JP2009216081A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インジェクタ(燃料噴射弁)は、筒状のハウジングと、ハウジングの外周側に配設されたコイルと、ハウジングの内周側に配設された磁性材料からなる筒状のステータと、ハウジングの内周側にステータと軸方向に対向して配設され、コイルへの通電によってステータとの間に生じる磁気吸引力によりステータに吸引される磁性材料からなる筒状の可動コア22と、可動コア22と共に軸方向へ移動し、燃料を噴射する噴孔を開閉するニードル(弁部材)とを有する。可動コア22とニードルとは別部品として構成され、ニードルは可動コア22の内周部に軸方向に形成された貫通孔23において摺動可能に貫通配置されている。可動コア22の貫通孔23の内周面231には、表面硬化層61が設けられている。
【選択図】図2
Description
燃料噴射弁としては、例えば、筒状のハウジングと、該ハウジングの外周側に配設されたコイルと、ハウジングの内周側に配設された筒状のステータと、ハウジングの内周側にステータと軸方向に対向して配設され、コイルへの通電によってステータとの間に生じる磁気吸引力によりステータに吸引される筒状の可動コアと、該可動コアと共に軸方向へ移動し、燃料を噴射する噴孔を開閉する弁部材とを有するものがある。
そして、コイルへ通電すると、ステータと可動コアとの間には磁気吸引力が発生する。これにより、一体である可動コア及び弁部材は、スプリングの付勢力に抗してステータ方向へ移動し、開弁状態となって噴孔から燃料が噴射される。一方、コイルへの通電を停止すると、可動コア及び弁部材は、スプリングの付勢力によってステータとは反対方向へ移動し、閉弁状態となって噴孔からの燃料の噴射が停止される。
また、可動コアの貫通孔の内周面と弁部材との間は、燃料噴射弁の性能確保のために数十μm以下と非常に狭いクリアランスに設定されることが多い。そのため、可動コアの摩耗によってクリアランスが変化すると、燃料噴射弁の性能を維持できなくなる。
上記可動コアと上記弁部材とは別部品として構成され、該弁部材は上記可動コアの内周部に軸方向に形成された貫通孔において摺動可能に貫通配置されており、
上記可動コアの上記貫通孔の内周面には、表面硬化層が設けられていることを特徴とする燃料噴射弁にある(請求項1)。
そして、上記弁部材が摺動する面となる上記可動コアの上記貫通孔の内周面には、表面硬化層が設けられている。
上記可動コアと上記弁部材とは別部品として構成され、該弁部材は上記可動コアの内周部に軸方向に形成された貫通孔において摺動可能に貫通配置されており、
上記可動コアの上記貫通孔の内周面と上記弁部材の外周面との間には、両者のうち少なくとも一方を窪ませてなる燃料溜まり部が形成されていることを特徴とする燃料噴射弁にある(請求項10)。
そして、摺動部分となる上記可動コアの上記貫通孔の内周面と上記弁部材の外周面との間には、両者のうち少なくとも一方を窪ませて空間を形成した燃料溜まり部が設けられている。
また、上記ステータを構成する磁性材料としては、上記可動コアと同様の材料を用いることができる。
この場合には、上記表面硬化層によって上記可動コアの磨耗を充分に抑制することができ、燃料噴射弁の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
なお、上記可動コアを構成する磁性材料よりも硬い材料からなる膜は、めっき等の公知の方法を用いて形成することができる。例えば、めっきする材料としては、硬質クロム、Ni−P等を用いることができる。
すなわち、上記可動コアの内周面のような複雑な形状の部分は、その構造によっては電流が流れ難い場合があり、例えば電解めっき等を精度良く施すことが困難な場合がある。そこで、無電解めっき処理を用いることにより、めっき膜を形成する部分に電流を流す必要がないことから、品質上安定しためっき膜を形成することができる。
なお、無電解めっきとしては、Ni−P、Ni−B、Ni−P−テフロン(登録商標)等の複合めっきがある
膜厚が1μm未満の場合には、上記可動コアの摩耗を充分に抑制することができないおそれがある。一方、15μmを超える場合には、膜厚にばらつきが生じ、膜厚の管理や上記可動コアと上記弁部材との間のクリアランス管理が困難となるおそれがある。
この場合には、上記表面硬化層によって上記可動コアの磨耗を充分に抑制することができ、燃料噴射弁の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
この場合には、上記表面硬化層によって上記可動コアの磨耗を充分に抑制することができ、燃料噴射弁の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
なお、上記可動コアを構成する磁性材料よりも硬い材料からなる筒状の部材は、SUS(ステンレス鋼)(例えば、SUS440C)等の材料を用いて構成することができる。
上記表面硬化層のビッカース硬度がHv400未満の場合には、上記可動コアの磨耗を充分に抑制することができないおそれがある。
この場合には、上記可動コアの上記貫通孔内における上記弁部材の摺動を、両者の摺動部分に設けられた上記燃料溜まり部に溜まった燃料によって滑らかにすることができる。これにより、上記表面硬化層を設けたことによる効果に加えて、上記可動コアの磨耗をより一層抑制することができる。
