JP3327270B2 - 電池用セパレータ及びアルカリ電池 - Google Patents

電池用セパレータ及びアルカリ電池

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JP3327270B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用セパレータ
及び該電池用セパレータを用いたアルカリ電池に関する
ものである。この様なアルカリ電池、特にアルカリ二次
電池は例えば電気自動車や電気工具等のバッテリー用と
して利用される。
【0002】
【従来の技術】電池は正極,負極,電解質,セパレー
タ,及び容器に大別され、上記正極と負極が上記セパレ
ータにより隔絶され、上記電解質液に浸漬された状態で
容器内に収納されている。上記セパレータとしては一般
的にポリアミド系繊維,ポリプロピレン繊維,アクリル
繊維等からなる不織布が用いられている。
【0003】電池の特性には正極,負極,電解質の性状
だけでなく、セパレータも大きく関与することが分かっ
ており、該セパレータについて種々の改良が試みられて
いる。
【0004】電池特性に関してニッケル−水素電池等の
アルカリ電池においては自己放電が比較的大きいことか
ら、昨今この自己放電の制御が大きな課題として取り上
げられている。
【0005】上記自己放電は硝酸根に起因することが知
られており、該硝酸根は電池内に混入したアンモニアが
酸化されることにより生成する。従ってアンモニア量を
低減すれば硝酸根も減少し、自己放電の抑制が期待でき
るのであるが、アンモニアは電極の製造工程において混
入され易く、電池へのアンモニア混入を完全に防ぐこと
は極めて困難である。
【0006】そこで電池内に混入したアンモニアが硝酸
根となる前にセパレータによって捕捉(トラップ)し、
遊離のアンモニアを減少させることにより、生成する硝
酸根量を低減するという手法が検討されている。
【0007】例えば特開平10−116600号公報に
は、ポリオレフィン繊維で構成されたセパレータをビニ
ル単量体によってグラフト化したものが示されており、
この得られたセパレータによりアンモニア等の窒素の吸
収及び保持を行っている(従来例)。
【0008】しかし上記従来例におけるアンモニアの
トラップは、基本的にカルボン酸基によるトラップであ
り、上記カルボン酸基は電解液に多量に共存するカリウ
ムイオンと選択的に結合する傾向が強いから、上記アン
モニアのトラップ量は低い量に止まる。加えて上記ビニ
ル単量体により親水化処理を行ったセパレータは耐熱性
に劣り、例えば60℃以上の比較的高温の環境下にあっ
ては、酸性基の脱落等が起こり、アンモニアトラップ性
能を維持することが困難である。
【0009】また他のセパレータとして、第28回電池
討論会予稿集(第113頁,1987年)にポリプロピ
レンをスルホン化したセパレータが提案されており(従
来例)、この様なスルホン化ポリプロピレン製不織布
セパレータを用いると、従来用いられていたポリアミド
系セパレータよりも自己放電が少なく、高い容量保持率
を示すことが記載されている。
【0010】しかし上記従来例の提案は、窒素系の不
純物をセパレータから溶出させないことを目的としたセ
パレータであり、アンモニアを積極的にトラップするこ
とを考慮したものではなく、上記提案における実験では
アンモニアトラップ能として不十分であり、アンモニア
トラップ性能に関する検討が必要である。
【0011】そこでアンモニアトラップ性能を向上させ
る為にスルホン酸基を多量に導入することが考えられる
が、ポリオレフィン系樹脂製繊維は耐酸性に優れるか
ら、スルホン化の条件を強めても繊維表面に集中的にス
ルホン酸基が導入されるだけであり、しかもこの集中的
にスルホン酸基が導入された部分は強度が低くなるから
繊維の強度低下を招く上、この繊維表面のスルホン化部
分が崩壊して剥離を生じる場合がある為に、結果として
スルホン酸基量の多いセパレータを得ることが困難であ
る。
【0012】また特開平10―326607号公報(従
来例)には、スルホン化度の指標として硫黄濃度を用
いることができることが示され、その実施例において硫
黄濃度7mg/gのセパレータが挙げられているが、これ
は単繊維繊度を0.01〜0.1デニールという様に極
めて小さくすることによって表面積を大きくした結果で
あると考えられる。即ち表面積を大きくすることによ
り、集中的にスルホン酸基が導入されることを回避しつ
つ、スルホン酸基の総導入量を多くしたものであると考
えられる。
【0013】しかし同公報に示される如く、単繊維繊度
が0.01〜0.1デニールのポリプロピレン繊維のセ
パレータを得る為には、製造方法として、海成分をポリ
アミド樹脂、島成分をポリプロピレンとした海島型複合
繊維とオレフィン系バインダー繊維との混合繊維からな
るものを原料として用い、これをスルホン化処理して上
記ポリアミド樹脂を溶解除去することによって、0.0
1〜0.1dのポリプロピレン繊維を得るという方法を
採用せざるを得ず、この様な製造法では海島型複合繊維
の中央部分までポリアミド樹脂をスルホン化処理のみで
