JP2009211869A - 固体高分子形燃料電池用触媒層及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体高分子形燃料電池において、クラック発生を抑制し、転写性が極めて良好で、歩留りに優れた触媒層を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層は、
(1)触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーを含有し、
(2)該カーボンナノファイバーは、アスペクト比が60〜95、平均繊維経が100〜500nm、平均繊維長が2〜20μmであり、
(3)該カーボンナノファイバーの含有量が、触媒層中10重量%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な固体高分子形燃料電池用触媒層及びその製造方法に関する。
燃料電池は、電解質膜の両面に触媒層を配置し、水素と酸素の電気化学反応により発電するシステムであり、発電時に発生するのは水のみである。燃料電池は、従来の内燃機関と異なり、二酸化炭素等の環境負荷ガスを発生しないため、次世代のクリーンエネルギーシステムとして注目されている。
その燃料電池の一種である固体高分子形燃料電池は、電解質膜として水素イオン伝導性高分子電解質膜を用い、その両面に触媒層、電極基材及びセパレータが順次積層された構造となっている。このうち、電解質膜の両面に触媒層及び電極基材を順次積層させたもの(即ち、電極基材/触媒層/電解質膜/触媒層/電極基材の層構成のもの)は、電極−電解質膜接合体と称されている。
この接合体を構成する触媒層は、カーボン粉末に触媒を担持した触媒材料及び高分子電解質を主成分として含むものである。この触媒層は、形成時に乾燥工程を必要とするが、この乾燥工程により、カーボン粉末が凝集し、触媒層にピンホール及びクラック(亀裂)が発生したり、触媒層の収縮により触媒層にクラックが発生したりする問題がある。
クラックが発生すると、触媒層が電極基材又は電解質膜から剥がれ落ちやすくなるため、燃料電池の歩留りが低下する。また、クラックが発生すると、クラック部で電気伝導度が低下したり、触媒層−電極基材界面又は触媒層−電解質膜界面で接触抵抗が上昇したりするため、電池の内部抵抗上昇につながり、電池寿命が低下する原因になる。
そこで、触媒層のクラックの発生を抑制するために、種々の方法が提案されている。このような方法としては、例えば、乾燥工程時に加圧乾燥する方法(特許文献1)、液化ガス中に分散した触媒材料を、電極基材上に塗布した後に焼成圧着する方法(特許文献2)、触媒層ペーストの調製時に、混合攪拌装置内の雰囲気を調整しながら、触媒担持カーボン粉末と結合剤樹脂を混合攪拌する方法(特許文献3)、触媒インクを塗布することにより膨潤する性質を有する基材にインクを塗布し、触媒インクと基材面を異なる湿度雰囲気にさらし、収縮速度を一致させる方法(特許文献4)等が知られている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも複雑な工程及び煩雑な装置を必要とし、工業的に不利である。
一方、乾燥速度を制御し、触媒層の体積抵抗率を低下させることにより、クラックの発生を制御する方法も提案されている(特許文献5)。
しかしながら、この方法は、乾燥速度を極めて厳密に制御しなければならず、操作に高度の熟練を要する。また、体積抵抗率を低下させることに伴い、電池自身の内部抵抗が上昇し、電池性能が低下するのが避けられない。
さらに、触媒層にバインダー、炭素成分等の第三成分を含有させることにより、クラックを抑制する方法も提案されている(特許文献6、7及び8)。例えば、特許文献6には、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂を用いる方法が開示されている。しかし、フッ素樹脂は非導電性であるため、触媒層のバルク抵抗が上昇し、電極の触媒層としての使用に耐えられなくなる。
一方、特許文献7及び8には、導電性炭素ウィスカー、又は炭素繊維を添加することによりクラック発生を低減する方法を開示している。
しかしながら、これらの文献では、特許文献7の図2から明らかなように、炭素ウィスカーを触媒層重量の12重量%以上添加しなければ、触媒層のクラックの発生を抑制することができない。また、特許文献8の実施例でも、炭素繊維を添加する際には、触媒層中の11.1重量%と比較的多量の炭素繊維を添加している。
特許文献7及び8のように、炭素ウィスカー又は炭素繊維を多量に配合すると、転写性が悪化する問題が生ずる。また、炭素ウィスカーを多量に含むことにより、触媒層の厚さが増加する。例えば、12重量%の炭素ウィスカーを添加した場合、触媒層の厚さは10%程度増加し、触媒層自体のバルク抵抗値(体積抵抗率)も増加し、ひいては、電池性能が低下する。
また、触媒活性に寄与しない炭素ウィスカー等の第三成分を多量に添加することは、コストアップ等につながるため、工業的に不利である。
特開2003−17071号公報 特開平7−57738号公報 特開2004−199915号公報 特開2004−259509号公報 国際公開第03/077336号パンフレット 特開2001−38268号公報 特開2003−123769号公報 特開2007−123253号公報