また、上記可動コアに摩耗が生じても、その摩耗による摩耗粉が両者の摺動部分に設けられた上記燃料溜まり部に排出される。そのため、両者の間に摩耗粉が残留して上記可動コアの磨耗を促進したり、両者を凝着させたりすることを抑制することができるという効果が得られ、燃料噴射弁の信頼性をより一層向上させることができる。
この場合には、上記燃料溜まり部を設けたことによる効果をより一層充分に発揮することができる。
なお、上記燃料溜まり部は、上記可動コアの上記貫通孔内を上記弁部材が問題なく摺動することができれば、数、位置、形状等を様々に変更することが可能である。
すなわち、上記可動コアは、上記ステータとの間に生じる磁気吸引力により該ステータに吸引され、衝突する。そのため、上記可動コアに大きな衝撃力が加わる。そこで、上記可動コアにおける上記ステータとの接触面に表面硬化層を設けることにより、上記可動コアの磨耗を抑制することができる。
この場合には、上記可動コアの上記接触面に電解めっきを施すことにより、十分な硬度を確保することができる電解めっき膜よりなる上記表面硬化層を形成することができる。これにより、上記可動コアの磨耗をより一層抑制することができる。
なお、電解めっきとしては、高硬度が得られるクロム等のめっきを採用することが好ましい。
この場合には、上記燃料溜まり部を設けたことによる効果をより一層充分に発揮することができる。
なお、上記燃料溜まり部は、上記可動コアの上記貫通孔内を上記弁部材が問題なく摺動することができれば、数、位置、形状等を様々に変更することが可能である。
本発明の実施例にかかる燃料噴射弁(以下、インジェクタという)について、図を用いて説明する。
本例のインジェクタ1は、図1に示すごとく、例えば直噴式のガソリンエンジンに適用されるものである。インジェクタ1は図示しないエンジンヘッドに搭載される。なお、インジェクタ1は、直噴式のガソリンエンジンに限らず、予混合式のガソリンエンジン、又はディーゼルエンジンなどに適用してもよい。
また、本例のインジェクタ1においては、噴孔34が設けられている側を先端側、その反対側を後端側とする。
また、ニードル40は、弁ボディ31と略同軸上に配置されており、可動コア22と共に軸方向に移動可能に構成されている。ニードル40は、その先端部にシール部42を有している。シール部42は、弁ボディ31の弁座32に着座可能である。
なお、硬質クロムめっき膜よりなる表面硬化層61のビッカース硬度はHv800であり、電磁ステンレス鋼よりなる可動コア22のビッカース硬度よりも大きい。また、表面硬化層61の膜厚は1〜15μmである。
コイル51への通電が停止されているとき、ステータ21と可動コア22との間には磁気吸引力は発生しない。そのため、可動コア22は第1スプリング26の押し付け力によりステータ21から離れている。その結果、コイル51への通電が停止されているとき、ニードル40のシール部42は弁座32に着座している(閉弁状態)。よって、燃料は噴孔34から噴射されない。
本例のインジェクタ1では、可動コア22とニードル40とは、別部品として構成されており、ニードル40は、可動コア22の内周部に軸方向に形成された貫通孔23において摺動可能に貫通配置されている。すなわち、可動コア22とニードル40とは、別体で設けられた二体構造を有しており、互いに固定されておらず、軸方向に相対移動可能に構成されている。
そして、ニードル40が摺動する面となる可動コア22の貫通孔23の内周面231には、表面硬化層61が設けられている。
本例は、図3、図4に示すごとく、表面硬化層61の構成を変更した例である。
図3の例では、表面硬化層61は、可動コア22の表面を浸炭処理することによって形成されたものである。表面硬化層61は、可動コア22の貫通孔23の内周面231を含む表面全体に対して浸炭処理を施すことによって表面硬度を向上させて形成されている。なお、浸炭処理に代えて窒化処理を用いることもできる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
その他は、実施例1と同様の構成である。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、図5、図6に示すごとく、表面硬化層61に代えて燃料溜まり部62を設けた例である。
本例では、同図に示すごとく、可動コア22の貫通孔23の内周面231とニードル40の外周面400との間には、両者のうち少なくとも一方を窪ませてなる燃料溜まり部62が形成されている。
また、図6の例では、燃料溜まり部62は、ニードル40の外周面400のうち可動コア22の貫通孔23の内周面231に対して摺動する部分を周方向全周に渡って窪ませて形成されている。
その他は、いずれの例においても、実施例1と同様の構成である。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
例えば、図7に示すごとく、可動コア22の貫通孔23の内周面231に燃料溜まり部62を設けると共に、その内周面231に実施例1の表面硬化層61を設ける構成とすることもできる。
この場合には、表面硬化層61を設けたことによる効果に加えて、燃料溜まり部62を設けたことによる効果を得ることができる。
本例は、図8に示すごとく、表面硬化層61の構成を変更した例である。
