JP4198385B2 - 多板式自動遠心クラッチ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ入力軸の回転速度の上昇に伴い、内蔵したウェイトローラーに作用する遠心力を利用して複数のドライブプレートとドリブンプレートを圧着させ、クラッチ入力軸の回転をクラッチ出力軸側に伝達する多板式自動遠心クラッチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9は自動二輪車等の発進クラッチ装置として用いられている従来の多板式自動遠心クラッチ装置の一例を示す縦断面図である。
【0003】
この多板式自動遠心クラッチ装置において、クラッチ入力軸101にはクラッチハウジング102が回転一体に設けられ、その内周に複数のドライブプレート103が回転一体かつ軸方向に移動自在に設けられている。
【0004】
一方、クラッチ入力軸101の外周には筒状のクラッチ出力軸(一次ドライブギヤ)104が相対回転自在に軸支され、このクラッチ出力軸104に回転一体に設けられたクラッチスリーブ105の外周に複数のドリブンプレート106が回転一体かつ軸方向に移動自在に設けられている。各ドライブプレート103とドリブンプレート106は交互に重ね合わされ、その重なり合う範囲が摩擦係合部107となる。
【0005】
また、クラッチハウジング102の内部には複数の楔形状のローラー室108が周方向に形成され、それぞれにウェイトローラー109が内蔵されている。さらに、各ドライブプレート103の間、かつ半径方向最外周部に皿バネ状のクラッチプレートスプリング111が介装されている。
【0006】
各ウェイトローラー109は、クラッチ入力軸101(クラッチハウジング102)の回転速度の上昇に伴い遠心力を受け、この遠心力がローラー室108内の斜面形状によりスラスト方向への押圧力に変換され、これによりウェイトローラー109がドライブプレート103とドリブンプレート106を押圧する。このため、ドライブプレート103とドリブンプレート106の摩擦係合部107における摩擦係合力が高められてクラッチ入力軸101とクラッチハウジング102の回転がクラッチスリーブ105とクラッチ出力軸104側に伝達される。
【0007】
クラッチ入力軸101の回転速度が低下すると、ウェイトローラー109に作用する遠心力が小さくなり、ドライブプレート103とドリブンプレート106を押圧するスラスト力が軽減されるため、クラッチ接続が断たれる。その際、各ドライブプレート103の間に介装されたクラッチプレートスプリング111の軽い付勢力により各ドライブプレート103と各ドリブンプレート106間の貼り付きが防止されてクラッチの切れが良くなる。
【0008】
クラッチ入力軸101の軸心にはオイル通路112が形成されており、クラッチ入力軸101の回転時にはオイル通路112に供給されたオイルがオイル孔113,114から噴き出して遠心力により飛散し、ウェイトローラー109、ドライブプレート103、ドリブンプレート106等を潤滑するとともに、各々の摩擦熱を冷却するようにされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の多板式自動遠心クラッチ装置においては、以下の問題点が懸念される。
【0010】
まず、オイル通路112から噴き出すオイルの大半が矢印Oの方向に飛散するため、ウェイトローラー109に対してはオイルが多量に供給されるが、ドライブプレート103とドリブンプレート106に対してはクラッチスリーブ105に遮蔽されてオイルが充分に供給されにくい。このため、ドライブプレート103とドリブンプレート106が潤滑不足および冷却不足になる恐れがある。
【0011】
また、クラッチプレートスプリング111が各ドライブプレート103の半径方向最外周部に当接するように設けられていたため、クラッチプレートスプリング111の分だけドライブプレート103とドリブンプレート106の摩擦係合部107の径を小さくしなければならず、これによりトルク伝達容量が犠牲になっていた。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑不足および冷却不足を解消するとともに、トルク伝達容量を増大させることのできる多板式自動遠心クラッチ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、請求項1に記載したように、クラッチ入力軸側に回転一体な複数のドライブプレートと、クラッチ出力軸側に回転一体な複数のドリブンプレートとが交互に重ねられてその重なり合う面積範囲を摩擦係合部とするとともに複数のウェイトローラーが設けられ、上記クラッチ入力軸の回転速度の上昇に伴い上記ウェイトローラーに作用する遠心力をスラスト方向への押圧力に変換して上記ドライブプレートとドリブンプレートの摩擦係合力を高めてクラッチ入力軸の回転をクラッチ出力軸側に伝達するように構成された多板式