JP2002324539A - アルカリ電池用セパレータ - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ

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JP2002324539A
JP2002324539A JP2001129694A JP2001129694A JP2002324539A JP 2002324539 A JP2002324539 A JP 2002324539A JP 2001129694 A JP2001129694 A JP 2001129694A JP 2001129694 A JP2001129694 A JP 2001129694A JP 2002324539 A JP2002324539 A JP 2002324539A
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battery
porous sheet
fiber
concave portion
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Masahiro Yamashita
全広 山下
Toshio Tanaka
俊雄 田中
Hiroki Yamaguchi
裕樹 山口
Naohiko Takimoto
直彦 滝本
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ二次電池の過充電時に発生する酸素
ガスを良好に通過させ、電池内圧が上昇しにくく、サイ
クル寿命が長く、高率での放電特性に優れ、かつ短絡し
ないセパレータを得る。 【解決手段】 片面に凹部を形成し、その凹部の裏側に
凸部を形成させることによって作製したアルカリ電池用
セパレータは、特異的に強度が弱い部分が無いため短絡
しにくく、かつアルカリ電池用セパレータに存在する凹
部を負極と対向させて組み込んだ電池は、内圧が上昇し
にくく、サイクル寿命が長く、高率での放電特性に優れ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル・水素蓄
電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの密閉型アルカ
リ電池に関するものであり、特に該電池用セパレータに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】密閉型のアルカリ蓄電池は正極,負極,
電解質,セパレータ,及び容器に大別され、上記正極と
負極が上記セパレータにより隔絶され、上記電解質液に
浸漬された状態で容器内に収納されている。
【0003】また、密閉型のアルカリ蓄電池では、過充
電時に正極で発生する酸素ガスを負極に吸収させるとい
う方式が採用されている。そのため過充電時の内圧上昇
が比較的小さく安全性の高いことから、電気自動車や電
動工具といった大電流用途での応用が進められている。
しかしながら、過充電時に、正極での酸素ガスの発生速
度が負極側での酸素ガス吸収速度より速くなると、電池
内圧は徐々に上昇し、電池の破壊や寿命低下を招いた
り、発生したガスがセパレータ中の電解液を押しのける
ことにより、負極の有効面積が減少し、放電特性、特に
高率での放電特性が悪くなったり、電池内部の抵抗を引
き起こし電池寿命(いいかえればサイクル特性)を短く
するという欠点も有する。そこで負極の酸素吸収速度を
向上させるための種々の検討がなされている。特にセパ
レータに関していえば、発生した酸素ガスを正極から負
極へとスムーズに透過させるための検討が進められてい
る。
【0004】例えば特開平10−106525号公報に
は、正極板に対向する側に高密度層を、負極板に対向す
る側に高密度層よりも繊維密度の低い低密度層を配する
不織布、特開平6−111847号公報には、負極側の
細繊維含有層(保液層)と正極側の太繊維含有層とから
なる不織布、特開平5−82115公報には、アクリル
酸含有繊維含有層とポリオレフィン系繊維含有層を熱接
着し、かつ場合に応じてスルホン化処理を施した不織
布、特開平8−115739号公報記載の太繊維含有層
と細繊維含有層とを一体化した不織布に親水性モノマー
をグラフト重合した不織布、特開平7−57712号公
報には、2枚以上の不織布を熱風によって一体化した不
織布、特開平11−54101号公報には、水流交絡処
理を用いて作製した多層不織布、特開平5−89869
号公報には、セパレータと負極の間に耐電解液性の網材
を設置した電池、特開平11−241128号公報には
複数のセパレータを部分的に積層させた電池、等が報告
されている。しかし、いずれの方法においても複数の特
性の異なる層を重ね合わせることを特徴としており、工
程が複雑になってしまう。また、それだけ厚みが増すこ
とになって、電池の高容量化には適さないという欠点が
ある。また、不織布中に存在する繊維は互いに交絡して
おり、繊維が交絡することによって作り出される大小さ
まざまな大きさのガスや電解液が移動可能な空間(言い
換えれば、孔)が多数存在する。ここで、太い繊維を主
体として構成させた層、または低密度層、または特異的
に繊維が少ない箇所が存在する不織布などは、孔の大き
さ(以後、孔径とする)が特に大きく、電極バリが突き
抜けたり、電極から遊離する電極活物質粒子がセパレー
タに埋まって、短絡するという欠点もある。さらに、特
開平8−255629号公報や特開平7−53042号
公報ではセパレータに親水性部と疎水性部を混在させる
ことによって、内圧上昇の抑制を試みている。これらの
セパレータにおいては、負極と接する疎水性部で酸素消
費速度を向上させることは可能であったが、負極側で酸
素ガスが存在できるスペースが少ないために、有効に酸
素消費速度向上効果を利用できず、内圧の問題を解決で
きていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記問
題点を鑑みて、アルカリ二次電池の過充電時に発生する
酸素ガスを良好に通過させ、電池内圧が上昇しにくく、
放電特性に優れ、かつサイクル特性に優れ、かつ短絡し
ないセパレータを得ることを目的として鋭意検討を行
い、上記目的を満足するセパレータを発明した。
【0006】上記の結果、本発明者らは、一方の面に凹
部を形成させ、その凹部が存在する箇所の裏側に凸部を
形成させたセパレータは、電池に組み込む際に短絡せ
ず、また本発明のセパレータを組み込んだ電池は、過充
電時に発生する酸素ガスを良好に負極側へ通過させたの
ち効率よく吸収させることが可能であるため、内圧上昇
を抑制でき,かつ放電特性に優れ、かつサイクル特性に