本例では、同図に示すごとく、可動コア22の貫通孔23の内周面231を含む表面全体に、無電解めっき膜よりなる表面硬化層61aが形成されている。また、さらに、可動コア22の後端面222、すなわちステータ21との接触面には、電解めっき膜よりなる表面硬化層61bが無電解めっき膜よりなる表面硬化層61aの上に形成されている。
なお、本例において、無電解めっき膜はNi−Pよりなり、電解めっき膜は硬質クロムよりなる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
本例では、可動コア22の貫通孔23の内周面231には、無電解めっきを施すことによって形成した無電解めっき膜よりなる表面硬化層61aが設けられている。すなわち、無電解めっき処理を用いるため、めっき膜を形成する部分に電流を流す必要がない。よって、可動コア22の貫通孔23の内周面231のような複雑な形状の部分であっても、品質上安定しためっき膜を形成することができる。
また、表面硬化層61bは、十分な硬度を確保することができる電解めっき膜であるため、可動コア22の磨耗をより一層抑制することができる。また、この電解めっき膜は、高硬度が得られる硬質クロムであるため、その効果が非常に大きい。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
10 ハウジング
21 ステータ
22 可動コア
23 貫通孔
231 内周面(貫通孔の内周面)
34 噴孔
40 ニードル(弁部材)
51 コイル
61 表面硬化層
Claims (11)
- 筒状のハウジングと、該ハウジングの外周側に配設されたコイルと、上記ハウジングの内周側に配設された磁性材料からなる筒状のステータと、上記ハウジングの内周側に上記ステータと軸方向に対向して配設され、上記コイルへの通電によって上記ステータとの間に生じる磁気吸引力により該ステータに吸引される磁性材料からなる筒状の可動コアと、該可動コアと共に軸方向へ移動し、燃料を噴射する噴孔を開閉する弁部材とを有する燃料噴射弁であって、
上記可動コアと上記弁部材とは別部品として構成され、該弁部材は上記可動コアの内周部に軸方向に形成された貫通孔において摺動可能に貫通配置されており、
上記可動コアの上記貫通孔の内周面には、表面硬化層が設けられていることを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1において、上記表面硬化層は、上記可動コアを構成する磁性材料よりも硬い材料からなる膜を形成してなるものであることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項2において、上記表面硬化層は、無電解めっきを施すことによって形成してなる無電解めっき膜であることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項1において、上記表面硬化層は、上記可動コアの上記貫通孔の内周面を浸炭処理又は窒化処理することによって形成してなるものであることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項1において、上記表面硬化層は、上記可動コアを構成する磁性材料よりも硬い材料からなる筒状の部材を上記可動コアの上記貫通孔の内周面に嵌め込んで形成してなるものであることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項1〜5のいずれか1項において、上記可動コアの上記貫通孔の内周面と上記弁部材の外周面との間には、両者のうち少なくとも一方を窪ませてなる燃料溜まり部が形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項6において、上記燃料溜まり部は、周方向全周に渡って形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、上記可動コアにおける上記ステータとの接触面にも、表面硬化層が設けられていることを特徴とする燃料噴射弁。
- 請求項8において、上記可動コアの上記接触面に設けられた上記表面硬化層は、電解めっきを施すことによって形成してなる電解めっき膜であることを特徴とする燃料噴射弁。
- 筒状のハウジングと、該ハウジングの外周側に配設されたコイルと、上記ハウジングの内周側に配設された磁性材料からなる筒状のステータと、上記ハウジングの内周側に上記ステータと軸方向に対向して配設され、上記コイルへの通電によって上記ステータとの間に生じる磁気吸引力により該ステータに吸引される磁性材料からなる筒状の可動コアと、該可動コアと共に軸方向へ移動し、燃料を噴射する噴孔を開閉する弁部材とを有する燃料噴射弁であって、
上記可動コアと上記弁部材とは別部品として構成され、該弁部材は上記可動コアの内周部に軸方向に形成された貫通孔において摺動可能に貫通配置されており、
上記可動コアの上記貫通孔の内周面と上記弁部材の外周面との間には、両者のうち少なくとも一方を窪ませてなる燃料溜まり部が形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項10において、上記燃料溜まり部は、周方向全周に渡って形成されていることを特徴とする燃料噴射弁。
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