JP2009214743A - サスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ないリンク構成で横力と共に前後力とを受けることを可能とすると共に、トー変化特性の自由度を向上する。
【解決手段】車両前後方向に並ぶ2本のロアリンク4、5の近接部位をコネクトブッシュ20、21で連結する。また、相対的に後側ロアリンク5で横力を受ける構成とする。後側ロアリンク5の取付けブッシュ12の軸を車両前後方向に向ける。前側ロアリンク4の車体側取付け点P1を、後側ロアリンク5の車体側取付け点P3よりも高い位置とする。内側のコネクトブッシュ21と、2本のロアリンク4、5の車体側取付け点P1、P3とのなす角度αを、鈍角に設定する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、車両で使用するサスペンション装置に関する。
従来のサスペンション装置としては、例えば特許文献1に記載した装置がある。即ち、車輪支持部材の下部領域と車体側部材とを連結するロアアームを備える。そのロアアームは、H型の剛体からなる一体物のロアアームであって、2つの車輪側取付け部及び2つの車体側取付け部を備える。2つの車輪側取付け部は、それぞれ弾性体ブッシュによって車輪支持部材に連結する。その2つの弾性体ブッシュは、同軸となっていて、所定揺動軸上に配置する。同様に、2つの車輪側取付け部も、それぞれ弾性体ブッシュによって車輪支持部材に連結する。その2つの弾性体ブッシュは、同軸となっていて、所定揺動軸上に配置する。
特開昭58−139810号公報(第1図参照)
上記構成のロアリンクでは、剛体からなるH型リンクでロアリンクを構成する。このため、このロアリンクだけで、横力と共に前後力を受けることが可能となる。
しかし、2つの車輪側取付け部および2つの車体側取付け部の位置関係を固定しているため、トー変化特性の調整自由度が低い。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、少ないリンク構成で横力と共に前後力とを受けることを可能とすると共に、トー変化特性の自由度を向上したサスペンション装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、車両前後方向に並んで配置した2本のリンクの少なくとも一方のリンクに、他方のリンクに向けて張り出す張出部を設ける。それによる2本のリンクの近接部位を1又は2以上の弾性部材を介して連結する。また、車両前面視において、前側リンクにおける車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点との間のスパンを、後側リンクにおける車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点との間のスパンよりも短く設定する。さらに、前側リンクの車体側部材への取付け点を、後側リンクの車体側部材への取付け点よりも高く設定する。そして、上記1又は2以上の弾性部材のうちの、一番車幅方向内側に位置する最内側弾性部材の位置と、2本のリンクの各車体側部材への取付け点の位置との関係を調整することで、サスペンションストローク時におけるトーイン特性を調整することを特徴とする。
本発明によれば、2本のリンク同士を、弾性部材を介して連結する。この結果、車輪を支持する前後剛性を下げることが出来る。また、2つのリンクの少なくとも一方に張出部を設けることで、2本のリンク間を近づけることが可能となる。そして、近接した部位で上記弾性部材を配置することで、弾性部材の変形量を抑えることが出来る。これにより、車輪の大変位を規制することが出来る。
以上のことから、車輪を支持する前後剛性を下げつつ、車輪の大変位を規制することができる。このことは、少ないリンク構成で横力と共に前後力とを受けることを可能とすると共に、前後入力に対する、トー変化特性の調整自由度が向上する。
さらに、上記構成によって、サスペンションストローク時のトー変化特性をトーイン特性とすると共に、そのトーイン特性の設定自由度が向上する。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の後輪用サスペンション装置を示す上面図である。図2は、本実施形態の後輪用サスペンション装置を示す斜視図である。図3は、本実施形態の後輪用サスペンション装置を車両前方から見た図である。図4は、本実施形態の後輪用サスペンション装置を車両後方から見た図である。
(構成)
本実施形態のサスペンション装置は、2本のロアリンク4、5と、アッパリンク8とを備える。
上記2本のロアリンク4、5は、アクスル2の下部領域とサスペンションメンバ3との間を連結する。アクスル2は、車輪1を回転自在に支持する。また、サスペンションメンバ3を、上側の車体フレーム(不図示)に対しインシュレータ40で弾性支持する。
アッパリンク8は、アクスル2の上部領域とサスペンションメンバ3とを連結する。但し、図3に示すように、延在方向途中位置が下方に撓んだ形状となっている。これによって、アッパリンク8の上側に位置する車体フレームとの干渉を避け、その分、低床化を図っている。
