JP2009209126A - ヘテロ環化合物 - Google Patents

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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

【課題】医薬、農薬、染料、顔料、紫外線吸収剤、液晶などの機能性材料及びその合成中間体として有用なヘテロ環化合物の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物。
Figure 2009209126

[式虫、R1〜R4は各々独立に水素原子又は1価の置換基を表す。但し、R1〜R4がすべて同時にアルキルチオ基であることはない。R1とR2及びR3とR4がそれぞれ互いに結合して環を形成しても良いが形成する環はジチオール環又はジチオラン環ではない。R5及びR6は各々独立に水素原子又は1価の置換基を表す。X1〜X4は各々独立にヘテロ原子を表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なヘテロ環化合物に関する。
ヘテロ環化合物として、ベンゼン環に2つのヘテロ環が縮環した化合物はこれまでにもいくつか知られている(例えば特許文献1〜3、非特許文献1を参照。)。これらは主に電荷移動錯体として興味を持たれたためか、テトラチアフルバレン類縁体としての報告が多かった。そのために縮環したヘテロ環はジチオール環が多数を占めており、さらにジチオール環の2位からエキソメチレンを介してアルキルメルカプト基やジチオール環が置換した構造のものがほとんどであった。
また、このような構造の化合物を各種機能性材料に用いることは、有機電子写真材料における電荷移動錯体として用いたり(例えば特許文献2参照)、不活性炭素フリーラジカルの部分構造として用いたり(例えば特許文献3参照)するものはあったが、その構造は所望の性能を発揮し得る狭い範囲に限定されていた。その他の用途について検討されていなかったためか、新たな化合物は見出されていなかった。
一方、従来から紫外線吸収剤を種々の樹脂などと共用して紫外線吸収性を付与することが行われている。紫外線吸収剤として無機系紫外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献4〜6等を参照。)では、耐候性や対熱性などの耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるために選択の自由度が少なく、400nm付近の長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはなく、長波紫外線を吸収するものは可視域まで吸収を有するために着色を伴ってしまう。
これに対して、有機系紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。
これまでにも様々な有機系紫外線吸収剤を用いた系が検討されており、長波紫外線領域まで吸収する場合には、極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものを用いるか、濃度を高くするかの2通りが考えられている。しかし、特許文献7及び8等に記載された極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものは、耐光性が悪く、吸収能が時間とともに減少していってしまう。
これに対してベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は比較的耐光性も良く、濃度や膜厚を大きくすれば長波長領域まで比較的クリアにカットできる(例えば特許文献9及び10等を参照。)。しかし、通常これらの紫外線吸収剤を樹脂等に混ぜて塗布する場合、膜厚は数十μm程度が限界である。この膜厚で長波長領域までカットしようとするとかなり高濃度に紫外線吸収剤を添加する必要がある。しかしながら、単に高濃度に添加しただけでは紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じるという問題があった。また、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の中には、皮膚刺激性や生体内への蓄積性を有するものがあり、使用にあたっては細心の注意が必要であった。
また、近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式の記録材料、感熱転写方式の記録材料、電子写真方式の記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インキ、記録ペン等が盛んに利用されている。また、撮影機器ではCCDなどの撮像素子において、ディスプレーではLCDやPDPにおいてカラー画像を記録・再現するためにカラーフィルターが使用されている。これらのカラー画像記録材料やカラーフィルターでは、フルカラー画像を表示あるいは記録する為に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の色素(染料や顔料)が使用されているが、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件、環境条件に耐えうる堅牢な色素がないのが実情であり、改善が強く望まれている。
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、さらにカラー記録が容易であることから、急速に普及し、さらに発展しつつある。
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、顔料分散インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
このようなインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性あるいは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、SOx、オゾンなどの酸化性ガス)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。特に、良好なイエローの色相を有し、溶解性あるいは分散性が高く、光、湿度、熱に対して堅牢であること、なかでも光に対して高堅牢であることが強く望まれている。
感熱転写記録には、支持体(ベースフィルム)上に熱溶融性インク層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱し該インクを溶融して受像材料上に記録する方式と、支持体上に熱移行性色素を含有する色素供与層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱して色素を受像材料上に熱拡散転写させる方式とがある。後者の感熱転写方式は、サーマルヘッドに加えるエネルギーを変えることにより色素の転写量を変化させることができるために階調記録が容易であり、高画質のフルカラー記録には特に有利である。しかしこの方式に用いる熱移行性色素には種々の制約があり、必要とされる性能を全て満たすものは極めて少ない。
必要とされる性能としては、例えば、色再現上好ましい分光特性を有すること、転写し易いこと、光や熱に堅牢であること、種々の化学薬品に堅牢であること、合成が容易であること、感熱転写用記録材料を作りやすいことなどがある。しかしながら、色再現上好ましい分光特性を有し、光や熱に堅牢であるとして提案されている従来の色素化合物では、満足できるレベルではなく、さらなる改良が強く望まれている。
カラーフィルターは高い透明性が必要とされるために、色素を用いて着色する染色法と呼ばれる方法が行われてきた。たとえば、被染色性のフォトレジストをパターン露光,現像することによりパターンを形成し、次いでフィルター色の色素で染色する方法を全フィルター色について順次繰り返すことにより、カラーフィルターを製造することができる。染色法の他にも、ポジ型レジストを用いる方法によってもカラーフィルターを製造することができる。これらの方法により製造されるカラーフィルターは、色素を使用しているために透過率が高く、光学特性も優れているが、耐光性や耐熱性等に限界がある。このため、諸耐性に優れかつ透明性の高い着色剤が望まれていた。一方、色素の代わりに耐光性や耐熱性が優れる有機顔料が用いる方法が広く知られているが、顔料を用いたカラーフィルターでは色素のような光学特性を得ることは困難とされていた。
上記の各用途で使用する染料や顔料には、共通して次のような性質を具備している必要がある。即ち、色再現性上好ましい吸収特性を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性が良好であること、等が挙げられる。加えて、色素が顔料の場合にはさらに、水や有機溶剤に実質的に不溶であり耐薬品堅牢性が良好であること、および、粒子として使用しても分子分散状態における好ましい吸収特性を損なわないこと、等の性質をも具備している必要がある。上記要求特性は分子間相互作用の強弱でコントロールすることができるが、両者はトレードオフの関係となるため両立させるのが困難である。
また、顔料を使用するにあたっては、他にも、所望の透明性を発現させるために必要な粒子径および粒子形を有すること、使用される環境条件下における堅牢性、例えば耐光性、耐熱性、オゾンなどの酸化性ガスに対する耐性、その他有機溶剤や亜硫酸ガスなどへの耐薬品堅牢性が良好であること、使用される媒体中において微小粒子まで分散し、かつ、その分散状態が安定であること、等の性質も必要となる。特に、良好なイエロー色相を有し、光、湿熱及び環境中の活性ガス、中でも着色力が高く、光に対して堅牢な顔料が強く望まれている。
すなわち、顔料に対する要求性能は色素分子としての性能を要求される染料に比べて、多岐にわたり、色素分子としての性能だけでなく、色素分子の集合体としての固体(微粒子分散物)としての上記要求性能を全て満足する必要がある。結果として、顔料として使用できる化合物群は染料に比べて極めて限定されたものとなっており、高性能な染料を顔料に誘導したとしても微粒子分散物としての要求性能を満足できるものは数少なく、容易に開発できるものではない。これは、カラーインデックスに登録されている顔料の数が染料の数の1/10にも満たないことからも確認される。
アゾ顔料は色彩的特性である色相および着色力に優れているため、印刷インキ、インクジェット用インク、電子写真材料などに広く使用されている。これらのうち、最も典型的に使用されている黄色のアゾ顔料は、ジアリーリド顔料である。ジアリーリド顔料としては例えば、C.I.ピグメント・イエロー12、同13、同17などが挙げられる。しかし、ジアリーリド顔料は堅牢性、とりわけ耐光性が非常に劣るため、印字物が光に曝されることによって顔料が分解して退色してしまい、印字物の長期間の保存に適さない。
例えば、インクジェット記録に用いられる黄色顔料として、C.I.ピグメントイエロー74、同128、同155があげられる。この中でP.Y.74は鮮明な黄色を与えるものの印字物が光に曝された場合に短期間で褪色してしまう。またP.Y.128やP.Y.155については印字物が光に曝されたときの褪色は比較的少ないが、緑みの強い黄色であり減色混合法による色再現域に劣る。このように、鮮明な黄色の色相と光に対する堅牢性を両立できるインクジェット用黄色顔料は知られていない。
また、カラーフィルターの画素の着色に用いられる黄色顔料として、C.I.ピグメントイエロー138、同150があげられる。この中でP.Y.138には分子構造として環境に対して懸念のあるハロゲンが多く含まれている。またP.Y.150には環境に対して懸念のある重金属(例えばニッケル)が含まれている。このように、カラーフィルターに用いる顔料としての性能を有しながら環境に対する安全性にも懸念のないような黄色顔料もまた、知られていない。
一方、縮合多環系顔料は一般に光堅牢性や耐熱性に優れているため、樹脂の着色、カラーフィルター、インクジェット用インクなどに用いられている。代表的なものとしてフタロシアニン顔料(例えばC.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメント・グリーン7など)、キナクリドン顔料(例えばC.I.ピグメント・バイオレット19、C.I.ピグメント・レッド122など)、ジケトピロロピロール顔料(例えばC.I.ピグメント・レッド254など)、アントラキノン顔料(例えばC.I.ピグメント・レッド177など)が挙げられる。しかし、縮合多環系顔料には着色力や分散性に劣っていたり、安全性に懸念のあるハロゲンの含有率が高かったりするという欠点がある。
イエロー、マゼンタ、シアンの3色、またはさらにブラックを加えた4色による減色混合法を用いてフルカラーを表現する場合、1色に堅牢性の劣る顔料を用いると、時間の経過とともに印字物のグレーバランスが変化してしまい、また、色彩的特性に劣る顔料を用いると、印刷時の色再現性が低下してしまう。したがって、高い色再現性を長期間維持する印字物を得るために、色彩的特性及び堅牢性の両立した顔料分散物が望まれている。
一方、複素環化合物として、下記化学式(S−1)〜(S−5)で表される化合物が知られている(例えば、特許文献11、非特許文献2参照)。これらの化合物は、電荷移動錯体の成分やその中間体としてのみ興味が持たれたもので、実際、溶液中において可視光をほとんど吸収せず、着色化合物としての利用はまったく意図されていなかった。
Figure 2009209126
特開昭63−150273号公報 特開平4−85547号公報 特表平5−506428号公報 特開平5−339033号公報 特開平5−345639号公報 特開平6−56466号公報 特開平6−145387号公報 特開2003−177235号公報 特開2005−517787号公報 特開平7−285927号公報 特開昭63−150273号公報 「Journal of the American Chemical Society」、1995年、117巻、9995−10002ページ テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)1977年26号2223頁
本発明の目的は、医薬、農薬、染料、顔料、紫外線吸収剤、液晶などの機能性材料およびその合成中間体として有用な新規なヘテロ環化合物を提供することである。
本発明者らは、ベンゼン環に2つのヘテロ環が縮環したヘテロ環化合物の合成について鋭意検討を重ねたところ、これまで知られていなかった特定の構造を有するヘテロ環化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
[1]下記一般式(I)で表される化合物。
Figure 2009209126
[R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。但し、R、R、R及びRがすべて同時にアルキルチオ基であることはない。RとR及びRとRがそれぞれ互いに結合して環を形成しても良い。但し、形成する環はジチオール環又はジチオラン環ではない。
及びRは、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
、X、X及びXは、互いに独立してヘテロ原子を表す。
但し、R、R、R及びRがすべてシアノ基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基あるいは水素原子である場合を除く。また、R及びRが共に水素原子で、R及びRが共にアリールカルボニル基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基である場合を除く。]
[2]前記一般式(I)におけるR及びRが、互いに独立してアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルオキシ基またはカルバモイルアミノ基であることを特徴とする、[1]項に記載の化合物。
[3]前記一般式(I)におけるX、X、X及びXが硫黄原子であることを特徴とする、[1]又は[2]項に記載の化合物。
[4]前記一般式(I)におけるR、R、R及びRのうち少なくとも1つが、−CN、−COOR、−CONR10、−COR11又は−SO12(R、R、R10、R11及びR12はそれぞれ水素原子または1価の置換基を表す。)であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5]前記一般式(I)におけるRとR、及びRとRの2つの組の少なくとも一方は、互いに結合して環を形成している、前記[1]に記載の着色組成物。
[6]前記一般式(I)におけるR、R、R、およびRは、互いに独立して、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、およびアリールカルバモイル基からなる群から選ばれるいずれかである、前記[1]に記載の着色組成物。
[7]前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II)で表される、前記[1]または[5]に記載の着色組成物。
Figure 2009209126
(式中、R、Rは互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。X、X、X、およびXは、互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。YおよびYはそれぞれが結合している炭素原子とともに4〜7員の環QおよびQを形成するのに必要な原子団を表す)
[8]前記一般式(II)における環QおよびQが互いに独立してヘテロ環である、前記[7]に記載の着色組成物。
[9]前記一般式(II)における環QおよびQが互いに独立して窒素原子を含むヘテロ環である、前記[7]または[8]に記載の着色組成物。
[10]前記一般式(II)における環QおよびQが互いに独立して5〜6員のヘテロ環である、前記[7]〜[9]のいずれか1項に記載の着色組成物。
[11]前記一般式(II)における環QおよびQが互いに独立して下記一般式(2)〜一般式(7)のいずれか、もしくはその互変異性体で表される、前記[10]に記載の着色組成物。
Figure 2009209126
(式中、R21およびR22は、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。R23、R24、およびR25は互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。R23が置換基を有する場合、該置換基がR21またはR22と結合して環を形成してもよい。R24が置換基を有する場合、該置換基がR22と結合して環を形成してもよい。R25が置換基を有する場合、該置換基がR21と結合して環を形成してもよい)
Figure 2009209126
(式中、R31、R32、およびR34は、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。R33およびR35は、互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。R33が置換基を有する場合、該置換基がR31またはR32と結合して環を形成してもよい。R35が置換基を有する場合、該置換基がR31と結合して環を形成してもよい)
Figure 2009209126
(式中、R41およびR44は、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。R43およびR45は、互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。R43およびR45の少なくとも一方が置換基を有する場合、該置換基がR41と結合して環を形成してもよい)
Figure 2009209126
(式中、R51およびR52は、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。R51とR52は互いに結合して環を形成してもよい。R53およびR54は、互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。R53が置換基を有する場合、該置換基がR52と結合して環を形成してもよい。R54が置換基を有する場合、該置換基がR51と結合して環を形成してもよい)
Figure 2009209126
(式中、R62およびR64は、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。R63は置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。R63が置換基を有する場合、該置換基がR62と結合して環を形成してもよい。)
Figure 2009209126
(式中、Z71およびZ72は、互いに独立に−N=または−C(R75)=を表す。R73、R74、およびR75は水素原子または1価の置換基を表す。)
[12]前記一般式(2)におけるR24とR25の少なくとも1つ、前記一般式(3)におけるR35、前記一般式(4)におけるR45、および前記一般式(5)におけるR53とR54の少なくとも1つは、それぞれ酸素原子を表す、前記[11]に記載の着色組成物。
[13]前記一般式(2)におけるR21、前記一般式(3)におけるR31、前記一般式(4)におけるR41、および前記一般式(5)におけるR51とR52の少なくとも1つは、それぞれ水素原子を表す、前記[11]または[12]に記載の着色組成物。
[14]前記一般式(I)におけるX、X、X、およびXは、いずれも硫黄原子を表す、前記[5]〜[13]のいずれか1項に記載の着色組成物。
[15]前記一般式(I)におけるRおよびRは、互いに独立して水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、およびハロゲン原子からなる群から選ばれるいずれかである、前記[5]〜[14]のいずれか1項に記載の着色組成物。
本発明のヘテロ化合物は、医薬、農薬、染料、顔料、紫外線吸収剤、液晶、有機半導体、有機導電体、有機電子材料、医療診断材料などの機能性材料およびその合成中間体として有用である。
特に、本発明の化合物は、高い光堅牢性でモル吸光係数εが高くかつシャープな吸収を与える染料、顔料、紫外線吸収剤として用いることができる。中でも長波紫外線吸収能に極めて優れており、紫外線吸収剤として好ましく用いることができる。可視域に吸収を有する本発明の化合物を用いれば、重金属を含有しない光堅牢性に優れた着色組成物を提供することができる。紫外線領域に吸収を有する本発明の化合物をプラスチックや繊維などの高分子成形品に含有させることで、高分子成形品の光安定性を高めることができる。さらに、紫外線領域に吸収を有する本発明の化合物を含む高分子材料は、優れた紫外線吸収能を活用して、紫外線に弱い内容物を保護するフィルタや容器として用いることができる。また、本発明の化合物は、強固な中心部から平面上でそれぞれ垂直な4方向に置換基を有する構造上の特徴を利用して、液晶化合物や光学異方性材料として好ましく用いることができる。本発明の化合物を高分子材料に含有させフィルム状に加工することで、フィルムに光学特性を付与することができる。さらに本発明の化合物を含むフィルムは、付与した光学特性を活用して、位相差板、偏光板、光学補償フィルムなどとして用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
前記一般式(I)において、R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基としては例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)の直鎖又は分岐のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルカルボニル基(例えばアセチル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)のスルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、炭素数2〜20(好ましくは2〜10)のイミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のイミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルコキシ基(例えばメトキシ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアシルオキシ基(例えばアセトキシ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、炭素数0〜20(好ましくは0〜10)の置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールチオ基(例えばフェニルチオ)、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、4〜7員環(好ましくは5〜6員環)のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
但し、R、R、R及びRがすべて同時にアルキルチオ基であることはない。
、R、R及びRのうち少なくとも1つは、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表す場合が好ましい。
ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。本発明におけるハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは電子求引性基であることを示している。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。σp値の上限は、特に制限されないが、1.20以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましい。
ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基の例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SO2Me:0.72)、またはアリールスルホニル基(-SO2Ph:0.68)などが挙げられる。本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。
とR及びRとRは互いに結合して環を形成してもよい。例えばRとRで環を形成した場合、R及びRのσp値を規定することができないが、本発明においてはR及びRにそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば1,3−インダンジオン環を形成している場合、RとRにそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。これは、RとRで環を形成した場合でも同様に定義される。
、R、R及びRのうち少なくとも1つはハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を表すが、RとRとの組またはRとRとの組のいずれか一方がそれぞれこの置換基であることが好ましい。より好ましくはR、R、R及びRのうち3つがこの置換基の場合である。特に好ましくはR、R、R及びRがいずれもこの置換基の場合である。
、R、R及びRのうち少なくとも1つとして、−CN、−COOR、−CONR10、−COR11又は−SO12であることがより好ましい(ここで、R、R、R10、R11及びR12はそれぞれ水素原子または1価の置換基を表す。)。より好ましくは−CN、−COOR、−COR11又は−SO12である。さらに好ましくは−CN又は−COORである。特に好ましくは−CNである。
とRとの組み合わせ及びRとRとの組み合わせは上述した条件を満たせばいずれの組み合わせであってもよいが、RとRとの組およびRとRとの組がそれぞれ同じ組み合わせであることがより好ましい。
とR並びにRとRとは互いに結合して環を形成しても良い。形成する環としては、飽和および不飽和の炭化水素環およびヘテロ環のいずれであってもよい。但し、ジチオール環およびジチオラン環を形成することはない。例えば、前記一般式(I)中で定義されているR及びRが結合した炭素原子を含んでなる環として、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環、オキサゾリン環、チアゾリン環、ピロリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピラン環などが挙げられる。これらは任意の位置に置換基を有していても良い。置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また2価の置換基としてカルボニル基、イミノ基なども挙げられる。置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。また置換基同士で結合して環を形成することで縮環やスピロ環となっても良い。
とR又はRとRの組み合わせの好ましい具体例について下記表1に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、本明細書において、Etはエチル基を、Buはブチル基を表す。また、Meはメチル基を、Phはフェニル基を、Acはアセチル基を表す。表中の波線は前記一般式(I)におけるヘテロ環への結合部位を示す。
Figure 2009209126
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及びRは互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基としては、上述した1価の置換基の例が挙げられる。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、スルホ基、アルキルチオ基、アリールチオ基が好ましい。水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基がより好ましい。アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルオキシ基、カルバモイルアミノ基がさらに好ましい。アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基が特に好ましい。アルコキシ基が殊更に好ましい。
アルコキシ基の場合におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。アルキル基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アルコキシ基の場合におけるアルキル基として好ましくは、炭素数3〜20のアルキル基である。より好ましくは炭素数5〜18のアルキル基である。特に好ましくは炭素数6〜12のアルキル基である。
アリールオキシ基の場合におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アリールオキシ基の場合におけるアリール基として好ましくは、炭素数6〜14のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましくはフェニル基である。
アシルオキシ基の場合におけるアシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。アシル基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アシルオキシ基の場合におけるアシル基として好ましくは、炭素数1〜15のアシル基である。より好ましくは炭素数1〜10のアシル基である。特に好ましくは炭素数4〜8のアシル基である。
アルコキシカルボニルオキシ基の場合におけるアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。アルキル基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アルコキシカルボニルオキシ基の場合におけるアルキル基として好ましくは、炭素数3〜20のアルキル基である。より好ましくは炭素数5〜18のアルキル基である。特に好ましくは炭素数6〜12のアルキル基である。
アリールオキシカルボニルオキシ基の場合におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アリールオキシカルボニルオキシ基の場合におけるアリール基として好ましくは、炭素数6〜14のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましくはフェニル基である。
アシルアミノ基の場合におけるアシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。アシル基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。また任意の置換基が結合することで環を形成してもよい。アシルアミノ基の場合におけるアシル基として好ましくは、炭素数1〜15のアシル基である。より好ましくは炭素数1〜10のアシル基である。特に好ましくは炭素数4〜8のアシル基である。
カルバモイルオキシ基の場合における窒素原子上の置換基としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。カルバモイルオキシ基の場合におけるアルキル基およびアリール基として好ましくは、炭素数3〜20のアルキル基および炭素数6〜14のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基である。
カルバモイルアミノ基の場合における窒素原子上の置換基としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル基上およびアリール基上の任意の位置に1価の置換基を有していてもよい。1価の置換基としては上述した1価の置換基の例が挙げられる。カルバモイルアミノ基の場合におけるアルキル基およびアリール基として好ましくは、炭素数3〜20のアルキル基および炭素数6〜14のアリール基である。より好ましくは炭素数6〜12のアルキル基および炭素数6〜10のアリール基である。
及びRはそれぞれ異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
又はRの好ましい具体例について下記表2に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、表中の波線は前記一般式(I)におけるベンゼン環への結合部位を示す。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
、X、X及びXは、互いに独立してヘテロ原子を表す。ヘテロ原子としては、例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などが挙げられる。好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子である。より好ましくは窒素原子、硫黄原子である。特に好ましくは硫黄原子である。
、X、X及びXはそれぞれ異なっていてもよいが、XとXとの組およびXとXとの組がそれぞれ同じ組み合わせであることがより好ましく、特に好ましくは全て同じである場合である。最も好ましくは、全て硫黄原子を表す場合である。
とX又はXとXの組み合わせの好ましい具体例について下記表3に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、本明細書において、Acはアセチル基を表す。表中の波線は前記一般式(I)におけるRとR又はRとRが結合する炭素原子への結合部位を示す。
Figure 2009209126
前記一般式(I)で表される化合物は、紫外線吸収剤として用いる場合には、下記一般式(Ia)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2009209126
前記一般式(Ia)において、R2aおよびR4aは前記一般式(I)におけるRおよびRと同義であり、好ましい場合も同じである。R5aおよびR6aは1価の置換基を表す。好ましくは、炭素数1〜20(好ましくは1〜10)のアルキル基、炭素数6〜20(好ましくは6〜10)のアリール基、4〜7員環(好ましくは5〜6員環)のヘテロ環基である。これらはさらに置換基を有していても良い。置換基としては上述した1価の置換基が挙げられる。また2価の置換基としてカルボニル基、イミノ基なども挙げられる。置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。また置換基同士で結合して環を形成することで縮環やスピロ環となっても良い。
ただし、一般式(I)で表される化合物のうち、R、R、R及びRがすべてシアノ基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基あるいは水素原子である化合物については本発明の範囲から除外される。また、一般式(I)で表される化合物のうち、R及びRが共に水素原子で、R及びRが共にアリールカルボニル基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基である化合物についても本発明の範囲から除外される。
続いて、前記一般式(I)で表わされる化合物を着色化合物として用いる場合について説明する。
本発明において一般式(I)で表される化合物を顔料として用いる場合、R及びRとしては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下であるか、平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜5のモノ/ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であることがより好ましく、製造の容易さから水素原子、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、塩素原子が特に好ましい。R及びRの電子的効果(電子供与性・電子求引性)により、一般式(I)で表される化合物の吸収極大波長を制御することができるため、目的とする色相にあわせて適切な置換基を選ぶことができる。
本発明において一般式(I)で表される化合物を染料として用いる場合、R及びRとしては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下であるか、嵩高い置換基か、親水性の高い置換基が好ましい。具体的には、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノ/ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基が好ましく、水素原子、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、t−アミルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ピバロイルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基であることがより好ましく、製造の容易さから水素原子、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基が特に好ましい。R及びRの電子的効果(電子供与性・電子求引性)により、一般式(I)で表される化合物の吸収極大波長を制御することができるため、目的とする色相にあわせて適切な置換基を選ぶことができる。
