JP2009197990A - 遠心クラッチを備えた自動二輪車 - Google Patents

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俊典 猪森
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Abstract

【課題】パーキングブレーキを用いずに、ギヤ入力を行うだけで安定した坂道駐車が可能な遠心クラッチ、およびそれを備えた自動二輪車を提供する。
【解決手段】遠心クラッチであるクラッチ2は、フリクションプレート64とクラッチプレート65とを接触させるプレッシャプレート77と、遠心力の大きさに応じた移動量だけプレッシャプレート77の半径方向の外側に移動し、移動量に応じた力でプレッシャプレート77をプレート群66が接触する方向に押圧するローラウエイト41と、を備える。プレッシャプレート77は、エンジン4が停止状態であってもフリクションプレート64とクラッチプレート65とを接触させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、遠心クラッチを備えた自動二輪車に関する。
多板式の遠心クラッチにおいて、エンジンの駆動停止状態でのクラッチプレート同士の接触に関して、以下特許文献1に記載がある。特許文献1に記載された多板式の遠心クラッチは、遠心ウエイトとプレッシャプレートとクラッチプレート(第1のプレートおよび第2のプレート)とを備えている。プレッシャプレートとクラッチプレートとの互いの接触面は平行であって、遠心ウエイトの遠心力によって、プレッシャプレートがクラッチプレートを押圧する。また、プレッシャプレートには、遠心ウエイトを保持するカム面がプレッシャプレートとクラッチプレートとの接触面より角度を持って設けられている。つまり、遠心力を受けた遠心ウエイトのカム面での位置によって、プレッシャプレートのクラッチプレートに対する押圧力が決定される。
特許文献1記載の多板式遠心クラッチは、エンジンが停止状態である場合、遠心ウエイトがプレッシャプレートと接触しないように構成されている。遠心ウエイトがプレッシャプレートと接触している場合、プレッシャプレートとクラッチプレートとの接触につながる。プレッシャプレートとクラッチプレートとが接触している場合は、クラッチが接続されている状態に近い、引きずりの状態となる。この引きずりの状態が起こる多板式遠心クラッチを自動二輪車に用いた場合、エンジンの停止状態において自動二輪車を押して移動させる場合の走行抵抗が大きいという問題がある。そのため、前記特許文献1記載の多板式遠心クラッチは、プレッシャプレートに設けられたカム面の形状をエンジンの停止時には遠心ウエイトがプレッシャプレートから所定の距離を隔てて離れるような形状にしている。
特開2002−021879号公報
しかしながら、前記特許文献1記載の多板式遠心クラッチを備えた自動二輪車においては、クラッチの引きずり状態を防止する代わりに、坂道駐車などの駐車時には、坂道の傾斜に対して、抵抗力が不足する場合があった。
また、特許文献1に係る自動二輪車が、自動制御式の有段変速装置、いわゆるAMT(Automated Manual Transmission)を備えた自動二輪車である場合、自動二輪車がエンジン停止状態であるときは、変速装置ではニュートラル位置にシフトされており、ギヤ入力されてない状態である。そのため、特許文献1に係る自動二輪車は、AMTを備えた自動二輪車である場合、坂道駐車などの駐車時には安定した駐車を行うことができなかった。そのため、特許文献1に係る自動二輪車が、AMTを備えた自動二輪車である場合、坂道駐車を安定して行うには、別途ブレーキの手段が必要であった。一方、特許文献1に係る自動二輪車が別途ブレーキの手段を設けていない場合では、特許文献1に係るクラッチを含めた変速装置は、自動制御式でない有段変速装置、いわゆるMT(Manual Transmission)を備えた自動二輪車に限定されていた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パーキングブレーキを用いずに、ギヤ入力を行うだけで安定した坂道駐車が可能な遠心クラッチ、およびそれを備えた自動二輪車を提供することである。
本発明は、駆動力を発生させるエンジンの駆動力を伝達する手段である遠心クラッチを備えた自動二輪車であって、前記遠心クラッチを断続するクラッチ操作子と、第1のプレートを有する駆動側回転体と、前記第1のプレートに対して所定方向に対向する第2のプレートを有する従動側回転体と、前記クラッチ操作子によって前記所定方向に移動するように操作され、前記駆動側回転体と共に回転し、前記所定方向に移動することによって前記第1のプレートと前記第2のプレートとを接触させるプレッシャプレートと、遠心力の大きさに応じた移動量だけ前記プレッシャプレートの半径方向の外側に移動し、この移動量に応じた力で前記プレッシャプレートを前記第1のプレートと前記第2のプレートとが接触する方向に押圧する遠心ウエイトと、を備え、前記プレッシャプレートは、前記エンジンが停止状態であっても、前記駆動側回転体の回転力の一部が前記第1のプレートから前記第2のプレートを介して前記従動側回転体に伝達されるように、前記第1のプレートと前記第2のプレートとを接触させる、遠心クラッチを備えた自動二輪車である。
上記によれば、プレッシャプレートは、エンジンが停止状態であっても、第1のプレートと第2のプレートとが接触する。そのため、遠心クラッチにおいて、エンジンが停止している状態であっても、トルクを伝達することが可能になる。
以上のように、本発明によれば、パーキングブレーキを用いずに、ギヤ入力を行うだけで安定した坂道駐車が可能な遠心クラッチ、およびそれを備えた自動二輪車を提供することができる。
以下、実施形態に係る遠心クラッチを備えた自動二輪車について、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に説明する自動二輪車は、本発明を実施した好ましい形態の単なる例示である。本発明に係る自動二輪車は、以下に説明する自動二輪車1に限定されるものではない。なお、本明細書において、自動二輪車とは、旋回する際に車体を傾ける形式の自動二輪車を言う。ここでいう自動二輪車は、車輪の数が2つの自動二輪車に限定されず、3つ以上の車輪を有していてもよい。
図1は、実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。なお、下記説明において、前後左右の方向は、後述するシート16に着座した乗員から見た方向をいうものとする。
《自動二輪車の構成》
図1に示すように、自動二輪車1は、自動二輪車本体7と、自動二輪車本体7の前側に設けられた前輪14と、自動二輪車本体7の後側に設けられた後輪19とを備えている。
自動二輪車本体7は、車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11を有している。ヘッドパイプ11の上端部には、ハンドル12が取り付けられている。一方、ヘッドパイプ11の下端には、フロントフォーク13を介して、前輪14が回転可能に取り付けられている。
車体フレーム10には、パワーユニット3が懸架されている。また、車体フレーム10には、車体カバー15が取り付けられている。前後方向において、自動二輪車本体7のほぼ中央部分から後方側には、シート16が配置されている。シート16の前方には燃料タンク17が配置されている。
車体フレーム10には、リアアーム18が揺動可能に支持されている。リアアーム18の後端部には、駆動輪としての後輪19が回転可能に取り付けられている。後輪19は、図示しない動力伝達機構を介してエンジン4(図2参照)に連結されている。これにより、エンジン4の動力が後輪19に伝達され、後輪19が回転することとなる。
ハンドル12の右側には、アクセル操作子として図示しないアクセルグリップが設けられている。ハンドル12の左側には、左側グリップ29が設けられている。また、ハンドル12の左側であって左側グリップ29の前方には、後述するクラッチ2(図2参照)を断続する際に操作されるクラッチ操作子として、クラッチレバー24が設けられている。