上記2本のロアリンク4、5の車輪側端部は、それぞれ1つの弾性体ブッシュ9、10によって、アクスル2に対し上下揺動可能な状態で連結する。また、2本のロアリンク4、5の車輪側端部は、サスペンションメンバ3に対し、それぞれ1つのブッシュ11、12によって、上下揺動可能な状態に連結している。アッパリンク8も、アクスル2に対し、1つのブッシュ13によって上下揺動可能な状態で連結すると共に、サスペンションメンバ3に対しても1つのブッシュ14によって上下揺動可能な状態に連結している。
上記2本のロアリンク4、5は、車両前後方向で並ぶように配置する。ここで、この2本のロアリンク4、5を区別して説明する場合には、車両前後方向前側のロアリンク4、を前側ロアリンク4と呼ぶ。また、車両前後方向後側のロアリンク5を後側ロアリンク5と呼ぶことにする。
また、上記各ブッシュ9〜14は、入れ子状に配置した外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体を介装して構成する。本実施形態では、外筒側を、リンク4、5、8の端部に固定すると共に、内筒側を、ボルトを介してサスペンションメンバ3若しくはアクスル2に取り付けている。
前側ロアリンク4は、そのリンク軸線L1に沿って直線状に延びる棒状の部材であって、その両端取付け部にそれぞれ、上記構成のブッシュ9、11を設ける。
また、後側ロアリンク5は、リンク軸線L2に沿って延びるリンク本体部6と、張出部7とから構成する。張出部7は、リンク本体部6と一体になっていると共に、当該リンク本体部6から上記前側ロアリンク4に向けて車両前後方向前方に張り出している。なお、上記張出部7は、例えば板状の部材であって、上面視で略台形状の形状をしている。
その張出部7における前側ロアリンク4と車両前後方向で対向する先端部は、2個のブッシュ20、21を介して前側ロアリンク4に連結している。その2個のブッシュ20、21は、互いに車幅方向にオフセットしている。
以上の説明のように、上記張出部7を設けることで、張出部7先端と前側ロアリンク4とが近接し、その近接部位において、2本のロアリンク4、5は、弾性部材を介して連結した構成となる。
本実施形態では、その前側ロアリンク4と張出部7とを連結するブッシュ20、21は、上面視において、軸を略車両前後方向に向けて配置している。そして、外筒を前側ロアリンク4に固定すると共に、内筒を、取付けボルトを介して張出部7に固定している。これによって、前側ロアリンク4と後側ロアリンク5とは、連結部であるブッシュ20、21によって三次元的に揺動可能に連結すると共に、その揺動量も外筒と内筒と間のスパンや弾性体の剛性などによって一定に規制している。
上記後側ロアリンク5は、車両前後方向前側よりも車両前後方向後側の方が低くなるように設定しておく。すなわち、張出部は、車両側面視において、前上がりに傾斜した状態に設定しておく。これに応じて、前側ロアリンク4のサスペンションメンバ3への取付け点P1を、後側ロアリンク5のサスペンションメンバ3への取付け点P3よりも高い位置に設定する。
また、車両前面視において、前側ロアリンク4におけるアクスル2への取付け点P2とサスペンションメンバ3への取付け点P1との間の車幅方向スパンSP2を、後側ロアリンク5におけるアクスル2への取付け点P4とサスペンションメンバ3への取付け点P3との間の車幅方向スパンSP1よりも短く設定する。
また本実施形態では、上面視において、2本のロアリンク4、5におけるサスペンションメンバ3への各取付け点P1、P3間の車両前後方向でのスパンよりも、2本のロアリンク4、5におけるアクスル2への各取付け点P2、P4間の車両前後方向でのスパンの方が短くなるように配置している。ここで、2本のロアリンク4、5におけるサスペンションメンバ3への各取付け点を、車体側取付け点P1、P3と呼ぶ。2本のロアリンク4、5におけるアクスル2への各取付け点を、車輪側取付け点P2、P4と呼ぶ。
また、上面視において、上記2本のロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2同士の交点P5は、アクスル2よりも車幅方向外方、つまり両ロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4よりも車幅方向外方となるように設定している。ここで、リンク軸線は、それぞれの車輪側取付け点P2、P4と車体側取付け点P1、P3を通過する直線である。
図1の例では、側面視において、後側ロアリンク5における車体側取付け点P3に対する車輪側取付け点P4の車両前後方向後方へのオフセット量(図1ではほぼゼロ)よりも、前側ロアリンク4における車体側取付け点P1に対する車輪側取付け点P2の車両前後方向後方へのオフセット量が大きく設定している。これにより、上面視において、後側ロアリンク5のリンク軸線L2の車両前後方向後方への傾きよりも、前側ロアリンク4のリンク軸線L1の車両前後方向後方への傾きを大きく設定している。
すなわち、本実施形態では、上面視で、後側ロアリンク5のリンク軸線L2よりも、前側ロアリンク4のリンク軸線L1の方が、車幅方向に対し車両前後方向後方に傾斜している。この構成によって、後側ロアリンク5の方が横力を多く負担するサスペンション構造となる。
なおこのように配置することで、上面視において、2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4及び車体側取付け点P1、P3の4点を結ぶ形状が略台形形状となっている。
またこのように、後側ロアリンク5と比べて、前側ロアリンク4を、車体側取付け点P1、P3に対する車輪側取付け点P2、P4について、車両前後方向後方に大きくオフセットするように設定する結果、2本のロアリンク4、5の両リンク軸線L1、L2の交点P5は、上面視において、車輪1の中心(ホイールセンタW/C)よりも車両前後方向後方に位置する。
