JP2003082528A - 熱融着性複合繊維及びこれを用いた繊維成形体、繊維製品 - Google Patents

熱融着性複合繊維及びこれを用いた繊維成形体、繊維製品

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JP2003082528A
JP2003082528A JP2001268530A JP2001268530A JP2003082528A JP 2003082528 A JP2003082528 A JP 2003082528A JP 2001268530 A JP2001268530 A JP 2001268530A JP 2001268530 A JP2001268530 A JP 2001268530A JP 2003082528 A JP2003082528 A JP 2003082528A
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】第1成分と第2成分の界面剥離を抑制した熱融
着性複合繊維、該熱融着性複合繊維を用いて、高い引張
強度を持ち、かつ風合いに優れる繊維成形体、及び繊維
製品を提供すること。 【解決手段】第1成分と第2成分とからなる複合繊維で
あって、該複合繊維の表面の少なくとも一部はその繊維
長さ方向に連続して該第2成分で形成されており、第1
成分がポリプロピレン樹脂であり、第2成分がテルペン
樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及
び芳香族変性テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種
を1〜20重量%含有するポリエチレン樹脂であること
を特徴とする熱融着性複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱融着性複合繊維
及びこれを用いた繊維成形体、繊維製品に関する。さら
に詳しくは紙オムツ、生理用品などの衛生材料分野、バ
ッテリーセパレーター、フィルターなどの産業資材分野
に好適に用いることのできる熱融着性複合繊維及びこれ
を用いた繊維成形体、繊維製品に関する。
【0002】
【従来の技術】紙オムツや生理用品等の表面材には目付
約10〜45g/m2の低目付の不織布が使用されてい
る。また、不織布の用途の多用化に伴い不織布に要求さ
れる性能も高度化し、出来るだけ少ない不織布目付で高
い不織布の引張強度を維持し、且つ嵩高で風合いがソフ
トなものが要求されている。このような要求を満たすた
めには、細繊度の熱融着性複合繊維で不織布を構成する
こと、熱融着性複合繊維の熱融着に寄与する低融点成分
が柔軟であること等が必要条件とされている。特開昭6
3−92722号公報には、第1成分にポリエステル、
第2成分に剛性の低い直鎖状低密度ポリエチレンを用い
た細繊度の熱融着性複合繊維及びその複合繊維からなる
熱融着不織布が開示されているが、第1成分と第2成分
の親和性が低い為に、応力がかかると界面剥離が発生
し、その結果、高い不織布の引張強度が得られず上記要
求を満足しない。
【0003】また、ニッケル水素蓄電池に使用されるセ
パレーターには、耐薬品性の観点から親水化されたオレ
フィン系熱融着性複合繊維を使用した不織布が用いられ
ている。これらの不織布には電池の高性能化に伴い、電
極に緻密に巻付ける為の薄肉化及び高い引張強度が必要
である。これまでの熱融着性複合繊維を使用した不織布
では、ある程度の強度は得られるものの、不織布に対し
て高い引張応力を与えると熱融着性複合繊維の第1成分
と第2成分の親和性が低いことにより界面剥離が発生
し、これが原因で不織布の引張強度が低下するという問
題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第1
成分と第2成分の界面剥離を抑制した熱融着性複合繊
維、該熱融着性複合繊維を用いて、高い引張強度を持
ち、かつ風合いに優れる繊維成形体、及び繊維製品を提
供することにある。
【0005】本発明者らは、前記目的を達成するため
に、鋭意検討を重ねた。その結果、第1成分と第2成分
とからなり、その表面の少なくとも一部はその繊維長さ
方向に連続して該第2成分で形成されており、第1成分
がポリプロピレン樹脂であり、第2成分がテルペン樹
脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び
芳香族変性テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種を
1〜20重量%含有するポリエチレン樹脂である熱融着
性複合繊維を用いると風合いに優れ、高い引張強度を有
する繊維成形体、繊維製品が得られることを見出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために以下の構成を有する。 (1)第1成分と第2成分とからなる複合繊維であっ
て、該複合繊維の表面の少なくとも一部はその繊維長さ
方向に連続して該第2成分で形成されており、第1成分
がポリプロピレン樹脂であり、第2成分がテルペン樹
脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び
芳香族変性テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種を
1〜20重量%含有するポリエチレン樹脂であることを