完全に除去することは困難であり、残存するポリアミド
が逆に電池の自己放電の原因物質となるという問題があ
る。
【0014】加えて0.01〜0.1dもの極細繊維を
セパレータに用いると、通気性が低くなり過ぎ、電池の
充電末期に正極において生成する酸素ガスを負極に十分
に透過できず、この為に電池が膨張して電解液漏れ、更
には電池の破裂が生じる懸念がある。また極細化の為に
繊維強度も非常に低下するから、繊維が断線して短絡を
生じる恐れがある。
【0015】また従来例においては、電解液との親和
性の観点からスルホン酸基を最適化することを図ったも
のであり、アンモニアトラップ性能を考慮した最適化の
観点に欠けるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】繊維を高度にスルホン
化する、即ち含有する硫黄量を高くするとアンモニアト
ラップ性能の向上が見込まれるのであるが、上述の様に
ポリオレフィン系樹脂製繊維にスルホン酸基を多く導入
しようとすると、繊維表面部分の崩壊,剥離が生じるこ
とがある。本発明者らが鋭意検討した結果、この理由は
従来セパレータに汎用されているポリオレフィン系樹脂
製繊維(例えばポリプロピレンのスパンボンド繊維、ポ
リプロピレン/ポリエチレンの複合芯鞘繊維等)が、高
い極限粘度のものであるからであることが分かった。極
限粘度の高いポリオレフィン系樹脂製繊維は紡糸のし易
さの観点から汎用されているのであるが、この様な高極
限粘度ポリオレフィン系樹脂繊維は耐酸性に優れるの
で、無理矢理スルホン化を進めると、上述の様に繊維の
強度低下を招くに至り、またスルホン化した部分の崩
壊,剥離が生じ、結果的にスルホン酸基量があまり多く
ないものとなるのである。
【0017】そこで本発明者らは、特定の極限粘度を示
すポリオレフィン系樹脂製繊維であれば、スルホン化を
行っても繊維表面の崩壊を招かずにアンモニアトラップ
性能の向上したセパレータを得ることができる点を見出
し、既に特許出願している(特願平11−96546
号)。
【0018】そして更に本発明では、一層アンモニアト
ラップ性能を向上させたセパレータを提供することを目
的とし、またこのセパレータを用い、自己放電量がより
低減し、容量保持率に優れたアルカリ電池を提供するこ
とを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電池用セパ
レータは、極限粘度が0.2〜1.0dl/gのポリオレ
フィン系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られる繊維
を20質量%以上含有する電池用セパレータであって、
且つ前記スルホン化処理後の繊維は、1gあたりの総硫
黄量が10mg超、50mg以下であることを要旨とする。
【0020】極限粘度が0.2〜1.0dl/gのポリオ
レフィン系樹脂製繊維をスルホン化剤(硫酸等)でスル
ホン化した際には、繊維表面の崩壊といったポリオレフ
ィン系樹脂自体の機械的強度低下があまり生じない状態
で、多量の硫黄原子、即ちスルホン酸基等といったアン
モニアのトラップサイトを導入することができる。つま
り単繊維繊度を小さくして繊維表面積を大きくせずと
も、硫黄含量を上げることができ、よって上記従来例
の様な製造方法によらずとも、高硫黄含有量のポリオレ
フィン系樹脂製繊維を得ることが出来る。また繊維強度
としてもあまり低下しないから、セパレータを電池に組
み込んだ場合に、セパレータの繊維切断により短絡が生
じると言った恐れが低減される。
【0021】より好ましくは極限粘度0.4dl/g以
上、0.9dl/g以下である。尚上記極限粘度は、後述
する様にテトラリン溶媒を用いて測定した値である。
【0022】硫黄含有量はアンモニアトラップ能の指標
とすることができ、繊維1g当たりの総硫黄量が10mg
超であれば、アンモニアトラップ率が高いものとなる。
硫黄量が多いほど、アンモニアトラップ能が向上するこ
とが知られていたが、総硫黄量が10mgを超える程のセ
パレータは、従来実現されておらず、それが今回実現に
至ったものである。また従来では作製が困難であった
為、該総硫黄量10mg超のセパレータとアンモニアトラ
ップ能の関係については検討がなされていなかったが、
今回本発明者らが作製した総硫黄量10mg超のセパレー
タを検討したところ、該セパレータにおいてはアンモニ
アトラップ率が劇的に向上することが分かった。
【0023】一方総硫黄量が50mgを超えてもあまりア
ンモニアトラップ率の向上が期待できず、また50mg超
の総硫黄量とするには、本発明の手法をもってしても強
度の著しい低下を招くから好ましくなく、よって50mg
以下とした。より好ましくは30mg以下であり、更に好
ましくは20mg以下である。
【0024】そしてこの様な繊維をセパレータに20質
量%以上含有させておけば、電池に用いた場合に該セパ
レータが良好にアンモニアをトラップし、その結果自己
放電が低減されて容量保持率が向上する。より好ましく
は上記繊維の含有量30質量%以上である。
【0025】尚セパレータ中の上記ポリオレフィン系樹