また本実施形態では、2本のロアリンク4、5の連結部を構成するブッシュ20、21は、上述のようにブッシュ軸を略車両前後方向に向ける。
更に、ブッシュ20、21は、相対的に上下方向の剛性が高く且つ車幅方向の剛性が低い異方性を有する。例えば、ブッシュ20、21を構成する外筒と内筒との間に介挿するゴムからなる弾性体に対し、内筒を挟んだ上下に弾性体よりも硬い中間板を介挿する。これによって、上下方向の剛性が高くなるように調整する。また、内筒の両側部分にスグリ(空洞部)が形成する。これによって、車幅方向の剛性が低くなるように調整する。
ここで、2本のロアリンク4、5同士を連結するブッシュ20、21を、コネクトブッシュ20、21と呼称する。また、ロアリンク4、5と、アクスル2及びサスペンションメンバ3とを連結するブッシュ9〜12を、取付けブッシュ9〜12と呼称する。
また、本実施形態では、後側ロアリンク5が主として横力を受けることから、後側ロアリンク5の車体側取付け部となる取付けブッシュ12の剛性を、上記コネクトブッシュ20、21の剛性よりも高く設定する。
ここで、2つのロアリンク4、5の車体側取付け点P1、P3を通過する軸をリンク揺動軸L3と定義する。このリンク揺動軸L3回りに、ロアリンク4、5は上下にストロークする。
そして、前側ロアリンク4の車体側取付け点P1に設けた取付けブッシュ11の軸を、上面視において、上記リンク揺動軸L3と同軸若しくはほぼ同軸に設定する。一方、後側ロアリンク5の車体側取付け点P3に設けた取付けブッシュ12の軸を、上面視において、上記リンク揺動軸L3と交差するように、車幅方向に傾ける。
さらに、本実施形態では、上面視において、後側ロアリンク5の車体側取付け点P3と上記内側のコネクトブッシュ21の中心点P7とを通過する直線D1と、上記前側ロアリンク4の車体側取付け点P1と上記内側のコネクトブッシュ21の中心点P7とを通過する直線D2との交角のうち、車幅方向内側を向く交角αを鈍角となるように設定する。
上記後側ロアリンク5には、サスペンションスプリング41の下端部を着座させるスプリング下部着座部22を設けている。そのスプリング下部着座部22は、上面視において、後側ロアリンク5のリンク軸線L2と重なる位置に設ける。
ここで、アクスル2が車輪支持部材を構成する。サスペンションメンバ3が車体側部材を構成する。コネクトブッシュ20、21が、近接部位を連結する弾性部材を構成する。内側のコネクトブッシュ21が最内側弾性部材を構成する。
後側ロアリンク5が、張出部7を備えたリンクを構成する。取付けブッシュ10が、張出部7を備えたリンク(後側ロアリンク5)の車輪側端部とアクスル2とを連結する弾性部材を構成する。
また、前側ロアリンク4が前側リンクを、後側リンク5が後側リンクを構成する。
(作用)
図6のように、車両前面視において、前側ロアリンク4におけるアクスル2への取付け点P2とサスペンションメンバ3への取付け点P1との間のスパンSP2を、後側ロアリンク5におけるアクスル2への取付け点P4とサスペンションメンバ3への取付け点P3との間のスパンSP1よりも短く設定する。
これによって、サスペンションのバウンド・リバウンド時にトーイン特性となる。
さらに、図5のように、前側ロアリンク4のサスペンションメンバ3への取付け点P1を、後側ロアリンク5のサスペンションメンバ3への取付け点P3よりも高く設定する。
車両側面視において、2つのロアリンク4,5の車体側取付け点P1、P3を結ぶリンク揺動軸L1上に、サスペンションの瞬間回転中心が位置する。また、上述のように前側ロアリンク4のスパンSP2を、後側ロアリンク5のスパンSP1よりも短くする。これによって、サスペンションの瞬間回転中心は、後輪の接地位置に対し、車両前後方向前方かつ上方に位置する。
これによって、車両制動軸におけるテールリフトを抑制することが出来る。また、上記サスペンションの瞬間回転中心の高さを調整することで、発進加速時のスカットも抑制することが出来る。
ここで、上述のように、前側ロアリンク4のリンク長と後側ロアリンク5のリンク長の長さの違いにより、サスペンションが上下ストロークする際の後輪のトー角変化の度合いも決まることになる。特に、後側ロアリンク5のスパンSP1に対し、上記前側ロアリンク4のスパンSP2を、短くするほど、サスペンションストローク時におけるトーイン特性が強くなる。
一方、上記2本のロアリンク4、5のリンク長の違いは、発進加速時における車両姿勢変化の度合いにも影響がある。したがって、トーイン特性の調整と、発進加速時における車両姿勢変化とは、トレードオフの関係にある。
このため、狙いたい発進時における車両姿勢変化の度合いを重視した場合、狙ったサスペンション上下ストローク時のトー角変化を得ることが出来ない可能性がある。
例えば、後側ロアリンク5の車幅方向スパンSP1に対し、前側ロアリンク4の車幅方向スパンSP2が、相対的に短くなるほど、次のような課題がある。
すなわち、前側ロアリンク4及び後側ロアリンク5のリンク長が一定の場合、サスペンションが上側にストロークするほど、前側ロアリンク4の車輪側取付け点P2が車幅方向内側に引き込む度合いが大きくなる。つまり、後輪のトー角がイン側に大きくなり過ぎると共に、トー角の変化度合いが非線形(巻き込み)になる。このことは、不整路での車両の直進性が悪くなってしまうという可能性がある。下側へのサスペンションストローク時も同様に、トー角変化の度合いが非線形(広がり)になる。