本発明において一般式(I)で表される化合物を顔料として用いる場合、R、R、R、及びRとしては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下であるか、平面性の高い置換基が好ましい。また、可視光を吸収する良好な光学特性を有するために、ヘテロ原子X1〜X4とともにいわゆるドナー−アクセプター型の発色団を形成するような、電子求引性の置換基が好ましい。具体的には、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びアリールカルバモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、炭素数2〜5のアシル基、シアノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、およびアリールカルバモイル基からなる群から選ばれるいずれかであることがより好ましく、アセチル基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、N−フェニルカルバモイル基、N−(2−メトキシフェニル)カルバモイル基が特に好ましい。
本発明において一般式(I)で表される化合物を染料として用いる場合、R、R、R、及びRとしては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下であるか、嵩高い置換基か、親水性の高い置換基が好ましい。また、可視光を吸収する良好な光学特性を有するために、ヘテロ原子X1〜X4とともにいわゆるドナー−アクセプター型の発色団を形成するような、電子求引性の置換基が好ましい。具体的には、アシル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、およびアリールカルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基が好ましく、ピバロイル基、シアノ基、t−ブチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−(4−スルホフェニル)カルバモイル基、メシチルカルバモイル基、カルボキシル基、スルホ基がより好ましく、t−ブチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、カルボキシル基が特に好ましい。
本発明においては、前記一般式(I)におけるRとRの組、及びRとRの組の少なくとも一方が互いに結合して環を形成することによって分子内の共役の長さが伸び、吸収極大が可視域にまで長波長化すると考えられることから、少なくとも一方が互いに結合して環を形成していることが好ましい。この環は、さらに他の環と縮環してもよく、またさらに置換基を有していてもよい。このような置換基の例としては、前記「本発明における置換基」の例と同様であり、好ましい形態も同じである。
前記一般式(I)におけるRとRの組、及びRとRの組の少なくとも一方が互いに結合して環を形成している場合、形成される環は脂肪族または芳香族の炭化水素環であってもヘテロ環であってもよいが、一般式(I)で表される色素化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、ヘテロ環であることが好ましく、さらに窒素原子を含むヘテロ環であることがより好ましく、さらに、色素化合物の熱力学的安定性の観点から、5〜6員環であることがより好ましい。
本発明においては、化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、前記一般式(I)で表わされる化合物は、着色化合物として用いる場合は、下記一般式(II)で表されることがより好ましい。
Figure 2009209126
一般式(II)中、R、およびRは互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R及びRとしては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下であるか、平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜5のモノ/ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシルオキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であることがより好ましく、製造の容易さから水素原子、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、塩素原子が特に好ましい。R及びRの電子的効果(電子供与性・電子求引性)により、一般式(II)で表される化合物の吸収極大波長を制御することができるため、目的とする色相にあわせて適切な置換基を選ぶことができる。
本発明において一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R及びRとしては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下であるか、嵩高い置換基か、親水性の高い置換基が好ましい。具体的には、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノ/ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基が好ましく、水素原子、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピルオキシ基、t−ブチルオキシ基、t−アミルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ピバロイルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基であることがより好ましく、製造の容易さから水素原子、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−エチルヘキサノイルオキシ基が特に好ましい。R及びRの電子的効果(電子供与性・電子求引性)により、一般式(II)で表される化合物の吸収極大波長を制御することができるため、目的とする色相にあわせて適切な置換基を選ぶことができる。
本発明における一般式(II)において、X、X、X、及びXは置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。このようなヘテロ原子の例としては、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、及びセレン原子が挙げられる。一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子が好ましく、硫黄原子が特に好ましい。これらのヘテロ原子が、3つ以上の共有結合を形成しうるヘテロ原子(例えば、ホウ素原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子)である場合、そのヘテロ原子は置換基を有していてもよい。
本発明において一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下であるか、平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下であるか、嵩高い置換基か、親水性の高い置換基が好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
本発明における一般式(II)において、Y、Yはそれぞれ自身が結合している炭素原子とともに4〜7員の環Q、Qを形成するのに必要な原子団を表す。好ましくは4〜7員の環Q、Qを形成するのに必要な非金属原子団を表す。
本発明における環Q、Qは4〜7員の脂肪族または芳香族の炭化水素環もしくはヘテロ環であり、さらに他の環と縮環してもよい。
本発明のR〜RおよびQ、Qの置換基として、一般に分子間の相互作用を強化させ顔料特性を向上させる置換基として公知のもの、具体的には例えばアミド結合、とりわけベンズイミダゾロンやキノキサリンジオン構造を有することもまた、好ましい。
本発明における環Q、Qがヘテロ環、特に電子不足ヘテロ環となることにより、一般式(II)で表される化合物の吸収極大がより長波長シフトし、着色化合物としてより好ましい光学的特性を示すと考えられるため、本発明における環Q、Qはヘテロ環であることが好ましく、さらに窒素原子を含むヘテロ環であることがより好ましく、また、化合物の熱力学的安定性の観点から、5〜6員環であることがさらに好ましい。
また、本発明における環Q、Qは下記一般式(2)〜(7)のいずれか、もしくはそれらの互変異性体で表されることが特に好ましい。一般式(2)〜(7)もしくはそれらの互変異性体で表される環は電子不足ヘテロ環であり、例えば式(2)においては、電子求引性基であるR24および/またはR25がヘテロ原子X1〜X4と共役する二重結合で結ばれており、ヘテロ原子X1〜X4からR24および/またはR25への電子遷移がおこることにより、着色化合物として特に好ましい光学的特性を示すと考えられる。
Figure 2009209126
前記一般式(2)におけるR21、およびR22は互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(2)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R21、およびR22で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。R21およびR22として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル、がより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(2)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
23、R24、およびR25は互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。
このようなヘテロ原子としては具体的には、一般式(2)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはセレン原子であることが好ましく、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であることがより好ましい。またR24、およびR25の少なくとも1つが酸素原子を表すことが特に好ましい。
本発明において、一般式(2)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(2)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
またR23が置換基を有する場合、該置換基がR21またはR22と結合して環を形成してもよく、R24が置換基を有する場合、該置換基がR22と結合して環を形成してもよく、R25が置換基を有する場合、該置換基がR21と結合して環を形成してもよい。このような環としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ジヒドロピリミジン環、ジヒドロトリアジン環が好ましい。
前記一般式(3)におけるR31、R32、およびR34は互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R31で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R31として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル、がより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R31で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R32で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R32として具体的には、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、シアノ基、アセチル基、またはカルバモイル基であることがより好ましく、水素原子、シアノ基が特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R32で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基が好ましく、ピバロイル基、カルバモイル基、フェニル基がより好ましく、カルバモイル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R34で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。R34として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、カルバモイル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、カルバモイル、N−メチルカルバモイル基がより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R34で表われる置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
33、およびR35は互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。
このようなヘテロ原子としては具体的には、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはセレン原子であることが好ましく、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であることがより好ましい。またR35が酸素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(3)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
また、R33が置換基を有する場合、該置換基がR31またはR32と結合して環を形成してもよく。R35が置換基を有する場合、該置換基がR31と結合して環を形成してもよい。このような環としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ジヒドロピリミジン環、ジヒドロトリアジン環が好ましい。
前記一般式(4)におけるR41、およびR44は互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R41で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R41として具体的には水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル、がより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R41で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R41として具体的には、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R44で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。R44として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、カルバモイル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、カルバモイル、N−メチルカルバモイル基がより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R44で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R44として具体的には、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
43、およびR45は互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。
このようなヘテロ原子としては具体的には、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、セレン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子、硫黄原子がより好ましい。またR45が酸素原子を表すのが特に好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基が好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(4)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
また、R43およびR45の少なくとも一方が置換基を有する場合、該置換基がR41と結合して環を形成してもよい。このような環としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ジヒドロピリミジン環、ジヒドロトリアジン環が好ましい。
前記一般式(5)におけるR51、およびR52は互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(5)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R51、およびR52で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R51およびR52として具体的には水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル、がより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(5)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R51およびR52で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R51およびR52として具体的には、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
53、およびR54は互いに独立して置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。
このようなヘテロ原子としては具体的には、一般式(5)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはセレン原子であることが好ましく、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であることがより好ましい。またR53、およびR54の少なくとも1つが酸素原子を表すことが特に好ましい。
本発明において、一般式(5)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(5)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
またR53が置換基を有する場合、該置換基がR52と結合して環を形成してもよく、R54が置換基を有する場合、該置換基がR51と結合して環を形成してもよい。このような環としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ジヒドロピリミジン環、ジヒドロトリアジン環が好ましい。
前記一般式(6)におけるR62、およびR64は互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R62で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R62として具体的には水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、及びスルファモイル基からなる群から選ばれるいずれかの置換基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル、がより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R62で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R62として具体的には、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R64で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R64として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシルアミノ基、カルバモイル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基、カルバモイル、N−メチルカルバモイル基がより好ましく、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセチルアミノ基であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R64で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R64として具体的には、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
63は置換基を有していてもよいヘテロ原子を表す。
このようなヘテロ原子としては具体的には、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物の光学的特性及び諸堅牢性の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはセレン原子であることが好ましく、酸素原子、窒素原子、または硫黄原子であることがより好ましい。またR63が酸素原子であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(6)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、ヘテロ原子上の置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、メシチル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
また、R63が置換基を有する場合、該置換基がR62と結合して環を形成してもよい。このような環としては、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ジヒドロピリミジン環、ジヒドロトリアジン環が好ましい。
前記一般式(7)におけるZ71、およびZ72はそれぞれ独立に−N=もしくは−C(R75)=を表す。
73、およびR74は互いに独立に水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(7)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R73およびR74で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R73およびR74として具体的には、アリール基、ヘテロ環基、炭素数1〜5のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールカルバモイル基が好ましく、フェニル基、アセチル基、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−(2−メトキシフェニル)カルバモイル基がより好ましく、シアノ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
本発明において、一般式(7)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R73およびR74で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R73およびR74として具体的には、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基が好ましく、
フェニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、(2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルシクロヘキシル)オキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基がより好ましく、
t−ブチルオキシカルボニル基、(2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルシクロヘキシル)オキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシル基が特に好ましい。
75は、水素原子または1価の置換基を表す。
本発明において、一般式(7)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を顔料として用いる場合、R75で表される置換基としては、分子内および分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点から、炭素数5以下の置換基、または平面性の高い置換基であることが好ましい。R75として具体的には、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、p−メトキシフェニル基、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基であることが特に好ましい。
本発明において、一般式(7)で表される環構造を含む一般式(II)で表される化合物を染料として用いる場合、R75で表される置換基としては、分子間の相互作用を抑制し、媒体への親和性を付与するという観点から、炭素数6以上36以下の置換基、嵩高い置換基、および親水性の高い置換基のいずれかであることが好ましい。R75として具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、スルファモイル基が好ましく、t−ブチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、アミノ基、カルボキシル基がより好ましく、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。
本発明においては、一般式(I)で表される色素化合物の光学特性と諸堅牢性の観点から、R及びRが、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜9のアシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、炭素数1〜9のモノアルキルアミノ基、炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基、スルファモイル基又はカルバモイル基であって、R〜Rが、炭素数6〜9のアリール基、炭素数3〜9のヘテロ環基、炭素数2〜9のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、若しくはアリールカルバモイル基であって、X〜Xが窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子であることが好ましく、
及びRが、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜9のアシルオキシ基、シアノ基、またはハロゲン原子であって、R〜Rが、互いに独立して、炭素数6〜9のアリール基、炭素数3〜9のヘテロ環基、炭素数2〜9のアシル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールカルバモイル基であって、X〜Xが硫黄原子であることがより好ましい。
また本発明においては、一般式(I)で表される色素化合物が、一般式(II)で表される色素化合物であって、R及びRが、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜9のアシルオキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、またはハロゲン原子であって、環Q、Qが一般式(2)〜(7)のいずれかもしくはその互変異性体であって、X〜Xが硫黄原子であることもまた好ましく、
一般式(I)で表される色素化合物が、一般式(II)で表される色素化合物であって、R及びRが、互いに独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜9のアシルオキシ基、シアノ基、またはハロゲン原子であって、環Q、Qが一般式(2)〜(7)のいずれかもしくはその互変異性体であって、X〜Xが硫黄原子であることもまたより好ましい。
一般式(I)は特に好ましくは、分子間の相互作用を高めて耐溶剤性や耐水性を付与するという観点および、可視光を吸収する良好な光学特性を有するためにいわゆるドナー−アクセプター型の発色団を形成するような化学構造という観点で、下記一般式(8)〜(13)である。
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一般式(8)において、R81,R82,R83,R84はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基である。R85、R86はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基である。R87、R88はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子である。
Figure 2009209126
一般式(9)において、R91,R97はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基である。R92、R98はそれぞれ独立に水素原子、シアノ基、カルバモイル基である。R93、R99はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子である。R94、R910は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基である。R95、R96はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基である。
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一般式(10)において、R101,R104はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基である。R102、R107は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基である。R103、R108はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子である。R105、R106はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基である。
Figure 2009209126
一般式(11)において、R111,R112、R113、R114はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基である。R115、R116はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルキルカルボニル基である。
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一般式(12)において、R121,R123はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基である。R122、R124はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基である。R125、R126はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基である。
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一般式(13)において、R131、R132,R134,R137はそれぞれ独立に、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。R133,R138はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基である。R135、R136はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルキルカルボニル基である。

以下に、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。なお、本明細書において、Prはプロピル基を、Hexはヘキシル基を表す。
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前記一般式(I)で表される化合物は任意の方法で合成することができる。例えば前記一般式(I)におけるR及びRがヒドロキシ基である化合物を合成中間体とし、これに対してアルキル化やアシル化などを行い、所望の置換基を導入する反応により合成することができる。
この前記一般式(I)におけるR及びRがヒドロキシ基である合成中間体は、例えばX、X、X及びXがいずれも硫黄原子の場合には、公知の特許や文献、例えば、特開昭63-225382号公報の3ページ右上段1行目〜左下段1行目の参考例や、Liebigs Ann.Chem.,1969年,726巻,103-109ページ文献中109ページ5行目〜12行目などを参考にして合成することができる。
その他にも、前記一般式(I)で表される化合物は、Journal of Organic Chemistry,1990年,55巻,5347-5350ページの文献中5349ページ右27行目からの実験項、同1994年,59巻,3077-3081ページの文献中3081ページ11行目〜16行目、Tetrahedron Letters,1991年,32巻,4897-4900ページの文献中4897ページ9行目〜4899ページ3行目、同1977年,26巻,2225ページのTable 1、Tetrahedron,1993年,49巻,3035-3042ページの文献中3037ページ11行目〜20行目及び3040ページ22行目〜38行目、Journal of the American Chemical Society,1958年,80巻,1662-1664ページの文献中1664ページ右6行目〜15行目、同1995年,117巻,9995-10002ページの文献中9996ページ右12行目〜9997ページ左46行目、特開平6-80672号公報の4ページ左43行目〜右45行目、Phosphorus,Sulfur,and Silicon,1997年,120&121巻,121-143ページ文献中123ページ18行目〜124ページ3行目、Chem.Commun.,2004年,1758-1759ページの文献中1758ページ左44行目〜54行目、独国特許第3728452号明細書の4ページ46行目〜5ページ16行目、特開昭51-100097号公報の3ページ左上段3行目〜4ページ左下段4行目、特表平5-506428号公報の12ページ右下段1行目〜35ページ右下段1行目、などに記載されている類似構造を有する化合物の合成ルートを参考にして合成することができる。
また、キノン類とN,N-ジアルキルジチオカルバメート塩を反応させて得られるビス(N,N-ジアルキルイミニウム)化合物(例えば、本願実施例中の合成中間体M-2)を合成し、これと活性メチレン化合物やヘテロ環化合物を反応させて合成することもできる。
例えば例示化合物(1)は、二硫化炭素とマロノニトリルを水酸化ナトリウム存在下で反応させて得られるジナトリウム塩をクロラニルと反応させてハイドロキノン化合物(本願実施例中の合成中間体B)を合成し、これと2−エチルヘキサノイルクロリドを塩基存在下で反応させることによって合成することができる。例示化合物(2)は、ハイドロキノン化合物(本願実施例中の合成中間体B)と2−エチルヘキシルブロミドを塩基存在下で反応させることによって合成することができる。
また、ハイドロキノン化合物(本願実施例中の合成中間体B)は、1,4-ベンゾキノンとN,N-ジエチルジチオカルバミン酸カリウムを反応させて、ビス(N,N-ジエチルイミニウム)化合物(本願実施例の合成中間体M-2)を合成し、これとマロノニトリルを反応させることによっても合成することができる。
例えば例示化合物(11)は、二硫化炭素とシアノ酢酸エチルを水酸化カリウム存在下で反応させて得られるジカリウム塩をクロラニルと反応させて例示化合物(72)を合成し、これと2−エチルヘキサノイルクロリドを塩基存在下で反応させることによって合成することができる。例示化合物(12)は、例示化合物(72)と2−エチルヘキシルブロミドを塩基存在下で反応させることによって合成することができる。
また、例示化合物(72)は、先述のように合成した本願実施例の合成中間体M-2とシアノ酢酸エチルを反応させることによっても合成することができる。
例示化合物(59)は、二硫化炭素とシアノ酢酸エチルを水酸化カリウム存在下で反応させて得られるジカリウム塩をヘキサフルオロベンゼンと反応させることによって合成することができる。
例示化合物(51)は、例示化合物(59)とナトリウムドデカンチオレートを反応させることによって合成することができる。
本発明の化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本明細書においては代表的な形の一つで記述しているが、本明細書の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
本発明の化合物は、構造とその置かれた環境によって、適切な対イオンを伴ってカチオンあるいはアニオンになり得る。本明細書においては代表的な対イオンとして対カチオンに水素イオンあるいは対アニオンに水酸化物イオンを用いて記述しているが、これら以外の対イオンを有する場合も本発明の化合物に含まれる。対イオンは1種類であってもよいし任意の比率からなる複数の種類からなってもよい。
本発明の化合物は、RとR、RとR、XとX、XとXあるいはRとRが異なる場合に、互いの位置が入れ替わることによって幾何異性体となり得る。本明細書においてこれらのうち1種の幾何異性体のみが記載されている場合であっても、その他の幾何異性体についても本発明の化合物に含まれる。また、合成あるいは精製の過程で幾何異性体混合物となっている場合でも、その代表的な構造のみが本明細書に記載される。幾何異性体混合物である場合には、その存在比率は0:1〜1:0の間の任意の比率であってよい。