も優れることを見いだした。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明者らは、一
方の面に凹部を、もう一方の面に凸部を有する多孔シー
トからなることを特徴とするアルカリ電池用セパレータ
を得、該セパレータを電池に組み込んだ際に、優れた内
圧抑制効果と短絡抑止性能を有することを特徴とするア
ルカリ電池用セパレータを提供するものである。
【0008】また、凹部の深さがセパレータの見かけ厚
みに対して5%以上70%以下であり、かつ、セパレー
タ全面積に対する凹部および凸部の面積が5%以上35
%以下の範囲にあることを特徴とするアルカリ電池用セ
パレータに関するものである。
【0009】また、セパレータに存在する凹凸が連続し
て存在していることを特徴とするアルカリ電池用セパレ
ータに関するものである。
【0010】また、セパレータに存在する凹凸が連続し
ている部分と非連続の部分を持っていることを特徴とす
るアルカリ電池用セパレータに関するものである。
【0011】さらに、セパレータの凹部を有する面は負
極に対向しており、セパレータの凸部を有する面は正極
に対向していることを特徴とするアルカリ電池用セパレ
ータを用いたアルカリ電池に関するものである。
【0012】また、親水化したポリオレフィン系樹脂か
らなることを特徴とするアルカリ電池用セパレータに関
するものである。
【0013】また、引張強度3cN/dtex以上の高強度
ポリオレフィン系合成繊維を含有することを特徴とする
アルカリ電池用セパレータに関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、具体的な手法として、ま
ず、本発明のアルカリ電池用セパレータとして、その形
態は多孔シートである必要がある。なお、ここでいう多
孔シートとは、不織布、織物、編物などの繊維シート
や、多孔フィルムに代表される発泡体型多孔質体などを
指す。
【0015】また、本発明のアルカリ電池用セパレータ
として多孔シートを用いる場合に、その製造方法は公知
の方法であればいずれも使用可能であり、たとえば、不
織布の場合、スパンボンド法により製造された長繊維に
よる不織布が使用可能であり、またメルトブロー法,フ
ラッシュ紡糸による不織布も使用可能であり、さらにエ
アレイ法と呼ばれる開繊した繊維を空気流で運ぶ方法も
使用可能である。またカード方式に代表される乾式不織
布を、接着剤で結合するケミカルボンド法,自己接着ま
たは接着繊維で結合するサーマルボンド法も使用可能で
ある。またさらに、交絡の手法として、高圧水流を用い
るスパンレース法,特殊針でウエッブをニードリングす
るニードルパンチ法,糸で編み込むステッチボンディン
グ法等があり、ピンホールが生成しないように微細加工
を実施する事で使用可能である。またさらに湿式により
繊維を抄紙し、上記乾式法で示した手法と同様の繊維接
着,繊維交絡法を用いて作製した不織布も使用可能であ
る。
【0016】また、多孔フィルムの場合は、一般的な未
延伸のフィルムを延伸により多孔化したフィルムや、抽
出可能な充填剤、可塑剤および必要に応じて無機微粉体
等を配合した未延伸フィルムから必要であれば溶媒で充
填剤、可塑剤等を抽出して多孔化し、場合により抽出前
または抽出後に延伸を施して多孔化したフィルムや、フ
ィルムにレーザー照射することによって多孔化したフィ
ルムや、例えばフィブリル化した繊維や分割型繊維など
の極細繊維などを含む均一な不織布を熱融着させること
でフィルム化した多孔フィルムや、粉末状または繊維状
の樹脂またはそれらの混合物を熱融着させることでフィ
ルム化した多孔フィルムなどを用いることができる。ま
たフィルム成形時に気泡または気泡を生成する物質を混
在させることもできる。さらにはこれらを組み合わせる
こともできる。
【0017】本発明のアルカリ電池用セパレータを構成
する樹脂は、任意の有機系樹脂材料を用いることができ
るが、電解液に対する耐性、耐酸化性等の面からポリオ
レフィン系合成樹脂を用いることが好ましい。ここでポ
リオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン単独からなる
樹脂、またはオレフィンとその他の単量体との共重合体
とからなる樹脂のことであり、ポリオレフィンとして
は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン、ポリブテン、ポリエチレン−プロピレン、ポ
リエチレン−ブテン−プロピレン等を挙げることがで
き、また、オレフィンと共重合が可能なその他の単量体
としては、スチレン、酪酸ビニル、酢酸ビニル等を挙げ
ることができる。これらの樹脂の中でも、ポリエチレン
系樹脂やポリプロピレン系樹脂からなるものが好まし
い。また、ポリフッ化ビニリデン系やテトラフルオロエ
チレン系などのフッ素系高分子あるいはこれらを一部に
含有させた系からなる高分子を用いても良い。
【0018】上述した樹脂は単独で用いても良いし、2
種以上の樹脂を混在させても良く、特に限定されるもの
ではない。なお、例えば、多孔シートを作製する際に繊
維状の成分を含有させる場合、芯鞘型複合繊維、偏心身
鞘型複合繊維、並列型複合繊維、海島型複合繊維、分割
型複合繊維などを使用することは好ましい。例えばポリ
プロピレンの外側にポリエチレンを配置した芯鞘複合繊
維を用いる、または混在させて作製した多孔シートや、
多孔シート中に極細繊維を形成可能な分割型複合繊維を
混在させた後水流によって開繊させた多孔シートは有効
に使用できる。
【0019】また、上記に記載したポリオレフィン系合
成樹脂および繊維を使用して作製した多孔シートにおい
て、平均繊度は0.05〜3dtexの範囲にあるのが好ま
しく、さらには0.1〜2dtexの範囲にあるのが望まし
い。平均繊度が0.05dtex未満になると本質的に繊維
強度が弱いため電池製造時に短絡する。一方、平均繊度
が3dtexを越えると、多孔シートとした際に孔径の広い
箇所が増加し、短絡に繋がる。
【0020】また、上記範囲の多孔シートにおいて、フ
ラジール法により通気度は、50cm3/cm2/s以下
である事が望まく、さらに望ましくは30cm3/cm2
/s以下、さらには25cm3/cm2/sが好ましい。
フラジール法による通気度が、上記範囲以上の値を持つ
多孔シートでは、孔径の広い箇所が増加し、短絡する。
またさらに、充電末期で発生する酸素ガスの透過性を確
保するために、フラジール法による通気度は、2cm3
/cm2/s以上である事が望まく、さらに望ましくは
4cm3/cm2/s以上である。よって、本発明に用い
る多孔シートの通気度は、2〜50cm3/cm2/sの
