JP2003322177A - 多板式自動遠心クラッチ装置 - Google Patents

多板式自動遠心クラッチ装置

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JP2003322177A
JP2003322177A JP2002126954A JP2002126954A JP2003322177A JP 2003322177 A JP2003322177 A JP 2003322177A JP 2002126954 A JP2002126954 A JP 2002126954A JP 2002126954 A JP2002126954 A JP 2002126954A JP 2003322177 A JP2003322177 A JP 2003322177A
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大治郎 益田
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義道 内山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ドライブプレートとドリブンプレートの潤滑不
足および冷却不足を解消するとともに、トルク伝達容量
を増大させる。 【解決手段】ドライブプレート54およびドリブンプレー
ト60の摩擦係合部61とウェイトローラー65との間にプレ
ッシャープレート66を介在させ、このプレッシャープレ
ート66の内周側に、ウェイトローラー65側からドライブ
プレート54およびドリブンプレート60側に向って外周側
に拡開する斜面状のオイル誘導部75を形成した。また、
ドリブンプレート60の摩擦係合部61よりも内周側の部位
に複数の連通穴60bを形成するとともに、各ドリブンプ
レート60の間、かつ摩擦係合部61よりも内周側の部位に
介装した皿バネ状のクラッチプレートスプリング62の内
周部に複数の連通部62aを形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ入力軸の
回転速度の上昇に伴い、内蔵したウェイトローラーに作
用する遠心力を利用して複数のドライブプレートとドリ
ブンプレートを圧着させ、クラッチ入力軸の回転をクラ
ッチ出力軸側に伝達する多板式自動遠心クラッチ装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は自動二輪車等の発進クラッチ装置
として用いられている従来の多板式自動遠心クラッチ装
置の一例を示す縦断面図である。
【0003】この多板式自動遠心クラッチ装置におい
て、クラッチ入力軸101にはクラッチハウジング102が回
転一体に設けられ、その内周に複数のドライブプレート
103が回転一体かつ軸方向に移動自在に設けられてい
る。
【0004】一方、クラッチ入力軸101の外周には筒状
のクラッチ出力軸(一次ドライブギヤ)104が相対回転
自在に軸支され、このクラッチ出力軸104に回転一体に
設けられたクラッチスリーブ105の外周に複数のドリブ
ンプレート106が回転一体かつ軸方向に移動自在に設け
られている。各ドライブプレート103とドリブンプレー
ト104は交互に重ね合わされ、その重なり合う範囲が摩
擦係合部107となる。
【0005】また、クラッチハウジング102の内部には
複数の楔形状のローラー室108が周方向に形成され、そ
れぞれにウェイトローラー109が内蔵されている。さら
に、各ドライブプレート103の間、かつ半径方向最外周
部に皿バネ状のクラッチプレートスプリング111が介装
されている。
【0006】各ウェイトローラー109は、クラッチ入力
軸101(クラッチハウジング102)の回転速度の上昇に伴
い遠心力を受け、この遠心力がローラー室108内の斜面
形状によりスラスト方向への押圧力に変換され、これに
よりウェイトローラー109がドライブプレート103とドリ
ブンプレート106を押圧する。このため、ドライブプレ
ート103とドリブンプレート106の摩擦係合部107におけ
る摩擦係合力が高められてクラッチ入力軸101とクラッ
チハウジング102の回転がクラッチスリーブ105とクラッ
チ出力軸104側に伝達される。
【0007】クラッチ入力軸101の回転速度が低下する
と、ウェイトローラー109に作用する遠心力が小さくな