本発明は、固体高分子形燃料電池において、クラック発生を抑制し、転写性が極めて良好で、歩留りに優れた触媒層を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のアスペクト比、平均繊維径および平均繊維長を有する、特定のカーボンナノファイバーをごく少量配合するだけで、上記課題を解決した所望の触媒層が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記の触媒層、触媒層転写フィルム、電解質膜−触媒層接合体、電極−電解質膜接合体及び当該触媒層転写フィルムの製造方法にかかる。
項1.(1)触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーを含有し、
(2)該カーボンナノファイバーは、アスペクト比が60〜95、平均繊維経が100〜500nm、平均繊維長が2〜20μmであり、
(3)該カーボンナノファイバーの含有量が、触媒層中10重量%以下である
固体高分子形燃料電池用触媒層。
項2.実質的にクラックを有しない項1に記載の触媒層。
項3.項1又は2に記載の触媒層が、転写基材上に積層されてなる固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルム。
項4.項1又は2に記載の触媒層が、電解質膜の片面又は両面に積層されてなる固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体。
項5.ガス拡散基材が、項4に記載の電解質膜−触媒層接合体の片面又は両面に、触媒層とガス拡散基材が接するように積層されてなる固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体。
項6.項1又は2に記載の触媒層が、ガス拡散基材上に積層されてなる固体高分子形燃料電池用電極。
項7.(I)(A)触媒担持炭素粒子、
(B)水素イオン伝導性高分子電解質、
(C)アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー、及び
(D)粘度調整用溶剤
を含むペースト組成物であって、カーボンナノファイバーの含有量が、該ペースト組成物中の固形分に対して10重量%以下である触媒層形成用ペースト組成物を転写基材に塗布及び乾燥させる工程
を備えた、触媒層転写フィルムの製造方法。
1.触媒層
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層は、
(1)触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーを含有し、
(2)該カーボンナノファイバーは、アスペクト比が60〜95、平均繊維経が100〜500nm、平均繊維長が2〜20μmであり、
(3)該カーボンナノファイバーの含有量が、触媒層中10重量%以下である。
本発明で使用する触媒担持炭素粒子(触媒成分)は、炭素粒子に触媒材が担持したものであればよく、公知又は市販のものが使用できる。
触媒担持炭素粒子を構成する炭素粒子は、特に制限されず、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ等が1種単独又は2種以上で用いることができる。
炭素粒子の平均粒径は、一次粒子として、通常1〜200nm程度、好ましくは10〜100nm、より好ましくは10〜50nm程度である。
炭素粒子の比表面積は、通常10〜2000m/g程度、好ましくは200〜1500m/g程度である。この範囲とすることにより、触媒活性を向上させ、より一層高い出力密度の電池を得ることができる。
炭素粒子に担持する触媒材は、燃料電池の燃料極又は空気極における燃料電池反応を起こさせるものであれば特に制限はない。例えば、白金、白金化合物等が挙げられる。白金化合物としては、例えば、白金と、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、モリブデン、イリジウム、鉄、コバルト等よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属との合金等が挙げられる。
触媒材の平均粒径は、通常1〜20nm程度であり、好ましくは1〜10nm程度、更に好ましくは1〜5nm程度である。
触媒材の比表面積は、通常50〜1000m/g程度、好ましくは100〜500m/g程度である。
一般的に、カソード触媒層として用いられる場合の触媒は白金、アノード触媒層として用いられる場合の触媒は上述した合金である。
水素イオン伝導性高分子電解質は限定的でなく、例えば、パーフルオロスルホン酸系のフッ素イオン交換樹脂等が挙げられる。また、電気陰性度の高いフッ素原子を導入することにより、化学的に非常に安定し、スルホン酸基の乖離度が高く、高い水素イオン伝導性が実現できる。このような水素イオン伝導性高分子電解質の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」、旭硝子(株)製の「Flemion」、旭化成(株)製の「Aciplex」、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」等が挙げられる。
本発明で使用されるカーボンナノファイバーは、アスペクト比(繊維長/繊維径)が60〜95のものであり、好ましくは65〜85である。この範囲のアスペクト比のカーボンナノファイバーを含有させることにより、クラックの発生を抑制できる。また、少量の添加でクラックの発生を抑制できるので、カーボンナノファイバーを多量に添加することによる転写性の悪化といった問題も引き起こさない。