範囲にある事が望ましい。
【0021】また、上記の繊維径と通気度を有する多孔
シートを作製するために、多孔シートの重量は20g/
2以上75g/m2以下にする必要があり、さらに最適
には25g/m2以上60g/m2以下にするのが好まし
く、より最適には30g/m2以上55g/m2以下が望
ましい。多孔シートの重量が75g/m2よりも大きい
と、多孔シートの目が詰まりすぎて通気度が2cm3
cm2/s以下となる。逆に多孔シートの重量が20g/
2未満の場合、本質的に強度が弱いため、短絡しやす
いセパレータとなる。
【0022】また高強度繊維を混在させることにより多
孔シートの強度を増加させることも可能である。その
際、高強度繊維の引張強度は3cN/dtex以上であるの
が好ましく、さらには、7cN/dtex以上、より好適に
は10cN/dtex以上であるのが望ましい。高強度繊維
の引張強度が3cN/dtexよりも弱いと、強度向上の効
果が低下していく。なお高強度繊維の引張強度の上限
は、電池生産時のハンドリング性を考慮すると40cN
/dtex以下とすべきであり、それよりも強いと特殊な装
置が必要となってくる。
【0023】さらに高強度繊維を混在させる場合、高強
度繊維を構成する樹脂成分は、電解液に対する耐性、耐
酸化性等の面からポリオレフィン系樹脂を用いることが
好ましい。より具体的にポリオレフィン系樹脂とは、ポ
リオレフィン単独からなる樹脂、またはオレフィンとそ
の他の単量体との共重合体とからなる樹脂のことであ
り、ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリ
エチレン−プロピレン、ポリエチレン−ブテン−プロピ
レン等を挙げることができ、また、オレフィンと共重合
が可能なその他の単量体としては、スチレン、酪酸ビニ
ル、酢酸ビニル、等を挙げることができる。これらの樹
脂の中でも、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹
脂からなるものが好ましい。また、ポリフッ化ビニリデ
ン系やテトラフルオロエチレン系などのフッ素系高分子
あるいはこれらを一部に含有させた系からなる高分子を
用いても良い。
【0024】また、高強度繊維に関しても高強度樹脂は
単独で用いても良いし、芯鞘型複合繊維、偏心身鞘型複
合繊維、並列型複合繊維、海島型複合繊維、分割型複合
繊維などのように2種以上の樹脂を混在させても良く、
特に限定されるものではない。例えば高強度ポリプロピ
レンの外側にポリエチレンを配置した芯鞘複合繊維を用
いる、または混在させて作製した多孔シートは有効に使
用できる。
【0025】またここで高強度繊維は、短繊維から作製
した、例えば湿式法により抄造した多孔シートや、延伸
が十分でない、例えばメルトブロー法により作製した長
繊維からなる多孔シートに対しては混入させなければな
らない。短繊維から作製した多孔シートおよび延伸を十
分に行っていない長繊維からなる多孔シートは、本質的
に強度が弱いために凹凸を作製すると短絡しやすくな
る。その際、高強度繊維は5%以上40%以下の範囲で
混入させるのが好ましく、さらに最適には10%以上3
0%以下の範囲である。混入量が5%よりも少ないと短
絡確立が増加していく。逆に40%を越えるとハンドリ
ング性が悪くなり、特殊な設備が必要となる。一方、ス
パンボンド方式で作製した多孔シートに代表されるよう
な延伸を十分に行うことによって作製した長繊維からな
る多孔シートに対しては、高強度繊維を混入させると非
常に良好な強度特性を有する多孔シートとなるが、元々
の強度が強いために、必ずしも高強度繊維を混入させる
必要は無い。従って、高強度繊維は40%以下の範囲で
混入させることができ、少々でも混入した場合、非常に
良好な強度特性を示す。
【0026】また、高強度繊維の繊維径としては、平均
繊度0.1dtex〜3.0dtexの範囲にあるのが好まし
く、さらには0.2〜2.0dtexの範囲にあるのが望ま
しい。平均繊度が0.1dtex未満になると強度向上の効
果が不十分である。一方、平均繊度が3.0dtexを越え
ると、多孔シートとした際に孔径の広い箇所が増加し、
短絡に繋がる。
【0027】また、これらの樹脂の他に酸化防止剤や紫
外線防止剤、耐電防止剤、着色料、難燃剤などの各種添
加物や、金属成分を混入しても良い。その添加量は、最
終的に電池に組み込んだ際に電池性能を低下させない範
囲であればよい。
【0028】本発明のセパレータにおいては、多孔シー
トの片面に凹部を、もう一方の面に凸部を形成させる必
要がある。
【0029】凹凸を付与する方法は特に限定されるもの
ではなく、片面に凹部、もう一方の面に凸部が形成され
る公知の方法であればいずれも使用可能である。例えば
ギヤロールによる加圧、金型や金属メッシュ、樹脂製ネ
ット等とともにプレスして凹凸を転写する方法、しぼり
加工やもみ加工による方法、凹凸を有するネット上に多
孔シートを形成する方法、樹脂を部分的に融解して圧縮
する方法などをあげることができる。
【0030】上記凹凸加工処理によって形成される凹凸
の断面形状は図1に示すように凹部と凸部が表裏で重な
っている必要がある。片面に凹部のみを形成した多孔シ
ートから作製したセパレータにおいても、電池の内圧上
昇を抑制可能であるが、電池を作製するときに、凹部の
薄くなった部分の強度が弱くなってしまうために短絡し
やすくなる。そのために凹部の存在する裏側に凸部を形
成させて、セパレータが部分的に薄くなり、短絡するの
を防ぐ必要がある。また、凹凸部が完全に潰れてしまっ
た場合、応力集中が起こって強度が弱くなるので、避け
るべきである。この際、凹部の形状はU字状、V字状あ
るいは角状のいずれでも良い。一方、凸部の形状は特に
限定されず、著しく薄い箇所を持たないように凹部の形
状に合わせて作製すればよい。また、上面から俯瞰した
凹凸の形状は溝と畝のような連続的なものであるのが好
ましく、連続的な凹凸としては図2に示すような一方向
に並ぶものや、格子状またはランダムに交差するものが
あげられる。また、凹凸は均一に分散している方が好ま
しく、連続的な凹凸に加えて図3に示すような丸型、星
型、三角、四角、十字型等の多角形や、不定形のもの
や、それらを組み合わせた非連続な凹凸も有するものに
関しても、連続的な凹凸のみを表面に有する場合と同じ
く特に有効である。
【0031】上記方法で付与された凹凸によって、電池
を捲回した際に負極とセパレータの凹部との間に微小な
空間を形成することができる。正極で発生した酸素ガス
は、セパレータ内を通過してこの空間に一時的に保持さ
れた後、負極表面上で消費されるため電池内圧の上昇を
抑制することができるものである。また、電池を作製す
