JP2009209510A - 花粉除去紙およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】窓、網戸、障子等の住宅の開口部に貼る花粉除去シートとして、通気性および採光性を損なうことなく耐久性を向上させ、かつ、花粉を確実に除去できる花粉除去紙を提供すること。
【解決手段】紙材の原料として、疎水性および感熱収縮性の合成繊維(PET繊維)とアパタイトを付着させた天然繊維(パルプ繊維)とバインダーとを混合し、機械漉きにより製紙することにより、アパタイト2を天然繊維1の表面に付着させた花粉除去紙とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、網戸や障子紙などに貼り付けて花粉の室内侵入を防止する花粉除去紙およびその製造方法に関する。
近年、とくに都市部においてスギ花粉やヒノキ花粉を原因とする花粉症患者が増加している。
花粉症患者を抱える家庭においては、スギ花粉やヒノキ花粉が舞う2月から5月頃にかけては、住宅の窓を開けることができず換気ができない。
このため、窓、網戸、障子等の住宅の開口部に、織布あるいは不織布からなるシート状のフィルター(スクリーンフィルター)を貼ることにより、スギ花粉等の微粒子の侵入を阻止する手段が採られるようになった(特許文献1〜3参照)。
しかし、従来のスクリーンフィルターにおいては、とくにフィルターを構成するシート材として不織布を採用した場合、例えば網戸に貼って使用すると、雨、風、紫外線等に繰り返しもしくは長期間曝されることにより、破れやたるみが発生し、加えて花粉などの微粒子がシート内部に係留保持されるため、その本来の性能を長期間維持することができず、耐久性の面で問題がある。耐久性を向上させるためにシート材を厚くしたり、複数枚積層したりすると、窓、網戸、障子等の住宅の開口部に本来求められる通気性および採光性が損なわれる。
実開平6−37486号公報 特開2001−311372号公報 特開2004−324241号公報
本発明は、窓、網戸、障子等の住宅の開口部に貼る花粉除去シートとして、通気性および採光性を損なうことなく耐久性を向上させ、かつ、花粉を確実に除去できる花粉除去紙およびその製造方法を提供する。
本発明は、窓、網戸、障子等の住宅の開口部に貼る花粉除去シートとして、必要な通気性、採光性および耐久性を確保するために、シート材として「紙」を使用することを前提とし、さらにその耐久性を向上させるために、紙材を構成する繊維として疎水性および感熱収縮性の合成繊維を使用して、家庭用アイロンやヘアドライヤーなどによる外部からの熱によって収縮する熱収縮性を付加したものである。
このように、紙材を構成する繊維として疎水性および感熱収縮性の合成繊維を使用することで、雨等により水に濡れても、その疎水性のため繊維が膨潤することはなく、紙の展張状態にも緩みが生じにくいので耐久性が向上する。また、紙の展張状態に緩みが生じたとしても、紙材の繊維が感熱収縮性であるので、アイロンやヘアドライヤーなどで紙の表面を加熱することにより、繊維が収縮して美麗に展張するようになり、花粉除去紙としての耐久性が向上する。
花粉除去性能については、紙自体が持つ繊維の配列構造によるフィルター効果によって、必要最低限度の性能を得ることができるが、さらに花粉除去性能を向上させるためには、紙材を構成する繊維の表面にアパタイトを付着させる。
紙材を構成する繊維の表面にアパタイトを付着させると、後述するように、アパタイトは、繊維の表面に多数の凹凸を形成して付着する。本発明者の研究によると、このアパタイトによる多数の凹凸によって花粉の通過が阻止され、花粉をより確実に除去できることがわかった。言い換えれば、アパタイトによる多数の凹凸が、粒径10〜50μm程度の花粉の通過を阻止するのに、丁度良い形態であることがわかった。
そして、このアパタイトによる多数の凹凸は、紙としての通気性および採光性にはほとんど影響を及ぼさず、また、疎水性および感熱収縮性の合成繊維を使用して耐久性も維持できる。
