JP2002313308A - アルカリ電池用セパレータ - Google Patents

アルカリ電池用セパレータ

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JP2002313308A
JP2002313308A JP2001117200A JP2001117200A JP2002313308A JP 2002313308 A JP2002313308 A JP 2002313308A JP 2001117200 A JP2001117200 A JP 2001117200A JP 2001117200 A JP2001117200 A JP 2001117200A JP 2002313308 A JP2002313308 A JP 2002313308A
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Masahiro Yamashita
全広 山下
Toshio Tanaka
俊雄 田中
Hiroki Yamaguchi
裕樹 山口
Naohiko Takimoto
直彦 滝本
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アルカリ二次電池の過充電時に発生する酸素
ガスを良好に通過させ、電池内圧が上昇しにくく、かつ
短絡しないフィルム状のセパレータを得る。 【解決手段】 少なくとも一方の面に凹凸を形成させた
多孔フィルムからなるアルカリ電池用セパレータであっ
て、しかも多孔フィルムの平均孔径がその見かけの厚み
に対して35%以下であり、好ましくはフィルム表面の
一部にスルホン酸基、カルボキシル基またはヒドロキシ
ル基などの親水性官能基を有し、極限粘度が5以上であ
る超高分子量ポリオレフィン系合成樹脂であるアルカリ
電池用セパレータ。このアルカリ電池用セパレータは、
フィルム状セパレータの長所である短絡しにくいという
特性を維持したまま、ガス透過性を向上させることが可
能となり、短絡しにくく、かつ内圧が上がらないという
安全性に優れる電池を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル・水素電
池、ニッケル・カドミウム電池などの密閉型アルカリ電
池に関するものであり、特に該電池用セパレータに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】密閉型のアルカリ電池は正極,負極,電
解質,セパレータ,及び容器に大別され、上記正極と負
極が上記セパレータにより隔絶され、上記電解質液に浸
漬された状態で容器内に収納されている。
【0003】また、密閉型のアルカリ電池では、過充電
時に正極で発生する酸素ガスを負極に吸収させるという
方式が採用されている。そのため過充電時の内圧上昇が
比較的小さく安全性の高いことから、電気自動車や電動
工具といった大電流用途での応用が進められている。し
かしながら、過充電時の正極での酸素ガス発生速度が、
負極側での酸素ガス吸収速度より速くなると、電池内圧
は徐々に上昇し、電池の破壊や寿命低下を招くため、負
極の酸素吸収速度を向上させるための種々の検討がなさ
れている。特にセパレータに関していえば、発生した酸
素ガスを正極から負極へとスムーズに透過させるための
検討が進められている。
【0004】例えば特開平10−106525号公報に
は、正極板に対向する側に高密度層を、負極板に対向す
る側に高密度層よりも繊維密度の低い低密度層を配する
不織布、特開平6−111847号公報には、負極側の
細繊維含有層(保液層)と正極側の太繊維含有層とから
なる不織布、特開平5−82115公報には、アクリル
酸含有繊維含有層とポリオレフィン系繊維含有層を熱接
着し、かつ場合に応じてスルホン化処理を施した不織
布、特開平8−115739号公報記載の太繊維含有層
と細繊維含有層とを一体化した不織布に親水性モノマー
をグラフト重合した不織布、特開平7−57712号公
報には、2枚以上の不織布を熱風によって一体化した不
織布、特開平11−54101号公報には、水流交絡処
理を用いて作製した多層不織布、特開平5−89869
にはセパレータと負極の間に耐電解液性の網材を設置し
た電池、などが報告されている。しかし、いずれの方法
においても、複数の特性の異なる層を重ね合わせること
を特徴としており、工程が複雑になる。また、厚みが増
すことになって、電池の高容量化には適さないという欠
点がある。また、不織布中に存在する繊維は互いに交絡
しており、繊維が交絡することによって作り出される大
小さまざまな大きさのガスや電解液が移動可能な空間
(言い換えれば、孔)が多数存在する。ここで、太い繊
維を主体として構成させた層、または低密度層は、孔の
大きさ(以後、孔径とする)が特に大きく、繊維密度の
低い箇所において電極バリが突き抜けたり、電極から遊
離する活物質粒子がセパレータを埋めて短絡する、とい
った欠点を有するものもあった。さらに、特開平8−2
55629号公報や特開平7−53042号公報ではセ
パレータに親水性部と疎水性部を混在させることによっ
て、内圧上昇の抑制を試みている。これらのセパレータ
においては、負極と接する疎水性部で酸素消費速度を向
上させることは可能であったが、負極側で酸素ガスが存
在できるスペースが少ないために、有効に酸素消費速度
向上効果を利用できず、内圧の問題を解決できていな
い。
【0005】一方、電池の高容量化にともない、セパレ
ータに対しては厚みを薄くして、できるだけ電池内での
占有体積を少なくすることが望まれている。そこで一般
的に用いられているセパレータである不織布に変わっ