自動二輪車本体7の左右両側の前後方向中央部には、フットレスト20Lが設けられている。自動二輪車本体7の左側かつ左側のフットレスト20Lのやや前方には、後述する変速装置5(図2参照)の変速比を変更する際に操作されるシフトペダル27が設けられている。自動二輪車本体7の左側かつシフトペダル27およびフットレスト20Lの下方には、サイドスタンド28が設けられている。
《パワーユニットの構成》
次に、図2を参照しながら、パワーユニット3の主要要素の構成について説明する。図2に示すように、パワーユニット3は、エンジン4と、変速装置5と、クラッチ2とを備えている。エンジン4の種類は特に限定されないが、本実施形態では、エンジン4は水冷式4サイクル並列4気筒型のエンジンである。
図示は省略するが、エンジン4は、4つのシリンダと、各シリンダ内で往復移動するピストンと、コンロッドを介してそれらピストンに連結されたクランク軸32とを有している。クランク軸32は、車幅方向に延びている。なお、符号31は、クランクケースを示している。
図2に示すように、クランク軸32は、クラッチ2を介して、変速装置5に接続されている。変速装置5は、メイン軸33と、ドライブ軸23と、ギヤ選択機構36とを備えている。メイン軸33は、クラッチ2を介してクランク軸32に接続されている。メイン軸33とドライブ軸23とは、それぞれ、クランク軸32と平行に配置されている。
メイン軸33には、多段の変速ギヤ34が装着されている。一方、ドライブ軸23には、多段の変速ギヤ34に対応する複数の変速ギヤ35が装着されている。複数の変速ギヤ34と複数の変速ギヤ35とは、選択された一対のギヤ同士のみで相互に噛合している。複数の変速ギヤ34のうち、選択された変速ギヤ34以外の変速ギヤ34と、複数の変速ギヤ35のうち、選択された変速ギヤ35以外の変速ギヤ35とのうちの少なくとも一方は、メイン軸33またはドライブ軸23に対して回転可能となっている。つまり、選択されていない変速ギヤ34と、選択されていない変速ギヤ35のうちの少なくとも一方は、メイン軸33またはドライブ軸23に対して空転するようになっている。すなわち、メイン軸33とドライブ軸23との間の回転伝達は、相互に噛合する、選択された変速ギヤ34および選択された変速ギヤ35のみを介して行われる。
変速ギヤ34,35の選択は、ギヤ選択機構36によって行われる。具体的に、変速ギヤ34,35の選択は、ギヤ選択機構36のシフトカム37によって行われる。シフトカム37の外周面には、複数のカム溝37aが形成されている。各カム溝37aには、シフトフォーク38が装着されている。各シフトフォーク38は、それぞれメイン軸33およびドライブ軸23の所定の変速ギヤ34および35に係合している。シフトカム37が回転することによって、複数のシフトフォーク38のそれぞれがカム溝37aに案内されてメイン軸33の軸方向に移動する。これにより、変速ギヤ34および35のうちの相互に噛合するギヤが選択される。具体的には、複数の変速ギヤ34および35のうち、シフトカム37の回転角度に応じた位置の一対のギヤのみが、メイン軸33およびドライブ軸23に対して、それぞれスプラインによる固定状態となる。これにより、変速ギヤ位置が決定され、変速ギヤ34および35を介して、メイン軸33とドライブ軸23との間で所定の変速比で回転伝達が行われる。なお、このギヤ選択機構36は、図1に示すシフトペダル27により操作される。
このような構成により、所定の一対の変速ギヤ34,35をメイン軸33およびドライブ軸23に固定し、クラッチ2を接続状態とした上でエンジン4を駆動すると、エンジン4の動力がクラッチ2を介してメイン軸33に伝達される。また、所定の一対の変速ギヤ34,35を介して、メイン軸33とドライブ軸23との間で所定の変速比で回転伝達が行われ、ドライブ軸23が回転駆動される。ドライブ軸23が回転駆動されると、ドライブ軸23と後輪19とを接続するチェーン等の伝達機構(図示省略)によって駆動力が伝達され、後輪19が回転することとなる。なお、前述のエンジン4と後輪19とをつなぐ動力伝達機構は、本実施形態では、クラッチ2、変速装置5およびチェーン等の伝達機構(図示省略)によって構成されている。
《クラッチの構成》
本実施形態では、クラッチ2は湿式多板式の摩擦クラッチによって構成されている。また、クラッチ2は、発進時または停止時において自動的に断続される遠心式のクラッチであるとともに、ライダーのクラッチレバー24の操作によって断続されるクラッチでもある。以下、図2、3、および4を参照しながら、クラッチ2の構成について詳述する。
−クラッチハウジング46−
図3に示すように、クラッチ2は、クラッチハウジング46を備えている。クラッチハウジング46には、メイン軸33が貫通している。クラッチハウジング46は、ハウジング本体46cを有している。ハウジング本体46cは、底部46aによって一端が閉じられた略円筒状に形成されている。ハウジング本体46cの底部46aには、メイン軸33が挿通されている。ハウジング本体46cには、複数対のアーム46dが設けられている。各アーム46dは、底部46aから、車幅方向の外側に向かって延びている。
図3に示すように、車幅方向とは、左右方向のことである。本実施形態では、クラッチ2はメイン軸33の右側に配置されているので、車幅方向の外側は右側、車幅方向の内側は左側となる。そのため、以下では、車幅方向の外側、内側を、それぞれ単に右側、左側と呼ぶこととする。
−シザーズギヤ45−
クラッチハウジング46には、シザーズギヤ45が取り付けられている。シザーズギヤ45は、2枚のギヤ45a,45bと、スプリング49と、2枚のプレート51,52とを備えている。ギヤ45aとギヤ45bとは、この2枚のプレート51,52の間に位置している。2枚のプレート51,52は、メイン軸33の軸方向に関して、リベットや、ビスなどの固定具によって相互に固定されている。これにより、2枚のギヤ45a,45bは、メイン軸33の軸方向に関して、相互に実質的に固定されている。一方、ギヤ45aとギヤ45bとは、回転方向に関して、相互に回転可能となっている。
ギヤ45aとギヤ45bとは、歯数が相互に等しい。ギヤ45aとギヤ45bとは、周方向に関して、それぞれの歯が互い違いに位置するように配置されている。スプリング49は、ギヤ45aとギヤ45bとの間に設けられている。このため、ギヤ45aとギヤ45bとには、スプリング49によってねじりトルクが付与される。これにより、エンジン4の変動トルクが吸収される。
なお、シザーズギヤ45のギヤ45aは、クランク軸32のギヤ32a(図2参照)と噛合している。また、シザーズギヤ45のギヤ45aは、クラッチハウジング46の底部46aに相対回転不能に固定されている。このような構成により、クランク軸32の回転に伴って、シザーズギヤ45のギヤ45aとクラッチハウジング46とは一体的に回転する。
シザーズギヤ45とメイン軸33との間には、ニードルベアリング53と、メイン軸33に対して回転不能に固定されたスペーサ54とが配置されている。このニードルベアリング53によって、シザーズギヤ45は、メイン軸33に対して回転可能となっている。つまり、シザーズギヤ45の回転は、直接メイン軸33に伝わらないようになっている。
−クラッチボス48−
クラッチボス48は、ナット67によって、メイン軸33に対して回転不能に固定されている。つまり、クラッチボス48は、メイン軸33と共に回転する。また、クラッチボス48とシザーズギヤ45との間には、スラストベアリング63が配置されている。これにより、シザーズギヤ45、ニードルベアリング53およびスペーサ54と、クラッチボス48とは、スラストベアリング63によって、所定の距離以下に近づかない様に規制される。すなわち、シザーズギヤ45、ニードルベアリング53およびスペーサ54は、メイン軸33の軸方向に関し、クラッチボス48側への移動を規制される。
−プレート群66−