自動遠心クラッチ装置において、上記ドライブプレートおよびドリブンプレート側と、上記ウェイトローラー側との間にプレッシャープレートを介在させ、このプレッシャープレートの外周側両面に、ドライブプレートまたはドリブンプレートの摩擦係合部と、ウェイトローラーとをそれぞれ当接させる一方、プレッシャープレートの内周側に、ウェイトローラー側からドライブプレートおよびドリブンプレート側に向って外周側に拡開する斜面状のオイル誘導部を形成するとともに、前記複数のドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に、各ドリブンプレート間の空間を互いに連通させる複数の連通穴を周方向に略等間隔に形成する一方、前記複数のドリブンプレートの間、かつ各ドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に皿バネ状のクラッチプレートスプリングを介装し、このクラッチプレートスプリングの内周部に、各クラッチプレートスプリング間の空間を互いに連通させる複数の連通部を周方向に略等間隔に形成し、これらプレッシャープレートに形成したオイル誘導部と、ドリブンプレートに形成した連通穴と、クラッチプレートスプリングに形成した連通部との設置半径を略同一とし、これによりオイル誘導部と連通穴と連通部とをほぼ横一列に並列させたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、クラッチ入力軸の軸心に形成されたオイル通路から飛散するオイルが、オイル誘導部によりドライブプレートとドリブンプレートの方に導かれ、ドライブプレートとドリブンプレートが充分に潤滑される。このため、ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑不足および冷却不足を解消することができる。
【0015】
また、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、前記複数のドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に、各ドリブンプレート間の空間を互いに連通させる複数の連通穴を形成し、これらの連通穴を周方向に略等間隔配置した。こうすれば、オイルが各ドリブンプレートの連通穴を通って全てのドライブプレートとドリブンプレートに行き渡ることができるため、ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑不足および冷却不足が一層良好に解消される。
【0016】
さらに、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、前記複数のドリブンプレートの間、かつ各ドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に皿バネ状のクラッチプレートスプリングを介装した。これにより、摩擦係合部の径を大きくして多板式自動遠心クラッチ装置のトルク伝達容量を増大させることができる。
【0017】
そして、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、前記クラッチプレートスプリングの半径方向内側寄りの部位に複数の連通部を形成し、これらの連通部を周方向に略等間隔配置した。こうすれば、各ドリブンプレートの連通穴を通るオイルの流れがクラッチプレートスプリングに妨げられないため、ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑状態を良好に保つことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置30が適用されたスクーター型の自動二輪車の左側面図である。この自動二輪車1は、前輪2と後輪3との間の低い位置にパワーユニット4が設置されており、後輪3はパワーユニット4の後部に直接軸支されている。
【0019】
図2は図1に示すパワーユニット4の左側面図、図3は、図2のIII-III線に沿って展開したパワーユニット4の断面図である。パワーユニット4は、例えば4サイクル並列2気筒のエンジンユニット5と、その右側面に連設される変速ユニット6と、エンジンユニット5の後部に連結されるスイングユニット7とを備えて構成されている。
【0020】
エンジンユニット5の前面にはシリンダーアッセンブリー8が前方に延びるように設置され、その下にオイルフィルター9が設けられている。また、エンジンユニット5の内部には車幅方向に延びるクランク軸11とカウンター軸12とクラッチ入力軸13とアウトプット軸14とが前方から順に配置され、クランク軸11の上方にバランサー軸15が配置されている。
【0021】
クランク軸11の中間部には左右2つのクランクピン17が偏心形成され、このクランクピン17に、シリンダーアッセンブリー8内に挿入されたピストン(非図示)がコンロッド18を介して連結され、シリンダーアッセンブリー8内におけるピストンの往復運動がクランク軸11の回転運動に変換される。
