JP2002063890A - アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池

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JP2002063890A
JP2002063890A JP2000248709A JP2000248709A JP2002063890A JP 2002063890 A JP2002063890 A JP 2002063890A JP 2000248709 A JP2000248709 A JP 2000248709A JP 2000248709 A JP2000248709 A JP 2000248709A JP 2002063890 A JP2002063890 A JP 2002063890A
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Toshio Tanaka
俊雄 田中
Hiroki Yamaguchi
裕樹 山口
Naohiko Takimoto
直彦 滝本
Masahiro Yamashita
全広 山下
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スルホン化の程度を高くするとアンモニアトラ
ップ性能が向上するのであるが、汎用ポリオレフインで
は、強くスルホン化すると繊維強度の低下を招き、また
スルホン化された繊維表面が剥離して、結果としてスル
ホン化程度をあまり高くできない。そこで本発明はアン
モニアトラップ性能の向上と同時に、従来特に問題であ
った強度,吸液性,ガス透過性を同時に改善実施した。 【解決手段】極限粘度が0.2〜1.Odl/gのポリ
オレフイン系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られる
繊維を含む層に、強度,吸液性,ガス透過性に優れた、
スルホン酸基付与以外の親水化処理を実施した補強層を
積層する事により、自己放電量がより低減し、短絡発生
の恐れが少なく,酸素ガスの透過性が良好で,電解液が
急速吸液され、電池の生産性,安全性の向上と共に、電
池寿命の向上に寄与するアルカリ電池用セパレータ及び
アルカリ電池を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ電池用セ
パレータ及び該電池用セパレータを用いたアルカリ電池
に関するものである。この様なアルカリ電池、特にアル
カリ二次電池は例えば電気自動車や電気工具等のバッテ
リー用として利用される。
【0002】
【従来の技術】電池は正極,負極,電解質,セパレー
タ,及び容器に大別され、上記正極と負極が上記セパレ
ータにより隔絶され、上記電解質液に浸漬された状態で
容器内に収納されている。
【0003】アルカリ二次電池、特にニッケル水素電池
は容量が高く、電気自動車,電動工具用としての応用が
進められているが、自己放電量が大きい事が欠点とされ
てきた。また、その自己放電量は、セパータの種類で大
きく変化する事が報告されている。
【0004】例えば、機能材料(第32−42頁,vo
l.19,No.8,1999年8月号)では、アクリ
ル酸等のカルボン酸を有するビニルモノマーをグラフト
処理したセパレータ(従来例1)では、スルホン化物と
同等の高い容量保持率を得るためには、基材となる不織
布に対し、5〜15重量%と非常に多くのグラフト化が
必要であり、グラフト化率と容量保持率が比例関係にあ
ることが示されている。しかしながら、多量のグラフト
処理は、目付量の増加の結果、透気度の低下や薄型化が
難しいなどの問題があると述べている。
【0005】また上記の具体的例として、特開平8−1
15739で、グラフト化を実施した不織布による2層
構造を有するセパレータが示されている(従来例2)
が、グラフト化率が少ない方の層でも18重量%、グラ
フト化率が高い層では42重量%と極めて多くのグラフ
トを実施し、ようやくスルホン化品と同等レベルの容量
保持率を得ている。上記よりわかるように、スルホン化
物と同等の高い容量保持率を得るためには、基材となる
不織布に対し、18重量%以上の多量のグラフト処理が
必要とされていた。
【0006】またさらに上記刊行物には、スルホン化処
理セパレータ(従来例3)が、容量保持率を最も高くす
る事が可能であり、発煙硫酸による処理品が実用化され
ているが、繊維強度の低下が大きいため繊維径10数μ
mの品が実用化されているのみである事が記載されてお
り、強度的に問題がある事が示されている。また自己放
電の抑制機構についても、定説が無く、明確化されてい
ない事が記載されている。またスルホン化処理セパレー
タにおいては、電解液の吸液速度が遅い欠点を有する事
が示されている。
【0007】スルホン化処理セパレータに関しては上記
文献以前に、いくつかの検討がなされてきたが、セパレ
ータとして求められる諸特性を総合的特性に満足した物
は得られていない。例示すると、第28回電池討論会予
稿集(第113頁,1987年)にポリプロピレンをス
ルホン化したセパレータが提案されており(従来例
4)、この様なスルホン化ポリプロピレン製不織布セパ
レータを用いると、従来のナイロンセパレータより高い
容量保持率を示すことが記載されているが、窒素系の不
純物をセパレータから溶出させないことが目的であり、
積極的に容量保持率を向上させる対応は実施していな
い。
【0008】また特開平10−326607号公報に
は、電解液吸液速度,保液性を向上させるためスルホン
化度を上げる方策が示されている。スルホン化度の指標
として硫黄濃度を用いることができることが示され、そ
の実施例において硫黄濃度7mg/gのセパレータが挙
げられているが、これは単繊維繊度を0.01〜0.1
デニールという様に極めて小さくすることによって表面
積を大きくした結果であると考えられる。(従来例5)
即ち表面積を大きくすることにより、集中的にスルホン
酸基が導入されることを回避しつつ、スルホン酸基の総
導入量を多くしたものであると考えられるが、スルホン
化を達成する工程は従来法と同一であり、むしろ極細化
による強度の低下が生じ、強度面でより大きな問題を抱
えていた。
【0009】またさらに同公報に示される如く、単繊維
繊度が0.01〜0.1デニール(0.011〜0.1
1dtex)のポリプロピレン繊維のセパレータを得る
為には、製造方法として、海成分をポリアミド樹脂、島
成分をポリプロピレンとした海島型複合繊維とオレフィ
ン系バインダー繊維との混合繊維からなるものを原料と
して用い、これをスルホン化処理して上記ポリアミド樹
脂を溶解除去することによって、0.01〜0.1デニ
ール(0.011〜0.11dtex)のポリプロピレ
ン繊維を得るという方法を採用せざるを得ず、この様な
製造法では海島型複合繊維の中央部分までポリアミド樹
脂をスルホン化処理のみで完全に除去することは困難で
あり、残存するポリアミドが逆に電池の自己放電の原因
物質となるという問題があった。
【0010】加えて0.01〜0.1デニール(0.0
11〜0.11dtex)もの極細繊維をセパレータに
用いると、通気性が低くなり過ぎ、電池の充電末期に正
極において生成する酸素ガスを負極に十分に透過でき
ず、この為に電池が膨張して電解液漏れ、更には電池の
破裂が生じる懸念がある。また極細化の為に繊維強度も
非常に低下するから、繊維が断線して短絡を生じる恐れ
がある。
【0011】またさらに、従来のスルホン化されたセパ
レータでは、特開平7−130392に示されるよう
に、電解液の吸液速度不足を原因とし、電解液をセパレ
ータに均一に分散する事ができない問題があり、界面活