クラッチハウジング46の内側には、複数のフリクションプレート64が配置されている。各フリクションプレート64は、メイン軸33の回転方向に関して、クラッチハウジング46に対して固定されている。このため、複数のフリクションプレート64は、クラッチハウジング46と共に回転する。なお、各フリクションプレート64は、メイン軸33の軸方向に関して変位可能である。このため、相互に隣接するフリクションプレート64相互間の距離は可変である。
複数のフリクションプレート64は、メイン軸33の軸方向に配列されている。相互に隣接する各フリクションプレート64の間には、クラッチプレート65が配置されている。クラッチプレート65は、隣接するフリクションプレート64に対向している。各クラッチプレート65は、メイン軸33の回転方向に関して、クラッチボス48に対して固定されている。このため、複数のクラッチプレート65は、クラッチボス48と共に回転する。なお、各クラッチプレート65は、メイン軸33の軸方向に関して変位可能である。このため、相互に隣接するクラッチプレート65相互間の距離は可変である。
本実施形態では、これら複数のフリクションプレート64と複数のクラッチプレート65とによってプレート群66が構成されている。
−プレッシャプレート77−
メイン軸33の右側には、プレッシャプレート77が配置されている。プレッシャプレート77は、略円盤形状に形成されている。プレッシャプレート77の中心側部分には、後述するサブクラッチ100が設けられている。プレッシャプレート77の半径方向の外側端部は、アーム46dと係合している。これにより、プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して回転不能であり、クラッチハウジング46と共に回転する。
プレッシャプレート77の半径方向外側の部分には、プレート群66側に突出する押圧部77bが形成されている。この押圧部77bは、プレート群66における最も右側に位置するフリクションプレート64に対向している。プレッシャプレート77が左側に移動すると、この押圧部77bが、プレート群66を左向きに押圧する。その結果、プレート群66のフリクションプレート64とクラッチプレート65とが、より強く圧接されることになる。
一方、プレッシャプレート77の半径方向外側の部分におけるプレート群66とは反対側の面には、ローラウエイト41を支持するカム面81が形成されている。これらカム面81およびローラウエイト41は、周方向に沿って複数設けられている。複数のカム面81は、メイン軸33の軸心を中心として放射状に配置されている。各カム面81は、半径方向の外側にいくに従って右側に向かうように傾斜している。
プレッシャプレート77よりも右側には、ローラリテナー78が配置されている。ローラリテナー78は、メイン軸33の軸方向から見て輪帯状に形成されている。ローラリテナー78は、プレッシャプレート77のカム面81と対向している。これにより、各カム面81とローラリテナー78とにより、メイン軸33の半径方向外側に向かって幅狭となる空間82が形成される。
ローラリテナー78の半径方向の外側端部は、プレッシャプレート77と同様に、複数のアーム46dと係合している。これにより、ローラリテナー78は、クラッチハウジング46に対して回転不能となっている。言い換えれば、ローラリテナー78は、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、メイン軸33の軸方向に関しては、ローラリテナー78は、クラッチハウジング46に対して変位可能である。また、ローラリテナー78には、後述する弾性体122のスプリングホルダー122aが固定されている。
ローラリテナー78は、付勢部材としての皿ばね83によって、左側に付勢されている。言い換えれば、ローラリテナー78は、皿ばね83によって、プレート群66側に付勢されている。これらローラリテナー78および皿ばね83は、ローラウエイト41をカム面81側に押しつける当接部材70を構成している。
複数の空間82には、それぞれローラウエイト41が配置されている。ローラウエイト41は、クラッチハウジング46の回転に伴って旋回し、その旋回時に生じる遠心力によって、カム面81上を半径方向外側に向かって移動する。そして、ローラウエイト41は、当接部材70からの反力を受けて、前記プレッシャプレート77をプレート群66側に押圧する。
後述するように、本実施形態では、プレッシャプレート77は、アイドリング状態であってもプレート群66を圧接するように構成されている。これにより、本実施形態では、アイドリング状態であっても、クラッチ2は半クラッチ状態となり、徐行運転が可能な程度に後輪19に駆動力が伝達される。また、本実施形態では、プレッシャプレート77は、エンジン4が停止している状態であって、ローラウエイト41がプレッシャプレート77をプレート群66側に押圧していない状態においても、プレート群66を圧接するように構成されている。これにより、本実施形態では、エンジン4が停止している状態であってもクラッチ2は接続状態となる。そのため、自動二輪車1は、エンジン4が停止している状態において、ブレーキ機構の操作を行わずに、ブレーキが掛かった状態のように駐車できる。
クランク軸32の回転速度が小さい場合は、クラッチハウジング46の回転速度も小さくなる。そのため、ローラウエイト41に作用する遠心力は比較的小さく、ローラウエイト41は比較的内側に位置する。これにより、ローラウエイト41がプレッシャプレート77を左向きに押す力は、弱くなる。その結果、プレート群66の圧接の程度が弱まり、クラッチハウジング46からクラッチボス48に伝達可能な回転力は、相対的に小さくなる。
一方、クランク軸32の回転速度が比較的大きくなると、それと共に、クラッチハウジング46の回転速度も比較的大きくなる。そのため、クラッチハウジング46の回転速度が大きくなるにつれ、ローラウエイト41に作用する遠心力が大きくなる。そして、ローラウエイト41に作用する遠心力が所定値以上となると、ローラウエイト41が外側に移動する。これにより、プレッシャプレート77は、ローラウエイト41によって左側に押圧され、プレート群66側に移動する。その結果、プレート群66が相対的に強く圧接され、クラッチハウジング46からクラッチボス48に伝達可能な回転力は、相対的に大きくなる。
−パーキングブレーキ機構−
本実施形態において、クラッチ2は遠心クラッチであるにもかかわらず、エンジン4が停止状態であってもクラッチ接続状態にすることができる。つまり、クラッチ2は、自動二輪車1がブレーキを掛けられた状態にするような機構を有している。そのため、クラッチ2は、エンジン4が停止状態であっても、トルクを伝達することが可能である。前記機構をパーキングブレーキ機構120と称する。パーキングブレーキ機構120は、以下の弾性体リテナー121と弾性体122とを有する。
図7(a)に示すとおり、プレッシャプレート77とローラリテナー78との間に、弾性体リテナー121が配置されている。弾性体リテナー121は、板状のプレートであり、メイン軸33の軸方向から見て輪帯状に形成されている。また、弾性体リテナー121は、アーム46dに外側端部が係合されている。これにより、弾性体リテナー121は、クラッチハウジング46に対して回転不能であり、クラッチハウジング46と共に回転する。
また、弾性体リテナー121の右側に配置されているローラリテナー78には、スプリングホルダー122aが固定されている。スプリングホルダー122aは、筒状の形状をしている。図7(a)に示すように、スプリングホルダー122aは、ローラリテナー78と皿ばね83とを貫通してローラリテナー78に固定される。ローラリテナー78と皿ばね83との各貫通孔(図示せず)の形状は、例えば、スプリングホルダー122aの筒断面形状と相似である。各貫通孔の大きさは特に限定しない。各貫通孔の大きさは、ローラリテナー78が皿ばね83を支持することと、皿ばね83がローラリテナー78をプレート群66に付勢すること等の機能を保持している大きさであれば良い。