て、フィルムの使用が検討されている。
【0006】例えば、特開平11−31854号公報記
載の水溶性高分子をコーティングした多孔フィルム、特
開平11−189497号公報および特開平10−24
0685号公報記載の高強度の多孔フィルム、などがあ
る。
【0007】これらのフィルムにおいては、不織布より
も薄く、かつ強度を保った状態で孔径を小さくできると
いう不織布にはない長所を有しているので、薄くとも短
絡しにくいセパレータを作製することができる。しかし
ながら、これらのフィルムからなるセパレータを組み込
み作製した電池は、いずれもガス透過性が悪く、かつ負
極における酸素吸収速度に関しても、不織布からなるセ
パレータを組み込み作製した電池に比べて著しく遅くな
るという問題があり、非常に内圧が上昇しやすく、液漏
れを発生した。そのため、大電流を取りだすことができ
るというニッケル・水素電池やニッケル・カドミウム電
池の最大の長所を生かすことができない。
【0008】そこで、これらフィルム状セパレータの短
所であるガス透過性を改良する方策が検討されている。
例えば、特開平11−34533号公報および特開平1
1−50427号公報記載の親水性部と疎水性部を共に
存在させた多孔フィルム、特開平11−111224号
公報記載の孔径を大きくした多孔フィルムなどがある。
これらのフィルムからなるセパレータにおいては、前述
のフィルム状セパレータよりもガス透過性を上げること
により、電池に組み込んだ際の内圧上昇を比較的抑える
ことが可能であった。しかしながらフィルム状のセパレ
ータと不織布からなるセパレータの内圧上昇の差は大き
く、たとえ上記の手法によりフィルムのガス透過性を上
げたとしても、その差を埋めるには至らないものであ
り、内圧上昇の問題は解決できていない。
【0009】以上のようにフィルムからなるセパレータ
は、薄型かつ短絡しない、という長所を持つが、電池に
組み込んだ際の内圧上昇を抑えることができなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記問
題点を鑑みて、アルカリ二次電池の過充電時に発生する
酸素ガスを良好に通過させ、電池内圧が上昇しにくく、
かつ短絡しないフィルムからなるセパレータを得ること
を目的として鋭意検討を行い、上記目的を満足するセパ
レータを発明した。
【0011】上記の結果、本発明者らは、孔径を制御し
た表面であり、かつ凹凸を有する親水性の多孔フィルム
からなるセパレータは、従来のフィルム状セパレータの
有する長所である孔径が小さく粒子充填による短絡が少
ないことに加え、孔径が小さくとも表面に形成させた凹
凸によって、過充電時に発生する酸素ガスを良好に通
過、かつ負極表面で吸収させることが可能となるため、
薄型かつ耐短絡性に優れ、さらには電池に組み込んだ際
に、内圧上昇を抑制できるセパレータとなることを見い
だした。
【0012】単純な多孔フィルム状のセパレータは、粒
子の充填による短絡は少ないという長所を持つが、高い
均一性と表面の平坦性が災いし、内圧上昇を抑制するこ
とはできない。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のアルカリ電池用
セパレータは、少なくとも一方の面に凹凸を有する多孔
フィルムであり、かつ多孔フィルムの平均孔径が多孔フ
ィルムの見かけの厚みに対して35%以下であることを
特徴とするアルカリ電池用セパレータに関するものであ
る。
【0014】また、セパレータの全面積に対する溝部の
面積が3%以上50%以下であり、かつ溝部の深さがセ
パレータの見かけの厚みに対して5%以上60%以下で
あることを特徴とするアルカリ電池用セパレータに関す
るものである。
【0015】スルホン酸基もしくはカルボキシル基もし
くはヒドロキシル基などの親水性官能基を少なくともフ
ィルム表面の一部に有していることを特徴とするアルカ
リ電池用セパレータに関するものである。
【0016】セパレータの凹凸を有する面が少なくとも
負極に対向していることを特徴とするアルカリ電池用セ
パレータを用いたアルカリ電池に関するものである。
【0017】ポリオレフィン系合成樹脂からなることを
特徴とするアルカリ電池用セパレータに関するものであ
る。
【0018】極限粘度が5以上である超高分子量ポリオ
レフィン系合成樹脂を含有することを特徴とするアルカ
リ電池用セパレータに関するものである。特に極限粘度
が5以上である超高分子量ポリプロピレン系樹脂成分及
び/又は超高分子量ポリエチレン系樹脂成分を含有する
アルカリ電池用セパレータに関するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、具体的な手法として、本発
明のアルカリ電池用セパレータとして用いる凹凸を有す
る多孔フィルムを作製する際には、多孔化したフィルム
に凹凸を付けることも可能であるし、凹凸を付けたフィ
ルムを多孔化しても良い。また多孔化と凹凸形成を同時
に行っても良い。
【0020】ここで多孔フィルムを作製する手法として
は、公知のものであればいずれも使用することが可能で
あり、例えば一般的な未延伸のフィルムを延伸により多
孔化したフィルムや、抽出可能な充填剤、可塑剤および
必要に応じて無機微粉体等を配合した未延伸フィルムか
ら必要であれば溶媒で充填剤、可塑剤等を抽出して多孔
化し、場合により抽出前または抽出後に延伸を施して多
孔化したフィルムや、フィルムにレーザー照射すること
によって多孔化したフィルムや、例えばフィブリル化し
た繊維や分割型繊維などの極細繊維などを含む均一な不
織布を熱融着させることでフィルム化した多孔フィルム
や、粉末状または繊維状の樹脂またはそれらの混合物を
