蓄電池でよく使用されるポリアミド系不織布セパレータもニッケル・水素蓄電池に適用可能であり、実際に使用された例もあるが、自己放電が大きいため、親水化処理されたポリオレフィン系不織布セパレータに切り替えられていった経緯がある。ポリアミド系不織布セパレータは、水酸化カリウム水溶液系の強アルカリ性電解液中で加水分解され、低分子量の窒素化合物を発生することが知られている。
一方、ポリオレフィン系不織布セパレータを単にスルホン化処理しただけでは親水性になるとはいえ、水酸化カリウム水溶液系電解液の含浸性に優れない。したがって、スルホン化セパレータに対する電解液の含浸方法を工夫することになる。含浸方法としては、真空含浸または遠心含浸、あるいはそれらの組み合わせなど種々考えられるが、何れにしろ、電池組立工程が複雑になるため、ある程度は生産性を犠牲にせざるを得ない。
このスルホン化セパレータの電解液含浸性改善のために、特許文献2には界面活性剤としてアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(特許文献2にあるこの記載は正確にはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムであると推察される)を塗布したスルホン化セパレータが記載されている。しかし、特許文献2に唯一記載されているアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塗布スルホン化セパレータは長期に保管するかあるいは比較的高温に暴露されることによって水酸化カリウム水溶液系電解液への含浸性が劣化する。このように自己放電抑制効果のあるスルホン化セパレータは、水酸化カリウム水溶液系電解液の含浸性の点で問題がある。
本発明者らが検討したところ、この含浸性の劣化は、セパレータに存在する酸性のスルホン酸基によって触媒され、界面活性剤の硫酸エステル結合が加水分解されることによって起こる。
このように、本発明者らは、スルホン化セパレータに独特の表面酸性雰囲気を認識して界面活性剤を選択することが重要であるという知見を得ている。
特許文献3にはスルホン化処理することなく特定の界面活性剤のみをポリオレフィン系不織布に塗布することにより親水化処理するセパレータが提案されている。同文献3には界面活性剤として次に列挙するものが記載されており、スルホン化処理セパレータと同等の自己放電抑制効果があるとされている。すなわち、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、グリコールエーテルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩(特許文献3にあるこの表記はアルキル化された芳香族スルホン酸塩の総称であるアルキルアリールスルホン酸塩のことと推察されるので、以下アルキルアリールスルホン酸塩と表記する。)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリエチレングリコールエーテルスルホン酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩である。
これらの界面活性剤のうちから強アルカリ性の水酸化カリウム水溶液系電解液中で、より加水分解し難いものを選択するとすれば、炭素-硫黄の化学結合を持つ芳香族スルホン酸塩系界面活性剤が好適であり、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のような芳香族スルホン酸塩がより好適と考えられる。実際に特許文献3にはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩のみが実施例として示されており、濃度0.05質量%のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液中に10分間浸漬して含浸した旨の記載がある。また、同文献3では比較例として非イオン性界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが取り上げられている。
しかしながら、本発明者らが検討したところでは、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムをポリオレフィン系不織布に塗布しようとしても、通常のディップ(浸漬)含浸方法においてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液はポリオレフィン系不織布への含浸性に乏しく、塗布工程の生産性が著しく悪い結果となる。本発明者らは一般的なディップ(浸漬)含浸法による連続処理を試みたが、上記の濃度では、含浸が不充分であるために均一に塗布することができない。
また、本発明者らが検討したところ、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布しただけのポリオレフィン系不織布セパレータには、アンモニア捕捉機能がなく、スルホン化セパレータと同等の自己放電抑制はできない。
Patric Leblanc, et al., J.Electrochem., 145(3) p844-847 (1998) 特開平10−12236号公報
特開平6−140018号公報
特開平7−130392公報
Patric Leblanc, et al., J.Electrochem., 145(3) p844-847 (1998)
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、セパレータを長期間にわたり保管した場合や比較的高温に短時間曝した場合であっても水酸化カリウム水溶液系電解液に対する含浸性が良好で、かつアンモニア捕捉機能を損なわないアルカリ蓄電池用セパレータ及びその製造方法とアルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、スルホン化セパレータに塗布した界面活性剤の長期保管時の劣化について鋭意検討した結果、公知の方法でスルホン化処理したポリオレフィン不織布セパレータにアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニレンエーテルジスルホン酸塩などから選択される少なくとも一種類の芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を塗布すればよいという知見を得た。本発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、以下の構成を有する。
本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレータは、スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布と、前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤と、を有することを特徴とする。
本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレータの製造方法は、(a)ポリオレフィン系不織布を準備し、(b)前記ポリオレフィン系不織布をスルホン化処理し、(c)前記スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布に芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を塗布することを特徴とする。