また、弾性体リテナー121には、スプリング122bが固定されている。スプリング122bは、コイルスプリングである。スプリング122bの一端は、上記のとおり弾性体リテナー121に固定されているが、反対側の一端は、スプリングホルダー122aの筒頭部に接触している。本実施形態において、スプリング122bは、ローラリテナー78に固定されたスプリングホルダー122aの筒内部に自然長より縮んだ状態で封入されている。つまり、スプリング122bは、ばねの伸長方向の付勢力によって、弾性体リテナー121を左向きに押圧している。このときのスプリング122bのコイルの巻き数は特に限定しない。また、本実施形態において、スプリング122bはコイルスプリングとしているが、ばねの種類は特に限定しない。なお、スプリングホルダー122aとスプリング122bとを合わせ、便宜的に弾性体122と称する。
図7(a)は、エンジン4が停止している状態でのクラッチ2の断面拡大図である。プレッシャプレート77の各カム面81に配置されたローラウエイト41は、エンジン4の駆動状態および停止状態を問わず、常に弾性体リテナー121と当接している。また、ローラリテナー78は、皿ばね83によって、左側に付勢されているので、パーキングブレーキ機構120は、スプリング122bの付勢力によって、弾性体リテナー121をローラウエイト41に押圧している。ローラウエイト41は、カム面81を通してプレッシャプレート77をプレート群66に押圧している。ローラウエイト41は、メイン軸33の回転によって遠心力を受け、プレッシャプレート77の半径方向の外側に移動する。これにより、ローラウエイト41と弾性体リテナー121との当接状態に変化が生じる。
図7(b)は、エンジン4を始動した状態である。このとき、エンジン4は、アイドリングの状態である。図7(a)に示すエンジン4の停止状態から、メイン軸33の回転によって遠心力を受けたローラウエイト41は、カム面81に沿って遠心方向(プレッシャプレート77の半径方向の外側)に移動する。カム面81は、半径方向の外側にいくに従って右側に向かうように傾斜しているので、ローラウエイト41は、弾性体リテナー121を右側に移動させる。ローラウエイト41によって右側に移動された弾性体リテナー121は、スプリング122bを右側に押圧する。また、弾性体リテナー121は、右側に移動することで、スプリングホルダー122aを挟んでローラリテナー78と当接する。互いに当接したローラリテナー78と弾性体リテナー121とは、皿ばね83の付勢力を左向きに受ける。ローラリテナー78およびパーキングブレーキ機構120は、皿ばね83の付勢力により、ローラウエイト41を介して、プレッシャプレート77を左向きに押圧する。
図7(c)は、エンジン4の回転が、アイドリング状態よりもさらに増加した状態である。このとき、遠心力を受けたローラウエイト41は、遠心方向の移動が、プレッシャプレート77の半径方向外側のカム面81にて規制される。そのため、さらにエンジン4の回転が増加された場合においても、遠心力を受けたローラウエイト41の位置は、図7(c)の位置と変わらない。
−サブクラッチ100−
図3に示すように、本実施形態に係るクラッチ2は、サブクラッチ100を備えている。サブクラッチ100は、摩擦プレート101と、摩擦プレート101の左側の面(以下、第1摩擦面という)101aに対向する第1押圧プレート102と、摩擦プレート101の右側の面(以下、第2摩擦面という)101bに対向する第2押圧プレート103とを備えている。
摩擦プレート101は、プレッシャプレート77と共に回転するようにプレッシャプレート77に係合している。具体的には、プレッシャプレート77には、スライドアーム部77cが形成されている。一方、摩擦プレート101の半径方向外側には、溝(図示せず)が形成されている。そして、摩擦プレート101の上記溝がスライドアーム部77cに摺動可能に係合し、摩擦プレート101はプレッシャプレート77と共に回転するように構成されている。
第1押圧プレート102は、後述する短プッシュロッド43aに固定されている。そのため、第1押圧プレート102は、短プッシュロッド43aと共に軸方向に移動自在である。また、第1押圧プレート102は、短プッシュロッド43aと共に回転する。
第2押圧プレート103は、短プッシュロッド43aにセレーション嵌合されている。そのため、第2押圧プレート103は、短プッシュロッド43aと共に回転するが、短プッシュロッド43aに対して軸方向に相対移動可能となっている。第2押圧プレート103は、右側に延びるボス部103aを有している。このボス部103aは、軸受104を介してプレッシャプレート77を回転自在に支持している。これにより、第2押圧プレート103とプレッシャプレート77とは、相対回転自在となっている。また、第2押圧プレート103とプレッシャプレート77とは、軸方向に一体となって移動するように構成されている。
短プッシュロッド43aが右側に移動すると、第1押圧プレート102も右側に移動する。すると、第1押圧プレート102は、摩擦プレート101を第2押圧プレート103側に押しつける。その結果、摩擦プレート101は、第1押圧プレート102と第2押圧プレート103との間に挟まれる。それにより、プレッシャプレート77の回転力が摩擦プレート101を介して第1押圧プレート102および第2押圧プレート103に伝達され、第1押圧プレート102および第2押圧プレート103に回転力が加えられる。
後述するように、メイン軸33の内部には、貫通孔33aが形成されている。この貫通孔33aには、プッシュ機構43の短プッシュロッド43a、ボール43c、および長プッシュロッド43bが挿入されている。そして、この貫通孔33aの内壁と長プッシュロッド43b等との間の隙間89は、クラッチ2にオイルを供給するオイル供給路となっている。
さらに、短プッシュロッド43aには、上記隙間89内のオイルをサブクラッチ100に導くオイル供給路110が形成されている。オイル供給路110は、短プッシュロッド43aの左側部分に形成されたオイル導入路110aと、短プッシュロッド43aの中心部に形成されたオイル通路110bと、短プッシュロッド43aの右側部分に形成されたオイル導出路110cとから構成されている。オイル導入路110aは、半径方向に延びる孔であり、軸方向に延びるオイル通路110bとつながっている。同様に、オイル導出路110cも半径方向に延びる孔であり、オイル通路110bとつながっている。オイル導出路110cの出口、すなわちオイル導出路110cの半径方向外側の開口は、摩擦プレート101の第1摩擦面101aおよび第2摩擦面101bに向かって開口している。そのため、オイル供給路110のオイルは、第1摩擦面101aおよび第2摩擦面101bに向かって供給される。
−倍力機構−
図3に示すように、本実施形態に係るクラッチ2は、倍力機構200を備えている。倍力機構200は、プレッシャプレート77の回転力の一部をクラッチ2を切断する力に変換し、クラッチ2の切断に要する力を低減させるものである。本実施形態に係る倍力機構200は、いわゆるボールカムによって構成されている。倍力機構200は、第2押圧プレート103に固定されたスライド軸201と、第1カムプレート202と、第2カムプレート203と、ボールプレート204と、第2カムプレート203を第1カムプレート202から離反する方向に付勢するコイルばね205とを備えている。スライド軸201の先端側には、コイルばね205の右側部分に当接することによってコイルばね205を支持する支持プレート250が固定されている。
図5(b)に示すように、ボールプレート204には、3つのボール204aが転がり自在に支持されている。3つのボール204aは、スライド軸201の軸心を中心とする円周方向に沿って、均等に配置されている。ただし、ボールプレート204に支持されるボール204aの個数は、3個に限定される訳ではない。
図5(c)に示すように、第1カムプレート202の中心部には、貫通孔202bが形成されている。図3に示すように、この貫通孔202bにスライド軸201が挿通されている。スライド軸201は、第1カムプレート202に対して軸方向に移動自在であり、かつ回転自在である。つまり、第1カムプレート202は、スライド軸201が回転しても回転しないように構成されている。