本発明によれば、紙の持つ本来の通気性および採光性を確保しつつ、花粉除去紙としての耐久性を向上させることができることから、窓、網戸、障子等の住宅の開口部用として適用することで、より優れた生活環境が実現できる。
本発明の花粉除去紙において紙材を構成する繊維にアパタイトを付着させる手順を模式的に示す断面図である。 本発明の花粉除去紙において紙材を構成する繊維にアパタイトを付着させる他の手順を模式的に示す断面図である。
本発明の花粉除去紙において紙材を構成する繊維としては、疎水性および感熱収縮性の合成繊維に加え、その他の一般的な合成繊維や天然繊維を使用することができるが、貼り付け時の施工性のために、さらにアパタイトは天然繊維に付着しやすいことから、少なくともその一部に天然繊維を使用することが好ましい。
天然繊維としては、こうぞ、三ツ又、がん皮、麻等の天然の靭皮繊維や、木材パルプ、コットンリンターパルプ等のパルプ繊維を使用できる。このうち、アパタイトとの親和性、加工性などの技術適性や価格や入手のパフォーマンスの点からパルプ繊維を使用することが好ましい。さらに、通常のパルプ離解機を使って離解した状態でも一部はフィブリル化するが、加えて叩解機を使って繊維の叩解度を調整することによって、繊維表面の凹凸化(フィブリル化)を促進させ、アパタイトの付着形状調整を行うこともできる。
図面を参照して説明すると、図1(a)に示すように叩解前の繊維1の表面は比較的滑らかであるが、叩解処理を施すことにより、図1(b)に示すように繊維表面がフィブリル化し、繊維1が枝分かれした突起1aが生成する。この突起1aを備えた繊維1の表面にアパタイト2を結晶化させ付着させることにより、図1(c)に示すように、突起1aの形状に沿った形でアパタイトによる多数の凹凸を生成することができる。また、図1(d)に示すようにアパタイト2をより多く付着させ突起1aの全体が埋没するような形とすることもできる。この場合でも、図1(d)のようにアパタイト2による凹凸は形成される。このようにアパタイト2の付着量を調整することにより、アパタイト2による凹凸の程度(アパタイトの付着形状)を調整することができるが、その程度は用途に応じて適宜決定することができる。
また、アパタイト2の付着による凹凸の程度は、繊維1の叩解度を調整することによっても調整することができる。すなわち、繊維1の叩解度を調整し、表面の突起1aの数や形状を調整することにより、アパタイトの付着量やそれによる凹凸の形態を調整することができる。
なお、図1では、繊維1を叩解することを前提としたが、図2に示すように叩解前の繊維1の表面にアパタイト2を結晶化させ付着させることもできる。これによってもアパタイトによる凹凸は生成するが、その凹凸の程度(アパタイトの付着形状)を調整する自由度を向上させる点からは、図1のように繊維1を叩解した後に、アパタイト2を結晶化させ付着させることが好ましい。
パルプ繊維にアパタイトを結晶化・付着させると、その表面は繊維状アパタイトになるため吸水度が実質的に0になり、施工後の水分による弛みの原因を排除できるが、アパタイトを使わない場合は吸水度を抑えるための疎水化剤の使用が好ましい。
吸水性の天然繊維を配合して、障子枠などに貼り付けた紙は、一般的には吸水すると繊維が膨潤して体積を増して面積が広くなるために結果として展張状態が緩んだ状態となり、乾燥すると吸水前の体積に戻る性質があるために結果として元の面積に戻って吸水前の展張状態に戻る。
天然繊維のみのアパタイト未使用の場合で疎水化剤の使用が少ない場合や、天然繊維へのアパタイトの付着が少ない場合も同様の傾向を示す。その対策として、疎水性の合成繊維の使用で面積の伸長の程度を縮小できることに加えて、天然繊維の配合によって、乾燥時の面積の収縮で貼付時の展張状態を温湿度の変化に合わせて、繰り返しリセットして維持することを可能にする。
紙は一般的に色が白く、障子紙としては視界を遮るために白さが必要であるが、網戸やレースのカーテンなどのように透けて見える(シースルー)ようにするには、紙の白さが視界の障害となる。適度の坪量で隙間の空いたフィルター状の紙で、紙の色をグレーにすれば、透けて見えやすくなり、閉塞感が和らぐ。吸水性のパルプ繊維であれば染色が容易である。