本発明の化合物は、同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
本発明のヘテロ化合物は、医薬、農薬、染料、顔料、紫外線吸収剤、液晶などの機能性材料およびその合成中間体として有用である。
特に、本発明の化合物は、高い光堅牢性でモル吸光係数εが高くかつシャープな吸収を与える染料、顔料、紫外線吸収剤として用いることができる。中でも長波紫外線吸収能に極めて優れており、紫外線吸収剤として好ましく用いることができる。可視域に吸収を有する本発明の化合物を高分子材料と共に用いることで、色相や堅牢性に優れた着色物を与えることができる。紫外線領域に吸収を有する本発明の化合物をプラスチックや繊維などの高分子成形品に含有させることで、高分子成形品の光安定性を高めることができる。さらに、紫外線領域に吸収を有する本発明の化合物を含む高分子材料は、優れた紫外線吸収能を活用して、紫外線に弱い内容物を保護するフィルタや容器として用いることができる。また、本発明の化合物は、強固な中心部から平面上でそれぞれ垂直な4方向に置換基を有している。この構造上の特徴を利用して、液晶化合物や光学異方性材料として好ましく用いることができる。本発明の化合物を高分子材料に含有させフィルム状に加工することで、フィルムに光学特性を付与することができる。さらに本発明の化合物を含むフィルムは、付与した光学特性を活用して、位相差板、偏光板、光学補償フィルムなどとして用いることができる。
以下、本発明の化合物の紫外線吸収剤としての用途について説明する。
なお、本発明の化合物の構造に類似した化合物(例えば前記一般式(I)においてR、R、R及びRがいずれもアルキルチオ基であるものなど)は、例えば電荷移動錯体の構造として古くより知られていたものであるが、紫外線吸収剤としての有用性は報告されていなかった。また、ベンゼン環に2個のヘテロ環が縮環した前記一般式(I)で表される化合物は、ベンゼン環に1個のヘテロ環が縮環した類似化合物(例えば特公昭49−11155号公報に記載の化合物)と比較してモル吸光係数εが2倍以上になり、すなわち単純にヘテロ環が2個になって2倍の紫外線吸収効果が得られると考えられるような関係から外れており、前記一般式(I)で表される化合物が紫外線吸収剤として優れた性能を示すことは全く想像できないものであった。
本発明の紫外線吸収剤の極大吸収波長は、特に限定されないが、好ましくは280〜400nmであり、より好ましくは320〜390nmである。また、極大吸収波長におけるモル吸光係数が78000〜150000であることが好ましく、85000〜120000であることがより好ましく、90000〜110000であることが特に好ましい。上記範囲内の極大吸収波長およびモル吸光係数を有する本発明の化合物は、優れた長波紫外線吸収能を有する。
極大吸収波長については、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座 7 分光II」(丸善、1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製またはガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、酢酸エチル(EtOAc)を溶媒に用いて測定を行うこととする。
また、モル吸光係数については、例えば日本化学会編「新版実験化学講座9 分析化学[II]」(丸善、1977年)244ページなどに記載されている定義を用いたものであり、上述した極大吸収波長を求める際にあわせて求めることができる。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物は、これを含んでなる組成物として好適に使用される。組成物としては、分散物、溶液、混合物、塗布物などが挙げられる。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物は、分散媒体に分散された分散物の状態で使用できる。以下、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む分散物について説明する。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を分散する媒体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を使用する際に用いられる分散媒体の有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、メチルエチルケトンなどのケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン系、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸系、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ環系、などが挙げられる。これらを任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を使用する際に用いられる分散媒体の樹脂としては、従来公知の各種成形体、シート、フィルム等の製造に従来から使用されている熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられ、これらは一種または二種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。また、これらの樹脂は、ナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用される。また、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは組み合わせて使用することもできる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらはナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む分散物には、分散剤、泡防止剤、保存剤、凍結防止剤、界面活性剤などを合わせて用いることもできる。その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む分散物を得るための装置として、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機などを使用できる。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明で使用するのに好ましい高速攪拌型分散機は、ディゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケデイーミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が液中で高速回転(500〜15,000rpm。好ましくは2,000〜4,000rpm)するタイプの分散機である。本発明で使用する高速攪拌型分散機は、ディゾルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開昭55−129136号公報にも記載されているように、高速で回転する軸に鋸歯状のプレートを交互に上下方向に折り曲げたインペラーを着装して成るものも好ましい一例である。
疎水性化合物を含む乳化分散物を調製する際には、種々のプロセスに従うことができる。例えば、疎水性化合物を有機溶媒に溶解するときは、高沸点有機物質、水非混和性低沸点有機溶媒または水混和性有機溶媒の中から任意に選択された一種、又は二種以上の任意の複数成分混和物に溶解し、次いで界面活性化合物の存在化で、水中あるいは親水性コロイド水溶液中に分散せしめる。疎水性化合物を含む水不溶性相と水性相との混合方法としては、攪拌下に水性相中に水不溶性相を加えるいわゆる順混合法でも、その逆の逆混合法でもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む分散物中における前記紫外線吸収剤の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは分散物の全量に対して0.001〜80質量%であり、より好ましくは0.01〜50質量%である。
また、紫外線吸収剤としての本発明の化合物は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態で使用できる。以下、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む溶液について説明する。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を溶解する液体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液の例としては、上述の分散媒体として記載したものが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む溶液は、その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。紫外線吸収剤としての本発明の化合物以外は必ずしも溶解していなくてもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む溶液における前記紫外線吸収剤の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは溶液の全量に対して0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%である。あらかじめ高濃度で溶液を作製しておき、所望の時に希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては上述の溶媒から任意に選択できる。
また、紫外線吸収剤としての本発明の化合物は、任意の化合物との混合物の状態で使用できる。以下、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む混合物について説明する。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む混合物中は、いずれの形状・状態のものであってもよい。例えば、液体、固体、液晶などが挙げられ、固体の場合には平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などが挙げられる。また層状に構成されたものや組成が均一でないものも挙げられる。中でも紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料であることが好ましい。
高分子材料の調製には、その高分子組成物が用いられる。当該高分子組成物は、後述する高分子物質に本発明の紫外線吸収剤を添加してなる。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物は、様々な方法で高分子物質に含有させることができる。紫外線吸収剤としての本発明の化合物が高分子物質との相溶性を有する場合は、紫外線吸収剤としての本発明の化合物を高分子物質に直接添加することができる。高分子物質との相溶性を有する補助溶媒に、紫外線吸収剤としての本発明の化合物を溶解し、その溶液を高分子物質に添加してもよい。紫外線吸収剤としての本発明の化合物を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物を高分子物質に添加してもよい。また、分散物を高分子材料表面にコーティングしてもよい。
高沸点有機溶媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の融点は、150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコール及びパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物の添加方法については、特開昭58−209735号、同63−264748号、特開平4−191851号、同8−272058号の各公報および英国特許第2016017A号明細書を参考にできる。
前記高分子組成物に用いられる高分子物質について説明する。高分子物質としては、天然又は合成ポリマーもしくはコポリマーである。例えば以下のものが挙げられる。
<1> モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテ−1−エン、ポリ−4−メチルペンテ−1−エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィン、例えばシクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる方法によりそしてとりわけ以下の方法により調製され得る:
a)ラジカル重合(通常は高圧下において及び高められた温度において)。
b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群の金属の一つ又はそれ以上を含む触媒を使用した触媒重合。これらの金属は通常、一つ又はそれ以上の配位子、典型的にはπ−又はσ−配位し得るオキシド、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は遊離形態であるか、又は基材に、典型的には活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、アルミナ又は酸化ケイ素に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は重合においてそのまま使用され得、又は他の活性化剤、典型的には金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンであって、該金属が周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の元素であるものが使用されることができる。該活性化剤は、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で都合良く変性され得る。これらの触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チグラー(−ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と命名される。
<2> 前記<1>項で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
<3> モノオレフィン及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテ−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテ−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COC(Cyclo−Olefin Copolymer)のようなエチレン/ノルボルネン)、1−オレフィンが現場で生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)、ならびにエチレンとプロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデン−ノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及びそのようなコポリマーの互いの及び1)で上述したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互の又はランダムのポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
<4> 水素化変性物(例えば粘着付与剤)を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)及びポリアルキレン及びデンプンの混合物。
前記<1>ないし<4>項のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
<5> ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
<6> スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、とりわけp−ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物を含む芳香族ビニルモノマーから誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
<6a> エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はそのアクリル誘導体及び混合物から選択される上述された芳香族ビニルモノマー及びコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーの高耐衝撃性の混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンのようなスチレンのブロックコポリマー。
<6b> 前記<6>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー、とりわけアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製され、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)として言及されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含む。
<6c> 前記<6a>項で言及されたポリマーの水素化から誘導された水素化芳香族ポリマー。
ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチックを含むいずれの立体構造をも有し得;アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
<7> スチレン又はα−メチルスチレンのような芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレン又はポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの前記<6>項に列挙されたコポリマーとの混合物、例えばABS、SAN、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知であるコポリマー混合物。
<8> ポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレン及び塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−及びコポリマー、とりわけハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ボリフッ化ビニリデン、ならびに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーのようなそれらのコポリマー、のようなハロゲン含有ポリマー。
<9> α,β−不飽和酸及びから誘導されたポリマー、及びポリアクリレート及びポリメタクリレートのようなその誘導体;ブチルアクリレートで耐衝撃改善されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
<10> 前記<9>項で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
<11> 不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;ならびに前記<1>項で言及されたオレフィンとそれらのコポリマー。
<12> ポリアルキレングリコール、ボリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーのような環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー。
<13> ポリオキシメチレン及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含むポリオキシメチレンのようなポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
<14> ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
<15> 一方はヒドロキシル基末端を有するポリエーテル、ポリエステル及びポリブタジエンと、他方は脂肪族又は芳香族のポリイソシアナートから誘導されたポリウレタン、ならびにそれらの前駆体。
<16> ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを用いて又は用いずに調製されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド:及び上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとのブロックコポリマー;又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー;ならびにEPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(RIMポリアミド系)。
<17> ポリ尿素、ポリイミド、ボリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
<18> ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、ならびにヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;及びまたポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。米国特許第5,807,932号明細書(2欄、53行)で定義されたようなポリエステル及びポリエステルコポリマーは、参照としてここに組込まれる。
<19> ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
<20> ポリケトン。
<21> ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
<22> 一成分としてのアルデヒドと他成分としてのフェノール、尿素及びメラミンとから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
<23> 乾性及び非乾性アルキド樹脂。
<24> 飽和及び不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと架橋剤としてのビニル化合物とから誘導された不飽和ポリエステル樹脂、及び更に低燃性のそのハロゲン含有変性体。
<25> 置換アクリレート、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
<26> メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂を用いて架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
<27> 脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物から誘導された架橋エポキシ樹脂、例えば、促進剤を用いて又は用いずに、無水物又はアミンのような慣例の硬化剤で架橋されている、ビスフェノールA及びビスフェノールFのグリシジルエーテル生成物。
<28> 天然ポリマー、例えばセルロース、ゴム、ゼラチン及び化学的に変性されたそれらの同族列の誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート及びセルロースブチレート、又はセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;並びにロジン及びそれらの誘導体。
<29> 上述のポリマーの配合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
<30> 純粋なモノマー状化合物又は前記化合物の混合物である天然及び合成有機材料、例えば鉱油、動物及び植物脂肪、油及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)をベースとする油、脂肪及びワックス、及び更に何れかの質量比の合成エステルと鉱油との混合物、代表的には繊維紡糸組成物として使用される混合物、並びに前記材料の水性エマルジョン。
<31> 天然又は合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
<32> ポリシロキサン類、例えば、アメリカ合衆国特許第4259467号明細書に記載された軟質、親水性のポリシロキサン、及び、例えば、アメリカ合衆国特許第4355147号明細書に記載された硬質ポリオルガノシロキサン。
<33> 不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂と又は不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン。前記不飽和アクリル樹脂はウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ペンダント不飽和基を持つビニル若しくはアクリルコポリマー、及びアクリル化されたメラミンを包含する。前記ポリケチミンは、酸触媒の存在下で、ポリアミンとケトンから製造される。
<34> エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー及び多不飽和脂肪族オリゴマーを含む輻射線硬化性組成物。
<35> LSE−4103[商品名、モンサント(Monsanto)社製]のようなエポキシ官能性の共エーテル化された高固形分メラミン樹脂により架橋された光安定化エポキシ樹脂のようなエポキシメラミン樹脂。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を使用する際に用いられる高分子物質は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を使用する際に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は、上記の高分子物質及び本発明の紫外線吸収剤に加えて、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の化合物は、有機材料を光・酸素または熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも本発明の化合物は光安定剤、とりわけ紫外線吸収剤として用いることに最も適している。以下、本発明の化合物の紫外線吸収剤としての用途について説明する。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物によって安定化されるものは、染料、顔料、食品、飲料、身体ケア製品、ビタミン剤、医薬品、インク、油、脂肪、ロウ、表面コーティング、化粧品、写真材料、織物及びその色素、プラスチック材料、ゴム、塗料、高分子材料、高分子添加剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を用いる場合、その態様はいずれの方法であってもよい。紫外線吸収剤として本発明の化合物を単独で用いても、組成物として用いても良いが、組成物として用いることが好ましい。中でも、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料であることがより好ましい。以下、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料について説明する。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は前記高分子物質を用いてなる。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は、前記高分子物質のみから形成されたものでもよく、また、前記高分子物質を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等のウインドウフィルム、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料及び該塗料によって形成される塗膜、アルキド樹脂ラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、アクリルラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、ボトル、ボックス、ブリスター、カップ、特殊包装用、コンパクトディスクコート、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、ポリマー支持体用(例えば、機械及び自動車部品のようなプラスチック製部品用)の保護膜、印刷物オーバーコート、インクジェット媒体被膜、積層艶消し、オプティカルライトフィルム、安全ガラス/フロントガラス中間層、エレクトロクロミック/フォトクロミック用途、オーバーラミネートフィルム、太陽熱制御膜、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、バックライトディスプレーフィルム、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、金型膜、転写式ステッカー、落書き防止膜、テープ、インク等の文房具、標識、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよい。
異なる構造を有する二種類以上の本発明の化合物を併用してもよいし、紫外線吸収剤としての本発明の化合物とそれ以外の構造を有する一種類以上の紫外線吸収剤を併用してもよい。二種類(好ましくは三種類)の紫外線吸収剤を併用すると、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。また、二種類以上の紫外線吸収剤を併用すると、紫外線吸収剤の分散状態が安定化するとの作用もある。紫外線吸収剤として本発明の化合物以外の構造を有する紫外線吸収剤としては、いずれのものでも使用できる。例えば、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)第2章、東レリサーチセンター調査研究部門編集「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)2.3.1、などに記載されている紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、紫外線吸収剤の構造として知られているトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、アクリレート系、安息香酸エステル系シュウ酸ジアミド系などの化合物が挙げられる。例えば、ファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページなどに記載されている。
好ましくは、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系、トリアジン系の化合物である。より好ましくはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系の化合物である。特に好ましくはベンゾトリアゾール系、トリアジン系の化合物である。
前記ベンゾトリアゾール系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(IIa)、(IIb)または(IIc)のいずれかで表される化合物が好ましい。
Figure 2009209126
[前記一般式(IIa)中、
は、水素原子、1〜24個の炭素原子を有するアルキル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、5〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル、または下記一般式:
Figure 2009209126
(式中、R及びRは、互いに独立して1〜5個の炭素原子を有するアルキルを表す。Rは、C2n+1−m基と一緒になって、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基を形成してもよい。mは1又は2を表す。nは2〜20の整数を表す。Mは、−COOR(ここで、Rは、水素原子、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、アルキル部分及びアルコキシ部分に1〜20個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、またはアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルである。)を表す。)
で表される基であり、
は、水素原子、ハロゲン原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、及びアルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
は、水素原子、塩素原子、1〜4個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシ、または−COOR(ここで、Rは先に規定される通りである。)である。
但し、R及びRのうちの少なくとも1つは、水素原子以外である。]
[前記一般式(IIb)中、
Tは、水素原子または1〜6個の炭素原子を有するアルキルであり、
は、水素原子、塩素原子、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシであり、
nは1又は2であり、
nが1のときTは、塩素原子、−OT、または式:
Figure 2009209126
であり、
また、nが2のときTは、式:
Figure 2009209126
、又は−O−T−O−の基である。
(ここで、Tは、水素原子、1〜18個の炭素原子を有しそして非置換であるか、または1〜3個のヒドロキシル基によってもしくは−OCOTによって置換されるアルキル、3〜18個の炭素原子を有し、−O−または−NT−によって連続的炭素−炭素結合が1回または数回中断され、そして非置換であるか、またはヒドロキシルもしくは−OCOTによって置換されるアルキル、5〜12個の炭素原子を有しそして非置換であるか、またはヒドロキシル及び/又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるシクロアルキル、2〜18個の炭素原子を有しそして非置換であるか、またはヒドロキシルによって置換されるアルケニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、または、−CHCH(OH)−Tもしくは
Figure 2009209126
であり、
及びTは、互いに独立して、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜18個の炭素原子を有しそして−O−または−NT−によって連続的炭素−炭素結合が1回または数回中断されるアルキル、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、または2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルであり、
は、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、5〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
は、水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、非置換であるか、またはヒドロキシルによって置換されるフェニル、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキル、または−CHOTであり、
は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜8個の炭素原子を有するアルケニル、5〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、フェニル、1〜4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されるフェニル、または、アルキル部分に1〜4個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
は、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン、4〜8個の炭素原子を有するアルケニレン、4個の炭素原子を有するアルキニレン、シクロヘキシレン、2〜8個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回または数回中断されるアルキレン、または−CHCH(OH)CHO−T11−OCHCH(OH)CH−、もしくは−CH−C(CHOH)−CH−であり、
10は、2〜20個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回もしくは数回中断されることができるアルキレン、またはシクロヘキシレンであり、
11は、2〜8個の炭素原子を有するアルキレン、2〜18個の炭素原子を有しそして−O−によって連続的炭素−炭素結合が1回もしくは数回中断されるアルキレン、1,3−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−フェニレン、もしくは1,4−フェニレンであり、または、T10、及びTは、2個の窒素原子と一緒になって、ピペラジン環になる。)]
[前記一般式(IIc)中、R’は、C〜C12アルキルであり、そしてkは1〜4の数である。]
前記一般式(IIa)〜(IIc)のいずれかで表される化合物の代表例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)−5’−メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール]、2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;
Figure 2009209126
(式中、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)−フェニル]ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