特徴とする熱融着性複合繊維。 (2)熱融着性複合繊維の熱収縮率(110℃×30分
間)が15%以下である前記(1)項記載の熱融着性複
合繊維。 (3)前記(1)項または前記(2)項記載の熱融着性
複合繊維を用いた繊維成形体。 (4)繊維成形体の引張強度が目付30g/m2換算で
20N/2.5cm以上である前記(3)項記載の繊維
成形体。 (5)繊維成形体の剥離係数が0.25〜0.90であ
る前記(3)項または前記(4)項記載の繊維成形体。 (6)前記(1)項または前記(2)項記載の熱融着性
複合繊維を用いた繊維製品。 (7)前記(3)〜(5)項のいずれか1項記載の繊維
成形体を用いた繊維製品。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱融着性複合繊維は、第1成分と第2成分から
なる複合繊維であって、第1成分がポリプロピレン樹脂
であり、第2成分がテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、
テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂から
選ばれる少なくとも1種をを1〜20重量%含有するポ
リエチレン樹脂であり、該複合繊維の表面の少なくとも
一部はその繊維長さ方向に連続して該第2成分で形成さ
れている。なお、第2成分が第1成分の表面の一部を覆
い、かつ第2成分が繊維表面の少なくとも一部を繊維長
さ方向に連続して形成する並列型または鞘芯型複合繊維
が熱融着性の点から好ましい。
【0008】本発明に好適に使用できるポリプロピレン
樹脂及びポリエチレン樹脂のメルトフローレート(以
下、MFRと略す)は、紡糸可能な範囲であれば特に限
定されることはないが、1〜100g/10分が好まし
く、より好ましくは、5〜70g/10分である。
【0009】また、本発明の熱融着性複合繊維に好適に
使用される第1成分のポリプロピレン樹脂と第2成分の
ポリエチレン樹脂の組み合わせにあっては、該ポリプロ
ピレン樹脂が高融点樹脂となる。
【0010】本発明の熱融着性複合繊維に好適に用いら
れる第1成分のポリプロピレン樹脂としては、プロピレ
ン単独重合体、プロピレンを主成分とし(70重量%以
上含有)、それと少量のエチレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1、ペンテン−1、オクテン−1、4−メチルペン
テン−1、3−メチル−1−ブテン等のαオレフィンと
の結晶性のプロピレン系共重合体が例示できる。プロピ
レン系共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合
体等のプロピレン系二元共重合体、エチレン−プロピレ
ン−ブテン共重合体等のプロピレン系三元共重合体が利
用できる。これらのポリプロピレン樹脂は、チーグラー
ナッタ触媒、メタロセン触媒等で重合されたシンジオタ
クチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピ
レンが具体的に例示できる。高融点樹脂である該ポリプ
ロピレン樹脂のMFRは紡糸可能な範囲であれば特に限
定されることはなく、紡糸条件等の変更で繊維成形後の
MFRは10〜100g/10分であれば特に問題はな
い。繊維成形後のMFRは、より好ましくは、10〜7
0g/10分である。繊維成形後のMFRが10g/1
0分未満もしくは繊維成形後のMFRが100g/10
分を超えるとフィラメントを紡糸する場合、曳糸性が悪
くなる場合がある。
【0011】一方、ポリエチレン樹脂は、前記ポリプロ
ピレン樹脂の融点より低い低融点樹脂であって、本発明
の熱融着性複合繊維に好適に用いられる第2成分のポリ
エチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDP
E)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密
度ポリエチレン(LDPE)が具体的に例示でき、なか
でも高密度ポリエチレン樹脂が好ましい。また、これら
の2種以上の混合物であってもよい。原料としてのポリ
エチレン樹脂のMFRは溶融紡糸可能な範囲であればよ
く、紡糸条件等の変更で、繊維成形後のMFRが10〜
100g/10分であれば特に問題はない。繊維成形後
のMFRは、より好ましくは、10〜70g/10分で
ある。繊維成形後のMFRが10g/10分未満もしく
は繊維成形後のMFRが100g/10分を超えるとフ
ィラメントを紡糸する場合、曳糸性が悪くなる場合があ
る。
【0012】本発明の第2成分に使用されるテルペン樹
脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香
族変性テルペン樹脂は、天然植物油(松、オレンジの皮
など)から得られるテルペン油を原料とした非晶性の低
分子量樹脂である。一般に室温で固体であるが溶融時は
低分子量であるため溶融粘度が非常に低く、プラスチッ
ク関係での利用、特に熱可塑性高分子材料の改質剤とし
て使用できる。また、天然系の樹脂であることから環境
に優しく安全であり、かつ衛生性が高いという側面を持
つ。これらは、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂
に代表されるポリオレフィン系樹脂との相溶化性に優
れ、その非晶部に可塑化効果をもたらす。よってポリオ
レフィン系熱融着性複合繊維の第2成分側に添加する
と、第1成分と第2成分の界面部分の接着性を向上さ
