JP2002289165A - アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池

Info

Publication number
JP2002289165A
JP2002289165A JP2001253445A JP2001253445A JP2002289165A JP 2002289165 A JP2002289165 A JP 2002289165A JP 2001253445 A JP2001253445 A JP 2001253445A JP 2001253445 A JP2001253445 A JP 2001253445A JP 2002289165 A JP2002289165 A JP 2002289165A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
separator
fiber
fibers
battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001253445A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Yamashita
全広 山下
Toshio Tanaka
俊雄 田中
Hiroki Yamaguchi
裕樹 山口
Naohiko Takimoto
直彦 滝本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2001253445A priority Critical patent/JP2002289165A/ja
Publication of JP2002289165A publication Critical patent/JP2002289165A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来同時達成が困難であった、下記(1)〜
(4)の特性を同時に満たす事を特徴とするアルカリ二
次電池用セパレータを得る事を目的とした。(1)過充
電時に発生する酸素ガスを良好に通過させ、電池内圧が
上昇しにくく、(2)さらにはサイクル寿命に優れ、
(3)厚みが薄くても高強度であり、(4)自己放電抑
制機能を備えており、容量保持率が良好な優れたセパレ
ータ。 【解決手段】低融点の成分を含まないポリオレフィン不
織布の原料組成を用い、高温の液体を用いスルホン化処
理と同時に加圧する事で、強度向上と同時に容量保持率
の向上が達成を行った。さらに、2層構造の繊維径,極
限粘度をコントロールする事で、強度向上の効果をより
一層高めると同時に内圧上昇の抑制、サイクル寿命の向
上を達成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル水素電
池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池等のア
ルカリ電池用セパレータ及び該電池用セパレータを用い
たアルカリ電池に関するものである。本発明の方法によ
るアルカリ電池、特にアルカリ二次電池は、充電池に正
極より発生するガスによる電池内圧の上昇が少なく、か
つサイクル寿命が長い。例えば電気自動車や電気工具等
のバッテリー用として好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】電池は正極,負極,電解質,セパレー
タ,及び容器に大別され、上記正極と負極が上記セパレ
ータにより隔絶され、上記電解質液に浸漬された状態で
容器内に収納されている。
【0003】アルカリ二次電池、特にニッケル水素電池
を初めとする密閉型アルカリ電池においては、過充電時
に正極から発生する酸素を負極側で吸収させるというノ
イマン方式が採用されている。そのため過充電時の内圧
上昇が比較的小さく安全性の高いことから、電気自動車
や電動工具といった大電流用途での応用が進められてい
る。しかしながら、負極による酸素消費速度が遅い場合
やセパレータのガス透過性が悪いと、電池内圧は徐々に
上昇し、ひいては液漏れや電池破裂に繋がる。そこで負
極の酸素消費速度を向上させるために、負極表面に撥水
処理を施し、酸素ガスと負極との接触面積を増大させる
という手法が広く採用されている。しかしながら、たと
えどのように優れた酸素消費速度を有する負極を用いた
としても、セパレータの酸素ガス透過性が低いと本質的
に酸素が負極側へ到達することができないので、液漏れ
や電池破裂は避けることができない。
【0004】そこで、これまでセパレータの構造や親水
性に着目することで、ガス透過性を向上させる試みがな
されている。例えば、特開平6−111847号公報記
載の負極側の細繊維含有層(保液層)と正極側の太繊維
含有層とからなる不織布、特開平5−82115公報記
載のアクリル酸含有繊維含有層とポリオレフィン系繊維
含有層を熱接着し、かつ場合に応じてスルホン化処理を
施した不織布、特開平5−343045号公報および、
特開平6−89711号公報等記載の太繊維含有層と正
極側の細繊維含有層等からなる不織布、特開平8−11
5739号公報記載の太繊維含有層と細繊維含有層とを
一体化した不織布に親水性モノマーをグラフト重合した
不織布、特開平7−57712号公報記載の2枚以上の
不織布を熱風によって一体化した不織布、特開平11−
54101号公報記載の水流交絡処理を用いて作製した
多層不織布等が報告されている。
【0005】しかしながら上記いずれのセパレータにお
いても性質の異なる不織布を個々に製造した後に熱圧
着、熱風または水流交絡によって一体化するという工程
を有しているため、工程が複雑化するという欠点があ
る。また、アルカリ電池用セパレータ用の不織布は親水
性を有する必要があり、別途親水化処理が必要といった
問題も有する。さらに上記熱圧着を用いる手法は、不織
布どうしの接着が必要な不織布内部の積層面よりも、熱
を印可する外側の方が潰れてしまうため、部分的にフィ
ルム化しガス透過性も低下すると共に、繊維が熱と圧力
の影響で劣化し、強度低下をもたらすという問題があっ