このとき、本実施形態のロアリンク4、5は、2本のロアリンク4、5の近接部位を弾性部材であるコネクトブッシ20、21によって弾性連結している。このため、サスペンションストロークの際に、2本のロアリンク20、21に対し相対的な変位を発生させることが可能となる。この結果、本願発明のサスペンション装置では、以下のような挙動変化がある。
すなわち、前後のロアリンク4、5を2分割し、それらをコネクトブッシュ20、21で連結している。これにより、前側ロアリンク4と後側ロアリンク5とは相対動きが可能になっている。
このとき、前後のロアリンク4、5の長さが違うために、サスペンションが上下ストロークする際に、後側ロアリンク5は、上面視で、その車体側取付け点P3を中心として、車輪側取付け点P4が車両前後方向前側に向かうように変位しようとする。この変位しようとする力によって、図6に示すように、後側ロアリンク5の車体側取付け部を構成する取付けブッシュ12に、上記リンク長さの違いを埋めようとするモーメントM1が働く。
このとき、上面視において、上記取付けブッシュ12の軸を、上記リンク揺動軸L3から傾けたことから、上記取付けブッシュ12は、上記リンク長さの違いを埋めようとするモーメントM1とは逆向きのモーメントM2を発生する。
この結果、上記リンク長さの違いを埋めようとするモーメントM1が減少して、上面視における後側ロアリンク5の上記取付けブッシュ12を中心とした回動変位が抑えられる。これによって、上記取付けブッシュ12を中心とした力が、内側のコネクトブッシュ21に作用する。この内側のコネクトブッシュ21に作用する力は、取付けブッシュ12の中心点P3(車体側取付け点)と内側のコネクトブッシュ21の中心点P7を通過する直線D1に直交する方向となる。
なお、コネクトブッシュ21の中心点P7として、例えば、コネクトブッシュ21の弾性中心を採用する。
ここで、本実施形態では、上記取付けブッシュ12の中心点P3と内側のコネクトブッシュ21の中心点P7を通過する直線D1と、内側のコネクトブッシュ21の中心点P7と前側ロアリンク4の車体側取付け点P1を通過する直線の交角αを鈍角としている。なお、上記交角αは車幅方向内側の交角である。
このため、上記この内側のコネクトブッシュ21に作用する力の反力F1が、前側ロアリンク4に作用する。この反力F1は、図6に示すように、前側ロアリンク4を車両前後方向の前側に変位させる方向の分力成分を持つ力となる。
このとき、前側ロアリンク4の取付けブッシュ11は、コネクトブッシュ21よりも、車幅方向の剛性が高い。このため、上記反力F1によって、前側ロアリンク4は、車体側取付け部を構成する取付けブッシュ11を中心にして回動変位する。すなわち、相対的に、前側ロアリンク4は、車体側取付け点P1を中心として、車両前後方向前側に変位する。これは、車両前方視において、車両正面視で、前側ロアリンク4のリンク長が長くする方向である。このことは、上側へのサスペンションストローク時の後輪のトーイン量を減らす方向に働く。この結果、トー角変化度合いの非線形性(巻き込み)を減らすことが出来る。
下側へのサスペンションストローク時についても、同様の作用が発生する。すなわち、前側ロアリンク4が、相対的に、車両正面視でのリンク長を長くする方向に回転変位する。この結果、下側ストローク時に後輪のトーイン量を減らす方向に働いており、トー角変化度合いの非線形性(広がり)を減らすことが出来る。
上記作用の説明は、前側ロアリンク4の軸線L1が、車幅方向外方に向かうにつれて車両前後方向後方に向かうように傾いている場合の説明である。
前側ロアリンク4の軸線L1が、車幅方向外方に向かうにつれて車両前後方向前方に向かうように傾いている場合には、上記交角αを鋭角に設定すればよい。鋭角に設定すると、サスペンションストローク時に、コネクトブッシュ21に入力する反力F1によって、相対的に、前側ロアリンク4は、車体側取付け点P1を中心として、車両前後方向後方に回動変位する。これによって、車両前方視において、車両正面視における前側ロアリンク4のリンク長が長くする方向に設定出来て、上記作用を奏する。
以上のように、上面視における、2本のロアリンク4、5の各車体側取付け点P1、P3と、内側のコネクトブッシュ21の位置との3点の位置関係、特に上記交角αを調整することで、トー変化特性を調整する自由度が大きくなる。
ここで、外側のコネクトブッシュ20の車両前後方向剛性が低いほど上記作用を阻害しない。したがって、内側コネクトブッシュ21と比較して、それ以外のコネクトブッシュ20の車両前後方向剛性を低く設定することが好ましい。
また、他のサスペンション特性の設定から2本のリンク軸線L1、L2の傾きが変更が難しいため、そのままでは上記交角αを鈍角にすることが難しい場合や、交角αを大きく取りたい場合には、次のようにすればよい。すなわち、図7のように、コネクトブッシュ21の位置を、前側ロアリンク4のリンク軸線L1よりも車両前後方向後方にオフセットさせればよい。
上記作用の他に、後側ロアリンク5の取付けブッシュ12の軸を、リンク揺動軸L3よりも傾けて車幅方向に近づけることで、車両旋回時にサスペンション装置に入力する車両横方の力に対する、サスペンション横方向の剛性を高めることが出来る。これにより旋回時の車両挙動の安定性につなげることが出来る。
(本実施形態の効果)