本発明に係るアルカリ蓄電池は、正極活物質を含有する正極と、前記正極に導通する正極集電体と、負極活物質を含有する負極と、前記負極に導通する負極集電体と、前記正極と負極の間に配置され、スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布および前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を有するセパレータと、前記正極、セパレータ、負極を組み合わせてなる電極集合体アッセンブリに含浸される水酸化カリウム水溶液系のアルカリ電解液と、前記電極集合体アッセンブリおよび前記アルカリ電解液を収容する電池容器と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、セパレータを長期間にわたり保管したとしても、あるいは比較的高温に短時間曝したとしても、水酸化カリウム水溶液系電解液に対する含浸性が良好で、かつアンモニア捕捉機能を損なわないスルホン化処理ポリオレフィン不織布セパレータが提供される。このため、高温度下での輸送や長期間の在庫保管が可能であるうえ、電池組み立て時に特別な電解液含浸装置が不要になり、また電池組み立て時の生産性向上が可能になる。
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータは、スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布と、前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤とを有するものである。
上記の構成においてポリオレフィン系不織布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、およびオレフィン系共重合体からなる群より選択される1種または2種以上の樹脂からなる繊維を含むことが好ましい。本発明において、不織布を構成する繊維の材質は、単一の樹脂であってもよいし、2種以上の樹脂を複合したものであってもよい。
本発明に用いる不織布は、単一の樹脂からなる繊維(単一繊維)を用いて製造されたものであってもよいし、あるいは、2種以上の樹脂からなる繊維(複合繊維)を用いて製造されたものであってもよいし、あるいは、単一繊維と複合繊維を混合して用いて製造されたものであってもよいし、あるいは、2種以上の複合繊維を用いて製造されたものであってもよい。なお、本発明では、不織布としてポリオレフィン系であればよく、上記に例示した材質の繊維や繊維の組み合わせのみに限られるものではない。
また、発煙硫酸、熱濃硫酸、無水硫酸ガスなどによる既に公知の方法によってスルホン化処理したセパレータにも本発明を適用することができる。
また、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤の効果は、スルホン化されたポリオレフィン系不織布セパレータであれば得られ、不織布の製造方法、繊度、繊維の形状などに影響を受けるものではない。
本発明のアルカリ蓄電池用セパレータは、所定の温度と時間の条件で加熱した後において、所定条件下での液滴を吸収する液滴消失時間が90秒以下となる特性を有することができる。この液滴吸収特性を測定するための条件として、濃度30±10質量%の水酸化カリウム水溶液20〜80μLの液滴をサンプル面から5〜50mmの位置から、一粒の水滴を落下させるように滴下する。この液滴が滴下してから完全にサンプルに吸収されるまでの時間を測定し、それを液滴消失時間とする。なお、サンプルは机面に接しないよう治具に保持して測定する。標準的なサンプルとして、坪量:50g/m2、厚さ:120μmのものを使用する。
水酸化カリウム水溶液の濃度が20質量%を下回ると、セパレータに吸収されやすくなりすぎて測定精度が低下するおそれがある。一方、水酸化カリウム水溶液の濃度が40質量%を超えても変化がみられず、液滴吸収の効果が飽和してしまう。
液滴量が20μLを下回ると、液滴が消失した時点を明りょうに判定することができなくなる。一方、液滴量が80μLを上回ると、不織布が液体を吸収しきれずに所謂オーバーフロー状態になり、正確な測定ができなくなるおそれがある。
滴下高さが5mmを下回ると、液滴がセパレータに直接接触するおそれがあり、滴下試験として明りょうに判定することが困難になる。一方、滴下高さが50mmを上回ると、液滴が飛散して測定精度が低下する。
次に、表1〜表6および図1、図2を参照して本発明の実施例を比較例と対比しながら説明する。
[界面活性剤のスクリーニング]
(実施例1-1)
繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。
(実施例1-1)
繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。
液滴消失時間は、30質量%水酸化カリウム水溶液50μLの液滴をサンプル面から15mm高い位置から、一粒の水滴を落下させるように滴下してから、液滴が完全にサンプルに吸収するまでの時間である。終点は液滴の光の反射がなくなるので、すぐにわかる。なお、サンプルは机面に接しないよう治具に保持して測定した。
(実施例1-2)
繊度0.8dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維50質量%および繊度0.8dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・ポリエチレン芯鞘複合繊維50質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
繊度0.8dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維50質量%および繊度0.8dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・ポリエチレン芯鞘複合繊維50質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
(実施例1-3)
繊度1.1dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維40質量%および繊度2.2dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・エチレンビニルアルコール共重合体芯鞘複合繊維60質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.5質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
繊度1.1dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維40質量%および繊度2.2dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・エチレンビニルアルコール共重合体芯鞘複合繊維60質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.5質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