り、ドライブプレート103とドリブンプレート106を押圧
するスラスト力が軽減されるため、クラッチ接続が断た
れる。その際、各ドライブプレート103の間に介装され
たクラッチプレートスプリング111の軽い付勢力により
各ドライブプレート103と各ドリブンプレート106間の貼
り付きが防止されてクラッチの切れが良くなる。
【0008】クラッチ入力軸101の軸心にはオイル通路1
12が形成されており、クラッチ入力軸101の回転時には
オイル通路112に供給されたオイルがオイル孔113,114
から噴き出して遠心力により飛散し、ウェイトローラー
109、ドライブプレート103、ドリブンプレート106等を
潤滑するとともに、各々の摩擦熱を冷却するようにされ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の多板式自動遠心クラッチ装置においては、以下の問
題点が懸念される。
【0010】まず、オイル通路112から噴き出すオイル
の大半が矢印Oの方向に飛散するため、ウェイトローラ
ー109に対してはオイルが多量に供給されるが、ドライ
ブプレート103とドリブンプレート106に対してはクラッ
チスリーブ105に遮蔽されてオイルが充分に供給されに
くい。このため、ドライブプレート103とドリブンプレ
ート106が潤滑不足および冷却不足になる恐れがある。
【0011】また、クラッチプレートスプリング111が
各ドライブプレート103の半径方向最外周部に当接する
ように設けられていたため、クラッチプレートスプリン
グ111の分だけドライブプレート103とドリブンプレート
106の摩擦係合部107の径を小さくしなければならず、こ
れによりトルク伝達容量が犠牲になっていた。
【0012】本発明は、これらの問題を解決するために
なされたものであり、ドライブプレートとドリブンプレ
ートの潤滑不足および冷却不足を解消するとともに、ト
ルク伝達容量を増大させることのできる多板式自動遠心
クラッチ装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置は、請求
項1に記載したように、クラッチ入力軸側に回転一体な
複数のドライブプレートと、クラッチ出力軸側に回転一
体な複数のドリブンプレートとが交互に重ねられるとと
もに複数のウェイトローラーが設けられ、上記クラッチ
入力軸の回転速度の上昇に伴い上記ウェイトローラーに
作用する遠心力をスラスト方向への押圧力に変換して上
記ドライブプレートとドリブンプレートの摩擦係合力を
高めてクラッチ入力軸の回転をクラッチ出力軸側に伝達
するように構成された多板式自動遠心クラッチ装置にお
いて、上記ドライブプレートおよびドリブンプレート
と、上記ウェイトローラーとの間にプレッシャープレー
トを介在させ、このプレッシャープレートの外周側両面
にドライブプレートおよびドリブンプレートの摩擦係合
部とウェイトローラーとを当接させる一方、プレッシャ
ープレートの内周側に、ウェイトローラー側からドライ
ブプレートおよびドリブンプレート側に向って外周側に
拡開する斜面状のオイル誘導部を形成したことを特徴と
する。
【0014】上記構成により、クラッチ入力軸の軸心に
形成されたオイル通路から飛散するオイルが、オイル誘
導部によりドライブプレートとドリブンプレートの方に
導かれ、ドライブプレートとドリブンプレートが充分に
潤滑される。このため、ドライブプレートとドリブンプ
レートの潤滑不足および冷却不足を解消することができ
る。
【0015】また、本発明に係る多板式自動遠心クラッ
チ装置は、請求項2に記載したように、前記複数のドリ
ブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に、各ド
リブンプレート間の空間を互いに連通させる複数の連通
穴を形成し、これらの連通穴を周方向に略等間隔配置し
た。こうすれば、オイルが各ドリブンプレートの連通穴
を通って全てのドライブプレートとドリブンプレートに
行き渡ることができるため、ドライブプレートとドリブ
ンプレートの潤滑不足および冷却不足が一層良好に解消
される。
【0016】さらに、本発明に係る多板式自動遠心クラ
ッチ装置は、請求項3に記載したように、前記複数のド
リブンプレートの間、かつ各ドリブンプレートの摩擦係
合部よりも内周側の部位に皿バネ状のクラッチプレート
スプリングを介装した。これにより、摩擦係合部の径を