た。さらに熱風による手法においても、熱風による接着
では熱の伝達速度が遅いことと、気体の流れやすい表面
部分と流れにくい内部とで熱的な状態に差が生じ、やは
りフィルム化によるガス透過性低下や強度低下の問題が
あった。また、水流交絡による一体化は、本質的に繊維
を絡めることによる積層であり、繊維同士をきっちりと
接着していないため、作製した不織布の強度は弱く、二
層が剥がれるという問題を有した。またセパレータがフ
ィルム化し、ガス透過性が悪くなると、過剰なガスによ
りセパレータから電解液が押し出されドライアウトしや
すく、電池のサイクル寿命が短くなるという問題も有し
た。
【0006】一方、アルカリ電池を含める全ての電池に
おいて、電池の高容量化は大きな課題であり、高容量化
するための部材開発が熱心に行われている。その中で最
も効果的かつ簡便な手法が、セパレータの厚みを薄くす
る方法である。電池を高容量化するためには電池内の正
極及び負極の活物質量を増やせば良いわけであるが、単
に活物質量を増やすと電池が大型化してしまうため、活
物質量を増すために、セパレータの体積、つまりセパレ
ータの厚みを薄くする手法が検討されている。
【0007】現在、ニッケル水素電池においてもセパレ
ータの厚みは150μm以下、さらには120μm以下
や110μm以下と薄型のセパレータが要請されてい
る。
【0008】そこで各種薄型のセパレータが検討されて
いるが、単にセパレータを強く圧縮して薄型化したもの
は、セパレータが密に詰まることとなり、充電末期に発
生する酸素ガス透過性が低下し、前記のように液漏れや
電池破裂につながるという問題があった。また、セパレ
ータが密に詰まると電解液を蓄えられる量が少なくなる
ため、内部抵抗の増加や電池寿命が短くなるという問題
もあった。そのため薄型化と同時に目付を減少させる必
要があることが分かっている。しかしながらセパレータ
の目付を減らし薄くしたものでは本質的にセパレータの
強度が低下し、中でも突き刺し強度の低下により、電池
製造段階において電極バリがセパレータを突き抜け短絡
し、電池不良率の増大につながっていた。なお、ここで
いう突き刺し強度とは、電極バリのセパレータの突き抜
けやすさを示す指標であり、この値が小さくなる程短絡
率が増加する。さらに前述した従来の積層型セパレータ
においては、熱劣化による強度低下や水流交絡による本
質的な強度不足により、薄型化は困難であった。
【0009】このように積層型セパレータを含め、薄型
化すればするほどセパレータのガス透過性と突き刺し強
度を両立することは困難となり、セパレータ薄型化の最
大の障壁となっていた。
【0010】さらに、従来のセパレータ、特にニッケル
水素電池において欠点とされている自己放電を大きく抑
制し、高容量保持率を実現可能な優れた特性を有するス
ルホン化セパレータにおいては、スルホン化処理後の機
械的強度の低下が著しいため、ますます深刻な問題とな
っている。
【0011】さらに付け加えると、特公平7−3200
8では、従来のオレフィン系不織布を用いた場合120
℃以上のスルホン化処理では強度の低下が生じるため、
工業的には処理ができない事が示されている。また上記
特許における120℃未満の温度の処理では、95%硫
酸で35分,97%硫酸でも25分の処理時間が要する
事が記載されており、スルホン化処理速度は極めて遅
く、生産性を考慮した場合10分以内の処理時間が望ま
れていた。
【0012】またさらに、特許公報第2762443号
では、ポリエチレン樹脂を結着剤として使用し強度を高
めた後、35℃での発煙硫酸処理又は室温での三酸化硫
黄によるスルホン化処理を実施しているが、いずれのス
ルホン化処理の場合も処理前に比べて、強度低下が生じ
ている事が示されている。
【0013】従来スルホン化処理に使用するポリオレフ
ィン系不織布は、上記特許公報第2762443号に示
される様に、スルホン化前の原反不織布の強度を向上さ
せるために、ポリエチレン成分を種々の形態で混合する
事が通常であった。結着剤添加以外に、ポリプロピレン
/ポリエチレンを紡糸段階で複合化した繊維を作製し、
軟化点や融点が低いポリエチレン成分を選択的に融着さ
せ強度を向上させる手法は、高強度不織布の作製手法と
して一般的に実施されている。通常ポリエチレン成分
は、軟化点を120℃以下に有し、融点を140℃以下
に有している。ポリエチレンの特性については、園田
昇,有機工業化学,化学同人,p161(1980)に
詳細に記載されている。
【0014】上記で示したように、ポリオレフィン樹脂
の組成について、特別な注目をせずに、ポリプロピレン
と称される高強度な不織布を選定した場合、主成分はポ
リプロピレンであるが、繊維の接着剤としてポリエチレ
ン成分を始めとする融点を140℃以下に有する成分
を、相当量含んだ不織布が使用される事が一般的であっ
た。軟化点や融点が低いポリエチレンのような成分は、
化学的安定性に劣るためポリプロピレンよりスルホン化
速度が早く、120℃未満の温度の硫酸を用いても容易
にスルホン化できるメリットがある。しかしながら、特
許公報第2762443号に示されているように、スル
ホン化の度合いを上げるほど急激に強度低下する問題を
有していた。
【0015】つまり軟化点を120℃以下、融点を14
0℃以下に有する成分が結着剤として、融着により繊維
間を固定するために使用されていた場合、120℃以上
での硫酸処理を行うと、少なくとも軟化温度以上、場合
によっては融点以上の温度で処理を行う事になり、スル
ホン化による強度低下と相まって、急激な強度低下が生
じていた。上記理由により、従来技術では、性能を上げ
るためスルホン化処理を進めると大幅な不織布の強度の
低下が生じ、性能と強度が相いれない状態になってい
た。
【0016】超高分子量ポリエチレン繊維の長さ30〜
60mmの繊維を、ポリエチレンの熱融着繊維で固め、
高強度化する手法が、特開平10−154502に記載
されている。しかしながら、超高分子量ポリエチレン繊
維はポリプロピレン以上の化学的安定性を持つため、セ
パレータとしての性能を上げるためにスルホン化を進め
ると、先に熱融着繊維のポリエチレン成分がスルホン化