【0022】
また、クランク軸11の左端付近には発電用のジェネレーター装置19が設けられ、その内側に一次ドライブギヤ20が設けられる一方、クランク軸11の右端付近には図示しないオイルポンプやウォーターポンプ等を駆動するためのポンプドライブギヤ21が設けられ、その内側にバランサードライブギヤ22が設けられている。
【0023】
バランサードライブギヤ22はバランサー軸15に設けられたバランサードリブンギヤ23に噛合し、これによりバランサー軸15がクランク軸11と等速で反対方向に回転してエンジン振動が緩和される。また、カウンター軸12に設けられた大径な一次ドリブンギヤ25がクランク軸11の一次ドライブギヤ20に噛合する。
【0024】
図4にも拡大して示すように、クラッチ入力軸13の外周には短い筒状のクラッチ出力軸26がベアリング27,28を介して相対回転自在に軸支され、これに二次ドライブギヤ29が設けられている。そして、クラッチ入力軸13とクラッチ出力軸26とを含んで、後に詳述する多板式自動遠心クラッチ装置30が構成されている。
【0025】
一方、クラッチ入力軸13(クラッチ出力軸26)とアウトプット軸14との間にはアイドルギヤ軸31,32が軸支され、前側のアイドルギヤ軸31には二次ドライブギヤ29に噛合する二次ドリブンギヤ33と三次ドライブギヤ34が設けられ、後側のアイドルギヤ軸32には三次ドライブギヤ34に噛合する三次ドリブンギヤ35と四次ドライブギヤ36が設けられ、アウトプット軸14には四次ドライブギヤ36に噛合する四次ドリブンギヤ37が設けられている。
【0026】
他方、変速ユニット6の内部には車幅方向に延びるベルトドライブ軸39およびベルトドリブン軸40が前後に軸支され、ベルトドライブ軸39に回転一体に軸装されたドライブプーリー41と、ベルトドリブン軸40に回転一体に軸装されたドリブンプーリー42との間にVベルト43が巻装され、ドライブプーリー41にはアクチュエーター44が、ドリブンプーリー42にはコイルスプリング45が、それぞれ設けられてVベルト無段変速装置46が構成されている。
【0027】
変速ユニット6のベルトドライブ軸39左端とベルトドリブン軸40左端は、それぞれエンジンユニット5のカウンター軸12右端とクラッチ入力軸13右端とにスプライン結合部48,49により回転一体に連結される。これらの連結部は分離可能であり、エンジンユニット5から変速ユニット6を容易に切り離し可能として整備性を高めている。
【0028】
クランク軸11の回転は、一次ドライブギヤ20→一次ドリブンギヤ25→カウンター軸12→ベルトドライブ軸39→ドライブプーリー41→Vベルト43→ドリブンプーリー42→ベルトドリブン軸40→多板式自動遠心クラッチ装置30(部材13,26,29を含む)→二次ドリブンギヤ33→三次ドライブギヤ34→三次ドリブンギヤ35→四次ドライブギヤ36→四次ドリブンギヤ37→アウトプット軸14の順に伝達され、アウトプット軸14の回転がさらにスイングユニット7内部に配列されたギヤ列等により減速されて後輪3に伝達される。なお、スイングユニット7はアウトプット軸14の位置でエンジンユニット5に対し上下方向に揺動可能に連結されており、このスイングユニット7自体が後輪3を支持するサスペンションアームの役割を果たす。
【0029】
変速ユニット6において、ベルトドライブ軸39とドライブプーリー41の回転速度が高まると、アクチュエーター44によりドライブプーリー41のVベルト巻き付け有効径が拡大され、逆にドリブンプーリー42側ではコイルスプリング45の付勢力に抗してVベルト巻き付け有効径が縮小されるため、ベルトドライブ軸39の回転が無段階に自動変速されてベルトドリブン軸40に伝達され、自動二輪車1を加速させる。
【0030】
図4は多板式自動遠心クラッチ装置30の拡大断面図である。クラッチ入力軸13にはクラッチハウジング51がスプライン結合部52とロックナット53により回転一体に設けられ、その内周部に複数のドライブプレート54が設けられてサークリップ55により抜脱を防止されている。
【0031】
図5に示すように、各ドライブプレート54の外周部に等間隔で突設された複数のドッグ部54aが、クラッチハウジング51内周の複数の嵌合溝51aにスライド自在に嵌合されるため、各ドライブプレート54はクラッチハウジング51とクラッチ入力軸13に対し回転一体かつ軸方向に移動自在に保持される。なお、ドライブプレート54の表裏面には摩擦係数を高めるライニング材54bが貼着されている。
【0032】
一方、クラッチ出力軸26の外周にはクラッチスリーブ57がスプライン結合部58とロックナット59により回転一体に設けられ、その外周部に複数のドリブンプレート60が設けられている。図6に示すように各ドリブンプレート60の内周部に等間隔で突設された複数のドッグ部60aが、クラッチスリーブ57外周の複数の嵌合溝57aにスライド自在に嵌合され、各ドリブンプレート60はクラッチスリーブ57とクラッチ出力軸26に対し回転一体かつ軸方向に移動自在に保持される。