(実施例1-4)
繊度0.02dtexのポリメチルペンテン長繊維からなるメルトブロー不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.5質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
繊度0.02dtexのポリメチルペンテン長繊維からなるメルトブロー不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.5質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
(実施例1-5)
繊度0.8dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維60質量%および繊度2.2dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・変成ポリプロピレン(プロピレンを主単量体とする共重合体)芯鞘複合繊維40質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.7質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
繊度0.8dtex、カット長6mmのポリプロピレン繊維60質量%および繊度2.2dtex、カット長6mmからなるポリプロピレン・変成ポリプロピレン(プロピレンを主単量体とする共重合体)芯鞘複合繊維40質量%からなる湿式不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で0.7質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
(実施例1-6)
繊度0.08dtex、カット長2mmのポリプロピレン繊維5質量%および繊度0.8dtex、カット長3mmからなるポリプロピレン・ポリエチレン芯鞘複合繊維95質量%からなる湿式不織布(坪量:45g/m2、厚さ:95μm)を硫黄含有率で0.7質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
繊度0.08dtex、カット長2mmのポリプロピレン繊維5質量%および繊度0.8dtex、カット長3mmからなるポリプロピレン・ポリエチレン芯鞘複合繊維95質量%からなる湿式不織布(坪量:45g/m2、厚さ:95μm)を硫黄含有率で0.7質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理、中和、純水洗浄し、自然乾燥後に0.3質量%の界面活性剤塗工液に浸漬し30秒間空中に保持して液を切ってから70℃で30分間乾燥後、液滴消失時間を測定した。界面活性剤塗布率は概ね0.5質量%となる。ここで界面活性剤として花王(株)の界面活性剤ネオペレックスG-15(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を使用した。なお、液滴消失時間は、実施例1-1と同様にして測定した。
(実施例2)
花王(株)の界面活性剤ペレックスNB−L(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)を用いて液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤ペレックスNB−L(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)を用いて液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(実施例3)
花王(株)の界面活性剤ペレックスSS−H(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を用い液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤ペレックスSS−H(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を用い液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(実施例4)
花王(株)の界面活性剤ペレックスSS−L(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤ペレックスSS−L(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(実施例5)
三洋化成(株)の界面活性剤サンデッドAL(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
三洋化成(株)の界面活性剤サンデッドAL(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(実施例6)
三洋化成(株)の界面活性剤サンデッドALH(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
三洋化成(株)の界面活性剤サンデッドALH(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例1)
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例2)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例3)
花王(株)の界面活性剤エマルゲン106(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲン106(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例4)
花王(株)の界面活性剤エマルゲン108(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲン108(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例5)
花王(株)の界面活性剤エマルゲン109P(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲン109P(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例6)
花王(株)の界面活性剤エマルゲン707(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲン707(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例7)
花王(株)の界面活性剤エマルゲン709(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲン709(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例8)
花王(株)の界面活性剤エマルゲンLS−106(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲンLS−106(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例9)