で強度低下が進み、不織布強度が急激に低下する問題を
抱えていた。上記理由により、従来技術では性能を上げ
るためスルホン化処理を進めると大幅な不織布の強度の
低下が生じ、性能と強度が相いれない状態になってい
た。
【0017】スルホン化セパレータの自己放電抑制機構
については、多量のアルカリ液中に微量に存在するアン
モニア等の自己放電原因物質を、セパレータがトラップ
する事で生じており、そのトラップサイトがアルカリ液
中に浸漬後も中和されずに残存する酸性基である事を新
規に見いだし、その残存酸性基量を高める新規手法の開
発も同時に確立し、既に特許出願している。(特願20
00−102530)
【0018】上記特許は事前に酸化処理を行いスルホン
化処理を促進する事で、スルホン化の際の強度低下を抑
制すると同時に、アルカリ液に浸漬後の中和されない酸
性基を増大可能とする手法が開示されてある。しかしな
がら、酸化処理の別工程が必要である事と、強度低下は
少なくなってはいるが依然不織布強度の低下がある事が
問題として残されていた。
【0019】上記のようにスルホン化処理セパレータは
容量保持率が高くできるメリットを有しているが、上記
特性を高めるためスルホン化処理を進めると強度低下が
大きいという問題を持つため、前述したように薄型化し
た時の短絡を抑制するための強度を維持できないことが
深刻な問題となっている。
【0020】極限粘度の値が異なる2種のポリマーを利
用し各々作製したセパレータを積層した後、スルホン化
等の親水化処理を行う手法が、特開2000−2942
17に示されている。極限粘度に2倍程度の差を付けて
作成する事で細繊維層は強度低下するが、太繊維層は強
度低下しない構造とし、引っ張り強度を維持する手法が
示されている。しかしながら、上記手法では刺し強度に
影響が高い細繊維の層が強度低下しており、セパレータ
としての突き刺し強度が損なわれ、電極の貫通による短
絡が生じる問題があった。
【0021】上記のように2層構造を持つスルホン化処
理セパレータは従来から存在していたが、前述の様にス
ルホン化処理を進めると強度低下が大きいという問題を
持つため、前述したように薄型化した時の短絡を抑制す
るための突き刺し強度を維持できないことが深刻な問題
となっており、実用的に使用に耐えうるセパレータは得
られていなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、アルカ
リ二次電池の過充電時に発生する酸素ガスを良好に通過
させ、電池内圧が上昇しにくく、サイクル寿命が長く、
さらには厚みが薄くても高強度であり、自己放電抑制機
能を備えており、容量保持率が良好な優れたセパレータ
を容易に得ることを目的とし、ポリオレフィン不織布の
原料組成とスルホン化処理の関係および積層方法につい
て鋭意検討を行い、上記目的を満足するセパレータおよ
びその製造方法を発明した。
【0023】上記の結果、本発明者らは、(1)融点が
140℃以下の成分の含有量が少ない特定のポリプロピ
レン樹脂からなる不織布を使用、(2)細繊維含有不織
布と太繊維含有不織布を、一定の高温状態にある硫酸に
代表される液状のスルホン化剤でスルホン化、(3)高
温加熱状態で細繊維含有不織布と太繊維含有不織布を特
定の圧力で加圧、(4)極限粘度差が一定の範囲にあり
大きな差を持たず、且つ繊維径が十分な繊維径の差を持
つ2種の不織布を積層、以上の(1)〜(4)の条件を
同時に満たしてスルホン化処理をした際に、不織布の強
度を向上させながら積層化とスルホン化を同時に行える
新規手法を見いだした。新規手法によって可能となった
高温でのスルホン化処理を実施した場合、アルカリ液に
浸漬後の中和されない酸性基量が増大し、自己放電の抑
制が可能である事も同時に見いだした。さらに新規種法
により作製したスルホン化セパレータにおいて、細繊維
含有層を正極側に配置した場合、一般的にガス透過性の
目安とされる通気度が低くともガス透過性に非常に優
れ、かつサイクル寿命にも優れるセパレータとなること
を見出した。以上のように、従来は困難であったスルホ
ン化処理と積層化を、強度を向上させながら同時に行え
る新規処理方法を発明し、過充電時の酸素ガス透過性に
優れる高強度で低厚みなセパレータを、容易に製造でき
るようになった。なお、ガス透過性に優れると、正極か
ら発生した酸素ガスを効率よく負極に吸収させることが
可能となるため、セパレータに保持されている電解液が
酸素ガスによって押し出されにくくなるために、セパレ
ータがドライアウトしにくくなり、サイクル寿命に優れ
るセパレータを提供可能となる。
【0024】従来、120℃以上でのスルホン化処理に
ついて、十分な検討がされていなかったが、ポリエチレ
ンを使用しない不織布を使用する事により、詳細な検討
が可能となった。硫酸は、従来290℃以上の加熱で三
酸化硫黄+水に分解し始める(理化学辞典,第3版増補
版,岩波書店(1981年)と考えられていたが、硫酸
はその温度が120℃を超えた場合に既に水蒸気を発生
し分解を起こしている事を確認した。つまり硫酸が分解
し「水+三酸化硫黄」が生成している事を確認してい
る。120℃以上の加熱硫酸では、反応性の高い三酸化
硫黄が高温で硫酸中に溶解した状態にあるため極めてス
ルホン化の反応性が高い。このため従来では実施できな
かった10分以内での短時間でのスルホン化処理が可能
となった。
【0025】また、太繊維含有不織布と細繊維含有不織
布の積層化の問題は、高温硫酸等により不織布を構成す
る繊維全体を均一に加熱した状態で一定範囲の圧力でプ
レスすることによって、均一かつ比較的低温で、不織布
のフィルム化を起こすことなく、スルホン化処理と共に
積層化を行えることを見いだし、問題解決を図った。
【0026】また、スルホン化処理による強度低下の問
題についても、高温硫酸等により不織布を構成する繊維
全体を均一に加熱した状態で、一定範囲の圧力でプレス
する事により特異的に強度が向上する事を見いだし問題
解決を図った。
【0027】またさらに、上記の反応性の高い高温硫酸
処理を用いると、自己放電を抑制可能なアルカリ液に浸