大きくして多板式自動遠心クラッチ装置のトルク伝達容
量を増大させることができる。
【0017】そして、本発明に係る多板式自動遠心クラ
ッチ装置は、請求項4に記載したように、前記クラッチ
プレートスプリングの半径方向内側寄りの部位に複数の
連通部を形成し、これらの連通部を周方向に略等間隔配
置した。こうすれば、各ドリブンプレートの連通穴を通
るオイルの流れがクラッチプレートスプリングに妨げら
れないため、ドライブプレートとドリブンプレートの潤
滑状態を良好に保つことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明に係る多板式自動遠
心クラッチ装置30が適用されたスクーター型の自動二輪
車の左側面図である。この自動二輪車1は、前輪2と後
輪3との間の低い位置にパワーユニット4が設置されて
おり、後輪3はパワーユニット4の後部に直接軸支され
ている。
【0019】図2は図1に示すパワーユニット4の左側
面図、図3は、図2のIII-III線に沿って展開したパワ
ーユニット4の断面図である。パワーユニット4は、例
えば4サイクル並列2気筒のエンジンユニット5と、そ
の右側面に連設される変速ユニット6と、エンジンユニ
ット5の後部に連結されるスイングユニット7とを備え
て構成されている。
【0020】エンジンユニット5の前面にはシリンダー
アッセンブリー8が前方に延びるように設置され、その
下にオイルフィルター9が設けられている。また、エン
ジンユニット5の内部には車幅方向に延びるクランク軸
11とカウンター軸12とクラッチ入力軸13とアウトプット
軸14とが前方から順に配置され、クランク軸11の上方に
バランサー軸15が配置されている。
【0021】クランク軸11の中間部には左右2つのクラ
ンクピン17が偏心形成され、このクランクピン17に、シ
リンダーアッセンブリー8内に挿入されたピストン(非
図示)がコンロッド18を介して連結され、シリンダーア
ッセンブリー8内におけるピストンの往復運動がクラン
ク軸11の回転運動に変換される。
【0022】また、クランク軸11の左端付近には発電用
のジェネレーター装置19が設けられ、その内側に一次ド
ライブギヤ20が設けられる一方、クランク軸11の右端付
近には図示しないオイルポンプやウォーターポンプ等を
駆動するためのポンプドライブギヤ21が設けられ、その
内側にバランサードライブギヤ22が設けられている。
【0023】バランサードライブギヤ22はバランサー軸
15に設けられたバランサードリブンギヤ23に噛合し、こ
れによりバランサー軸15がクランク軸11と等速で反対方
向に回転してエンジン振動が緩和される。また、カウン
ター軸12に設けられた大径な一次ドリブンギヤ25がクラ
ンク軸11の一次ドライブギヤ20に噛合する。
【0024】図4にも拡大して示すように、クラッチ入
力軸13の外周には短い筒状のクラッチ出力軸26がベアリ
ング27,28を介して相対回転自在に軸支され、これに二
次ドライブギヤ29が設けられている。そして、クラッチ
入力軸13とクラッチ出力軸26とを含んで、後に詳述する
多板式自動遠心クラッチ装置30が構成されている。
【0025】一方、クラッチ入力軸13(クラッチ出力軸
26)とアウトプット軸14との間にはアイドルギヤ軸31,
32が軸支され、前側のアイドルギヤ軸31には二次ドライ
ブギヤ29に噛合する二次ドリブンギヤ33と三次ドライブ
ギヤ34が設けられ、後側のアイドルギヤ軸32には三次ド
ライブギヤ34に噛合する三次ドリブンギヤ35と四次ドラ
イブギヤ36が設けられ、アウトプット軸14には四次ドラ
イブギヤ36に噛合する四次ドリブンギヤ37が設けられて
いる。
【0026】他方、変速ユニット6の内部には車幅方向
に延びるベルトドライブ軸39およびベルトドリブン軸40
が前後に軸支され、ベルトドライブ軸39に回転一体に軸
装されたドライブプーリー41と、ベルトドリブン軸40に
回転一体に軸装されたドリブンプーリー42との間にVベ
ルト43が巻装され、ドライブプーリー41にはアクチュエ
ーター44が、ドリブンプーリー42にはコイルスプリング
45が、それぞれ設けられてVベルト無段変速装置46が構
成されている。
【0027】変速ユニット6のベルトドライブ軸39左端
とベルトドリブン軸40左端は、それぞれエンジンユニッ
ト5のカウンター軸12右端とクラッチ入力軸13右端とに
スプライン結合部48,49により回転一体に連結される。