本発明におけるアスペクト比は、繊維長及び繊維径の分布曲線(横軸:繊維長又は繊維径、縦軸:存在割合)のグラフをそれぞれ作成し、当該グラフの存在割合の一番多い箇所の繊維長及び繊維径をそれぞれアスペクト比算出用の繊維長及び繊維径とし、当該繊維長を繊維径で除することにより、算出されるものである。
カーボンナノファイバーの平均繊維径は、100〜500nm、好ましくは120〜300nm、さらに好ましくは130〜200nmである。平均繊維径が上記範囲内にあることにより、転写性が良好で電池性能も高い触媒層が得られる。本発明において、カーボンナノファイバーの平均繊維径は、例えば、電子顕微鏡観察により所定の個数のカーボンナノファイバーの繊維径を測定し、その平均値をとることにより測定できる。
また、カーボンナノファイバーの平均繊維長は、2〜20μm、好ましくは10〜20μm、より好ましくは12〜17μmである。平均繊維長が上記範囲内にあることにより、転写性が良好で電池性能も高い触媒層が得られる。本発明において、カーボンナノファイバーの平均繊維長は、例えば、電子顕微鏡観察により所定の個数のカーボンナノファイバーの繊維長を測定し、その平均値をとることにより測定できる。
カーボンナノファイバーは、上記条件を満たしていれば限定的でないが、例えば、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が挙げられる。
さらに、触媒層において、触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーの混合物の粒度分布の最大ピークは、0.1〜1μmの範囲内にあることが好ましい。粒度分布の最大ピークが上記範囲内にあることで、粒径が均一になっており、触媒上での電池反応を均一に生じさせることできる。なお、粒度分布の最大ピークの測定方法は、特に限定されるわけではないが、例えば、イソプロパノール(IPA)を溶媒とし、粒度分布計((株)堀場製作所製のHORIBA LA910)を用いて測定できる。
その他、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等も挙げられる。この中でも、特にカーボンナノチューブ及びカーボンナノワイヤーの少なくとも1種が好ましい。
触媒担持炭素粒子の含有量は、触媒層中(乾燥重量比)、20〜85重量%、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%である。
また、水素イオン伝導性高分子電解質の含有量は、触媒層中、5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜55重量%とすればよい。
さらに、カーボンナノファイバーの含有量は、触媒層中、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは6重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。下限は通常0.1重量%程度、好ましくは1重量%程度である。カーボンナノファイバーの含有量を10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下とすることにより、触媒層の厚さを実質的に増加させずに、クラックの発生を抑制できる。すなわち、触媒層の体積抵抗率を下げることなく、クラック発生の抑制が可能である。また、0.1重量%程度以上とすることにより、カーボンナノファイバーによるクラックの発生の抑制を効果的に発揮することができる。
なお、触媒層には、上記成分以外にも、本発明の効果を阻害しない程度に、他の成分を含有していてもよい。
本発明の触媒層は、実質的にクラックを有していない。本発明において、クラックとは、触媒層表面に存在する幅2〜20μm程度且つ長さ50μm程度以上の空隙(間隙)又は亀裂をいう。
触媒層の厚さは限定的ではないが、通常1〜120μm程度、好ましくは5〜100μm程度、さらに好ましくは、10〜80μm程度である。
触媒層中の白金の含有量は限定的ではないが、通常0.1〜5.0mg/cm程度とすればよい。これにより、より一層高い出力密度を達成することができる。
2.触媒層転写フィルム
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムは、上記触媒層が、転写基材上に積層されたものである。
転写基材としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリパラバン酸アラミド、ポリアミド(ナイロン等)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。更に、転写基材は、高分子フィルム以外に、アート紙、コート紙、軽量コート紙等の塗工紙、ノート用紙、コピー用紙等の非塗工紙等の紙であってもよい。
転写基材の厚さは、取り扱い性及び経済性の観点から、通常6〜100μm程度、好ましくは10〜35μm程度、より好ましくは10〜25μm程度とするのがよい。従って、転写基材としては、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
また、転写基材には、離型層が積層されたものであってもよい。離型層としては、例えば、公知のワックスから構成されたもの、公知のフッ素系樹脂でコーティングされたプラスチックフィルム等が挙げられる。
3.電解質膜−触媒層接合体