熱融着させることでフィルム化した多孔フィルムなどを
用いることができる。またフィルム成形時に気泡または
気泡を生成する物質を混在させることもできる。さらに
はこれらを組み合わせることもできる。
【0021】また凹凸を作製する方法としても、公知の
ものであればいずれも使用することが可能であり、組み
合わせることもできる。例えば、エンボスロールやギヤ
ロールによる加圧、金型や金属メッシュ等とともにプレ
スして凹凸を転写する方法、刃物,ヤスリ,粒子等で切削
する方法、凹凸を有する表面上にキャストする方法、樹
脂を部分的に融解して圧縮もしくは除去する方法、など
が上げられる。また、比較的粒径が大きく融点の高い、
有機及び/又は無機粒子を原料ポリマー中に混在させた
ものを延伸し、粒子部分を凸部とする方法を用いること
もできる。
【0022】上記凹凸加工処理によって形成される凹凸
の断面形状は図1に示すようなU字状、V字状あるいは
角状のいずれでも良い。また、上面から俯瞰した凹凸の
形状は溝や畝のような連続的なものや非連続的なものい
ずれであっても良く、これらを単独もしくは組み合わせ
て用いることができる。連続的な凹凸としては図2に示
すような一方向に並ぶものや、格子状またはランダムに
交差するものがあげられる。非連続的なものとしては図
3に示すような丸型、星型、三角、四角、十字型等の多
角形や、不定形のもの、それらの組み合わせがあげら
れ、限定されるものではない。これらの中でも連続的な
凹部を有するものは特に好ましい。また、凹部はセパレ
ータ全体に渡って、均一に分散している方が有効であ
る。
【0023】上記方法で付与された凹凸によって、電池
を捲回した際に負極とセパレータとの間に微小な空間を
形成することができる。正極で発生した酸素ガスは、セ
パレータ内を通過してこの空間に一時的に保持されたの
ち負極表面上で消費されるため、電池内圧の上昇を抑制
することができるものである。したがって、本発明にお
いてその凹凸は電池内でセパレータと電極表面の間に十
分な微小空間を形成できるようなものである必要があ
る。なお、一般的な表面平坦性の高いフィルム状セパレ
ータを用いた場合、たとえフィルム状セパレータのガス
透過性が良好であっても、繊維が重なり合って存在して
いる不織布からなるセパレータに比べて負極と酸素ガス
が接触できる面積が小さいため、単位面積当たりの酸素
ガス吸収速度が遅く、内圧が上昇し、最終的に電池の破
壊に繋がる。また、前述したような凹凸を作製するため
に、例えば繊維径の太い網材などを配置するような新た
な特性の異なる層を作製する方法は、工程が複雑化する
と共に、層どうしの接着性の問題や、繊維径の太い層は
電解液の保持性が悪いため高速で放電する際の放電特性
が悪くなる、という問題も有することから好ましいとは
言えず、負極表面と接している凸部が電解液を十分に蓄
えられる性質を有する構造とすることが望まれる。
【0024】また、凹凸を有する多孔フィルムを構成す
る樹脂成分としては、電解液に対する耐性、耐酸化性等
の面からポリオレフィン系樹脂を用いることが好まし
い。より具体的にポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレ
フィン単独からなる樹脂、またはオレフィンとその他の
単量体との共重合体からなる樹脂のことであり、ポリオ
レフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリエチレン−
プロピレン、ポリエチレン−ブテン−プロピレン等を挙
げることができ、また、オレフィンと共重合が可能なそ
の他の単量体としては、スチレン、酪酸ビニル、酢酸ビ
ニル等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂からなるも
のが好ましい。また、ポリフッ化ビニリデン系やテトラ
フルオロエチレン系などのフッ素系高分子あるいはこれ
らを一部に含有させた系からなる高分子を用いても良
い。
【0025】またこれらの樹脂成分の分子量は低分子量
のものから超高分子量のものまでどのような分子量の樹
脂を単独で使用、もしくは混合して使用しても良い。ア
ルカリ電池用セパレータとして使用する際には、セパレ
ータは親水性を有している必要があるが、例えば親水化
処理の一例として、ポリオレフィン系多孔フィルムの三
酸化硫黄ガスを用いたスルホン化処理による親水化を考
えた時、低分子量成分を有しているフィルムの方が親水
化されやすいという長所を有する。逆に、超高分子量成
分を有するフィルムは強度が強く薄型化した際に、電極
バリが突き抜けて短絡する確率を低減できるという長所
を有する。従って、適宜、異なる分子量からなる樹脂を
混合して使用することができる。
【0026】超高分子量の樹脂を用いる場合、前述した
ポリオレフィン系樹脂の中から選定することができる
が、極限粘度が5以上、より好ましくは8以上のもの、
さらには10以上のものを用いると良好な機械強度を有
するフィルムを作製することができる。逆に極限粘度が
30を越えたものを使用すると、作製したセパレータの
加工性が悪くなるため相応しくない。なお極限粘度を求
める際に、複数の成分を混合してなる樹脂において単純
に樹脂を溶解させて測定した際に得られる極限粘度は、
複数の特性の異なる樹脂成分が混じり合ってでてきた値
であるため、本発明の主旨とするところの、超高分子量
のポリオレフィン系樹脂が混在されているかどうか判別
が困難な場合がある。従って、例えばGPCなどを用いる
ことによって、複数の樹脂成分を分離し、それら分離さ
れた樹脂成分中に、上記範囲の極限粘度を有する樹脂成
分が含まれていればよい。なおGPCを使用する際の溶