花王(株)の界面活性剤エマルゲンLS−110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲンLS−110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例10)
花王(株)の界面活性剤エマルゲンMS−110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
花王(株)の界面活性剤エマルゲンMS−110(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例11)
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−70(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−70(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例12)
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−85(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−85(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例13)
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−95(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
三洋化成(株)の界面活性剤ナロアクティーN−95(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例14)
新日本理化(株)の界面活性剤コニオン275−70(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
新日本理化(株)の界面活性剤コニオン275−70(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例15)
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンEP−200(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンEP−200(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例16)
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンN−100を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンN−100を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例17)
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンN−60を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
新日本理化(株)の界面活性剤コニオンN−60を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例18)
新日本理化(株)の界面活性剤リカノンVA5009を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
新日本理化(株)の界面活性剤リカノンVA5009を界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
(比較例19)
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを界面活性剤として用いて、液滴消失時間の測定を行った。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1-1と同様の方法で行った。
[評価試験結果1]
市販の単三形ニッケル・水素蓄電池を注意深く分解して得た電極基板に市販の正極および負極活物質を分解前と同等になるように再充填して、検討用のセパレータ用いて乾燥した電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)を作製した。それを内径18mmφの透明なプラスチック容器に収め、1mLの電解液を滴下し、15分後と30分後の電解液吸収状況をそれぞれ確認した。
市販の単三形ニッケル・水素蓄電池を注意深く分解して得た電極基板に市販の正極および負極活物質を分解前と同等になるように再充填して、検討用のセパレータ用いて乾燥した電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)を作製した。それを内径18mmφの透明なプラスチック容器に収め、1mLの電解液を滴下し、15分後と30分後の電解液吸収状況をそれぞれ確認した。
その結果、液滴消失時間が90秒/50μL以下であった実施例1〜6では電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)は問題なく電解液を吸収することがわかった。一方、液滴消失時間が600秒/50μL以上であった比較例3〜8、11、14、15、17では電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)の吸収性が悪く、プラスチック容器の底部に電解液溜まりが観察された。
[評価試験結果2]
界面活性剤の塗布率が液滴消失時間に及ぼす影響を調べて評価するために、塗布率を種々変化させた時の液滴消失時間をそれぞれ測定した。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1と同様の方法で行った。塗布率を変化させるために界面活性剤の濃度を適切に調整した。その結果を図1に示す。図中の特性線Aは花王(株)社のペレックスSS-H(アルキルシ゛フェニルエーテルシ゛スルホン酸ナトリウム;実施例3)、特性線Bは花王(株)社のペレックスNB-L(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;実施例2)、特性線Cは花王(株)社のネオペレックスG-15(アルキルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸ナトリウム;実施例1)の結果をそれぞれ示す。
界面活性剤の塗布率が液滴消失時間に及ぼす影響を調べて評価するために、塗布率を種々変化させた時の液滴消失時間をそれぞれ測定した。試料の作製方法および、液滴消失時間の測定方法は実施例1と同様の方法で行った。塗布率を変化させるために界面活性剤の濃度を適切に調整した。その結果を図1に示す。図中の特性線Aは花王(株)社のペレックスSS-H(アルキルシ゛フェニルエーテルシ゛スルホン酸ナトリウム;実施例3)、特性線Bは花王(株)社のペレックスNB-L(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム;実施例2)、特性線Cは花王(株)社のネオペレックスG-15(アルキルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸ナトリウム;実施例1)の結果をそれぞれ示す。