脂製繊維以外の繊維としては、強度に優れた繊維を用い
ることが好ましく、セパレータ全体の補強を図ることが
できる。この場合に上記ポリオレフィン系樹脂製繊維と
しては80質量%以下とし、残りを補強用繊維とすると
良い。
【0026】或いは本発明に係る電池用セパレータは、
複数のシート状物が積層された電池用セパレータにおい
て、前記シート状物のうちあるシート状物が、極限粘度
が0.2〜1.0dl/gのポリオレフィン系樹脂製繊維
をスルホン化処理して得られ、且つ該得られた繊維1g
あたりの総硫黄量が10mg超,50mg以下である繊維を
主成分としたシート状不織布[A]であり、また他のあ
るシート状物が、繊維1gあたりの総硫黄量が7mg以下
(0mgを含まない)のポリオレフィン系樹脂製繊維を主
成分としたシート状不織布[B]であり、前記シート状
不織布[A]と前記シート状不織布[B]が各1層以上
積層されたものであることを要旨とする。
【0027】換言すれば、極限粘度が0.2〜1.0dl
/gのポリオレフィン系樹脂製繊維をスルホン化処理し
て得られ、且つ黄量が10mg/g超,50mg/g以下のポ
リオレフィン系樹脂製繊維を有するシート状不織布
[A]の層と、総硫黄量が7mg/g以下(0mgを含まな
い)のポリオレフィン系樹脂製繊維を有するシート状不
織布[B]の層が、それぞれ1層以上積層された電池用
セパレータであることを要旨とする。
【0028】上記シート状不織布[A]は前述の如く、
極限粘度が0.2〜1.0dl/gであるからポリオレフ
ィン系樹脂製繊維の表面の崩壊があまり生じない状態
で、多量のスルホン酸基の導入を行うことができ、よっ
て繊維1gあたりの総硫黄量を10mg超にでき、アンモ
ニアトラップ能に優れる。また前述と同様に50mg/g
超の総硫黄量とすると強度低下を招くから好ましくな
く、よって50mg/g以下とした。より好ましくは総硫
黄量30mg/g以下であり、更に好ましくは20mg/g以
下である。また上記極限粘度が0.4dl/g以上、0.
9dl/g以下であることが好ましい。
【0029】上述の様にシート状不織布[A]において
は特定の極限粘度のポリオレフィン系樹脂製繊維を用い
ることにより、スルホン化処理を施しても繊維の強度低
下を比較的抑えることができるものの、やはり高度にス
ルホン化した繊維はある程度の強度低下を招く。しかし
上記シート状不織布[B]を積層して補強することによ
り、セパレータ全体としての強度向上を図ることができ
る。上記シート状不織布[B]は繊維1gあたりの総硫
黄量が7mg以下のポリオレフィン系樹脂製繊維を主成分
としたものであるが、該シート状不織布[B]はシート
状不織布[A]よりもスルホン化度が低く、繊維強度が
保たれている。シート状不織布[B]においてより好ま
しくは総硫黄量が5mg以下である。
【0030】シート状不織布[B]としては総硫黄量が
7mg/g以下(0mg/gを含まない)であって、この様に
多少スルホン化処理を施したものとすることにより、電
解液に対して親和性(濡れ性)が向上するから好まし
い。また積層されたシート状不織布[B]の電解質液親
和性が良好であれば、シート状不織布[A]のアンモニ
アトラップ性能を殆ど阻害することもない。電解液との
親和性確保の点から、シート状不織布[B]の繊維1g
あたりの総硫黄量は0.1mg以上が望ましく、より好ま
しくは0.5mg以上である。
【0031】上記シート状不織布[A]と上記シート状
不織布[B]は各1層ずつ積層する場合に限らず、各2
層ずつ以上積層したもの、或いはシート状不織布[A]
2層と上記シート状不織布[B]1層を積層したもの
等、様々な組み合わせで積層したものあっても良い。
【0032】更に本発明においては、前記シート状不織
布[A]に含有される総硫黄量10mg/g超,50mg/g
以下のポリオレフィン系樹脂製繊維が、電池用セパレー
タ全体に対して20質量%以上含まれていることが好ま
しい。
【0033】20質量%以上であれば、このセパレータ
を電池に用いた場合に良好にアンモニアをトラップし、
その結果自己放電が低減されて容量保持率が向上する。
【0034】加えて本発明においては、前記シート状不
織布[A]の総硫黄量が、150mg/m2以上であること
が好ましい。
【0035】この様に150mg/m2以上であれば、アン
モニアトラップに有効なスルホン酸基が十分に存在し、
アンモニアトラップ性能に非常に優れるからである。よ
り好ましくは160mg/m2以上である。一方あまりにス
ルホン酸基が多く、即ち総硫黄量が多い場合は、繊維の
強度低下が懸念されるから、500mg/m2以下であるこ
とが好ましい。
【0036】また本発明においては、前記シート状不織
布[A]の嵩密度が0.5g/cm3以上であり、前記シー
ト状不織布[B]の嵩密度が0.4g/cm3以下であるこ
とが好ましい。
【0037】シート状不織布[A]の嵩密度が0.5g/
cm3以上であれば、保液性が高く電解質液中等に存在す
るアンモニアとの接触機会が多くなり、アンモニアを効
率的にトラップすることができる。また嵩密度を高くす
ることにより、正極と負極を良好に隔離できる、即ち正