媒、カラム、試料作製条件、温度などは、フィルム毎に
フィルムに含まれている樹脂成分を分離できるよう、適
宜調整する必要がある。従って、後述するGPCの測定法
は、一例である。また、超高分子量ポリオレフィン系樹
脂として、超高分子量ポリエチレンまたは超高分子量ポ
リプロピレンが特に好ましい。
【0027】なお、極限粘度の異なる、つまり分子量の
異なる複数の樹脂成分を混合すると、溶融成型時などの
成型性が悪化する。しかしながら本発明のセパレータに
おいては、セパレータ表面に凹凸を有することが特に重
要であり、凹凸を形成させる工程を含むために、分子量
分布の影響を考慮する必要は少なく、異なる樹脂成分を
混合した際も良好なフィルム状セパレータを得ることが
可能となる。そのため、本発明のセパレータに用いる樹
脂原料の重量平均分子量/数平均分子量は、20以下で
あれば良好なセパレータを作製することが可能である。
【0028】さらに上記の超高分子量ポリオレフィン系
樹脂を混在させる場合は、セパレータの目付に対して1
%以上含まれているのが好ましく、より好適には3%以
上であり、最適には5%以上である。超高分子量ポリオ
レフィン系樹脂の使用量が1%より少ないと超高分子量
ポリオレフィン系樹脂を混在させる効果が十分に得られ
ない。一方、超高分子量ポリオレフィン系樹脂の使用量
が50%を越えるとセパレータの引張強度が強くなりす
ぎて、加工性を考慮した場合望ましくない。
【0029】また、超高分子量ポリオレフィン系樹脂を
用いて作製した高強度繊維も同様に使用できる。例え
ば、フィブリル化した繊維や極細繊維で構成された不織
布中に高強度繊維を分散させた後、プレスによりフィル
ム化する方法は良好に使用できる。
【0030】また、これらの樹脂の他に酸化防止剤や紫
外線防止剤、帯電防止剤、着色料、難燃剤などの各種添
加物や、金属成分を含有しても良い。その添加量は、最
終的に電池に組み込んだ際に電池性能を低下させない範
囲であれば良い。
【0031】上記範囲の凹凸を有する多孔フィルムはス
ルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基などの親
水性官能基を少なくとも表面の一部に有する必要があ
る。これらの親水性官能基を有しないフィルムは、電解
液を保持することができず、電池に組み込むと内部抵抗
の高い電池となってしまう。
【0032】本発明のアルカリ電池用セパレータにおい
て親水性官能基を導入する手法としては、公知の手法で
あればいずれも使用可能である。例えば、前述したよう
に親水性官能基を有するモノマ−とオレフィン系モノマ
ーとの共重合体を単独で用いることも可能であり、ま
た、これらの親水性官能基を有するポリマーと親水性官
能基を持たないポリマーとを混合しても良い。さらに
は、疎水性のポリオレフィン系多孔フィルムをグラフト
処理、スルホン化処理、界面活性剤の添着処理、コロナ
処理、プラズマ処理、フッ素ガス処理、樹脂コーティン
グ処理等によって親水化する手法などがある。また、こ
れらを組み合わせて実施することも可能である。なお、
ニッケル水素電池用途として使用する場合には、電極か
ら遊離する不純物(主としてアンモニア)を吸着する能
力を有するセパレータは付加価値が高く、特に好適に使
用できるため、ポリエチレンまたはポリプロピレン系の
凹凸を有する多孔フィルムに、スルホン化処理またはグ
ラフト処理のいずれかの処理を少なくとも実施すること
が好ましい。ニッケルカドミウム電池やニッケル亜鉛電
池用途として使用する場合は、親水性官能基の導入方法
によらず良好に使用できる。
【0033】ここでスルホン化処理法としては、熱硫酸
に浸積させる方法、発煙硫酸に浸積させる方法、クロル
硫酸に浸積させる方法、三酸化硫黄ガスと接触させる方
法、硫酸または発煙硫酸への浸積と三酸化硫黄ガスまた
は二酸化硫黄ガスへの接触を繰り返し行う方法、熱硫酸
に浸積したのち三酸化硫黄ガスと接触させる方法、フッ
素処理を行った後に一酸化硫黄や二酸化硫黄と酸素の混
合気体に接触させる方法などはいずれも好適に利用でき
る。またグラフト処理法としてはビニル単量体などを樹
脂に接触させると同時に紫外線照射処理、プラズマ処
理、コロナ処理などのエネルギーを付与する方法や触媒
を用いる方法などの公知の方法であればいずれも利用可
能である。
【0034】上記に示した親水化処理を行うと、スルホ
ン酸基やカルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル
基、フッ素系官能基といった親水性の官能基をフィルム
表面に付与できる。また、親水性官能基量としては、イ
オン交換量から評価した際に、少なくとも0.0005
meq/g以上であることが好ましく、それよりもイオン交
換量が少ないと電解液との親和性はあまり期待できな
い。一方、親水化しすぎるとスルホン化処理においては
フィルム強度が低下し、グラフト処理においては電池に
組み込んだ際の寿命が短くなるという欠点を示す。従っ
てスルホン化処理においては、発光分光分析で調べた硫
黄量で40000ppm以下にすべきである。また、グラ
フト処理においては、グラフト処理による重量増加を4
0重量%以下に抑えるべきである。
【0035】なお、本発明のセパレータにおいて、親水
性官能基を有する電解液との親和性の高い孔と、疎水性
のガス透過性の高い孔を共存させれば、凹凸の効果をよ
り優れた形で発現させることが可能であり、内圧上昇を
さらに抑制できる。またその際、親水性官能基を有する
孔が全体の孔に占める割合は60%以上、より好ましく
は70%以上とすべきである。60%よりも親水性官能
基を有する孔が少ないと内部抵抗が徐々に増大する。
【0036】また、フィルムからなるセパレータにおい