図5(a)に示すように、第2カムプレート203の中心部には、セレーション孔203bが形成されている。第2カムプレート203は、スライド軸201にセレーション嵌合されている。そのため、第2カムプレート203は、スライド軸201に対して軸方向に移動自在であるが、スライド軸201と共に回転するようになっている。
コイルばね205の一端205bは、クランクケース31に固定されたピン210に係止されている。コイルばね205の他端205aは、第2カムプレート203に係止されている。これにより、第2カムプレート203は、コイルばね205によって、スライド軸201周りに回転するような回転力を受けている。また、第2カムプレート203は、皿ばね83およびコイルばね205の合計の付勢力によって、第1カムプレート202側に向かってスライド軸201の軸方向に移動するようなスライド力を受けている。
第1カムプレート202の右側の面(図5(c)においては紙面表側の面)には、第1カム面202aが形成されている。第2カムプレート203の左側の面(図5(a)においては紙面表側の面)には、第2カム面203aが形成されている。これら第1カム面202aおよび第2カム面203aは、第2カムプレート203が所定方向に回転するとボール204aが両カム面202a,203aの間から乗り上げ、第2カムプレート203が上記所定方向と逆の方向に回転すると、ボール204aが両カム面202a,203aの間に収納されるような形状に形成されている。言い換えると、両カム面202a,203aは、第2カムプレート203が皿ばね83およびコイルばね205の合計の付勢力に対抗して所定方向に回転すると、ボール204aによって両プレート202,203が互いに離反するように押圧され、第2カムプレート203が右側に移動するように形成されている。また、両カム面202a,203aは、第2カムプレート203が逆方向に回転すると、皿ばね83およびコイルばね205の合計の付勢力によって左側に移動するように形成されている。
コイルばね205は、第2カムプレート203を右側に付勢している。一方、皿ばね83は、プレッシャプレート77等を介して第2カムプレート203を左側に付勢している。そして、皿ばね83が第2カムプレート203を左側に付勢する付勢力の方が、コイルばね205が第2カムプレート203を右側に付勢する付勢力よりも大きい。そのため、皿ばね83およびコイルばね205の全体は、第2カムプレート203を左側に付勢することによって、ボール204a、第1カムプレート202、スライド軸201、第2押圧プレート103、および軸受104を介して、プレッシャプレート77を左側に押圧している。すなわち、皿ばね83およびコイルばね205の全体は、プレッシャプレート77をプレート群66側に向かって付勢している。これにより、プレッシャプレート77は、エンジン4がアイドリング状態のときであってもプレート群66を圧接するように付勢されている。
なお、ここで「アイドリング状態」とは、エンジン4が運転中であって、自動二輪車1のアクセルグリップ(図示せず)が閉じられた状態をいう。本実施形態では、プレッシャプレート77は、上述したパーキングブレーキ機構120と、皿ばね83およびコイルばね205との全体によって、プレート群66側に常時付勢されている。これにより、アイドリング状態のときであっても、フリクションプレート64とクラッチプレート65とが接触し、それらが摺動しながら回転駆動力の一部を伝達する。すなわち、アイドリング状態のときであっても、いわゆる半クラッチ状態となる。
図6(a)および(b)に示すように、クラッチ2は、プレッシャプレート77の回転中心(言い換えると、コイルばね205の中心)を中心として円周状に配置された複数のピン210を備えている。これらピン210は、コイルばね205の一端205bが係止可能に形成されている。そのため、コイルばね205の一端205bを係止するピン210を適宜選択することにより、コイルばね205の付勢力を調整することができる。例えば、コイルばね205の一端205bを係止するピン210を、図6(a)に示すピン210から図6(b)に示すピン210に変更することにより、プレッシャプレート77に対するコイルばね205の付勢力を強めることができる。
−クラッチレリーズ機構86−
本実施形態のクラッチ2には、クラッチレリーズ機構86が設けられている。クラッチレリーズ機構86は、ライダーによるクラッチレバー24の操作を受けて、強制的にプレート群66の圧接状態を解除する。このクラッチレリーズ機構86によって、自動二輪車1のライダーの手動操作によるクラッチ2の切断が可能となっている。
上述したように、本実施形態に係る自動二輪車1では、クラッチ2は、アイドリング状態であっても半クラッチ状態となるように構成されている。また、本実施形態に係る自動二輪車1では、エンジン4が停止している状態であっても、クラッチ2が接続状態となるように構成されている。しかし、このクラッチレリーズ機構86によって、半クラッチ状態または接続状態のクラッチ2を切断することができる。
クラッチレリーズ機構86は、プッシュ機構43(図3参照)と、プッシュ機構43を駆動するための駆動機構87(図4参照)とを備えている。図3に示すように、プッシュ機構43は、短プッシュロッド43aと、長プッシュロッド43bと、これら短プッシュロッド43aと長プッシュロッド43bとの間に介在するボール43cとを備えている。メイン軸33の内部には貫通孔33aが形成されており、プッシュ機構43は貫通孔33aの内部に配置されている。なお、貫通孔33aは、クラッチ2の各摺動部などにオイルを供給するためのオイル供給孔を兼ねている。具体的に、貫通孔33aの内壁とプッシュ機構43との間の隙間89を介してオイルがクラッチ2の各摺動部に供給される。
短プッシュロッド43aの右側端は、メイン軸33から突出し、サブクラッチ100の第1押圧プレート102に取り付けられている。そのため、短プッシュロッド43aは、サブクラッチ100が接続されると、プレッシャプレート77と一体となって回転する。また、短プッシュロッド43aは、サブクラッチ100およびクラッチ2が接続されると、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、長プッシュロッド43bは、メイン軸33と共に回転しない。このため、短プッシュロッド43aと長プッシュロッド43bとの間にボール43cが設けられ、短プッシュロッド43aと長プッシュロッド43bとの間の摺動抵抗が軽減されている。
図4は、プッシュロッド駆動機構87を表す断面図である。図4に示すように、長プッシュロッド43bの左側端は、メイン軸33の左側端よりも左側に位置し、プッシュロッド駆動機構87に至っている。なお、図4のメイン軸33の軸心よりも下の部分は、クラッチレリーズ機構86が駆動されていない状態を表している。言い換えれば、図4のメイン軸33の軸心よりも下の部分は、プッシュ機構43が比較的左側に位置し、プッシュ機構43によってプレッシャプレート77が右側に変位していない状態を表している。一方、図4のメイン軸33の軸心よりも上の部分は、クラッチレリーズ機構86が駆動されている状態を表している。言い換えれば、図4のメイン軸33の軸心よりも上の部分は、プッシュ機構43が比較的右側に位置し、プッシュ機構43によってプレッシャプレート77が右側に変位している状態を表している。
図4に示すように、駆動機構87は、シリンダ90とピストン91とを備えている。ピストン91は、シリンダ90に対して、メイン軸33の軸方向に摺動可能である。ピストン91は、長プッシュロッド43bに取り付けられている。このため、ピストン91が摺動することで、長プッシュロッド43bもメイン軸33の軸方向に移動する。
ピストン91とシリンダ90との間には、作動室92が区画形成されている。この作動室92には、オイルが満たされている。
ピストン91とクランクケース31との間には、圧縮コイルばね93が配置されている。ピストン91は、この圧縮コイルばね93によって、左側に付勢されている。つまり、プッシュ機構43が左側に変位してクラッチ2がつながる方向に付勢されている。そのため、自動二輪車1のライダーにより、クラッチレバー24(図1参照)の操作が解除されると、プッシュ機構43は自動的に左側に移動する。