【0033】
各ドライブプレート54とドリブンプレート60は交互に重ね合わせられ、その重なり合う面積範囲が摩擦係合部61となる。そして、各ドリブンプレート60の間、かつ摩擦係合部61よりも内周側の部位に、図7、図8にも示すような皿バネ状のクラッチプレートスプリング62が介装される。
【0034】
さらに、クラッチハウジング51の内部には複数の楔形状のローラー室64が周方向に等間隔に形成され、各々のローラー室64内にウェイトローラー65が内蔵される。そして、これらのウェイトローラー65と、ドライブプレート54およびドリブンプレート60との間にプレッシャープレート66が介装され、このプレッシャープレート66の外周側両面に、ドライブプレート54またはドリブンプレート60の摩擦係合部61と、ウェイトローラー65とがそれぞれ当接する。
【0035】
プレッシャープレート66は、複数のリターンスプリング67により常にウェイトローラー65側に引き付けられるように付勢されており、この付勢力により平常時は各ウェイトローラー65がローラー室64の内周側に引き寄せられている。
【0036】
自動二輪車1の発進時において、クラッチ入力軸13とクラッチハウジング51の回転速度が上昇すると、各ウェイトローラー65が遠心力を受け、この遠心力がローラー室64内の斜面形状によりスラスト方向への押圧力に変換され、これによりウェイトローラー65がプレッシャープレート66とドライブプレート54とドリブンプレート60を押圧する。
【0037】
このため、ドライブプレート54とドリブンプレート60との間の摩擦係合力(圧着力)が高められ、クラッチ入力軸13の回転がクラッチハウジング51→ドライブプレート54→ドリブンプレート60→クラッチスリーブ57→クラッチ出力軸26の順に伝達される。
【0038】
クラッチ入力軸13の回転速度が低下すると、ウェイトローラー65に作用する遠心力が小さくなり、ドライブプレート54とドリブンプレート60を押圧するスラスト力が軽減されるため、クラッチ接続が断たれる。その際、リターンスプリング67がプレッシャープレート66を引き戻そうとする力と、各ドリブンプレート60の間に介装されたクラッチプレートスプリング62の軽い付勢力とにより、各ドライブプレート54と各ドリブンプレート60との間の貼り付き(引き摺り)が防止されてクラッチの切れが確実になる。
【0039】
ところで、クラッチ入力軸13の軸心にはオイル通路71が形成されており、クラッチ入力軸13の回転時にはオイル通路71に供給されたオイルがオイル孔72から噴き出して遠心力により飛散し、ウェイトローラー65、プレッシャープレート66、ドライブプレート54、ドリブンプレート60等を潤滑するとともに、各々の摩擦熱を冷却する。同時に、クラッチ入力軸13やクラッチ出力軸26を支持するベアリング27,28,73が潤滑される。
【0040】
ここで、プレッシャープレート66の、ウェイトローラー65よりも内周側の部位にオイル誘導部75が形成されている。このオイル誘導部75は、例えばプレッシャープレート66をプレス成形して形成されており、ウェイトローラー65側から、ドライブプレート54およびドリブンプレート60側に向って外周側に拡開する斜面状の円錐台形状をしている。
【0041】
また、図6にも示すように、ドリブンプレート60の摩擦係合部61よりも内周側の部位に複数の連通穴60bが周方向に等間隔に形成されている。この連通穴60bの形成により、各ドリブンプレート60間の空間が互いに連通している。さらに、図7および図8に示すように、クラッチプレートスプリング62の内周部に複数の切欠状の連通部62aが周方向に等間隔に形成されている。
【0042】
ドリブンプレート60の連通穴60bとクラッチプレートスプリング62の連通部62aとプレッシャープレート66のオイル誘導部75の設置半径は略同一であり、これにより連通穴60bと連通部62aとオイル誘導部75がほぼ横一列に並列している。
【0043】
多板式自動遠心クラッチ装置30(クラッチ入力軸13、クラッチ出力軸26)が回転すると、オイル72から噴出して遠心力により飛散するオイルがオイル誘導部75の円錐面形状に誘導されて矢印Oで示すようにドライブプレート54とドリブンプレート60の方に導かれる。このため、ドライブプレート54とドリブンプレート60が充分に潤滑、冷却され、従来の潤滑不足および冷却不足が解消される。
【0044】
また、各ドリブンプレート60に形成された連通穴60bを経てオイルが全てのドライブプレート54とドリブンプレート60の間に良好に行き渡ることができ、しかも各クラッチプレートスプリング62に形成された連通部62aにより、オイルがクラッチプレートスプリング62に妨げられることなくスムーズに流れることができるため、ドライブプレート54とドリブンプレート60の潤滑状態を非常に良好に保つことができる。