(1)2本のロアリンク4、5同士を連結することで、車輪1への車両前後方向の入力を2本のロアリンク4、5で受けることが可能となる。このため、当該車両前後方向入力を受けるために、別のリンクを設けなくても良い。
(2)また、このように2本のロアリンク4、5同士を連結しても、その近接部位をコネクトブッシュ20、21によって連結することで、所定の揺動範囲内でのみ揺動可能に構成する。この結果、車輪1への車両前後方向の入力に対して、連結部は少なくとも車幅方向へ所定揺動範囲だけ揺動可能な状態で連結した状態となる。
すなわち、路面の不整による、車輪1への前後方向入力(ホイールセンタW/Cヘの前後入力)に対し、連結部を構成するコネクトブッシュ20、21の弾性体が撓む。このとき、コネクトブッシュ20、21に着目すると、外筒に対して内筒が相対的に多少車両前後方向に揺動しつつ、車幅方向に揺動変位する。そして、上面視における2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4及び車体側取付け点P1、P3の4点を結ぶ略台形形状が変化する。この結果、弾性的に連結した2本のロアリンク4、5で支持するアクスル2の車両前後方向の剛性を、低く設定出来る。このため、特に突起乗り越し時のショックを低減するなど、乗り心地が向上する。
また、コネクトブッシュ20、21は、所定以上弾性体が撓むとそれ以上揺動することがない。したがって、別の部材を設けなくても、必要以上に揺動することを防止できる。
また、前後方向の入力を、コネクトブッシュ20、21が撓むことで吸収し、また、コネクトブッシュ20、21のゴムの特性により減衰も得ることが出来る。この結果、前後方向入力に対する振動の収まりが良い。また、コネクトブッシュ20、21の剛性によって前後方向の剛性が決まる。したがって、ロアリンク4、5は強度を満足するように設計しても、設計自由度を大きくすることが可能となる。
(3)またこのように、車輪1への前後方向入力に対し、コネクトブッシュ20、21が撓むことで前後方向入力の剛性を低く設定できる。
したがって、2本のロアリンク4、5同士を連結して当該2本のロアリンク4、5で車輪1への前後方向の入力を受けるようにしても、路面不整によるショック低減のために、2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4及び車体側取付け点P1、P3を構成する取付けブッシュ9〜12の剛性を低く設定する必要がない。
すなわち、当該ロアリンク4、5の取付けブッシュ9〜12の剛性を高く設定可能である。従って、上記ロアリンク4、5の取付けブッシュ9〜12の剛性を高く設定することで、アクスル2の横方向剛性(車幅方向の剛性)を高くすることができる。またこのことはキャンバ剛性を高くすることにも繋がる。この結果、操縦安定性を向上することができる。
なお、車輪1への横方向入力は、2本のロアリンク4、5に対し略リンク軸線L1、L2の方向に掛かる。したがって、コネクトブッシュ20、21の剛性を低く設定してもアクスル2の横剛性を低くすることはない。この結果、前後方向の低剛性化と横方向の高剛性化の両立が可能で、乗り心地と操縦安定性をより高いレベルで両立することができる。
(4)また、下記のア)及びイ)の構成によって、車両発進加速時及び車両制動時の少なくとも一方の車両挙動の安定性を確保することが可能となる
ア)車両前面視において、前側ロアリンク4における車輪側取付け点と車体側取付け点との間のスパンを、後側ロアリンク5における車輪側取付け点と車体側取付け点との間のスパンよりも短く設定する。
イ)前側ロアリンク4の車体側取付け点を、後側リンクの車体側取付け点よりも高く設定する。
(5)また、上記イ)の構成によって、サスペンションストロークの際のトー変化特性をトーイン特性とすることが出来る。
(6)このとき、上面視における、内側のコネクトブッシュ21の位置と、2本のロアリンクの各車体側取付け点の位置との関係を調整することで、サスペンションストローク時におけるトーインの変化特性を調整することが可能となる。
(7)特に、後側ロアリンク5の車体側取付け部を構成する取付けブッシュの軸を、上面視において、リンク揺動軸L3から傾けて、車幅方向に直交する軸に直交する向きに近づける。更に、上記後側ロアリンク5の車体側取付け点P3と内側のコネクトブッシュ21の中心点P7とを通過する直線D1と、上記前側ロアリンク4の車体側取付け点P1と上記内側のコネクトブッシュ21の中心点P7とを通過する直線D2との上記交角αを鈍角とする。
これによって、トー角の変化度合いの非線形性を減らすことが可能となる。この結果、例えば不整路面での車両の直進性悪化を抑制することが可能となる。
(8)また、後側ロアリンク5の取付けブッシュ12の軸を、車幅方向に直交する方向に向ける。これによって、車両旋回時にサスペンション装置に入力される車両横方の力に対するサスペンション横方向の剛性を高めることが出来る。これにより旋回時の車両挙動の安定性につなげることが出来る。
(9)また、上面視において、連結された2本のロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5をアクスル2よりも車幅方向外方に設定している。つまり、車両前後方向における、車輪側取付け点P2、P4間のスパンが車体側取付け点P1、P3間のスパンより狭く設定している。この結果、次の作用効果を奏する。