これらの連結部は分離可能であり、エンジンユニット5
から変速ユニット6を容易に切り離し可能として整備性
を高めている。
【0028】クランク軸11の回転は、一次ドライブギヤ
20→一次ドリブンギヤ25→カウンター軸12→ベルトドラ
イブ軸39→ドライブプーリー41→Vベルト43→ドリブン
プーリー42→ベルトドリブン軸40→多板式自動遠心クラ
ッチ装置30(部材13,26,29を含む)→二次ドリブンギ
ヤ33→三次ドライブギヤ34→三次ドリブンギヤ35→四次
ドライブギヤ36→四次ドリブンギヤ37→アウトプット軸
14の順に伝達され、アウトプット軸14の回転がさらにス
イングユニット7内部に配列されたギヤ列等により減速
されて後輪3に伝達される。なお、スイングユニット7
はアウトプット軸14の位置でエンジンユニット5に対し
上下方向に揺動可能に連結されており、このスイングユ
ニット7自体が後輪3を支持するサスペンションアーム
の役割を果たす。
【0029】変速ユニット6において、ベルトドライブ
軸39とドライブプーリー41の回転速度が高まると、アク
チュエーター44によりドライブプーリー41のVベルト巻
き付け有効径が拡大され、逆にドリブンプーリー42側で
はコイルスプリング45の付勢力に抗してVベルト巻き付
け有効径が縮小されるため、ベルトドライブ軸39の回転
が無段階に自動変速されてベルトドリブン軸40に伝達さ
れ、自動二輪車1を加速させる。
【0030】図4は多板式自動遠心クラッチ装置30の拡
大断面図である。クラッチ入力軸13にはクラッチハウジ
ング51がスプライン結合部52とロックナット53により回
転一体に設けられ、その内周部に複数のドライブプレー
ト54が設けられてサークリップ55により抜脱を防止され
ている。
【0031】図5に示すように、各ドライブプレート54
の外周部に等間隔で突設された複数のドッグ部54aが、
クラッチハウジング51内周の複数の嵌合溝51aにスライ
ド自在に嵌合されるため、各ドライブプレート54はクラ
ッチハウジング51とクラッチ入力軸13に対し回転一体か
つ軸方向に移動自在に保持される。なお、ドライブプレ
ート54の表裏面には摩擦係数を高めるライニング材54b
が貼着されている。
【0032】一方、クラッチ出力軸26の外周にはクラッ
チスリーブ57がスプライン結合部58とロックナット59に
より回転一体に設けられ、その外周部に複数のドリブン
プレート60が設けられている。図6に示すように各ドリ
ブンプレート60の内周部に等間隔で突設された複数のド
ッグ部60aが、クラッチスリーブ57外周の複数の嵌合溝
57aにスライド自在に嵌合され、各ドリブンプレート60
はクラッチスリーブ57とクラッチ出力軸26に対し回転一
体かつ軸方向に移動自在に保持される。
【0033】各ドライブプレート54とドリブンプレート
60は交互に重ね合わせられ、その重なり合う面積範囲が
摩擦係合部61となる。そして、各ドリブンプレート60の
間、かつ摩擦係合部61よりも内周側の部位に、図7、図
8にも示すような皿バネ状のクラッチプレートスプリン
グ62が介装される。
【0034】さらに、クラッチハウジング51の内部には
複数の楔形状のローラー室64が周方向に等間隔に形成さ
れ、各々のローラー室64内にウェイトローラー65が内蔵
される。そして、これらのウェイトローラー65と、ドラ
イブプレート54およびドリブンプレート60との間にプレ
ッシャープレート66が介装され、このプレッシャープレ
ート66の外周側両面に、ドライブプレート54またはドリ
ブンプレート60の摩擦係合部61と、ウェイトローラー65
とがそれぞれ当接する。
【0035】プレッシャープレート66は、複数のリター
ンスプリング67により常にウェイトローラー65側に引き
付けられるように付勢されており、この付勢力により平
常時は各ウェイトローラー65がローラー室64の内周側に
引き寄せられている。
【0036】自動二輪車1の発進時において、クラッチ
入力軸13とクラッチハウジング51の回転速度が上昇する
と、各ウェイトローラー65が遠心力を受け、この遠心力
がローラー室64内の斜面形状によりスラスト方向への押
圧力に変換され、これによりウェイトローラー65がプレ
ッシャープレート66とドライブプレート54とドリブンプ
レート60を押圧する。
【0037】このため、ドライブプレート54とドリブン
プレート60との間の摩擦係合力(圧着力)が高められ、