前記トリアジン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmで、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009209126
[前記一般式(III)中、
uは1又は2であり、そしてrは1〜3の整数であり、
置換基Yは、互いに独立して、水素原子、ヒドロキシル、フェニルもしくはハロゲン、ハロゲノメチル、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、1〜18個の炭素原子を有するアルコキシ、−COO−(C〜C18アルキル)によって置換される1〜18個の炭素原子を有するアルコキシである。
uが1のときYは、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、非置換であるか、またはヒドロキシル、ハロゲン、1〜18個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシによって置換されるフェニル;
1〜12個の炭素原子を有しそして−COOH、−COOY、−CONH、−CONHY、−CONY10、−NH、−NHY、−NY10、−NHCOY11、−CN、及び/又は−OCOY11によって置換されるアルキル;
4〜20個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子によって連続的炭素−炭素結合が中断されそして非置換であるか、またはヒドロキシルもしくは1〜12個の炭素原子を有するアルコキシによって置換されるアルキル、3〜6個の炭素原子を有するアルケニル、グリシジル、非置換であるか、またはヒドロキシル、1〜4個の炭素原子を有するアルキル及び/又は−OCOY11によって置換されるシクロヘキシル、アルキル部分に1〜5個の炭素原子を有しそして非置換であるか、またはヒドロキシル、塩素及び/又はメチルによって置換されるフェニルアルキル、−COY12もしくは−SO13である。
また、uが2のときYは、2〜16個の炭素原子を有するアルキレン、4〜12個の炭素原子を有するアルケニレン、キシリレン、3〜20個の炭素原子を有し、1個以上の−O−原子によって連続的炭素−炭素結合が中断され、及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキレン、−CHCH(OH)CH−O−Y15−OCHCH(OH)CH、−CO−Y16−CO−、−CO−NH−Y17−NH−CO−、または−(CH−CO−Y18−OCO−(CHである。
(ここで、
mは、1、2または3であり、
は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、3〜18個の炭素原子を有するアルケニル、3〜20個の炭素原子を有し、1個以上の酸素もしくは硫黄原子または−NT−によって連続的炭素−炭素結合が中断され、及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキル、1〜4個の炭素原子を有しそして−P(O)(OY14、−NY10、もしくは−OCOY11及び/又はヒドロキシルによって置換されるアルキル、3〜18個の炭素原子を有するアルケニル、グリシジル、またはアルキル部分に1〜5個の炭素原子を有するフェニルアルキルであり、
及びY10は、互いに独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、3〜12個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、4〜16個の炭素原子を有するジアルキルアミノアルキル、もしくは5〜12個の炭素原子を有するシクロヘキシルであり、または、Y及びY10は、一緒になって3〜9個の炭素原子を有するアルキレン、オキサアルキレンまたはアザアルキレンであってもよく、
11は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル、またはフェニルであり、
12は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル、フェニル、1〜12個の炭素原子を有するアルコキシ、フェノキシ、1〜12個の炭素原子を有するアルキルアミノ、またはフェニルアミノであり、
13は、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、またはアルキル基に1〜8個の炭素原子を有するアルキルフェニルであり、
14は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル、またはフェニルであり、
15は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレン、または−フェニレン−M−フェニレン−(ここで、Mは、−O−、−S−、−SO−、−CH−または−C(CH−である。)であり、
16は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、オキサアルキレンまたはチアアルキレン、フェニレン、または2〜6個の炭素原子を有するアルケニレンであり、
17は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレン、またはアルキル部分に1〜11個の炭素原子を有するアルキルフェニレンであり、そして
18は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン、または4〜20個の炭素原子を有しそして酸素によって連続的炭素−炭素結合が1回もしくは数回中断されるアルキレンである。)]
前記一般式(III)で表される化合物の代表例としては、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシル)オキシ)フェニル−4,6−ジ(4−フェニル)フェニル−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
前記ベンゾフェノン系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜380nmである化合物が好ましく、その代表例としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−デシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等を挙げることができる。
前記サリチル酸系化合物としては、その有効吸収波長が約290〜330nmである化合物が好ましく、その代表例としてはフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−オクチルフェニルサリシレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレート、ヘキサデシル 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシサリシレートなどを挙げることができる。
前記アクリレート系化合物としては、その有効吸収波長が約270〜350nmである化合物が好ましく、その代表例としては2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、イソオクチル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、ヘキサデシル 2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリレート、メチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、ブチル 2−シアノ−3−メチル−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート、メチル 2−カルボメトキシ−3−(4−メトキシフェニル)シンナメート2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリル酸塩、1,3−ビス(2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)−2,2−ビス(((2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)プロパン、N−(2−カルボメトキシ−2−シアノビニル)−2−メチルインドリン等を挙げることができる。
前記シュウ酸ジアミド系化合物としては、その有効吸収波長が約250〜350nmであるものが好ましく、その代表例としては4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキサニリド等を挙げることができる。
高分子材料中の紫外線吸収剤の添加量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは高分子材料中0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物のみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]で表される化合物や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は、優れた耐光性(紫外光堅牢性)を有しており、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、前記高分子物質を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、本発明の高分子材料からなる成形品(容器等)を得ることができる。また、別途作製した成形品に前記高分子物質の溶液を塗布・乾燥することで、本発明の高分子材料からなる紫外線吸収膜がコーティングされた成形品を得ることもできる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料を紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として用いる場合、高分子物質は透明であることが好ましい。透明高分子材料の例としては、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びポリオキシエチレンなどが挙げられる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂であり、より好ましくはポリカーボネート、ポリエステルである。さらに好ましくはポリエステルであり、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートである。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む高分子材料は透明支持体として用いることもでき、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る包装材料であってもよい。例えば、特開平8−208765号公報に記載の熱可塑性樹脂、特開平8−151455号公報に記載のポリビニルアルコール、特開平8−245849号公報に記載のポリ塩化ビニル、特開平10−168292号公報、特開2004−285189号公報に記載のポリエステル、特開2001−323082号公報に記載の熱収縮性ポリエステル、特開平10−298397号公報に記載のスチレン系樹脂、特開平11−315175号公報、特開2001−26081号公報、特開2005−305745号公報に記載のポリオレフィン、特表2003−524019号公報に記載のROMPなどが挙げられる。例えば特開2004−50460号公報、特開2004−243674号公報に記載の無機物の蒸着薄膜層を有する樹脂であってもよい。例えば特開2006−240734号公報に記載の紫外線吸収剤を含む樹脂を塗布した紙であってもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料は、食料品、飲料、薬剤、化粧品、個人ケア用品等いずれのものを包装するものであってもよい。例えば、特開平11−34261号公報、特開2003−237825号公報に記載の食品包装、特開平8−80928号公報に記載の着色液体包装、特開2004−51174号公報に記載の液状製剤用包装、特開平8−301363号公報、特開平11−276550号公報に記載の医薬品容器包装、特開2006−271781号公報に記載の医療品用滅菌包装、特開平7−287353号公報に記載の写真感光材料包装、特開2000−56433号公報に記載の写真フィルム包装、特開2005−178832号公報に記載の紫外線硬化型インク用包装、特開2003−200966号公報、特開2006−323339号公報に記載のシュリンクラベルなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料は、例えば特開2004−51174号公報に記載の透明包装体であってもよいし、例えば特開2006−224317号公報に記載の遮光性包装体であってもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料は、例えば特開2001−26081号公報、特開2005−305745号公報に記載のように紫外線遮蔽性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていても良い。例えば特開2002−160321号公報に記載のガスバリヤー性を合わせて有するものや、例えば特開2005−156220号公報に記載の酸素インジケータを内包するものや、例えば特開2005−146278号公報に記載の紫外線吸収剤と蛍光増白剤を組み合わせるものなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む包装材料は、いずれの方法を用いて製造してもよい。例えば特開2006−130807号公報に記載のインキ層を形成させる方法、例えば特開2001−323082号公報、特開2005−305745号公報に記載の紫外線吸収剤を含有した樹脂を溶融押出し積層する方法、例えば特開平9−142539号公報に記載の基材フィルム上にコーティングする方法、例えば特開平9−157626号公報に記載の接着剤に紫外線吸収剤を分散する方法などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む容器について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む容器は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る容器であってもよい。例えば、特開平8−324572号公報に記載の熱可塑性樹脂容器、特開2001−48153号公報、特開2005−105004号公報、特開2006−1568号公報に記載のポリエステル製容器、特開2000−238857号公報に記載のポリエチレンナフタレート製容器、特開2001−88815号公報に記載のポリエチレン製容器、特開平7−216152号公報に記載の環状オレフィン系樹脂組成物製容器、特開2001−270531号公報に記載のプラスチック容器、特開2004−83858号公報に記載の透明ポリアミド容器などが挙げられる。例えば特開2001−114262号公報、特開2001−213427号公報に記載の樹脂を含む紙容器であってもよい。例えば特開平7−242444号公報、特開平8−133787号公報、特開2005−320408号公報に記載の紫外線吸収層を有するガラス容器であってもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む容器の用途は食料品、飲料、薬剤、化粧品、個人ケア用品、シャンプー等いずれのものを入れるものであってもよい。例えば特開平5−139434号公報に記載の液体燃料貯蔵容器、特開平7−289665号公報に記載のゴルフボール容器、特開平9−295664号公報、特開2003−237825号公報に記載の食品用容器、特開平9−58687号公報に記載の酒用容器、特開平8−155007号公報に記載の薬剤充填容器、特開平8−324572号公報、特開2006−298456号公報に記載の飲料容器、特開平9−86570号公報に記載の油性食品用容器、特開平9−113494号公報に記載の分析試薬用溶液容器、特開平9−239910号公報に記載の即席麺容器、特開平11−180474号公報、特開2002−68322号公報、特開2005−278678号公報に記載の耐光性化粧料容器、特開平11−276550号公報に記載の医薬品容器、特開平11−290420号公報に記載の高純度薬品液用容器、特開2001−106218号公報に記載の液剤用容器、特開2005−178832号公報に記載の紫外線硬化型インク用容器、WO04/93775号パンフレットに記載のプラスチックアンプルなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む容器は、例えば特開平5−305975号公報、特開平7−40954号公報に記載のように紫外線遮断性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていてもよい。例えば特開平10−237312号公報に記載の抗菌性容器、特開2000−152974号公報に記載の可撓性容器、特開2002−264979号公報に記載のディスペンサー容器、例えば特開2005−255736号公報に記載の生分解性容器などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む容器はいずれの方法を用いて製造してもよい。例えば特開2002−370723号公報に記載の二層延伸ブロー成形による方法、特開2001−88815号公報に記載の多層共押出ブロー成形方法、特開平9−241407号公報に記載の容器の外側に紫外線吸収層を形成させる方法、特開平8−91385号公報、特開平9−48935号公報、特表平11−514387号公報、特開2000−66603号公報、特開2001−323082号公報、特開2005−105032号公報、WO99/29490号パンフレットに記載の収縮性フィルムを用いた方法、特開平11−255925号公報に記載の超臨界流体を用いる方法などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗料および塗膜について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗料は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの成分からなる塗料であってもよい。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アミノアルキッド樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系などが挙げられる。これらの樹脂は主剤、硬化剤、希釈剤、レベリング剤、はじき防止剤などを任意に配合することができる。
例えば、透明樹脂成分としてアクリルウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂を選んだ場合には、硬化剤としてポリイソシアネートなどを、希釈剤としてトルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系を用いることができる。また、ここでアクリルウレタン樹脂とは、メタクリル酸エステル(メチルが代表的)とヒドロキシエチルメタクリレート共重合体とポリイソシアネートと反応させて得られるアクリルウレタン樹脂をいう。なおこの場合のポリイソシアネートとはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。透明樹脂成分としては、他にも例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。更にこれら成分に加えアクリル樹脂、シリコーン樹脂などのレベリング剤、シリコーン系、アクリル系等のはじき防止剤等を必要に応じて配合することができる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗料の使用目的としてはいずれの用途であってもよい。例えば特開平7−26177号公報、特開平9−169950号公報、特開平9−221631号公報、特開2002−80788号公報に記載の紫外線遮蔽塗料、特開平10−88039号公報に記載の紫外線・近赤外線遮断塗料、特開2001−55541号公報に記載の電磁波遮蔽用塗料、特開平8−81643号公報に記載のクリアー塗料、特開2000−186234号公報に記載のメタリック塗料組成物、特開平7−166112号公報に記載のカチオン電着塗料、特開2002−294165号公報に記載の抗菌性および無鉛性カチオン電着塗料、特開2000−273362号公報、特開2001−279189号公報、特開2002−271227号公報に記載の粉体塗料、特開2001−9357号公報に記載の水性中塗り塗料、水性メタリック塗料、水性クリヤー塗料、特開2001−316630号公報に記載の自動車、建築物、土木系品に用いられる上塗り用塗料、特開2002−356655号公報に記載の硬化性塗料、特開2004−937号公報に記載の自動車バンパー等プラスチック材等に使用される塗膜形成組成物、特開2004−2700号公報に記載の金属板用塗料、特開2004−169182号公報に記載の硬化傾斜塗膜、特開2004−107700号公報に記載の電線用塗装材、特開平6−49368号公報に記載の自動車補修塗料、特開2002−38084号公報、特開2005−307161号公報に記載のアニオン電着塗料、特開平5−78606号公報、特開平5−185031号公報、特開平10−140089号公報、特表2000−509082号公報、特表2004−520284号公報、WO2006/097201号パンフレットに記載の自動車用塗料、特開平6−1945号公報に記載の塗装鋼板用塗料、特開平6−313148号公報に記載のステンレス用塗料、特開平7−3189号公報に記載のランプ用防虫塗料、特開平7−82454号公報に記載の紫外線硬化型塗料、特開平7−118576号公報に記載の抗菌性塗料、特開2004−217727号公報に記載の眼精疲労防止用塗料、特開2005−314495号公報に記載の防曇塗料、特開平10−298493号公報に記載の超耐候性塗料、特開平9−241534号公報に記載の傾斜塗料、特開2002−235028号公報に記載の光触媒塗料、特開2000−345109号公報に記載の可剥塗料、特開平6−346022号公報に記載のコンクリート剥離用塗料、特開2002−167545号公報に記載の防食塗料、特開平8−324576号公報に記載の保護塗料、特開平9−12924号公報に記載の撥水性保護塗料、特開平9−157581号公報に記載の板ガラス飛散防止用塗料、特開平9−59539号公報に記載のアルカリ可溶型保護塗料、特開2001−181558号公報に記載の水性一時保護塗料組成物、特開平10−183057号公報に記載の床用塗料、特開2001−115080号公報に記載のエマルション塗料、特開2001−262056号公報に記載の2液型水性塗料、特開平9−263729号公報に記載の1液性塗料、特開2001−288410号公報に記載のUV硬化性塗料、特開2002−69331号公報に記載の電子線硬化型塗料組成物、特開2002−80781号公報に記載の熱硬化性塗料組成物、特表2003−525325号公報に記載の焼付ラッカー用水性塗料、特開2004−162021号公報に記載の粉体塗料およびスラリー塗料、特開2006−233010号公報に記載の補修用塗料、特表平11−514689号公報に記載の粉体塗料水分散物、特開2001−59068号公報、特開2006−160847号公報に記載のプラスチック用塗料、特開2002−69331号公報に記載の電子線硬化型塗料などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗料は一般に塗料(透明樹脂成分を主成分として含む)および紫外線吸収剤から構成されるが、好ましくは樹脂を基準に考えて紫外線吸収剤0〜20質量%の組成である。塗布する際の厚さは、好ましくは2〜1000μmであるが、更に好ましくは5〜200μmの間である。これら塗料を塗布する方法は任意であるが、スプレー法、ディッピング法、ローラーコート法、フローコーター法、流し塗り法などがある。塗布後の乾燥は塗料成分によって異なるが概ね室温〜120℃で10〜90分程度行うことが好ましい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗膜は、前記一般式(I)で表わされる化合物からなる紫外線吸収剤を含む塗膜であり、上記の紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む塗料を用いて形成された塗膜である。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含むインクについて説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含むインクは、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの形態のインクであってもよい。例えば、染料インク、顔料インク、水性インク、油性インクなどが挙げられる。また、いずれの用途に用いられてもよい。例えば、特開平8−3502号公報に記載のスクリーン印刷インク、特表2006−521941号公報に記載のフレキソ印刷インク、特表2005−533915号公報に記載のグラビア印刷インク、特表平11−504954号公報に記載の平版オフセット印刷インク、特表2005−533915号公報に記載の凸版印刷インク、特開平5−254277号公報に記載のUVインク、特開2006−30596号公報に記載のEBインクなどが挙げられる。また例えば、特開平11−199808号公報、WO99/67337号パンフレット、特開2005−325150号公報、特開2005−350559号公報、特開2006−8811号公報、特表2006−514130号公報に記載のインクジェットインク、特開2006−257165号公報に記載のフォトクロミックインク、特開平8−108650号公報に記載の熱転写インク、特開2005−23111号公報に記載のマスキングインク、特開2004−75888号公報に記載の蛍光インク、特開平7−164729号公報に記載のセキュリティインク、特開2006−22300号公報に記載のDNAインクなども挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含むインクを用いることで得られるいずれの形態も本発明に含まれる。例えば特開2006−70190号公報に記載の印刷物、印刷物をラミネートして得られる積層体、積層体を用いた包装材料や容器、特開2002−127596号公報に記載のインク受理層などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む繊維について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む繊維は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る繊維であってもよい。例えば、特開平5−117508号公報、特開平7−119036号公報、特開平7−196631号公報、特開平8−188921号公報、特開平10−237760号公報、特開2000−54287号公報、特開2006−299428号公報、特開2006−299438号公報に記載のポリエステル繊維、特開2002−322360号公報、特開2006−265770号公報に記載のポリフェニレンサルファイド繊維、特開平7−76580号公報、特開2001−348785号公報、特開2003−41434号公報、特開2003−239136号公報に記載のポリアミド繊維、WO03/2661号パンフレットに記載のエポキシ繊維、特開平10−251981号公報に記載のアラミド繊維、特開平6−228816号公報に記載のポリウレタン繊維、特表2005−517822号公報に記載のセルロース繊維などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む繊維はいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平6−228818号公報に記載のように前記一般式(I)で表わされる化合物をあらかじめ含んだ高分子を繊維状に加工してもよいし、例えば特開平5−9870号公報、特開平8−188921号公報、特開平10−1587号公報に記載のように繊維状に加工したものに対して前記一般式(I)で表わされる化合物を含む溶液などを用いて処理をおこなってもよい。特開2002−212884号公報、特開2006−16710号公報に記載のように超臨界流体を用いて処理をおこなってもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む繊維は各種用途に用いることができる。例えば、特開平5−148703号公報に記載の衣料、特開2004−285516号公報に記載の裏地、特開2004−285517号公報に記載の肌着、特開2003−339503号公報に記載の毛布、特開2004−11062号公報に記載の靴下、特開平11−302982号公報に記載の人工皮革、特開平7−289097号公報に記載の防虫メッシュシート、特開平10−1868号公報に記載の工事用メッシュシート、特開平5−256464号公報に記載のカーペット、特開平5−193037号公報に記載の透湿・防水性シート、特開平6−114991号公報に記載の不織布、特開平11−247028号公報に記載の極細繊維、特開2000−144583号公報に記載の繊維からなるシート状物、特開平5−148703号公報に記載の清涼衣料、特開平5−193037号公報に記載の透湿防水性シート、特開平7−18584号公報に記載の難燃性人工スエード状構造物、特開平8−41785号公報に記載の樹脂ターポリン、特開平8−193136号公報に記載の膜剤、外壁材剤、農業用ハウス、特開平8−269850号公報に記載の建築資材用ネット、メッシュ、特開平8−284063号公報に記載のフィルター基材、特開平9−57889号公報に記載の防汚膜剤、特開平9−137335号公報に記載のメッシュ織物、陸上ネット、特開平10−165045号公報に記載の水中ネット、特開平11−247027号公報、特開平11−247028号公報に記載の極細繊維、特開平7−310283号公報、特表2003−528974号公報に記載の防織繊維、特開2001−30861号公報に記載のエアバッグ用基布、特開平7−324283号公報、特開平8−20579号公報、特開2003−147617号公報に記載の紫外線吸収性繊維製品などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む建材について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む建材は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る建材であってもよい。例えば、特開平10−6451号公報に記載の塩化ビニル系、特開平10−16152号公報に記載のオレフィン系、特開2002−161158号公報に記載のポリエステル系、特開2003−49065号公報に記載のポリフェニレンエーテル系、特開2003−160724号公報に記載のポリカーボネート系などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む建材はいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平8−269850号公報に記載のように前記一般式(I)で表わされる化合物を含む材料を用いて所望の形に形成してもよいし、例えば特開平10−205056号公報に記載のように前記一般式(I)で表わされる化合物を含む材料を積層して形成してもよいし、例えば特開平8−151457号公報に記載のように前記一般式(I)で表わされる化合物を用いた被覆層を形成させてもよいし、例えば特開2001−172531号公報に記載のように前記一般式(I)で表わされる化合物を含有する塗料を塗装して形成してもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む建材は各種用途に用いることができる。例えば、特開平7−3955号公報、特開平8−151457号公報、特開2006−266042号公報に記載の外装用建材、特開平8−197511号公報に記載の建材用木質構造体、特開平9−183159号公報に記載の建材用屋根材、特開平11−236734号公報に記載の抗菌性建築資材、特開平10−205056号公報に記載の建材用基材、特開平11−300880号公報に記載の防汚建材、特開2001−9811号公報に記載の難燃性材料、特開2001−172531号公報に記載の窯業系建材、特開2003−328523号公報に記載の装飾用建材、特開2002−226764号公報に記載の建材用塗装物品、特開平10−6451号公報、特開平10−16152号公報、特開2006−306020号公報に記載の化粧材、特開平8−269850号公報に記載の建築資材用ネット、特開平9−277414号公報に記載の建材用透湿防水シート、特開平10−1868号公報に記載の建築工事用メッシュシート、特開平7−269016号公報に記載の建材用フィルム、特開2003−211538号公報に記載の表装用フィルム、特開平9−239921号公報、特開平9−254345号公報、特開平10−44352号公報に記載の建材用被覆材料、特開平8−73825号公報に記載の建材用接着剤組成物、特開平8−207218号公報に記載の土木建築構造物、特開2003−82608号公報に記載の歩行路用塗装材、特開2001−139700号公報に記載のシート状光硬化性樹脂、特開平5−253559号公報に記載の木材用保護塗装、特開2005−2941780号公報に記載の押釦スイッチ用カバー、特開平9−183159号公報に記載の接合シート剤、特開平10−44352号公報に記載の建材用基材、特開2000−226778号公報に記載の壁紙、特開2003−211538号公報に記載の表装用ポリエステルフィルム、特開2003−211606号公報に記載の成形部材表装用ポリエステルフィルム、特開2004−3191号公報に記載の床材などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む記録媒体について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む記録媒体は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、特開平9−309260号公報、特開2002−178625号公報、特開2002−212237号公報、特開2003−266926号公報、特開2003−266927号公報、特開2004−181813号公報に記載のインクジェット被記録媒体、特開平8−108650熱転写インク用受像媒体、特開平10−203033号公報に記載の昇華転写用受像シート、特開2001−249430号公報に記載の画像記録媒体、特開平8−258415号公報に記載の感熱記録媒体、特開平9−95055号公報、特開2003−145949号公報、特開2006−167996号公報に記載の可逆性感熱記録媒体、特開2002−367227号公報に記載の光情報記録媒体などが挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む画像表示装置について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む画像表示装置は前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、特開2006−301268号公報に記載のエレクトロクロミック素子を用いた画像表示装置、特開2006−293155号公報に記載のいわゆる電子ペーパーと呼ばれる画像表示装置、特開平9−306344号公報に記載のプラズマディスプレー、特開2000−223271号公報に記載の有機EL素子を用いた画像表示装置などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤は、例えば特開2000−223271号公報に記載の積層構造中に紫外線吸収層を形成させるものでもよいし、例えば特開2005−189645号公報に記載の円偏光板など必要な部材中に紫外線吸収剤を含むものを用いてもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む太陽電池用カバーについて説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を適用する太陽電池は、結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、色素増感太陽電池などいずれの形式の素子からなる太陽電池であってもよい。結晶シリコン太陽電池やアモルファスシリコン太陽電池において、特開2000−174296号公報に記載のように防汚や耐衝撃性、耐久性を付与する保護部材としてカバー材が用いられている。また色素増感太陽電池において、特開2006−282970号公報に記載のように光(特に紫外線)に励起されて活性となる金属酸化物系半導体を電極材料として用いるため、光増感剤として吸着させた色素が劣化し、光発電効率が徐々に低下する問題があり、紫外線吸収層を設けることが提案されている。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む太陽電池用カバーはいずれの種類の高分子から成るものであってもよい。例えば特開2006−310461号公報に記載のポリエステル、特開2006−257144号公報に記載の熱硬化性透明樹脂、特開2006−210906号公報に記載のα−オレフィンポリマー、特開2003−168814号公報に記載のポリプロピレン、特開2005−129713号公報に記載のポリエーテルサルホン、特開2004−227843号公報に記載のアクリル樹脂、特開2004−168057号公報に記載の透明フッ素系樹脂等が挙げられる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む太陽電池用カバーはいずれの方法で製造してもよい。例えば特開平11−40833号公報に記載の紫外線吸収層を形成してもよいし、特開2005−129926号公報に記載のそれぞれ紫外線吸収剤を含む層を積層してもよいし、特開2000−91611号公報に記載の充填材層の樹脂に含まれていてもよいし、特開2005−346999号公報に記載の紫外線吸収剤を含む高分子からフィルムを形成してもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含む太陽電池用カバーはいずれの形状であってもよい。特開2000−91610号公報、特開平11−261085号公報に記載のフィルム、シート、例えば特開平11−40833号公報に記載の積層フィルム、特開平11−214736号公報に記載のカバーガラス構造などが挙げられる。特開2001−261904号公報に記載の封止材に紫外線吸収剤を含むものであってもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含むガラスおよびガラス被膜について説明する。紫外線吸収剤として本発明の化合物を含むガラスおよびガラス被膜は、前記一般式(I)で表わされる化合物を含むものであればいずれの形態であってもよい。また、いずれの用途に用いられてもよい。例えば、特開平5−58670、特開平9−52738記載の熱線遮断性ガラス、特開平7−48145記載のウインドガラス、特開平8−157232、特開平10−45425、特開平11−217234記載の着色ガラス、特開平8−59289記載の水銀ランプやメタルハライドランプなどの高輝度光源用紫外線シャープカットガラス、特開平5−43266記載のフリットガラス、特開平5−163174記載の車両用紫外線遮断ガラス、特開平5−270855記載の色つき熱線吸収ガラス、特開平6−316443記載の含蛍光増白剤紫外線吸収断熱ガラス、特開平7−237936記載の自動車用紫外線熱線遮断ガラス、特開平7−267682記載の外装用ステンドグラス、特開平7−291667記載の撥水性紫外線赤外線吸収ガラス、特開平7−257227記載の車両用ヘッドアップディスプレイ装置向けガラス、特開平7−232938記載の調光遮熱複層窓、特開平5−78147、特開平7−61835、特開平8−217486記載の紫外線赤外線カットガラス、特開平6−127974、特開平7−53241記載の紫外線カットガラス、特開平8−165146記載の窓用紫外線赤外線吸収ガラス、特開平10−17336記載の窓用紫外線遮断防汚膜、特開平9−67148記載の栽培室用透光パネル、特開平10−114540記載の紫外線赤外線吸収低透過ガラス、特開平11−302037記載の低反射率低透過率ガラス、特開2000−16171記載のエッジライト装置、特開2000−44286記載の粗面形成板ガラス、特開2000−103655記載のディスプレイ用積層ガラス、特開2000−133987記載の導電性膜つきガラス、特開2000−191346記載の防眩性ガラス、特開2000−7371記載の紫外線赤外線吸収中透過ガラス、特開2000−143288記載のプライバシー保護用車両用窓ガラス、特開2000−239045記載の防曇性車両用ガラス、特開2001−287977記載の舗装材料用ガラス、特開2002−127310号公報に記載の水滴付着防止性及び熱線遮断性を有するガラス板、特開2003−342040記載の紫外線赤外線吸収ブロンズガラス、W001/019748記載の合わせガラス、特開2004−43212記載のID識別機能つきガラス、特開2005−70724記載のPDP用光学フィルタ、特開2005−105751記載の天窓などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤を含むガラスはいずれの方法によって作られてもよい。
