JP2009030791A - クラッチ及びそれを備えた車両 - Google Patents

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Toshinori Inomori
俊典 猪森
Yosuke Ishida
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Abstract

【課題】ワンウェイクラッチを用いない新規な構造の、入力側の回転速度が比較的低くなるまで切断されないクラッチを提供する。
【解決手段】プレッシャプレート77は、軸線の軸方向に変位することで、直接又は間接的にプレート群66を押圧してプレート群66を圧接させる。入力側押圧体40aは、クラッチハウジング46の回転に伴って軸線周りを旋回し、旋回時に生じる遠心力によって、プレッシャプレート77をプレート群66側に押圧しながら、軸線から遠ざかる方向に移動する。ローラリテーナー69は、軸線の軸方向に変位することで、直接又は間接的にプレート群66を押圧してプレート群66を圧接させる。出力側押圧体40bは、出力側クラッチ部材の回転に伴って軸線周りを旋回し、旋回時に生じる遠心力によって、ローラリテーナー69をプレート群66側に押圧しながら、軸線から遠ざかる方向に移動する。
【選択図】図1

Description

本発明はクラッチ及びそれを備えた車両に関する。
車両の種類によっては、なるべく低いエンジン回転速度領域にまでエンジンブレーキが働くようにすることが要求される場合もある。
なるべく低いエンジン回転速度領域にまでエンジンブレーキが働くようにする方法としては、例えば、特許文献1に開示されているようにワンウェイクラッチを用いる方法が挙げられる。
具体的に、特許文献1には、クラッチアウタがクラッチインナよりも速く回転しているときに、クランクシャフトにバックトルクが伝達するように、クラッチアウタ及びクラッチインナ間を接続するワンウェイクラッチを設ける技術が開示されている。これによれば、クランクシャフトの回転速度が低くなり、遠心クラッチが切れた後においても、ワンウェイクラッチによりクランクシャフトに対してバックトルクが伝えられるため、エンジンブレーキが有効に機能する旨が特許文献1には記載されている。
特開2005−207515号公報
本発明の目的は、なるべく低いエンジン回転速度領域にまでエンジンブレーキが働くようにするという要求に応じ、入力側の回転速度が比較的低くなるまで切断されないクラッチであって、ワンウェイクラッチを用いない新規な構造を有するクラッチを提供することにある。
本発明に係るクラッチは、軸線を中心として回転する入力側クラッチ部材と、軸線を中心として回転する出力側クラッチ部材と、プレート群と、入力側プレッシャ部材と、入力側リテーナーと、入力側押圧体と、出力側プレッシャ部材と、出力側リテーナーと、出力側押圧体と、を備えている。プレート群は、入力側クラッチ板と、出力側クラッチ板と、を有する。入力側クラッチ板は、入力側クラッチ部材と共に回転する。出力側クラッチ板は、入力側クラッチ板に対して軸線の軸方向に変位可能に対向している。出力側クラッチ板は、出力側クラッチ部材と共に回転する。入力側プレッシャ部材は、入力側クラッチ部材と共に回転する。入力側プレッシャ部材は、軸線の軸方向に変位可能である。入力側プレッシャ部材は、軸線の軸方向に関してプレート群側に変位することで、直接又は間接的にプレート群を押圧してプレート群を圧接させる。入力側リテーナーは、入力側プレッシャ部材のプレート群側とは反対側の面と対向している。入力側リテーナーは、入力側プレッシャ部材と共に、軸線から遠ざかるに従って幅狭となる空間を形成している。入力側リテーナーは、入力側クラッチ部材に対して、軸線の軸方向に固定、若しくは、プレート群側に付勢されている。入力側押圧体は、入力側プレッシャ部材と、入力側リテーナーとの間の空間に配置されている。入力側押圧体は、入力側クラッチ部材の回転に伴って軸線周りを旋回し、旋回時に生じる遠心力によって、入力側プレッシャ部材をプレート群側に押圧しながら、軸線から遠ざかる方向に移動する。出力側プレッシャ部材は、出力側クラッチ部材と共に回転する。出力側プレッシャ部材は、軸線の軸方向に変位可能である。出力側プレッシャ部材は、軸線の軸方向に関してプレート群側に変位することで、直接又は間接的にプレート群を押圧してプレート群を圧接させる。出力側リテーナーは、出力側プレッシャ部材のプレート群側とは反対側の面と対向している。出力側リテーナーは、出力側プレッシャ部材と共に、軸線から遠ざかるに従って幅狭となる空間を形成している。出力側リテーナーは、出力側クラッチ部材に対して、軸線の軸方向に固定、若しくは、プレート群側に付勢されている。出力側押圧体は、出力側プレッシャ部材と、出力側リテーナーとの間の空間に配置されている。出力側押圧体は、出力側クラッチ部材の回転に伴って軸線周りを旋回し、旋回時に生じる遠心力によって、出力側プレッシャ部材をプレート群側に押圧しながら、軸線から遠ざかる方向に移動する。