漬後の中和されない酸性基量が、多量に付与できる事を
見いだした。
【0028】
【課題を解決するための手段】即ち本発明に係るアルカ
リ電池用セパレータは、繊維経1〜15μmの繊維から
なる細繊維含有不織布(A)と、上記細繊維含有不織布(A)
に使用した繊維よりも平均繊維径が太く、かつ繊維経8
〜30μmの繊維からなる太繊維含有不織布(B)を積層
した事を特徴とする積層型のアルカリ電池用セパレータ
であると共に、突き刺し強度が5N以上であり、かつ目
付が75g/m2以下であり、かつ厚みが150μm以下で
ある事を特徴とするアルカリ電池用セパレータである。
【0029】また、上記のセパレータのアルカリ液に浸
漬後の中和されない酸性基量が、1×10-3mol/m
2〜1×10-1mol/m2の範囲にあるアルカリ電池用
セパレータである。
【0030】また、上記セパレータの親水化処理を施し
た不織布層は、120℃以上で湿式の均一加熱処理を施
すと共に、均一加熱した状態で3〜50kPaの範囲内で
加圧処理することにより、親水化処理と積層化を同時に
行った事を特徴とするアルカリ電池用セパレータおよび
その製造方法である。
【0031】また、上記の親水化処理を施す不織布が、
ポリプロピレンを主体とした樹脂で構成され、且つ14
0℃以下に融点を有する繊維の含有率が20重量%以下
である不織布を用いる事を特徴とするアルカリ電池用セ
パレータおよびその製造方法である。
【0032】また本発明は、ポリオレフィン系細繊維含
有不織布(A)と、ポリオレフィン系太繊維含有不織布
(B)を積層した事を特徴とし、且つ上記細繊維含有不
織布の極限粘度をIV(A),平均繊維直径をD(A)
とし、上記太繊維含有不織布の極限粘度をIV(B),
平均繊維直径をD(B)とした時に、下記式を満たす事
を特徴とするアルカリ電池用セパレータおよびその製造
方法である。 0.8≦IV(B)/IV(A)≦1.3 1.2≦D(B)/D(A)≦8.0 ・・・(式)
【0033】また、上記の細繊維含有不織布(A)を正極
側に配置することを特徴とするアルカリ電池用セパレー
タおよび上記アルカリ電池用セパレータを用いたアルカ
リ電池である。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明のアルカリ電池用セパレー
タは、細繊維含有不織布と太繊維含有不織布を重ね、1
20℃以上の湿式加熱下で加圧処理を行うことによっ
て、積層しながら親水化処理をした事を特徴とするアル
カリ電池用セパレータおよびその製造方法であり、過充
電時の酸素ガス透過性に優れ、かつサイクル寿命を向上
させると共に、薄型で短絡しにくいセパレータを容易に
提供できる。
【0035】以下、具体的な手法として、まずアルカリ
電池用セパレータの不織布層には、ポリオレフィン系樹
脂が最適であり、特にポリオレフィン系樹脂の中でもポ
リプロピレンが好適に使用可能であるが、ポリプロピレ
ン同等以上の融点を持つオレフィン系樹脂であれば、ポ
リプロピレンに限定されるものではない。例えば、ポリ
メチルペンテンが、ポリプロピレンと同様に好適に使用
可能であり、ポリブテン,ポリスチレン等の炭化水素系
の樹脂で構成された繊維も使用可能である。
【0036】融点が140℃以下の樹脂の含有率は、前
述の理由により20%以下である事が望ましい。さら
に、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン(芯/鞘)
の様に、ポリエチレンのような融点が140℃以下の樹
脂が表面を覆う繊維では、融点を140℃以下に有する
樹脂の含有率は5%以下である事が望ましく、融点を1
40℃以下に有する樹脂がスルホン化後に強度を低下さ
せても不織布の強度に大きな影響が無い範囲にある事が
望ましい。
【0037】本発明のアルカリ電池用セパレータに用い
られるのポリオレフィン系樹脂の極限粘度(IV)は、
IV=0.5〜1.3(dl/g)の範囲にあることが
好ましく、さらに好ましくは、0.7〜1.2の範囲で
ある。さらに、細繊維含有不織布の極限粘度をIV
(A)とし、太繊維含有不織布の極限粘度をIV(B)
とした時に、下記式を満たす事が重要となる。 0.8≦IV(B)/IV(A)≦1.3 ・・・(式) 細繊維含有不織布のIV値と太繊維含有不織布のIV値
には、大きな差があった場合には、IV値の小さい繊維
層の強度低下が大きく、後述の加圧状態でのスルホン化
において強度向上の効果が発現せず、スルホン化による
強度低下が大きくなるため望ましくない。
【0038】内圧上昇を抑制可能なセパレータを得るた
めには、細繊維含有不織布の繊維直径をD(A)とし、
太繊維含有不織布の繊維直径をD(B)とした時に、下
記式を満たす事が重要となる。 1.2≦D(B)/D(A)≦8.0 ・・・(式) また、さらには1.3≦D(B)/D(A)≦3.0の
範囲が望ましい。繊維径が20%以上の差が無いと、電
池内で発生した酸素ガスの透過に効果が小さく、逆に繊
維径が8倍以上の開きがあると、熱の伝導性に大きな差
が生じ、後述の加圧状態でのスルホン化において強度向
上の効果が発現せず、スルホン化による強度低下が大き
くなるため望ましくない。
【0039】不織布を構成する繊維の繊維径は、後述の
処理で熱と圧力が有効に伝わる範囲にある事が必要であ
り、細繊維含有不織布を形成する繊維の繊維径は、1〜
15μmであり、さらに望ましくは3〜12μmであ
る。太繊維含有不織布の平均繊維径は、少なくとも前記
細繊維含有不織布の平均繊維径よりも太く、また、不織
布を形成する繊維の繊維径は8〜30μmである事が望
ましく、さらに望ましくは10〜18μmである。細繊
維含有不織布の繊維径が1μm未満であると、後述の加
圧処理において繊維全体が変形し、強度が低下する。逆
に繊維径が15μmを越えると細繊維含有不織布の細孔
径が大きくなり、電極バリが不織布を突き抜けやすくな
るため、薄型のセパレータを提供することができない。
一方、太繊維含有不織布において、平均繊維径が細繊維
含有不織布の平均繊維径よりも小さい場合や、繊維径が
8μmよりも細いと、電池に組み込んだ際のセパレータ