花粉除去紙の耐久性を向上させるための疎水性および感熱収縮性の合成繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)、酢酸ビニール等やそれらの誘導体等の単体又は複合の繊維を使用できる。
このように疎水性および感熱収縮性の合成繊維を使用すると、花粉除去紙として網戸等に貼り付けた際にゆるみが生じたとき、アイロンやヘアドライヤーなどで紙の表面を加熱すると繊維が収縮して紙が美麗に展張するようになる。さらに、雨が当り水に濡れても疎水性のため繊維が膨潤しないので紙の展張状態に緩みが出にくく、耐久性が向上する。
また、合成繊維としては、疎水性および感熱収縮性の合成繊維に加えて、主体繊維として、レーヨン、ビニロン、アクリルなどの繊維を使用でき、バインダー繊維として、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・酢酸ビニールコポリマー(EVA)、もしくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PE)やそれらの誘導体等の単体または複合の繊維などを使用できる。これらの繊維は、障子戸や網戸など使用場所に応じて適宜選択すればよい。
さらに、合成繊維の大きさおよび長さについては、繊維の直径は大きい方が強度は強くなるが空隙が大きく、かさ高になり花粉除去紙としては不適である。強度維持のための構造材としての繊維と、花粉を捕捉(キャッチ)するための空隙調整のための繊維とを混合して目的の強度と空隙を得ることができる。繊維の直径は、0.1〜3.3dtexが好ましい。繊維の長さは、長すぎると湿式抄紙時に結束しやすく、短すぎると強度が落ちやすいことから、1〜20mmが好ましい。より好ましくは3〜15mmである。
さらに、これらの合成繊維および天然繊維は、これらを原料として得られた紙材が、疎水性および感熱収縮性の合成繊維を50〜95質量%、好ましくは60〜90質量%含有し、残部が天然繊維やレーヨン等の化学繊維(セルロース繊維)やアパタイトを付着させた天然繊維となるように配合することが好ましい。合成繊維が50質量%未満では、強度が不足し、耐久性に問題が生じることがあるからである。耐久性と花粉除去性能をバランスさせるためには、合成繊維として疎水性および感熱収縮性の合成繊維を50〜95質量%、天然繊維、および/またはアパタイトを付着させた天然繊維を50〜5質量%含有するように配合することがより好ましい。
また、アパタイト自体の含有量でいえば、アパタイトを付着させた天然繊維に占める割合として1〜30質量%であることが好ましい。1〜6質量%がより好ましい。アパタイトの含有量が1質量%未満では、天然繊維表面全体を覆うことが困難となり、十分な花粉除去性能を発揮できない。一方、30質量%を超えると、紙の強度が低下するばかりではなく、繊維表面をフィブリル化して凹凸を設けた表面状態をアパタイトが積層し過ぎて、凹凸がなだらかになり、ひいてはカサ高な形状となり、花粉などを紙層内に保持しやすくなるため紙の汚れが早くなり不都合である。
本発明の花粉除去紙の坪量は、10〜60g/mが好ましい。より好ましくは、20〜40g/mである。10g/m未満では強度が不足し、60g/mを超えると通気性や採光性が悪くなる。網戸に貼る場合は、シースルー性が必要なため、10〜30g/mがより好ましい。
本発明の花粉除去紙によれば、上述のとおり、紙の持つ本来の通気性および採光性を確保しつつ、花粉除去紙としての耐久性を向上させることができ、さらにアパタイトの使用によって花粉除去性能を向上させることができる。
