JP2009204604A - ボイラ火炉蒸発管の検査装置および検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボイラ火炉内壁面に上下方向に伸びる複数の蒸発管4の表面に、マグネット18によって立設固定される支柱20と、該支柱20に固定されて蒸発管4の表面へ照射するレーザを生成する変位センサ12を支持する支持枠28と、該支持枠28に対して前記変位センサ12を蒸発管4の軸方向に移動せしめる移動機構31とから構成されるスキャン装置14を備え、さらに、前記変位センサ12からの信号による蒸発管4の断面表面形状と減肉の無い基準形状との差分から蒸発管4の減肉量を算出して減肉状態を評価する信号処理装置16を備えたこと。
【選択図】図4
Description
また、超音波による肉厚計測では、定量性はあるものの、点計測であり、ある定点における肉厚を計測するため、蒸発管の周方向の腐食状態を測定するには適さない。
該特許文献1には、図15に示すように、ボイラ内に横置きに設置された伝熱管群は、伝熱管バンク02と、伝熱管キャビティ部03とからなり、伝熱管バンク02と伝熱管キャビティ部03との間に検査装置04が設置され、該検査装置04は本体05と、本体05に設けられ伝熱管バンク02内に挿入されるフレキシブルアーム06と、該フレキシブルアーム06の先端に取り付けられた先端固定具07と、フレキシブルアーム06に設けられた案内機構08に沿って上下方向に移動自在な光学的検知センサからなる検査ユニット09と、を備えている。
さらに、特許文献1には、検査ユニット09が伝熱管010に対して非接触で肉厚測定できることが示されているにとどまり、具体的な伝熱管の肉厚算出手法、さらに減肉量の算出について示されていない。
そして、炉壁の蒸発管にマグネットによって固定されるため、固定を確実にすることができる。さらに、計測が必要な位置への移動が容易となるため、計測が必要な個所を効率的に計測できる。
かかる構成によれば、基準位置算出手段によって、表面形状の基準位置を算出して、該基準位置を基に表面形状の測定結果と設計基準形状とを重ね合わせるため、差分を精度よく算出できその結果減肉量を精度良く算出できる。
かかる構成によれば、変位センサから得られる表面形状は、計測時の変位センサの振動、さらに初期の設置状態での傾きによって、測定結果として表面形状が傾いたり、上下に移動する場合があるが、前記基準位置を測定結果のデータから算出して、該基準位置を減肉の無い基準形状の基準位置に相当する位置に合致するように、蒸発管の周方向の傾き、および上下位置関係を補正することで、重ね合わせを精度良く行え、計測誤差を低減できる。
また、初期の設置状態によって左右に移動して変位センサが蒸発管に対して平行に走らなかった場合でも、同様にして蒸発管の左右位置関係を補正することで、重ね合わせを精度良く行え、計測誤差を低減できる。さらに、平行でなくても計測誤差を低減できるため、設置の時間が大幅に短縮される。
なお、蒸発管の減肉量が軽微の場合には測定結果と減肉の無い基準形状の重ね合わせによる差分の算出誤差は少なく検査誤差は少ないが、減肉量が大きくなるとフィンも減肉するため、減肉量が大きくなった場合にはフィンの肉厚を測定してフィンの表面位置も補正する必要がある。
従来の変位センサが取り付けられたセンサヘッドは、スリット幅と焦点距離が決まっており、足場レベルの検査を行うにはスリット幅が狭い焦点距離が短いものを用い、スキャン回数を増やしていたが、上述したかかる構成によれば、スキャン装置が設置されるボイラ火炉の足場との距離が短い蒸発管へ照射する場合でも、焦点距離を短くすることで管1本分をレーザにてスキャン可能なため、スキャン回数が減り検査効率が向上する。
すなわち、測定結果のデータから基準位置を算出して、該基準位置を減肉の無い基準形状の基準位置に相当する位置に合致するように、蒸発管の周方向の傾き、および上下左右位置関係を補正することで、重ね合わせを精度良く行え、計測誤差を低減できる。
フィン8は、蒸発管4の軸方向に沿って延びる板状部材であり、両側端が蒸発管4に該蒸発管4の直径方向位置で溶接金属10によって溶接され、複数の蒸発管4が整列された状態でボイラ火炉1の壁面3を形成するように構成されている。
また、図3は蒸発管4の他の例であり、複数の蒸発管4は、上下端部が固定されたバラ管で隣の蒸発管4とは直径方向位置で接触するように配設され、ボイラ火炉1の壁面3の内壁に沿って設置される。
この検査装置11は、蒸発管4の表面形状を非接触式で測定するためのレーザ変位センサ12を支持するとともに、該レーザ変位センサ12を蒸発管4の軸方向に移動させるスキャン装置14と、レーザ変位センサ12からの測定信号を処理して減肉量、残管肉厚を算出して腐食状態を判定する信号処理装置16とからなっている。
そして、一方の蒸発管4の支柱20と、他方の蒸発管4の支柱20とを繋ぐように梁24、24を架設し、該梁24、24にレール26の両端部が取り付けられている。この梁24、24およびレール26によって、レーザ変位センサ12を支持する支持枠28を形成している。