極や負極からの活性物質を良好に阻止することができ、
電池の短絡防止性に優れる。より好ましくはシート状不
織布[A]の嵩密度として0.6g/cm3以上である。
【0038】一方、セパレータの特性として電池の充電
末期に発生する酸素ガスの透過性が要求されるから、あ
まり嵩密度が高いとこのガス透過性に劣るものとなる。
従ってシート状不織布[A]の嵩密度として0.85g/
cm3以下とするのが好ましく、これによりガス透過性の
低下を招くことなく、セパレータとして良好に作用させ
ることができる。
【0039】また上述の様にシート状不織布[A]はア
ンモニアのトラップ効率の観点からあまり粗なものとす
ることができないが、シート状不織布[B]にあっては
より嵩密度の低いもとのすることができ、上述の様にシ
ート状不織布[B]の嵩密度が0.4g/cm3以下であれ
ば、ガス透過性が非常に良好である。加えて電解質液中
等に存在するアンモニアがシート状不織布[B]を良好
に通過してシート状不織布[A]に到達する。シート状
不織布[B]の嵩密度は0.35g/cm3以下であること
がより好ましい。
【0040】一方シート状不織布[A]の補強の観点か
ら、シート状不織布[B]の嵩密度としては0.15g/
cm3以上であることがより好ましい。
【0041】上記の様に総硫黄量の高いシート状不織布
[A]を高密度とし、補強層であるシート状不織布
[B]を低密度とすることにより、アンモニアトラップ
効率が高まる。
【0042】加えて本発明においては、前記シート状不
織布[A]を構成する繊維の平均繊維径が8μm以下で
あり、前記シート状不織布[B]を構成する繊維の平均
繊維径が10μm以上であることが好ましい。
【0043】シート状不織布[A]の繊維の平均繊維径
が8μm(ポリプロピレンの場合では0.41デニール
に相当)以下であれば、電解液の保液性が良好で、また
十分に広い繊維表面積となるからアンモニアを繊維表面
に良好にトラップすることができる。尚上記汎用のポリ
オレフィン系樹脂製の極細繊維をスルホン化した場合
は、繊維径が太いものの場合に比べて強度が極端に低下
し、その結果繊維が切断してピンホールが生じる懸念が
あり、このセパレータを組み込んだ電池内部において短
絡が生じるといった問題があるが、本発明における上記
極限粘度0.2〜1.0dl/gのポリオレフィン系樹脂
製繊維を用いた場合にあっては、極端な強度低下が生じ
ないから、繊維が断裂してピンホールを生じる恐れが少
ない。
【0044】またシート状不織布[A]の繊維の平均繊
維径が3μm以上(ポリプロピレンの場合では0.05
7デニールに相当)であることがより好ましく、更に好
ましくは平均繊維径4μm以上(ポリプロピレンの場合
では0.102デニールに相当)である。3μm以上
(更には4μm以上)であればシート状不織布の均一性
を保つことが容易となって、ピンホールの生じる確率が
低くなり、よって電池の短絡防止性に優れた特性を発揮
する。また同時にガス透過が可能な微細な繊維間空隙を
確保することができるから、充電末期に発生するガスの
透過性も十分に保持できる。尚ガス透過性に関しては、
JIS L1096の通気性A法に準じ、フラジール型
試験機での測定値で、7cm3/cm2/s以上であることが好
ましい。
【0045】この様に繊維が細く、且つ前述の様に嵩密
度が高いものであれば、アンモニアとの接触効率が非常
に高くなり、よって電池とした際に自己放電が良好に抑
制され、高い容量保持率となる。
【0046】またシート状不織布[B]の繊維の平均繊
維径が10μm(ポリプロピレンの場合では0.64デ
ニールに相当)以上であれば、十分な補強効果を発揮す
る。より好ましくは12μm以上である。一方あまり繊
維系が太すぎると不均一な不織布となるから、50μm
以下であることがより好ましい。
【0047】更に本発明においては、前記シート状不織
布[B]を構成する繊維の断面が、矩形或いは楕円形で
あることが好ましい。
【0048】前述の様に電池のセパレータはある程度の
ガス透過性が必要であるが、シート状不織布[A]を補
強するという観点からはシート状不織布[B]をあまり
粗なものとすることができない。この点、同じ繊度で比
較すると、断面が真円形の繊維に比べて断面が矩形或い
は楕円形の繊維を用いた不織布は、嵩高なバルキー状と
なりガス透過性に優れる。また電解質液中等に存在する
アンモニアが良好にシート状不織布[A]に到達する。
【0049】加えて繊維断面が矩形や楕円形のシート状
不織布[B]は、シート状不織布[A]と積層した際に
繊維が効果的に絡み合い、不織布[A]と不織布[B]
が分離する懸念が小さく、信頼性が高まる。
【0050】また本発明に係るアルカリ電池は、前記電
池用セパレータを正極と負極の隔離に用いたものである
ことを要旨とする。
【0051】前述の如く上記電池用セパレータはアンモ
ニアトラップ性能に優れるから、アルカリ電池に用いた
場合に自己放電が低減され、容量保持率が良好となる。
尚上記アルカリ電池としては、ニッケル水素二次電池や
ニッケルカドミウム二次電池(ニッカド電池)等が挙げ
られる。
【0052】