本発明に係る車両は、上記本発明に係るクラッチを備えている。
本発明によれば、入力側の回転速度が比較的低くなるまで切断されないクラッチであって、ワンウェイクラッチを用いない新規な構造を有するクラッチを実現できる。
以下、本発明を実施したクラッチ及びそれを備えた車両について、図1に示すクラッチ2及び図3に示す自動二輪車1を例に挙げて説明する。但し、自動二輪車1やクラッチ2は、本発明を実施した好ましい形態の単なる例示である。本発明は、自動二輪車1やクラッチ2に限定されるものではない。本発明に係る車両は、例えば、オフロードタイプの自動二輪車、スクーター又はモペット、若しくはATV:All Terrain Vehicle等の鞍乗型車両であってもよい。又、本発明に係る車両は、四輪車等に代表される鞍乗型車両以外の車両であってもよい。ここで、本明細書において、「自動二輪車」とは、所謂狭義のモーターサイクルのみではなく、オフロード車、スクーター及びモペットなどを含む広義の自動二輪車をいう。
尚、下記説明において、前後左右の方向は、図3に示すシート16に着座した乗員から視た方向をいうものとする。また、図1において、軸線AXよりも上側部分と下側部分とでは、異なる状態のクラッチ2を表している。具体的に、軸線AXよりも上側部分は、プレート群66が圧接していない状態を表している。軸線AXよりも下側部分は、プレート群66が圧接している状態を表している。また、図2は、説明の便宜上、パワーユニット3の一部のみを描画したものである。
図1は、本実施形態に係るクラッチ2の断面図である。図2は、クラッチ2を用いたパワーユニット3の概略構成図である。図3は、パワーユニット3を用いた自動二輪車1の左側面図である。まず、主として図3を参照しながら自動二輪車1の概略構成について説明する。
(自動二輪車1の概略構成)
図3に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、ヘッドパイプ11を有している。ヘッドパイプ11の上側には、ハンドル12が取り付けられている。一方、ヘッドパイプ11の下側には、フロントフォーク13を介して、前輪14が回転可能に取り付けられている。
車体フレーム10には、燃料タンク15が取り付けられている。車体の前後方向のほぼ中央部分には、シート16が配置されている。
車体フレーム10には、パワーユニット3が懸架されている。車体フレーム10の後半部には、ピボット軸17が設けられている。ピボット軸17には、リアアーム18が揺動可能に支持されている。また、リアアーム18は、リンク機構20と、リアクッションユニット21とを介して車体フレーム10に支持されている。
リアアーム18の後端部には、後輪19が回転可能に取り付けられている。後輪19には、ドリブンスプロケット22が設けられている。一方、パワーユニット3のドライブ軸23には、駆動スプロケット24が設けられている。この駆動スプロケット24とドリブンスプロケット22とには、駆動力伝達機構としてのチェーン25が巻き掛けられている。このチェーン25によって、パワーユニット3の動力が後輪19に伝達される。これにより、後輪19が回転する。
尚、本発明において、パワーユニット3からの動力を後輪19に伝達する駆動力伝達機構は、チェーン25に限定されない。駆動力伝達機構は、例えば、ドライブシャフト、ベルトなどであってもよい。
(パワーユニット3)
次に、主として図2を参照しながら、パワーユニット3の構成について、詳細に説明する。図2に示すように、パワーユニット3は、エンジン4と、変速機構5と、クラッチ2とを備えている。本発明において、エンジンの種類は特に限定されない。本実施形態では、エンジン4が水冷式4サイクル並列4気筒型のエンジンである例について説明する。
−エンジン4−
エンジン4は、図示しない気筒軸が車体前方に向かってやや斜め上方向に延びるように配置されている。エンジン4は、図3に示すクランクケース31と、クランク軸32とを備えている。クランク軸32は、クランクケース31に収納されている。クランク軸32は、車幅方向に延びるように配置されている。
−変速機構5−
図2に示すように、クランク軸32は、クラッチ2を介して、変速機構5に接続されている。変速機構5は、メイン軸33と、ドライブ軸23と、ギア選択機構36とを備えている。メイン軸33は、クラッチ2を介してクランク軸32に接続されている。メイン軸33とドライブ軸23とは、それぞれ、クランク軸32と略平行に配置されている。