性剤を使用し改善する手法が示されている。しかしなが
ら、長期の充放電サイクルで、電解液を保持していた界
面活性剤が脱離し、電解液の保持性が急激に低下する問
題があり望ましくなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにスルホン
化処理セパレータは比較的容量保持率が高く、またその
特性は高温での使用によっても変化しないメリットを有
しているが、10μm未満の繊維径を持つ極細繊維で
は、十分な強度を持つたセパレータを作成する事が不可
能であった。つまり、極細繊維使用による電解液の保持
性確保と強度の両立ができない問題があった。またさら
に、電解液の吸液速度も低く、電池製造工程での生産性
が低下する問題を生じていた。
【0013】また上記容量保持率も十分なものでは無
く、容量保持率のさらなる向上のため、高度にスルホン
化、即ち含有する硫黄量を高くすると、繊維表面部分の
崩壊,剥離が生じていた。本発明者らが鋭意検討した結
果、この理由は従来セパレータに汎用されているポリオ
レフイン系樹脂製繊維(例えばポリプロピレンのスパン
ポンド繊維、ポリプロピレン/ポリエチレンの複合芯鞘
繊維等)が、高い極限粘度のものであるからであること
が分かった。極限粘度の高いポリオレフイン系樹脂製繊
維は紡糸のし易さの観点から汎用されているのである
が、この様な高極限粘度ポリオレフイン系樹脂繊維は耐
酸性に優れるので、無理やりスルホン化を進めると、上
述の様に繊維の強度低下を招くに至り、またスルホン化
した部分の崩壊,剥離が生じ、結果的にスルホン酸基量
があまり多くないものとなるのである。
【0014】そこで本発明者らは、特定の極限粘度を示
すポリオレフイン系樹脂製繊維であれば、スルホン化を
行っても繊維表面の崩壊を招かずに高度にスルホン化で
きる事、さらに上記セパレータにおいて、不純物である
アンモニアに有効なトラップサイトが大幅に増え、結果
として容量保持率を大幅に向上したセパレータを得るこ
とができる点を見出し、既に特許出願している(特願平
11−96546号)。
【0015】更に本発明では、アンモニアトラップ性能
の向上による容量保持率向上に加え、セパレータ強度が
高く繊維断線が生じない、電解液の保持性が持続し、ガ
ス透過性が高く、総合的に優れたセパレータを供する事
を可能とした。このセパレータを用い、(1)自己放電
量がより低減し容量保持率に優れる,(2)電池の短絡
による不良が生じない,(3)電解液の吸液速度が早
い,(4)充放電を繰り返しても、電解液の保持性が低
下せず長寿命,(5)内圧上昇が無く安全性が高いアル
カリ電池を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電池用セパ
レータは、スルホン酸基を有するポリオレフイン系樹脂
を主成分とした繊維からなるシート状物[A]と、スル
ホン酸基以外の親水性基を有するシート状物[B]が、
積層された事を特徴とするアルカリ電池用セパレータで
ある。
【0017】上記シート状物[A]は、電池内部に存在
する自己放電の原因物質をトラップする機能が必要とな
る。既に、特願平11−96546号で示したように、
自己放電の最大要因はアンモニアであり、上記シート状
物[A]は高いアンモニアトラップ能が要求される。ア
ンモニアトラップ性能が高いセパレータとして、下記特
殊ポリオレフィンをスルホン化した繊維の使用が最適で
ある。
【0018】極限粘度が0.2〜1.4dl/gのポリ
オレフイン系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られる
繊維であり、且つ前記スルホン化処理後の繊維は、1g
あたりの総硫黄量が7mg以上、50mg以下であるも
のが最適に使用可能である。
【0019】極限粘度が0.2〜1.4dl/gのポリオ
レフイン系樹脂製繊維をスルホン化剤(硫酸等)でスル
ホン化した際には、繊維表面の崩壊といったポリオレフ
イン系樹脂自体の機械的強度低下があまり生じない状態
で、多量の硫黄原子、即ちスルホン酸基等といったアン
モニアのトラップサイトを導入することができる。つま
り単繊維繊度を小さくして繊維表面積を大きくせずと
も、硫黄含量を上げることができ、よって上記従来例5
の様な製造方法によらずとも、高硫黄含有量のポリオレ
フイン系樹脂製繊維を得ることが出来る。またスルホン
化処理で繊維強度としてもあまり低下しないから、セパ
レータを電池に組み込んだ場合に、セパレータの繊維切
断により短絡が生じると言った恐れが低減される。
【0020】より好ましくは極限粘度0.4dl/g以
上、1.2dl/g以下であり、さらに好ましくは極限
粘度0.5dl/g以上、1.0dl/g以下である。
尚上記極限粘度は、後述する様にテトラリン溶媒を用い
て測定した値である。
【0021】硫黄含有量はアンモニアトラップ能の指標
とすることができ、繊維1g当たりの総硫黄量が7mg
以上であれば、アンモニアトラップ率が高いものとな
り、望ましくは10mg以上である。硫黄量が多いほ
ど、アンモニアトラップ能が向上することが知られてい
たが、実用的な強度を有する強度の不織布において、総
硫黄量が7mgを超える程のセパレータは、従来実現さ
れておらず、それが今回実現に至ったものである。また
従来作製が困難であった為、該総硫黄量7mg以上のセ
パレータとアンモニアトラップ能の関係については検討
がなされていなかったが、本発明者らが作製した総硫黄
量7mg以上のセパレータを検討したところ、該セパレ
ータにおいてはアンモニアトラップ率が向上することが
分かり、特に10mg以上において劇的に向上する事が
分かった。
【0022】一方総硫黄量が50mgを超えてもあまり
アンモニアトラップ率の向上が期待できず、また50m
g以上の総硫黄量とするには、本発明の手法をもってし
ても強度の著しい低下を招くから好ましくなく、よって
50mg以下とした。より好ましくは40mg以下であ
り、更に好ましくは30mg以下である。
【0023】上記繊維の含有率としては、セパレータ全
体の重量に対して、20重量%以上含まれている事が望
ましく、さらに望ましくは30重量%以上含有させてお
けば、電池に用いた場合に該セパレータが良好にアンモ
ニアをトラップし、その結果自己放電が低減されて容量
保持率が向上する。
【0024】シート状物[A]の嵩密度が0.5g/c
3 以上であれば、保液性が高く電解質液中等に存在す
るアンモニアとの接触機会が多くなり、アンモニアを効
率的にトラップすることができる。また嵩密度を高くす
ることにより、正極と負極を良好に隔離できる、即ち正
極や負極からの活性物質を良好に阻止することができ、
電池の短絡防止性に優れる。より好ましくはシート状物
[A]の嵩密度として0.6g/cm3 以上である。
【0025】一方、セパレータの特性として電池の充電
末期に発生する酸素ガスの透過性が要求されるから、あ
まり嵩密度が高いとこのガス透過性に劣るものとなる。
従ってシート状物[A]の嵩密度として0.85g/c
3 以下とするのが好ましく、これによりガス透過性の
低下を招くことなく、セパレータとして良好に作用させ
ることができる。
【0026】加えて本発明においては、前記シート状物
[A]の総硫黄量が、120mg/m2 以上であること
が好ましい。
【0027】この様に120mg/m2 以上であれば、
アンモニアトラップに有効なスルホン酸基が十分に存在
し、アンモニアトラップ性能に非常に優れるからであ
る。より好ましくは150mg/m2 以上である。一方
あまりにスルホン酸基が多く、即ち総硫黄量が多い場合
は、繊維の強度低下が懸念されるから、500mg/m
2 以下であることが好ましい。
【0028】上記、アンモニアトラップ性が極めて高い