【発明の実施の形態】本発明の電池用セパレータに用い
られるポリオレフィン系樹脂の種類としては特に限定さ
れるものではなく、例えばポリエチレン,ポリプロピレ
ン,ポリブテン,ポリスチレン,エチレン−プロピレン
コポリマー等の炭化水素系の樹脂で構成された繊維であ
る。特にポリプロピレンは後述する硫酸処理において、
90〜150℃までの非常に広範囲の温度条件での処理
が可能であり、例えば120℃以上の高温処理も可能で
あるから、スルホン化を迅速に進める上で好ましい。
【0053】そして上記ポリオレフィン系樹脂のうちで
も極限粘度が0.2〜1.0dl/gの繊維を用い、これを
スルホン化処理して総硫黄量が10mg/g超,50mg/g以
下の繊維を得る。
【0054】上記スルホン化処理の方法としては特に限
定されるものではなく、例えばSO 3ガス,SO2ガス等
による気相処理法や、硫酸溶液,発煙硫酸による液相処
理法等が挙げられる。
【0055】特に硫酸溶液による液相処理法によれば、
スルホン化を均一性高く行うことができ、最も好まし
い。90〜150℃の濃硫酸に浸漬してスルホン酸基を
導入する場合において、特に120〜150℃の高温で
処理する方が、スルホン酸基を最も効率的に導入でき、
即ち効率的に総硫黄量を高くできるから好適である。
【0056】上記SO3ガスによる気相処理法において
は、0.5〜30体積%のSO3ガスを使用し、15〜
40℃(例えば室温)での処理が可能である。尚上記S
3ガス濃度としては2〜20体積%が最適である。
【0057】上記の様にして得られた総硫黄量10mg/g
超,50mg/g以下のポリオレフィン系樹脂製繊維を20
質量%以上含有する様にして、例えば不織布を作製して
セパレータとする。
【0058】或いは上記総硫黄量10mg/g超,50mg/g
以下のポリオレフィン系樹脂製繊維を主成分としたシー
ト状不織布[A](以下、A層と称することがある)を
作製し、シート状不織布[B](以下、B層と称するこ
とがある)と積層してセパレータとする。上記B層の原
料繊維としては極限粘度が比較的高いものであっても良
く、総硫黄量7mg以下(0mgを含まない)のポリオレフ
ィン系樹脂製繊維を主成分とするものである。
【0059】上記A層と上記B層が積層されたセパレー
タの製造方法としては、A層,B層を別々にスルホン化
処理して上記の如くの総硫黄量のものとし、その後積層
する様にしても良く、或いはスルホン化前に予めA層と
B層を積層しておき、その後スルホン化処理を行う様に
しても良い。
【0060】後者の手法の場合は、B層のポリオレフィ
ン系樹脂製繊維として極限粘度が1.0dl/g超のものを
用いると良く、このB層と上記A層(極限粘度0.2〜
1.0dl/g)を同時にスルホン化処理すると、B層はA
層に比べてスルホン化され難いから、A層よりB層の方
が弱いスルホン化の程度となる。この様にスルホン化特
性に差があるから、ポリオレフィン系樹脂製繊維の総硫
黄量10mg/g超,50mg/g以下のA層と、ポリオレフ
ィン系樹脂製繊維の総硫黄量7mg/g以下のB層を1回
のスルホン化処理操作で得ることができる。このB層は
スルホン化の程度が弱いから繊維強度が十分に保たれて
おり、またある程度はスルホン化されているから濡れ性
も良好である。尚B層のポリオレフィン系樹脂製繊維の
極限粘度としては、1.5dl/g超であることがより好ま
しい。
【0061】上記の様にアンモニアトラップ性能に優れ
たA層と、強度の優れたB層を積層することによって、
両性能を併せ持つ電池用セパレータが得られる。
【0062】A層とB層の積層方法としては特に限定さ
れるものではなく、例えば水流や気流等でA,B層の繊
維を交絡することにより積層一体化する方法や、A層と
B層を熱融着により積層一体化する方法等が挙げられ
る。
【0063】また予めB層の不織布を製造し、このB層
の上にA層の繊維を溶融紡糸直後に積層して、A層繊維
の凝固によって一体化させても良い。或いは逆に予めA
層の不織布を製造しておき、このA層の上にB層の溶融
紡糸直後の繊維を積層して凝固一体化しても良い。これ
らのうち後者の方がB層の強度がより保たれるので好ま
しい。またこの様な溶融紡糸直後の繊維の凝固によって
A,B層を一体化した場合にあっては、完全な一体化と
なり、分離し難く好ましい。
【0064】尚A層,B層は各1層ずつ積層する場合に
限らず、2層以上の複数層積層しても良い。
【0065】A層とB層の積層の状態としては、セパレ
ータの平面方向にA層の上記ポリオレフィン系樹脂製繊
維が均一に分布していることが好ましく、この様に均一
に分布されていると、拡散によりセパレータを通過した
アンモニアを逃がさずトラップすることが出来るからで
ある。
【0066】上記B層に用いるポリオレフィン系樹脂製
繊維としては、スパンボンド法により製造された繊維
や、フィルムをスプリットした繊維が有効に利用され、
またメルトブロー法によって製造された繊維であっても
良い。また例えばポリエチレンとポリプロピレンの複合
繊維(サイドバイサイド型、芯鞘型等)であっても良
く、この場合は上記ポリエチレン成分を融解接着するこ