制動などによって、車輪1に対し車両前後方向後方向への入力がある場合を考える。この場合には、2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4は、ともに車両前後方向後方にほぼ同量だけ揺動変位する。このとき、その2本におけるロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4の車両横方向変位の差によって、トーイン方向のトー変化が発生する。これによって、制動時の安定性が向上する。
図1、図6の例では、後側ロアリンク5はほぼ車幅方向にリンク軸線L2を設定している。しかし、前側ロアリンク4は、車輪1側が車両前後方向後方となるように、リンク軸線L1が車両前後方向後方に傾いている。この結果、2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4はともに車両前後方向後方にほぼ同量だけ揺動変位する。しかし、後側ロアリンク5の車輪側取付け点P4よりも、前側ロアリンク4の車輪側取付け点P2が車両側に引き込むように変位することで、車輪1はトーイン方向に変化する。
(10)また、上面視において、2本のロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5を、車輪1の中心(ホイールセンタW/C)よりも車両前後方向後方に位置させる。これによって、アクスル2の回転中心がホイールセンタW/Cよりも後方に位置する。このため、車両旋回時のタイヤ横方向の入力に対し、旋回外輪側の車輪1をトーイン方向に向けるトルクが働く。この結果、車両旋回時の安定性が向上する。
(11)また、車幅方向に互いにオフセットして配置した各コネクトブッシュ20、21の剛性を、上下方向に高く且つ車幅方向に低い異方性を持たせる。これによって、車輪1への車両前後方向入力には、次のような作用効果を奏する。
制動操作などによって車輪1の接地面に対し車両前後方向の制動力が入力する。すると、その入力によってワインドアップ方向のモーメントが発生する。このモーメントによってアクスル2に連結する後側ロアリンク5には上方に向かう力が作用する。さらに、前側ロアリンク4には下方に向かう力が作用する。この結果、両ロアリンク4、5の連結部であるコネクトブッシュ20、21にも上下方向の力が入力する。このとき、上述のようにコネクトブッシュ20、21の上下方向の剛性を高く設定している。したがって、両ロアリンク4、5を弾性部材を介して連結しても、ワインドアップ方向の剛性を高くすることが可能となる。
またこのとき、2つのコネクトブッシュ20、21を車幅方向にオフセットして配置する。これによって、後側ロアリンク5と前側ロアリンク4とにおける、上下方向の不要な相対変位を小さく抑えることが出来る。
また上述のように、コネクトブッシュ20、21の車幅方向の横剛性を低く設定する。これによって、アクスル2の前後並進方向の剛性が低く設定している結果、両者の作用効果から、乗心地の改善と制動時の安定性の向上との両立や、振動の低減ができる。
(12)サスペンションスプリング41の下部をロアリンク5に支持させるように配置することで、サスペンションスプリング41の下部取付け位置をできるだけ下方に配置できる。この結果、社内の荷室スペースの拡大などの点で有利な構成となる。
特に、サスペンションスプリング41の下部を、相対的に低い後側ロアリンク5側に配置することで、よりサスペンションスプリング41の下部の位置を下げることが出来る。
(13)サスペンションスプリング41の下部取付け部30を、上面視において、両端の支持剛性が高いリンク軸線L2上にほぼ位置させている。これによって、サスペンションスプリング41の反力によってリンク取付け点の変位が無いか小さく抑えることが出来る。すなわち、サスペンションスプリング41の反力を、効率よく伝達することができる。
このことは、ロアリンク4、5の両端部に設ける取付けブッシュ9〜12の剛性を高めることができる点からも有利な構成となる。
(14)また、サスペンションスプリング41からの上下方向の反力が後側ロアリンク5に入力しても、その反力は、主としてロアリンク4、5の両端部に設けた取付けブッシュ9〜12で受ける。したがって、サスペンションスプリング41の反力によって、コネクトブッシュ20、21の撓みは無いか小さく抑えることが出来る。
(15)また、後側ロアリンク5に対し、サスペンションスプリング41の下部を着座させている。この結果、サスペンションストローク時にスプリング反力が後側ロアリンク5に入力する。この入力の向きを調整することでも、上記トー変化特性の調整を行うことが可能となる。
(変形例)
(1)上記実施形態では、後側ロアリンク5に対し、車両前後方向前側に張り出す張出部7を設けることで、2本のロアリンク4、5の連結部を、前側ロアリンク4のリンク軸線L1上に配置している。これに代えて、図6のように、前側ロアリンク4に対し、車両前後方向後側に張り出す張出部7を設けても良い。この場合には例えば、2本のロアリンク4、5の連結部を、上面視で前側ロアリンク4のリンク軸線L2上に配置する。
(2)また、両ロアリンク4、5からそれぞれ他方のリンクに向けて個別に張出部7を張り出させても良い。
そして、各ロアリンク4、5の軸線上に1つずつ連結部を設定し、その2つの連結部にそれぞれ上記コネクトブッシュ20、21を配置する。なお、この場合であっても、車両正面視において、2つの連結部は、車幅方向に離して配置することが好ましい。