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体は、上記触媒層が、電解質膜の片面又は両面に積層されたものである。
電解質膜は、水素イオン伝導性のものであれば限定的ではなく、公知又は市販のものを使用できる。電解質膜の具体例としては、例えば、デュポン社製の「Nafion」膜、旭硝子(株)製の「Flemion」膜、旭化成(株)製の「Aciplex」膜、ゴア(Gore)社製の「Gore Select」膜等が挙げられる。
電解質膜の膜厚は、通常1〜250μm程度、好ましくは5〜80μm程度とすればよい。
4.電極
本発明の固体高分子形燃料電池用電極は、上記触媒層がガス拡散基材(電極基材)上に積層されたものである。
ガス拡散基材は限定的ではなく、例えば通気性のあるカーボン基材が挙げられ、具体的には、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等の公知のものを使用すればよい。
また、これらのカーボン基材は撥水処理されたものを用いてもよい。撥水処理は、例えば、カーボン基材をポリテトラフルオロエチレンエマルジョン液に含浸させた後、乾燥及び焼成することにより、行うことができる。
さらに、カーボン基材の面を平滑にするための処理(平滑処理)を施したものを使用してもよい。例えば、カーボンブラック、ポリテトラフルオロエチレン及び水等を主成分とするインクをカーボン基材に塗布及び乾燥することにより、平滑にすることができる。
塗布方法は、例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等が得られる。
ガス拡散基材の厚さは、通常20〜1000μm程度、好ましくは100〜400μm程度とすればよい。
5.電極−電解質膜接合体
本発明の固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体は、ガス拡散基材が、電解質膜−触媒層接合体の片面又は両面に、触媒層とガス拡散基材が接するように積層されたものである。
ガス拡散基材は、上述したものでよく、このガス拡散基材は、上記撥水処理、平滑処理等を施したものを用いてもよい。
なお、本発明の固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体は、上記電極が、高分子電解質膜の片面又は両面に、触媒層が電解質膜に接するように積層されたものであってもよい。
電解質膜は、上述したものでよい。また、電解質膜の膜厚は、上記の電極中における電解質膜の膜厚と同程度とすればよい。
6.製造方法
<6−1.触媒層転写フィルムの製造方法>
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムは、例えば、
(I)(A)触媒担持炭素粒子、
(B)水素イオン伝導性高分子電解質、
(C)アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー、及び
(D)粘度調整用溶剤
を含むペースト組成物であって、カーボンナノファイバーの含有量が、該ペースト組成物中の固形分に対して10重量%以下である触媒層形成用ペースト組成物を転写基材に塗布及び乾燥させる工程
により、製造することができる。
触媒担持炭素粒子(A)、水素イオン伝導性高分子電解質(B)及びアスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー(C)は上述したものでよい。
粘度調整用溶剤(D)は、例えば、各種アルコール、各種エーテル、各種ジアルキルスルホキシド、水又はこれらの混合物等が挙げられる。これらの溶剤の中でも、アルコールが好ましい。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の触媒層形成用ペースト組成物中に含まれる上記(A)〜(D)成分の割合は、形成される触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量が10重量%以下となれば、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択され得る。
例えば、(A)成分の触媒担持炭素粒子を1重量部に対して、(B)成分の水素イオン伝導性高分子電解質が0.2〜3重量部(好ましくは0.25〜2重量部)、(C)成分のカーボンナノファイバーが0.001〜0.145重量部(好ましくは0.014〜0.14重量部、(D)成分の粘度調整用溶剤が5〜50重量部程度(好ましくは10〜25重量部)含まれているのがよい。
触媒層形成用ペースト組成物は、上記(A)〜(D)成分を混合することにより、製造される。(A)〜(D)成分の混合順序は、特に制限されない。例えば、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分を順次又は同時に混合し、分散させることにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製できる。混合には、公知の混合手段を広く適用できる。
塗布される基材には、上述の転写基材を用いる。
ペースト組成物を、転写基材に塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な塗布方法を適用できる。
乾燥温度は、通常40〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常5分〜2時間程度、好ましくは30分〜1時間程度である。