る際に、上記空間を通って電解液が行き渡るため、電解
液の注入が容易になるという特徴も有する。したがっ
て、本発明においてその凹凸は電池内でセパレータと負
極表面の間に十分な微小空間を形成できるようなもので
ある必要がある。一方、正極側に存在する凸部は大部分
が正極に押しつぶされるような形となる。ただし、凸部
が大きすぎると凸部がつぶされることなく残るために、
正極とセパレータの接触面積が減少し、電池の内部抵抗
が大きくなってしまう。従って、セパレータの凸部は大
部分押しつぶされるが、凹部はその形を維持しうる条件
で電池を作製する必要がある。
【0032】上記範囲の凹凸を有する多孔シートは、ス
ルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキ
シル基、フッ素系官能基などの親水性官能基を少なくと
も表面の一部に有する必要がある。これらの親水性官能
基を有しないセパレータは、電解液を保持することがで
きず、電池に組み込むと内部抵抗の高い電池となってし
まう。
【0033】本発明のアルカリ電池用セパレータにおい
て親水性官能基を導入する手法としては、公知の手法で
あればいずれも使用可能である。例えば、前述したよう
に親水性官能基を有するモノマ−とオレフィン系モノマ
ーとの共重合体を単独で用いることも可能であり、ま
た、これらの親水性官能基を有するポリマーと親水性官
能基を持たないポリマーとを混合しても良い。さらに
は、疎水性のポリオレフィン系樹脂からなる多孔シート
をグラフト処理、スルホン化処理、界面活性剤の塗布処
理、コロナ処理、プラズマ処理、フッ素ガス処理、樹脂
コーティング処理等によって親水化する手法などがあ
る。また、これらを組み合わせて実施することも可能で
ある。なお、ニッケル水素電池用途として使用する場合
には、電極から遊離する不純物(主としてアンモニア)
を吸着する能力を有するセパレータは付加価値が高く、
特に好適に使用できるため、疎水性のポリオレフィン系
多孔シートにスルホン化処理またはグラフト処理のいず
れかの処理を少なくとも実施することが好ましい。その
結果、自己放電を抑制することが可能であり、容量保持
率に優れるセパレータを提供することも可能である。ニ
ッケルカドミウム電池やニッケル亜鉛電池用途として使
用する場合は、親水性官能基の導入方法によらず良好に
使用できる。
【0034】なお、スルホン化処理法としては熱硫酸に
浸積させる方法、発煙硫酸に浸積させる方法、クロル硫
酸に浸積させる方法、三酸化硫黄ガスと接触させる方
法、硫酸または発煙硫酸への浸積と三酸化硫黄ガスまた
は二酸化硫黄ガスへの接触を繰り返し行う方法、熱硫酸
に浸積したのち三酸化硫黄ガスと接触させる方法、フッ
素処理を行った後に二酸化硫黄と酸素の混合気体に接触
させる方法、二酸化硫黄と酸素や二酸化炭素が存在する
雰囲気下でエネルギーを与える方法、などはいずれも好
適に利用できる。またグラフト処理法としてはビニル単
量体などを樹脂に接触させると同時に紫外線照射処理、
プラズマ処理、コロナ処理などのエネルギーを付与する
方法や触媒を用いる方法などの公知の方法であればいず
れも利用可能である。
【0035】上記に示した親水化処理を行うと、スルホ
ン酸基やカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル
基、フッ素系官能基といった親水性の官能基を繊維表面
上に付与できる。また、親水性官能基量としては、イオ
ン交換量から評価した際に、少なくとも0.002me
q/g以上であることが好ましく、それよりもイオン交
換量が少ないと電解液との親和性はあまり期待できな
い。一方、親水化しすぎるとスルホン化処理においては
多孔シートの強度が低下し、グラフト処理においては、
電池に組み込んだ際の寿命が短くなるという欠点を示
す。従って、スルホン化処理においては、発光分光分析
で調べた硫黄量で40000ppm以下にすべきであ
る。また、グラフト処理においては、グラフト処理によ
る重量増加を40重量%以下に抑えるべきである。な
お、スルホン化処理を施したセパレータにおいて、発行
分高分析で調べた硫黄量が500〜40000ppmの
範囲にあるものや、或いはグラフト処理を施したセパレ
ータにおいて、重量増加が2〜40重量%の範囲にある
ものは、自己放電の抑制効果に優れたセパレータとな
る。
【0036】以上のようにして、凹凸を付けた多孔シー
トを親水化することによって得たセパレータにおいて、
凹部の深さはセパレータのみかけ厚みに対して5%以上
70%以下の範囲であることがのぞましく、さらに好ま
しくは10%以上60%以下の範囲である。凹部の深さ
が5%未満の場合には電極表面とセパレータの間に十分
な空間が生じず、凹凸の効果が得られないからである。
また、凹部の深さを70%より大きくした場合、凹部の
逆側に形成させる凸部も大きいものとなり、セパレータ
全体の厚みが厚くなると同時に、表面平坦性が悪くな
り、電極とセパレータの接する面積が減少するため、内
部抵抗の高い電池となってしまう。また、凹部深さが7
0%を越えると、たとえ凸部を形成させたとしても、特
異的に凹部の強度が低下するため、短絡を抑えることが
できなくなる。
【0037】また、セパレータ全面積に対する凹部およ
び凸部の面積は、5%以上35%以下の範囲にあること
がのぞましく、さらに最適には10%以上30%以下で
ある。この範囲であれば過充電時に発生する酸素ガスを
電極とセパレータの界面上に効果的に分散させることが
でき、負極での酸素ガス吸収が効率的に進行する。同時
にガスがセパレータ中の電解液を押しのけて負極の有効
面積が減少するのを防ぐことが可能となり、放電特性、
とくに高率での放電特性を向上できる。さらには、セパ
レータが電解液を長期に渡って保持することが可能とな
るため、サイクル特性も向上できる。なお、5%未満の
場合には凹凸をつけた効果が小さくなり、逆に35%よ
り大きい場合には電極との密着が悪くなるため、内部抵
抗の増加により、電池性能が低下していく。
【0038】また、特に連続的な凹凸を有する多孔シー
トにおいて凹部の幅の平均値としては0.2〜3.0mm
の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.4〜
2.0mmである。凹部の幅が0.2mmよりも小さいとセ
パレータと負極との間に形成される空間が小さいため
に、内圧上昇を抑止する効果が低下していく。一方、
3.0mmよりも大きいと電極との密着性が悪くなるため
に、電池性能が低下する。
【0039】本発明によるセパレータを用いて電池を構
成する場合、凹部を有する面が少なくとも負極に対向す
るように配置することが重要である。凹部を負極側に配