とにより、良好に強度保持できる。更に伸度が2〜10
%の超高分子量ポリエチレンを混合すると、強度が向上
し、補強効果がより優れる様になるから有効である。
【0067】
【実施例】<実施例1>B層としてポリプロピレン製不
織布[旭化成工業(株)製 PU5020](極限粘度1.0
3dl/g)を用いる。A層の原料として極限粘度0.58
dl/gのポロプロピレン樹脂を用い、オリフィスからの
押出温度を220℃、単孔吐出量を0.5g/min.とし、
250℃,0.6kg/cm2の空気流で牽引細化させて上記
ポロプロピレン樹脂を繊維化しつつ(メルトブロー
法)、補修コンベアー上で不織布化を行う。この際、補
修コンベアー上に上記B層のポリプロピレン製不織布を
配置しておくことにより、B層上にA層が積層される。
次いで100℃で熱プレスすることでA層とB層を一体
化し、その後これを135℃の98質量%の濃硫酸に5
分間浸漬し(スルホン化処理)、セパレータを得る。該
セパレータのA層の総硫黄量は15.8mg/g、B層の総
硫黄量は2.8mg/gである。そして上記セパレータを用
いてニッケル水素二次電池を作製する。
【0068】<実施例2>B層の原料としてポリプロピ
レン樹脂(極限粘度1.35dl/g)を用い、240℃で
溶融したポリプロピレン樹脂をノズルから押し出し、エ
アージェットにより延伸して繊維化し(スパンボンド
法)、補修コンベア上において不織布化を行う。この不
織布(B層)の上に、上記実施例1と同様の方法によ
り、A層原料(極限粘度0.38dl/gのポリプロピレ
ン樹脂)を繊維化しつつ(メルトブロー法)、不織布化
して、A層とB層を積層し、100℃で熱プレスしてA
層とB層を一体化する。その後130℃の98質量%の
濃硫酸に10分間浸漬し(スルホン化処理)、セパレー
タを得る。該セパレータのA層の総硫黄量は18.9mg
/g、B層の総硫黄量は3.5mg/gである。そして上記セ
パレータを用いてニッケル水素二次電池を作製する。
【0069】<実施例3>ポリプロピレンフィルム(厚
み5μm)を40μmの幅に裁断して繊維とし(極限粘度
1.38dl/g)、これを用いて不織布を作製する(B
層)。尚このB層の繊維断面は矩形である。該不織布
(B層)を補修コンベアー上に配置しておき、この上に
上記実施例1と同様の方法でA層原料(極限粘度0.7
8dl/gのポリプロピレン樹脂)を繊維化しつつ(メル
トブロー法)不織布化して、A層とB層を積層し、10
0℃で熱プレスしてA層とB層を一体化する。その後1
30℃の95質量%の濃硫酸に10分間浸漬し(スルホ
ン化処理)、セパレータを得る。該セパレータのA層の
総硫黄量は10.1mg/g、B層の総硫黄量は2.9mg/g
である。そして上記セパレータを用いてニッケル水素二
次電池を作製する。
【0070】<実施例4>B層の原料として極限粘度
1.22dl/gのポリプロピレン樹脂、A層の原料として
極限粘度0.58dl/gのポリプロピレン樹脂を用い、上
記実施例2と同様の方法により、A層とB層を積層一体
化した不織布を作製し、SO3ガスを1体積%含む窒素
ガス(25℃)中に、上記一体化不織布を120分間放
置し(スルホン化処理)、セパレータを得る。該セパレ
ータのA層の総硫黄量は8.9mg/g、B層の総硫黄量は
2.2mg/gである。そして上記セパレータを用いてニッ
ケル水素二次電池を作製する。
【0071】<比較例1>B層の原料として極限粘度
1.35dl/gのポリプロピレン樹脂、A層の原料として
極限粘度1.22dl/gのポリプロピレン樹脂を用い、上
記実施例2と同様の方法により、A層とB層を積層一体
化した不織布を作製する。次いで135℃の98質量%
の濃硫酸に5分間浸漬し(スルホン化処理)、セパレー
タを得る。該セパレータのA層の総硫黄量は6mg/g、B
層の総硫黄量は3.7mg/gである。そして上記セパレー
タを用いてニッケル水素二次電池を作製する。
【0072】<比較例2>原料としてポリプロピレン樹
脂(極限粘度1.34dl/g)を用い、240℃で溶融し
たポリプロピレン樹脂をノズルから押し出し、エアージ
ェットにより延伸して繊維化し(スパンボンド法)、補
修コンベア上において不織布化を行う。該不織布を13
0℃の98質量%の濃硫酸に10分間浸漬し(スルホン
化処理)、セパレータを得る。該セパレータの総硫黄量
は3.2mg/gである。そして上記セパレータを用いてニ
ッケル水素二次電池を作製する。
【0073】<比較例3>B層の原料として極限粘度
1.38dl/gのポリプロピレン樹脂、A層の原料として
極限粘度1.15dl/gのポリプロピレン樹脂を用い、上
記実施例2と同様の方法により、A層とB層を積層一体
化した不織布を作製する。次いで130℃の98質量%
の濃硫酸に30分間浸漬し(スルホン化処理)、セパレ
ータを得る。該セパレータのA層の総硫黄量は10.2
mg/g、B層の総硫黄量は3.9mg/gである。そして上記
セパレータを用いてニッケル水素二次電池を作製する。
【0074】上記実施例1〜4及び比較例1〜3のセパ
レータの各種物性、及び上記各ニッケル水素二次電池の
容量保持率の測定を行った。これらの結果を表1〜3に