せ、第1成分と第2成分の界面剥離を低減させることが
できる。なお、より界面部分の接着性を向上させるため
に、これらの樹脂を第1成分側のポリプロピレン樹脂に
添加してもよい。このとき、第1成分が複合繊維の芯成
分に用いられる場合には、紡糸時に糸切れ等による曳糸
性の低下が生じない範囲内で第1成分にテルペン樹脂、
水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び芳香
族変性テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種を添加
することが好ましく、目的とする繊度にもよるが6重量
%未満の添加量がよい。
【0013】テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペ
ンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂の第2成分
への混合率は、第2成分の重量に対して1〜20重量%
の範囲であることが必要であり、好ましくは3〜15重
量%、より好ましくは5〜10重量%である。混合率が
1重量%未満となる第2成分を用いた熱融着性複合繊維
からなる繊維成形体は、衛生材料、バッテリーセパレー
ターやフィルター等に用いたとき、目標とする強度が得
られず、また混合率が20重量%を超える第2成分を用
いた熱融着性複合繊維からなる繊維成形体は、その繊維
成形体製造過程にて繊維同士の融着が発生し、これが地
合ムラ等の品質の低下を招き、良好な風合いが得られな
い。
【0014】本発明に使用される第1成分のポリプロプ
ピレン樹脂及び第2成分のポリエチレン樹脂には、本発
明の効果を妨げない範囲内でさらに、酸化防止剤、光安
定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定
剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑
剤、親水剤などの添加剤を適宜添加してもよい。
【0015】本発明に係わる熱融着性複合繊維の繊維断
面は、第2成分が繊維表面の少なくとも一部を繊維長さ
方向に連続して形成していればいかなる断面形状でもよ
い。例えば同心型、偏心型、並列型、両成分が放射状に
交互に配列された放射型等を挙げることができるが、な
かでも同心型、並列型が好ましい。
【0016】本発明に係わる熱融着性複合繊維の第1成
分と第2成分の容量比は、紡糸可能な範囲であれば特に
規定されないが、なかでも30対70から70対30の
範囲が好ましく、最も好ましくは50対50の容量比で
ある。
【0017】熱融着性複合繊維の単糸繊度は、特に限定
されることはなく、使用する目的に応じて適宣選択でき
るが、良好な風合いを要求される用途では0.1〜10
デシテックスであることが好ましく、より好ましくは、
0.5〜6デシテックスである。単糸繊度が0.1デシ
テックス未満であると溶融紡糸工程で曳糸性が低下する
傾向にある。また、10デシッテクスを大幅に超える
と、風合いのよい繊維成形体が得られにくくなる傾向に
ある。なお、引張強度が要求される用途では、製造が可
能な繊度であれば利用が可能である。
【0018】本発明の熱融着性複合繊維の熱収縮率(1
10℃×30分間)は、15%以下であることが好まし
い。熱収縮率が15%より大きくなると、風合いの悪い
繊維成形体となる場合や、得られた繊維成形体にしわが
発生する場合がある。
【0019】本発明の熱融着性複合繊維からなる繊維成
形体の引張強度は、目付30g/m 2換算で20N/
2.5cm以上であることが特によい。例えば紙オムツ
や生理用品、バッテリーセパレーター等に本発明の繊維
成形体を用いた場合に、引張強度が20N/2.5cm
未満であると、破れ及び穴あき等の不具合が発生する恐
れが高い。
【0020】本発明の繊維成形体においては、その剥離
係数が0.25〜0.90の範囲にあることが好まし
い。ここでいう剥離係数とは、下記式にて表される値で
ある。 (剥離係数)=(剥離試験にて不織布同士が剥離しない
試験回数)/(20回の試験回数) この剥離係数が0.25未満の場合には、目標とする引
張強度が得られず、また、0.90より大きくなると、
目標とする良好な風合いが安定して得られにくい。
【0021】以下、本発明の熱融着性複合繊維の1例と
して、ポリプロピレン樹脂の第1成分と高密度ポリエチ
レン樹脂中にテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペ
ンフェノール樹脂、及び芳香族変性テルペン樹脂から選
ばれる少なくとも1種を添加した第2成分とを組み合わ
せた熱融着性複合繊維の製造方法を例示する。通常の溶
融紡糸機を用いて前記樹脂からなる長繊維を紡出する。
紡糸に際し、紡糸温度は200〜330℃の範囲で紡糸
することが好ましく、引き取り速度は40m/分〜15
00m/分程度とするのがよい。延伸は必要に応じて多
段延伸を行ってもよく、このときの延伸倍率は通常3〜
9倍程度とするのがよい。さらに得られたトウは必要に
応じて捲縮を付与した後、所定長に切断して短繊維と
し、公知のカード法、エアレイド法、乾式パルプ法、湿
式抄紙法等によりウェブとする。以上は短繊維でのウェ
ブ製造工程であるが、トウを切断せず、長繊維トウを分
繊ガイドなどによりウェブとしたり、公知のスパンボン
ド法やメルトブロー法の様に紡糸工程から直接ウェブを
得る方法を用いてもよい。その後は必要に応じて高次加