シート状物[A]を積層する場合においては、シート状
物[B]は、アンモニアトラップ能力は特に要求され
ず、高い補強性能が要求される。ただし、シート状物
[B]より、アンモニア等の自己放電原因物質の溶出が
あってはならず、汎用ポリアミド樹脂に代表される高強
度ではあるが、アンモニア溶出の可能性のある繊維は使
用できない。
【0029】シート状物[B]として、カルボキシル基
を有する樹脂がグラフト処理された繊維を用いたシート
状物が最適に使用できる。上記不織布は、従来例2で示
されたように、単独でスルホン化品と同等の自己放電の
抑制機能を求める場合には、18重量%を超えるビニル
モノマーのグラフト処理が必要であった。しかしながら
本発明におけるシート状物[B]においては、電解液の
吸液−保持機能のみが要求されており、ビニルモノマー
のグラフト化率が15重量以下の物でも有効に使用可能
であり、グラフト化率0.5重量%〜12重量%の物が
好適に使用できる。グラフト化率とは、グラフト前の原
反を基準とし、グラフト化後の重量増加量を、原反重量
に対する比率で示した重量%値である。
【0030】本発明におけるグラフト処理としては、不
飽和カルボン酸系モノマーをグラフト重合する公知の手
法が使用可能である。不飽和カルボン酸系モノマーとし
ては、例えば、アクリル酸、α−エチルアクリル酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル
酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、アリル酢酸、α−エチ
ルクロトン酸、ケイ皮酸、10−ウンデセン酸、オレイ
ン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ルメク
エン酸、ソルビン酸、リノール酸、エレオステアリン
酸、リノレン酸、アラキドン酸、アセチレンカルボン
酸、テトロル酸、ステアロル酸、ベヘノル酸、キシメニ
ン酸、などの不飽和モノカルボン酸、これら不飽和モノ
カルボン酸の誘導体、マレイン酸、フマル酸、メチルマ
レイン酸、メチルフマル酸、グルタコン酸、イタコン
酸、アリルマロン酸、テラコン酸、ムコン酸、ブチン二
酸などの不飽和ジカルボン酸、これら不飽和ジカルボン
酸の誘導体、アコニット酸などの不飽和トリカルボン
酸、これら不飽和トリカルボン酸の誘導体を、1種類以
上使用できる。これらの中でも、カルボキシル基が二重
結合を有する炭素に直接結合した、不飽和モノカルボン
酸又は不飽和ジカルボン酸は、重合しやすいので好適に
使用でき、これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸は
重合を制御しやすく、しかも良好な親水性を生じるの
で、最も好適に使用できる。
【0031】これら不飽和カルボン酸系モノマーのグラ
フト重合の方法としては、例えば、不飽和カルボン酸系
モノマーと重合開始剤を含む溶液中に不織布を浸漬した
後に加熱する方法、不織布に不飽和カルボン酸系モノマ
ー溶液を塗布した後に放射線を照射する方法、不織布に
放射線を照射した後に不飽和カルボン酸系モノマーと接
触させる方法、増感剤を含む不飽和カルボン酸系モノマ
ー溶液を不織布に含ませた後に紫外線を照射する方法な
どがある。これらの中でも、増感剤を含む不飽和カルボ
ン酸系モノマー溶液を不織布に含ませた後に紫外線を照
射する方法であると、不織布を損傷することなくグラフ
ト重合できるので好適である。
【0032】またさらに、シート状物[B]として、コ
ロナ放電処理により親水性基を付与された繊維を用いた
シート状物が最適に使用できる。コロナ放電処理は、高
電圧発生機に接続した電極間に適度のギャップを設け、
高周波で数千〜数万Vの電圧をかけ、高圧コロナを発生
させ、このギャップに親水性を付与する不織布を搬送す
る。コロナ放電により生成したオゾン等を反応させて、
カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペル
オキシド基を生成させることにより、親水性基を付与し
電解液の親和性向上を行う。このコロナ放電処理条件と
しては、総エネルギーとして30KW/m2 以下である
ことが好ましく、コロナ放電によるピンホールの発生
や、発熱による、不織布の融解が生じない範囲で高エネ
ルギー処理する事が望ましい。上記問題が生じる場合
は、高圧発生機の出力を下げ、裏表別々に、繰り返し数
回の処理を実施する事が望ましい。通常コロナ処理は通
常大気雰囲気下で実施されるが、反応性は小さいが窒素
ガスは酸化窒素等を生成し、シート表面に窒素酸化物等
を生成し自己放電の原因物質となる。本発明のコロナ処
理の雰囲気は、窒素ガスの分圧が5000Pa以下であ
る事が望ましく、さらに望ましくは、窒素ガスの分圧
が、1〜2000Paの範囲である。酸素ガスの分圧
は、10000Pa以上である事が望ましく、さらに望
ましくは、25000Pa以上である。バランスガスと
して、Arに代表される、不活性ガスを投入する事が望
ましい。
【0033】またさらに、シート状物[B]として、プ
ラズマ処理により親水性基を付与された繊維を用いたシ
ート状物が最適に使用できる。本発明のプラズマ処理と
は、耐圧容器内で減圧雰囲気下において(例えば、常
温、10-1〜10Pa)陰陽両極間に高周波電圧を印加
し、高エネルギー状態のプラズマを発生させ繊維に反応
させるか、もしくは放電域の大きい陰極暗部において、
放電によって生じた陽イオンを陰極上の基材シートに衝
突させるいわゆるスパッタエッチング法により、カルボ
ニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシ
ド基等を生成する処理をいう。通常、高周波電源として
は、数百KHz〜数十MHzの高周波電源を用いることがで
きる。この時用いる導入ガスは、酸素及び酸素ガスを混
入したガスでは親水化処理速度が早く、内部の処理が比
較的容易であるため工業的に有利である。また、処理の
照射エネルギーは0.1〜30KW/m2 、処理時間
は0.1〜1500秒が好ましい。繊維の溶融が生じな
い範囲で高エネルギープラズマを照射する事が望まし
く、発熱による不織布の融解や大幅な強度低下が生じる
場合には、照射エネルギーを下げ、処理時間を上記の範
囲で延ばす事が望ましい。
【0034】またさらに、シート状物[B]として、紫
外線による酸化処理またはオゾン処理を含む酸化処理を
実施し親水性基を付与された繊維を用いたシート状物が
最適に使用できる。紫外線等の高エネルギー線を照射す
ると、活性酸素,オゾン等に代表される活性なガス成分
が発生し、繊維表面の酸化が生じ、カルボニル基、カル
ボキシル基、ヒドロキシル基、ペルオキシド基等を生成
し、親水性を付与可能となる。本親水化処理において
も、先に述べたコロナ処理と同様に、窒素ガスの分圧を
規制しておく事が重要となる。
【0035】またさらに、シート状物[B]としてフッ
素ガス処理を行った繊維を含む不織布が使用可能であ
る。フッ素ガス処理としては、例えば、不活性ガスで希
釈したフッ素ガスに、酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸
化硫黄ガスなどを添加、混合したガスで充填した反応容
器内に、不織布を供給して処理すれば良い。なお、不織
布に二酸化硫黄ガスを予め付着させた後に、フッ素ガス
を接触させると、効率的に恒久的な親水化処理を行うこ
とができるので好適である。本発明におけるフッ素ガス
処理は、電解液吸液及び電解液保持性を持たせる事が目
的であるため、過度の処理を避け、原反の強度(引っ張
り強度)の70%以上が維持できるマイルドな処理にと