て空隙の占める体積は、20〜90%の範囲にあること
が好ましく、特に30〜70%が良好である。空隙の占
める体積が20%を下回ると、内圧が上昇していく。逆
に90%を越えると強度が弱く短絡確立が増加する。な
お、ここで述べた空隙に、溝部によって形成される空間
は含まれない。
【0037】以上のようにして、作製した親水性官能基
を有し、かつ凹凸を有する多孔フィルムからなるセパレ
ータにおいて、凹部の深さはセパレータのみかけ厚みに
対して5%以上60%以下の範囲であることが望まし
く、さらに好ましくは10%以上50%の範囲である。
凹部の深さが5%未満の場合には電極表面とセパレータ
の間に十分な空間が生じず、凹凸の効果が得られない。
また、凹部の深さを60%より大きく場合、極端に厚み
の薄い部分ができてしまい、その部分で電池捲回時の破
断や短絡を起こしやすくなる。またこれを避けるために
凹部分の厚みを増やした場合には、セパレータ全体の厚
みが大きくなってしまう。
【0038】また、セパレータの全面積に対する凹部の
面積は、3%以上50%以下の範囲にあることがのぞま
しい。3%未満の場合には凹凸をつけた効果が得られ
ず、逆に50%より大きい場合には電極との密着性が悪
くなるため、電池の内部抵抗が増加する。また最適には
5〜35%の範囲である。
【0039】さらに、上記の手法により作製したアルカ
リ電池用セパレータにおいては、電池に組み込み充放電
を繰り返す際に、電極から遊離する電極活物質などの微
粉末が、セパレータの孔に進入して短絡することを防ぐ
ために、セパレータに存在する孔の平均孔径が、セパレ
ータの見かけの厚みの35%以下となる必要があり、よ
り好適には20%以下であり、さらに望ましくは10%
以下にすることが望まれる。孔径が大きいほどガス透過
性は良くなるが、フィルム厚みを薄くすればするほど活
物質粉末の充填により短絡する可能性が高くなるため、
厚みに合わせて孔径を制御すること望まれる。なお、本
発明のアルカリ電池用セパレータにおいては、表面に形
成させた凹凸によって酸素ガスの消費速度を向上させる
ため、孔径を小さくし、一般的に内圧上昇に関与すると
考えられているガス透過性を低くしても問題は無い。
【0040】上記範囲のセパレータにおいて、フラジー
ル法により通気度は、0.2cm3/cm2/s以上であ
る事が望まく、さらに望ましくは1cm3/cm2/s以
上、さらには2cm3/cm2/s以上が好ましい。フラ
ジール法による通気度が、0.2cm3/cm2/s未満
のセパレータでは、たとえ凹凸を作製したとしても内圧
上昇を抑制することはできない。
【0041】上記の条件で作製したセパレータにおいて
は、後述する評価法で測定した際に、70〜100μm
といった厚みで十分な内圧抑制とセパレータ強度と活物
質の充填による短絡抑止性能を満たすことが可能であ
り、さらには、15〜70μm程度の超薄型のセパレー
タであっても良好な特性を引き出すことが可能である。
【0042】本発明によるセパレータを用いて電池を構
成する場合、凹凸を有する面が少なくとも負極に対向す
るように配置することが必要である。凹凸を負極側に配
置することにより、負極表面とセパレータの間に空間が
形成され、正極より発生した酸素ガスが負極側に効率的
に移動することができ、移動した酸素ガスが負極表面で
効率よく吸収され、結果的に電池の内圧上昇が抑制され
る。なお溝を有する面を負極側に配することが特に効果
的である。
【0043】また本発明のセパレータを用いて密閉型電
池を作製する際には、(1)捲回体を作製する際にセパ
レータに加わる圧力および張力、(2)電極表面の平坦
性、(3)電極の硬度、(4)電解液量、(5)電解液
の注入方法、(6)捲回体から巻き芯を抜く際の抵抗お
よび凹凸部への応力の集中、(7)タブを溶接する際に
セパレータにかかる温度、などを少なくとも考慮する必
要がある。ここで捲回体を作製する際にセパレータに加
わる圧力や張力が高いとセパレータ表面に存在する溝部
がつぶれて内圧抑制効果が薄れる。さらに場合によって
は短絡する。また、電極表面の平坦性が悪いと短絡に繋
がる。また、電極が柔らかすぎると、溝部が埋まって内
圧抑制効果が薄れ、逆に堅すぎると短絡する。また、使
用する電解液量が多すぎると内圧が上昇しやすくなり、
少ないと内部抵抗が増大し、電池の寿命が短くなる。ま
た、電解液の注入方法が悪いと電池の生産性が悪化した
り、電解液が均一に行き渡らないために、電池の性能が
ばらつく。また、捲回体から巻き芯を抜く際の抵抗が大
きかったり、凹凸部への応力の集中が発生すると、セパ
レータが破断し、短絡してしまう。また、電極から電気
を取りだすために必要なタブを溶接する際にセパレータ
が加熱され融解または収縮すると、短絡する恐れがあ
る。したがって本発明のセパレータの使用した電池を作
製する際には、少なくともこういった電池の作製時に問
題となる点を考慮しなければならず、このような点を考
慮して作製した電池も本発明の電池の範囲に包括され
る。
【0044】以上のように本発明のセパレータを使用す
れば、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池
等の二次電池のセパレータとして良好に使用できる。
【0045】以下、本発明のおける各種セパレータの物
性値の測定方法を示す。
【0046】・重量、みかけ厚み、凹部深さ (1)セパレータより試験片(幅5cm,長さ10c
m)を採取し、60℃±2℃の下で、10時間乾燥した
時の重量を基に、1m2当たりの重量に換算した値を、
重量[g/m2]とした。 試験片n=30点の平均で
求めた。 (2)上記試験片の中央部の厚みを測定面が直径31.