具体的な特性としては、耐久性を表す指標として、JIS P 8112により測定した破裂強さが78.45kPa以上となり、湿潤時も特性が落ちにくくなる。また、通気性を表す指標として、後述する表1の方法により測定した使用前の圧力損失が10mm以下(48L/min)となり、採光性を表す指標として、可視光線透過率と相関性のあるJIS P 8149の測定方法により測定した不透明度が20%〜50%の範囲となる。また、浸水伸度(%)は0.5%以下、好適な例では0.1〜0.2%以下となる。このことは、雨が降って紙が濡れたとき弛みやしわが発生しにくくなることを示す。さらに、花粉除去性能としては、後述するJIS9908に準じた測定方法により測定した花粉除去率(粒子捕獲率)が90%以上の特性を得ることができる。また吸水度が高いと紙は弛みやすくなるので、10mm以下が好ましい。5mm以下がより好ましい。本発明では、後で実施例に示すように、この吸水度のレベルを十分に達成できる。
このような本発明の花粉除去紙は、紙材の原料として少なくとも疎水性および感熱収縮性の合成繊維、必要に応じて他の合成繊維や天然繊維やセルロース繊維やアパタイトを付着させた天然繊維と、バインダーとを混合し、通常の機械漉きにより製紙することで製造することができる。また、必要に応じて製紙用の分散剤、凝集剤、紙力増強剤、染料、定着剤、疎水化剤等を使うこともできるが、その場合、なるべく加工後に疎水性になるものを選定することが好ましい。
なお、乾式不織布を製造する方法では、スパンレースやニードルパンチ式等が嵩高になり、繊維がZ軸方向にも配向することになるため、繊維を加熱しても厚さ方向に収縮が吸収されて面積の収縮への寄与が少なくなり、本発明の花粉除去紙のように美麗な展張ができず、不適である。
また、本発明において紙材の原料となるアパタイトを付着させた天然繊維は、天然繊維をカルシウムイオン溶液に投入、攪拌しながらpHを8以上にコントロールしつつ、リン酸イオンを滴下することにより、繊維表面にアパタイトを結晶化・付着させることで得ることができる。また、上述のとおり、繊維表面を叩解してフィブリル化した表面に同様の方法によりアパタイトを結晶化・付着させることで、さらに凹凸の多いアパタイト−天然繊維複合体を得ることができる。
なお、アパタイトを付着させた本発明の花粉除去紙は、通常どおり紙材の原料となる繊維とバインダーとを混合して製紙した後に、その紙をカルシウムイオン溶液に投入、攪拌しながらpHを8以上にコントロールしつつ、リン酸イオンを滴下することにより、繊維の表面にアパタイトを結晶化・付着させることによっても製造可能であるが、アパタイトは主に天然繊維に結晶化・付着するので、その製造性を考慮すると、紙材の原料としてアパタイトを付着させた天然繊維を使用する上述の製造方法を採用することが好ましい。
さらに本発明では、特開2001−032190号に記載の方法により、アパタイトに光触媒機能を付加して、花粉等の有機物の汚れを分解することも可能である。
網戸の外側に貼り付けて、屋内から屋外が透けて見える(シースルー)ようにするには紙の白さが視界の障害となる。適度の坪量の隙間の空いたフィルター状の紙で、紙の色をグレーにすれば、透けて見えるようになる。吸水性のパルプ繊維であれば染色が容易である。この場合、直接染料でも良いが、使用環境で直射日光も当たるので、耐光性の強い顔料タイプが好ましい。定着性を上げるため、定着剤を適宜使用する。
花粉除去紙の貼付については、雨が当たらず結露しない場所の障子などであれば、障子紙の代わりに花粉除去紙をそのまま通常の障子貼りの方法で、でんぷん糊で貼り付けることができる。結露する場所の障子枠や網戸の外側に貼るときは、網戸の外面(アルミ製、鉄製、木製その他を含む)の枠に両面テープを貼り、剥離紙を剥して花粉除去紙を貼り付ける。そのとき貼り付けた紙に弛みがある場合はヘアドライヤーなどで弛んだ面を加熱すると感熱収縮性の合成繊維を含む花粉除去紙は収縮して美麗に展張する。また網戸への装着は、網戸用のネットと重ねて通常のネットの装着方法で装着しても良い。ここで、もし花粉除去紙に弛みがあれば両面テープ貼りと同様に加熱して美麗に展張することができる。
表1に本発明の実施例と比較例を示す。