また、その他使用例としては特開平8−102296号公報、特開2000−67629号公報、特開2005−353554号公報に記載の照明装置用光源カバー、特開平5−272076号公報、特開2003−239181号公報に記載の人工皮革、特開2006−63162号公報に記載のスポーツゴーグル、特開2007−93649号公報に記載の偏向レンズ、特開2001−214121号公報、特開2001−214122号公報、特開2001−315263号公報、特開2003−206422号公報、特開2003−25478号公報、特開2004−137457号公報、特開2005−132999号公報に記載の各種プラスチック製品向けハードコート、特開2002−36441号公報に記載の窓外側貼り付け用ハードコート、特開平10−250004号公報に記載の窓張りフィルム、特開2002−36452号公報に記載の高精細防眩性ハードコートフィルム、特開2003−39607号公報に記載の帯電防止性ハードコートフィルム、特開2004−114355号公報に記載の透過性ハードコートフィルム、特開2002−113937号公報に記載の偽造防止帳表、特開2002−293706号公報に記載の芝の紫斑防止剤、特開2006−274179号公報に記載の樹脂フィルムシート接合用シール剤、特開2005−326761号公報に記載の導光体、特開2006−335855号公報に記載のゴム用コーティング剤、特開平10−34841号公報、特開2002−114879号公報に記載の農業用被覆材、特表2004−532306号公報、特表2004−530024号公報に記載の染色ろうそく、特表2004−525273号公報に記載の布地リンス剤組成物、特開平10−287804号公報に記載のプリズムシート、特開2000−71626号公報に記載の保護層転写シート、特開2001−139700号公報に記載の光硬化性樹脂製品、特開2001−159228号公報に記載の床用シート、特開2002−189415号公報に記載の遮光性印刷ラベル、特開2002−130591号公報に記載の給油カップ、特開2002−307619号公報に記載の硬質塗膜塗工物品、特開2002−307845号公報に記載の中間転写記録媒体、特開2006−316395号公報に記載の人工毛髪、WO99/29490号パンフレット、特開2004−352847号公報に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム、特開2000−224942号公報に記載の釣り用品、特開平8−208976号公報に記載のマイクロビーズ、特開平8−318592号公報に記載のプレコート金属板、特開2005−504735号公報に記載の薄肉フィルム、特開2005−105032号公報に記載の熱収縮性フィルム、特開2005−37642号公報に記載のインモールド成形用ラベル、特開2005−55615号公報に記載の投影スクリーン、特開平9−300537号公報、特開2000−25180号公報、特開2003−19776号公報、特開2005−74735号公報に記載の化粧シート、特開2001−207144号公報に記載のホットメルト接着剤、特表2002−543265号公報、特表2002−543266号公報、米国特許第6225384号明細書に記載の接着剤、特開2004−352783号公報に記載の電着コート、ベースコート、特開平7−268253号公報に記載の木材表面保護、特開2003−253265号公報、特開2005−105131号公報、特開2005−300962号公報、特許第3915339号公報に記載の調光材料、調光フィルム、調光ガラス、特開2005−304340号公報に記載の防蛾灯、特開2005−44154号公報に記載のタッチパネル、特開2006−274197号公報に記載の樹脂フィルムシート接合用シール剤、特開2006−89697号公報に記載のポリカーボネートフィルム被覆、特開2000−231044号公報に記載の光ファイバテープ、特表2002−527559号公報に記載の固形ワックスなどが挙げられる。
次に、高分子材料の耐光性を評価する方法について説明する。高分子材料の耐光性を評価する方法として、「高分子の光安定化技術」(株式会社シーエムシー,2000年)85ページ〜107ページ、「高機能塗料の基礎と物性」(株式会社シーエムシー,2003年)314ページ〜359ページ、「高分子材料と複合材製品の耐久性」(株式会社シーエムシー,2005年)、「高分子材料の長寿命化と環境対策」(株式会社シーエムシー,2000年)、H.Zweifel編「Plastics Additives Handbook 5th Edition」(Hanser Publishers)238ページ〜244ページ、葛良忠彦著「基礎講座2 プラスチック包装容器の科学」(日本包装学会,2003年)第8章などの記載を参考にできる。
また各々の用途に対する評価としては下記の既知評価法により達成できる。
高分子材料の光による劣化は、JIS−K7105:1981、JIS−K7101:1981、JIS−K7102:1981、JIS−K7219:1998、JIS−K7350−1:1995、JIS−K7350−2:1995、JIS−K7350−3:1996、JIS−K7350−4:1996の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。
包装・容器用途として用いられる場合の耐光性は、JIS−K7105の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としては、特開2006−298456号公報に記載のボトル胴体の光線透過率、透明性評価、キセノン光源を用いた紫外線暴露後のボトル中身の官能試験評価、特開2000−238857号公報に記載のキセノンランプ照射後のヘーズ値評価、特開2006−224317号公報に記載のハロゲンランプ光源としたヘイズ値評価、特開2006−240734号公報に記載の水銀灯暴露後のブルーウールスケールを用いた黄変度評価、特開2005−105004号公報、特開2006−1568号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いたヘーズ値評価、着色性目視評価、特開平7−40954号公報、特開平8−151455号公報、特開平10−168292号公報、特開2001−323082号公報、特開2005−146278号公報に記載の紫外線透過率評価、特開平9−48935号公報、特開平9−142539号公報に記載の紫外線遮断率評価、特開平9−241407号公報、特開2004−243674号公報、特開2005−320408号公報、特開2005−305745号公報、特開2005−156220号公報に記載の光線透過率評価、特開2005−178832号公報に記載のインク容器内インキの粘度評価、特開2005−278678号公報に記載の光線透過率評価、日光暴露後の容器内サンプル目視、色差ΔE評価、特開2004−51174号公報に記載の白色蛍光灯照射後の紫外線透過率評価、光透過率評価、色差評価、特開2004−285189号公報に記載の光線透過率評価、ヘーズ値評価、色調評価、特開2003−237825号公報に記載の黄色度評価、特開2003−20966号公報に記載の遮光性評価、L表色系色差式を用いた白色度評価、特開2002−68322号公報に記載のキセノン光を分光した後の波長ごとの暴露後サンプルにおける色差ΔEaを用いた黄ばみ評価、特開2001−26081号公報に記載の紫外線暴露後、紫外線吸収率評価、特開平10−298397号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のフィルム引っ張り伸び評価、特開平10−237312号公報に記載のキセノンウェザーメーター暴露後の抗菌性評価、特開平9−239910号公報に記載の蛍光灯照射後の包装内容物褪色性評価、特開平9−86570号公報に記載のサラダ油充填ボトルに対する蛍光灯暴露後の油の過酸化物価評価、色調評価、特開平8−301363号公報に記載のケミカルランプ照射後の吸光度差評価、特開平8−208765号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の表面光沢度保持率、外観評価、特開平7−216152号公報に記載のサンシャインウェザロメーターを用いた暴露後の色差、曲げ強度評価、特開平5−139434号公報に記載の遮光比評価、灯油中の過酸化物生成量評価などがあげられる。
塗料・塗膜用途として用いられる場合の長期耐久性は、JIS−K5400、JIS−K5600−7−5:1999、JIS−K5600−7−6:2002、JIS−K5600−7−7:1999、JIS−K5600−7−8:1999、JIS−K8741の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としては、特表2000−509082号公報に記載のキセノン耐光試験機およびUVCON装置による暴露後の色濃度およびCIE L色座標における色差ΔEa、残留光沢を用いた評価、特表2004−520284号公報に記載の石英スライド上フィルムに対するキセノンアーク耐光試験機を用いた暴露後の吸光度評価、ロウにおける蛍光灯、UVランプ暴露後の色濃度およびCIE L色座標における色差ΔEaを用いた評価、特開2006−160847号公報に記載のメタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色相評価、特開2005−307161号公報に記載のメタルハイドランプを用いた暴露試験後の光沢保持率評価および色差ΔEaを用いた評価、サンシャインカーボンアーク光源を用いた暴露後光沢感の評価、特開2002−69331号公報に記載のメタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEaを用いた評価、光沢保持率、外観評価、特開2002−38084号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、特開2001−59068号公報に記載のQUV耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEaを用いた評価、光沢保持率評価、特開2001−115080号公報、特開平6−49368号公報、特開2001−262056号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後光沢保持率評価、特開平8−324576号公報、特開平9−12924号公報、特開平9−169950号公報、特開平9−241534号公報、特開2001−181558号公報に記載の塗装板に対するサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の外観評価、特開2000−186234号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率、明度値変化評価、特開平10−298493号公報に記載の塗膜に対するデューサイクルWOM暴露後の塗膜劣化状態の外観評価、特開平7−26177号公報に記載の塗膜の紫外線透過率評価、特開平7−3189号公報、特開平9−263729号公報に記載の塗膜の紫外線遮断率評価、特開平6−1945号公報に記載のサンシャインウェザーオーメーターを用いた塗膜の光沢保持率80%となる時間比較評価、特開平6−313148号公報に記載のデューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた暴露後の錆発生評価、特開平6−346022号公報に記載の屋外暴露後の塗装済み型枠に対するコンクリートの強度評価、特開平5−185031号公報に記載の屋外暴露後の色差ΔEaを用いた評価、碁盤目密着評価、表面外観評価、特開平5−78606号公報に記載の屋外暴露後の光沢保持率評価、特開2006−63162号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度(ΔYI)評価等があげられる。
インク用途として用いられる場合の耐光性は、JIS−K5701−1:2000、JIS−K7360−2、ISO105−B02の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には特表2006−514130号公報に記載の事務所用蛍光灯、褪色試験機を用いた暴露後の色濃度およびCIE L色座標の測定による評価、特開2006−22300号公報に記載のキセノンアーク光源を用いた紫外線暴露後の電気泳動評価、特開2006−8811号公報に記載のキセノンフェードメーターによる印刷物の濃度評価、特開2005−23111号公報に記載の100Wケミカルランプを用いたインク抜け性評価、特開2005−325150号公報に記載のウェザーメーターによる画像形成部位の色素残存率評価、特開2002−127596号公報に記載のアイスーパーUVテスターを用いた印刷物のチョーキング評価、および変色評価、特開平11−199808号公報、特開平8−108650号公報に記載のキセノンフェードメーター暴露後の印刷物についてCIE L色座標における色差ΔEaを用いた評価、特開平7−164729号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の反射率評価などが挙げられる。
太陽電池モジュールの耐光性は、JIS−C8917:1998、JIS−C8938:1995の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006−282970号公報に記載のキセノンランプに太陽光シミュレーション用補正フィルタを装着した光源による暴露後のI−V測定光発電効率評価、特開平11−261085号公報、特開2000−144583号公報に記載のサンシャインウェザーメーター、フェードメータを用いた暴露後の変褪色グレースケール等級評価、色、外観密着性評価などがあげられる。
繊維および繊維製品の耐光性は、JIS−L1096:1999、JIS−A5905:2003、JIS−L0842、JIS−K6730、JIS−K7107、DIN75.202、SAEJ1885、SN−ISO−105−B02、AS/NZS4399の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。特開平10−1587号公報、特開2006−299428号公報、特開2006−299438号公報に記載の紫外線透過率評価、特開平6−228816号公報、特開平7−76580号公報、特開平8−188921号公報、特開平11−247028号公報、特開平11−247027号公報、特開2000−144583号公報、特開2002−322360号公報、特開2003−339503号公報、特開2004−11062号公報に記載のキセノン光源、カーボンアーク光源を用いた暴露後のブルースケール変褪色評価、特開2003−147617号公報に記載のUVカット率評価、特開2003−41434号公報に記載の紫外線遮断性評価、特開平11−302982号公報に記載のドライクリーニング後のカーボンアーク光源を用いた暴露後ブルースケール変褪色評価、特開平7−119036号公報、特開平10−251981号公報に記載のフェードオメーターを用いた暴露後の明度指数、クロマティクネス指数に基づく色差ΔE評価、特開平9−57889号公報、特開平9−137335号公報、特開平10−1868号公報、特開平10−237760号公報に記載のUVテスター、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の引っ張り強度評価、特開平8−41785号公報、特開平8−193136号公報に記載の全透過率評価、強力保持率評価、特表2003−528974号公報、特表2005−517822号公報、特開平8−20579号公報に記載の紫外線保護係数(UPF)評価、特開平6−228818号公報、特開平7−324283号公報、特開平7−196631号公報、特開平7−18584号公報に記載の高温フェードメーターを用いた暴露後の変褪色グレースケール評価、特開平7−289097号公報に記載の屋外暴露後の外観評価、特開平7−289665号公報に記載の紫外線暴露後の黄色度(YI)、黄変度(ΔYI)評価、特表2003−528974号公報に記載の規約反射率評価等があげられる。
建材の耐光性は、JIS−A1415:1999の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006−266402号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の表面色調評価、特開2004−3191号公報、特開2006−306020号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の外観評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観評価、暴露後の吸光度評価、暴露後の色度、色差評価、メタルハイドランプ光源を用いた暴露後のCIE L色座標における色差ΔEaを用いた評価、光沢保持率評価、特開平10−44352号公報、特開2003−211538号公報、特開平9−239921号公報、特開平9−254345号公報、特開2003−211606号公報に記載のサンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のヘーズ値変化評価、暴露後の引張試験機を用いた伸度保持率評価、特開2002−161158号公報に記載の溶媒浸漬後の紫外線透過率評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観目視評価、特開2002−226764号公報に記載のQUV試験後の光沢率変化評価、特開2001−172531号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、特開平11−300880号公報に記載のブラックライトブルー蛍光灯を用いた紫外線暴露後の色差ΔEaを用いた評価、特開平10−205056号公報に記載のコーブコン促進試験機を用いた暴露後の密着保持率評価、紫外線遮断性評価、特開平8−207218号公報、特開平9−183159号公報に記載の屋外暴露(JIS−A1410)後の外観評価、全光透過率評価、ヘイズ変化評価、引張せん断接着強さ評価、特開平8−151457号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露後の全光線透過率評価、ヘイズ評価、黄変度評価、特開平7−3955号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の黄変度(ΔYI)、紫外線吸収剤残存率評価等が挙げられる。
記録媒体用途として用いられる場合の耐光性はJIS−K7350の方法およびこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、特開2006−167996号公報に記載の蛍光灯照射後の印字部位における地肌色差変化評価、特開平10−203033号公報、特開2004−181813号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露による画像濃度残存率評価、特開2002−207845号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた暴露による光学反射濃度変化評価、特開2003−266926号公報に記載のサンテストCPS光褪色試験機を用いた暴露後のL評価形による黄変度評価、特開2003−145949号公報に記載のフェードメーターを用いた暴露後の褪色評価、特開2002−212237号公報に記載のキセノンフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、特開2002−178625号公報に記載の室内太陽光暴露後の色濃度保持率評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露後の色濃度保持率評価、特開2002−367227号公報に記載のフェードメーターを用いた暴露後のC/N評価、特開2001−249430号公報に記載の蛍光灯暴露後のかぶり濃度評価、特開平9−95055号公報に記載の蛍光灯を用いた暴露後の光学反射濃度評価、消去性評価、特開平9−309260号公報に記載のアトラスフェードメーターを用いた暴露後の色差ΔE評価、特開平8−258415号公報に記載のカーボンアークフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、特開2000−223271号公報に記載の有機EL素子色変換特性保持率評価、特開2005−189645号公報に記載のキセノン褪色試験機による暴露後の有機ELディスプレイ輝度測定評価などが挙げられる。
その他の評価法としてはJIS−K7103、ISO/DIS9050の方法およびこれを参考とした方法によって評価できる。具体的には、特開2006−89697号公報に記載のポリカーボネート被覆フィルムのUVテスターによる暴露後の外観評価、特開2006−316395号公報に記載の人工毛髪における紫外線暴露後のブルースケール評価、特開2006−335855号公報に記載の促進耐候性試験機を用いた暴露後の評価用処理布水接触角評価、特開2005−55615号公報に記載の耐候試験機を用いた暴露後の投影スクリーンに映し出された映像目視評価、特開2005−74735号公報に記載のサンシャインウェザーメーター、メタルウェザーメーターを用いた暴露後の試験体表面劣化、意匠性変化目視評価、特開2005−326761号公報に記載の金属ランプリフレクターを用いた点灯暴露後の外観目視評価、特開2002−189415号公報、特開2004−352847号公報に記載のボトル用ラベルの光線透過率評価、特開2003−19776号公報に記載のキセノンウェザーメーターを用いた湿度条件下、暴露後のポリプロピレン劣化評価、特開2002−36441号公報、特開2003−25478号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いたハードコートフィルムの劣化評価、基材の劣化評価、親水性評価、耐擦傷性評価、特開2003−239181号公報に記載のキセノンランプ光源を用いた暴露後の人工皮革のグレースケール色差評価、特開2003−253265号公報に記載の水銀灯を用いた暴露後の液晶デバイス特性評価、特開2002−307619号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の密着性評価、特開2002−293706号公報に記載の芝の紫斑度合い評価、特開2002−114879号公報に記載のキセノンアーク光源を用いた暴露後紫外線透過率評価、引張強度評価、特開2001−139700号公報に記載のコンクリート密着速度評価、特開2001−315263号公報に記載のサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後外観評価、および塗膜密着性評価、特開2001−214121号公報、特開2001−214122号公報に記載のカーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度、密着性評価、特開2001−207144号公報に記載の紫外線フェードメーターを用いた接着性能評価、特開2000−67629号公報に記載の照明点灯時における昆虫類飛来抑制評価、特開平10−194796号公報に記載のアイスーパーUVテスターを用いた合わせガラスの黄変度(ΔYI)評価、特開平8−318592号公報に記載のQUV照射、耐湿テストを行った後の表面外観評価、光沢保持率評価、特開平8−208976号公報に記載のデューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた経時色差評価、特開平7−268253号公報に記載のキセノンウェザロメーターを用いた暴露後の木材基材塗布状態における光沢度(DI)、黄色度指数(YI)評価、特表2002−5443265号公報、特表2002−543266号公報に記載の紫外線照射、暗闇を繰り返した後の紫外線吸収率評価、特表2004−532306号公報に記載の紫外線暴露後の染料褪色色差ΔE評価等が挙げられる。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物は化粧用製剤として用いることもできる。続いて紫外線吸収剤としての本発明の化合物の化粧品製剤としての用途について詳細に説明する。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤は、例えばクリーム、ゲル、ローション、アルコール性および水性/アルコール性溶液、エマルション、ワックス/脂肪組成物、スティック製剤、粉末または軟膏の態様において、更なる助剤および添加剤として、温和な界面活性剤、過脂肪剤、パールエッセンスワックス、稠度調節剤、増粘剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、安定化剤、生物起原の活性成分、消臭活性成分、ふけ取り剤、皮膜形成剤、膨潤剤、更なるUV光防御因子、抗酸化剤、ヒドロトロピー剤、保存剤、防虫剤、セルフタンニング剤、可溶化剤、香料油、着色剤、制菌剤などを追加として含んでいてもよい。
前記過脂肪剤としての使用に適した物質は、例えばラノリンおよびレシチン、ポリオキシエチレン化またはアクリル化ラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドならびに脂肪酸アルカノールアミドが挙げられ、前記脂肪酸アルカノールアミドは、同時に気泡安定剤として作用することができる。
前記の適切な温和な界面活性剤、換言すれば皮膚に特に良好に許容される界面活性剤の例としては、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルファート、モノグリセリドスルファート、モノ、および/またはジ−アルキルスルホスクシナート、脂肪酸イセチオナート、脂肪酸サルコシナート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタマート、α−オレフィンスルホン酸、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/または蛋白質脂肪酸縮合生成物が挙げられ、前記蛋白質脂肪酸縮合生成物は、好ましくは小麦蛋白質に基づくものである。
前記パールエッセンスワックスとしては、例えば:アルキレングリコールエステル、特にジステアリン酸エチレングリコール;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;非置換か、またはヒドロキシ置換された多価カルボン酸の、6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;脂肪物質、例えば総数で少なくとも24個の炭素原子を有する脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カルボナート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸などの脂肪酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたは2〜15個の炭素原子と2〜10個のヒドロキシ基とを有するポリオールによる開環生成物、ならびにその混合物が好ましい。
前記稠度調節剤としては、特に12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、加えて部分グリセリド、脂肪酸およびヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。そのような物質の、同一鎖長のアルキルオリゴグルコシドおよび/または脂肪酸N−メチルグルカミド、あるいはポリグリセリンポリ−12−ヒドロキシステアラートとの混合物が好ましい。適切な前記増粘剤としては、例えばアエロジル(Aerosil)タイプ(親水性ケイ酸)、多糖、特にキサンタンガム、グアーガム、寒天、アルギナートおよびチローゼ類(Tyloses)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロース、また比較的高分子量のポリエチレングリコールの脂肪酸モノ−およびジ−エステル、ポリアクリル酸(例えばGoodrich社からのCarbopol(登録商標)またはSigma社からのSynthalen(登録商標))、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤、例えばポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、脂肪酸のペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパンのようなポリオールエステルとのエステル、制限された同族体分布を有するポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルオリゴグルコシド、ならびに塩化ナトリウムまたは塩化アンモニウムのような電解質が挙げられる。
前記ポリマーの例として、適切な陽イオン性ポリマーは、例えば陽イオン性セルロース誘導体、例えばAmerchol社のポリマーJR400(登録商標)という名で入手可能な第四級化ヒドロキシメチルセルロース、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体、第四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLubicat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンとの縮合生成物、第四級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gruenau)、第四級化小麦ポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンとの共重合体(Cartaretin(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸の塩化ジメチルジアリルアンモニウムとの共重合体(Merquat(登録商標)550/Chemviron)、例えばFR−A−2252840に記載のようなポリアミノポリアミドおよびその架橋水溶性ポリマー、場合により微結晶として分散された、例えば第四級化キトサンの陽イオン性キチン誘導体;ジハロアルキル、例えばジブロモブタンの、ビスジアルキルアミン、例えばビスジメチルアミノ−1,3−プロパンとの縮合生成物、陽イオン性グアーガム、例えばCelaneseのJaguar(登録商標)C−17、Jaguar(登録商標)C−16、第四級化アンモニウム塩ポリマー、例えばMiranolのMirapol(登録商標)A−15、Mirapol(登録商標)AD−1、Mirapol(登録商標)AZ−1である。
陰イオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーとしては、例えば酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体およびそのエステル、非架橋ポリアクリル酸およびポリオールで架橋されたポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリラート共重合体、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル/メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチル/ビニルカプロラクタム三元重合体、ならびに場合により誘導されたセルロースエーテルおよびシリコーンが好ましい。
適切な前記シリコーン化合物としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーン、ならびにアミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−、グリコシド−および/またはアルキル−変性されたシリコーン化合物であり、室温では液体または樹脂形態であってもよい。200〜300個のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンのケイ酸水素化物との混合物であるシメチコーンも適している。加えてCosm.Toil.91,27(1976)記載の揮発性シリコーンについても同様に適している。
前記脂肪の例としてはグリセリドが挙げられ、前記ワックスとしては、とりわけビーズワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、水素化ヒマシ油および場合により親水性ワックス、例えばセチルステアリルアルコールまたは部分グリセリドと混合された、室温で固形の脂肪酸エステルまたはマイクロワックスが好ましい。脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸マグネシウム、アルミニウム、または亜鉛が前記安定化剤として用いられてもよい。
前記の生物起原の活性成分としては、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、レチノール、ビスアボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、擬似セラミド、エッセンシャルオイル、植物抽出液、およびビタミン複合体であることが好ましい。
前記消臭活性成分としては、例えば制汗剤、例えばアルミニウムクロロヒドラート(J.Soc.Cosm.Chem.24,281(1973)を参照)が好ましい。例えば式Al(OH)Cl・2.5HOに対応するアルミニウムクロロヒドラートが、Hoechst AG,Frankfurt(FRG)の登録商標Locron(登録商標)として市販されており、その使用が特に好ましい(J.Pharm.Pharmacol.26,531(1975)参照)。クロロヒドラートの他に、ヒドロキシ酢酸アルミニウムおよび酸性アルミニウム/ジルコニウム塩を使用することもできる。エステラーゼ阻害剤を、更なる消臭有効成分として添加してもよい。そのような阻害剤は、好ましくはクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルなどのクエン酸トリアルキル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT、Henkel KGaA、Duesseldorf/FRG)であり、それは酵素活性を阻害し、それによって臭気形成を抑制する。エステラーゼ阻害剤として考慮される更なる物質は、硫酸またはリン酸ステロール、例えば硫酸またはリン酸ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スティグマステロールおよびシトステロール、ジカルボン酸とそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸およびマロン酸ジエチルエステル、ならびにヒドロキシカルボン酸とそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエステルである。細菌叢に影響を与え、汗分解菌を殺傷し、またはその増殖を阻害する抗菌活性成分が、同様にその製剤(特にスティック製剤)中に存在することができる。例としては、キトサン、フェノキシエタノールおよびグルコン酸クロルヘキシジンが挙げられる。5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール(Irgasan(登録商標)、Ciba Specialty Chemicals社)も、特に効果的であることが証明されている。