《クラッチの動作》
次に、クラッチ2の動作について説明する。まず、クラッチ2を切断する際の動作について説明する。
自動二輪車1のライダーがクラッチレバー24(図1参照)を握ると、駆動機構87の作動室92の内圧が上昇する。これにより、ピストン91が右側に移動し、長プッシュロッド43bも右側に移動する。すると、ボール43cおよび短プッシュロッド43aも右側に移動し、サブクラッチ100の第1押圧プレート102が右側に移動する。これにより、サブクラッチ100の摩擦プレート101が第1押圧プレート102と第2押圧プレート103との間に挟まれ、サブクラッチ100が接続状態となる。すると、倍力機構200のスライド軸201がプレッシャプレート77と共に所定方向に回転する。
スライド軸201が所定方向に回転すると、倍力機構200の第2カムプレート203も同方向に回転する。すると、ボールプレート204のボール204aが第1カム面202aと第2カム面203aとの間から乗り上がり、第2カムプレート203がボール204aによって右側に押圧される。これにより、スライド軸201も右側に押圧される。その結果、短プッシュロッド43aが第1押圧プレート102および摩擦プレート101を介してプレッシャプレート77を右側に押し出す力と、スライド軸201が第2押圧プレート103および軸受104を介してプレッシャプレート77を右側に引っ張る力とにより、プレッシャプレート77が右側に移動する。これにより、プレート群66の圧接状態が解除され、クラッチ2は切断される。
なお、第2カムプレート203は、所定量以上の回転が規制されている。そのため、クラッチ2が切断された状態では、摩擦プレート101は第1押圧プレート102および第2押圧プレート103に対して回転する。つまり、摩擦プレート101は第1押圧プレート102および第2押圧プレート103に対して滑ることになる。しかし、摩擦プレート101の第1摩擦面101aおよび第2摩擦面101bにはオイルが供給されるので、摩擦プレート101の摩耗は抑制される。
次に、クラッチ2を接続する際の動作について説明する。
クラッチ2を接続する際には、ライダーは、握っていたクラッチレバー24を離す。すると、駆動機構87の作動室92の内圧が減少する。これにより、ピストン91および長プッシュロッド43bが左側に移動する。すると、ボール43cおよび短プッシュロッド43aも左側に移動し、サブクラッチ100の第1押圧プレート102が左側に移動する。これにより、サブクラッチ100の第1押圧プレート102が摩擦プレート101から離れる。また、第2押圧プレート103は、第1押圧プレート102から右向きに押されなくなる。そのため、スライド軸201に対する右向きの押圧力がなくなり、コイルばね205の付勢力を受けた第2カムプレート203が逆方向に回転することによって、第2カムプレート203およびスライド軸201は左側に移動する。その結果、第2押圧プレート103も左側に移動する。
また、プレッシャプレート77は、第1押圧プレート102による右向きの押圧力が解除されるので、皿ばね83等の付勢力によって左側に移動する。その結果、プレッシャプレート77がプレート群66を圧接し、クラッチ2は接続される。なお、この際、サブクラッチ100の摩擦プレート101は、第2押圧プレート103から離反する。
本実施形態に係るクラッチ2では、プレッシャプレート77が皿ばね83から受ける付勢力は、ローラウエイト41の半径方向位置によって変化する。具体的には、プレッシャプレート77の回転数が大きい場合には、ローラウエイト41は半径方向の外側に移動する。その結果、ローラウエイト41は右側に移動し、皿ばね83を大きく変形させることになる。したがって、皿ばね83自体の弾性係数を大きくしなくても、皿ばね83はローラウエイト41によって大きく変形するので、プレッシャプレート77が皿ばね83から受ける付勢力は、相対的に大きくなる。一方、プレッシャプレート77の回転数が小さい場合には、ローラウエイト41は半径方向の内側に移動する。その結果、ローラウエイト41は左側に移動し、皿ばね83の変形量は少なくなる。したがって、プレッシャプレート77が皿ばね83から受ける付勢力は、相対的に小さくなる。
エンジン回転数が大きい場合には、プレッシャプレート77によってプレート群60を大きな押圧力で圧接する必要がある。本実施形態に係るクラッチ2では、エンジン回転数が大きくなると、ローラウエイト41が半径方向外側に移動することによって、皿ばね83の変形量が大きくなる。そのため、皿ばね83の弾性係数を大きくしなくても、十分な大きさの押圧力を得ることができる。したがって、皿ばね83の弾性係数、すなわちばね容量を比較的小さく抑えることができる。
《クラッチの伝達トルク》
以下に、自動二輪車1の運転時におけるクラッチ2から後輪19へ伝達されるトルク変化の一例について、図7および図8を用いて説明する。図7(a)に示すように、エンジン4が停止状態であるとき、プレッシャプレート77は、弾性体122によってプレート群66を押圧している。このとき、図8に示すように、クラッチ2には伝達トルクTが生じている。
エンジン4の始動時、またはエンジン4を始動した後に自動二輪車1を発進させる場合、クラッチ2を切断する操作がクラッチレバー24によって行われる。クラッチ2が切断されている状態において、後輪19への伝達トルクは、図8に示すようにTで表される。このときのクラッチ2の伝達トルクTは零にはならない。これは、上述したように、クラッチ2に供給されるオイルが、サブクラッチ100等において油膜が貼り付くことによってトルクを伝達していることによる。
また、上述したように、本実施形態に係るクラッチ2は、エンジン4がアイドリング状態であっても半クラッチ状態となるように構成されている。このような半クラッチの状態では、アクセルグリップの開動作と閉動作とを頻繁に繰り返さなくても、クラッチレバー24を適宜操作することにより、徐行運転を行うことができるような伝達トルクの大きさである。自動二輪車1において、半クラッチ状態であるようなクラッチの伝達トルクを便宜的に必要伝達トルクと称する。図8に示すように、エンジン4の任意のアイドリング回転数rにおけるクラッチ2の伝達トルクをTで表す。ここで、伝達トルクTの大きさは、必要伝達トルクよりも常に大きい値である。また、アイドリング回転数rは、パワーユニット3において、回転数が調整可能である。アイドリング回転数rの調整によって、伝達トルクTも変更可能である。このように、伝達トルクTが必要伝達トルクよりも大きいため、クラッチ2が遠心クラッチであるにもかかわらず、アイドリング回転数rでの走行が可能となる。
ところで、図8に示す横軸(エンジン4の回転数)の零とアイドリング回転数rとの間の領域は、エンジン4の停止状態からエンジン4を始動する際のクラッチレバー24およびシフトペダル27等の操作順序が異なる場合は、異なった伝達トルクの変化を示す。図8において、当該領域の伝達トルクの変化は省略してある。しかし、いずれの場合においても、当該領域では、クラッチ2の伝達トルクはTからTまでの領域で示される。
エンジン4が、アイドリング回転数rよりも回転を増加していくと、クラッチ2は、エンジン4の回転数に応じて伝達トルクが増加する。しかし、図7(c)に示すとおり、遠心力を受けたローラウエイト41の遠心方向の移動は、プレッシャプレート77の半径方向外側のカム面81にて規制される。したがって、プレッシャプレート77の左向きの押圧力は、一定の大きさとしてフリクションプレート64とクラッチプレート65とを押圧する。ローラウエイト41の遠心方向の移動が規制される場合、つまり、ローラウエイト41がカム面81のプレッシャプレート77の半径方向最外側に達するときのエンジン4の回転数をrとする。図8において、エンジン4の回転数がrに達したときのクラッチ2の伝達トルクは、Tで表される。エンジン4の回転数がrよりも増加する場合でも、プレッシャプレート77がフリクションプレート64とクラッチプレート65とを左側に押圧する力は一定であるため、クラッチ2の伝達トルクTは、一定値として表される。
《変形例1》