置することにより、負極表面とセパレータの間に空間が
形成され、正極より発生した酸素ガスが負極側に効率的
に移動することができ、移動した酸素ガスが負極表面で
効率よく吸収され、結果的に電池の内圧上昇が抑制され
ると共に、放電特性とサイクル特性が向上する。
【0040】また本発明のセパレータを用いて密閉型電
池を作成する際には、(1)捲回体を作製する際にセパ
レータに加わる圧力及び張力、(2)電極表面の平坦
性、(3)電極の硬度、(4)電解液量、(5)電解液
の注入方法、(6)捲回体から巻き芯を抜く際の抵抗お
よび凹凸部への応力の集中、(7)タブを溶接する際に
セパレータにかかる温度、などを少なくとも考慮する必
要がある。ここで捲回体を作製する際にセパレータに加
わる圧力や張力が高いとセパレータ表面に存在する凹凸
が潰れて内圧抑制効果が薄れる。さらに場合によっては
短絡する。また、電極表面の平坦性が悪いと短絡に繋が
る。また、電極が柔らかすぎると、凹凸が埋まって内圧
抑制効果が薄れ、逆に堅すぎると短絡する。また、使用
する電解液量が多すぎると内圧が上昇しやすくなり、少
ないと内部抵抗が増大し、電池の寿命が短くなる。ま
た、電解液の注入方法が悪いと電池の生産性が悪化した
り、電解液が均一に行き渡らないために、電池の性能が
ばらつく。また、捲回体から巻き芯を抜く際の抵抗が大
きかったり、凹凸部への応力集中が発生すると、セパレ
ータが破断し、短絡してしまう。また、電極から電池を
取りだすために必要なタブを溶接する際にセパレータが
加熱され融解または収縮すると、短絡する恐れがある。
従って、本発明のセパレータを使用した電池を作製する
際には、少なくともこういった電池の作製時に問題とな
る点を考慮しなければならず、こういった点を考慮して
作製した電池も本発明の電池の範囲に包括される。ま
た、電池の形状や電極とセパレータの割合や、電極に使
用する合金組成や、電池作製方法などについても考慮す
る方が好ましい。
【0041】以下、本発明における各種セパレータの物
性値の測定方法を示す。
【0042】・重量、みかけ厚み、凹部深さ、凹凸部の
面積 (1)セパレータより試験片(幅5cm,長さ10c
m)を採取し、60℃±2℃の下で、10時間乾燥した
時の重量を基に、1m2当たりの重量に換算した値を、
重量[g/m2]とした。 試験片n=30点の平均で
求めた。 (2)上記試験片の中央部の厚みを測定面が直径31.
5mmのデジタル厚み計(ピーコックデジタル厚み計)
を用いて測定した。n=30点の平均で求めた。 (3)セパレータの断面形状を光学顕微鏡にて300倍
に拡大し、凹部の厚みを測定する。この凹部厚みと見か
け厚みとの差を凹部深さとした。n=30点の平均で求
めた。 (4)セパレータ200cm2に占める凹部面積の比率を
測定する。この凹部の面積を凹凸部の面積とした。n=
10の平均から求めた。
【0043】・通気度 JIS L1096−1990の通気性測定法に準じ、
フラジール型試験機により測定した。
【0044】・引張強度 幅5cm,長さ15cmのサンプルを用いて、縦(M
D)方向における引っ張り強度をJIS L1068
(織物の引っ張り試験方法)に準じ、つかみ間隔を10
cm,引っ張り速度を30cm/分として測定を実施し
た。試験片n=20点の平均で求めた。
【0045】・突刺強度 突き刺し強度は、試料を直径1.128cm,面積1c
2 の円孔ホルダーに固定し、先端球状が0.5R,
直径1mmΦのニードルを2mm/秒の速度で試料を突
き抜けるまで降下させていく際、ニードルに加わる最大
荷重とした。具体的には、カトーテック(株)KES−
G5ハンディ圧縮試験機を用いて測定を実施した。試験
片n=100点の平均で求めた。
【0046】・イオン交換量 0.2gの試験片に1mol/LのHCl水溶液を完全
に含浸させた後、1mol/LのHCl水溶液中に移し
て1時間浸漬した。その後、イオン交換水でpHが6〜
7になるまで数回洗浄した。次いで、60℃の送風乾燥
機で2時間乾燥し、室温まで冷却した。冷却後の試験片
を0.01mol/dm3のKOH水溶液100cm3
浸漬し、45℃で1時間振とうした後、試験片を取り出
し、溶液25cm3を採取して、0.01mol/Lの
HCl水溶液で中和滴定した。ブランク溶液も同様に滴
定し、式1より、カリウムイオン交換量を算出した。
【0047】 イオン交換量(meq/g)={(V0―V1)×100×0.01×f}/(25 ×0.2) ・・・(式1) ただし、 V1:サンプルの滴定に要したHCl水溶液量(c
3) V0:ブランク溶液の滴定に要したHCl水溶液量(c
3) f :HCl水溶液のファクター
【0048】・電池評価 電池評価はSCサイズの密閉型電池を作製しておこなっ
た。先ず、ペースト式水酸化ニッケル正極とペースト式
水素吸蔵合金負極、及びセパレータを渦巻き状に捲回
し、外装缶に挿入後、電解液として水酸化リチウムを添
加した水酸化カリウム水溶液を注入し、封缶して密閉型
電池(容量2500mAh)とした。電池の初期活性化
処理としては、45℃で6時間保持後、20℃の空気雰
囲気下において0.2Cで6時間充電と0.2C放電
(放電終止電圧1.0V)の操作を10回繰り返した。
10回目の放電容量の理論容量に対する割合をこの電池
の放電容量比とした。尚上記0.2C放電とは、密充電
した電池を5時間かけて放電することであり、この際放
電の電流値を適切な値に設定する。
【0049】・放電容量比 高率放電試験時の性能評価として、先述の初期活性化を
終えた電池について0.2Cで6時間充電後、4Cで
0.8Vまでの放電をおこない、この放電容量の理論容
量に対する比(放電容量比)を算出した。
【0050】・電池内圧測定 先述の初期活性化をおこなった電池について、雰囲気温
度20℃で、0.5C充電を3時間(充電深度150
%)おこなった際の電池内圧を測定した。
【0051】・サイクル寿命 初期活性化を終えた電池について、0.5Cで2.4時
間(120%)の充電と0.5Cで終止電圧1.0Vの
放電を1サイクルとするサイクル試験を実施した。この
際、放電容量が初期の80%となった時点で寿命到達と
判断した。
【0052】
【実施例】以下に本発明の実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明は決してこれら実施例のみに限定される
ものではない。
【0053】実施例1 引張強度が7cN/dtex、繊度2dtex、繊維長10mmの
ポリプロピレン高強度繊維(融点166℃)15wt%と
繊度1.1dtex、繊維長10mmのポリプロピレン(融点
160℃)/低密度ポリエチレン(融点110℃)からな
る芯鞘複合繊維40wt%に加え、略三角形状で繊度0.