のガス透過性が低下し、電池内圧の上昇に繋がる。ま
た、各層に使用する繊維の形状は円形である必要は無
く、化学増刊50 繊維の形成と構造の発現(iii)(化
学同人)に記載されているような異形断面繊維を用いる
ことも可能である。
【0040】また、細繊維含有不織布(A)と太繊維含有
不織布(B)の重量比(A/B)は、1/20〜15/1の範囲
内にある事が望ましく、さらには、1/10〜10/1
の範囲にあることが好ましい。重量比(A/B)が1/20
よりも小さい場合や、15/1よりも大きい場合は、二
層を積層した事による内圧上昇の抑制効果がほとんどな
くなってしまう。
【0041】不織布の作製方法としては、スパンボンド
法により製造された長繊維による不織布が有効に使用可
能であり、またメルトブロー法,フラッシュ紡糸による
不織布も使用可能であり、エアレイ法と呼ばれる開繊し
た繊維を空気流で運ぶ方法も使用可能である。また、不
織布を作製する際に、繊維径をコントロールして作製し
た不織布上に、第二層目を紡糸する方法により予め簡易
に積層した不織布を作製すると、後述する親水化および
積層化処理において、非常に良好な積層状態の親水化さ
れた不織布を提供できる。さらに、カード方式に代表さ
れる乾式不織布を、接着剤で結合するケミカルボンド
法,自己接着または接着繊維で結合するサーマルボンド
法により作製した不織布も使用可能である。またさら
に、ピンホールが生成しないように微細加工を実施した
ものも使用可能である。またさらに湿式により繊維を抄
紙した不織布も使用可能である。いずれの手法において
も、融点が140℃以下の樹脂を20重量%未満の条件
で作製した不織布を使用する事が必要である。またさら
に、フィルムを強度に延伸したり,多量のボイド形成剤
等を入れる等の手法で、不織布に匹敵する20%以上の
多孔度(体積%)を持たせたフィルム状物であれば、本
発明の不織布の1種として同等に処理可能である。
【0042】また、上記の不織布を作製する上で、二層
合わせた不織布の目付は、25g/m2以上75g/m2以下に
する必要があり、さらに最適には30g/m2以上60g/m2
以下にするのが好ましく、より最適には35g/m2以上5
5g/m2以下が望ましい。不織布の目付が75g/m2よりも
大きいと、不織布の厚みが大きくなりセパレータを薄く
することができない。また、無理に薄くすると不織布の
目が詰まりすぎてガス透過性を維持できない。逆に不織
布の目付が25g/m2未満の場合、本質的に強度が弱いこ
とに加えて、充分な強度向上の効果が得られず、短絡し
やすいセパレータとなる。
【0043】本発明のアルカリ電池用セパレータに用い
られるポリオレフィン系樹脂からなる繊維をスルホン化
する方法は、93%以上、好ましくは95%以上の硫酸
を用い、120℃以上で処理を施す高温濃硫酸処理が最
も好適に利用可能である。硫酸温度が120℃以上の場
合、前述の様に硫酸は極めて反応性が高い状態になって
おり、スルホン化処理が短時間で処理できる。130℃
の処理で10分以内の処理が可能であり、工業的に極め
て有効である。
【0044】またさらに120℃以上の高温の硫酸に不
織布を浸漬すると、硫酸が繊維空隙に容易に進入し、繊
維表面をスルホン化すると同時に繊維を均一に加熱して
いく。上記状態で不織布を重ね合わせたものを3〜50
kPaの範囲の圧力で加圧した場合、スルホン化と同時
に積層化と不織布強度の増大が発現する。上記は、加熱
された繊維表面同士が融着したため、不織布の積層化と
強度の上昇が同時発現したと推定される。前述の熱圧着
や熱風による積層化と異なり、不織布全体に渡って均一
に加熱可能な状態で圧着可能なため、フィルム化を抑制
できる。圧力が3kPa未満の場合、本発明の繊維融着
の効果が小さく、逆に圧力が50kPaを超える場合
は、繊維の変形が大きくなり本発明の十分な効果が得ら
れない。
【0045】従来知られている加熱ロールによるプレス
でも、繊維の交絡点を融着する事は可能であるが、親水
化処理を別途行う必要があると共に、融着よりも繊維の
変形やフィルム化、さらにクラック発生による繊維強度
の劣化が優先して起こるため、結果として十分なガス透
過性や強度向上の効果が得られない。本発明において
は、高温の液体で不織布を加熱する事が最も有効であ
り、繊維を構成する樹脂の融点を5〜40℃下回る範囲
に液体温度を設定した場合に、最も有効に処理が可能で
ある。
【0046】本発明においては、高温硫酸による処理が
最も効果的であるが、発煙硫酸等の液体処理,三酸化硫
黄による気相処理法等によるスルホン化処理と、硫酸以
外の高温液体での不織布加熱と加圧を組み合わせ、高温
硫酸での処理と同等の状況を付与すれば、高温硫酸に相
当する効果を得る事が可能である。
【0047】上記範囲の積層した不織布のおいて、フラ
ジール法により通気度は、40cc/cm2/s以下で
ある事が望ましく、さらに望ましくは30cc/cm2
/s以下である。フラジール法による通気度が、上記範
囲以上の値を持つ不織布では、繊維が分散し空隙が大き
い状態にあり、繊維の交絡点が少なく、短絡率が上昇
し、かつ、後述の加圧処理による強度向上の効果が少な
くなる傾向にあるためである。またさらに、ニッケル水
素電池の充電末期で発生する酸素ガスの透過性を確保す
るために、フラジール法による通気度は、2cc/cm
2/s以上である事が望まく、さらに望ましくは4cc
/cm2/s以上である。よって、本発明に用いる不織
布の通気度は、2〜40cc/cm2/sの範囲にある
事が望ましい。
【0048】我々は詳細な検討の結果、電池の短絡率改
善には、下記突き刺し手法で測定される最大突き刺し強
度が最も短絡に影響が大きい事を確認し、その値を本発
明における突き刺し強度と定義した。本発明のアルカリ
電池用セパレータの突き刺し強度は、厚み150μm以
下のセパレータにおいて、5N以上の強度を持つ事が望
ましく、さらに望ましくは8N以上であり、より好適に
は9N以上である。5Nを下回る強度の場合、電池の短
絡確率が著しく増大するため望ましくない。突き刺し強
度が、100Nを超える超高強度の場合は、電池のサイ