クラッチ入力軸13の回転がクラッチハウジング51→ドラ
イブプレート54→ドリブンプレート60→クラッチスリー
ブ57→クラッチ出力軸26の順に伝達される。
【0038】クラッチ入力軸13の回転速度が低下する
と、ウェイトローラー65に作用する遠心力が小さくな
り、ドライブプレート54とドリブンプレート60を押圧す
るスラスト力が軽減されるため、クラッチ接続が断たれ
る。その際、リターンスプリング67がプレッシャープレ
ート66を引き戻そうとする力と、各ドライブプレート54
の間に介装されたクラッチプレートスプリング62の軽い
付勢力とにより、各ドライブプレート54と各ドリブンプ
レート60との間の貼り付き(引き摺り)が防止されてク
ラッチの切れが確実になる。
【0039】ところで、クラッチ入力軸13の軸心にはオ
イル通路71が形成されており、クラッチ入力軸13の回転
時にはオイル通路71に供給されたオイルがオイル孔72か
ら噴き出して遠心力により飛散し、ウェイトローラー6
5、プレッシャープレート66、ドライブプレート54、ド
リブンプレート60等を潤滑するとともに、各々の摩擦熱
を冷却する。同時に、クラッチ入力軸13やクラッチ出力
軸26を支持するベアリング27,28,73が潤滑される。
【0040】ここで、プレッシャープレート66の、ウェ
イトローラー65よりも内周側の部位にオイル誘導部75が
形成されている。このオイル誘導部75は、例えばプレッ
シャープレート66をプレス成形して形成されており、ウ
ェイトローラー65側から、ドライブプレート54およびド
リブンプレート60側に向って外周側に拡開する斜面状の
円錐台形状をしている。
【0041】また、図6にも示すように、ドリブンプレ
ート60の摩擦係合部61よりも内周側の部位に複数の連通
穴60bが周方向に等間隔に形成されている。この連通穴
60bの形成により、各ドリブンプレート60間の空間が互
いに連通している。さらに、図7および図8に示すよう
に、クラッチプレートスプリング62の内周部に複数の切
欠状の連通部62aが周方向に等間隔に形成されている。
【0042】ドリブンプレート60の連通穴60bとクラッ
チプレートスプリング62の連通部62aとプレッシャープ
レート66のオイル誘導部75の設置半径は略同一であり、
これにより連通穴60bと連通部62aとオイル誘導部75が
ほぼ横一列に並列している。
【0043】多板式自動遠心クラッチ装置30(クラッチ
入力軸13、クラッチ出力軸26)が回転すると、オイル72
から噴出して遠心力により飛散するオイルがオイル誘導
部75の円錐面形状に誘導されて矢印Oで示すようにドラ
イブプレート54とドリブンプレート60の方に導かれる。
このため、ドライブプレート54とドリブンプレート60が
充分に潤滑、冷却され、従来の潤滑不足および冷却不足
が解消される。
【0044】また、各ドリブンプレート60に形成された
連通穴60bを経てオイルが全てのドライブプレート54と
ドリブンプレート60の間に良好に行き渡ることができ、
しかも各クラッチプレートスプリング62に形成された連
通部62aにより、オイルがクラッチプレートスプリング
62に妨げられることなくスムーズに流れることができる
ため、ドライブプレート54とドリブンプレート60の潤滑
状態を非常に良好に保つことができる。
【0045】クラッチプレートスプリング62は、ドリブ
ンプレート60の摩擦係合部61よりも内周側の部位に設け
られているため、クラッチプレートスプリング62の設置
によって摩擦係合部61の径が小さくなることがなく、こ
れにより摩擦係合部61の径を大きく確保して多板式自動
遠心クラッチ装置30のトルク伝達容量を増大させること
ができる。
【0046】ところで、この多板式自動遠心クラッチ装
置30では、プレッシャープレート66を引き戻すためのリ
ターンスプリング67が圧縮コイルスプリング状であり、
クラッチハウジング51の内壁に突設されたボス77の周囲
に環装された構造であるため、遠心力が作用してもリタ
ーンスプリング67に変形しにくく強度も高い。しかも、
リターンスプリング67が摩擦係合部61よりも内周側に配
置されているため、クラッチハウジング51とクラッチス
リーブ57との間のデッドスペースを有効に活用するとと
もに、遠心力の影響を小さくしてリターンスプリング67
の変形を抑えることができる。
【0047】なお、本発明に係る多板式自動遠心クラッ