125dtexのポリプロピレン極細繊維(融点160℃)を
8本と略三角形状で繊度0.125dtexの高密度ポリエ
チレン成分(融点130℃)を8本発生可能なオレンジ
型断面を有する、繊度2dtex、繊維長10mmの分割型複
合繊維45wt%を混合分散させたスラリーを、傾斜ワイ
ヤー型長網方式により抄造して繊維ウェブを形成した。
なお、繊維を抄造するネットとスラリー流量を調整する
ことにより、繊維を一方向に配向させた。次いで、この
繊維ウェブを線経0.16mmのネット上に配置し、ノズ
ル経0.13mm、ピッチ0.6mmのノズルプレートから
圧力12.3MPaの水流を両面交互に2回づつ噴出し
て、分割繊維の分割及び繊維を絡合させて絡合した多孔
シートを製造した。次いで、この絡合した多孔シートを
温度123℃で乾燥すると同時に融着繊維の鞘成分を融
着させて、融着絡合した多孔シートを製造した。次い
で、この融着絡合した多孔シートを130℃に加熱した
凸部の幅が1.4mmであり、凸部面積が30%からなる
金属製ギアロールと130℃に加熱したシリコン樹脂製
フラットロールにより加熱・加圧して重量55g/
2、見かけ厚み165μm、凹部の深さは90μmで
あり、片面に凹部を有し、凹部の裏側に凸部を有する、
具体的な凹凸の形成状態としては、図1左上の形状の凹
凸が、図2右上のように均一に存在している多孔シート
を作製した。なお、凹凸を形成させていない箇所の厚み
は130μmである。このようにして作製した多孔シー
トを60℃,20%の発煙硫酸に1分間浸積処理し、さ
らに濃硫酸と希硫酸水溶液とイオン交換水による洗浄の
後、70℃で乾燥を行い繊維表面および一部内部までス
ルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキ
シル基などの親水性官能基形成させた。イオン交換量
は、0.013meq/gであった。このようにして得たセ
パレータを実施例1のセパレータとする。セパレータの
各種物性及び、このセパレータを使用した電池の性能を
表1に示す。
【0054】実施例2 引張強度が12cN/dtex、繊度1.2dtex、繊維長
10mmのポリプロピレン製高強度繊維(融点166℃)
30wt%と繊度1.1dtex、繊維長10mmのポリ
プロピレン(融点160℃)/高密度ポリエチレン(融点1
25℃)からなる芯鞘複合繊維70wt%を混合分散さ
せたスラリーを傾斜ワイヤー型長網方式により抄造し、
130℃の熱風にさらすことで乾燥させると同時に軽く
融着させた。その後120℃に加熱した凸部の幅が0.