どめる事が望ましい。
【0036】またさらに、シート状物[B]として、界
面活性剤処理を行った繊維を含む不織布が最適に使用可
能である。界面活性剤としては、以下の界面活性剤が例
示される。 スルホン酸塩として、 例えば、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、(ア
ルキル)ナフタリンスルホン酸塩および(アルキル)ナフ
タリンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルジフ
ェニルエーテルジスルホン酸塩、アルカンスルホン酸
塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸
塩、および石油スルホン酸塩等。 上記のなかでも、ア
ルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム,アルキルジフ
ェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが有効に使用で
きる。リン酸エステル塩として、例えば、アルキルリン
酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
リン酸エステル塩、およびポリオキシアルキレンアルキ
ルアリールエーテルリン酸エステル塩等。 カルボン酸
塩として、例えば、炭素原子数6〜20の飽和もしくは
不飽和脂肪酸またはヒドロキシル基含有脂肪酸の塩等。
硫酸エステル塩として、例えば、アルキル硫酸エステル
塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポ
リオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エス
テル塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、および
硫酸化オレフィン等。 ポリオキシアルキレン系ノニオ
ン界面活性剤として、例えば、ポリオキシアルキレンア
ルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレンポリオール、ポリオキシアルキレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪
酸エステル、ポリオキシアルキレンスチレン化アリール
エーテル、およびポリオキシアルキレン脂肪酸エステル
等。多価アルコール系ノニオン界面活性剤として、 例
えば、多価アルコール脂肪酸エステル等が使用可能であ
る。
【0037】上記界面活性剤は、ポリオレフイン系樹脂
を主成分とした繊維からなシート状物[B]に付与した
場合に最も有効に働き、充放電時のサイクル寿命におい
ても問題を生じない。従来界面活性剤の使用は、充放電
時のサイクル寿命において、耐久性が劣るとされてきた
が、後述の通り、電池内部でのシート状物[B]を電池
の負極側に配置する事で、長寿命化できる事を見いだし
本発明に至っている。
【0038】また界面活性剤による、電解液吸液性向上
の効果は比較的高い事から、前述のコロナ,プラズマ,
紫外線照射,オゾン処理から1種以上の処理を実施し、
界面活性剤処理と併用する事で、界面活性剤の脱離をよ
り有効に抑制する事が可能となり、長期サイクル実施時
の性能がより長寿命化可能となる。
【0039】シート状物[B]を構成する繊維として
は、アルカリ電解液に侵されず、充電末期に発生する酸
素ガスによる酸化の影響を受け難い素材であれば特に限
定されないが、ポリオレフィン系樹脂,ポリスチレン樹
脂が特に好適に使用可能であり、ビニロンに代表される
ポリビニルアルコール系樹脂,ポリフェニレンスルファ
イド樹脂も好適に使用可能である。
【0040】また上述の様にシート状物[A]はアンモ
ニアのトラップ効率の観点からあまり粗なものとするこ
とができないが、シート状物[B]にあってはより嵩密
度の低いもとのすることができ、上述の様にシート状物
[B]の嵩密度が0.5g/cm3 未満であれば、ガス
透過性が非常に良好である。加えて電解質液中等に存在
するアンモニアがシート状物[B]を良好に通過してシ
ート状物[A]に到達する。シート状物[B]の嵩密度
は0.45g/cm3 以下であることがより好ましい。
【0041】一方シート状物[A]の補強の観点から、
シート状物[B]の嵩密度としては0.15g/cm3
以上であることがより好ましい。
【0042】上記の様に総硫黄量の高いシート状物
[A]を高密度とし、補強層であるシート状物[B]を
低密度とすることにより、アンモニアトラップ効率が高
まる。
【0043】加えて本発明においては、前記シート状物
[A]を構成する繊維の平均繊維径が8μm未満であ
り、前記シート状物[B]を構成する繊維の平均繊維径
が8μm以上であることが望ましい。
【0044】シート状物[A]の繊維の平均繊維径が8
μm(ポリプロピレンの場合では0.45dtexに相
当)未満であれば、電解液の保液性が良好で、また十分
に広い繊維表面積となるからアンモニアを繊維表面に良
好にトラップすることができる。尚上記汎用のポリオレ
フイン系樹脂製の極細繊維をスルホン化した場合は、繊
維径が太いものの場合に比べて強度が極端に低下し、そ
の結果繊維が切断してピンホールが生じる懸念があり、
このセパレータを組み込んだ電池内部において短絡が生
じるといった問題があるが、本発明における上記極限粘
度0.2〜1.0dl/gのポリオレフイン系樹脂製繊維
を用いた場合にあっては、極端な強度低下が生じないか
ら、繊維が断裂してピンホールを生じる恐れが少ない。
【0045】またシート状物[A]の繊維の平均繊維径
は3μm以上(ポリプロピレンの場合では0.064d
texに相当)であることがより好ましく、更に好まし
くは平均繊維径4μm以上(ポリプロピレンの場合では
0.102デニールに相当)である。3μm以上(更に
は4μm以上)であればシート状物の均一性を保つこと
が容易となって、ピンホールの生じる確率が低くなり、
よって電池の短絡防止性に優れた特性を発揮する。また
同時にガス透過が可能な微細な繊維間空隙を確保するこ
とができるから、充電末期に発生するガスの透過性も十
分に保持できる。尚ガス透過性に関しては、JIS L
1096の通気性A法に準じ、フラジール型試験機での
測定値で、7cm3/cm2/s以上であることが好まし
い。
【0046】この様に繊維が細く、且つ前述の様に嵩密
度が高いものであれば、アンモニアとの接触効率が非常
に高くなり、よって電池とした際に自己放電が良好に抑
制され、高い容量保持率となる。
【0047】またシート状物[B]の繊維の平均繊維径
が8μm以上であれば、十分な補強効果を発揮する。よ
り好ましくは10μm以上である。一方あまり繊維系が
太すぎると不均一な不織布となるから、50μm以下で
あることがより好ましい。
【0048】本発明のシート状物[A]は、スルホン化
度が高く従来品よりも吸液速度は高いが、単独では吸液
速度が不足していが、下記2点を同時に満たす場合には
シート状物[A]の吸液速度の不足を補える事を見いだ
した。
【0049】まず第1に、本発明のシート状物[B]に
おいては、電解液吸液速度が20mm/30分以上であ
る事が必要であり、30〜150mm/30分の範囲が
望ましい。第2に、シート状物[A]を構成する繊維の
平均繊維径をシート状物[B]よりも、前述の範囲で細
く設定されている事が重要となる。上記2つの要件を満
たした場合、電解液をまずシート状物[B]が高速に吸
液し、吸液した電解液がより細い繊維径を持つシート状
物[A]へ拡散していく、本発明者は、積層されたシー
ト状物[B]に吸液速度が早い層を用いた場合に、シー