工工程、熱処理工程を経て、種々用途に応じて繊維成形
体に成形される。また紡糸延伸後、フィラメント糸条と
して巻き取り、これを編成または織成して編織物とし、
熱処理工程を通した繊維成形体、あるいは前記短繊維を
紡績糸とした後、これを編成または織成して編織物と
し、熱処理工程を通して繊維成形体に成形してもよい。
さらに該ウェブに例えばカード法、エアレイド法、スパ
ンボンド法、あるいは抄紙法などの方法で均一にしたウ
ェブ状物、または織物、編物、不織布、フィルムなどを
種々積層し、熱処理工程を通して繊維成形体としてもよ
い。
【0022】上記熱処理工程としては、熱風ドライヤ
ー、サクションバンドドライヤー、ヤンキードライヤー
等のドライヤーを用いる方法や、フラットカレンダーロ
ール、エンボスロール等の加圧ロールを用いる方法等の
いずれの方法も使用できる。熱処理温度は、熱融着性複
合繊維の第2成分の融点以上、第1成分の融点未満の温
度であり、約120〜155℃の範囲が用いられる。処
理時間は前記ドライヤー等を用いる場合は約5秒以上
が、前記加圧ロールを用いる場合は5秒以下が一般的で
ある。
【0023】本発明の繊維成形体とは、上記熱処理工程
を通した布状の形態であればいかなるものでもよく、例
えば織物、編物、不織布を挙げることができる。また、
本発明の熱融着性複合繊維は他の繊維と混綿、あるいは
混紡して繊維成形体にすることもできる。また、カード
法、エアレイド法、あるいは抄紙法などで均一にしたウ
ェブ状物、織物、編物、あるいは不織布を種々積層した
繊維成形体であってもよい。
【0024】かかる工程において、繊維を紡出後、繊維
の静電気防止、繊維成形体への加工性向上のための平滑
性付与などを目的として繊維に界面活性剤を付着させる
ことができる。界面活性剤の種類、濃度は用途に応じて
適宜調整する。付着の方法は、ローラー法、浸漬法、パ
ットドライ法などを用いることができる。付着は、紡糸
工程、延伸工程、捲縮工程のいずれの工程で行ってもよ
い。さらに短繊維、長繊維を問わず、紡糸工程、延伸工
程、捲縮工程以外の工程、例えば繊維成形体に成形後、
界面活性剤を付着させることもできる。界面活性剤とし
ては、アルキルフォスフェートカリウム塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテルなどが例示できる。
【0025】本発明の熱融着性複合繊維の繊維長は、特
に限定されるものではないが、カード機を用いてウェブ
を作製するカード法の場合には、一般に20〜76mm
の繊維長が好ましく、抄紙法やエアレイド法の場合で
は、一般に繊維長が2mm〜20mmの範囲の繊維長が
好ましく用いられる。繊維長が2mm未満の場合には、
繊維同士の接着面積が小さすぎて、熱融着させても求め
る引張強度が得られにくい。また、繊度によっても異な
るが、繊維長が76mmを大幅に超える場合には、カー
ド機等でのウェブ形成が均一にできにくく、均一な地合
のウェブとすることが難しい傾向となる。
【0026】本発明の熱融着性複合繊維からなる繊維成
形体の製造方法の一例として、不織布の製造方法を例示
する。例えば前記熱融着性複合繊維の短繊維を用いて、
カード法、エアレイド法、あるいは抄紙法を用いて必要
な目付のウェブを作製する。またこの他メルトブロー
法、スパンボンド法などで直接ウェブを作製してもよ
い。これらの方法で作製したウェブを、ニードルパンチ
法、高圧液体流処理等の公知の方法で処理し、熱風ある
いは熱ロール等の公知の熱処理方法で処理して繊維成形
体を得ることができる。なお非常に短い繊維を用いて抄
紙法などにより得られたウェブをニードルパンチ法、高
圧液体流処理等の公知の方法で処理する場合には、その
物理的応力で繊維が動いて地合不良となる場合があるの
で、予め本発明の熱融着性複合繊維を構成する樹脂の融
点よりも低融点で熱融着する他の繊維を混綿しておき、
この繊維で接着しておくことで地合不良を抑えることが
できる。
【0027】本発明に用いられるウェブの目付は、特に
限定されるものではないが、10〜200g/m2の範
囲の目付が好ましく使用できる。目付が10g/m2
満では、高圧液体流処理などの物理的応力で処理する場
合、地合不良な不織布となる場合がある。また目付が2
00g/m2を超える高目付になると、通常以上に高圧
水流が必要となり、地合がよく、均一な処理を行うこと
が困難となる場合がある。
【0028】本発明の繊維成形体は、必要に応じて本発
明の熱融着性複合繊維以外の他の繊維を混合してもよ
い。この他の繊維としては、上記熱処理により変質せ
ず、本発明の目的を阻害しないものであれば自由に使用
でき、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィ
ン、アクリルなどの合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然
繊維、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生繊
維、半合成繊維などが挙げられる。
【0029】本発明のポリオレフィン系熱融着性複合繊
維を用いた繊維成形体は、従来のポリオレフィン系熱融
着性複合繊維を用いた繊維成形体と比較して、高い引張
強度を得ることができる。これにより、例えば紙オムツ
や生理用品に使用する場合、引張強度を保持したままの
低目付化が可能となり、結果として低コスト化が可能と
なる。またバッテリセパレーター等に使用する場合、電
極に緻密に巻付ける為の引張強度を保持したままの薄肉