これらの結果から、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤の塗布率が0.15質量%以上かつ1.5質量%以下であれば、105℃、10分間の加熱後も液滴消失時間が90秒/50μLであることがわかった。塗布率1.5質量%以上では液滴消失時間に変化がない。液滴消失時間の安定性でいうと塗布率0.3質量%以上かつ0.6質量%以下が好ましい。
[加速試験結果]
実施例1-1〜6及び比較例1〜19で得られた結果より、液滴消失時間が600秒/50μL未満のものを、更に加熱処理し、液滴消失時間を測定した。
実施例1-1〜6及び比較例1〜19で得られた結果より、液滴消失時間が600秒/50μL未満のものを、更に加熱処理し、液滴消失時間を測定した。
試験に用いた試料は、実施例1記載の方法で処理後、引き続き105℃で10分間加熱処理して試験に供した。
以上の結果から、70℃での乾燥後に液滴消失時間が600秒/50μL以下の界面活性剤でも100℃で10分間の加熱処理によって液滴消失時間が600秒/50μLを超える界面活性剤がほとんどであるが、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤は105℃で10分間の加熱後も液滴消失時間を90秒/50μL以下に維持していることがわかった。
そこで、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤についてさらに詳細に検討するために、スルホン化セパレータ上の界面活性剤の分解の加速試験を実施した。温度は40℃、60℃、80および105℃で実施した。
試験には繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)をスルホン化処理し0.5質量%スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を塗布したものを使用した。
その結果をまとめるために一次の反応速度式を適用した。
以下、C:界面活性剤濃度、t:寿命に至るまでの期間(保管時間)、k:反応速度定数、A:頻度因子、△E:活性化エネルギー、R:気体定数、T:保管温度とする。
一次の反応速度式は、−dC/dt=kCであるから、t=0のときC=C0 とすると下式(1)のように表される。
t={ln(C/C0)}/k …(1)
また、k=A・exp(−ΔE/RT)であるから、これを式(1)に代入して下式(2)が得られる。
また、k=A・exp(−ΔE/RT)であるから、これを式(1)に代入して下式(2)が得られる。
t={ln(C/C0)}/{A・exp(−ΔE/RT)} …(2)
よって、式(2)を変形して下式(3)が与えられる。
よって、式(2)を変形して下式(3)が与えられる。
ln(t)=[{ln(C/C0)}/A]+(ΔE/R)・(1/T) …(3)
したがって、保管温度の逆数と寿命に至るまでの期間の自然対数が直線関係になる。
したがって、保管温度の逆数と寿命に至るまでの期間の自然対数が直線関係になる。
そこで、保管温度の逆数(1/T)と寿命に至るまでの期間の対数(ln(t))をプロットして、直線関係から20℃(常温)での寿命を外挿して求めることができる。(T=20℃=293Kのとき、1/T=0.0034 K-1)
液滴消失時間が90秒/50μLを超えた時点を寿命として、保管温度の逆数と寿命にいたるまでの期間の自然対数値をプロットしたものを図2に示す。この図から明らかなように両者間には線形の相関があるという結果が得られた。これは一次の反応速度式を仮定したことが、誤りではないということを意味している。なお、図中の特性線Fはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、特性線Dはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、特性線Eはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(推定)の結果をそれぞれ示す。
液滴消失時間が90秒/50μLを超えた時点を寿命として、保管温度の逆数と寿命にいたるまでの期間の自然対数値をプロットしたものを図2に示す。この図から明らかなように両者間には線形の相関があるという結果が得られた。これは一次の反応速度式を仮定したことが、誤りではないということを意味している。なお、図中の特性線Fはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、特性線Dはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、特性線Eはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(推定)の結果をそれぞれ示す。
以下、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを例にとって説明する。
図2に示す測定結果から、20℃の保管条件下では、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムでは、塗布率にもよるが、如何に小さく見積もっても5年程度以上の親水性の寿命があることがわかった。一方、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムでは43日間程度の寿命という結果となった。
なお、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムでは40℃(→0.0032K-1に相当)と60℃(→0.0030K-1に相当)では未だ寿命に達していないので、直線性を80℃と105℃の値から推定すると20℃(→0.0034K-1に相当)では理論計算上では120年程度の寿命となる。
図2の特性線D,E,Fにおいて、傾きは界面活性剤の分解の活性化エネルギーに相当する。スルホン酸の炭素−硫黄の化学結合よりも硫酸エステルの炭素−酸素-硫黄の化学結合が分解しやすいと通常考えられることから、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムでの直線の傾きは、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムよりも大きくなるべきであり、現実にそうなっている。
その他の芳香族スルホン酸系陰イオン性界面活性剤間で若干の優劣は認められるものの概ねも同様の結果となる。これは芳香族スルホン酸の分解の活性化エネルギーがいずれにおいてもほぼ同様と考えられることからしても妥当である。
実際に芳香族スルホン酸系陰イオン性界面活性剤を塗布したスルホン化セパレータを室温で12箇月間保管した後、吸液度、液滴消失時間、アンモニア捕捉容量を測定したが、処理直後の値と変わらない結果であった。
以上の結果から、芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤によって長期間保管してもスルホン化セパレータの吸液性が維持されることがわかった。
繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理し、水酸化カリウム水溶液で中和、純水洗浄、自然乾燥して、スルホン化セパレータの比較例サンプルAを得た。
上記スルホン化処理に供したものと同一の不織布シート(未スルホン化処理)の一部に市販の陰イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム)を真空含浸して塗布したもの(塗布率0.5質量%)を使用して、界面活性剤処理セパレータの比較例サンプルBを得た。
得られた比較例サンプルA,Bの吸液度をそれぞれ測定した。ここで「吸液度」とは、幅15mm、長さ250mmの短冊状のサンプルの一端を吊り下げ、30質量%水酸化カリウム水溶液に他方の一端を3mm以上浸けてから、10分後の液面からの水溶液の吸い上げ高さをいう。サンプルA,Bの吸液度の測定結果を次に列記する。
1)サンプルA;スルホン化セパレータ → 吸液度0mm/10分(但し、浸漬部分は濡れている)
2)サンプルB;界面活性剤処理セパレータ → 吸液度63mm/10分
スルホン化セパレータに過度にスルホン酸基を導入しても電解液の含浸性はそれほど向上しない。また、過度のスルホン化処理はセパレータの強伸度特性の劣化を引き起こす。その対策として電解液の含浸方法を工夫することになる。含浸方法として、真空含浸または遠心含浸、あるいはそれらの組み合わせなど種々考えられるが、いずれも電池組立工程が複雑になるため、生産性をある程度犠牲にせざるを得ない。
2)サンプルB;界面活性剤処理セパレータ → 吸液度63mm/10分
スルホン化セパレータに過度にスルホン酸基を導入しても電解液の含浸性はそれほど向上しない。また、過度のスルホン化処理はセパレータの強伸度特性の劣化を引き起こす。その対策として電解液の含浸方法を工夫することになる。含浸方法として、真空含浸または遠心含浸、あるいはそれらの組み合わせなど種々考えられるが、いずれも電池組立工程が複雑になるため、生産性をある程度犠牲にせざるを得ない。
このスルホン化セパレータの電解液含浸性改善のために、特許文献2においてスルホン化処理後に界面活性剤を塗布することが提案されている。これによれば、界面活性剤は陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれであってもよいとされ、市販の陰イオン性界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、すなわちポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)が例示されている。
本発明者らは、各種の界面活性剤について種々検討を重ね、多くの実証試験を行った結果、下記の観点からどのようなタイプの界面活性剤でもよいとは言えないことを明らかにした。
窒素化合物が自己放電を加速するために自己放電抑制の観点から、陽イオン性界面活性剤や両性界面活性剤の使用は好ましくない。アンモニウム塩として窒素を含有しているからである。これらは電解液中で分解され窒素化合物を発生するため、スルホン化セパレータの自己放電抑制効果を阻害するためである。
また、陰イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤であってもアミン、アミドあるいはアンモニウム塩など窒素を含む化学構造の界面活性剤は、電解液中で分解され窒素化合物を発生するため上記と同様にスルホン化セパレータ自己放電抑制効果を阻害する。
さらに、カルボン酸エステルや硫酸エステル塩のように容易に加水分解される化学構造を分子内に持つ界面活性剤も好ましくない。それは、酸性のスルホン酸基によってセパレータ保管中に界面活性剤が加水分解され水酸化カリウム水溶液系電解液への含浸性劣化があること、あるいは強アルカリ性の水酸化カリウム水溶液系電解液中で発生する界面活性剤の加水分解生成物やその酸化による生成物(例えば炭酸カリウム)が内部抵抗増加などの電池特性劣化に影響するためである。
以上の検討結果からスルホン化セパレータ(ことにニッケル・水素蓄電池用スルホン化セパレータ)に界面活性剤を使用する場合、適切にその種類を選択する必要があることがわかった。
特許文献2に例示されている界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、すなわちポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)を塗布したスルホン化セパレータでは長期に保管あるいは比較的高温への暴露によって水酸化カリウム水溶液系電解液への含浸性が劣化する。これはセパレータに存在する酸性のスルホン酸基によって触媒され界面活性剤の硫酸エステル結合が加水分解されるためである。
市販の陰イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム)の加熱による吸液度、液滴消失時間の変化を測定した。その結果を表3と表4に示す。なお、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムと同じ化学構造(オキシエチレン鎖構造および硫酸エステルナトリウム構造)を持っている。そして、それが界面活性を発現するために重要な化学構造となっている。
なお、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムの分析は、JIS K 0102「工場排水試験方法」30.界面活性剤30.1.1メチレンブルー吸光光度法に準拠した。サンプル溶液は、サンプル5gを精秤し、総量が1000gになるように純水を加えて、1時間攪拌して調製した。
このようにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムを塗布したスルホン化セパレータでは、加熱処理によって吸液度は低下し、液滴消失時間は長くなっている。また、導電率の増大、pHの低下及び界面活性剤塗布率の低下が見られる。
一方、表面が中性雰囲気のアルカリ乾電池セパレータ(厚さ150μm、坪量50g/m2で、ビニロン繊維、ビスコースレーヨン繊維、ポリビニルアルコールバインダーからなる市販のセパレータ)ではポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムを塗布してあっても、導電率の増大、pHの低下、界面活性剤塗布率の低下は見られない。
スルホン化セパレータへ塗布されているポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムは、pHの低下からわかるようにスルホン化セパレータ独特の表面酸性雰囲気によって加水分解(陰イオン性界面活性剤→非イオン性界面活性剤+硫酸塩)されている。保管温度は異なっていても同一のシートからサンプル採取しているので、界面活性剤塗布率の極端なバラツキは考えられない。加水分解生成物にJIS K 0102「工場排水試験方法」30.界面活性剤30.1.1メチレンブルー吸光光度法での定量分析方法が適用できなくなったため、見掛け上塗布率が低下していると考えられる。導電率の増加とpHの低下も硫酸エステル塩の加水分解によって説明できる。
本発明者らのこれらの検討によって、スルホン化セパレータに独特の表面酸性雰囲気を認識して界面活性剤を選択することが重要であることが明らかになった。