示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】上記表1〜3から分かる様に、実施例1〜
4のセパレータはA層の総硫黄量が高く、従ってセパレ
ータ全体としても総硫黄量の高いものとなり、よってア
ンモニアトラップ率が高くなったと考えら、また実施例
1〜4は電池の容量保持率が高い。
【0079】これに対し比較例1,2のセパレータはア
ンモニアトラップ率が低く、電池の容量保持率が比較的
低いものであった。また比較例3のセパレータにおいて
は、アンモニアトラップ率としては高い値を示したが、
強度の低下が大きく、この為に短絡が生じて容量保持率
の測定ができず、セパレータとしての機能を果たすこと
ができなかった。比較例3では無理矢理強くスルホン化
を行ったから、強度低下を招いたものと考えられる。
【0080】尚以下に極限粘度,総硫黄量,嵩密度,ア
ンモニアトラップ率,容量保持率の測定方法について説
明する。
【0081】・極限粘度(IV) 溶媒としてテトラリンを使用し、試料を該テトラリンに
溶解し、該溶解液をガラス濾過器で濾過した後、Ubbelo
hdeの粘度計を用いて135±0.1℃の温度で測定を
行う。尚使用するテトラリンには、予め0.2質量%の
BHT(2,4-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)を添加してお
き、試料が溶解する際の酸化劣化を防止する。試料の溶
解液の濃度としては、1g/1000ccとする。Huggins定数
(k′)としては0.35の値を用いる。尚該測定法は
「実験化学講座8高分子化学(上),第5章粘度,日本
化学会,1963年5月15日」に準じている。
【0082】・総硫黄量 「基礎分析化学講座,第11巻,日本分析化学会(共立
出版),第34〜43頁,1965年9月」に記載の方法に準
じ、フラスコ燃焼法により実施する。
【0083】・嵩密度 A層とB層を注意深く分離し、付着している不純物を十
分に洗浄し、次いで60℃での熱風乾燥を2時間行っ
て、更に60℃での真空乾燥を20時間行い、恒量とな
った後の重量を基準として目付を測定する。A,B各層
の厚みは、分離しない一体化状態で、セパレータの断面
をSEM観察して各層の厚みを測定する。そして下式
(1)により嵩密度(g/cm3)を算出する。 嵩密度=1cm2当たりの目付量(g/cm2)/層の厚み(cm) …(1)。
【0084】尚A,B層の分離が困難な場合は、重量基
準として、A,B層一体化したままで上述と同様に付着
不純物を洗浄後、60℃での熱風乾燥2時間、60℃で
の真空乾燥を20時間行い、恒量となった後の重量を用
いる。そしてセパレータの断面のうちランダムに30点
を測定対象とし、該測定箇所においてA層とB層が各々
独立して存在する部分についての画像解析を行って繊維
の占有体積を求め、上記樹脂の真比重に基づいて嵩密度
を算出する。
【0085】・アンモニアトラップ率 ナス型フラスコに8N-水酸化カリウム溶液1000cc
と、乾燥重量1.0gのセパレータを投入し、真空脱気
することによりセパレータ内の空気を抜き、該セパレー
タを完全に上記水酸化カリウム溶液に浸す。真空脱気を
解いた後、1N-アンモニア水溶液を0.1cc投入し、ア
ンモニア濃度を3×104モルに調整する。次いで完全
に密栓し、45℃に72時間放置した後、残存するアン
モニア量を測定し、この値から検量線に基づいてセパレ
ータにトラップされたアンモニア量を算出する。アンモ
ニアトラップ率は、トラップされたアンモニア量を初期
存在量に対する百分率(%)で表す。尚アンモニア濃度
の測定は、JIS K0102.42.2に準じて吸光
光度法により行う。
【0086】アンモニアを既にトラップ済みのセパレー
タを測定する場合は、前処理として、先ず純水でセパレ
ータを水洗し、その後セパレータの200倍の重量の1
N-塩酸中に10時間以上浸漬し、再度水洗を行い、次い
で60℃,2Paの条件で20時間真空乾燥して再生す
る。その後、上述の様にしてアンモニア量を測定し、ア
ンモニアトラップ率を求める。
【0087】・容量保持率 先ずペースト式水酸化ニッケル正極とペースト式水素吸
蔵合金負極、及びセパレータを渦巻き条に巻回し、SC
サイズの密閉型電池を作製する。尚この電池の電解液と
しては、水酸化リチウムを添加した水酸化カリウム水溶
液を用いる。
【0088】前準備の初期活性化処理として、45℃で
6時間保持する。その後20℃の空気雰囲気下において
0.2Cで6時間充電の後、0.2C放電(放電終止電
圧1.0V)し、この充電・放電の操作を7回繰り返
す。
【0089】次に0.2Cで6時間充電し、1時間休止
の後、0.2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量
を測定し、測定値C0とする。そして0.2Cで6時間
充電して45℃の空気雰囲気下で168時間保存し、そ
の後20℃で6時間放冷し、0.2C放電(終止電圧
1.0V)での放電容量を測定して測定値C1とする。
次いで0.2Cで6時間充電し、1時間休止の後、0.