5mmのデジタル厚み計(ピーコックデジタル厚み計)
を用いて測定した。n=30点の平均で求めた。 (3)セパレータの断面形状を光学顕微鏡にて300倍
に拡大し、凹部の厚みを測定する。この凹部厚みと見か
け厚みとの差を凹部深さとした。n=30点の平均で求
めた。
【0047】・通気度 JIS L1096−1990の通気性測定法に準じ、
フラジール型試験機により測定した。
【0048】・突刺強度 突き刺し強度は、試料を直径1.128cm,面積1c
2 の円孔ホルダーに固定し、先端球状が0.5R,
直径1mmΦのニードルを2mm/秒の速度で試料を突
き抜けるまで降下させていく際、ニードルに加わる最大
荷重とした。具体的には、カトーテック(株)KES−
G5ハンディ圧縮試験機を用いて測定を実施した。試験
片n=100点の平均で求めた。
【0049】・イオン交換量 0.2gの試験片に1mol/LのHCl水溶液を完全
に含浸させた後、1mol/LのHCl水溶液中に移し
て1時間浸漬した。その後、イオン交換水でpHが6〜
7になるまで数回洗浄した。次いで、60℃の送風乾燥
機で2時間乾燥し、室温まで冷却した。冷却後の試験片
を0.01mol/dm3のKOH水溶液100cm3
浸漬し、45℃で1時間振とうした後、試験片を取り出
し、溶液25cm3を採取して、0.01mol/Lの
HCl水溶液で中和滴定した。ブランク溶液も同様に滴
定し、式1より、カリウムイオン交換量を算出した。
【0050】 イオン交換量(meq/g) ={(V0―V1)×100×0.01×f}/(25×0.2)・・(式1 ) ただし、 V1:サンプルの滴定に要したHCl水溶液量(c
3) V0:ブランク溶液の滴定に要したHCl水溶液量(c
3) f :HCl水溶液のファクター
【0051】・極限粘度 135℃のデカリンにてウベローデ型毛細粘度管によ
り、種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度の濃度
に対するプロットの最小二乗近似で得られる直線の原点
への外挿点より極限粘度を決定した。測定に際し、原料
ポリマーがパウダー状の場合はその形状のまま、塊状で
ある場合は、分割し、ポリマーに対して1wt%の酸化防
止剤(商品名「ヨシノックスBHT」吉富製薬製)を添加
し、135℃で5時間撹拌溶解して測定溶液を調整し
た。
【0052】・GPC ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー法にて測定
した。用いた装置はWaters社製(150C AL
C/GPC)とカラムとして東ソ(株)製(GMHXL
シリース゛)を用いて測定した。分子量の検量線はPo
lymer Laboratoies社製(Polystyren-
High Molecular Weight Calibration Kit)を用いて作
成した。試料溶液は、トリクロルベンゼンまたはオルト
ジクロロベンゼン中、140℃で約8時間溶解したもの
を用いた。
【0053】・孔径 コールター社ポロメータ2を用い、測定原理として「AS
TM F 316−86」に準じたバブルポイント法により
測定した。
【0054】・放電容量比、電池内圧 先ずペースト式水酸化ニッケル正極とペースト式水素吸
蔵合金負極、及びセパレータを渦巻き状に捲回し、SC
サイズの密閉型電池(容量2500mAh)を作製す
る。尚この電池の電解液としては、水酸化リチウムを添
加した水酸化カリウム水溶液を用いる。
【0055】前準備の初期活性化処理として、45℃で
6時間保持する。その後20℃の空気雰囲気下において
0.2Cで6時間充電の後、0.2C放電(放電終止電
圧1.0V)し、この充電・放電の操作を10回繰り返
す。10回目の放電容量の理論容量に対する割合をこの
電池の放電容量比とした。尚上記0.2C放電とは、密
充電した電池を5時間かけて放電することであり、この
際放電の電流値を適切な値に設定する。
【0056】上記活性化をおこなった電池について、雰
囲気温度20℃で、0.5C充電を3時間(充電深度1
50%)おこなった際の電池内圧を測定した。
【0057】
【実施例】以下に本発明の実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明は決してこれら実施例のみに限定される
ものではない。
【0058】実施例1 微粉珪酸20重量%とジオクチルフタレート45重量%
を混合し、これに極限粘度4.1のポリエチレン樹脂2
0重量%と極限粘度15.3の超高分子量ポリエチレン
樹脂10%を添加し、再度混合した。該混合物をTダイ
スを取り付けた二軸押出機を用いたフィルム製造装置
で、160℃で溶融押出しし、厚さ150μmの平膜状
に成形した。この膜を塩化メチレン中に15分間浸積
し、ジオクチルフタレートを抽出したのち乾燥し、さら
に80℃の5mol/lの水酸化カリウム水溶液中に1時間
浸積し、微粉珪酸の抽出した。この膜を再び2軸延伸機
を用いて延伸することにより厚み75μmのポリエチレ
ン製多孔フィルムを得た。このフィルムを、120℃に
加熱した凸部の幅0.5mmで連続的な溝を有する凸部面
積10%のギアロールと60℃のステンレス製フラット
ロールを用いて加圧成形して、片面のみに連続的な溝状