特許文献3では、スルホン化処理することなく特定の界面活性剤のみをポリオレフィン系不織布に塗布することによる親水化処理するセパレータが提案されている。界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、グリコールエーテルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリエチレングリコールエーテルスルホン酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩が例示され、スルホン化処理セパレータと同等の自己放電抑制効果があるとされている。
これらの界面活性剤から強アルカリ性の水酸化カリウム水溶液系電解液中で、より加水分解し難いものを選択するならば、炭素-硫黄の化学結合を持つスルホン酸塩系界面活性剤が好適であり、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のような芳香族スルホン酸塩がより好適と考えられる。
実際に特許文献3にはアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が実施例として示されている。濃度0.05質量%のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液中に10分間浸漬して含浸した旨の記載がある。また、比較例として非イオン性の界面活性剤ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルが取りあげられている。
しかしながら、本発明者らが検討を重ねた結果によれば、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムをポリオレフィン系不織布に塗布しようとしても、通常のディップ(浸漬)含浸方法においてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液はポリオレフィン系不織布への含浸性に乏しく、塗布工程の生産性が著しく悪い結果となった。
表5に、繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)の浸液時間の測定結果を示す。ここで「浸液時間」とは、50mm角に切り取ったポリオレフィン系不織布を界面活性剤水溶液に静かに浮かべてから、不織布全体に界面活性剤水溶液が染みこむまでの時間のことをいう。浸液時間が短いほど界面活性剤水溶液へのディップ(浸漬)含浸しやすいことになる。なお、スパンボンド不織布以外の他の不織布、例えば湿式抄紙法(湿式法)不織布やメルトブロー不織布においても上記と同様の効果が得られる。
本発明者らは、一般的なディップ(浸漬)含浸法による連続処理を試みたが、上記の濃度では(浸液時間では)、含浸が不充分のために均一な塗布ができないことがわかった。
また、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布しただけのポリオレフィン系不織布セパレータには、アンモニア捕捉機能がなく、スルホン化セパレータと同等の自己放電抑制はできなかった。
繊度0.8dtexのポリプロピレン長繊維からなるスパンボンド不織布(坪量:50g/m2、厚さ:120μm)を硫黄含有率で1.0質量%になるまで無水硫酸を含む乾燥空気気流中でスルホン化処理したシートおよびスルホン化に供した同じシートの一部(未スルホン化処理シート)についてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布した後、アンモニア捕捉容量を測定した。その結果を表6に示す。
なお、比較例サンプルは、未スルホン化処理シートを真空含浸して界面活性剤を塗布することにより作製した。また、実施例3のサンプルは、スルホン化処理したポリオレフィン系不織布にアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布して作製した。また、参考例サンプルとして、スルホン化処理したポリオレフィン系不織布(界面活性剤を塗布せず)を用いた。また、アンモニア捕捉容量は非特許文献1に記載の方法に準拠して測定した。
このように、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布処理しただけのポリオレフィン系不織布セパレータではアンモニア捕捉能を持たず、自己放電特性改善に寄与しないことがわかった。他の芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤も同様に確認した結果、芳香族スルホン酸塩系陰イオン界面活性剤を塗布するだけでは自己放電特性は改善できないことがわかった。
また、芳香族スルホン酸塩系陰イオン界面活性剤塗布は、スルホン化セパレータのアンモニア捕捉容量を損ねないこともわかった。
[アルカリ蓄電池の製造]
次に、図3と図4を参照して本発明のセパレータを有するアルカリ蓄電池について説明する。
次に、図3と図4を参照して本発明のセパレータを有するアルカリ蓄電池について説明する。
図3に示すように、アルカリ蓄電池1の容器6内には電極集合体アッセンブリ5が収容され、正極端子7aとなる封口材が電池容器6の開口部を塞ぐようにカシメ加工により液密に取り付けられている。電極集合体アッセンブリ5は、正極2、セパレータ4、負極3を同軸に巻き付けてなる捲回物からなり、十分量のアルカリ電解液が含浸されている。セパレータ4は、正極2と負極3の間に挿入され、両極2,3を絶縁している。正極2は正極タブ7を介して正極端子7aに導通している。正極端子7aと電極集合体アッセンブリ5との間には絶縁ガスケット9が装入され、両者の短絡が防止されている。一方、負極3は図示しない負極タブを介して容器底部の負極端子8に導通している。負極端子8と電極集合体アッセンブリ5との間にも図示しない絶縁性部材が装入されている。
上記のアルカリ蓄電池は次のようにして製造される。ニッケル・水素蓄電池を例にして説明する。
ポリオレフィン系不織布をロールから巻き解き、スルホン化処理槽に供給し(工程S1)、処理槽内で所定の硫黄含有率になるまで反応させ、スルホン化処理し、中和、水洗浄する(工程S2)。得られたスルホン化セパレータに芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を所定量塗布する(工程S3)。界面活性剤が塗布されたスルホン化セパレータを所定幅に裁断し、捲回機に装着して正極(発泡ニッケル基材を用いたペースト式ニッケル正極)と、負極(ニッケルメッキしたステンレス製パンチングメタル基材を用いたミッシュメタル系合金あるいは超格子合金系の水素吸蔵合金負極)との間にセパレータを挟み込み一括して渦巻き状に捲回して電極集合体アッセンブリ(電極捲回物)を形成する(工程S4)。
捲回されて一体化した電極集合体アッセンブリを電池容器(外装缶)のなかに収容し(工程S5)、アルカリ電解液(7N−水酸化カリウム水溶液及び1N−水酸化リチウム水溶液)を容器6内に注入し、電解液を電極集合体アッセンブリに含浸させる(工程S6)。スルホン化セパレータに芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を塗布しない場合はここで真空含浸を実施した。次いで、正極端子となる封口材を電池容器の開口を塞ぐようにカシメ加工により取り付ける(工程S7)。このようにして組み立てた単三形のニッケル・水素蓄電池を検査装置に搬送し、電気的特性などの各種の検査を行う(工程S8)。