ト状物[A]へ電解液の拡散が生じる事を見いだし、セ
パレータの吸液速度向上する事が可能となった。
【0050】また、上記範囲の吸液速度を用いた場合に
は、セパレータ全体に極めて早い速度で電解液が効率よ
く浸透していくため、シート状物[A]に界面活性剤を
使用する事なくセパレータとして有効に使用可能であ
る。
【0051】またさらに本発明に係るアルカリ電池は、
前記電池用セパレータのシート状物[A]を電池正極
側,シート状物[B]を電池負極側に配置したものであ
ることを要旨とする。上記配置であれば、充電末期に正
極より発生する酸素ガスを負極側により効率的に透過す
る事が可能となる。配置を逆にした場合には、ガスの透
過性が悪くなり、電池の内圧上昇が生じ、電解液漏れや
電池の破裂が生じる危険が高くなる。
【0052】従来カルボキシル基を有する樹脂のグラフ
ト品を使用した不織布は、スルホン化物に比べて充放電
を繰り返すと親水性が低下し、電解液の保持性が低下す
る事が指摘されてきた。しかしながら、発明者の詳細な
検討により、上記性能低下は正極近傍で特に強く生じる
酸化劣化の影響が高い事を確認した。そこで、本発明の
セパレ−タにおいては、耐酸化性の高い「スルホン酸基
を有するポリオレフイン系樹脂製繊維を主成分としたシ
ート状物」を正極側に配し、スルホン化処理品よりも強
度は高いが耐酸化性の低い「カルボキシル基を有する樹
脂のグラフト品を使用した不織布」を負極側に配置する
事で、上記性能低下を回避できる事を見いだし、本発明
に至った。
【0053】プラズマ処理による親水化処理,紫外線に
よる酸化処理,フッ素ガス処理さらに界面活性剤処理に
おいても、上記カルボキシル基を有する樹脂のグラフト
品の場合と同様の酸化劣化の問題を有していたが、本発
明のセパレ−タにおいては、耐酸化性の高い「スルホン
酸基を有するポリオレフイン系樹脂製繊維を主成分とし
たシート状物」を正極側に配する事で、上記酸化劣化に
よる性能低下を回避できる事を見いだし、本発明に至っ
た。
【0054】結果、本発明のセパレータを上記配置で電
池に組み込んだ場合には、長期間の充放電サイクルを繰
り返しても、セパレータの劣化が無く、安定に電解液を
保持できる事から、長寿命の電池を得る事が可能となっ
た。
【0055】また本発明のアルカリ電池は、前記アルカ
リ電池用セパレータを、正極と負極の隔離に用いたもの
である事を要旨とする。
【0056】前述の如く本発明のアルカリ電池用セパレ
ータは(1)アンモニアトラップ性能に優れるから自己
放電量がより低減し容量保持率に優れる(2)強度が強
く電池の短絡による不良が生じない,(3)長期間の充
放電を繰り返しても、電解液の保持性が劣化せず長寿命
(4)ガス透過性に優れ、安全性が高い,(5)電解液
の吸液が早く、性能にばらつきが生じず、製造効率が高
い、以上の特性を同時に有する優れたアルカリ電池を提
供することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】本発明のポリオレフイン系樹脂製
繊維を主成分としたシート状物[A]、におけるポリオ
レフイン系樹脂の種類としては特に限定されるものでは
なく、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテ
ン,ポリスチレン,エチレン−プロピレンコポリマー,
ポリメチルペンテン等の炭化水素系の樹脂で構成された
繊維である。特にポリプロピレンは後述する硫酸処理に
おいて、90〜150℃までの非常に広範囲の温度条件
での処理が可能であり、例えば120℃以上の高温処理
も可能であるから、スルホン化を迅速に進める上で好ま
しい。
【0058】上記スルホン化処理の方法としては特に限
定されるものではなく、例えばSO 3ガス,SO2ガス等
による気相処理法や、硫酸溶液,発煙硫酸による液相処
理法等が挙げられる。
【0059】特に硫酸溶液による液相処理法によれば、
スルホン化を均一性高く行うことができ、最も好まし
い。90〜150℃の濃硫酸に浸漬してスルホン酸基を
導入する場合において、特に120〜150℃の高温で
処理する方法が、スルホン酸基を最も効率的に導入で
き、即ち効率的に総硫黄量を高くできるから好適であ
る。
【0060】上記SO3ガスによる気相処理法において
は、0.5〜30体積%のSO3ガスを使用し、15〜
40℃(例えば室温)での処理が可能である。尚上記S
3ガス濃度としては2〜20体積%が最適である。
【0061】上記の処理により総硫黄量7mg/g以
上、50mg/g以下のポリオレフイン系樹脂製繊維を
主成分としたシート状物[A](以下、A層と称するこ
とがある)を作製した。さらにA層で実施したような化
学結合によるスルホン酸基付与は、強度低下が大きいた
め、それ以外の手法による親水性処理を実施したシート
状物[B](以下、B層と称することがある)を、A層
と積層してセパレータとする。
【0062】A層のシート内においては、上記の様にし
て得られた総硫黄量7mg/g以上,50mg/g以下
のポリオレフイン系樹脂製繊維は、30質量%以上望ま
しくは50重量%以上含有する事が望ましい。上記を満
たすA層は、高いアンモニアトラップ性を発揮する事が
でき望ましい。
【0063】本発明における、A層とB層の接合方法
は、ガス透過性を阻害せず、不純物の溶出を生じない手
法であれば特に限定されず、ジェット水流又は高速空気
流を用いA層とB層の繊維を交絡させ接合する方法や、
熱プレスを行い熱接着する方法が使用できる。
【0064】本発明の接合方法としては、A層とB層の
界面にバインダーを使用し熱融着し接合する方法が有効
に利用できる。バインダーとしては、A層とB層を構成
する繊維より融点が低く、同時に電解液に浸漬された状
態で劣化しないものであればいずれのものでも使用可能
であるが、ポリオレフィン系樹脂,エチレン共重合体,
アクリル酸共重合体,メタクリル酸共重合体,酢酸ビニ
ル共重合体の少なくと1種以上を含む樹脂が良好に使用
できる。
【0065】バインダーの使用量は、セパレータ重量に
対し0.1〜50%の範囲である事が望まく、さらに望
ましくは0.5〜15%の範囲である。バインダー使用
量が少ないと、電池に巻き込んだ時2層の剥離が生じる
場合があり、バインダーを付け過ぎると、繊維間の空隙
を封鎖するため、透気度の低下を招き望ましくない。バ
インダーは2層の界面に塗布し、セパレータを構成する
繊維が融解しない温度で加熱及び加圧し接着する方法が
望ましい。
【0066】本発明に最も適した接合方法は、B層に熱
融着繊維を含むシートを使用する方法であり、上記熱融
着繊維の低融点成分を熱プレスで融解し、A層と接合す
る方法が望ましく、バインダーとなる低融点成分としは
ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹脂が望ま
しい。代表的な繊維として、ポリプピレン/ポリエチレ
ンに代表される複合繊維が使用可能であり、複合繊維の
樹脂の配置形態は、サイドバイサイド型,芯鞘型等どの
ような配置の繊維でも使用可能である。樹脂の種類とし
ては、上記ポリエチレン,ポリプロピレン以外に、ポリ
ブテン,ポリスチレン,エチレン−プロピレンコポリマ
ー,ポリメチルペンテン等が使用可能であり、融点に差
がある任意の樹脂の組み合わせが使用可能であり、低融
点成分を融解させバインダーとして使用する。
【0067】尚A層,B層は各1層ずつ積層する場合に
限らず、2層以上の複数層積層しても良い。
【0068】上記B層に用いるカルボキシル基を有する
樹脂がグラフトされている事を特徴とするシート状物
は、カード法,スパンボンド法,フィルムをスプリット
した繊維が有効に利用され、またメルトブロー法によっ