または、張出部7の先端部同士を、コネクトブッシュ20、21で連結する。
この場合には、前側ロアリンク4及び後側ロアリンク5の両方が、張出部7を備えたリンクとなる。
効果は、上述の効果と同様である。
(3)上記実施形態では、アッパリンク8を1本の棒状リンクから構成する場合を例示している。これに代えて、アッパリンク8は、2本以上あっても良いし、Aアームなど他の形状であっても良い。
(4)上記実施形態では、後側ロアリンク5のリンク軸線L2を車幅方向に配置し、前側ロアリンク4のリンク軸線L1を車両前後方向後方に傾けることで、2つのロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5を、アクスル2よりも車幅方向外方となるように設定している。しかし、これに限定しない。例えば前側ロアリンク4のリンク軸線L1を略車幅方向に配置すると共に、後側ロアリンク5のリンク軸線L2を、車体側取付け点P3よりも車輪側取付け点P4が車両前後方向前側にくるように、前側に傾斜させる。これによって、2つのロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5を、アクスル2よりも車幅方向外方となるように設定しても良い。
(5)上記実施形態では、コネクトブッシュ20、21の軸が、略車両前後方向に向くように配置している。しかし、これに限定しない。コネクトブッシュ20、21の軸を、例えば車幅方向やリンク軸線L1、L2に沿って配置したりしても良い。ただし、コネクトブッシュ20、21の軸を上下方向に向けると上下方向の剛性が高い異方性の設定が困難となる。
(6)2つのロアリンク4、5の連結部は、ロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2上に配置する必要は無い。例えば、2本のロアリンク4、5の中間位置に対して配置しても良い。
(7)2本のロアリンク4、5の連結部を構成するブッシュは、2箇所に限定されない。3箇所以上あっても良い。
(8)上記実施形態では、車両前後方向に並ぶ2本のリンクとしてロアリンク4、5を例示している。これに代えて、2本のリンクは、アッパリンク8その他のリンクであっても良い。
(9)上記実施形態では、サスペンション装置として後輪用サスペンション装置を例示している。これに代えて、本願発明を適用するサスペンション装置は、前輪用サスペンション装置であっても良い。
(10)また上記実施形態では、後側ロアリンク5に、スプリング41の下部を取り付ける場合を例示した、バンパを後側ロアリンク5に取り付けても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
第1実施形態では、後側ロアリンク5のリンク軸線よりも、前側ロアリンク4のリンク軸線の方が、車幅方向に対し車両前後方向に傾斜している。この結果、後側ロアリンク5の方が横力を多く負担する。
一方、この第2実施形態では、模式的上面図である図8に示すように、前側ロアリンク4のリンク軸線L1よりも、後側ロアリンク5のリンク軸線L2の方が、車幅方向に対し車両前後方向前方に傾斜している。即ち、前側ロアリンク4の方が横力を多く負担するサスペンション構造の場合の例である。
この第2実施形態では、図8に示すように、前側ロアリンク4に張出部を設けて、後側ロアリンク5のリンク軸線L2若しくはその近傍にコネクトブッシュ20、21を配置した例で説明する。
それ以外の基本構成は、上記第1実施形態と同様である。
但し、後側ロアリンク5の車体側取付け部を構成する取付けブッシュ12の軸は、リンク揺動軸L3と同方向を向いている。一方、前側ロアリンク4の車体側取付け部を構成する取付けブッシュ11の軸は、上面視において、上記リンク揺動軸L3から傾けて、当該リンク揺動軸L3よりも、車幅方向と直交する向きに設定してある。
更に、2本のロアリンク4、5の各車体側取付け点P1、P3と、内側コネクトブッシュ21の中心点P7との成す交角βを鋭角に設定する。
(作用)
基本的作用は、上記第1実施形態と同様である。但し、上記交角βを鋭角とすることで、リンク長が長い後側ロアリンク5を車両前後方向前側に相対変位させる。即ち、サスペンションストローク時に、車両前方視において、車両正面視での後側ロアリンク5の長さが短くなる。
この結果、第1実施形態と同様に、後輪のトーイン量を減らす方向に働いており、トー角変化度合いの非線形性を減らすことが出来る。
なおこの場合には、2本のリンク軸線L1、L2を固定した場合に、コネクトブッシュ21の位置を、後側ロアリンク5のリンク軸線L1よりも車両前後方向にオフセットさせるほど、上記交角βを小さく、つまりより鋭角とすることが可能である。
(本実施形態の効果)
(1)前側ロアリンク4を主として横力を受ける構成としても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが出来る。
(変形例)
(2)張出部が後側リンク側に設けても構わない。交角が鋭角となるように設定出来ればよい。