メイン軸33には、多段の変速ギア34が装着されている。一方、ドライブ軸23には、多段の変速ギア34に対応する複数の変速ギア35が装着されている。複数の変速ギア34と複数の変速ギア35とは、選択された一対のギア同士のみで相互に噛合している。複数の変速ギア34のうち、選択された変速ギア34以外の変速ギア34と、複数の変速ギア35のうち、選択された変速ギア35以外の変速ギア35とのうちの少なくとも一方は、メイン軸33又はドライブ軸23に対して回転可能となっている。つまり、選択されていない変速ギア34と、選択されていない変速ギア35のうちの少なくとも一方は、メイン軸33又はドライブ軸23に対して空転するようになっている。すなわち、メイン軸33とドライブ軸23との間の回転伝達は、相互に噛合する、選択された変速ギア34及び選択された変速ギア35のみを介して行われる。
変速ギア34、35の選択は、ギア選択機構36によって選択される。具体的に、変速ギア34、35の選択は、ギア選択機構36のシフトカム37によって選択される。シフトカム37の外周面には、複数のカム溝37aが形成されている。各カム溝37aには、シフトフォーク38が装着されている。各シフトフォーク38は、それぞれメイン軸33及びドライブ軸23の所定の変速ギア34及び35に係合している。シフトカム37が回転することによって、複数のシフトフォーク38のそれぞれがカム溝37aに案内されてメイン軸33の軸方向に移動する。これにより、変速ギア34及び35のうちの相互に噛合するギアが選択される。具体的に、複数の変速ギア34及び35のうち、シフトカム37の回転角度に応じた位置の一対のギアのみがメイン軸33及びドライブ軸23に対して、それぞれスプラインによる固定状態となる。これにより、変速ギア位置が決定され、変速ギア34及び35を介して、メイン軸33とドライブ軸23との間で所定の変速比で回転伝達が行われる。その結果、図3に示すチェーン25を介して後輪19に動力が伝達され、後輪19が回転する。
尚、このギア選択機構36は、図示しないシフトペダルにより操作される。
−クラッチ2−
次に、クラッチ2の構成について、主として図1を参照しながら詳細に説明する。クラッチ2は、湿式多板式の摩擦クラッチである。クラッチ2は、ライダーの操作による操作も可能な遠心クラッチである。
〜入力側クラッチ部材44(=クラッチハウジング46)〜
クラッチ2は、入力側クラッチ部材44を備えている。入力側クラッチ部材44は、メイン軸33の軸線AXを中心として回転する。本実施形態では、入力側クラッチ部材44は、クラッチハウジング46によって構成されている。クラッチハウジング46には、メイン軸33が貫通している。クラッチハウジング46は、メイン軸33と同じ軸線AXを有する。
図4は、クラッチハウジング46の上方斜め上から視た斜視図である。図4に示すように、クラッチハウジング46はハウジング本体46cを備えている。ハウジング本体46cは、底部46aによって一端が閉じられた円筒状に形成されている。底部46aには、メイン軸33が挿入される挿入孔46bが形成されている。ハウジング本体46cには、複数対のアーム46dが設けられている。各アーム46dは、ハウジング本体46cの内周面から、径方向内側に向かって突出するように形成されている。各アーム46dは、底部46aから、車幅方向の外側に向かって延びている。アーム46dは、比較的車幅方向の内側に位置する内側部46eと、比較的車幅方向の外側に位置する外側部46fとを有している。内側部46eの径方向における厚さは、外側部46fの同厚さよりも厚い。このため、内側部46eと外側部46fとの境界には、端面46hが形成されている。また、外側部46fの先端部には、周方向に延びる線条溝46gが形成されている。
図1に示すように、クラッチハウジング46には、シザーズギア45が取り付けられている。具体的に、クラッチハウジング46は、以下に述べるギア45aに対して回転不能に固定されている。シザーズギア45の軸線は、クラッチハウジング46の軸線と共通している。図2に示すように、シザーズギア45は、クランク軸32のギア32aと噛合している。このため、クランク軸32の回転に伴って、シザーズギア45とクラッチハウジング46とが一体的に回転する。
具体的に、シザーズギア45は、図1に示すように、2枚のギア45a、45bと、スプリング49と、2枚のプレート51、52とを備えている。ギア45aとギア45bとは、この2枚のプレート51、52の間に位置している。2枚のプレート51、52は、メイン軸33の軸方向に関して、リベットや、ビスなどの固定手段によって相互に固定されている。これにより、2枚のギア45a、45bは、メイン軸33の軸方向に関して、相互に実質的に固定されている。一方、ギア45aとギア45bとは、回転方向に関して、相互に回転可能となっている。
ギア45aとギア45bとは、歯数が相互に等しい。ギア45aとギア45bとは、周方向に関して、それぞれの歯が互い違いに位置するように配置されている。スプリング49は、ギア45aとギア45bとの間に設けられている。このため、ギア45aとギア45bとには、スプリング49によって搾りトルクが付与される。これにより、エンジン4の変動トルクが吸収される。