化が可能となり、その結果、電池を高性能化することが
できる。
【0030】以上のようにポリプロピレン樹脂及びポリ
エチレン樹脂から構成された熱融着性複合繊維であって
も、本発明の構成とすることで、かかる熱融着性複合繊
維を用いると、高い引張強度を持ち、かつ風合いのよい
繊維成形体を得ることができる。さらにポリオレフィン
系樹脂からなる繊維成形体であるため、軽量で高い耐薬
品性を有することから、ナプキン(生理用品),紙オム
ツ,吸汗パット,皮脂除去用シート材,お手拭き等の衛
生材料、飛行機や旅客車両の使い捨てシートカバー,便
座カバー等のカバー、家庭用使い捨て雑巾,眼鏡拭き,
床拭き材,畳拭き材等のワイパー、べたがけシート,防
草シート,果実保護袋,保温シート等の農業用資材、バ
ッテリセパレーター等の工業用資材等の繊維製品の製造
に使用することができる。さらに天然系のテルペン系樹
脂を使用していることから環境に優しく安全であり、か
つ衛生性が高い為、衛生材料分野をはじめとして、外科
用ガウン,マスク,医療用キャップ等の医療分野、フィ
ルター,油吸着材,ボード等の土木・建設の産業資材分
野の繊維製品の製造にも好適に使用することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例及び比較例によ
って説明するが、本発明はこれにより限定されるもので
はない。なお実施例、比較例における用語と物性の測定
方法は以下の通りである。
【0032】(メルトフローレート)JIS K 72
10に準拠して測定した。 原料ポリプロピレン樹脂:条件14(温度230℃、荷
重21.18N) 原料ポリエチレン樹脂 :条件4(温度190℃、荷重
21.18N)
【0033】(融点)融点測定は、デュポン社製 熱分
析装置DSC10(商品名)を用い、JISK 712
1に準拠して行なった。
【0034】(曳糸性)溶融紡糸時の曳糸性を糸切れ回
数の発生率により、次の3段階で評価した。 ○:糸切れが全く発生せず、操作性が良好である。 △:糸切れが1時間当たり1〜3回発生。 ×:糸切れが1時間当たり4回以上発生し、操作上問題
がある。
【0035】(熱収縮率)ドライヤーを用い無荷重下1
10℃で30分間加熱した後の複合繊維の収縮率を求
め、20個の試料の平均値を示した。
【0036】(引張強度)2.5cm幅の不織布を島津
製作所(株)製オートグラフ AGS500D(商品
名)を用い、不織布等の繊維成形体の引張強度を測定し
た。試長150mm、引張速度100mm/分で測定
し、測定温度は室温とした。尚、値は下記式により目付
30g/m2換算とした。 引張強度=(引張強度実測値)×(30/目付実測値)
【0037】(剥離係数)2.5cm幅の同種類の不織
布サンプルA及び不織布サンプルBをテスター産業
(株)製ヒートシールテスター TP701S(商品
名)を用いて、両者を熱融着させ(条件:140℃/1
40℃×10sec)、不織布サンプルA側を固定し不
織布サンプルB側に500gの荷重をかけ、この時、荷
重によって剥離しない試験回数をチェックする。この試
験を20回の試験回数実施し、下記式にて算出した。 剥離係数=(剥離試験にて不織布同士が剥離しない試験
回数)/(試験回数)
【0038】(不織布風合い評価)5人のパネラーによ
る官能試験を行ない、しわ等によるガサツキ感がなくし
かもソフトであると全員が判定した場合を優(○)、同
様に3〜4名が判定した場合を良(△)、3名以上がし
わ等によるガサツキ感があるかまたはソフト感に欠ける
と判定した場合を不可(×)と評価した。
【0039】実施例1 第1成分としてポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重
合体、融点163℃、MFR16)を用い、第2成分と
して高密度ポリエチレン樹脂(融点131℃、MFR3
7)99重量部と水添テルペン樹脂(ヤスハラケミカル
(株)製 CLEARON P−125:商品名)1重
量部との混合物を用いて、複合繊維用口金及び2機の押
出機を有する複合紡糸機で、第1成分と第2成分の容積
比率50/50の同心型繊維断面形状を有する複合繊維
を紡糸し、未延伸糸の引き取りをワインダーで行った。
なお、該引き取り工程において、未延伸糸表面にアルキ
ルフォスフェートカリウム塩を付着させた。得られた未
延伸糸を延伸機により90℃で5.0倍に延伸し、さら
にその延伸糸表面に抄紙用分散剤を付着させた後、5m
m長に切断した。角型シートマシン(25cm×25c
m)を使用し、得られた短繊維(1.0デシテックス)
を抄紙法によりウェブとした。得られたウェブを乾燥
し、ついで、SANYO社製コンベクションオーブンを
使用し、140℃で10分間加熱処理し、繊維同士を熱
融着させることで目付31g/m2の不織布を得た。
【0040】実施例2 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)3重量部との混合物を用いた以外は、実施例1
に準拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0041】実施例3 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)94重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)6重量部との混合物を用いた以外は、実施例1