の凹部を作製した(凹部形成後の不織布の具体的な状態
としては、図1左上の形状の溝が、図2右上のように均
一に存在している)。これを常温で濃度35%の三酸化
硫黄ガスに2分間さらした後、濃硫酸、希硫酸、および
純水で洗浄した。その後、0.5%のアルキルフェニル
エーテルスルホン酸ナトリウム水溶液に浸積した。さら
に75%で乾燥することで、実施例1の親水性官能基を
有し、かつ表面に凹凸を持つ実施例1の多孔フィルム状
のセパレータを作製した。セパレータの各種物性及びこ
のセパレータの凹部のある面を負極に対向させて使用し
た電池の放電容量比と充電時内圧を表1に示す。
【0059】実施例2 極限粘度3.8のポリプロピレン製樹脂重量75%と極
限粘度10.3の超高分子量ポリプロピレン製樹脂25
重量%を溶融,混合することによって調整した原料をT
ダイスを取り付けた二軸押出機を用いて、200℃で溶
融押出し、未延伸ポリプロピレン製樹脂フィルムを得
た。その未延伸フィルムを35℃に保持されたニップロ
ール間で20%低温延伸し、次いで、125℃で高温延
伸することによって、多孔質フィルムを得た。このフィ
ルムを、135℃に加熱した凸部の幅0.5mmで連続的
な溝を有する凸部面積45%のギアロールと100℃の
ステンレス製フラットロールを用いて加圧成形して、片
面のみに連続的な溝状の凹部を作製した(凹部形成後の
不織布の具体的な状態としては、図1左上の形状の溝
が、図2右上のように均一に存在している)。この凹凸
を有するフィルムに、予め窒素ガスによって飽和させた
アクリル酸20重量%、蒸留水76.7%、ベンゾフェ
ノン0.2重量%、硫酸第1鉄0.1重量%、ノニオン
系界面活性剤3.0重量%よりなる溶液を噴霧し、次い
で、低圧水銀ランプによる紫外線照射を5分間行い、ア
クリル酸をグラフト重合した。次いで純水で数回洗浄
し、さらに80℃で乾燥を行うことによって、親水化さ
れた孔と疎水性の孔が共存し、かつ表面に凹凸を持つ実
施例2の多孔フィルム状のセパレータとした。セパレー
タの各種物性及びこのセパレータの凹部のある面を負極
に対向させて使用した電池の放電容量比と充電時内圧を
表1に示す。
【0060】実施例3 微粉珪酸20重量%とジオクチルフタレート40重量%
を混合し、これに極限粘度4.5のポリエチレンとポリ
ビニルアルコールの共重合樹脂35重量%と極限粘度2
0.1の超高分子量ポリエチレン樹脂5%を添加し、再
度混合した。該混合物をTダイスを取り付けた二軸押出
機を用いたフィルム製造装置で、160℃で溶融押出し
し、厚さ130μmの平膜状に成形した。この膜を塩化
メチレン中に15分間浸積し、ジオクチルフタレートを
抽出したのち乾燥し、さらに80℃の5mol/lの水
酸化カリウム水溶液中に1時間浸積し、微粉珪酸の抽出
した。この膜を再び2軸延伸機を用いて延伸することに
より厚み62μmのポリエチレ−ポリビニルアルコール
共重合樹脂製多孔フィルムを得た。このフィルムを、1
10℃に加熱した凸部の幅0.5mmで連続的な溝を有す
る凸部面積20%のギアロールと60℃のステンレス製
フラットロールを用いて加圧成形して、片面のみに連続
的な溝状の凹部を作製することにより、親水性官能基を
有し、かつ表面に凹凸を持つ実施例3の多孔フィルム状
のセパレータを作製した(凹部形成後の不織布の具体的
な状態としては、図1左上の形状の溝が、図2右上のよ
うに均一に存在している)。セパレータの各種物性及び
このセパレータの凹部のある面を負極に対向させて使用
した電池の放電容量比と充電時内圧を表1に示す。
【0061】
【比較例】以下に本発明の比較例を示す。本発明の範囲
に含まれない方法によると、本文中に記載するような優
れた特性を引き出すことは出来ない。
【0062】比較例1 実施例2のセパレータに関して、凹凸を形成する工程を
省いたセパレータを作製し、比較例1のセパレータとし
た。親水性の孔と疎水性の孔が共存する電池に組み込ん
だ際、ガス透過性に比較的優れたセパレータであるにも
かかわらず、このセパレータを組み込み作製した電池の
内圧上昇は大きく、液漏れを発生した。負極と酸素ガス
の接触面積が少なく、負極による酸素ガス吸収速度が遅
いためと考えられる。セパレータの各種物性及びこのセ
パレータの凹部のある面を負極に対向させて使用した電
池の放電容量比と充電時内圧を表1に示す。単に親水性
の孔と疎水性の孔を共存させるのみでは、内圧上昇抑止
効果は十分でないことが分かる。
【0063】比較例2 実施例1のセパレータにおいて、微粉珪酸およびジオク
チルフタレート抽出後の延伸工程を2回実施した後、1
30℃に加熱した凸部の幅0.5mmで連続的な溝を有
する凸部面積10%のギアロールと60℃のステンレス
製フラットロールを用いて加圧成形して、片面のみに連
続的な溝状の凹部を作製し(凹部形成後の不織布の具体
的な状態としては、図1左上の形状の溝が、図2右上の
ように均一に存在している)、その後実施例1の方法に
より親水化したセパレータを作製した。比較例2のセパ
レータとした。電池に組み込む際に、短絡が発生した。
凹部が深すぎたために、セパレータの強度が低下したも
のと考えられる。また、充放電を繰り返すと、突然短絡
する電池が存在した。孔径がセパレータの見かけの厚み
に対して大きく、活物質粒子が充填して短絡に繋がった