前記実施形態において、パーキングブレーキ機構120は、スプリング122bの付勢力の向きがコイルばねの伸長方向を利用しているものであった。しかし、スプリング122bの付勢力の向きは、伸長方向に限定されない。変形例1では、スプリング122bの付勢力の向きを変えた場合において、以下に説明する。なお、変形例1において、前記実施形態と同じ作用を奏する部材又は部位には、同じ符号を付している。
図9に示すように、変形例1における弾性体122は、図3または図7に示す弾性体122とはメイン軸33の軸方向において左右逆向きに配置されている。また、図9は、エンジン4の駆動状態におけるクラッチ2の状態である。変形例1において、スプリングホルダー122aは、ローラリテナー78ではなく、弾性体リテナー121に固定されている。また、スプリング122bは、弾性体リテナー121ではなく、ローラリテナー78に固定されている。スプリング122bの一端は、前記のとおりローラリテナー78に固定されているが、反対側の一端は、スプリングホルダー122aの筒頭部に接触している。スプリングホルダー122aは、弾性体リテナー121を貫通している。弾性体リテナー121の各貫通孔(図示せず)の形状は、例えば、スプリングホルダー122aの筒断面形状と相似である。各貫通孔の大きさは特に限定しない。各貫通孔の大きさは、弾性体リテナー121が弾性体122を支持することと、弾性体リテナー121がローラウエイト41の遠心力を受け止めること等の機能を保持している大きさであれば良い。スプリング122bは、弾性体リテナー121に固定されたスプリングホルダー122aの筒内部に自然長より伸びた状態で封入されている。つまり、スプリング122bは、ばねが縮もうとする方向の付勢力によって、ローラリテナー78を左向きに押圧している。ローラリテナー78と弾性体リテナー121とは、常にスプリングホルダー122aの底部(図示せず)を挟んで接触している。パーキングブレーキ機構120は、スプリング122bのばねが縮もうとする方向の力を利用して、ローラリテナー78と弾性体リテナー121とをローラウエイト41に当接させている。さらに、ローラウエイト41を介して、プレッシャプレート77を左向きに押圧し、プレート群66を接触させる。
エンジン4の停止状態からエンジン4を始動させた場合、遠心力を受けたローラウエイト41は、遠心方向に移動する。さらにエンジン4の回転が増加すると、ローラウエイト41のプレッシャプレート77の半径方向外側の移動は、プレッシャプレート77の半径方向外側のカム面81にて規制される。このとき、ローラリテナー78と弾性体リテナー121とは、ともに皿ばね83の付勢力を左向きに受けている。したがって、プレッシャプレート77は、一定の大きさの左向きの押圧力でフリクションプレート64とクラッチプレート65とを押圧する(図8参照)。
《変形例2》
前記実施形態および変形例1において、パーキングブレーキ機構120に用いる弾性体122は、コイルばねを利用していた。しかし、弾性体122はコイルばねに限定されず、以下のように板ばねを用いた弾性体122においても実施可能である。なお、変形例2において、前記実施形態と同じ作用を奏する部材又は部位には、同じ符号を付している。
図10に示すように、変形例2における弾性体122は、板ばねである。板ばねを複数用いることで、エンジン4の停止時においてもフリクションプレート64とクラッチプレート65とが接触するように構成している。図10は、エンジン4の駆動時の状態である。板ばね122cは、弾性体リテナー121に固定されている。また、板ばね122dは、ローラリテナー78に固定されている。弾性体リテナー121は、板ばね122cと板ばね122dとの配置位置の妨げとならないように、屈曲部121aを有している。図10において、板ばね122cと板ばね122dとは、互いに離反するような付勢力の向きを有している。つまり、板ばね122cは、ばねの付勢力によって板ばね122dと弾性体リテナー121とを左向きに付勢している。また、板ばね122dは、ばねの付勢力によって板ばね122cとローラリテナー78とを右向きに付勢している。エンジン4が停止状態であるときは、パーキングブレーキ機構120では、板ばね122cと板ばね122dとの互いに離反する付勢力によって、弾性体リテナー121がローラウエイト41を介してプレッシャプレート77を左向きに押圧している。
エンジン4の停止状態からエンジン4を始動させた場合、ローラウエイト41は、遠心方向に移動する。さらにエンジン4の回転が増加すると、ローラウエイト41のプレッシャプレート77の半径方向外側の移動は、プレッシャプレート77の半径方向外側のカム面81にて規制される。このとき、ローラリテナー78と弾性体リテナー121とは、ともに皿ばね83の付勢力を左向きに受けている。板ばね122cの左向きの付勢力と、板ばね122dの右向きの付勢力と、皿ばね83の左向きの付勢力と、ローラウエイト41の遠心力がカム面81によって弾性体リテナー121を右側に押圧する力とは、合計として左向きの付勢力となっている。つまり、プレッシャプレート77は、一定の大きさの左向きの押圧力でフリクションプレート64とクラッチプレート65とを押圧している(図8参照)。
《実施形態の効果》
以上のように、本実施形態では、クラッチ2は遠心クラッチであるにもかかわらず、エンジン4が停止状態であってもフリクションプレート64とクラッチプレート65とを接触させることができる。そのため、クラッチ2は、エンジン4が停止状態であっても、トルクを伝達することが可能である。したがって、自動二輪車1は、坂道駐車を行う場合、ギヤ入力を行うことで、別途パーキングブレーキ等の手段を用いずに安定して駐車させることができる。
また、本実施形態では、クラッチ2は、パーキングブレーキ機構120において弾性体122と皿ばね83とを備えている。エンジン4が停止状態であっても、フリクションプレート64とクラッチプレート65とが接触するように、皿ばね83と弾性体122とは、ばねの付勢力によって常時プレッシャプレート77を押圧している。このように、エンジン4が停止状態であってもプレッシャプレート77をプレート群66側に常時付勢する皿ばね83と弾性体122とを設けることによって、上述の効果を容易に奏する自動二輪車1を提供することができる。
本実施形態では、スプリング122bは自然長よりも縮んだ状態でスプリングホルダー122aに封入されている。このとき、スプリング122bの伸長方向の力を利用し、プレッシャプレート77を押圧している。この場合、スプリング122bの縮もうとする力を利用する場合に比べ、スプリング122bの自然長より伸びた量をスプリング122bの配置に考慮する必要がない。そのため、スプリング122bの自然長より伸びた量を含めることなく、スプリング122bを所定位置に配置することができる。したがって、スプリング122bの配置に係るクラッチ2の内部のスペースを有効利用することができる。
本実施形態では、クラッチ2は、エンジン4の停止状態においてフリクションプレート64とクラッチプレート65とが接触している。しかし、フリクションプレート64とクラッチプレート65とは、容易に非接触状態へと変化させることができる。フリクションプレート64とクラッチプレート65とを非接触状態にさせることで、クラッチ2の伝達トルクを零近くまで下げることができる。例えば、遠心クラッチでない多板式のクラッチは、クラッチ切断時以外は、フリクションプレート64とクラッチプレート65とが常時接触している。そのため、クラッチ2では、遠心クラッチでない多板式のクラッチに比べ、プレート群66の負荷を低減させることができる。また、クラッチ2では、プレート群66に掛かる負荷を低減させることで、プレート群66の摩耗を防止できる。さらに、エンジン始動後の走行時には、伝達トルクが下げられることによって得られる領域も含めた、広域の伝達トルク域を使用することができる。つまり、クラッチ2に余分な負荷が掛からずに、快適な走行が可能になる。