<6−2.電解質膜−触媒層接合体の製造方法>
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体は、例えば、
(II−1)上記方法により製造された触媒層転写フィルムと電解質膜とを、触媒層と電解質膜とが対面するように配置し、触媒層を電解質膜上に転写させる工程
により、製造することができる。
触媒層が転写される電解質膜には、上述の電解質膜を用いる。電解質膜の膜厚は、上述のものと同程度とすればよい。
転写する際には、転写フィルムの転写基材側から、公知のプレス機等を用いて加圧すればよい。その際の加圧レベルは、転写不良を避けるために、通常0.5〜20MPa程度、好ましくは1〜10MPa程度がよい。また、この加圧操作の際に、転写不良を避けるために、通常80〜200℃、好ましくは100〜150℃とすればよい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体は、他にも、
(II−2)(A)触媒担持炭素粒子、
(B)水素イオン伝導性高分子電解質、
(C)アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー、及び
(D)粘度調整用溶剤
を含むペースト組成物であって、カーボンナノファイバーの含有量が、該ペースト組成物中の固形分に対して10重量%以下である触媒層形成用ペースト組成物を電解質膜に塗布及び乾燥させる工程
でも、製造することができる。
触媒担持炭素粒子(A)、水素イオン伝導性高分子電解質(B)、アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー(C)及び粘度調整用溶剤(D)は上述したものでよい。また、(A)〜(D)成分の割合も、上述したものと同程度とすることができる。
塗布される基材には、上述の電解質膜を用いる。電解質膜の膜厚は、上述のものと同程度とすればよい。
ペースト組成物を、電解質膜に塗布及び乾燥する際の塗布方法、乾燥温度は、上述の工程(I)と同様でよい。
<6−3.電極の製造方法>
本発明の固体高分子形燃料電池用電極は、例えば、
(III−1)上記方法により製造された触媒層転写フィルムとガス拡散基材とを、触媒層とガス拡散基材とが対面するように配置し、触媒層をガス拡散基材上に転写させる工程
により、製造することができる。
触媒層が転写されるガス拡散基材には、上述のガス拡散基材を用いる。ガス拡散基材は、上記撥水処理、平滑処理等を施したものを用いてもよい。
転写する際の条件は、工程(II−1)と同様とすればよい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極は、他にも、
(III−2)(A)触媒担持炭素粒子、
(B)水素イオン伝導性高分子電解質、
(C)アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー、及び
(D)粘度調整用溶剤
を含むペースト組成物であって、カーボンナノファイバーの含有量が、該ペースト組成物中の固形分に対して10重量%以下である触媒層形成用ペースト組成物をガス拡散基材に塗布及び乾燥させる工程
でも、製造することができる。
触媒担持炭素粒子(A)、水素イオン伝導性高分子電解質(B)、アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー(C)及び粘度調整用溶剤(D)は上述したものでよい。また、(A)〜(D)成分の割合も、上述したものと同程度とすることができる。
塗布される基材には、上述のガス拡散基材を用いる。ガス拡散基材は、上記撥水処理、平滑処理等を施したものを用いてもよい。
ペースト組成物を、ガス拡散基材に塗布及び乾燥する際の塗布方法、乾燥温度は、上述の工程(I)と同様でよい。
<6−4.電極−電解質膜接合体の製造方法>
本発明の固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体は、例えば、
(IV−1)ガス拡散基材を、上記方法により製造された電解質膜−触媒層接合体の片面又は両面に、触媒層とガス拡散基材とが対面するように配置し、熱プレスする工程
により、製造することができる。
電解質膜−触媒層接合体と熱プレスするガス拡散基材には、上述のガス拡散基材を用いる。ガス拡散基材は、上記撥水処理、平滑処理等を施したものを用いてもよい。
熱プレスする際の加圧レベルは、通常0.1〜100MPa程度、好ましくは5〜15MPa程度がよい。また、この際の加熱温度は、通常120〜150℃程度でよい。
本発明の固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体は、他にも、
(IV−2)上記方法により製造された電極を、電解質膜の片面又は両面に、電解質膜と触媒層が対面するように配置し、熱プレスする工程
でも、製造することができる。
電極と熱プレスする電解質膜には、上述の電解質膜を用いる。電解質膜の膜厚は、上述のものと同程度とすればよい。
熱プレスする際の条件は、上記の工程(IV−1)と同様とすればよい。
本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層は、特定のアスペクト比、平均繊維径および平均繊維長を有するカーボンナノファイバーを含有しており、触媒層製造時のクラックの発生を抑制できるため、クラックを実質的に有していない。