2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量を測定し、
測定値C2とする。尚上記0.2C放電とは、密充電し
た電池を5時間かけて放電することであり、この際放電
の電流値を適切な値に設定する。
【0090】上記測定値を基に下式(2)により容量保持
率を算出する。 容量保持率(%)=C1×2/(C0+C2)×100 …(2)。
【0091】尚自己放電量(%)と容量保持率(%)と
に関係は、下式(3)で表される。 容量保持率=100−自己放電量 …(3)。
【0092】以上の様に、本発明に係る電池用セパレー
タ,アルカリ電池に関して、実施例を示しつつ具体的に
説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳で
はなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加
えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
【0093】
【発明の効果】本発明に係る電池用セパレータはアンモ
ニアトラップ性能に非常に優れ、しかも繊維強度があま
り低下しないからセパレータの繊維の切断があまり生じ
ず、従って電池とした際の短絡事故発生の恐れが少なく
信頼性が高くなり、また長寿命である。更に該セパレー
タを用いた電池は自己放電が少なく、容量保持率に優れ
る。またアンモニアトラップ性能の高いA層と、補強層
となるB層を積層したものにあっては、セパレータの強
度としても優れており、従って信頼性が高く、電池とし
た際の容量保持率に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 全広 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (56)参考文献 特開 平11−144698(JP,A) 特開2000−294217(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/16 H01M 10/30

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度が0.2〜1.0dl/gのポリ
    オレフィン系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られる
    繊維を20質量%以上含有する電池用セパレータであっ
    て、 且つ前記スルホン化処理後の繊維は、1gあたりの総硫
    黄量が10mg超、50mg以下であることを特徴とする電
    池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 複数のシート状物が積層された電池用セ
    パレータにおいて、前記シート状物のうちあるシート状
    物は、極限粘度が0.2〜1.0dl/gのポリオレフィ
    ン系樹脂製繊維をスルホン化処理して得られ、且つ該得
    られた繊維1gあたりの総硫黄量が10mg超,50mg以
    下である繊維を主成分としたシート状不織布[A]であ
    り、 また他のあるシート状物は、繊維1gあたりの総硫黄量
    が7mg以下(0mgを含まない)のポリオレフィン系樹脂
    製繊維を主成分としたシート状不織布[B]であり、 前記シート状不織布[A]と前記シート状不織布[B]
    が各1層以上積層されたものであることを特徴とする電
    池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 前記シート状不織布[A]に含有される
    総硫黄量10mg/g超,50mg/g以下のポリオレフィン
    系樹脂製繊維が、電池用セパレータ全体に対して20質
    量%以上含まれている請求項2に記載の電池用セパレー
    タ。
  4. 【請求項4】 前記シート状不織布[A]の総硫黄量
    が、150mg/m2以上である請求項2または3に記載の
    電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 前記シート状不織布[A]の嵩密度が
    0.5g/cm3以上であり、 前記シート状不織布[B]の嵩密度が0.4g/cm3以下
    である請求項2〜4のいずれかに記載の電池用セパレー
    タ。
  6. 【請求項6】 前記シート状不織布[A]を構成する繊
    維の平均繊維径が8μm以下であり、 前記シート状不織布[B]を構成する繊維の平均繊維径
    が10μm以上である請求項2〜5のいずれかに記載の
    電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】 前記シート状不織布[B]を構成する繊
    維の断面が、矩形或いは楕円形である請求項2〜6のい
    ずれかに記載の電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の電池用
    セパレータを、正極と負極の隔離に用いたものであるこ
    とを特徴とするアルカリ電池。
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