4mmであり凸部面積が20%からなる金属製ギアロール
と120℃に加熱したシリコン樹脂からなる弾力のある
フラットロールの間に挟み込み両側から加熱・加圧する
ことによって、ポリエチレンによって融着された重量5
0g/m2、見かけ厚み145μm、凹部の深さ60μ
mであり、片面に凹部を有し、凹部の裏側に凸部を有す
る、具体的な凹凸の形成状態としては、図1右下の形状
の凹凸が、図2右上のように均一に存在している多孔シ
ートを作製した。なお、凹凸を形成させていない箇所の
厚みは120μmである。このようにして作製した多孔
シートをフッ素ガス4vol%、酸素ガス6vol%、二酸化
硫黄ガス10vol%、窒素ガス80vol%からなる混合ガ
ス雰囲気下で、コロナ放電を行うことによって、繊維表
面および一部内部までスルホン酸基、カルボキシル基、
カルボニル基、ヒドロキシル基、フッ素系官能基などの
親水性官能基形成させた。その後、希硫酸水溶液とイオ
ン交換水による洗浄の後、70℃で乾燥を行い、イオン
交換量が0.041meq/gである実施例2のセパレータ
を作製した。セパレータの各種物性及び、このセパレー
タを使用した電池の性能を表1に示す。
【0055】実施例3 引張強度が18cN/dtex、繊度1.0dtex、繊維長
15mmの超高分子量ポリエチレン製高強度繊維(融点
150℃,商品名:東洋紡製ダイニーマ)25wt%と
繊度0.8dtex、繊維長10mmのポリプロピレン(融
点162℃)/高密度ポリエチレン(融点130℃)からな
る芯鞘複合繊維75wt%を混合分散させたスラリーを
傾斜ワイヤー型長網方式により抄造し、130℃の熱風
にさらすことで乾燥させると同時に軽く融着させた。そ
の後100℃に加熱した凸部の幅が0.8mmであり凸部
面積が15%からなる金属製ギアロールとこちらも10
0℃に加熱したシリコン樹脂からなる弾力のあるフラッ
トロールの間に挟み込み両側から加熱・加圧することに
よって、ポリエチレンによって融着された重量45g/
2、見かけ厚み120μm、凹部の深さ15μmであ
り、片面に凹部を有し、凹部の裏側に凸部を有する、具
体的な凹凸の形成状態としては、図1左下の形状の凹凸
が、図2右上のように均一に存在している多孔シートを
作製した。なお、凹凸を形成させていない箇所の厚みは
110μmである。次いでこの多孔シートを予め窒素ガ
スによって飽和させたアクリル酸20重量%、蒸留水7
6.7%、ベンゾフェノン0.2重量%、硫酸第1鉄
0.1重量%、ノニオン系界面活性剤3.0重量%より
なる溶液中に10分間浸積したのち、取り出し、余分な
液を除去した後、メタルハライド水銀灯から180mW/c
m2の照度で、365nm中心の紫外線を多孔シートの両側
から照射して、グラフト重合による親水化処理を実施し
(グラフト率10%)、水洗を繰り返した後60℃で乾
燥し、実施例3のセパレータとした。セパレータの各種
物性及び、このセパレータを使用した電池の性能を表1
に示す。
【0056】実施例4 市販のポリプロピレン製多孔シート(日本高度紙工業S
LF50120,厚み120μm、平均繊度1dtex、重
量50g/m2)を110℃に加熱した凸部の幅が2.
0mm、凸部面積率30%のギヤロール(ロール温度13
0℃)と110℃のシリコン樹脂製フラットロールによ
り、加熱・加圧して片面に凹部を有し、凹部の裏側に凸
部を有する、具体的な凹凸の形成状態としては、図1左
上の形状の凹凸が、図2右上のように均一に存在してい
る多孔シートを作製した。見かけ厚みは140μm、凹
部の深さは40μmである。これを96%の硫酸を用い
130℃で3分間処理した。さらに希硫酸水溶液とイオ
ン交換水による洗浄の後、75℃で乾燥を行い実施例4
のセパレータとした。イオン交換量は、0.003meq/
gであった。セパレータの各種物性及び、このセパレー
タを使用した電池の性能を表1に示す。
【0057】実施例5 市販のポリプロピレン製多孔シート(日本高度紙工業S
LF45110,厚み110μm、平均繊度1dtex、重
量50g/m2)を100℃に加熱した凹部の幅が0.
6mm、凹部面積20%のギアロールと100℃のシリコ
ン樹脂製フラットロールにより、加熱・加圧して片面に
連続的な凹部と、その裏側に凸部を形成した。次いで1
00℃に加熱した凸部が直径0.8mmの円形であり、凸
部面積が10%からなる金属製のエンボスロールと10
0℃のシリコン樹脂製フラットロールを用いて加熱・加
圧することにより、連続的な凹部と非連続的な凹部を有
し、かつ、凹部の裏側に凸部を有する、具体的な凹凸の
形状としては図1右下の形状の凹凸が図2右上のように
均一に分散している連続的な凹凸と、円形の非連続な凹
凸が均一に分散している多孔シートを作製した。見かけ
厚みは120μm、凹部の深さは25μmである。これ
を実施例4と同じ方法で親水化した。イオン交換量は、
0.0028meq/gであった。セパレータの各種物性及
び、このセパレータを使用した電池の性能を表1に示
す。
【0058】
【比較例】以下に本発明の比較例を示す。本発明の範囲
に含まれない方法によると、本文中に記載するような優
れた特性を引き出すことは出来ない。
【0059】比較例1 実施例1において、凹凸を作製する際、シリコン樹脂ロ
ールの変わりに金属製フラットロールを用いてセパレー
タを作製した。他の操作は全て同じである。片面に凹部
のみを有する比較例1のセパレータを作製した。電池に
組み込む際に一部の電池が短絡した。短絡した電池を分
解してセパレータを調べてみると、凹部の薄くなった部
分において、電極のバリが突き抜け、短絡していること
が分かった。凹部のみを形成した箇所において、強度が
特異的に低下しているものと考えられる。セパレータの
各種物性及び、このセパレータを使用した電池の性能を
表1に示す。
【0060】比較例2 実施例4において、凹凸を作製する際、シリコン樹脂ロ
ールの変わりに金属製フラットロールを用いてセパレー
タを作製した。他の操作は全て同じである。片面に凹部
のみを有する比較例2のセパレータを作製した。電池に
組み込む際に一部の電池が短絡した。短絡した電池を分
解してセパレータを調べてみると、比較例1の場合と同
様に凹部の薄くなった部分において電極のバリが突き抜
け、短絡していることが分かった。強度が特異的に低下
しているものと考えられる。セパレータの各種物性及
び、このセパレータを使用した電池の性能を表1に示
す。
【0061】比較例3 実施例1において、多孔シートを作製する際にスラリー
流量を調整することによって、重量30g/m2からなる絡
合した多孔シートを作製した。この絡合した多孔シート
を110℃に加熱したフラット金属ロールを用いてプレ
スすることによって、厚み60μmであり、接着成分で
あるポリエチレンによって強固に融着された表面が平坦
な多孔シートを作製した後、実施例1と同様の手法によ
り親水化した。そうして得た親水化多孔シートに繊維の
配列方向と平行に、幅1.4mmのスリットを30%の面
積を占めるように入れたスリット付き親水化多孔シート
を作製した。このスリット付き親水化多孔シートと前記
の平坦な親水化多孔シートを重ね合わせたものをスリッ
ト付き親水化多孔シートが負極の方向を向くようにして
電池に組み込んだ。2層に分かれているために、電池に
組み込む際にセパレータのずれが発生し、電池の作製が
幾分困難であった。また、作製した電池の大部分が短絡
していた。スリットによって凹部が形成されている箇所
においては、多孔シートが1枚しか存在しないために強
度が弱く、電極バリが突き抜けたためである。セパレー
タの各種物性及び、このセパレータを使用した電池の性
能を表1に示す。
【0062】比較例4 実施例4において、60℃のギアロールと60℃のシリ
コン樹脂ロールを用いて凹凸を形成させた後、親水化し
た多孔シートを作製し、比較例4のセパレータとした。
作製した電池は、内圧が上昇しやすいものであると共
に、サイクル寿命に劣っていた。さらに実施例に比べ
て、放電容量比も低いものであった。凹凸の形成が十分
でなかったためであると考えられる。セパレータの各種
物性及び、このセパレータを使用した電池の性能を表1
に示す。
【0063】比較例5 実施例2において、150℃に加熱した凸部の幅が0.