に準拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0042】実施例4 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)10重量部との混合物を用いた以外は、実施例
1に準拠して目付31g/m2の不織布を得た。
【0043】実施例5 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)85重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)15重量部との混合物を用いた以外は、実施例
1に準拠して目付30g/m2の不織布を得た。
【0044】実施例6 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)80重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)20重量部との混合物を用いた以外は、実施例
1に準拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0045】実施例7 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部とテルペン樹脂(ヤスハラ
ケミカル(株)製 YSレジン PX−1250:商品
名)3重量部との混合物を用いた以外は、実施例1に準
拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0046】実施例8 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部とテルペン樹脂(ヤスハラ
ケミカル(株)製 YSレジン PX−1250:商品
名)10重量部との混合物を用いた以外は、実施例1に
準拠して目付31g/m2の不織布を得た。
【0047】実施例9 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部とテルペンフェノール樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSポリスターTH−1
30:商品名)3重量部との混合物を用いた以外は、実
施例1に準拠して目付30g/m2の不織布を得た。
【0048】実施例10 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部とテルペンフェノール樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSポリスターTH−1
30:商品名)10重量部との混合物を用いた以外は、
実施例1に準拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0049】実施例11 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部と芳香族変性テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSレジン TO−12
5:商品名)3重量部との混合物を用いた以外は、実施
例1に準拠して目付31g/m2の不織布を得た。
【0050】実施例12 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部と芳香族変性テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSレジン TO−12
5:商品名)10重量部との混合物を用いた以外は、実
施例1に準拠して目付31g/m2の不織布を得た。
【0051】実施例13 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)3重量部との混合物を用い、繊維断面形状を並
列型とした以外は、実施例1に準拠して目付29g/m
2の不織布を得た。
【0052】実施例14 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)10重量部との混合物を用い、繊維断面形状を
並列型とした以外は、実施例1に準拠して目付29g/
2の不織布を得た。
【0053】実施例15 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部とテルペン樹脂(ヤスハラ
ケミカル(株)製 YSレジン PX−1250:商品
名)3重量部との混合物を用い、繊維断面形状を並列型
とした以外は、実施例1に準拠して目付29g/m2
不織布を得た。
【0054】実施例16 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部とテルペン樹脂(ヤスハラ
ケミカル(株)製 YSレジン PX−1250:商品
名)10重量部との混合物を用い、繊維断面形状を並列
型とした以外は、実施例1に準拠して目付30g/m2
の不織布を得た。
【0055】実施例17 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部とテルペンフェノール樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSポリスターTH−1
30:商品名)3重量部との混合物を用い、繊維断面形
状を並列型とした以外は、実施例1に準拠して目付31
g/m2の不織布を得た。