と考えられる。セパレータの各種物性及びこのセパレー
タの凹部のある面を負極に対向させて使用した電池の放
電容量比と充電時内圧を表1に示す。
【0064】比較例3 実施例1のセパレータにおいて、超高分子量ポリエチレ
ン成分を含有しない、ポリオレフィン系樹脂成分として
極限粘度4.1のポリエチレン樹脂のみを用い、さらに
凹凸作製工程において、凸面積65%からなるギアロー
ルを使用して、比較例3のセパレータを作製した。電池
に組み込む際に、短絡が発生した。セパレータの強度が
不十分であったものと考えられる。また、セパレータを
組み込んだ電池の放電容量比は低いものであった。セパ
レータと負極の接触面積が小さく、内部抵抗が大きくな
ったものと考えられる。セパレータの各種物性及びこの
セパレータの凹部のある面を負極に対向させて使用した
電池の放電容量比と充電時内圧を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】実施例1〜2のセパレータでは良好に使用
できているのに対し、比較例1〜3のセパレータでは、
上記のような問題が発生した。
【0067】以上の様に、本発明に係る電池用セパレー
タ,アルカリ電池に関して、実施例を示しつつ具体的に
説明したが、本発明はもとより上記例に限定されるもの
ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を
加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本
発明の技術的範囲に包含される。
【0068】
【発明の効果】以上のように本発明の製造方法によって
作製した電池用セパレータは、負極表面との間に微小な
空間を形成することができ、この空間に正極で発生して
セパレータを通過してきた酸素ガスが蓄積されるため、
負極表面での酸素ガス吸収反応がスムーズに進行し、過
充電時の電池内圧の上昇を効果的に抑制可能にするもの
である。また、均一性に優れ、電池に組み込んだ後で短
絡することが無い。したがって、このセパレータを用い
たアルカリ電池は優れた安全性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸の断面図の例
【図2】凹凸を上側から見た図の例(連続)
【図3】凹凸を上側から見た図の例(非連続)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝本 直彦 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 5H021 AA06 CC08 CC09 EE04 EE17 EE18 EE25 HH00 HH01 HH03 HH04 5H028 AA05 CC07 EE06 HH01 HH03 HH05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の面に凹凸を有する多孔フ
    ィルムであり、かつ多孔フィルムの平均孔径が多孔フィ
    ルムの見かけの厚みに対して35%以下であることを特
    徴とするアルカリ電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】セパレータの全面積に対する溝部の面積が
    3%以上50%以下であり、かつ溝部の深さがセパレー
    タの見かけの厚みに対して5%以上60%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のアルカリ電池用セパレ
    ータ。
  3. 【請求項3】スルホン酸基もしくはカルボキシル基もし
    くはヒドロキシル基などの親水性官能基を少なくともフ
    ィルム表面の一部に有していることを特徴とする請求項
    1乃至2のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレー
    タ。
  4. 【請求項4】セパレータの凹凸を有する面が少なくとも
    負極に対向していることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載のアルカリ電池用セパレータを用いたア
    ルカリ電池。
  5. 【請求項5】ポリオレフィン系合成樹脂からなることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアルカリ
    電池用セパレータ。
  6. 【請求項6】極限粘度が5以上である超高分子量ポリオ
    レフィン系合成樹脂を含有することを特徴とする請求項
    1乃至5のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレー
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101307427B1 (ko) * 2012-01-17 2013-09-11 도레이첨단소재 주식회사 미세 엠보싱이 부여된 리튬이차전지용 분리막 및 이를 포함하는 리튬이차전지

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