前記制汗剤として、例えばクライマゾール(climbazole)、オクトピロックスおよび亜鉛ピリチオンを用いることができる。慣例的な皮膜形成剤としては、例えばキトサン、微結晶性キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、高比率のアクリル酸を含有する第四級セルロース誘導体のポリマー、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに類似の化合物が挙げられる。水相のための膨潤剤としては、モンモリロン石、粘土鉱物、ペミュレンおよびアルキル変性タイプのCarbopol(Goodrich社)を用いてもよい。更に適したポリマーおよび膨潤剤は、R.LochheadによるCosm.Toil.108,95(1993)のレビューに見出すことができる。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤において、一次光防御物質に加えて、紫外線が皮膚または毛髪を透過する際に誘発される光化学反応連鎖を妨害する抗酸化剤類の二次光防御物質を使用することもできる。そのような抗酸化剤の代表的な例は、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカン酸)およびその誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロチノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、金チオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、ならびにそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびその塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに許容量が非常に少ない(例えばpmol〜μmol/kg)スルホキシイミン化合物(例えばブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン類、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−チオニンスルホキシイミン)、ならびに(金属)キレート化剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(たとえばγ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えばパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルリン酸マグネシウム、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよびその誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(例えばパルミチン酸ビタミンA)、ならびにベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、樹脂状ノルジヒドログアヤレチン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、N−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]スルファニル酸(およびその塩、例えば二ナトリウム塩)、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(例えばセレンメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシド)、ならびに上述の活性成分の、本発明による適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。HALS(=「ヒンダードアミン系光安定化剤」)化合物も挙げられてよい。存在する抗酸化剤の量は、UV吸収剤の質量に基づいて、0.001〜30質量%、好ましくは0.01〜3質量%である。
流動性を改善するために、ヒドロトロピー剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを使用することもできる。その目的のために考慮されるポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子、および少なくとも2個のヒドロキシ基を有する。
前記ポリオールは、更なる官能基、特にアミノ基を含んでいてもよく、そして/または窒素で変性されていてもよい。代表的な例は、以下のとおりである:
− グリセリン;
− アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよび100〜1000Daの平均分子量を有するポリエチレングリコール;
− 1.5〜10の固有縮合度を有する工業的オリゴグリセリン混合物(technical oligoglycerol mixtures)、例えば40〜50質量%のジグリセリン含量を有する工業的ジグリセリン混合物;
− メチロール化合物、例えば特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトール;
− 低級アルキルグルコシド、特にアルキル基内に1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
− 5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
− 5〜12個の炭素原子を有する糖、例えばグルコースまたはサッカロース;
− アミノ糖、例えばグルカミン;及び
− ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2−アミノ−1,3−プロパンジオール。
前記の適切な保存剤としては、例えばフェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン類、ペンタンジオールまたはソルビン酸およびSchedule 6,Parts A and B of the Cosmetics Regulationsに列挙された保存剤が挙げられる。
前記香料油として、天然および/または合成の芳香性物質の混合物を挙げることができる。天然の芳香性物質は、例えば花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)から、茎および葉(ゼラニウム、パッチュリ、プチグレン)から、果実(アニス実、コリアンダー、ウイキョウ、ネズ)から、果実皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)から、根(メース、アンジェリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アイリス、ショウブ)から、木(マツの木、サンダルウッド、グアヤクの木、シーダーの木、シタン)から、ハーブおよび草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)から、針状葉および小枝(トウヒ、マツ、ヨーロッパアカマツ、コウザンマツ)から、樹脂およびバルサム(ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポパナックス)からの抽出物である。動物原料の物質、例えばシベットおよびカストリウムも挙げられる。代表的な合成芳香性物質は、例えばエステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールまたは炭化水素類の製品が挙げられる。
エステル類の芳香性物質の化合物は、例えば酢酸ベンジル、イソブチル酸フェノキシエチル、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテル類としては、例えばベンジルエチルエーテルが挙げられ;アルデヒド類としては、例えば8〜18個の炭化水素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアールおよびボージュナールが挙げられ;ケトン類としては、例えばイオノン類、α−イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンが挙げられ;アルコール類としては、例えばアネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピノールが挙げられ;炭水化物類としては、主にテルペン類およびバルサム類が挙げられる。魅力的な香気を一緒に生じる、様々な芳香性物質の混合物を使用することが好ましい。主に芳香成分として用いられ、比較的低揮発性のエーテル油、例えばセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、肉桂の葉の油、ライム花の油、ネズの実の油、ベチベル油、乳香油、ガルバヌム油、ラボラヌム油(labolanum oil)およびラバンジン油も香料油として適している。ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイスアンブレンフォルテ(boisambrene forte)、アンブロキサン、インドール、ヘジオン、サンデリス(sandelice)、レモン油、タンゲリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコラート、シクロバータル(cyclovertal)、ラバンジン油、マスカテルセージ油、β−ダマスコン、ブルボンゼラニウム油、サリチル酸シクロヘキシル、バートフィクスクール(vertofix coeur)、イソ−E−スーパー、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エバニール、イラルデインガンマ(iraldein gamma)、フェニル酢酸、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ローズオキシド、ロミラ(romillat)、イロチル(irotyl)およびフローラマ(floramat)を、単独または互いに混和して用いることが好ましい。
例えば、Farbstoffkommission der Deutchen Forschungsgemeinschaftの発行物「Kosmetische Farbemittel」Verlag Chemie,Weinheim,1984,p.81〜106に編集されたような、化粧目的に適していて認められた物質が、着色剤として用いられてもよい。前記着色剤は、全混合物に基づいて、通常0.001〜0.1質量%の濃度で用いられる。
前記制菌剤の例としては、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジン(1,6−ジ(4−クロロフェニルビグアニド)ヘキサン)またはTCC(3,4,4’−トリクロロカルバニリド)など、グラム陽性菌に対する特異的作用を有する保存剤が挙げられる。多数の芳香性物質およびエーテル油も、抗菌性を有している。
代表的な例は、クローブ油、ミント油およびタイム油中の有効成分のオイゲノール、メントールおよびチモールである。該当する天然消臭剤は、ライム花油に存在するテルペンアルコールファルネソール(3,7,11−トリメチル−2,6,10−トデカトリエン−1−オール)である。モノラウリル酸グリセリンも、静菌剤になることが証明されている。存在する追加の制菌剤の量は、製剤の固形分に基づいて、通常0.1〜2質量%である。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用調製品は、助剤として、シリコーンなどの消泡剤、マレイン酸などの構造物質、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンまたはジエチレングリコールなどの可溶化剤、ラテックス、スチレン/PVPまたはスチレン/アクリルアミド共重合体などの不透明化剤、EDTA、NTA、β−アラニン二酢酸またはホスホン酸などの錯化剤、プロパン/ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、CO、Nまたは空気などの噴射剤、酸化染料前駆体などのいわゆるカップラー、および顕色剤成分、チオグリコール酸とその誘導体、チオ乳酸、システアミン、チオリンゴ酸またはα−メルカプトエタンスルホン酸などの還元剤、あるいは過酸化水素、臭化カリウムまたは臭化ナトリウムなどの酸化剤を含むことができる。
前記防虫剤としては、例えばN,N−ジエチル−m−トルアミド、1,2−ペンタンジオールまたは防虫剤3535が考慮され;適切なセルフタンニング剤は、例えばジヒドロキシアセトン、エリスルロースまたはジヒドロキシアセトンとエリスルロースとの混合物である。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧品配合物は、種々の化粧用調製品中に含有させることができる。例えば、特に以下の調製品が好ましい:
− スキンケア調製品、例えば錠剤型または液体石鹸の形態の皮膚洗浄およびクレンジング調製品、合成洗剤または洗浄用練り剤;
− 入浴調製品、例えば液体(フォームバス、ミルク、シャワー用調製品)または固形入浴調製品、例えばバスキューブおよびバスソルト;
− スキンケア調製品、例えばスキンエマルション、マルチエマルションまたはスキンオイル;
− 化粧用パーソナルケア調製品、例えばデイクリームまたはパウダークリームの形態のフェイシャルメイクアップ、おしろい(粉または固形)、ほお紅またはクリームメークアップ、アイケア調製品、例えばアイシャドウ調製品、マスカラ、アイライナー、アイクリームまたはアイフィックスクリーム;リップスティック、リップグロス、リップ輪郭ペンシル、などのリップケア調製品;ネイルラッカー、ネイルラッカーリムーバー、ネイルハードナーまたはキューティクルリムーバーなどのネールケア調製品、;
− フットケア調製品、例えば足浴、フットパウダー、フットクリームまたはフットバルサム、スペシャルデオドラントおよび制汗剤またはたこ除去用調製品;
− サンミルク、ローション、クリームもしくはオイル、サンブロックもしくはトロピカル(tropicals)、プレタンニング調製品またはアフターサン調製品などの光防御調製品;
− スキンタンニング調製品、例えばセルフタンニングクリーム;
− 脱色調製品、例えば皮膚を漂白するための調製品、または美白調製品;
− 防虫剤、例えば防虫オイル、ローション、スプレーまたはスティック;
− 脱臭スプレー、ポンプ式スプレー、デオドラントゲル、スティックまたはロールオンなどの脱臭剤;
− 制汗剤、例えば制汗スティック、クリームまたはロールオン;
− 傷ついた肌をクレンジングおよびケアするための調製品、例えば合成洗剤(固形または液体)、ピーリングもしくはスクラブ調製品またはピーリングマスク;
− 化学薬品としての除毛調製品(脱毛)、例えば除毛パウダー、液体除毛調製品、クリームもしくはペースト形態の除毛調製品、ゲル形態またはエアロゾルフォームの除毛調製品;
− シェービング調製品、例えばシェービングソープ、泡状シェービングクリーム、非泡状シェービングクリーム、フォームおよびゲル、ドライシェービングのためのプレシェーブ調製品、アフターシェーブまたはアフターシェーブローション;
− 芳香調製品、例えば芳香剤(オードコロン、オードトアレ、オードパルファン、パルファンドトアレット、パルファン)、香料油または香料クリーム;及び
− 化粧用ヘアトリートメント調製品、例えばシャンプーおよびコンディショナーの形態の洗髪調製品、ヘアケア調製品、例えばプレトリートメント調製品、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、強力ヘアトリートメント、ヘアストラクチャリング調製品、例えばパーマネントウェーブのためのヘアウェーブ調製品(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)、縮毛矯正調製品、液体へアセッティング調製品、ヘアフォーム、ヘアスプレー、漂白調製品、例えば過酸化水素溶液、ライトニングシャンプー、漂白クリーム、漂白パウダー、漂白ペーストもしくはオイル、一時的、セミパーマネントヘアカラーもしくはパーマネントヘアカラー、自動酸化染料を含む調製品、またはヘンナもしくはカモミールなどの天然ヘアカラー。
上記の列挙された各調製品は、種々の形態で、例えば:
− W/O、O/W、O/W/O、W/O/WまたはPITエマルションおよび全種類のミクロエマルションのような液体調製品の形態で、
− ゲルの形態で、
− オイル、クリーム、ミルクもしくはローションの形態で、
− パウダー、ラッカー、錠剤もしくはメークアップの形態で、
− スティックの形態で、
− スプレー(噴射ガスを含むスプレーまたはポンプ式スプレー)もしくはエアロゾルの形態で、
− 泡の形態で、または
− ペーストの形態で
存在してもよい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤は、紫外線吸収剤としての本発明の化合物をマイクロカプセルに内包した形で化粧品に配合した剤とすることも好ましい。機能性成分をカプセル化することで人体への影響を低下させたり、化合物の安定性を高めたりする手法が使用されることがある。特に、紫外線吸収剤のような光感受性がある成分を安定に使用する方法として用いられており、「シラソーマ(成和化成社商品名)」として市販のものが使用できる。前記市販の材料では、マイクロカプセル化の素材(膜材)として、シリコーン部とコラーゲンやシルクタンパクなどを加水分解して得られるポリペプチド部とからなるシリコーンレジン化ポリペプチドが使用されている(特開2001−106612号公報参照)。カプセル化する素材としては、天然高分子や合成高分子などいかなる素材でもよく、コラーゲン、ゼラチン、デキストリン、DNA等天然由来の高分子を利用することが好ましい。また、カプセル素材(膜材)に光応答性を付与することで、光に当たった部分から本発明に用いられる紫外線吸収剤を放出させることも可能である。この場合、必要な場合のみ吸収剤が肌に接触するため、肌への刺激性を極力低下させ、吸収剤を安定に保持する方法として、好ましい。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤において、皮膚のための化粧用調製品の態様として特に好ましいのは、ミルク、ローション、クリーム、オイル、サンブロックもしくはトロピカルなどの光防御調製品、プレタンニング調製品またはアフターサン調製品、およびスキンタンニング調製品、例えばセルフタンニングクリームである。特に興味があるのは、サンプロテクトクリーム、サンプロテクトローション、サンプロテクトオイル、サンプロテクトミルク、およびスプレーの形態のサンプロテクト調製品である。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤において、毛髪用の化粧用調製品の態様として特に好ましくは、ヘアトリートメントのための上述の調製品、特にシャンプー、ヘアコンディショナーの形態の洗髪調製品、ヘアケア調製品、例えばプレトリートメント調製品、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、強力ヘアトリートメント、縮毛矯正調製品、液体ヘアセッティング調製品、ヘアフォームおよびヘアスプレーである。特に好ましいのは、シャンプーの形態の洗髪調製品である。
前記シャンプーとしては、例えば以下の組成を有することが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤0.01〜5質量%、ラウレス−2−硫酸ナトリウム12.0質量%、コカミドプロピルベタイン4.0質量%、塩化ナトリウム3.0質量%、そして水を添加して100%とする。
紫外線吸収剤として本発明の化合物を含有する化粧用製剤において、毛髪用の化粧用調製品の態様において、例えば、特に以下のヘア化粧配合物を用いてもよい。
)紫外線吸収剤としての本発明の化合物と、PEG−6−C10オキソアルコールと、セスキオレイン酸ソルビタンとからなり、水、および所望のいずれかの第四級アンモニウム化合物、例えば4%ミンクアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはQuaternium 80が添加される自己乳化性原料配合物、
)紫外線吸収剤としての本発明の化合物と、クエン酸トリブチルと、モノオレイン酸PEG−20−ソルビタンとからなり、水、および所望のいずれかの第四級アンモニウム化合物、例えば4%ミンクアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはQuaternium 80が添加される自己乳化性原料配合物、
b)ブチルトリグリコールとクエン酸トリブチル中の、紫外線吸収剤としての本発明の化合物の四倍濃縮溶液(quat−doped solutions);
c)紫外線吸収剤としての本発明の化合物の、n−アルキルピロリドンとの混合物または溶液。
紫外線吸収剤としての本発明の化合物を化粧用製剤として用いる場合、例えばクリーム、ゲル、ローション、アルコール性および水性/アルコール性溶液、水含有エマルション、油含有エマルション、ワックス/脂肪組成物、スティック製剤、粉末または軟膏に含有することで用いることができる。本発明の紫外線吸収剤を用いることで、長波紫外線吸収能に優れ、しかもこの吸収能を長期間維持可能な化粧用製剤を提供できる。紫外線吸収剤としての本発明の化合物の例として一般式(I)又は(Ia)の化合物例が挙げられるが、例えば皮膚への展延性、油成分であるシリコーンオイルへの溶解性の向上のために下記一般式(Ib)に示すシリコーン系誘導体であってもよい。以下一般式(Ib)について詳述する。
Figure 2009209126
上記一般式(Ib)において、R1b、R2b、R3b、R4b、R5bおよびR6bは前述のR、R、R、R、RおよびRと同義であり、好ましい場合も同じである。X1b、X2b、X3bおよびX4bは前述のX、X、XおよびXと同義であり、好ましい場合も同じである。
Figure 2009209126
は一般式(Ib)構造中のR1b、R2b、R3b、R4b、R5b、R6b、X1b、X2b、X3bおよびX4bの任意の位置から、1個もしくは複数個の水素原子または1価の置換基を取り除くことで1価の置換基とした残基を表し、これが連結基Wと連結している。
b1〜Rb9は同一もしくは異なる基であって、炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基、炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜10のアリール基、水酸基または水素原子を表す。
Wは2価の連結基を表す。この連結基は、炭素原子、および窒素原子、硫黄原子、酸素原子などのヘテロ原子からなる原子または原子団から構成される。例えば、アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン)、アリーレン基(例えば、フェニレン、ナフチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニレン、プロオピニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(Va)−(Vaは水素原子、または1価の置換基を表す。1価の置換基としては前述のEが挙げられる。)、複素環2価基(例えば、6−クロロ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基、キノキサリン−2,3−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数1以上20以下の連結基を表す。上記の連結基は、更に1価の置換基Eを有しても良い。また、これらの連結基は環(芳香族、または非芳香族の炭化水素環、または複素環。)を含有しても良い。
Wとして好ましくは、炭素数10以下のアルキレン基、炭素数15以下のアリーレン基、炭素数10以下のエーテル基を含む2価の連結基、炭素数10以下のアミド基を含む2価の連結基、炭素数10以下のアミノ基を含む2価の連結基である。より好ましくは、炭素数5以下のアルキレン基、炭素数10以下のアリーレン基、炭素数5以下のエーテル基を含む2価の連結基である。特に好ましくは炭素数4以下のアルキレン基である。
m1、m2、m3は、[−O−Si−]結合の数を表し0以上の整数である。m1〜m3として好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは0〜6の整数である。nは0〜5の整数を表す。nが2以上のとき、Wはそれぞれ同じものであっても異なるものであってもよい。好ましくは0〜3の整数である。より好ましくは0または1である。pは残基に対する置換数を表し、1〜5の整数を表す。pとして好ましくは1〜3であり、より好ましくは1または2である。
連結基Wと結合した残基のうち、好ましくはR1b、R2b、R3b、R4b、R5bまたはR6bがエステル基、アミド基、カルボニル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基である場合に水素原子または1価の置換基を取り除くことで1価の置換基とした残基であり、より好ましくはエステル基、アミド基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基である場合であり、特に好ましくはエステル基、アミド基である場合に水素原子または1価の置換基を取り除くことで1価の置換基とした残基である。
続いて、本発明の化合物を着色組成物として使用する場合について説明する。
本発明の化合物を用いた着色組成物は、顔料分散液、インクジェット記録用インク、感熱転写記録用インクシート、カラーフィルター、筆記用ペン、着色プラスチック、その他インク液などのことを指す。
本発明の化合物を用いた着色組成物は、特にインクジェット記録用インク、感熱転写記録用インクシート、カラーフィルターとして有効に用いることができる。
本発明の化合物を用いた着色組成物は、媒体の少なくとも1種を含むが、媒体は水性の媒体であっても非水性の媒体であってもよいが、取扱いの容易さ並びに環境に対する安全性の観点から、水性の媒体を含む水系の着色組成物であることが好ましい。
本発明の化合物を用いた着色組成物において、水性の媒体としては、水を主成分とし、所望により親水性有機溶剤の少なくとも1種を含む混合物を用いることができる。
前記親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン誘導体、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトンが好ましく、
アルコール類、多価アルコール類、グリコール誘導体、2−ピロリドンがより好ましく、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ピロリドンがさらに好ましく、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリンが特に好ましい。
上記親水性有機溶剤の量としては、組成物の粘性、表面張力、揮発しやすさ、生物・環境に対する安全性などの観点から、着色組成物全体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、0.5〜30重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが特に好ましい。
本発明の化合物を用いた着色組成物において、一般式(I)で表される色素化合物は、取扱い性の観点から、媒体に均一に溶解しているか、媒体中に分散されて含まれていることが好ましい。ここで、一般式(I)で表される色素化合物が媒体中に分散されているとは、一般式(I)で表される化合物が微粒子の状態をとって媒体中に浮遊もしくは懸濁している状態であることをいう。
本発明の化合物を用いた着色組成物において、一般式(I)で表される色素化合物が媒体中に分散されて含まれる場合、上記の製造方法によって得られる一般式(I)で表される色素化合物は、後処理を行うことが望ましい。この後処理の方法としては、例えば、ソルベントソルトミリング、ソルトミリング、ドライミリング、ソルベントミリング、アシッドペースティング等の摩砕処理、溶媒加熱処理などによる顔料粒子制御工程、樹脂、界面活性剤および分散剤等による表面処理工程が挙げられる。
本発明の一般式(I)で表される色素化合物は後処理として溶媒加熱処理を行うことが好ましい。溶媒加熱処理に使用される溶媒としては、加熱処理時の温度よりも高い沸点を有する溶媒が好ましい。具体的には、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性非プロトン性有機溶媒、氷酢酸、ピリジン、またはこれらの混合物等が好ましい。
上記操作によって一般式(I)で表される色素化合物は規則的な結晶を与えるが、これは例えばX線回折図から認識することができる。「X線結晶学の基礎」(1973年、丸善)に述べられているように、シェラー(Scherrer)の式によればX線回折図のピークの全波高半値幅(以下、半値幅と呼ぶ)は、結晶粒の平均の大きさに反比例している。
本発明においては、一般式(I)で表される色素化合物を着色組成物とする前段階において、その固体のX線回折図における最大ピークの半値幅は0.40°以下であることが好ましく、0.30°以下であることがさらに好ましい。大きな結晶となることにより着色組成物の堅牢性が向上し、活性な表面が減少することで分散安定性が向上する。
なお、X線回折図における最大ピークが近接した複数のピークから成っているような場合には、他の適切な単一ピークから判断することができる。
本発明の化合物を用いた着色分散組成物は、界面活性剤および分散剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましく、分散剤の少なくとも1種をさらに含むことがより好ましい。界面活性剤、分散剤をさらに含むことで、一般式(I)で表される色素化合物の分散性および着色組成物を用いて形成した画像の品質を向上させることができる。
本発明における分散剤としては、一般式(I)で表される色素化合物を媒体中に分散可能な化合物であれば特に制限はない。例えば、「顔料分散技術 表面処理と分散剤の使い方および分散性評価(1999年技術情報協会刊)」等に記載の分散剤を本発明においても好適に用いることができる。本発明においては、分散安定性の観点から、界面活性剤もしくは親水性高分子であることが好ましい。
界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いてもよいが、顔料および水性媒体それぞれとの親和性を有するという観点から、アニオン性、またはノニオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルが好ましく、
ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リノール酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩がより好ましく、
オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
またノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等が好ましく、
ポリオキシエチレンブチルエーテル、ソルビタンラウレート、グリセリンラウレートがより好ましい。
親水性高分子としては、具体的にはスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドンが好ましく、
スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸フェニル−アクリル酸共重合体がより好ましい。
また、これらの親水性高分子の分子量は、300〜100000の範囲内にあることが好ましく、500〜50000の範囲内にあることがより好ましく、1000〜10000の範囲内にあることが特に好ましい。分子量を300以上とすることで顔料に対して安定に吸着し分散性を付与することでき、分子量を100000以下とすることで着色分散組成物の粘度を自由に制御することができる。
また、これらの親水性高分子の酸価は、10〜400の範囲内にあることが好ましく、30〜300の範囲内にあることがより好ましく、50〜200の範囲内にあることが特に好ましい。酸価を10以上とすることで十分な親水性が得られ、酸価を400以下とすることで顔料に対する十分な親和性を得ることができる。
着色組成物中における界面活性剤もしくは親水性高分子の量としては、一般式(I)で表される色素化合物を媒体中に分散可能であれば特に制限はない。例えば一般式(I)で表される色素化合物に対して0.1〜200質量%とすることができ、分散安定性と着色組成物の品質管理の観点から、1〜100質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。
非水系着色分散組成物は、前記一般式(I)で表される色素化合物を、非水系ビヒクル(非水系の媒体)に分散してなるものである。非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂を用いてもよい。
また、非水系ビヒクルに使用される溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル等が挙げられる。
本発明の化合物を用いた着色分散組成物は、上記一般式(I)で表される色素化合物と、水系または非水系の媒体とを、分散装置を用いて分散することで得られる。使用できる分散装置としては、例えば、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ロールミル、ジェットミル、ペイントシェイカー、アトライター、超音波分散機、ディスパー等が挙げられる。
本発明の化合物を用いた着色組成物において、一般式(I)で表される色素化合物が顔料として含まれる場合、顔料の体積平均粒子径は10nm以上250nm以下であることが好ましい。このとき、本発明の着色分散組成物をカラーフィルターのような光を透過させる着色体に用いる場合は、透明性の高い組成物とするために平均粒子径は比較的小さいことがより好ましい。具体的には、顔料の体積平均粒子径が10nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上30nm以下であることが特に好ましい。また、本発明の着色組成物を印刷インクのような基材に塗布して光を反射させるような着色体として用いる場合には、分散安定性や、光および熱に対する堅牢性を付与するため、更には隠ぺい力を向上させるために平均粒子径は比較的大きいことがより好ましい。具体的には、顔料の体積平均粒子径が40nm以上250nm以下であることがより好ましく、50nm以上200nm以下であることがさらに好ましく、60nm以上150nm以下であることが特に好ましい。なお、顔料粒子の体積平均粒子径とは、顔料そのものの粒子径、又は色材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒子径をいう。本発明において、顔料の体積平均粒子径の測定装置には、ナノトラックUPA粒度分析計(UPA−EX150;日機装社製)を用いた。その測定は、顔料分散体3mlを測定セルに入れ、所定の測定方法に従って行った。尚、測定時に入力するパラメーターとしては、粘度にはインク粘度を、分散粒子の密度には顔料の密度を用いた。
本発明の化合物を用いた着色組成物に含まれる一般式(I)または(II)で表される着色化合物の濃度は、1〜35質量%の範囲であることが好ましく、2〜25質量%の範囲であることがより好ましい。濃度が1質量%以上であることで、着色組成物をインクとして用いた場合に十分な画像濃度を得ることができる。また濃度が35質量%以下であることで、組成物の安定性がより良好になる。すなわち、分散組成物である場合には再凝集による沈降が防止でき、溶解した組成物である場合には析出が防止できる。
本発明の化合物を用いた着色組成物の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられる。具体的には、以下に詳述するインクジェット記録用インクを始めとして、感熱記録材料(例えば、感熱転写記録用インクシート)、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が挙げられる。好ましくはインクジェット記録用インク、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット記録用インクである。
また本発明の化合物を用いた着色組成物は、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
本発明の化合物を用いた着色組成物において、一般式(I)で表される化合物が媒体に溶解して含まれる場合、
媒体が水単独、親水性有機溶剤を1〜40質量%含む水、または高分子バインダーであって一般式(I)で表される化合物が1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、
媒体が水単独もしくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、N―メチルピロリドンの少なくとも1種を1〜40質量%含む水であって、一般式(I)で表される化合物が1〜50質量%の範囲内であることがより好ましく、
媒体が水単独もしくはグリセリンを1〜30%質量%含む水であって、一般式(I)で表される化合物が1〜40質量%の範囲内であることが特に好ましい。
また、本発明の着色組成物において、一般式(I)で表される化合物が媒体に分散して含まれる場合、
媒体が水単独もしくは親水性有機溶剤を1〜40質量%含む水であって、一般式(I)で表される化合物が1〜50質量%の範囲内であって、親水性高分子または界面活性剤を一般式(I)で表される化合物に対して1〜100質量%含むことが好ましく、
媒体が水単独もしくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール、N―メチルピロリドンの少なくとも1種を1〜40質量%含む水であって、一般式(I)で表される化合物が1〜50質量%の範囲内であって、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸フェニル−アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、またはポリエチレングリコールの少なくとも1種を一般式(I)で表される化合物に対して1〜100質量%含むことがより好ましく、
媒体が水単独もしくはグリセリンを1〜30%質量%含む水であって、一般式(I)で表される化合物が1〜40質量%の範囲内であって、スチレン−アクリル酸共重合体、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、またはポリエチレングリコールの少なくとも1種を一般式(I)で表される化合物に対して1〜100質量%含むことが特に好ましい。
〔インクジェット記録用インク〕
次に、本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インク(インクジェット方式記録材料)について説明する。
本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インク(以下、「インク」という場合がある)は、上記で説明した一般式(I)で表される色素化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とし、好ましくは、水溶性溶媒、水等を更に含んで構成することができる。また、前記本発明の着色組成物(好ましくは、顔料分散物)をそのまま用いて構成してもよい。
本発明の化合物を用いたインク中における着色組成物(好ましくは、顔料分散物)の含有割合は、記録媒体上に形成した画像の色相、色濃度、彩度、透明性等の観点から、1〜100質量%の範囲が好ましく、3〜20質量%の範囲が特に好ましく、その中でも3〜10質量%の範囲がもっとも好ましい。
本発明の化合物を用いたインク100質量部中には、前記一般式(I)で表される色素化合物(顔料)を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上10質量部以下含有するのがより好ましく、1〜10質量部含有するのがさらに好ましい。
また、本発明の化合物を用いたインクは、前記一般式(I)で表される色素化合物(顔料)に加えて、他の顔料を含んでいてもよい。2種類以上の顔料を併用する場合は、顔料の含有量の合計が前記範囲となっているのが好ましい。
本発明の化合物を用いたインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