【0045】
クラッチプレートスプリング62は、ドリブンプレート60の摩擦係合部61よりも内周側の部位に設けられているため、クラッチプレートスプリング62の設置によって摩擦係合部61の径が小さくなることがなく、これにより摩擦係合部61の径を大きく確保して多板式自動遠心クラッチ装置30のトルク伝達容量を増大させることができる。
【0046】
ところで、この多板式自動遠心クラッチ装置30では、プレッシャープレート66を引き戻すためのリターンスプリング67が圧縮コイルスプリング状であり、クラッチハウジング51の内壁に突設されたボス77の周囲に環装された構造であるため、遠心力が作用してもリターンスプリング67に変形しにくく強度も高い。しかも、リターンスプリング67が摩擦係合部61よりも内周側に配置されているため、クラッチハウジング51とクラッチスリーブ57との間のデッドスペースを有効に活用するとともに、遠心力の影響を小さくしてリターンスプリング67の変形を抑えることができる。
【0047】
なお、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、自動二輪車のみならず、他の分野にも幅広く適用することができる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置よれば、クラッチ入力軸の軸心に形成されたオイル通路から飛散するオイルをオイル誘導部により積極的にドライブプレートとドリブンプレート側に導き、ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑不足および冷却不足を解消するとともに、ドライブプレートとドリブンプレートの摩擦係合部の径を大きくしてトルク伝達容量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置が適用されたスクーター型の自動二輪車の左側面図。
【図2】図1に示すパワーユニットの左側面図。
【図3】図2のIII-III線に沿って展開したパワーユニットの断面図。
【図4】本発明の一実施形態を示す多板式自動遠心クラッチ装置の拡大断面図。
【図5】ドライブプレートの単体図。
【図6】ドリブンプレートの単体図。
【図7】クラッチプレートスプリングの単体図。
【図8】図7のVIII-VIII線に沿うクラッチプレートスプリングの断面図。
【図9】従来の技術を示す多板式自動遠心クラッチ装置の断面図。
【符号の説明】
13 クラッチ入力軸
26 クラッチ出力軸
30 多板式自動遠心クラッチ装置
51 クラッチハウジング
54 ドライブプレート
57 クラッチスリーブ
60 ドリブンプレート
60b 連通穴
61 摩擦係合部
62 クラッチプレートスプリング
62a 連通部
65 ウェイトローラー
66 プレッシャープレート
75 オイル誘導部
Claims (1)
- クラッチ入力軸側に回転一体な複数のドライブプレートと、クラッチ出力軸側に回転一体な複数のドリブンプレートとが交互に重ねられてその重なり合う面積範囲を摩擦係合部とするとともに複数のウェイトローラーが設けられ、上記クラッチ入力軸の回転速度の上昇に伴い上記ウェイトローラーに作用する遠心力をスラスト方向への押圧力に変換して上記ドライブプレートとドリブンプレートの摩擦係合力を高めてクラッチ入力軸の回転をクラッチ出力軸側に伝達するように構成された多板式自動遠心クラッチ装置において、上記ドライブプレートおよびドリブンプレート側と、上記ウェイトローラー側との間にプレッシャープレートを介在させ、このプレッシャープレートの外周側両面に、ドライブプレートまたはドリブンプレートの摩擦係合部と、ウェイトローラーとをそれぞれ当接させる一方、プレッシャープレートの内周側に、ウェイトローラー側からドライブプレートおよびドリブンプレート側に向って外周側に拡開する斜面状のオイル誘導部を形成するとともに、前記複数のドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に、各ドリブンプレート間の空間を互いに連通させる複数の連通穴を周方向に略等間隔に形成する一方、前記複数のドリブンプレートの間、かつ各ドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に皿バネ状のクラッチプレートスプリングを介装し、このクラッチプレートスプリングの内周部に、各クラッチプレートスプリング間の空間を互いに連通させる複数の連通部を周方向に略等間隔に形成し、これらプレッシャープレートに形成したオイル誘導部と、ドリブンプレートに形成した連通穴と、クラッチプレートスプリングに形成した連通部との設置半径を略同一とし、これによりオイル誘導部と連通穴と連通部とをほぼ横一列に並列させたことを特徴とする多板式自動遠心クラッチ装置。
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