表1に示す実施例は、紙材の原料として、アパタイトを付着させたパルプ繊維(表1の実施例1では「アパタイトパルプ」と表記)またはパルプ繊維単体(表1の実施例2では「パルプ単体」と表記)を20質量%、PET繊維A(帝人ファイバー(株)製、製品名PETSC「テピルス」品番(TJ04CN SD 1.7dtt×5mm))を35質量%、PET繊維B(同品番TJ04NSD 1.7dtt×15mm)を40質量%、バインダーとしてPVAを5質量%配合し、さらにこの配合物に地合改善のために粘剤としてポリエチレンオキサイド(「アルコッス」(登録商標))を適宜添加し、これを通常の機械漉きにより製紙して得たものである。ここで、紙材の原料となるアパタイトを付着させたパルプ繊維は、パルプ繊維をカルシウムイオン溶液に投入、攪拌しながらpHを8以上にコントロールしつつ、リン酸イオンを滴下することにより、繊維表面にアパタイトを結晶化・付着させることによって得た。このとき、アパタイトの付着量は、アパタイトパルプに占める割合で28.3質量%であった。
実施例2では、花粉除去紙のシースルー性を高めて、閉塞感を和らげるために網戸と同様の色にするために、有機顔料(発売元、西邦化学産業のセイミックブラックB)2質量%とその定着剤としてFCBフィックスFPNコンク(御国色素株式会社製)1質量%を外掛けで使用した。
一方、比較例は、乾式不織布((株)ニトムズ製の「網戸用花粉フィルター」)であり、PET繊維をアクリルバインダーで接着したものである。
これらの実施例および比較例につき、坪量および厚さを測定するとともに、その特性として、白色度、不透明度、透過率、吸水度、破裂強さ、引張強さ、浸水伸度、粒子捕獲率および圧力損失を測定した。各特性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)白色度 :JIS P 8123に準じて測定した。
(2)不透明度:JIS P 8149に準じて測定した。
(3)透過率 :JIS L 1055の遮光性試験方法に準じて測定した。
(4)吸水度 :JIS P 8141に準じて測定した。
(5)破裂強さ:JIS P 8112に準じて測定した。
(6)引張強さ:JIS P 8113に準じて測定した。
(7)浸水伸度:JAPAN TAPPI No.27「紙および板紙の水中伸度試験方法」に準じて測定した。
(8)粒子捕獲率:JIS9908(「換気用エアフィルターユニット・換気用電気集じん器の試験方法」)に準じて測定した。試験方法は同規格「4.試験方法の種類」のうち形式3の質量法を用いた。試験器具は同規格の付図3に基づき製作した。捕獲率は粒子(粒径10〜50μm程度の黒鉛(伊藤黒鉛工業製、球状黒鉛 品番SG−BL30)の微細粉)の捕獲前後のフィルターユニット重量を比較することで求めた。
(9)圧力損失:粒子捕獲率測定時の試験設備(内径35.5mmの上向きの吸引口を持つ)を流速20L/minまたは48L/minに風量を調節して水柱の目盛を0に合わせた後に、紙を乗せて水柱の高さ(mm)を測定した。
表1に示すとおり、実施例、比較例ともに、粒子捕獲率は90%を超え、花粉除去性能は目標値を満足するが、比較例は、JISの厚さ計では測り始めは0.198mmと0.2mm近いが、加圧面間圧力が高いため0.118mmまで圧縮された。見かけの厚さ(シックネスゲージ)では0.2mmをオーバーしており、花粉が不織布内に保持されやすいため汚れやすい。
また、比較例では、水中伸度が、縦、横ともに目標値をオーバーしているために雨にぬれると大きく弛み皺が発生して美観を損ねる。これに対して、実施例では、水中伸度が目標値を満足し、吸水度も0および2mmと小さく目標値を満足しているので、雨にぬれても弛み皺が発生しにくい。さらに、実施例は、破裂強さおよび引張強さにおいても比較例より優れており、総合的に比較例よりも耐久性に優れると言える。
なお、実施例1のアパタイトパルプをパルプ繊維単体で置き換えた実施例2も、実施例1に比べ粒子捕獲率(1枚)が2〜3%程度劣るほかは、実施例1とほぼ同等の特性が得られた。ただし、実施例2は色をグレーに仕上げたために、表1に示すとおり、白色度で69.6%のダウン、不透明度で9%のアップ、可視光線の透過率で16%のダウンとなった。