シザーズギア45とメイン軸33との間には、ニードルベアリング53と、メイン軸33に対して回転不能に固定されたスペーサ54とが配置されている。このニードルベアリング53によって、シザーズギア45は、メイン軸33に対して回転可能となっている。つまり、シザーズギア45の回転は、直接メイン軸33に伝わらないようになっている。
シザーズギア45の車幅方向における内側の端面には、スプロケット55が接している。このスプロケット55は、図示しないオイルポンプなどを駆動するためのものである。スプロケット55には、メイン軸33が挿入されている。スプロケット55は、メイン軸33と同じ軸線AXを有する。スプロケット55とメイン軸33との間には、ベアリング56と、カラー57とが配置されている。カラー57は、メイン軸33に対して回転不能に固定されている。ベアリング56は、カラー57とスプロケット55との間に配置されている。このため、スプロケット55は、メイン軸33に対して回転可能となっている。よって、スプロケット55は、メイン軸33とは別に、シザーズギア45と共に回転する。その結果、ベルトやチェーンなどの動力伝達手段によりスプロケット55に接続されたオイルポンプなどが駆動される。
カラー57の車幅方向の内側には、スペーサ59と、ベアリング58とが配置されている。スペーサ59は、カラー57に接する一方、スプロケット55には接していない。且つ、スペーサ59は、ベアリング58の内輪58aに接する一方、外輪58bには接していない。
ベアリング58の外輪58bは、クランクケース31に対して固定されている。つまり、メイン軸33の右側端部は、ベアリング58によって、クランクケース31に回転可能に支持されている。一方、図7に示すように、メイン軸33の左側端部は、ベアリング94によって、クランクケース31に回転可能に支持されている。
ベアリング58は、メイン軸33に対して、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して、変位不能に取り付けられている。一方、クラッチボス48とシザーズギア45との間には、スラストベアリング63が配置されている。シザーズギア45と、ニードルベアリング53、スペーサ54、スプロケット55、ベアリング56、カラー57及びスペーサ59は、ベアリング58とスラストベアリング63とによって、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して固定されている。
スペーサ59とベアリング58との間には、皿バネ61と、ワッシャ62とが配置されている。ワッシャ62は、ベアリング58のうち、外輪58bにのみ接している。ワッシャ62は、皿バネ61によって、メイン軸33の軸線AXの軸方向の内側に向かって付勢されている。言い換えれば、ワッシャ62は、皿バネ61によって、ベアリング58の外輪58b側に付勢されている。このため、メイン軸33が回転すると、皿バネ61とワッシャ62との間、及びワッシャ62と外輪58bとの間の少なくとも一方で、摺動抵抗が生じる。この摺動抵抗が、例えば、クラッチ2が切断された状態で、メイン軸33が回転する際の回転抵抗になる。これにより、例えば、クラッチ2が切断された際には、メイン軸33の回転が比較的早く収まる。
〜プレート群66〜
クラッチハウジング46の内側には、入力側クラッチ板としての複数のフリクションプレート64が配置されている。各フリクションプレート64は、メイン軸33の回転方向に関して、クラッチハウジング46に対して固定されている。このため、複数のフリクションプレート64は、クラッチハウジング46と共に回転する。尚、各フリクションプレート64は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して変位可能である。このため、相互に隣接するフリクションプレート64相互間の距離は可変である。
複数のフリクションプレート64は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に配列されている。相互に隣接するフリクションプレート64相互間のそれぞれには、出力側クラッチ板としてのクラッチプレート65が配置されている。クラッチプレート65は、隣接するフリクションプレート64に対向している。各クラッチプレート65は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して、クラッチボス48に対して固定されている。このため、複数のクラッチプレート65は、クラッチボス48と共に回転する。尚、各クラッチプレート65は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して変位可能である。このため、相互に隣接するクラッチプレート65相互間の距離は可変である。
