JP5470792B2 - 触媒層転写フィルム、並びにそれを用いて得られる触媒層−電解質膜積層体及び膜−電極接合体 - Google Patents
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Description
さらに、前記触媒層の前記基材フィルムとは反対側に、プロトン伝導性樹脂を含む、触媒層を裁断する工程、前記触媒層転写フィルムを運搬する際、及び前記触媒層転写フィルムを保管する際の少なくとも1つにおいて触媒層の欠落を防止するために使用されるカバー層が形成されてなる、
触媒層転写フィルム。
項2.前記カバー層の厚さが、0.03〜9μmである、項1に記載の触媒層転写フィルム。
項3.前記カバー層が、さらに炭素繊維を含む、項1又は2に記載の触媒層転写フィルム。
項4.項1〜3のいずれかに記載の触媒層転写フィルムを、電解質膜の片面又は両面に転写することにより得られる、触媒層−電解質膜積層体。
項5.電極基材が、項4に記載の触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、触媒層と電極基材とが接するように積層されてなる、膜−電極接合体。
項6.項5に記載の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池。
本発明の触媒層転写フィルムは、基材フィルムの片面上に触媒層が形成され、さらに、前記触媒層の前記基材フィルムとは反対側に、プロトン伝導性樹脂を含むカバー層が形成されてなるものである。その断面図の一例を図1に示す。
本発明で使用する基材フィルムは、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の高分子フィルムを挙げることができる。また、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性フッ素樹脂を用いることもできる。これらのなかでも、安価で入手が容易な高分子フィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート等がより好ましい。
本発明の触媒層転写フィルムにおいて、触媒層は、基材フィルムの片面上に形成されるものである。
本発明の触媒層転写フィルムにおいて、カバー層は、触媒層の基材フィルムとは反対側に形成されるものである。
本発明の触媒層転写フィルムは、基材フィルムの片面上に触媒層を形成し、次いで、触媒層の基材フィルムとは反対側に、カバー層を形成して得られる。
基材フィルム上に触媒層を形成させるに当たっては、触媒粒子を担持させた炭素粒子及び水素イオン伝導性高分子電解質を適当な溶剤に混合、分散してペースト状にしておき、形成される触媒層が所望の膜厚になるように、このペーストを公知の方法に従い基材フィルム上に塗布するのがよい。
触媒層上にカバー層を形成させるに当たっては、プロトン伝導性樹脂溶液を用いて、形成されるカバー層が所望の膜厚となるように、この溶液を公知の方法に従い触媒層の上に塗布するのがよい。
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、本発明の触媒層転写フィルムを転写することにより、電解質膜の片面又は両面に、カバー層付き触媒層が形成されたものである。その断面図の一例を図3に示す。
本発明の触媒層−電解質膜積層体は、例えば、本発明の触媒層転写フィルムと電解質膜とを、カバー層付き触媒層と電解質膜とが対面するように配置し、加圧してカバー層付き触媒層を電解質膜に転写した後、触媒層転写フィルム中の基材フィルムを剥離することにより製造することができる。なお、この操作を2回繰り返せば、電解質膜の両面にカバー層付き触媒層が積層された触媒層−電解質膜積層体を製造することができるが、作業性等を考慮すると、カバー層付き触媒層を電解質膜の両面に同時に積層するのがよい。
本発明の膜−電極接合体は、電極基材が、触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、触媒層と電極基材とが接するように積層されたものである。
本発明の膜−電極接合体は、例えば、電極基材を、本発明の触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、触媒層と電極基材とが対面するように配置し、熱プレスすることにより、製造することができる。
前記膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータを設けることにより、本発明の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池を得ることができる。