て製造された繊維であっても良い。また湿式での抄紙に
よるシートも均一性が高く有効に使用可能である。
【0069】また、ポリエチレンとポリプロピレンの複
合繊維(サイドバイサイド型、芯鞘型等)を混合し、上
記ポリエチレン成分を融解接着することにより、強固に
結合する事ができ、良好に強度保持できる。更に伸度が
2〜10%,かつ強度が10cN/デシテックス以上で
ある超高分子量ポリエチレンを混合すると、強度が向上
し、補強効果がより優れる様になるから有効である。
【0070】特に、繊維径が10μm以上の高強度ポリ
エチレン繊維をB層に混合し高強度化する事は極めて有
効であり、B層中の上記高強度ポリエチレン繊維は3〜
50重量%の範囲にあることが望ましく、さらに望まし
くは5〜30重量%の範囲である。
【0071】
【実施例】<実施例1>A層の原料として極限粘度0.
48dl/gのポリプロピレン樹脂を用い、オリフイスか
らの押出温度を220℃、単孔吐出量を0.5g/mi
n.とし、250℃,0.6kg/cm2の空気流で牽引
細化させて上記ポロプロピレン樹脂を繊維化しつつ、捕
集コンベアー上で不織布化を行う(メルトブロー法)。
その後これを135℃の98質量%の濃硫酸に3分間浸
漬しスルホン化処理を行った。B層としてポリプロピレ
ン/低密度ポリエチレンの芯/鞘構造を持ち、平均繊維
径12.4μmの短繊維(繊維長5mm)を湿式抄紙
し、熱融着により作成した不織布に、界面活性剤として
アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムを0.2重量
%繊維表面に付与したものを使用した。さらに、130
℃に熱した熱ロールプレス機により、A層のポリエチレ
ンの一部を融解し接着剤とする事で、A層とB層を一体
化しセパレータとした。そして上記セパレータを用い
て、正極側にA層の面,負極側にB層の面に向け組み込
み、SC(サブシー)サイズの密閉型のニッケル水素二
次電池を作製した。
【0072】<実施例2>上記実施例1と同様の方法に
より、A層原料(極限粘度0.73dl/gのポリプロピ
レン樹脂)を繊維化しつつ不織布化し(メルトブロー
法)、その後130℃の98質量%の濃硫酸に5分間浸
漬しスルホン化処理を行った。B層として実施例1と同
様の不織布を用い、実施例1と同様方法で、A層とB層
を一体化しセパレータとした。そして上記セパレータを
用いて、正極側にA層の面,負極側にB層の面に向け組
み込み、SC(サブシー)サイズの密閉型のニッケル水
素二次電池を作製した。
【0073】<実施例3>上記実施例1と同様の方法に
より、A層原料(極限粘度1.07dl/gのポリプロピ
レン樹脂)を繊維化しつつ不織布化し(メルトブロー
法)、その後130℃の98質量%の濃硫酸に5分間浸
漬しスルホン化処理を行った。B層として実施例1と同
様の不織布を用い、次いで接着剤となるポリオレフィン
系樹脂を主体とした微粉末の水分散液[三井化学,ケミ
パールM200]をB層に添着し、60℃乾燥する事
で、接着剤粉末をB層に対して8.5重量%添加した。
さらに、110℃に熱した熱ロールプレス機により、上
記接着剤を融解させ、A層とB層を一体化しセパレータ
とした。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層
の面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0074】<実施例4>上記実施例1と同様のA層を
用い、B層としてポリプロピレン/低密度ポリエチレン
の偏芯型鞘芯構造を持ち、平均繊維径18.0μmの短
繊維(繊維長5mm)を湿式抄紙し、熱融着により不織
布を作成した。次いで、この不織布に、アクリル酸モノ
マー(20部),ベンゾフェノン(増感剤)(0.2
部),ノニオン系界面活性剤(1部),硫酸第一鉄
(0.1部),蒸留水(78.7部)からなる水溶液を
含浸した後、脱酸素をした窒素雰囲気下の反応容器に放
置し、系内の酸素を完全に脱気した後、高圧水銀灯を用
い、184.9nm及び253.7nm付近の低波長紫外
線を、10cmの距離から1分間照射して、アクリル酸
をグラフト重合した。イオン交換水にて未反応モノマー
を十分に除去し、乾燥した。得られたB層のグラフト率
は8%であった。実施例1と同様方法で、A層とB層を
一体化しセパレータとした。そして上記セパレータを用
いて、正極側にA層の面,負極側にB層の面に向け組み
込み、SC(サブシー)サイズの密閉型のニッケル水素
二次電池を作製した。
【0075】<実施例5>上記実施例2と同様のA層を
用い、実施例4と同様のB層を用い、さらに実施例1と
同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータとし
た。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0076】<実施例6>上記実施例3と同様のA層を
用い、実施例4と同様のB層を用い、さらに実施例3と
同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータとし
た。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0077】<実施例7>上記実施例1と同様のA層を
用い、B層としてポリプロピレン/低密度ポリエチレン
の偏芯型鞘芯構造を持ち、平均繊維径15.1μmの短
繊維(繊維長5mm)を湿式抄紙し、熱融着により不織
布を作成し、さらに酸素/Arガスを1:1の体積で混
合したガス雰囲気下で、低圧水銀灯ランプ(ウシオ電機
(株)UMA−3012−TB)を用いて15cmの距
離から、1分間の紫外線照射処理を実施した。実施例1
と同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータとし
た。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0078】<実施例8>上記実施例2と同様のA層を
用い、実施例7と同様のB層を用い、さらに実施例1と
同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータとし
た。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0079】<実施例9>上記実施例3と同様のA層を
用い、実施例7と同様のB層を用い、さらに実施例3と
同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータとし
た。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0080】<実施例10>上記実施例1と同様のA層
を用い、B層としてポリプロピレン/低密度ポリエチレ
ンの偏芯型鞘芯構造を持ち、平均繊維径15.1μmの
短繊維(繊維長5mm)を湿式抄紙し、熱融着により不
織布を作成した。さらに交流コロナ放電による親水化処
理を施した、交流コロナ放電は、カスガ社,交流高周波
発生機(HFSS−201型,30kHz)を用いた。
処理は、酸素/Ar/窒素が5:5:1の体積で混合さ
れた雰囲気下で実施した。実施例1と同様の方法で、A
層とB層を一体化しセパレータとした。そして上記セパ
レータを用いて、正極側にA層の面,負極側にB層の面
に向け組み込み、SC(サブシー)サイズの密閉型のニ
ッケル水素二次電池を作製した。
【0081】<実施例11>上記実施例2と同様のA層
を用い、実施例10と同様のB層を用い、さらに実施例