また、ごく少量のカーボンナノファイバーの添加量で、クラックの発生を抑制できるため、第三成分(炭素材料)による悪影響(体積抵抗率の向上、コストアップ、転写性の悪化等)を大幅に軽減できる。
この本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層を用いた本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルム、固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体、固体高分子形燃料電池用電極及び固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体も、同様の効果を有する。
本発明の製造方法によれば、触媒層製造においてクラックの発生を抑制することができる。
また、クラックの発生が抑制されているため、歩留りに優れている。
さらに、本発明の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムは、特定の成分を含むペースト組成物を転写基材に塗布及び乾燥させることで得られ、複雑な工程及び煩雑な装置を必要としない。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
実施例1
以下の成分を分散機にて攪拌混合することにより、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:5.0重量%)。
・白金触媒担持炭素粒子(Pt:27.8重量%、田中貴金属工業(株)製、TEC61E54)10g
・イオン伝導性高分子電解質(Nafion)5重量%溶液(デュポン社製、DE520)120g
・蒸留水30g
・イソプロパノール50g
・t−ブタノール50g
・カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85g
調製したペースト組成物を、転写基材であるPETフィルム(東レ(株)製、商品名「ルミラーS−10」)にアプリケーターで塗布し、80℃の乾燥炉(大気雰囲気)に当該フィルムを通過させることにより、転写基材上に、実施例1の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。なお、触媒層は、Pt量が3.0g/mとなるように塗布した。
実施例2
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約9.75μm、アスペクト比65)1.77gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:10.0重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、実施例2の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
実施例3
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約14.25μm、アスペクト比95)0.5gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:3.0重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、実施例3の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
比較例1
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約9μm、アスペクト比60)2gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:11.1重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、比較例1の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
比較例2
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約15μm、アスペクト比100)2gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:11.1重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、比較例2の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
比較例3
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約9μm、アスペクト比60)4gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:20.0重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、比較例3の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
比較例4