【0056】実施例18 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部とテルペンフェノール樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSポリスターTH−1
30:商品名)10重量部との混合物を用い、繊維断面
形状を並列型とした以外は、実施例1に準拠して目付3
1g/m2の不織布を得た。
【0057】実施例19 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)97重量部と芳香族変性テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSレジン TO−12
5:商品名)3重量部との混合物を用い、繊維断面形状
を並列型とした以外は、実施例1に準拠して目付29g
/m2の不織布を得た。
【0058】実施例20 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)90重量部と芳香族変性テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 YSレジン TO−12
5:商品名)10重量部との混合物を用い、繊維断面形
状を並列型とした以外は、実施例1に準拠して目付30
g/m2の不織布を得た。
【0059】実施例21 第2成分として低密度ポリエチレン樹脂(融点110
℃、MFR20)94重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)6重量部との混合物を用い、延伸倍率を3.5
倍、熱処理温度を120℃とした以外は、実施例1に準
拠して目付29g/m2の不織布を得た。
【0060】実施例22 第2成分として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(融点1
23℃、MFR23)94重量部と水添テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 CLEARONP−12
5:商品名)6重量部との混合物を用い、延伸倍率を
3.5倍、熱処理温度を130℃とした以外は、実施例
1に準拠して目付31g/m2の不織布を得た。
【0061】比較例1 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)を用いた以外は、実施例1に準拠して
目付30g/m2の不織布を得た。
【0062】比較例2 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)99.5重量部と水添テルペン樹脂
(ヤスハラケミカル(株)製 CLEARON P−1
25:商品名)0.5重量部との混合物を用いた以外
は、実施例1に準拠して目付31g/m2の不織布を得
た。
【0063】比較例3 第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)75重量部と水添テルペン樹脂(ヤス
ハラケミカル(株)製 CLEARON P−125:
商品名)25重量部との混合物を用いた以外は、実施例
1に準拠して目付31g/m2の不織布を得た。得られ
た不織布は、非常に高い引張強度を有していたが、繊維
の分散性が悪く風合いが悪化していた。
【0064】比較例4 第1成分としてポリプロピレン樹脂(プロピレン単独重
合体、融点163℃、MFR16)94重量部と水添テ
ルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製 CLEARO
N P−125:商品名)6重量部との混合物を用い、
第2成分として高密度ポリエチレン樹脂(融点131
℃、MFR37)を用いた以外は、実施例1に準拠して
紡糸を実施した。本工程においては糸切れが多発し曳糸
性に問題があり、生産が困難であった。
【0065】比較例5 第2成分として低密度ポリエチレン樹脂(融点110
℃、MFR20)を用い、延伸倍率を3.5倍、熱処理
温度を120℃とした以外は、実施例1に準拠して目付
28g/m2の不織布を得た。
【0066】実施例1〜22、比較例1〜5の繊維の断
面形状、曳糸性、熱収縮率、及び不織布の引張強度、剥
離係数、風合い評価結果を表1〜3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】表1〜3より明らかなように、本発明の実
施例1〜22からなる不織布は、高い引張強度と良好な
風合いを併せ持っているのに対して、比較例1〜3及び
5からなる不織布は、引張強度が低かったり、たとえ引
張強度が高くても良好な風合いを併せ持っていない。ま
た、比較例4では曳糸性の悪化(糸切れ多発)が見ら
れ、生産が困難であった。
【0071】実施例23 実施例21で得られた短繊維50重量%と分割型複合繊
維(チッソ(株)製EDC繊維、2.2dtex/f,
5mmチョップ)50重量%を混合し、角型シートマシ
ン(25cm×25cm)を用い、抄紙法でウェブとし
た。得られたウェブを乾燥し、ついで、SANYO社製
コンベクションオーブンを使用し、120℃で10分間
加熱処理した後、高圧液体流処理を施し乾燥工程を通し
て目付29g/m2の不織布を得た。得られた不織布を
20cm×20cmのサイズにカットし、これを用いて
フローリングを100回、乾拭きした。その結果、不織
布は破断が起こらず、同時に良好なワイピング性能を示
した。これより、ワイパーとして好適に利用ができるこ
とがわかった。
【0072】比較例6 比較例5で得られた短繊維50重量%と分割型複合繊維