1と同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータと
した。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0082】<実施例12>上記実施例3と同様のA層
を用い、実施例10と同様のB層を用い、さらに実施例
3と同様の方法で、A層とB層を一体化しセパレータと
した。そして上記セパレータを用いて、正極側にA層の
面,負極側にB層の面に向け組み込み、SC(サブシ
ー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電池を作製し
た。
【0083】<比較例1>A層の原料として極限粘度
1.49dl/gのポリプロピレン樹脂を用い、オリフイ
スからの押出温度を240℃、単孔吐出量を0.5g/
min.とし、370℃,0.6kg/cm2の空気流で
牽引細化させて上記ポロプロピレン樹脂を繊維化しつつ
(メルトブロー法)、補集コンベアー上で不織布化を行
った。さらに、100℃に熱した熱ロールプレス機に通
し、嵩密度を調節し、セパレータとした。そして上記セ
パレータを用いて、SC(サブシー)サイズの密閉型の
ニッケル水素二次電池を作製した。
【0084】<比較例2>極限粘度1.50dl/gのポ
ロプロピレン樹脂を用い、ノズル孔経0.35mmを有
する溶融紡糸スパンボンド製造機を用いて、吐出量1.
7kg/分で溶融紡出し、繊維径が18μmになるよう
に紡糸温度と高速気流の調整をおこなった。100℃に
熱した熱ロールプレス機に通し、嵩密度を調節した後、
実施例4と同様のグラフト化処理を2回実施し、グラフ
ト化率18%のセパレータを得た。そして上記セパレー
タを用いて、SC(サブシー)サイズの密閉型のニッケ
ル水素二次電池を作製した。
【0085】<比較例3>ポリビニルアルコール製湿式
抄紙不織布[廣瀬製紙(株)製VN48]を用い、12
0℃に熱した熱ロールプレス機に通し、嵩密度を調節し
た後セパータとした。そして上記セパレータを用いて、
SC(サブシー)サイズの密閉型のニッケル水素二次電
池を作製した。
【0086】上記実施例1〜12及び比較例1〜3のセ
パレータの各種物性、及び上記各ニッケル水素二次電池
の容量保持率の測定を行った。これらの結果を表1〜3
に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】 上記表1〜3から分かる様に、実施例1〜12のセパレ
ータはA層の総硫黄量が高く、従ってセパレータ全体と
しても総硫黄量の高いものとなり、よってアンモニアト
ラップ率が高くなったと考えられ、結果、電池の容量保
持率が高い。また、B層による補強効果も十分にあり、
短絡確率も実用上必要とされる10%以下の値を十分に
満たしている。
【0090】これに対し比較例1のセパレータは、アン
モニアトラップ率は高いが、繊維の強度が極端に低く、
電池に組み込んだ際に短絡が生じるため、電池の性能を
測定する事ができなかった。また比較例2のセパレータ
においては、実施例のセレータよりも、アンモニアトラ
ップ率,容量保持率共に低く、長期充放電サイクルテス
トにおいても、劣化が早く低寿命であった。比較例3で
はアンモニアトラップ性がほとんど無いため、電池の容
量保持率が低い値になっており、同時にサイクル寿命が
短いという問題が生じた。
【0091】比較例3のサイクル寿命測定後の、電池を
解体しセパレータを取り出したところ、正極に接した部
分の劣化が大きい事が目視にて確認された。
【0092】尚以下に極限粘度,総硫黄量,嵩密度,ア
ンモニアトラップ率,容量保持率,サイクル寿命,電池
短絡率,電解液吸液速度の測定方法について説明する。
【0093】・極限粘度(IV) 溶媒としてテトラリンを使用し、試料を該テトラリンに
溶解し、該溶解液をガラス濾過器で濾過した後、Ubbelo
hdeの粘度計を用いて135±0.1℃の温度で測定を
行う。尚使用するテトラリンには、予め0.2質量%の
BHT(2,4−ジ−t−プチル−p−クレゾール)を
添加しておき、試料が溶解する際の酸化劣化を防止す
る。試料の溶解液の濃度としては、1g/1000cc
とする。Huggins定数(k′)としては0.35の値を
用いる。尚該測定法は「実験化学講座8高分子化学
(上),第5章粘度,日本化学会,1963年5月15
日」に準じている。
【0094】・総硫黄量 「基礎分析化学講座,第11巻,日本分析化学会(共立
出版),第34〜43頁,1965年9月」に記載の方
法に準じ、フラスコ燃焼法により実施する。
【0095】・嵩密度 A層とB層を注意深く分離し、付着している不純物を十
分に洗浄し、次いで60℃での熱風乾燥を2時間行っ
て、更に60℃での真空乾燥を20時間行い、恒量とな
った後の重量を基準として目付を測定する。A,B各層
の厚みは、分離しない一体化状態で、セパレータの断面
をSEM観察して各層の厚みを測定する。そして下式
(1)により高密度(g/cm3)を算出する。 高密度=1cm2当たりの目付量(g/cm2)/層の厚み(cm) ・・・(1 )
【0096】尚A,B層の分離が困難な場合は、重量基
準として、A,B層一体化したままで上述と同様に付着
不純物を洗浄後、60℃での熱風乾燥2時間、60℃で
の真空乾燥を20時間行い、恒量となった後の重量を用
いる。そしてセパレータの断面のうちランダムに30点
を測定対象とし、該測定箇所においてA層とB層が各々
独立して存在する部分についての画像解析を行って繊維
の占有体積を求め、上記樹脂の真比重に基づいて嵩密度
を算出する。
【0097】・アンモニアトラップ率 ナス型フラスコに8N−水酸化カリウム溶液1000c
cと、乾燥重量1.0gのセパレータを投入し、真空脱
気することによりセパレータ内の空気を抜き、該セパレ
ータを完全に上記水酸化カリウム溶液に漬す。真空脱気
を解いた後、1N−アンモニア水溶液を0.1cc投入
し、アンモニア濃度を3×104モルに調整する。次い
で完全に密栓し、45℃に72時間放置した後、残存す
るアンモニア量を測定し、この値から検量線に基づいて
セパレー夕にトラップされたアンモニア量を算出する。
アンモニアトラップ率は、トラップされたアンモニア量
を初期存在量に対する百分率(%)で表す。尚アンモニ
ア濃度の測定は、JISK0102.42.2に準じて
吸光光度法により行う。
【0098】アンモニアを既にトラップ済みのセパレー
タを測定する場合は、前処理として、先ず純水でセパレ
ータを水洗し、その後セパレータの200倍の重量の1
N−塩酸中に10時間以上浸漬し、再度水洗を行い、次
いで60℃,2Paの条件で20時間真空乾燥して再生
する。その後、上述の様にしてアンモニア量を測定し、
アンモニアトラップ率を求める。
【0099】・容量保持率 先ずペースト式水酸化ニッケル正極とペースト式水素吸
蔵合金負極、及びセパレータを渦巻き条に捲回し、SC
サイズの密閉型電池を作製する。尚この電池の電解液と
しては、水酸化リチウムを添加した水酸化カリウム水溶
液を用いる。
【0100】前準備の初期活性化処理として、45℃で
6時間保持する。その後20℃の空気雰囲気下において
0.2Cで6時間充電の後、0.2C放電(放電終止電
圧1.0V)し、この充電・放電の操作を7回繰り返
す。
【0101】次に0.2Cで6時間充電し、1時間休止
の後、0.2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量
を測定し、測定値C0とする。そして0.2Cで6時間
充電して45℃の空気雰囲気下で168時間保存し、そ
の後20℃で6時間放冷し、0.2C放電(終止電圧
1.0V)での放電容量を測定して測定値C1とする。
次いで0.2Cで6時間充電し、1時間休止の後、0.