実施例1において、カーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約11.25μm、アスペクト比75)0.85gをカーボンナノファイバー(平均繊維径約150nm、平均繊維長約3μm、アスペクト比20)0.85gとした以外は実施例1と同様にして、触媒層形成用ペースト組成物を調製した(触媒層中のカーボンナノファイバーの含有量:5.0重量%)。この調製した触媒層形成用ペースト組成物を実施例1と同様にして、転写基材(PETフィルム)上に塗布及び乾燥させることにより、転写基材上に、比較例4の固体高分子形燃料電池用触媒層を製造(固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを製造)した。
試験例1(粒度分布)
イソプロパノール(IPA)を溶媒とし、粒度分布計((株)堀場製作所製のHORIBA LA910)を用いて、実施例1の固体高分子形燃料電池用触媒層における白金触媒担持炭素粒子、イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーの混合物の粒度分布を測定した。
粒度分布測定の結果を図1に示す。
図1は、実施例1の固体高分子形燃料電池用触媒層中の白金触媒担持炭素粒子、イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーの混合物の粒度分布を示すグラフである。図1より、実施例1では、混合物の粒度分布の最大ピークが0.1〜1μmの範囲内にあることがわかる。
試験例2(クラック評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムに対して、転写基材上に作製した固体高分子形燃料電池用触媒層の表面観察を行った。評価は、クラックの有無の目視観察を行い、以下のように評価した。
○:クラックなし
×:クラックあり
試験例3(転写率)
実施例1〜3及び比較例1〜4で作製した固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを5cm×5cmの大きさに2枚断裁した後、当該固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルム2枚を、7.5cm×7.5cmの大きさに断裁した電解質膜(Nafion)に狭持した。その後、150℃に加熱されたプレス機で、圧力50kgf/cm下で両側からプレスを行い、転写基材(PETフィルム2枚)を剥がすことにより転写を行い、固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体(触媒層/電解質膜/触媒層)を作製した。
評価は、触媒層の転写率により行い、転写率は、(電解質膜に転写した触媒層重量)/(転写試験前の触媒層転写フィルム上の触媒層重量)×100で求めた。そして、以下のように評価した。
○:転写率が90%以上
△:転写率が80%以上、90%未満
×:転写率が80%未満
試験例4(歩留り)
実施例1〜3及び比較例1〜4の固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルムを用いて電解質膜−触媒層接合体を作製した。
評価は歩留りより行い、歩留りは、(欠落のない電解質膜−触媒層接合体(良品))/(作製した全ての電解質膜−触媒層接合体)×100で求めた。そして、以下のように評価した。
○:歩留り80%以上
×:歩留り80%未満
結果を表1に示す。
Figure 2009211869
表1から明らかなように、特定のカーボンナノファイバーを少量含有する実施例1〜3では、クラックの発生を抑制し、転写性及び歩留りをともに向上させることができた。
実施例1の固体高分子形燃料電池用触媒層中の白金触媒担持炭素粒子、イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーの混合物の粒度分布を示すグラフである。

Claims (7)

  1. (1)触媒担持炭素粒子、水素イオン伝導性高分子電解質及びカーボンナノファイバーを含有し、
    (2)該カーボンナノファイバーは、アスペクト比が60〜95、平均繊維経が100〜500nm、平均繊維長が2〜20μmであり、
    (3)該カーボンナノファイバーの含有量が、触媒層中10重量%以下である
    固体高分子形燃料電池用触媒層。
  2. 実質的にクラックを有しない請求項1に記載の触媒層。
  3. 請求項1又は2に記載の触媒層が、転写基材上に積層されてなる固体高分子形燃料電池用触媒層転写フィルム。
  4. 請求項1又は2に記載の触媒層が、電解質膜の片面又は両面に積層されてなる固体高分子形燃料電池用電解質膜−触媒層接合体。
  5. ガス拡散基材が、請求項4に記載の電解質膜−触媒層接合体の片面又は両面に、触媒層とガス拡散基材が接するように積層されてなる固体高分子形燃料電池用電極−電解質膜接合体。
  6. 請求項1又は2に記載の触媒層が、ガス拡散基材上に積層されてなる固体高分子形燃料電池用電極。
  7. (I)(A)触媒担持炭素粒子、
    (B)水素イオン伝導性高分子電解質、
    (C)アスペクト比が60〜95、平均繊維径が100〜500nmで且つ平均繊維長が2〜20μmであるカーボンナノファイバー、及び
    (D)粘度調整用溶剤
    を含むペースト組成物であって、カーボンナノファイバーの含有量が、該ペースト組成物中の固形分に対して10重量%以下である触媒層形成用ペースト組成物を転写基材に塗布及び乾燥させる工程
    を備えた、触媒層転写フィルムの製造方法。
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