本実施形態では、自動二輪車1はクラッチレバー24を備えている。また、自動二輪車1は、倍力機構200とサブクラッチ100とプッシュ機構43とを備えている。倍力機構200は、クラッチレバー24によるクラッチ切断時に、プレッシャプレート77の回転力を受け、この回転力をフリクションプレート64とクラッチプレート65とが離反する方向にプレッシャプレート77を移動させる力に変換させる。サブクラッチ100は、プレッシャプレート77と共に回転するように設けられた摩擦プレート101を備えている。また、サブクラッチ100は、クラッチ切断時に摩擦プレート101に圧接されることによって摩擦プレート101から回転力を受けると共に、プレッシャプレート77と共に所定方向に移動する押圧プレート102および押圧プレート103とを備えている。プッシュ機構43は、クラッチレバー24の操作によって、押圧プレート102および押圧プレート103を摩擦プレート101に押圧させる。また、倍力機構200は、手動によるクラッチ2の断続操作に必要な力を低減させる。そのため、自動二輪車1では、必要時において、容易にクラッチ2の断続操作を行うことができる。したがって、クラッチ2の伝達トルクを容易に下げることができ、上記の効果を得ることができる。
本実施形態において、倍力機構200は、ボールカム機構である。ボールカム機構は、軸方向の作動と回転作動とを組み合わせている。そのため、単一方向のみの作動機構と比較して、所定の限られたスペースにおいても大きな作動域を得ることができる。これにより、単一方向のみの作動機構と比較して、大きい駆動力まで伝達することができるようになる。したがって、ボールカム式の機構を用いることにより、クラッチ2の全体の省スペース化を図ることができる。
本実施形態では、プッシュ機構43において、ボール43cを備えている。ボール43cを備えることによって、プッシュ機構43内の短プッシュロッド43aと長プッシュロッド43bとの間の摺動抵抗が軽減される。そのため、クラッチレバー24からのクラッチ断続の作動が、プレッシャプレート77までスムーズに伝達される。したがって、クラッチ2では、クラッチ切断時においてスムーズな作動が行われ、上記の効果を奏する自動二輪車を提供することができる。
本実施形態では、クラッチ2は、湿式多板式の遠心クラッチである。クラッチ2が湿式であるため、クラッチ2の内部の摩擦を低減することができる。また、クラッチ2の駆動が駆動する際は、プレート群66、サブクラッチ100を含むクラッチ2の内部の摩耗を低減させることができる。
以上のように、本発明は、遠心クラッチを備えた自動二輪車について有用である。
自動二輪車の側面図である。 パワーユニットの主要要素の構成図である。 クラッチの断面図である。 プッシュロッド駆動機構の断面図である。 (a)は第2カムプレートの裏面図、(b)はボールプレートの表面図、(c)は第1カムプレートの表面図である。 (a)および(b)は、倍力機構の正面図である。 エンジン停止状態のクラッチの断面拡大図である。 アイドリング状態のクラッチの断面拡大図である。 エンジン駆動状態のクラッチの断面拡大図である。 自動二輪車の運転時におけるクラッチの伝達トルクの変化を表す図である。 変形例1におけるクラッチの断面拡大図である。 変形例2におけるクラッチの断面拡大図である。
符号の説明
1 自動二輪車
2 クラッチ(遠心クラッチ)
3 パワーユニット
4 エンジン
19 後輪(駆動輪)
24 クラッチレバー(クラッチ操作子)
41 ローラウエイト(遠心ウエイト)
43 プッシュ機構
46 クラッチハウジング(駆動側回転体)
48 クラッチボス(従動側回転体)
64 フリクションプレート(第1のプレート)
65 クラッチプレート(第2のプレート)
70 当接部材
77 プレッシャプレート
81 カム面
100 サブクラッチ
101 摩擦プレート
102 第1押圧プレート
103 第2押圧プレート(押圧体)
120 パーキングブレーキ機構
121 弾性体リテナー
122 弾性体
122a スプリングホルダー
122b スプリング
122c 板ばね
122d 板ばね
200 倍力機構
201 スライド軸(回転軸)
202 第1カムプレート
202a 第1カム面
203 第2カムプレート
203a 第2カム面
204a カムボール
205 ねじりばね(弾性体)
205b ねじりばねの一端
210 ピン

Claims (9)

  1. エンジンの駆動力を伝達する遠心クラッチを備えた自動二輪車であって、
    前記遠心クラッチは、
    第1のプレートを有する駆動側回転体と、
    前記第1のプレートに対して所定方向に対向する第2のプレートを有する従動側回転体と、
    前記駆動側回転体と共に回転し、前記所定方向に移動することによって前記第1のプレートと前記第2のプレートとを接触させるプレッシャプレートと、
    遠心力の大きさに応じた移動量だけ前記プレッシャプレートの半径方向の外側に移動し、この移動量に応じた力で前記プレッシャプレートを前記第1のプレートと前記第2のプレートとが接触する方向に押圧する遠心ウエイトと、
    を備え、
    前記プレッシャプレートは、前記エンジンが停止状態であっても前記第1のプレートと前記第2のプレートとを接触させる、
    自動二輪車。
  2. 前記遠心クラッチは、
    前記エンジンが停止状態であっても、前記第1のプレートと前記第2のプレートとが接触するよう前記プレッシャプレートを前記第1のプレートおよび第2のプレート側に付勢する複数の弾性体を備えている、
    請求項1に記載の自動二輪車。
  3. 前記駆動側回転体とともに回転し、前記所定方向に関してプレッシャプレートを介して前記第1のプレートと前記第2のプレートとの反対側に位置するローラリテナーと、
    前記駆動側回転体とともに回転し、前記所定方向に関して前記プレッシャプレートと前記ローラリテナーとの間に位置し、前記遠心ウエイトの前記所定方向の移動を規制する弾性体リテナーと、
    前記複数の弾性体のうちの一つで、前記所定方向に関して前記ローラリテナーを介して前記弾性体リテナーと反対側に位置するクラッチスプリングと、
    筒部と筒底部とを有する筒状の形状であり、当該筒底部が前記ローラリテナーに固定されるスプリングホルダーと、前記複数の弾性体のうちの一つであって、コイルスプリングからなり、前記スプリングホルダーの筒内部に封入され、一端側を前記弾性体リテナーに他端側を前記スプリングホルダーに固定されるスプリングと、を有する弾性体と、
    をさらに備えた、
    請求項2に記載の自動二輪車。
  4. 前記スプリングは前記スプリングホルダーの内部において自然長よりも縮んだ状態で封入され、常に伸長方向の付勢力を発生させている、
    請求項3に記載の自動二輪車。
  5. 前記自動二輪車が、少なくとも発進する際に前記エンジンの始動前よりも前記遠心クラッチの伝達トルクを抑える手段、を備えている、
    請求項2に記載の自動二輪車。
  6. 前記遠心クラッチを断続するクラッチ操作子と、
    前記クラッチ操作子によるクラッチ切断時に前記プレッシャプレートの回転力を受け、この回転力を前記第1のプレートと前記第2のプレートとが離反する方向に前記プレッシャプレートを移動させる力に変換する倍力機構と、
    前記プレッシャプレートと共に回転するように設けられた摩擦プレートと、クラッチ切断時に前記摩擦プレートに圧接されることによって前記摩擦プレートから回転力を受けると共に、前記プレッシャプレートと共に前記所定方向に移動する押圧体と、を備えたサブクラッチと、
    前記クラッチ操作子に操作され、前記押圧体を前記所定方向と逆方向に移動させるプッシュ機構と、
    をさらに備え、
    前記伝達トルクを抑える手段は、少なくとも前記クラッチ操作子と前記倍力機構と前記サブクラッチと前記プッシュ機構とを含んでいる、
    請求項5に記載の自動二輪車。
  7. 前記倍力機構は、ボールカム式の機構である、
    請求項6に記載の自動二輪車。
  8. 前記プッシュ機構は、ボールを備えている、
    請求項6に記載の自動二輪車。
  9. 前記遠心クラッチは湿式多板式である、請求項1に記載の自動二輪車。
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