本発明に基づく第1実施形態に係る後輪用サスペンション装置を示す上面図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る後輪用サスペンション装置を示す斜視図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る後輪用サスペンション装置を示す車両正面からみた図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る後輪用サスペンション装置を示す車両後方からみた図である。 本発明に基づく第1実施形態に係る車両側方からみたリンクの配置関係を示す図である。 本発明に基づく第1実施形態に係るリンクの配置を示す模式的上面図である。 本発明に基づく第1実施形態に係るリンクの別の配置を示す模式的上面図である。 本発明に基づく第1実施形態に係るリンクの配置を示す模式的上面図である。
符号の説明
1 車輪
2 アクスル(車輪支持部材)
3 サスペンションメンバ(車体側部材)
4 前側ロアリンク
5 後側ロアリンク
6 リンク本体部
7 張出部
20、21 コネクトブッシ
20 内側のコネクトブッシュ
41 サスペンションスプリング
L1、L2 リンク軸線
L3 リンク揺動軸
M1 モーメント
M2 モーメント
SP1 後側ロアリンクのスパン
SP2 前側ロアリンクのスパン
α、β 交角
P7 内側のコネクトブッシュの中心点

Claims (6)

  1. 車輪を回転自在に支持する車輪支持部材と車体側部材とを連結する2本のリンクを、車両前後方向に並べて配置したサスペンション装置において、
    上記2本のリンクの少なくとも一方のリンクに、他方のリンクに向けて張り出す張出部を設けることで、2本のリンクが互いに近接した近接部位を設けると共に、その2本のリンクの近接部位を1又は2以上の弾性部材を介して連結し、
    上記2本のリンクのうち車両前後方向前側に配置した一方のリンクを前側リンクと、他方のリンクを後側リンクと定義したときに、
    車両前面視において、前側リンクにおける車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点との間のスパンを、後側リンクにおける車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点との間のスパンよりも短く設定し、
    前側リンクの車体側部材への取付け点を、後側リンクの車体側部材への取付け点よりも高い位置に設定し、
    上記1又は2以上の弾性部材のうちの一番車幅方向内側に位置する最内側弾性部材の位置と、2本のリンクの各車体側部材への取付け点の位置との関係を調整することで、サスペンションストローク時におけるトー変化特性を調整することを特徴とするサスペンション装置。
  2. 後側リンクで前側リンクよりも多く横力を負担する構成とし、且つ、その後側リンクの車体側取付け部を、上記弾性部材よりも剛性が高い弾性体ブッシュによって車体側部材に連結し、その弾性体ブッシュの軸を、2本のリンクの車体側部材への各取付け点を通過するリンク揺動軸よりも、車幅方向と直交する向きに近づくように設定し、
    上面視における、上記後側リンクの車体側部材への取付け点と上記最内側弾性部材の中心とを通過する直線と、上記前側リンクの車体側部材への取付け点と上記最内側弾性部材の中心とを通過する直線との交角のうち、車幅方向内方を向く交角が鈍角となるように、最内側弾性部材の位置と、2本のリンクの各車体側部材への取付け点の位置との関係を調整することを特徴とする請求項1に記載したサスペンション装置。
  3. 前側リンクで後側リンクよりも多く横力を負担する構成とし、且つ、その前側リンクの車体側取付け部を、上記弾性部材よりも剛性が高い弾性体ブッシュによって車体側部材に連結し、その弾性体ブッシュの軸を、2本のリンクの各車体側部材への取付け点を通過するリンク揺動軸よりも、車幅方向と直交する向きに近づくように設定し、
    上面視における、上記後側リンクの車体側部材への取付け点と上記最内側弾性部材の中心とを通過する直線と、上記前側リンクの車体側部材への取付け点と上記最内側弾性部材の中心とを通過する直線との交角のうち、車幅方向内方を向く交角が鋭角となるように、最内側弾性部材の位置と、2本のリンクの各車体側部材への取付け点の位置との関係を調整することを特徴とする請求項1に記載したサスペンション装置。
  4. 上面視において、上記2本のリンクにおける、それぞれの車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点を結ぶリンク軸線同士の交点は、上記リンクの車輪支持部材への取付け点よりも車幅方向外方に位置することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したサスペンション装置。
  5. 上面視において、上記2本のリンクにおける、それぞれの車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点を結ぶリンク軸線同士の交点は、車輪の中心よりも車両前後方向後方に位置することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したサスペンション装置。
  6. 上記後側リンクに対し、サスペンションスプリング及びダンパの少なくとも一方の下部を取付け、その下部取付け部は、上面視において、後側リンクにおける車輪支持部材への取付け点と車体側部材への取付け点とを結ぶリンク軸線と重なる位置に配置することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したサスペンション装置。
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