ズに合わせたセパレータの裁断が通常の機器では困難と
なり、裁断には特殊な工具が必要になってしまう。
【0049】本発明の手法を用いると、特に60〜12
0μmの範囲にある超薄型の厚みを持つセパレータで、
突き刺し強度5N以上が達成可能であり、8N以上の高
強度にすることも本発明を有効に実施すれば可能であ
る。8N以上の強度が有れば、電池の製造工程に特別な
配慮をせずに、セパレータを電池に組み込むことが可能
である。
【0050】電解液に相当するアルカリ溶液に浸漬した
後も、中和されない酸性基量は、1×10-3mol/m
2〜1×10-1mol/m2の範囲にある事が望ましく、
さらに望ましくは3×10-3mol/m2〜5×10-2
mol/m2の範囲である。中和されない酸性基量が、
1×10-3mol/m2未満の場合はアンモニアに代表
される不純物のトラップ能力が不足する。1×10-1
ol/m2超える多量のスルホン化基の場合には本発明
の手法をもってして強度が不足する。
【0051】以下、本発明のおける各種セパレータの物
性値の測定方法を示す。
【0052】・目付,厚み (1)セパレータより試験片(幅2.5cm,長さ10
cm)を採取し、60℃±2℃の下で、10時間乾燥し
た時の重量を基に、1m2当たりの重量に換算した値
を、目付[g/m2]とした。 試験片n=20点の平
均で求めた。 (2)上記試験片の中央部の厚みを300kPaの荷重
下で測定した。具体的には、10N,測定面が直径6m
mであるマイクロメーター(Mitutoyo1102
−25型)を用いて測定した。試験片n=50点の平均
で求めた。
【0053】・通気度 JIS L1096−1990の通気性測定法に準じ、
フラジール型試験機により測定した。試験片n=20点
の平均で求めた。
【0054】・突き刺強度 突き刺し強度は、試料を直径1.128cm,面積1c
2 の円孔ホルダーに固定し、先端球状が0.5R,
直径1mmΦのニードルを2mm/秒の速度で試料を突
き抜けるまで降下させていく際、ニードルに加わる最大
荷重とした。具体的には、カトーテック(株)KES−
G5ハンディ圧縮試験機を用いて測定を実施した。試験
片n=100点の平均で求めた。
【0055】・引っ張り強度 幅5cm,長さ15cmのサンプルを用いて、縦(M
D)方向における引っ張り強度をJIS L1068
(織物の引っ張り試験方法)に準じ、つかみ間隔を10
cm,引っ張り速度を30cm/分として測定を実施し
た。試験片n=20点の平均で求めた。
【0056】・短絡率 本発明における、短絡率は以下の方法により測定を実施
した。1cm角に切断した発泡ニッケル板の間に、セパ
レータ試験片(2cm角)を挟み込み、発泡ニッケルの
上下により、0.5MPaの圧力で加圧し、30秒後の
発泡ニッケル間の抵抗を測定した。発泡ニッケルはウレ
タンフォーム型発泡ニッケル、住友電工セルメット(目
付470g/m2,厚み1.6mm)を用いた。発泡ニ
ッケル間の抵抗をデジタルマルチメーター(ADVANTES
T)で測定し、10MΩ未満である場合短絡と判定し
た。測定は、上記操作をn=100で実施し、短絡率は
次式にて求めた。 短絡率(%)=(抵抗が10MΩ未満の回数/100)×100 ・・・(式)
【0057】・総硫黄量 本発明における総イオウ量は、セパレータ試験片を酸素
気流中にて1400℃の高温で完全に燃焼させ、赤外線
検出器によりその濃度を測定し、硫黄を含む標準物質で
作成した検量線に従い硫黄量を測定した。具体的には、
(株)堀場製作所硫黄分析装置EMIA−120を用い
て測定を実施した。上記測定法の燃焼部分にかかわる基
本原理はフラスコ燃焼法と同等であり、酸素気流下で硫
黄を完全に燃焼させ、不織布内部の硫黄を含めた全硫黄
量を測定する手法である。フラスコ燃焼法は、基礎分析
化学講座,第11巻,日本分析化学会(共立出版),p
34〜43,1965年9月に記載されている。
【0058】・イオン交換量 30cm2の試験片を1mol/LのHCl水溶液に1
時間浸漬した後、イオン交換水でpHが6〜7になるま
で数回洗浄した。次いで、60℃の送風乾燥機で2時間
乾燥し、室温まで冷却した。冷却後の試験片を0.01
mol/dm3のKOH水溶液100cm3に浸漬し、4
5℃で1時間振とうした後、試験片を取り出し、溶液2
5cm3を採取して、0.01mol/LのHCl水溶
液で中和滴定した。ブランク溶液も同様に滴定し、次式
より、カリウムイオン交換量を算出した。
【0059】 イオン交換量(meq/m2)={(V0−V1)×100×0.01×f}/(0. 003×25) ・・・(式) ただし、 V1:サンプルの滴定に要したHCl水溶液量(c
3) V0:ブランク溶液の滴定に要したHCl水溶液量(c
3) f :HCl水溶液のファクター
【0060】・非中和酸性基量(アルカリ液に浸漬後の
中和されない酸性基量) 前述の総硫黄量とイオン交換量の測定値を用い、下記式
により算出した。 非中和酸性基量(mol/m2)=(総硫黄量(ppm)×目付(g/m2)/32.66/ 1000−イオン交換量(meq/m2))/1000・・・(式)
【0061】・容量保持率 先ずペースト式水酸化ニッケル正極とペースト式水素吸
蔵合金負極、及びセパレータを渦巻き状に捲回し、SC
サイズの密閉型電池(容量2400mAh)を作製す
る。尚この電池の電解液としては、水酸化リチウムを添
加した水酸化カリウム水溶液を用いる。
【0062】前準備の初期活性化処理として、45℃で
6時間保持する。その後20℃の空気雰囲気下において
0.2Cで6時間充電の後、0.2C放電(放電終止電
圧1.0V)し、この充電・放電の操作を7回繰り返
す。
【0063】次に0.2Cで6時間充電し、1時間休止
の後、0.2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量
を測定し、測定値C0とする。そして0.2Cで6時間
充電して45℃の空気雰囲気下で168時間保存し、そ
の後20℃で6時間放冷し、0.2C放電(終止電圧
1.0V)での放電容量を測定して測定値C1とする。
次いで0.2Cで6時間充電し、1時間休止の後、0.