[評価試験結果]
上記のようにして製造したアルカリ蓄電池を以下の試験方法により評価した。
上記のようにして製造したアルカリ蓄電池を以下の試験方法により評価した。
比較例サンプルは、未スルホン化処理シートを真空含浸して界面活性剤を塗布することにより作製した。また、実施例3のサンプルは、スルホン化処理したポリオレフィン系不織布にアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを塗布して作製した。また、参考例のサンプルは、スルホン化処理したのみのポリオレフィン系不織布である。
[初期容量]
得られたニッケル・水素蓄電池を、20℃、0.1Cで150%(容量比)充電し、0.1C放電、終止電圧0.9Vでの初期容量(A)を測定した。
得られたニッケル・水素蓄電池を、20℃、0.1Cで150%(容量比)充電し、0.1C放電、終止電圧0.9Vでの初期容量(A)を測定した。
[自己放電特性(容量保持率)]
得られたニッケル・水素蓄電池の初期容量(A)を測定した後、20℃、0.1Cで150%(容量比)充電し、60℃で3日間放置した後、20℃で0.1C放電、終止電圧0.9Vでの容量(B)を測定した。得られたデータから下記式に基づいて、容量保持率を算出した。
得られたニッケル・水素蓄電池の初期容量(A)を測定した後、20℃、0.1Cで150%(容量比)充電し、60℃で3日間放置した後、20℃で0.1C放電、終止電圧0.9Vでの容量(B)を測定した。得られたデータから下記式に基づいて、容量保持率を算出した。
容量保持率(%)=(A/B)×100
ニッケル・水素蓄電池での自己放電特性の評価結果を表7に示す。表中の数値は、参考例(未界面活性剤塗布スルホン化セパレータ使用品)を基準(100)とする相対値で表した。したがって、数値の大きいものほど良好な性能を有するものということになる。このことから実施例3は、参考例と比べて遜色ない電池特性を共に有することが確認された。このようにセパレータを長期間にわたり保管した場合や比較的高温に短時間曝した場合であっても、従来と同等の性能のアルカリ蓄電池を提供することができ、水酸化カリウム水溶液系電解液に対する含浸性が良好で電池製造工程の生産性向上が可能となるアルカリ蓄電池用セパレータを提供することができることが確認された。
ニッケル・水素蓄電池での自己放電特性の評価結果を表7に示す。表中の数値は、参考例(未界面活性剤塗布スルホン化セパレータ使用品)を基準(100)とする相対値で表した。したがって、数値の大きいものほど良好な性能を有するものということになる。このことから実施例3は、参考例と比べて遜色ない電池特性を共に有することが確認された。このようにセパレータを長期間にわたり保管した場合や比較的高温に短時間曝した場合であっても、従来と同等の性能のアルカリ蓄電池を提供することができ、水酸化カリウム水溶液系電解液に対する含浸性が良好で電池製造工程の生産性向上が可能となるアルカリ蓄電池用セパレータを提供することができることが確認された。
本発明は長期間保管あるいは高温下に曝されてもなお電池組み立て時の電解液含浸性に優れ、かつ自己放電抑制効果のあるアルカリ蓄電池セパレータ、ことにニッケル・水素蓄電池セパレータおよび当該セパレータを使用したアルカリ蓄電池を提供するものである。
1…アルカリ蓄電池、
2…正極、
3…負極、
4…セパレータ、
5…電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)、
6…電池容器、
7a…正極端子、
7b…正極タブ、
8…負極端子、
9…絶縁ガスケット。
2…正極、
3…負極、
4…セパレータ、
5…電極集合体アッセンブリ(電極群捲回物)、
6…電池容器、
7a…正極端子、
7b…正極タブ、
8…負極端子、
9…絶縁ガスケット。
Claims (11)
- スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布と、
前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤と、を有することを特徴とするアルカリ蓄電池用セパレータ。 - 前記芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩からなる群より選択される1種または2種以上の界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記ポリオレフィン系不織布は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、およびオレフィン系共重合体からなる群より選択される1種または2種以上の樹脂からなる繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤の塗布率が0.15質量%以上1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤の塗布率が0.3質量%以上0.6質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 所定の温度と時間の条件で加熱した後において、所定条件下での液滴を吸収する液滴消失時間が90秒以下であることを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- (a)ポリオレフィン系不織布を準備し、
(b)前記ポリオレフィン系不織布をスルホン化処理し、
(c)前記スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布に芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を塗布することを特徴とするアルカリ蓄電池用セパレータの製造方法。 - 前記工程(a)では、前記ポリオレフィン系不織布が湿式法、スパンボンド法またはメルトブロー法のいずれかを用いて作製されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 前記塗布工程(c)では、前記芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を含む液中に前記ポリオレフィン系不織布を浸漬する請求項6に記載の方法。
- 正極活物質を含有する正極と、
前記正極に導通する正極集電体と、
負極活物質を含有する負極と、
前記負極に導通する負極集電体と、
前記正極と負極の間に配置され、スルホン化処理されたポリオレフィン系不織布および前記ポリオレフィン系不織布に塗布された芳香族スルホン酸塩系陰イオン性界面活性剤を有するセパレータと、
前記正極、セパレータ、負極を組み合わせてなる電極集合体アッセンブリに含浸される水酸化カリウム水溶液系のアルカリ電解液と、
前記電極集合体アッセンブリおよび前記アルカリ電解液を収容する電池容器と、
を具備することを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 前記正極活物質として水酸化ニッケルを有し、前記負極活物質として水素吸蔵合金を有するニッケル・水素蓄電池であることを特徴とする請求項10に記載のアルカリ蓄電池。
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