2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量を測定し、
測定値C2とする。尚上記0.2C放電とは、満充電し
た電池を5時間かけて放電することであり、この際放電
の電流値を適切な値に設定する。
【0102】上記測定値を基に下式(2)により容量保
持率を算出する。 容量保持率(%)=C1×2/(C0+C2)×100 …(2)
【0103】尚自己放電量(%)と容量保持率(%)と
の関係は、下式(3)で表される。 容量保持率=100−自己放電量 ・・・(3)
【0104】・サイクル寿命 上記容量保持率測定後の電池を用い、0.2Cで、充放
電を繰り返し、放電容量が初期容量の60%となった時
点を寿命と規定し、寿命に至るまでの充放電サイクル数
を、サイクル寿命[回]と規定した。
【0105】・電池短絡率 容量保持率の測定が完了するまでに、電池の内部で短絡
が生じ測定不能となった電池数をカウントし、作成電池
に対する割合(%)で表示した。
【0106】・電解液吸液速度 電解液吸液速度は、下記(1)〜(2)に記載する試験
法で測定した。 (1)各アルカリ電池用セパレータから試験片(幅2.
5cm、長さ10cmに切断したセパレータ)を採取
し、60±2℃の下に予備乾燥を行い、公定水分率以下
にする。その後、試験片を標準温湿度状態の試験室に放
置し、その後試験片を1時間以上の間隔で計量し、その
前後の質量差が後の質量の0.1%以内になった状態
(水分平衡状態)とした。 (2)(1)の試験片の先端部5mmを比重1.3の水
酸化カリウム水溶液に浸漬する。30分後に電解液を吸
い上げた高さを電解液吸液速度(mm/30min)と
した。
【0107】以上の様に、本発明に係る電池用セパレー
タ,アルカリ電池に関して、実施例を示しつつ具体的に
説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳で
はなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加
えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
【0108】
【発明の効果】本発明に係る電池用セパレータはアンモ
ニアトラップ性能に非常に優れ、自己放電の抑制機能を
有する。しかも強度が高く繊維の切断の可能性が少な
い、従って電池とした際の短絡事故発生の恐れが少な
く、電池不良率が低くなる。また特殊2層構造により酸
素ガスの透過性が良好である。電解液が急速にかつ均一
にセパレータに吸液され、電池の生産性向上とともに、
電池寿命の向上に寄与する。更に該セパレータを用いた
電池は自己放電が少なく容量保持率に優れ、不良率が少
なく、電池の内圧上昇が無く安全性に優れ、同時に長寿
命である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 全広 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 5H021 BB15 CC02 CC04 EE04 EE16 EE18 HH01 HH03 5H028 AA05 EE06 HH01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルホン酸基が化学結合されたポリオレフ
    イン系樹脂を主成分とした繊維からなるシート状物
    [A]と、化学結合によるスルホン酸基付与以外の親水
    化処理がされたシート状物[B]が、積層されている事
    を特徴とするアルカリ電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】請求項1において、[B]が、カルボキシ
    ル基を有する樹脂によるグラフト処理,コロナ放電,プ
    ラズマ処理,紫外線照射,オゾン酸化処理,フッ素ガス
    処理,界面活性剤の付与のうち、少なくとも1つの親水
    化処理がされたシート状物である事を特徴とするアルカ
    リ電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】前記シート状物[B]が、グラフト化率1
    5重量%以下のグラフト化処理がなされたシート状物で
    ある事を特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の
    電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】前記シート状物[B]が、ポリオレフイン
    系樹脂を主成分とした繊維からなるシート状物であり、
    かつ界面活性剤の付与による親和水化処理がされている
    事を特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のア
    ルカリ電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】前記シート状物[B]の電解液吸液速度が
    20mm/30分以上である事を特徴とする、請求項1
    乃至4いずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  6. 【請求項6】前記シート状物[A]の電解液吸液速度が
    20mm/30分未満である事を特徴とする、請求項1
    乃至5のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】前記シート状物[A]と前記シート状物
    [B]が、オレフィン系バインダーで接合されている事
    を特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のアル
    カリ電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】前記シート状物[A]を構成する繊維の平
    均繊維径が8μm未満であり、前記シート状物[B]を
    構成する繊維の平均繊維径が8μm以上である請求項1
    乃至7のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  9. 【請求項9】前記シート状物[A]が、極限粘度が0.
    2dl/g以上、1.4dl/g以下のポリオレフイン
    系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られ、且つ該得ら
    れた繊維1gあたりの総硫黄量が7mg以上,50mg
    以下である繊維を主成分としたシート状物である事を特
    徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載のアルカリ
    電池用セパレータ。
  10. 【請求項10】総硫黄量7mg/g以上,50mg/g
    以下のポリオレフイン系樹脂製繊維が、前記シート状物
    [A]に含有され、且つ電池用セパレータ全体に対して
    20質量%以上含まれていることを特徴とする請求項1
    乃至9のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  11. 【請求項11】前記シート状物[A]の総硫黄量が、1
    20mg/m2 以上である請求項1乃至10のいずれか
    に記載のアルカリ電池用セパレー夕。
  12. 【請求項12】前記シート状物[A]を電池正極側,前
    記シート状物[B]を電池負極側に配置した事を特徴と
    する、請求項1乃至11のいずれかに記載のアルカリ電
    池用セパレ−タ。
  13. 【請求項13】請求項1乃至12のいずれかに記載の電
    池用セパレータを、正極と負極の隔離に用いたものであ
    る事を特徴とするアルカリ電池。
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