8mmであり凸部面積が45%からなる金属製ギアロール
と130℃に加熱したシリコン樹脂からなる弾力のある
フラットロールを用いて、ポリエチレンによって融着さ
れた重量50g/m2、見かけ厚み175μm、凹部の
深さ130μmとなるセパレータを作製した。電池に組
み込む際に大部分が短絡した。凹部が深すぎるために、
特異的に弱い箇所ができたものと考えられる。また、組
み込んだ電池の内圧上昇は抑制できるものであったが、
放電容量比は悪く、サイクル寿命も劣っていた。電極と
セパレータの接触面積が少なかったために、内部抵抗が
大きく、放電容量比が低下したと考えられる。また、大
きな内部抵抗が災いして、サイクル寿命も低下させたと
考えている。セパレータの各種物性及び、このセパレー
タを使用した電池の性能を表1に示す。
【0064】比較例6 実施例1において、ギアロールの代わりに凸部が直径
1.1mmの円形であり、凸部面積が25%からなる金属
製のエンボスロールを用いて凹凸を形成させた。他の操
作は全て同じである。内圧上昇をある程度抑えることが
できるが、十分とは言えないものであった。また、サイ
クル寿命も幾分劣っていた。連続的な凹凸の場合とは異
なり、ガスが一カ所に集められてしまうためだと考えら
れる。セパレータの各種物性及び、このセパレータを使
用した電池の性能を表1に示す。
【0065】比較例7 実施例3のセパレータを用いて、凹部を有する面を正極
側に、凸部を有する面を負極側にして電池を作製した。
内圧上昇を抑えることはできなかった。また、サイクル
寿命も悪いものであった。さらに放電容量比も幾分劣っ
ていた。凸部が押しつぶされやすいために、ガスの移動
できる空間が限定されているためだと考えられる。ま
た、連続した凸部によって形成されたセパレータと負極
の間にできる空間は不連続なものであるため、比較例6
の場合と同様に、ガスが移動できないことも幾分関与し
ていると推定している。セパレータの各種物性及び、こ
のセパレータを使用した電池の性能を表1に示す。
【0066】比較例8 実施例1において、ポリプロピレン高強度繊維は使用せ
ず、ポリプロピレン(芯)/ポリエチレン(鞘)からな
る芯鞘複合繊維を55wt%用いて作製したセパレータ
を比較例8のセパレータとした。電池に組み込む際に、
短絡が発生しやすいものであった。本質的に強度の弱い
短繊維から作製した多孔シートにおいて凹凸を形成させ
る場合には、高強度繊維が必要不可欠であると言える。
セパレータの各種物性及び、このセパレータを使用した
電池の性能を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】以上のように実施例のセパレータでは耐短
絡性、電池内圧、放電容量比、サイクル特性いずれも優
れているのに対し、比較例のセパレータは欠点を有して
いた。
【0069】以上の様に、本発明に係る電池用セパレー
タ,アルカリ電池に関して、実施例を示しつつ具体的に
説明したが、本発明はもとより上記例に限定される訳で
はなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加
えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発
明の技術的範囲に包含される。
【0070】
【発明の効果】以上のように本発明のアルカリ電池用セ
パレータは、特異的に薄い箇所が無いために短絡しにく
い。また、電池に組み込んだ際は、負極表面との間に微
小な空間を形成することができ、この空間に正極で発生
してセパレータを通過してきた酸素ガスが蓄積されるた
め、負極表面での酸素ガス吸収反応がスムーズに進行
し、過充電時の電池内圧の上昇を効果的に抑制できる。
したがって、このセパレータを用いたアルカリ電池は優
れた安全性を有する。さらには放電特性およびサイクル
性能も良好な、優れた電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸の断面形状の例
【図2】凹凸部分を上から見た例(連続の場合)
【図3】凹凸部分を上から見た例(非連続の場合)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝本 直彦 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 5H021 AA06 CC09 EE04 HH03 HH04 HH06 5H028 AA01 CC07 CC08 EE06 FF02 FF04 HH00 HH05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の面に凹部を、もう一方の面に凸部を
    有する多孔シートからなることを特徴とするアルカリ電
    池用セパレータ。
  2. 【請求項2】凹部の深さがセパレータの見かけ厚みに対
    して5%以上70%以下であり、かつ、セパレータ全面
    積に対する凹部の面積が5%以上35%以下の範囲にあ
    ることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ電池用セ
    パレータ。
  3. 【請求項3】セパレータに存在する凹凸が連続して存在
    していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに
    記載のアルカリ電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】セパレータに存在する凹凸が連続している
    部分と非連続の部分を持っていることを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレー
    タ。
  5. 【請求項5】セパレータの凹部を有する面は負極に対向
    しており、セパレータの凸部を有する面は正極に対向し
    ていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記
    載のアルカリ電池用セパレータを用いたアルカリ電池。
  6. 【請求項6】親水化したポリオレフィン系樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のア
    ルカリ電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】引張強度3cN/dtex以上の高強度ポリオ
    レフィン系合成繊維を含有することを特徴とする請求項
    1乃至6のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレー
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018032646A (ja) * 2017-12-01 2018-03-01 日本碍子株式会社 亜鉛二次電池用セパレータの評価方法、及び亜鉛二次電池用セパレータ
KR20190114122A (ko) * 2018-03-29 2019-10-10 주식회사 엘지화학 엠보형 분리막을 갖는 이차전지용 전극 조립체의 제조방법

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