次に、表1の実施例1,2で得られた紙(紙幅1m×長さ2m)を約A4サイズに折り畳んだり、巻紙にしたものを作り、約1m角のポリエステルの防虫網を張ったアルミ製の網戸を用意して、網戸の外枠の外面に両面テープで貼り付けた。巻紙の場合は、網戸を水平に置いて転がして貼り付けた。貼り上がりは綺麗に展張して良好であった。折り畳んだ紙の場合は、網戸を立てたまま貼り付けた。貼り上がりは折れ目が残ったが、アイロンを軽く当てると折り目は消えて綺麗に展張した。
比較例(ニトムズ製の「網戸用花粉フィルター」)においても実施例と同様の貼り方をした。その結果、折れ目が残ったのでアイロンを当ててみたが、折れ目は消えなかった。これは感熱収縮性のPET繊維を使っていても、不織布では繊維がZ軸方向に配向しているため、繊維の収縮が面積の収縮に寄与しないためと考えられる。
これらの実施例および比較例を貼り付けた網戸を複数準備し、南側の軒下に3か月間置いて耐候試験をした。実施例ではいずれも、雨の日は多少緩むが、晴れて乾燥すると紙はピンと美麗に展張した。これに対して比較例では、雨を吸い込んだ重さでだらりと垂れ下がったような皺が発生して、乾燥後もその皺は薄くはなったが消えずに残って見苦しかった。
Figure 2009209510
本発明は、スギ花粉を始めとしてヒノキ花粉等の各種花粉の除去に利用できるほか、花粉除去と併せて黄砂等の空気中を浮遊する各種微粒子の除去にも利用できる。
1 繊維
1a フィブリル化して繊維が枝分かれした突起
2 アパタイト

Claims (14)

  1. 紙材を構成する繊維として、疎水性および感熱収縮性の合成繊維を含有し、外部からの加熱によって収縮する熱収縮性を備えた花粉除去紙。
  2. 前記合成繊維の直径が0.1〜3.3dtex、長さが1〜20mmである請求項1に記載の花粉除去紙。
  3. 紙材を構成する繊維として、吸水時の面積の伸びを抑制する疎水性および感熱収縮性の合成繊維のほかに、乾燥時の面積の収縮で貼付時の展張状態を温湿度の変化に合わせて、繰り返しリセットして維持することを可能にする天然繊維を含有する請求項1または請求項2に記載の花粉除去紙。
  4. 紙材を構成する繊維の表面にアパタイトを結晶化させ付着させた請求項1から請求項3のいずれかに記載の花粉除去紙。
  5. 天然繊維の表面にアパタイトを結晶化させ付着させた請求項4に記載の花粉除去紙。
  6. アパタイトの付着量が、天然繊維の1〜30質量%である請求項5に記載の花粉除去紙。
  7. 紙材が合成繊維を50〜95質量%、天然繊維および/またはアパタイトを結晶化させ付着させた天然繊維を50〜5質量%含有する請求項3から請求項6のいずれかに記載の花粉除去紙。
  8. 天然繊維がパルプ繊維である請求項3から請求項7のいずれかに記載の花粉除去紙。
  9. 合成繊維がPET繊維である請求項1から請求項8のいずれかに記載の花粉除去紙。
  10. 紙材の原料として、少なくとも合成繊維とアパタイトを結晶化させ付着させた天然繊維とバインダーとを混合し、機械漉きにより製紙する花粉除去紙の製造方法。
  11. 天然繊維を叩解処理し、フィブリル化した繊維表面にアパタイトを結晶化させることにより、アパタイトを結晶化させ付着させた天然繊維を得る請求項10に記載の花粉除去紙の製造方法。
  12. 紙材の原料として、合成繊維を50〜95質量%、天然繊維および/またはアパタイトを付着させた天然繊維を50〜5質量%配合する請求項10または請求項11に記載の花粉除去紙の製造方法。
  13. 天然繊維としてパルプ繊維を使用する請求項10から請求項12のいずれかに記載の花粉除去紙の製造方法。
  14. 合成繊維としてPET繊維を使用する請求項10から請求項13のいずれかに記載の花粉除去紙の製造方法。
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