さらに、本発明の化合物を用いたインクは、前記一般式(I)で表される色素化合物(顔料)の他に別の顔料を同時に用いることが出来る。適用できるイエロー顔料(例えば、C.I.PY−74、C.I.PY−128、C.I.PY−155、C.I.PY−213)、適用できるマゼンタ顔料(例えば、C.I.PV−19、C.I.PR−122)適用できるシアン顔料(例えば、C.I.PB−15:3、C.I.PB−15:4)として、各々任意のものを使用することができる。また、適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ顔料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インクに用いられる水溶性溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。
前記多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
また、前記含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が各々挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明の化合物を用いたインクに使用される水溶性溶媒は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用しても構わない。水溶性溶媒の含有率としては、インク全体の1質量%以上60質量%以下、好ましくは、5質量%以上40質量%以下で使用される。インク中の水溶性溶媒の含有率を1質量%以上とすることで、十分な光学濃度を得ることができる。一方、60質量%以下とすることで、インクの粘度の上昇を抑制することができ、インクの噴射特性の安定性を向上させることができる。
本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インクの好ましい物性は以下の通りである。
インクの表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上35mN/m以下である。表面張力を20mN/m以上とすることで記録ヘッドのノズル面への液体の溢れ出しを抑制することができる。一方、60mN/m以下とすることで、印字後の記録媒体への浸透性を向上させることができ、乾燥時間が短くなる。
なお、上記表面張力は、ウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した値である。
インクの粘度は、1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mPa・s以上6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上4.5mPa・s未満である。粘度を8.0mPa・s以下とすることで、吐出性が向上する。一方、1.2mPa・s以上とすることで、長期噴射性が良好になる。
なお、上記粘度(後述するものを含む)の測定は、回転粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、23℃でせん断速度を1400s−1として行った測定値である。
インクには、前記各成分に加えて、上記の好ましい表面張力及び粘度となる範囲で、水が添加される。水の添加量は特に制限は無いが、好ましくは、インク全体に対して、10質量%以上99質量%以下であり、より好ましくは、30質量%以上80質量%以下である。
さらに本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インクには、必要に応じて、吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション、親水性ラテックス等のポリマーエマルション、親水性ポリマーゲル、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。
また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することができる。
更にその他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
本発明の化合物を用いたインクジェット記録用インクは、インクジェット記録方式による画像形成方法に用いることができる。インクジェット記録方式としては特に制限なく公知の方法を適用することができる。
インクジェット記録方式は、インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成するものである。
また、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等を用いることができる。
〔感熱転写記録用インクシート〕
本発明の化合物を用いた感熱転写記録用インクシートは、前記一般式(I)で表される色素化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする。感熱転写記録用インクシートは、一般に支持体上に色素供与層が形成された構造を有しており、その色素供与層中に一般式(I)で表される色素化合物を含有させる。本発明の感熱転写記録用インクシートは、一般式(I)で表される色素化合物をバインダーとともに溶剤中に溶解するか、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インク液を支持体上に塗設し、適宜乾燥して色素供与層を形成することにより製造することができる。また、前記一般式(I)で表される色素化合物に加え、その他の色素化合物を同時に用いてもよい。
前記感熱転写記録用インクシートをフルカラー画像記録が可能な感熱転写記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成することが好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていてもよい。
シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン色素を含有するシアンインクシートとしては、例えば、特開平3−103477号公報や特開平3−150194号公報などに記載されるものを好ましく用いることができる。マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ色素を含有するマゼンタインクシートとしては、例えば、特開平2−123166号公報などに記載されるものを好ましく用いることができる。イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー色素を含有するイエローインクシートとしては、例えば、特開平1−225592号公報などに記載されるものを好ましく用いることができる。
(支持体)
前記感熱転写記録用インクシートの支持体には、インクシート用支持体として従来から用いられているものを適宜選択して用いることができる。例えば特開平7−137466号公報の段落番号0050に記載される材料を好ましく用いることができる。支持体の厚みは、2〜30μmが好ましい。
(色素供与層)
前記感熱転写記録用インクシートの色素供与層に用いることができるバインダー樹脂は、耐熱性が高くて、加熱されたときに一般式(I)で表される色素化合物やその他の色素化合物が受像材料へ移行するのを妨げないものであれば特にその種類は制限されない。例えば、特開平7−137466号公報の段落番号0049に記載されるものを好ましい例として挙げることができる。また、色素供与層形成用の溶剤についても、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができ、特開平7−137466号公報の実施例に記載されるものを好ましく用いることができる。
色素供与層中における一般式(I)で表される色素化合物の含有量は、0.03〜1.0g/mが好ましく、0.1〜0.6g/mがより好ましい。また、色素供与層の厚みは、0.2〜5μmが好ましく、0.4〜2μmがより好ましい。
(機能層)
前記感熱転写記録用インクシートは、本発明の効果を過度に阻害しない範囲内であれば、色素供与層以外の層を有するものであってもよい。例えば、支持体と色素供与層との間に中間層を有するものであってもよいし、色素供与層とは反対側の支持体面(以下において「背面」ともいう)にバック層を有するものであってもよい。中間層としては、例えば下塗り層や、一般式(I)で表される色素化合物やその他の色素化合物の支持体方向への拡散を防止するための拡散防止層(親水性バリアー層)を挙げることができる。また、バック層としては、例えば耐熱スリップ層を挙げることができ、サーマルヘッドのインクシートへの粘着防止を図ることができる。
〔感熱転写記録方法〕
前記感熱転写記録用インクシートを用いて感熱転写記録を行う際には、サーマルヘッド等の加熱手段と受像材料を組み合わせて用いる。すなわち、画像記録信号に従ってサーマルヘッドから熱エネルギーがインクシートに加えられ、該熱エネルギーが加えられた部分の一般式(I)で表される色素化合物やその他の色素化合物が受像材料に移行し固定されることによって画像記録がなされることを特徴とする、感熱転写記録方法である。受像材料は、通常は支持体上にポリマーを含有するインク受容層を設けた構成を有している。受像材料の構成や使用材料については、例えば特開平7−137466号公報の段落番号0056〜0074に記載されたものを好ましく用いることができる。
〔カラーフィルター〕
本発明の化合物を用いたカラーフィルターは、前記一般式(I)で表される色素化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする。カラーフィルターの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号などの各公報で開示されているように、着色剤を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の一般式(I)で表される色素化合物をカラーフィルターに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いてもよいが、好ましい方法としては、特開平4−175753号公報や特開平6−35182号公報に記載されている方法、即ち、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、着色剤および溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物を基体上に塗布後、マスクを通して露光し、該露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルターの形成方法を挙げることができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY.M.C補色系カラーフィルターを得ることができる。
この際使用する熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、および溶剤とそれらの使用量については、前記公報に記載されているものを好ましく使用することができる。
また、カラーフィルター中に含まれる一般式(I)で表される色素化合物の含有量は、フィルター層の総重量に対して5〜80重量%が好ましく、10〜60%がより好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(例示化合物(1)の調製)
水酸化ナトリウム80gをエタノール800mlに溶解し、マロノニトリル66gのエタノール100ml溶液を氷冷下で添加し、続いて二硫化炭素76gを添加した。室温で1時間反応させ、得られた固体を濾過・エタノール洗浄して下記合成中間体Aを166g得た(収率89%)。
クロラニル12.3gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに分散し、下記合成中間体Aの水50ml溶液を氷冷下添加し、室温で6時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗して下記合成中間体Bを15g得た(収率78%)。
下記合成中間体B 1.16gをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに分散し、2,6−ルチジン0.84mlを添加し、続いて2−エチルヘキサノイルクロリド1.11mlを添加し、室温で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗し、精製・再結晶することで例示化合物(1)を0.6g得た(収率31%)。
MS:m/z 638(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.98(t,6H),1.09(t,6H),1.35-1.90(m,16H),2.68(m,2H)。
13C NMR(CDCl3)δ11.96,13.96,22.61,25.21,29.75,31.36,47.14,68.79,111.54,130.41,136.51,171.32,175.38。
λmax=380nm(EtOAc)、ε=77600
また、合成中間体Bは次の方法によっても合成することができる。
合成中間体M−2およびマロノニトリルにN−メチルピロリドンを添加して、窒素雰囲気下、内温80℃で4時間攪拌をおこなった。室温まで冷却し、攪拌下で1N塩酸を添加した。析出した結晶を濾過、水で洗浄して合成中間体Bを得た。
このように合成した合成中間体Bを用いても、同様にして例示化合物(1)を合成することができた。
なお、合成中間体M−2は以下に示す方法で合成した。
ジエチルジチオカルバミン酸カリウム(53%水溶液)40g(0.113モル)にN−メチルピロリドン100mlを加えた。次いで氷冷下で攪拌しながら酢酸60mlを添加した。氷冷下、1,4−ベンゾキノン 24.5g(0.226モル)を分割添加した。室温で2時間攪拌を行なった後、アセトン150mlを添加した。析出した結晶を濾過し、アセトンで洗浄して例示化合物M−2を23.9g得た(収率68.0%)。
あるいは、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム3水和物 38.4g(0.17mol)を水19mlおよびN−メチルピロリドン180mlに溶解し、続いて水冷下で攪拌しながら酢酸90mlを添加した。水冷下、1,4−ベンゾキノン 18.4g(0.17mol)を内温25℃以下で30分かけて添加した。室温で2時間攪拌した後、1,4−ベンゾキノン 9.2g(0.085mol)を添加し、さらに室温で2時間攪拌をおこなった。アセトン60mlを添加し、析出した結晶を濾過し、アセトンで洗浄して合成中間体M−2を35g得た(収率63%)
MS:m/z 402(M+)。
1H NMR(CD3COOD)δ1.51(t,12H),3.99(s,8H),6.70(s, 8H)。
Figure 2009209126
実施例2
(例示化合物(2)の調製)
上記合成中間体B 1.16gをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに分散し、2−エチルヘキシルブロミド1.24mlを添加し、続いて炭酸カリウム1gを添加し、60℃で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗し、精製することで例示化合物(2)を0.5g得た(収率27%)。
MS:m/z 610(M+)。
λmax=381nm(EtOAc)、ε=78000
実施例3
(例示化合物(72)の調製)
水酸化カリウム22.4gをエタノール250mlに溶解し、シアノ酢酸エチル21.3mlを氷冷下で添加し、続いて二硫化炭素15.2gを添加した。室温で1時間反応させ、得られた固体を濾過・エタノール洗浄して上記合成中間体Cを36.5g得た(収率69%)。
クロラニル6.1gをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに分散し、上記合成中間体Cの水25ml溶液を氷冷下添加し、室温で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗して例示化合物(72)を15g得た(収率78%)。
MS:m/z 480(M+)。
また、例示化合物(72)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2およびシアノ酢酸エチルにN−メチルピロリドンを添加して、窒素雰囲気下、内温70℃で3時間攪拌をおこなった。室温まで冷却し、攪拌下メタノール次いで酢酸を添加した。析出した結晶を濾過、メタノールで洗浄して例示化合物(72)を得た。
実施例4
(例示化合物(11)の調製)
例示化合物(72)1.44gをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに分散し、2,6−ルチジン0.84mlを添加し、続いて2−エチルヘキサノイルクロリド1.11mlを添加し、室温で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗し、精製することで例示化合物(11)を0.16g得た(収率8%)。
MS:m/z 720(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.98(t,6H),1.09(t,6H),1.35-1.90(m,16H),2.61-2.72(m,2H)。
13C NMR(CDCl3)δ11.96,13.96,22.61,25.21,29.75,31.36,47.14,68.79,111.54,130.41,136.51,171.32,175.38。
λmax=381nm(EtOAc)、ε=92900
実施例5
(例示化合物(12)の調製)
例示化合物(72)1.44gをN,N−ジメチルアセトアミド5mlに分散し、2−エチルヘキシルブロミド1.24mlを添加し、続いて炭酸カリウム1.0gを添加し、60℃で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗し、精製することで例示化合物(12)を0.5g得た(収率24%)。
MS:m/z 704(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.90-1.05(m,12H),1.38(t,6H),1.40-1.85(m,18H),4.02-4.10(m,4H),4.30-4.42(m,4H)。
13C NMR(CDCl3)δ11.98,13.91,12.25,14.25,22.70,25.25,29.71,31.43,47.16,62.55,111.54,130.41,136.51,171.73。
λmax=382nm(EtOAc)、ε=87600
実施例6
(例示化合物(24)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにピバロイルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例3および実施例5と同様にして、収率4%で例示化合物(24)を得た。
MS:m/z 729(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.91-1.05(m,12H),1.34-1.48(m,26H),1.50-1.69(m,8H),1.81-1.91(m,2H),4.10-4.18(m,4H)。
λmax=399nm(EtOAc)、ε=96000
また、例示化合物(24)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M-2 12.4g(0.02モル)およびピバロイルアセトニトリル6.0g(0.048モル)にN-メチルピロリドン100mlを添加した。窒素雰囲気下、内温80℃で4時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、攪拌下で1N塩酸30mlを添加した。析出した結晶を濾過、水で洗浄して例示化合物(139)を9.4g得た(収率98.0%)。
1H NMR(DMSO-d6)δ1.32(s,18H)。
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(139)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率4%で例示化合物(24)を得た。
実施例7
(例示化合物(74)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにシアノ酢酸3−ヒドロキシ−3−メチルブチルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、例示化合物(74)を合成した。
MS:m/z 596(M+)。
1H NMR(DMSO-d6)δ1.16(s,12H),1.79(t,4H),4.30(t,4H),3.70-4.90(br,2H),10.0-11.5(br,2H)。
また、例示化合物(74)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2 8.0g(0.0128モル)およびシアノ酢酸3−ヒドロキシ−3−メチルブチル4.8g(0.028モル)にN-メチルピロリドン50mlを添加した。窒素雰囲気下、内温80℃で3時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、酢酸エチル30mlおよび水50mlを添加した。攪拌下、濃塩酸2.5mlを添加した。析出した結晶を濾過、酢酸エチルおよび水で洗浄して例示化合物(74)を7.3g得た(収率95.5%)。
実施例8
(例示化合物(104)の調製)
例示化合物(74)3.0gをテトラヒドロフラン(THF)10mlに分散し、4−(4−エチルシクロヘキシル)シクロヘキサンカルボニルクロリド2.6g及びピリジン0.8gを添加し、60℃で5時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体を濾過・水洗し、精製することで例示化合物(104)を1.8g得た(収率35%)。
MS:m/z 1046(M+)。
λmax=386nm(CH2Cl2)、ε=99900
実施例9
(例示化合物(86)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにシアノ酢酸2−エチルヘキシルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率52%で例示化合物(86)を得た。
MS:m/z 649(M+)。
1H NMR(DMSO-d6)δ0.78-0.97(m,12H),1.20-1.45(m,16H),1.54-1.70(m,2H),4.05-4.20(m,4H)。
また、例示化合物(86)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2 8.0g(0.02モル)およびシアノ酢酸2-エチルヘキシル5.7g(0.029モル)にN-メチルピロリドン30mlを添加した。窒素雰囲気下、内温70℃で3時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、攪拌下メタノール40ml、次いで酢酸8mlを添加した。析出した結晶を濾過、メタノール洗浄して例示化合物(86)を8.0g得た(収率96.0%)。
実施例10
(例示化合物(81)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(86)を用いたこと以外は実施例4と同様にして、収率18%で例示化合物(81)を得た。
MS:m/z 900(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.81-0.95(m,12H),1.02(t,6H),1.12(t,6H),1.22-1.54(m,24H),1.61-1.92(m,10H),2.61-2.72(m,2H),4.12-4.28(m,4H)。
λmax=381nm(EtOAc)、ε=99000
実施例11
(例示化合物(82)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(86)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率32%で例示化合物(82)を得た。
MS:m/z 873(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.82-1.06(m,24H),1.25-1.61(m,32H),1.62-1.81(m,4H),4.01-4.08(m,4H),4.12-4.23(m,4H)。
λmax=383nm(EtOAc)、ε=92000
実施例12
(例示化合物(87)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(74)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率18%で例示化合物(87)を得た。
MS:m/z 821(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.81-1.08(m,12H),1.32(s,14H),1.34-1.45(m,8H),1.46-1.72(m,8H),1.73-1.85(m,2H),1.98(t,4H),4.04-4.09(m,4H),4.48(t,4H)。
λmax=383nm(EtOAc)、ε=92000
実施例13
(例示化合物(88)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(86)を用い、2−エチルヘキシルブロミドの代わりにジメチル硫酸を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率19%で例示化合物(88)を得た。
MS:m/z 677(M+)。
1H NMR(CDCl3)δ0.83-0.92(dt,12H),1.25-1.50(m,16H),1.62-1.74(m,2H),4.02(s,6H),4.15-4.27(m,4H)。
λmax=383nm(EtOAc)、ε=92000
実施例14
(例示化合物(121)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにシアノ酢酸t−ブチルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率55%で例示化合物(121)を得た。
MS:m/z 537(M+)
また、例示化合物(121)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2 3.1gをN−メチルピロリドン20mlに分散し、次いでシアノ酢酸t−ブチル1.69gを添加後、80℃で6時間反応させた。室温に冷却後、酢酸5ml、メタノール20mlを添加することにより黄色粉末を得た。これをメタノールで再結晶することにより例示化合物(121)を収率55%で得た。
実施例15
(例示化合物(122)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(121)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率15%で例示化合物(122)を得た。
MS:m/z 760(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.93-1.08(m,12H),1.42(s,18H),1.51-1.67(m,16H),1.79-1.88(m,2H),4.08-4.15(m,4H)
実施例16
(例示化合物(130)の調製)
例示化合物(86)1.06gをN,N−ジメチルアセトアミド10mlに分散し、2−ブロモエタノール0.44gを添加し、続いて炭酸カリウム0.66gを添加し、80℃で4時間反応させた。反応液に塩酸水溶液を加え、生じた固体を濾過・水洗し、エタノール再結晶することで例示化合物(130)を0.65g得た(収率55%)。
MS:m/z 736(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.87-0.99(m,12H),1.25-1.48(m,16H),1.61-1.78(m,2H),4.01-4.06(m,4H),4.16-4.22(m,4H),4.25-4.32(m,4H)
実施例17
(例示化合物(131)の調製)
2−ブロモエタノールの代わりに2−ヨードプロパンを用いたこと以外は実施例16と同様にして、収率18%で例示化合物(131)を得た。
MS:m/z 734(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.85-0.97(m,12H),1.25-1.50(m,16H),1.62-1.73(m,2H),4.17-4.25(m,4H),4.65-4.77(m,2H)
実施例18
(例示化合物(132)の調製)
2−ブロモエタノールの代わりに安息香酸2−ブロモエチルを用いたこと以外は実施例16と同様にして、収率45%で例示化合物(132)を得た。
MS:m/z 945(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.85-0.99(m,12H),1.27-1.50(m,16H),1.65-1.76(m,2H),4.17-4.24(m,4H),4.45-4.52(m,4H),4.63-4.70(m,4H),7.42-4.60(m,6H),8.05-8.12(m,4H)
実施例19
(例示化合物(123)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにシアノ酢酸iso−ブチルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率72%で例示化合物(123)を得た。
MS:m/z 536(M+)
また、例示化合物(123)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりにシアノ酢酸iso−ブチルを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率49%で例示化合物(123)を得た。
実施例20
(例示化合物(124)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(123)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率24%で例示化合物(124)を得た。
MS:m/z 760(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.90-1.10(m,24H),1.30-1.68(m,16H),1.70-1.84(m,2H),1.99-2.14(m,2H),4.00-4.12(m,8H)
実施例21
(例示化合物(125)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりに2−シアノ−N,N’−ジメチルアセトアミドを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率63%で例示化合物(125)を得た。
MS:m/z 478(M+)
また、例示化合物(125)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりに2−シアノ−N,N’−ジメチルアセトアミドを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率59%で例示化合物(125)を得た。
実施例22
(例示化合物(126)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(125)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率1%で例示化合物(126)を得た。
MS:m/z 703(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.90-1.14(m,12H),1.28-1.70(m,16H),1.71-1.85(m,2H),3.01-3.32(s,12H),3.95-4.08(m,4H)
実施例23
(例示化合物(127)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(125)を用い、2,6−ルチジンの代わりにトリエチルアミンを用いた以外は実施例4と同様にして、収率6%で例示化合物(127)を得た。
MS:m/z 731(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.95-1.02(t,6H),1.10-1.14(t,6H),1.40-1.55(m,8H),1.75-1.93(m,8H),2.60-2.69(s,2H),3.01-3.30(s,12H)
実施例24
(例示化合物(128)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりに2−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミドを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率88%で例示化合物(128)を得た。
MS:m/z 634(M+)
また、例示化合物(128)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりに2−シアノ−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミドを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率89%で例示化合物(128)を得た。
実施例25
(例示化合物(129)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(128)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率1%で例示化合物(129)を得た。
MS:m/z 859(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.90-1.14(m,12H),1.28-1.70(m,16H),1.71-1.89(m,2H),3.90(s,6H),4.01-4.11(m,4H),6.82-6.90(m,2H),6.91-7.00(m,2H),7.02-7.09(m,2H),8.30-8.35(m,2H),8.41(s,2H)
実施例26
(例示化合物(133)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにベンゾイルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率84%で例示化合物(133)を得た。
MS:m/z 544(M+)
また、例示化合物(133)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりにベンゾイルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率85%で例示化合物(133)を得た。
実施例27
(例示化合物(134)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(133)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率5%で例示化合物(134)を得た。
MS:m/z 770(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.95-1.01(t,6H),1.04-1.12(t,6H),1.51-1.69(m,16H),1.82-1.92(m,2H),4.15-4.21(m,4H),7.49-7.62(m,6H),7.98-8.03(m,4H)
実施例28
(例示化合物(135)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにフェニルスルホニルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率46%で例示化合物(135)を得た。
MS:m/z 616(M+)
また、例示化合物(135)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりにフェニルスルホニルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率44%で例示化合物(135)を得た。
実施例29
(例示化合物(136)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(135)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率6%で例示化合物(136)を得た。
MS:m/z 842(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.85-1.13(m,12H),1.40-1.70(m,16H),1.75-1.86(m,2H),3.92-4.12(td,4H),7.54-7.64(m,4H),7.66-7.73(m,2H),7.98-8.03(m,4H)
実施例30
(例示化合物(137)の調製)
シアノ酢酸エチルの代わりにメチルスルホニルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例3と同様にして、収率49%で例示化合物(137)を得た。
MS:m/z 492(M+)
また、例示化合物(135)は次のようにしても調製できる。
シアノ酢酸t−ブチルの代わりにメチルスルホニルアセトニトリルを用いたこと以外は実施例14の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率53%で例示化合物(135)を得た。
実施例31
(例示化合物(138)の調製)
例示化合物(72)の代わりに例示化合物(137)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、収率4%で例示化合物(138)を得た。
MS:m/z 928(M+)
1H NMR(CDCl3)δ0.84-1.04(m,12H),1.32-1.61(m,16H),1.72-1.83(m,2H),3.21(s,6H),4.01-4.025(m,4H)
実施例32
(例示化合物(7)の調製)
合成中間体B 1.93gをテトラヒドロフラン20mlに懸濁させ、無水酢酸1.1mlを加えた。さらにトリエチルアミン2.1mlを加えたのち、3時間加熱還流した。反応混合物中の沈殿を濾別し、テトラヒドロフランで洗浄し、乾燥させて0.84gの例示化合物(7)(淡黄色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm-1):2216(s),1795(s),1479(s),1423(m),1369(m),1144(s)
1H NMR(CDCl3)δ0.84-1.04(m,12H),1.32-1.61(m,16H),1.72-1.83(m,2H),3.21(s,6H),4.01-4.025(m,4H)
実施例33
(例示化合物(3−1)の調製)
Figure 2009209126
水酸化ナトリウム4.0gをエタノール45mlに懸濁させ、バルビツール酸6.4gを加えたのち撹拌しながら2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、二硫化炭素3.0mlを添加し、40℃で2時間撹拌した。結晶を濾別し、11.2gの化合物(b)を得た。