なお、図5(a)は、フィン8によって蒸発管4が接続されている場合のレーザスリットの照射状態を示し、図5(b)は、蒸発管4がフィンによって接続されずにバラ管で隣の蒸発管4とは接触して配設される場合のレーザスリットの照射状態を示す。
そこで、図6(a)(b)に示すようにレーザ光35の焦点距離を短くする焦点距離短縮手段を用いる。焦点距離短縮手段として、図6(a)ではプリズム41を備え、センサヘッド32を内在するレーザ変位センサで生成されるレーザ光35をプリズム41内に通過させて焦点距離を短くする。
従来の変位センサが取り付けられたセンサヘッドは、スリット幅と焦点距離が決まっており、足場レベルの検査を行うにはスリット幅が狭い焦点距離が短いものを用い、スリット幅が狭いことからスキャン回数を増やして対応していた。しかし、図6(a)(b)に示す焦点距離短縮手段を用いることにより、足場との距離が短い蒸発管4へ照射する場合でも、管1本分をレーザにてスキャン可能なため、スキャン回数が減り検査効率が向上する。
そして、モータ33によって、蒸発管4の軸方向に沿ってレーザを照射しながらレーザ変位センサ12をスキャンして、センサヘッド32のストローク範囲内(例えば300〜500mmの範囲)の表面形状データを測定する。この際にエンコーダ36によって一定の移動距離(例えば1〜2mm)毎42に表面形状データを取得可能になっている。
この信号処理装置16の全体構成を、図7に示す。レーザ変位センサ12からの変位計測データと、エンコーダ36からの位置情報とが、コントローラ40に入力され、一定距離(例えば1〜2mm)毎の変位計測データを距離情報とともにPC(検査作業者のパソコン)42内にメモリするとともに、画面上に表示する。
まず、ステップS1でスタートすると、ステップS2で位置情報に関連づけられた変位データを取得する。変位データは図9に示すように火炉幅方向距離を横軸にとり、センサヘッド32の位置からの変位として蒸発管4の表面形状データDが取得される。
そして、ステップS3で、基準位置算出部46によって前記取得された表面形状から蒸発管4の部分、溶接金属10の部分、フィン8の部分の認識を行う。
これらの位置を計測データから求めるには、山形の表面形状の曲線を1階微分して傾きを算出して求めることができる。
さらに、傾きのピーク値はプラス側、マイナス側それぞれに2個所現れ、横軸方向で最初のピーク値の位置はフィン8から溶接金属10への変化部であり、2度目のピーク値位置(3)は、溶接金属10から蒸発管4への変化部であり、この位置(3)を溶接金属10と蒸発管4との境界位置Pとして判定でき、(3)〜(4)が蒸発管4の表面部分であると分かる。
また、計測データから求められた山形の表面形状の曲線を1階微分して傾きを算出して、変曲点を利用して、フィン8の位置、溶接金属10と蒸発管4との境界位置Pを求めることができるため、基準位置の算出が確実になり減肉量の算出精度が向上する。
さらに、計測データから求めたフィンの位置(1)、(6)、または境界位置(3)(4)の位置が、設計データ等の減肉の無い基準形状のフィン位置または境界位置とずれている場合には、図11(a)に示すように上下方向にH移動して一致させる補正をする。なお図11(a)、(b)において点線が補正前、実線が補正後の形状位置を示す。
また、初期の設置状態によって左右に移動してレーザ変位センサ12が蒸発管4に対して平行に走らなかった場合でも、同様にして蒸発管4の左右位置関係を補正することで、重ね合わせを精度良く行え、計測誤差を低減できる。さらに、平行でなくても計測誤差を低減できるため、設置の時間が大幅に短縮される。
蒸発管4が図13(a)のように湾曲した湾曲管45は、その湾曲した凹部と、起点と終点を結ぶ基準高さとのあいだに隙間があるため、評価される減肉量は大きな誤差を含んだものになる。よって、湾曲した凹部を起点と終点を結ぶ基準高さまでかさ上げする補正を行う。
そのため、湾曲した凹部を起点と終点を結ぶ基準高さまでかさ上げする補正をするためには、近似曲線が必要である。まず、図13(b)のように、湾曲管45の管頂部のデータを得る。管頂部のデータは、レーザ変位センサによって得られる表面形状データから溶接金属とフィンとの境界位置、詳しくは図10(a)の溶接金属とフィンとの境界位置(3)(4)の中点から得ることができる。この管頂部データを管断面で複数取得し、最小2乗法による近似を行う。ここでは、例として近似関数が2次関数の場合を説明する。
と、各管頂部データの距離の2乗の和R2を
算出する。ここでは、n=3とする。
R2が最小となるのは以下の条件のときである。
上記条件を満足するaを得ることにより近似式を得ることができ、図13(a)のように近似曲線を引くことができる。なお、上記手法は近似の一例であり、他次数の関数など他の手法もありうる。
なお、本実施形態では蒸発管はフィンと溶接されているため、左右方向への変形は小さく、前後方向の変形を考えれば良い。
この重ね合わせの際には、フィン8の表面位置(1)、(6)、または溶接金属10と蒸発管4との境界位置(3)、(4)を基準にして行う。
フィンなし構造の蒸発管4の場合には、計測データから最外位置間を直径とする理想円を描き、該理想円を重ね合わせて比較する。