(チッソ(株)製EDC繊維、2.2dtex/f,5
mmチョップ)50重量%を混合し、角型シートマシン
(25cm×25cm)を用い、抄紙法でウェブとし
た。得られたウェブを乾燥し、ついで、SANYO社製
コンベクションオーブンを使用し、120℃で10分間
加熱処理した後、高圧液体流処理を施し乾燥工程を通し
て目付31g/m2の不織布を得た。得られた不織布を
20cm×20cmのサイズにカットし、これを用いて
フローリングを100回、乾拭きした。その結果、不織
布は良好なワイピング性能を示したものの、部分的に破
断が生じてしまっていた。これより、ワイパーとして長
期の使用には不適であることがわかった。
【0073】実施例23、比較例6の不織布の引張強
度、風合い評価結果を表4に示す。実施例23で得られ
た不織布は良好な風合いと低目付において高い引張強度
を併せ持っており、さらに該不織布をワイパーとして使
用した場合には、優れた耐久性能を有している。これよ
り、本発明の繊維成形体は、より低目付で紙オムツや生
理用品に好適に用いることが可能であることがわかっ
た。さらに本発明の繊維成形体は、引張強度が高いこと
から、電極に緻密に巻付ける為の薄肉化が可能であり、
バッテリーセパレーターとして好適に用いることができ
るなど、種々の繊維製品に利用が可能である実用価値の
高い繊維成形体であることがわかった。これに対して、
比較例6で得られた不織布は、良好な風合いを備えてい
るものの低目付において引張強度が低く、さらに該不織
布をワイパーとして使用した場合には、摩擦により破断
が生じ易いなど、耐久性能に劣ることがわかった。これ
より、比較例で得られた繊維成形体は、紙オムツや生理
用品、バッテリーセパレーター等の繊維製品に使用する
場合には、不織布を高目付にして、引張強度を向上させ
なければならない等の製品のコストアップにつながる欠
点があることがわかった。
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】本発明の熱融着性複合繊維及び繊維成形
体は、複合繊維の第1成分と第2成分の界面接着力が高
く、これにより外部応力による界面剥離が低減されるこ
とにより、非常に高い引張強度を持つ。さらに、天然系
のテルペン系樹脂を使用していることから環境に優しく
安全であり、かつ衛生性が高く、リサイクル性にも優れ
た環境対応型の繊維製品に広く好適に用いることができ
る。さらに、引張強度と良好な風合いとがバランスよく
求められる紙オムツ、生理用品などの衛生材料分野や、
不織布に高い引張強度が求められるバッテリーセパレー
ター、フィルターなどの産業資材分野の繊維製品とし
て、引張強度の向上による風合いの悪化をもたらさない
ことから好適に用いることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61F 13/53 H01M 2/16 P 5H021 D04H 1/54 A61F 13/18 303 A41B 13/02 E D21H 13/14 F 15/10 H01M 2/16 Fターム(参考) 3B029 BB07 BC07 4C003 AA16 BA08 CA05 CA06 4L041 AA07 AA20 BA02 BA05 BA21 BA49 BC05 BD03 BD06 BD07 BD11 BD20 CA37 CA38 DD01 DD05 DD14 DD18 4L047 AA14 AA27 BA08 BA21 CA19 CC03 CC08 CC12 EA10 4L055 AF16 AF17 AF44 AF47 BE20 EA07 EA19 FA30 GA01 GA26 GA31 5H021 AA06 CC01 CC05 EE04 EE24 HH00 HH01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1成分と第2成分とからなる複合繊維
    であって、該複合繊維の表面の少なくとも一部はその繊
    維長さ方向に連続して該第2成分で形成されており、第
    1成分がポリプロピレン樹脂であり、第2成分がテルペ
    ン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、
    及び芳香族変性テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1
    種を1〜20重量%含有するポリエチレン樹脂であるこ
    とを特徴とする熱融着性複合繊維。
  2. 【請求項2】 熱融着性複合繊維の熱収縮率(110℃
    ×30分間)が15%以下である請求項1記載の熱融着
    性複合繊維。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の熱融着性
    複合繊維を用いた繊維成形体。
  4. 【請求項4】 繊維成形体の引張強度が目付30g/m
    2換算で20N/2.5cm以上である請求項3記載の
    繊維成形体。
  5. 【請求項5】 繊維成形体の剥離係数が0.25〜0.
    90である請求項3または請求項4記載の繊維成形体。
  6. 【請求項6】 請求項1または請求項2記載の熱融着性
    複合繊維を用いた繊維製品。
  7. 【請求項7】 請求項3〜5のいずれか1項記載の繊維
    成形体を用いた繊維製品。
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