クロラニル1.23gをN,N−ジメチルアセトアミド18mlに溶解し、10℃に冷却しながら化合物(b)2.48gを水5mlに溶解した溶液を滴下した。得られた黒い溶液を室温で5時間撹拌した。さらに水を5ml加え、3℃に冷却した後、結晶を濾別した。冷水で洗浄し、乾燥させて2.04gの例示化合物(3−1)(黄色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3430-3450(s,br),1718(s),1647(s),1431(s),1348(m),582(m)
また、例示化合物(3−1)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2 1.24gとバルビツール酸0.77gをジメチルスルホキシド100mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら5時間撹拌したのち、室温まで冷却した。一度溶解したあと新たに析出してきた固体を濾別した。ジメチルスルホキシド、次いで水で洗浄し、乾燥させて1.01gの例示化合物(3−1)(黄色結晶)を得た。
実施例34
(例示化合物(3−2)の調製)
例示化合物(3−1)0.51gをN,N−ジメチルアセトアミド10mlに懸濁させ、硫酸ジメチル0.28mlとジイソプロピルエチルアミン0.70mlを加えた。この懸濁液を70℃で4時間撹拌したのち室温まで冷却し、沈殿を濾別してジメチルアセトアミド、水、メタノールで洗浄した。これを乾燥させて0.31gの例示化合物(3−2)(淡黄緑色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3430-3450(s,br),1718(s),1645(s),1556(w),1431(s),1350(m)
実施例35
(例示化合物(3−3)の調製)
例示化合物(3−1)0.51gをジメチルスルホキシド10mlに懸濁させ、無水酢酸1.4mlを加えた。さらにトリエチルアミン2.0mlを加えると結晶が溶解し、均一な溶液となった。この溶液を70℃で4時間撹拌し、析出した結晶を濾別した。ジメチルスルホキシド及び水で洗浄し、乾燥させて0.40gの例示化合物(3−3)(淡黄色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3430-3450(s,br),1780(m),1720(s),1647(s),1446(s),1356(m),1146(m),573(s)
実施例36
(例示化合物(3−4)の調製)
Figure 2009209126
水酸化ナトリウム4.0gをエタノール45mlに懸濁させ、チオバルビツール酸7.2gを加えたのち撹拌しながら2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、二硫化炭素3.0mlを添加し、40℃で2時間撹拌した。結晶を濾別し、12.6gの化合物(c)を得た。
クロラニル1.23gをN,N−ジメチルアセトアミド18mlに溶解し、10℃に冷却しながら化合物(c)2.64gを水5mlに溶解した溶液を滴下した。この溶液を室温で5時間撹拌した。さらに水を5ml加え、3℃に冷却した後、結晶を濾別した。冷水で洗浄し、乾燥させて1.99gの例示化合物(3−4)(黄褐色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3430-3450(s,br),3109(m),3018(m),2901(m),1660(m),1616(s),1531(s),1443(s),1161(s)
また、例示化合物(3−4)は次のようにしても調製できる。
合成中間体M−2 1.24gとチオバルビツール酸0.90gをジメチルスルホキシド50mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら4時間撹拌したのち、室温まで冷却した。析出している固体を濾別し、ジメチルスルホキシド、水、メタノールの順に洗浄し、乾燥させて0.55gの例示化合物(3−4)(黄褐色結晶)を得た。
実施例37
(例示化合物(3−6)の調製)
例示化合物(3−4)1.09gをジメチルスルホキシド10mlに懸濁させ、無水酢酸0.42mlを加えた。さらにトリエチルアミン0.84mlを加えると結晶が溶解し、均一な溶液となった。この溶液を70℃で6時間撹拌し、析出した結晶を濾別した。ジメチルスルホキシド及び水で洗浄し、乾燥させて0.40gの例示化合物(3−6)(黄橙色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3430-3450(m,br),3114(m),3022(m),2897(m),1784(w),1628(s),1533(m),1433(s),1155(s)
実施例38
(例示化合物(3−33)の調製)
Figure 2009209126
水酸化ナトリウム4.0gをエタノール45mlに懸濁させ、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン8.7gを加えたのち撹拌しながら2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、二硫化炭素3.0mlを添加し、40℃で2時間撹拌した。結晶を濾別し、13.6gの化合物(d)を得た。
クロラニル1.23gをN,N−ジメチルアセトアミド18mlに溶解し、10℃に冷却しながら化合物(d)2.94gを水5mlに溶解した溶液を滴下した。この溶液を室温で5時間撹拌した。さらに水を5ml加え、3℃に冷却した後、結晶を濾別した。冷水で洗浄し、乾燥させて2.12gの例示化合物(3−33)(黄色結晶)を得た。
赤外吸収スペクトル(cm−1):3400-3420(br,m),1643(m),1594(w),1497(s),1335(m)
また、例示化合物(3−33)は次のようにしても調製できる。
化合物(M−2)1.24gと3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン1.05gをジメチルスルホキシド100mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら3時間撹拌したのち、室温まで冷却した。得られた均一溶液に1mol/L塩酸水溶液10mlを加え、析出した固体を濾別し、水、ついでメタノールで洗浄した。乾燥させて1.90gの例示化合物(3−33)(黄色結晶)を得た。
実施例39
(例示化合物(140)の調製)
ピバロイルアセトニトリルの代わりにマロン酸ジエチルを用いたこと以外は実施例6の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、収率53%で例示化合物(140)を得た。
MS:m/z 574(M+)。
実施例40
(例示化合物(141)の調製)
シアノ酢酸3−ヒドロキシ−3−メチルブチルの代わりにフェニルスルホニル酢酸エチルを用いたこと以外は実施例7の合成中間体M−2を用いた反応と同様にして、例示化合物(141)を得た。
MS:m/z 710(M+)。
実施例41
(例示化合物(3−35)の調製)
例示化合物(3−33)10.9gをN,N−ジメチルアセトアミド360mlに懸濁させ、硫酸ジメチル7.7mlを加えた。さらにトリエチルアミン0.1mlおよび炭酸カリウム7.5gを添加し、この溶液を80℃で8時間撹拌した。さらに硫酸ジメチル3.8mlを加え、80℃で3時間攪拌し、析出した結晶を濾別した。N,N−ジメチルアセトアミドで洗浄したのち、水50mlに懸濁させて100℃で1時間攪拌した。固体を濾別し水で洗浄した。乾燥させて6.5gの例示化合物(3−35)(黄橙色結晶)を得た。
MS:m/z 630(M+)。
実施例42
(例示化合物(3−41)の調製)
合成中間体M−2 3.1gと3−アセチルアミド−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン2.4gをジメチルスルホキシド20mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら5時間撹拌したのち、室温まで冷却した。得られた均一溶液に1mol/L塩酸水溶液10mlを加え、析出した固体を濾別し、水、ついでメタノールで洗浄した。乾燥させて3.0gの例示化合物(3−41)(黄色結晶)を得た。
MS:m/z 688(M+)。
実施例43
(例示化合物(3−56)の調製)
例示化合物(3−41)0.69gをN,N−ジメチルアセトアミド20mlに懸濁させ、硫酸ジメチル0.43mlを加えた。さらにトリエチルアミン0.1mlおよび炭酸カリウム0.41gを添加し、この溶液を80℃で7時間撹拌し、析出した結晶を濾別した。N,N−ジメチルアセトアミド及び水で洗浄し、乾燥させて0.40gの例示化合物(3−56)(黄橙色結晶)を得た。
MS:m/z 716(M+)。
実施例44
(例示化合物(3−57)の調製)
例示化合物(3−41)1.03gをテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド10mlに懸濁させ、無水酢酸1.4mlを加えた。さらにトリエチルアミン2.0mlおよびN,N−ジメチルアミノピリジン0.02gを添加し、この溶液を100℃で6時間撹拌し、析出した結晶を濾別した。メタノールで洗浄し、乾燥させて0.85gの例示化合物(3−57)(黄橙色結晶)を得た。
MS:m/z 772(M+)。
実施例45
(例示化合物(3−58)の調製)
合成中間体M−2 1.55gと1,2−ジフェニル−ピラゾリジン−3,5−ジオン1.40gをジメチルスルホキシド20mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら3時間撹拌したのち、室温まで冷却した。得られた均一溶液に1mol/L塩酸水溶液5mlを加え、析出した固体を濾別し、水、ついでメタノールで洗浄した。乾燥させて1.60gの例示化合物(3−58)(黄色結晶)を得た。
MS:m/z 758(M+)。
実施例46
(例示化合物(3−59)の調製)
例示化合物(3−58)1.52gをN,N−ジメチルアセトアミド20mlに懸濁させ、硫酸ジメチル1.14mlを加えた。さらに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.90mlを添加し、この溶液を100℃で7.5時間撹拌し、析出した結晶を濾別した。N,N−ジメチルアセトアミド、水およびメタノールで洗浄し、乾燥させて1.21gの例示化合物(3−59)(黄橙色結晶)を得た。
MS:m/z 786(M+)。
実施例47
(例示化合物(3−60)の調製)
Figure 2009209126
ベンゼン−1,2,4,5−テトラチオール(Journal of Organic Chemistry, 1985年, 50巻, 2397ページに記載の方法で合成)2gを水酸化ナトリウム2gおよび水20mlと混合した。窒素気流下、二硫化炭素2.5mlを滴下し、70℃で6時間反応させた。冷却後、析出した固体を濾別した。メタノールで洗浄し、乾燥させて、1.3gの合成中間体αを得た。
合成中間体α0.87gとヨウ化エチル0.73mlを混合し、50℃で12時間反応させた。冷却後、酢酸10mlとピリジン1mlおよび3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン1.57gを加え、100℃で10時間反応させた。冷却後、析出した固体を濾別した。メタノールで洗浄し、乾燥させて、0.8gの例示化合物(3−60)を得た。
MS:m/z 571(M+)
IR(KBr) 3700-3300, 1520, 1420,
1330, 1280, 1060, 1040, 1020, 880, 510 cm-1
実施例48
(例示化合物(142)の調製)
合成中間体A2gをN,N−ジメチルアセトアミド5mlおよび水0.5mlに溶解し、テトラフルオロテレフタロニトリル1gを添加し、室温で6時間反応させた。反応液に水を加え、生じた固体をろ過・水洗し、精製・再結晶することで例示化合物(142)を1.2g得た(収率59%)。
MS:m/z 404(M-)。
13C NMR(CDCl3) δ69.42,103.99,111.75,112.47,139.19,173.47。
実施例49
(例示化合物(143)の調製)
例示化合物(86)13gをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解し、窒素気流下、トリエチルアミン6.7mlを添加し、引き続きメタンスルホニルクロリド3.7mlを少しずつ滴下した。得られた反応液を室温で一晩反応させた。反応液を氷水に加え、得られた混合液に濃塩酸を加えて酸性に調整し、生じた固体をろ過・水洗することで例示化合物(143)を得た。
MS:m/z 804(M+)。
実施例50
(例示化合物(144)の調製)
例示化合物(86)1.95gを塩化メチレン30mlに溶解し、窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながらトリエチルアミン1.25mlを添加し、引き続きトリフルオロメタンスルホン酸無水物1.48mlを少しずつ滴下した。得られた反応液を室温で6時間反応させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮することで例示化合物(144)を得た。
MS:m/z 912(M+)。
実施例51
(例示化合物(3−63)の調製)
上記合成中間体M−2 2.48gと3−カルバモイル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン 1.79gをジメチルスルホキシド20mlに懸濁させ、窒素気流下で80℃に加熱しながら1.5時間撹拌したのち、室温まで冷却した。得られた均一溶液に1規定塩酸水溶液10mlを加え、析出した固体を濾別し、水、ついでメタノールで洗浄した。乾燥させて4gの例示化合物(3−63)を得た。
MS:m/z 660(M+)。
実施例52
(例示化合物(3−45)の調製)
上記合成中間体M−2 1.24gと合成中間体B−34 0.82gをジメチルスルホキシド100mlに懸濁させ、窒素気流下で90℃に加熱しながら12時間撹拌したのち、室温まで冷却した。得られた均一溶液に1規定塩酸水溶液10mlを加え、析出した固体を濾別し、水、ついでメタノールで洗浄した。乾燥させて1gの例示化合物(3−45)を得た。
MS:m/z 526(M+)。
Figure 2009209126
参考例1
例示化合物(1)1mgを酢酸エチル100mlに溶解して試料溶液を調製した。同様にして、例示化合物(2)、(11)、(12)、(24)、(81)、(82)、(87)、(88)について試料溶液を調製した。また、及び比較化合物1 2mgを酢酸エチル100mlに溶解して試料溶液を調製した。同様にして、比較化合物2(特公昭49−11155号公報に記載の例示化合物VIII)、11、12について試料溶液を調製した。試料溶液はそれぞれ1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いてUVスペクトルを測定した。得られたスペクトルチャートから極大吸収波長、極大吸収波長におけるモル吸光係数(ε)及び半値幅(極大吸収波長における吸光度の1/2の吸収帯の幅)を算出した。結果を下記表4に示す。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
表4の結果から明らかなように、ベンゼン環に1個のヘテロ環が縮環した比較化合物に対して、ベンゼン環に2個のヘテロ環が縮環した前記一般式(I)で表される化合物は、λmaxが長波化し、モル吸光係数εが2倍以上になり、半値幅は約40nmから約27nmに小さくなっており、紫外線領域の可視域との境界付近に強く鋭い吸収スペクトルを与える。前記一般式(I)で表される化合物は単純にヘテロ環が2個になって2倍の紫外線吸収効果が得られると考えられるような関係から外れて、紫外線吸収剤として優れた性能を有していることがわかった。したがって、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、優れた紫外線吸収能を有することがわかった。
参考例2
例示化合物(1)5mgを酢酸エチル100mlに溶解し、さらに吸光度が0.95〜1.05の範囲になるように酢酸エチルで希釈して試料溶液を調製した。同様にして、例示化合物(2)、(11)、(12)及び比較化合物A及びBについて試料溶液を調製した。試料溶液はそれぞれ1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いて吸光度を測定した。この試料溶液を封入したセルに対して、UVフィルタを除去したキセノンランプで照度17万ルクスになるように光照射し、1週間照射後の紫外線吸収剤の残存量をそれぞれ測定した。残存量は次式に従い計算した。
残存量(%)=100×(100−照射後の透過率)/(100−照射前の透過率)
なお、透過率はそれぞれの化合物の極大吸収波長で測定した値である。結果を下記表5に示す。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
表5の結果から明らかなように、本発明の化合物は、UV−A領域に吸収を有する既存の紫外線吸収剤と比較して、光照射によって分解しにくく、光堅牢性が高いことがわかった。
(参考例2A−1)
上記によって得られた例示化合物(3−3)0.40gをN,N−ジメチルアセトアミド8mlに懸濁させ、100℃で3時間撹拌した。この懸濁液を熱時ろ過し、ろ紙上の固体をN,N−ジメチルアセトアミド、水、メタノールで洗浄し、ついで乾燥させたところ、黄橙色の固体0.40gが得られた。この固体は、CuKα線照射による粉末X線回折図((株)リガク社製 RINT
2000(商品名)により測定した。以下同じである)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:23.3°(半値幅0.39°)、中強度:9.9°、10.6°、17.6°、19.1°、21.4°、30.1°
(参考例2A−2)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−1)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、淡黄緑色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:5.0°、26.1°(半値幅0.50°)、26.9°(半値幅0.41°)、中強度:12.9°、15.7°、20.8°、25.1°
(参考例2A−3)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−6)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、黄褐色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:25.3°(半値幅1.14°)、中強度:8.5°、12.5°
(参考例2A−4)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−38)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A2−1と同様の操作を行ったところ、明黄色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
尚、例示化合物(3−38)は、上記合成例と同様にして合成したものを用いた。
高強度:8.9°(半値幅0.32°)、25.6°(半値幅0.42°)、中強度:10.7°、14.3°、22.1°
(参考例2A−5)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−34)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、黄褐色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
尚、例示化合物(3−34)は、上記合成例と同様にして合成したものを用いた。
高強度:8.8°(半値幅0.54°)、中強度:15.4°、16.1°、25.0°、25.6°
(参考例2A−6)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−35)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、明黄色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:8.9°(半値幅0.32°)、25.6°(半値幅0.42°)、中強度:10.7°、14.3°、22.1°
(参考例2A−7)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(2−15)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、橙色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
尚、例示化合物(2−15)は、上記合成例と同様にして合成したものを用いた。
高強度:9.9°(半値幅0.60°)、中強度:15.1°、20.0°
(参考例2A−8)
実施例2−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−45)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、黄緑色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
尚、例示化合物(3−45)は、上記合成例と同様にして合成したものを用いた。
高強度:24.4°(半値幅0.84°)、中強度:8.7°、16.8°、22.0°
(参考例2A−9)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−56)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、黄橙色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:8.9°(半値幅0.53°)
(参考例2A−10)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−59)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、淡黄色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:10.1°(半値幅0.31°)、24.8°(半値幅0.29°)、中強度:21.5°、26.7°
(参考例2A−11)
参考例2A−1において例示化合物(3−3)の代わりに、例示化合物(3−57)0.40gを用いたことを除いて、参考例2A−1と同様の操作を行ったところ、黄橙色の固体0.40gが得られた。この固体は、粉末X線回折図(CuKα線照射)において、以下の回折角2θにより特徴付けられる。
高強度:8.3°(半値幅0.29°)、中強度:15.6°、25.0°
また、参考例2A−1における例示化合物(3−3)の代わりに、下記表6−1〜6−2にあげた化合物0.40gを用いたことを除いて参考例2A−1と同様の操作を行った。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
参考例3−1
−水性着色分散組成物調製−
内容全量12mlのジルコニア製容器に、
・上記実施例35に従って得られた例示化合物(3−3)の固体 0.25g
・オレイン酸ナトリウム 0.05g
・グリセリン 0.50g
・脱イオン水 4.20g
を、直径0.1mmのジルコニア製ビーズ10gとともに入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)P−7型)を用いて粉砕した(回転数300rpm、粉砕時間3時間)。粉砕終了後、容器内の混合物からデカンテーションによってビーズを分離したところ、5.0%の例示化合物(3−3)を微粒子状態で含有する顔料分散組成物(着色組成物)が得られた。
この分散組成物を脱イオン水で30倍に希釈したものを動的光散乱法(日機装(株)マイクロトラックUPA−150)によって測定した。
参考例3−1における例示化合物(3−3)の固体の代わりに、下記表7−1〜7−3にあげた固体を用いたことを除いて、参考例3−1と同様の操作を行ったところ、5.0%の化合物を微粒子状態で含有する顔料分散組成物(着色組成物)が得られた。
表7−1〜7−3にあげた着色組成物はいずれも含まれる微粒子の体積平均粒径は300nm未満であり、室温で1ヶ月放置しても沈殿物が発生しない安定な分散物であった。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
参考例4−1
−水性染料組成物調製−
例示化合物(4−4)0.25gに脱イオン水2.5gを加え、攪拌しながら8mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH=9に調整しながら、完全に溶解させた。ここへグリセリン0.50gと脱イオン水を加えて合計5.00gとした。これを細孔径0.45μmのフィルターに通したところ、5.0%の例示化合物(4−4)を含む水性着色組成物が得られた。
参考例4−1において、例示化合物(4−4)の代わりに下記表8にあげた化合物を用いたことを除いて、参考例4−1と同様の操作を行ったところ、5.0%の化合物を含む水性着色組成物が得られた。
Figure 2009209126
(参考例5−1)
−溶剤系染料組成物調製−
例示化合物(1−16)0.25gにメチルエチルケトン4.75gを加え、攪拌しながら完全に溶解させた。これを細孔径0.45μmのフィルターに通したところ、5.0%の例示化合物(1−16)を含む溶剤系着色組成物が得られた。
(参考例5−2)〜(5−18)、比較例(5−1)(5−2)
参考例5−1において、例示化合物(1−16)の代わりに下記表9にあげた化合物を用いたことを除いて、参考例5−1と同様の操作を行ったところ、5.0%の化合物を含む溶剤系着色組成物が得られた。
Figure 2009209126
(着色組成物の塗布物の光堅牢性)
参考例3−1に従って得られた例示化合物(3−3)を含有する顔料分散組成物を、塗布物の光学濃度が、反射型分光測色濃度計(XRite社XRite938)を用いて測定したときに1.0となるように、バーコーターを用いて、インクジェット専用紙(エプソン(株)製フォトマット紙)に塗布して塗布物を作製した。
同様にして、参考例3−2〜3−69、比較例3−1〜3−3に従って得られた顔料分散組成物の塗布物を作製した。
次に、キセノン褪色試験機を用いて、それぞれの塗布物にキセノン光(17万ルクス、325nmフィルターを透過)を2週間照射した。照射後の光学濃度を測定し、その残存率を算出して光堅牢性を評価した。結果を表10−1〜10−3に示した。表10−1〜10−3の中で、着色力は光学濃度1.0を得るのに必要な顔料固形分濃度1.2%未満が◎、1.2%以上3.0%未満が○、3.0%以上5.0%未満が△、5.0%以上が×としている。
また、光堅牢性は残存率90%以上が○、70%以上90%未満を△、70%未満を×としている。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
表10−1〜10−3から、本発明の化合物を含む着色分散組成物は、着色力が高く、安全性に懸念がある重金属を含有していないにもかかわらず、優れた光堅牢性を有することが分かる。
参考例
―水性染料組成物の塗布物の光堅牢性評価−
参考例4−1に従って得られた例示化合物(4−4)を含有する水性着色組成物を、塗布物の光学濃度が、反射型分光測色濃度計(XRite社XRite938)を用いて測定したときに1.0となるように、バーコーターを用いて、インクジェット専用紙(エプソン(株)製フォトマット紙)に塗布して塗布物を作製した。
同様にして、参考例4−2〜4−9、比較例4−1〜4−2に従って得られた水性着色組成物の塗布物を作製した。
次に、キセノン褪色試験機を用いて、それぞれの塗布物にキセノン光(17万ルクス、325nmフィルターを透過)を4日間照射した。照射後の光学濃度を測定し、その残存率を算出して光堅牢性を評価した。結果を表11に示した。表11の中で、着色力は光学濃度1.0を得るのに必要な染料濃度0.8%未満が◎、1.0%以上2.0%未満が○、2.0%以上3.0%未満が△、3.0%以上が×としている。
また、光堅牢性は残存率90%以上が○、70%以上90%未満を△、70%未満を×としている。
Figure 2009209126
表11から、本発明の化合物を含む水性着色組成物は、着色力が高く、安全性に懸念がある重金属を含有していないにもかかわらず、優れた光堅牢性を有することが分かる。
―溶剤系染料組成物の塗布物の光堅牢性評価−
参考例5−1に従って得られた例示化合物(1−16)を含有する水性着色組成物を、塗布物の光学濃度が、反射型分光測色濃度計(XRite社XRite938)を用いて測定したときに1.0となるように、バーコーターを用いて、インクジェット専用紙(エプソン(株)製フォトマット紙)に塗布して塗布物を作製した。
同様にして、参考例5−2〜5−18、比較例5−1〜5−3に従って得られた溶剤系着色組成物の塗布物を作製した。
次に、キセノン褪色試験機を用いて、それぞれの塗布物にキセノン光(17万ルクス、325nmフィルターを透過)を4日間照射した。照射後の光学濃度を測定し、その残存率を算出して光堅牢性を評価した。結果を表12に示した。表12の中で、着色力は光学濃度1.0を得るのに必要な染料濃度0.8%未満が◎、1.0%以上2.0%未満が○、2.0%以上3.0%未満が△、3.0%以上が×としている。
また、光堅牢性は残存率90%以上が○、70%以上90%未満を△、70%未満を×としている。
Figure 2009209126
表12から、本発明の化合物を含む水性着色組成物は、着色力が高く、安全性に懸念がある重金属を含有していないにもかかわらず、優れた光堅牢性を有することが分かる。
〔参考例6−1〕
<インクジェット用インクの作製>
内容全量12mlのジルコニア製容器に、
・上記実施例36に従って得られた化合物(3−34)の固体 0.50gと、
・オレイン酸ナトリウム 0.10gと、
・脱イオン水 4.40gと、
を直径0.1mmのジルコニア製ビーズ10gとともに入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)P−7型)を用いて粉砕した(回転数300rpm、粉砕時間3時間)。粉砕終了後、容器内の混合物からデカンテーションによってビーズを分離したところ、10%の化合物(3−34)を微粒子状態で含有する顔料分散組成物(着色組成物)が得られた。
こうして得られた顔料分散組成物(着色組成物)に、下記成分を添加・混合して、インクジェット記録用インク(5%の化合物(3−34)を含有する)を作製した。
〜インク組成〜
・10%顔料分散組成物 50部
・グリセリン 10部
・2−ピロリドン 5部
・1,2−ヘキサンジオール 2部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
・プロピレングリコール 0.5部
・脱イオン水 30.5部
こうして得られたインクジェット用インクをインクジェットプリンタ(PX−V600、商品名、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに詰め替え、同機にてインクジェットペーパー画彩マット仕上げ(商品名、富士フイルム(株)製)にベタ画像を記録した。
得られた画像の反射スペクトルを図1に示す。図1から本発明のインクジェット記録用インクで形成した画像は、吸収がシャープな優れた分光特性を有することがわかる。また、上記参考例3−1と同様にして、得られた画像の光堅牢性を評価したところ、優れた残存率を示した。
参考例6−1において、実施例35に従って得られた例示化合物(3−3)の固体の代わりに、下記表13−1〜13−3にあげた固体を用いたことを除いて、参考例6−1と同様の操作を行ったところ、5.0%の化合物を含有するインクジェット記録用インク(着色組成物)が得られた。これらは室温で1ヶ月おいても沈殿物を生じない、安定なインクであった。
例示化合物(4−4)0.50gに脱イオン水3.5gを加え、攪拌しながら8mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH=9に調整しながら、完全に溶解させた。ここへ脱イオン水を加えて合計5.00gとした。
こうして得られた着色組成物に、下記成分を添加・混合し、細孔径0.45μmのフィルターに通すことにより、インクジェット記録用インク(5%の化合物(4−4)を含有する)を作製した。
〜インク組成〜
・10%着色組成物 50部
・グリセリン 10部
・2−ピロリドン 5部
・1,2−ヘキサンジオール 2部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
・プロピレングリコール 0.5部
・脱イオン水 30.5部
上記例示化合物(4−4)の代わりに下記表13−1〜13−3にあげた化合物を用いたことを除いて、上記と同様の操作を行うことにより、インクジェット記録用インクを作製した。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
−顔料分散インクジェットインクの評価−
インクジェット用インクをインクジェットプリンタ(PX−V600、商品名、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに詰め替え、同機にてインクジェットペーパー画彩マット仕上げ(商品名、富士フイルム(株)製)にベタ画像を記録した。
このサンプルに対して、キセノン褪色試験機を用いて、キセノン光(17万ルクス、325nmフィルターを透過)を2週間照射した。照射後の光学濃度を測定し、その残存率を算出して光堅牢性を評価した。表14−1〜14−3の中で、光堅牢性は残存率90%以上が○、70%以上90%未満を△、70%未満を×としている。
また、着色力について、得られたベタ画像の光学濃度が2.0以上が◎、1.5以上2.0未満が○、1.0以上1.5未満が△、1.0未満が×としている。
また、インク安定性について、それぞれのインクを室温で1ヶ月おいた後、沈殿物が生じなかった場合を○、沈殿物が生じた場合を×としている。
また、吐出性について、得られたベタ画像を目視で観察し、インクが吐出していないスジが認められないものを○、スジが認められるものを×としている。
以上の結果を表14−1〜14−3に示す。
Figure 2009209126
Figure 2009209126
Figure 2009209126
すなわち、本発明のインクジェット用インクは、優れたインク安定性・吐出性を有し、また高い着色力と光堅牢性を両立していることが分かる。
(参考例7−1)
−水性インクジェット用インクの調製−
例示化合物(4−4)0.50gに脱イオン水3.5gを加え、攪拌しながら8mol/L水酸化カリウム水溶液を加えてpH=9に調整しながら、完全に溶解させた。ここへ脱イオン水を加えて合計5.00gとした。
こうして得られた着色組成物に、下記成分を添加・混合し、細孔径0.45μmのフィルターに通すことにより、インクジェット記録用インク(5%の化合物(4−4)を含有する)を作製した。
〜インク組成〜
・10%着色組成物 50部
・グリセリン 10部
・2−ピロリドン 5部
・1,2−ヘキサンジオール 2部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2部
・プロピレングリコール 0.5部
・脱イオン水 30.5部
(参考例7−2)〜(7−9)、比較例(7−1)〜(7−2)
参考例7−1において、例示化合物(4−4)の代わりに下記表15にあげた化合物を用いたことを除いて、参考例7−1と同様の操作を行うことにより、インクジェット記録用インクを作製した。
Figure 2009209126
−水性インクジェットインクの評価−
インクジェット用インクをインクジェットプリンタ(PM−980C、商品名、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに詰め替え、同機にてインクジェットペーパー画彩マット仕上げ(商品名、富士フイルム(株)製)にベタ画像を記録した。
このサンプルに対して、キセノン褪色試験機を用いて、キセノン光(17万ルクス、325nmフィルターを透過)を4日間照射した。照射後の光学濃度を測定し、その残存率を算出して光堅牢性を評価した。表16の中で、光堅牢性は残存率90%以上が○、70%以上90%未満を△、70%未満を×としている。
また、着色力について、得られたベタ画像の光学濃度が2.0以上が◎、1.5以上2.0未満が○、1.0以上1.5未満が△、1.0未満が×としている。
また、インク安定性について、それぞれのインクを室温で1ヶ月おいた後、沈殿物が生じなかった場合を○、沈殿物が生じた場合を×としている。
また、吐出性について、得られたベタ画像を目視で観察し、インクが吐出していないスジが認められないものを○、スジが認められるものを×としている。
以上の結果を表16に示す。
Figure 2009209126
すなわち、本発明のインクジェット用インクは、優れたインク安定性・吐出性を有し、また高い着色力と光堅牢性を両立していることが分かる。
インクジェット記録画像の反射スペクトルである。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物。
    Figure 2009209126
    [R、R、R及びRは、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。但し、R、R、R及びRがすべて同時にアルキルチオ基であることはない。RとR及びRとRがそれぞれ互いに結合して環を形成しても良い。但し、形成する環はジチオール環又はジチオラン環ではない。
    及びRは、互いに独立して水素原子または1価の置換基を表す。
    、X、X及びXは、互いに独立してヘテロ原子を表す。
    但し、R、R、R及びRがすべてシアノ基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基あるいは水素原子である場合を除く。また、R及びRが共に水素原子で、R及びRが共にアリールカルボニル基で、X、X、X及びXがすべて硫黄原子で、かつR及びRが共にヒドロキシ基である場合を除く。]
  2. 前記一般式(I)におけるR及びRが、互いに独立してアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルオキシ基またはカルバモイルアミノ基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  3. 前記一般式(I)におけるX、X、X及びXが硫黄原子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 前記一般式(I)におけるR、R、R及びRのうち少なくとも1つが、−CN、−COOR、−CONR10、−COR11又は−SO12(R、R、R10、R11及びR12はそれぞれ水素原子または1価の置換基を表す。)であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
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