また、管頂部1個所を超音波肉厚計測装置によって測定し、減肉量を算出後、その値を上下方向の補正値として使用することもできる。
この減肉基準値は、プラント情報データベース56に蓄積されている蒸発管4の設計肉厚(減肉無しの肉厚T1)と、設計要求肉厚(設計上要求される肉厚T2)とに基づいて設定(T1−T2)されており、該減肉基準値に達している場合には表示部54によって計測結果を画面表示する際に計測個所を赤色として表示する等の色分け表示を行うようにして作業者、プラント管理者に注意を促す。
このステップS15のアウトプットも前記ステップS11と同様に設計要求肉厚に達している場合には表示部54によって計測結果を画面表示する際に計測個所を赤色として表示する等の色分け表示を行う。
また、実際の蒸発管4においては製造誤差を加味して内径側に設計肉厚より2〜3%の余肉をもって製造されているため、設計要求肉厚T2を基準に判定しても、余裕をもった腐食の危険状態の判断ができる。
4 蒸発管
8 フィン
11 検査装置
14 スキャン装置
12 レーザ変位センサ
16 信号処理装置
18 軽量マグネット(マグネット)
20 支柱(脚部)
28 支持枠
29 上下調整つまみ部(調整機構)
31 左右調整つまみ部(調整機構)
32 センサヘッド
33 モータ
34 移動機構
44 減肉評価手段
46 基準位置算出部
48 補正部
50 減肉量算出部
52 残管肉厚算出部
54 表示部
56 プラント情報データベース
Claims (10)
- ボイラ火炉の内壁面に沿って上下方向に伸びて隣接配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査装置において、
前記蒸発管の表面にマグネットによって立設固定される脚部と、該脚部に固定されて前記蒸発管の表面へ照射するレーザを生成する変位センサを支持する支持枠と、該支持枠に対して前記変位センサを蒸発管の軸方向に移動せしめる移動機構と、前記変位センサからの信号を基に蒸発管の断面の表面形状を測定し、該表面形状の測定結果と減肉の無い基準形状との差分から蒸発管の減肉量を算出して減肉状態を評価する減肉評価手段とを備えたことを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査装置。 - 前記支持枠は複数本の前記脚部によって支持され、支持枠は脚部の立設方向およびその立設方向に直角方向に移動可能に前記脚部に取り付けられて前記変位センサの蒸発管に対する位置を調整可能にする調整機構を備えていることを特徴とする請求項1記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- 前記減肉評価手段には、表面形状の測定結果と減肉の無い基準形状とを重ね合わせる際の基準位置を算出する基準位置算出部を備えたことを特徴とする請求項1記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- 前記減肉評価手段には、前記重ね合わせる際に前記変位センサからの信号による表面形状の傾きおよび上下左右位置を補正する補正部を備えたことを特徴とする請求項3記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- 前記基準位置は隣接する蒸発管を連結するために径方向に突設されるフィンの位置であることを特徴とする請求項3記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- 前記基準位置は隣接する蒸発管の接触または最近接位置であることを特徴とする請求項3記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- 前記蒸発管の表面へ照射するレーザを生成する変位センサと蒸発管の間に、該蒸発管の表面へ照射するレーザの焦点距離を短くする焦点距離短縮手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
- ボイラ火炉の内壁面に沿って上下方向に伸びて隣接配置された蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査方法において、
前記蒸発管の表面にレーザを照射する変位センサからの信号を基に蒸発管の断面の表面形状を測定し、該表面形状の測定結果と減肉の無い基準形状との差分を、表面形状の基準位置を基準として重ね合わせて算出し、該差分から蒸発管の減肉量を算出して減肉状態を評価することを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査方法。 - 前記重ね合わせる際に、前記変位センサからの信号による表面形状の傾きおよび上下左右位置を補正して重ね合わせることを特徴とする請求項8記載のボイラ火炉蒸発管の検査方法。
- 前記算出された減肉量を設計肉厚から減算して残管肉厚を求め、該残管肉厚が設計要求肉厚を満たすか否かによって残管肉厚を評価することを特徴とする請求項9記載のボイラ火炉蒸発管の検査方法。
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