2C放電(終止電圧1.0V)での放電容量を測定し、
測定値C2とする。尚上記0.2C放電とは、密充電し
た電池を5時間かけて放電することであり、この際放電
の電流値を適切な値に設定する。
【0064】上記測定値を基に次式により容量保持率を
算出する。 容量保持率(%)=C1×2/(C0+C2)×100 …(式)
【0065】なお自己放電量(%)と容量保持率(%)
との関係は、下記式で表される。 容量保持率=100−自己放電量 ・・・(式)
【0066】・電池内圧 容量保持率のC0測定と同様の前処理を行った電池を使
用し、0.5Cにて3時間充電し、電池容量の150%
まで過充電したときの電池内圧測定を実施した。
【0067】・サイクル寿命 初期活性化を終えた電池について、0.5Cで2.4時
間(120%)の充電と0.5Cで終止電圧1.0Vの
放電を1サイクルとするサイクル試験を実施した。この
際、放電容量が初期の80%となった時点で寿命到達と
判断した。
【0068】・融点 樹脂の融点は、TAインスツルメンツ社製DSC292
0を用いる示差走査熱量分析(DSC)により測定し
た。具体的には、10.0mgを正確に秤量したセパレー
タ片をアルミパンに入れ、きっちりと蓋をした後、アル
ミパンの外周部を内側に折り曲げ、完全に密閉した。そ
の後、室温から10℃/分で200℃まで昇温して融点
を求めた。融点はピークの極大部分の温度とした。測定
は5回実施し、その平均とした。
【0069】・極限粘度 極限粘度(IV)は、以下の方法で測定を実施した。溶
媒はテトラリンを使用し、Ubbelohdeの粘度計
を使用し、135±0.1℃の温度にて測定を実施し
た。使用するテトラリンには、予め0.2重量%のBH
T(2,4−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)を添加
しておき、セパレータを溶解する際の酸化劣化を防止し
た。セパレータを溶解した液は、ガラスろ過器でろ過し
た後、測定を実施した。セパレータの溶解液の濃度は、
1[g/1000cc]とした。Huggins定数
(k’)は、k’=0.35の値を用いた。測定は、実
験化学講座8高分子化学(上),第5章「粘度」,日本
化学会,1963年5月15日に準じて実施した。
【0070】
【実施例】以下に本発明の実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明は決してこれら実施例のみに限定される
ものでは無い。
【0071】実施例1 市販ポリプロピレン製不織布(旭化成PU5020;平
均繊維径20μm,目付20g/m2)を太繊維含有不
織布とし、その上に、IV値はほぼ同一であるが繊維径
が細くなるように延伸倍率を高く設定したスパンボンド
法を用いて、繊維径7μm、目付30g/m2からなるポリ
プロピレン製不織布を細繊維含有不織布として形成させ
た。この状態においては、繊維がわずかに絡まる程度に
しかなっておらず、2枚の不織布に容易に剥がすことが
可能であった。次に、上記不織布を140℃に加熱した
96%の濃硫酸に2分間浸漬処理した。この高温硫酸に
浸漬された状態において、搬送のテンション調整と硫酸
中に設置したポリテトラフルオロエチレン製の加圧ロー
ルの圧力調整を実施し、セパレータに10kPaの圧力
をかけ処理することにより、スルホン基や酸素含有官能
基等による親水化処理と不織布の積層化を同時に行っ
た。処理装置の概要を、「図1:高温硫酸によるスルホン
化処理装置」に示した。さらに希硫酸水溶液と純水によ
る洗浄の後、60℃で乾燥を行いセパレータとした。セ
パレータを電池に組み込んだ。セパレータの各種物性及
び、上記電池の特性を表1に示した。
【0072】実施例2 スパンボンド法を用いて作製した繊維径11μm、目付
20g/m2からなるポリプロピレン製不織布と、スパンボ
ンド法を用いて作製した繊維径15μm、目付20g/m2
からなるポリプロピレン製不織布を個別に作製した。こ
れら2種類の不織布を単純に重ね合わせたものを用意
し、95%の濃硫酸を用い145℃で5分間処理した。
高温硫酸に浸漬された状態において、搬送のテンション
調整と硫酸中に設置したポリテトラフルオロエチレン製
の加圧ロールの圧力調整を実施し、実施例1と同様の手
法により20kPaの圧力をかけて処理した。さらに希
硫酸および純水による洗浄の後、60℃で乾燥を行いセ
パレータとした。セパレータを電池に組み込んた。セパ
レータの各種物性及び、上記電池の特性を表1に示し
た。
【0073】
【比較例】以下に本発明の比較例を示す。本発明の範囲
に含まれない方法によると、本文中に記載するような優
れた特性を引き出すことはできない。
【0074】比較例1 芯成分であるポリプロピレンと鞘成分である低密度ポリ
エチレンが同心円状に配置された複合繊維(ポリエチレ
ン成分50%)からなる繊維径14μm,繊維長30m
mの芯鞘繊維を、カード法により不織布化した乾式不織
布(目付30g/m2)と、スパンボンド法を用いて作
製した繊維径11μm、目付20g/m2のポリプロピレン
製不織布を個別に作製した。これら2種類の不織布を単
純に重ね合わせたものを用意し、実施例2と同じ条件で
処理することで比較例1のセパレータを作製した。前述
のポリプロピレンとポリエチレンからなる複合不織布部
分が黒色、融解しており原型をとどめていなかった。非
中和酸性基量の算定に必要なイオン交換量の測定の際
に、スルホン化された粉末物の脱落が多量に発生したた
め、有効に働く官能基量の測定が不可能であった。ま
た、電池に組み込んだものは、スルホン化された粉末物
が導電性を有しているためか、n=5で全数短絡し、評価
できなかった。セパレータの各種物性を表1に示した。
【0075】比較例2 市販ポリプロピレンの不織布(旭化成P03030;平
均繊維径20μm,目付30g/m2)と、メルトブロ
ー法を用いて作製した繊維径7μm、目付20g/m2のポ
リプロピレン製不織布を重ね合わせた後、135℃の熱
プレスを行うことによって一体化した。その後、96%
135℃の硫酸に5分、特別に加圧する事なく浸漬し
た。さらに純水で洗浄し、60℃で乾燥を行うことで比
較例2のセパレータを作製した。セパレータの各種物性
及び、上記電池の特性を表1に示した。積層時にセパレ
ータが密に詰まっているため、内圧上昇を抑制すること
ができず、液漏れを生じた。また電池に組み込む際、約
1/3の電池が短絡した。極限粘度の差が大きいために
スルホン化が進みやすい層と進みにくい層が存在し、ス
ルホン化が進みやすい極限粘度の小さい、細繊維層にお
いて、大きく強度低下したためだと考えられる。
【0076】
【表1】
【0077】以上の様に、本発明に係る電池用セパレー
タ,アルカリ電池に関して、実施例を示しつつ具体的に
説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳で
はなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加
えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
【0078】
【発明の効果】本発明に係る電池用セパレータは、過充
電時のガス透過性に優れ内圧上昇の抑制機能を有し、さ
らには本発明のセパレータを組み込んだ電池はサイクル
寿命に優れる。また、高度な自己放電抑制機能を有する
と共に、従来のスルホン化セパレータで問題とされてき
た強度低下が無く、原反よりむしろ強度向上ができる。
従って、セパレータをより薄型化しても短絡事故発生の
恐れが少なく電池不良率の発生を抑制可能であり、薄型
化による電池容量の向上が期待できる。さらに本発明に
関わる処理法によると、スルホン化と積層化を同時に行
えるというメリットを有し、積層化セパレータをフィル
ム化させることなく容易に提供可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる処理装置の1例
【符号の説明】
原反不織布のロール 引き出された不織布 搬送ローラー 硫酸浴 硫酸 加圧ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 101:20 D06M 11/02 (72)発明者 滝本 直彦 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4L031 AA14 AB34 BA12 BA17 CA07 CA11 DA08 4L032 AA05 AB04 AC01 BA09 BD01 BD03 BD05 CA00 CA05 DA00 EA01 EA02 4L047 AA14 AB07 BA08 BA23 CA02 CA05 CB07 CC12 DA00 EA10 5H021 BB01 BB02 BB09 CC02 CC04 EE04 HH00 HH01 HH03 HH06 HH07 HH10 5H028 AA05 EE06 FF04 FF05 HH01 HH05 HH08 HH09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維経1〜15μmの繊維からなる細繊維