チ装置は、自動二輪車のみならず、他の分野にも幅広く
適用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る多板
式自動遠心クラッチ装置よれば、クラッチ入力軸の軸心
に形成されたオイル通路から飛散するオイルをオイル誘
導部により積極的にドライブプレートとドリブンプレー
ト側に導き、ドライブプレートとドリブンプレートの潤
滑不足および冷却不足を解消するとともに、ドライブプ
レートとドリブンプレートの摩擦係合部の径を大きくし
てトルク伝達容量を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多板式自動遠心クラッチ装置が適
用されたスクーター型の自動二輪車の左側面図。
【図2】図1に示すパワーユニットの左側面図。
【図3】図2のIII-III線に沿って展開したパワーユニ
ットの断面図。
【図4】本発明の一実施形態を示す多板式自動遠心クラ
ッチ装置の拡大断面図。
【図5】ドライブプレートの単体図。
【図6】ドリブンプレートの単体図。
【図7】クラッチプレートスプリングの単体図。
【図8】図7のVIII-VIII線に沿うクラッチプレートス
プリングの断面図。
【図9】従来の技術を示す多板式自動遠心クラッチ装置
の断面図。
【符号の説明】
13 クラッチ入力軸 26 クラッチ出力軸 30 多板式自動遠心クラッチ装置 51 クラッチハウジング 54 ドライブプレート 57 クラッチスリーブ 60 ドリブンプレート 60b 連通穴 61 摩擦係合部 62 クラッチプレートスプリング 62a 連通部 65 ウェイトローラー 66 プレッシャープレート 75 オイル誘導部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 義道 静岡県引佐郡細江町テクノランド7000番地 の36 株式会社エフ・シー・シー内 Fターム(参考) 3J056 AA34 AA60 AA62 BA02 BA05 BB02 BC03 BE13 CA05 CA09 GA02 GA13 3J068 AA01 AA05 BA13 BB06 CA06 GA06 GA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチ入力軸側に回転一体な複数のド
    ライブプレートと、クラッチ出力軸側に回転一体な複数
    のドリブンプレートとが交互に重ねられるとともに複数
    のウェイトローラーが設けられ、上記クラッチ入力軸の
    回転速度の上昇に伴い上記ウェイトローラーに作用する
    遠心力をスラスト方向への押圧力に変換して上記ドライ
    ブプレートとドリブンプレートの摩擦係合力を高めてク
    ラッチ入力軸の回転をクラッチ出力軸側に伝達するよう
    に構成された多板式自動遠心クラッチ装置において、上
    記ドライブプレートおよびドリブンプレートと、上記ウ
    ェイトローラーとの間にプレッシャープレートを介在さ
    せ、このプレッシャープレートの外周側両面にドライブ
    プレートおよびドリブンプレートの摩擦係合部とウェイ
    トローラーとを当接させる一方、プレッシャープレート
    の内周側に、ウェイトローラー側からドライブプレート
    およびドリブンプレート側に向って外周側に拡開する斜
    面状のオイル誘導部を形成したことを特徴とする多板式
    自動遠心クラッチ装置。
  2. 【請求項2】 前記複数のドリブンプレートの摩擦係合
    部よりも内周側の部位に、各ドリブンプレート間の空間
    を互いに連通させる複数の連通穴を形成し、これらの連
    通穴を周方向に略等間隔配置した請求項1に記載の多板
    式自動遠心クラッチ装置。
  3. 【請求項3】 前記複数のドリブンプレートの間、かつ
    各ドリブンプレートの摩擦係合部よりも内周側の部位に
    皿バネ状のクラッチプレートスプリングを介装した請求
    項1または2に記載の多板式自動遠心クラッチ装置。
  4. 【請求項4】 前記クラッチプレートスプリングの内周
    部に複数の連通部を形成し、これらの連通部を周方向に
    略等間隔配置した請求項3に記載の多板式自動遠心クラ
    ッチ装置。
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