白金担持カーボン(Pt:50wt%、田中貴金属工業(株)製「TEC10E50」)10重量部及び5重量%の電解質溶液(ナフィオン、デュポン社製「DE−520」)100重量部を、イソプロピルアルコール100重量部及びプロピレングリコール2重量部に加え、混合及び分散を行い、触媒層形成用ペースト組成物を調製した。
20重量%の電解質溶液(ナフィオン、デュポン社製「DE−2020」)を、製造例1で製造した触媒層転写フィルムの触媒層の基材フィルムとは反対側に、ブレードコーターで、乾燥後の厚さが8μmとなるように塗布し、85℃で乾燥させ、本発明のカバー層付き触媒層転写フィルムを製造した。
5重量%の電解質溶液(ナフィオン、デュポン社製「DE−520」)を、製造例1で製造した触媒層転写フィルムの触媒層の基材フィルムとは反対側に、スプレーで、乾燥後の厚さが0.05μmとなるように塗布し、85℃で乾燥させ、本発明のカバー層付き触媒層転写フィルムを製造した。
製造例1で製造したカバー層のない触媒層転写フィルムを、比較例1の触媒層転写フィルムとした。
20重量%の電解質溶液(ナフィオン、デュポン社製「DE−2020」)20重量部と炭素繊維(昭和電工(株)製「VGCF」)1重量部を混合したペーストを、製造例1で製造した触媒層転写フィルムの触媒層の基材フィルムとは反対側に、ブレードコーターで、乾燥後の厚さが8μmとなるように塗布し、85℃で乾燥させ、本発明のカバー層付き触媒層転写フィルムを製造した。なお、実施例3におけるカバー層中のプロトン伝導性樹脂の含有率は80重量%である。
実施例1〜3及び比較例1で製造した触媒層転写フィルムを50mm×50mmのサイズに裁断することをそれぞれ10セット行い、そのときの触媒層端部の欠落を、目視で以下のように評価した。
×:欠落あり
<試験例2:保管時での触媒層欠落の有無>
実施例1〜3及び比較例1で製造した触媒層転写フィルムを50mm×50mmのサイズに裁断し、保形板(PET、サイズ60mm×60mm×1mm)に10枚重ねて、ナイロン製の袋内寸100mm×100mmの中に出し入れを10回繰り返し、触媒層転写フィルム上の傷の有無等を確認した。
×:欠落あり
実施例1〜3及び比較例1で製造した触媒層転写フィルムを50mm×50mmのサイズに裁断し、保形板(PET、サイズ60mm×60mm×1mm)に10枚重ねて、5秒間脱気を行い、入り口をヒートシールして密閉した。このように梱包された触媒層転写フィルムについて、高さ60cmから10回落下させ、さらに、振盪器にて振動範囲:5〜100Hz(対数掃引)/振動加速度:±0.75G/振動方向:X軸、Y軸、Z軸の3方向(各10分)振動させた。その際の触媒層の欠落の有無を以下のように評価した。
×:欠落あり
実施例1〜3及び比較例1で製造した触媒層転写フィルムを50mm×50mmのサイズに裁断し、各々の触媒層転写フィルムを用いて触媒層−電解質膜積層体を製造した。この際、空気極には白金担持カーボン(Pt:50wt%、田中貴金属工業(株)製「TEC10E10」)を用いた。この時の白金の担持量が約0.5mg/cm2になるように調整した。電解質膜にはデュポン社製のナフィオン212CSを用いた。この触媒層−電解質膜積層体の両面にガス拡散層(SGL34BC、SGLカーボン社製)を接合して、JARI標準セルにセル組みした。このセルに80℃で燃料極側に加湿水素を供給し、空気極側に加湿空気を供給した。加湿水素及び加湿空気は加えた電流に対して燃料極は燃料利用率が70%に、空気極は燃料利用率が40%になるように供給し、電池評価を行った。評価はこのセルに電流を変えた時の電圧変化から行った。結果は以下のように評価した。
×:電流密度0.8A/cm2の時の電圧値が、比較例1の電圧値の90%未満の場合
上記の評価結果を表1に示す。
2 触媒層
3 基材フィルム
4 電解質膜
Claims (6)
- 基材フィルムの片面上に触媒層が形成され、
さらに、前記触媒層の前記基材フィルムとは反対側に、プロトン伝導性樹脂を含む、触媒層を裁断する工程、前記触媒層転写フィルムを運搬する際、及び前記触媒層転写フィルムを保管する際の少なくとも1つにおいて触媒層の欠落を防止するために使用されるカバー層が形成されてなる、
触媒層転写フィルム。 - 前記カバー層の厚さが、0.03〜9μmである、請求項1に記載の触媒層転写フィルム。
- 前記カバー層が、さらに炭素繊維を含む、請求項1又は2に記載の触媒層転写フィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の触媒層転写フィルムを、電解質膜の片面又は両面に転写することにより得られる、触媒層−電解質膜積層体。
- ・ 電極基材が、請求項4に記載の触媒層−電解質膜積層体の片面又は両面に、触媒層と電極基材とが接するように積層されてなる、膜−電極接合体。
- 請求項5に記載の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池。
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