    含有不織布(A)と、上記細繊維含有不織布(A)に使用した
    繊維よりも平均繊維径が太く、かつ繊維経8〜30μm
    の繊維からなる太繊維含有不織布(B)を積層した事を特
    徴とする積層型のアルカリ電池用セパレータであると共
    に、突き刺し強度が5N以上であり、かつ目付が75g/
    m2以下であり、かつ厚みが150μm以下である事を特
    徴とするアルカリ電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】アルカリ液に浸漬後の中和されない酸性基
    量が、1.0×10-3mol/m2〜1×10-1mol/
    2の範囲にある事を特徴とする、請求項1に記載のア
    ルカリ電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】120℃以上で湿式の均一加熱処理を施す
    と共に、均一加熱した状態で3〜50kPaの範囲内で加
    圧処理することにより、親水化処理と積層化を同時に行
    った事を特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の
    アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法。
  4. 【請求項4】不織布を構成する樹脂が、ポリプロピレン
    を主体とした樹脂で構成され、且つ140℃以下に融点
    を有する繊維の含有率が20重量%以下である不織布を
    用いる事を特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記
    載のアルカリ電池用セパレータおよびその製造方法。
  5. 【請求項5】ポリオレフィン系細繊維含有不織布(A)
    と、ポリオレフィン系太繊維含有不織布(B)を積層し
    た事を特徴とし、且つ上記細繊維含有不織布の極限粘度
    をIV(A),平均繊維直径をD(A)とし、上記太繊
    維含有不織布の極限粘度をIV(B),平均繊維直径を
    D(B)とした時に、下記式を満たす事を特徴とする、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のアルカリ電池用セパ
    レータおよびその製造方法。アルカリ電池用セパレー
    タ。 (式) 0.8≦IV(B)/IV(A)≦1.3 1.2≦D(B)/D(A)≦8.0
  6. 【請求項6】上記の細繊維含有不織布(A)を正極側に配
    置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記
    載のアルカリ電池用セパレータおよびアルカリ電池用セ
    パレータを用いたアルカリ電池。
JP2001253445A 2001-01-18 2001-08-23 アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池 Pending JP2002289165A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001253445A JP2002289165A (ja) 2001-01-18 2001-08-23 アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-10478 2001-01-18
JP2001010478 2001-01-18
JP2001253445A JP2002289165A (ja) 2001-01-18 2001-08-23 アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002289165A true JP2002289165A (ja) 2002-10-04

Family

ID=26607902

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001253445A Pending JP2002289165A (ja) 2001-01-18 2001-08-23 アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002289165A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005116514A (ja) * 2003-09-17 2005-04-28 Daiwabo Co Ltd 電池用セパレータ及びその製造方法
WO2015069008A1 (ko) * 2013-11-05 2015-05-14 주식회사 엘지화학 전기화학소자용 분리막
CN112005404A (zh) * 2018-04-09 2020-11-27 旭化成株式会社 多孔体、铅蓄电池用分隔件和铅蓄电池

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005116514A (ja) * 2003-09-17 2005-04-28 Daiwabo Co Ltd 電池用セパレータ及びその製造方法
JP4759239B2 (ja) * 2003-09-17 2011-08-31 ダイワボウホールディングス株式会社 電池用セパレータ及びその製造方法
WO2015069008A1 (ko) * 2013-11-05 2015-05-14 주식회사 엘지화학 전기화학소자용 분리막
US9825271B2 (en) 2013-11-05 2017-11-21 Lg Chem, Ltd. Separator for electrochemical device
CN112005404A (zh) * 2018-04-09 2020-11-27 旭化成株式会社 多孔体、铅蓄电池用分隔件和铅蓄电池
CN112005404B (zh) * 2018-04-09 2023-02-03 旭化成株式会社 多孔体、铅蓄电池用分隔件和铅蓄电池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4164237B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びその製造方法
KR100499217B1 (ko) 알칼리전지용세퍼레이터및그의제조방법
JP4387951B2 (ja) 有機電解液電池用セパレータとその製造方法及びこれを組み込んだ有機電解液電池
JP6166575B2 (ja) 電極一体型セパレータ及びその製造方法
JP5927295B2 (ja) オレフィン系樹脂を用いた繊維、および該繊維を用いた不織布、アルカリ蓄電池用セパレータ
JP2002289165A (ja) アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法、およびアルカリ電池
JP3678081B2 (ja) 電池用セパレータおよびこれを用いた電池
JP3430455B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP5128035B2 (ja) 電池用セパレータ及びこれを用いた電池
JP4291794B2 (ja) 電池用セパレータおよびこれを用いた電池
JP4410394B2 (ja) 電池用セパレータ
JP3458950B2 (ja) アルカリ電池用セパレータ及びアルカリ電池
JP4410406B2 (ja) 電池用セパレータ
JP4560227B2 (ja) 電池用セパレータ
JP2002141048A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2003132870A (ja) 親水性官能基を有するポリオレフィンを主体とする樹脂組成物からなる二次電池用セパレータ
JP2002141044A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2002141047A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2000294218A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP4058202B2 (ja) アルカリ電池
JP2002324539A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP2002304978A (ja) アルカリ電池用セパレータおよびその製造方法
JP2002141043A (ja) アルカリ電池用セパレータの処理方法及び装置
JP2002367591A (ja) アルカリ電池用セパレータ
JP4258682B2 (ja) アルカリ蓄電池