本実施形態では、これら複数のフリクションプレート64と複数のクラッチプレート65とによってプレート群66が構成されている。
尚、プレート群66には、クラッチ2がつながるときの荷重変化をなめらかにするためのジャダースプリングが取り付けられていてもよい。具体的に、例えば、クラッチプレート65とフリクションプレート64との間にジャダースプリングを配置し、クラッチプレート65とフリクションプレート64とを相互に離間する方向に付勢してもよい。
〜出力側クラッチ部材47(=クラッチボス48)〜
本実施形態において、クラッチボス48は、出力側クラッチ部材47を構成している。クラッチボス48は、ナット67によって、メイン軸33に対して回転不能に固定されている。つまり、クラッチボス48は、メイン軸33と共に、軸線AXを中心として回転する。
〜ローラリテーナー69〜
メイン軸33の車幅方向外側には、シャフト68が配置されている。シャフト68は、メイン軸33とプレッシャプレート77との間に圧入されている。シャフト68は、メイン軸33と共に回転する。シャフト68は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に変位可能である。シャフト68には、出力側プレッシャ部材としてのローラリテーナー69が装着されている。ローラリテーナー69は、シャフト68に対して回転不能である。つまり、ローラリテーナー69は、シャフト68と共に回転する。一方、シャフト68の軸方向に関しては、ローラリテーナー69は、シャフト68に対して変位可能である。
ローラリテーナー69は、シャフト68から径方向の外側に向かって延びている。ローラリテーナー69の径方向における外側の端部は、メイン軸33の軸線AXの軸方向に関して、プレート群66と対向している。ローラリテーナー69は、シャフト68と共に、車幅方向の内側に向かって変位することで、ローラリテーナー69とクラッチハウジング46の底部46aとの間の距離が短くなる。これにより、プレート群66がローラリテーナー69によって直接押圧される。その結果、プレート群66が圧接状態となる。具体的には、フリクションプレート64とクラッチプレート65とが相互に圧接した状態となる。これにより、フリクションプレート64とクラッチプレート65との間に、回転方向に関する摩擦力が生じる。その結果、クラッチボス48がクラッチハウジング46と共に回転する。
一方、ローラリテーナー69が、シャフト68と共に、車幅方向の外側に向かって変位することで、ローラリテーナー69とクラッチハウジング46の底部46aとの間の距離が長くなる。これにより、プレート群66の圧接状態が解除される。よって、フリクションプレート64とクラッチプレート65との間における回転方向に関する摩擦力が比較的小さくなる。その結果、クラッチハウジング46の回転がクラッチボス48に伝わらなくなる。
このように、本実施形態では、ローラリテーナー69が車幅方向の内外に変位することでクラッチ2の断続が行われる。
尚、クラッチボス48とローラリテーナー69との間には、出力側付勢部材としての出力側オフスプリング71が、周方向に沿って、均等間隔で、複数配置されている。ローラリテーナー69は、この複数の出力側オフスプリング71によって、プレート群66から離れる方向に付勢されている。これにより、ローラリテーナー69に車幅方向の内側に向けた付勢力が付与されていない状態では、ローラリテーナー69は、クラッチハウジング46の底部46aから比較的離れた状態にある。よって、プレート群66は非圧接状態にある。尚、出力側オフスプリング71は、例えば、圧縮コイルばねにより構成することができる。
この出力側オフスプリング71の弾性力が強いほど、クラッチ2がつながりにくく、クラッチ2が切れやすくなる。一方、出力側オフスプリング71の弾性力が弱いほど、クラッチ2がつながりやすく、クラッチ2が切れにくくなる。よって、この出力側オフスプリング71の弾性力を調節することによって、クラッチ2の断続のタイミングを調整することができる。
ローラリテーナー69のプレート群66とは反対側の面には、複数のカム面69aが形成されている。複数のカム面69aは、径方向に関して、プレート群66よりも内側に位置している。複数のカム面69aは、メイン軸33の軸線AXを中心として放射状に配置されている。各カム面69aは、径方向外側にいくに従って車幅方向の外側に向かって延びている。
〜出力側リテーナー72〜
シャフト68には、出力側リテーナー72が取り付けられている。出力側リテーナー72は、シャフト68に対して、回転不能かつ軸線AXの軸方向に変位不能に取り付けられている。出力側リテーナー72は、ローラリテーナー69のプレート群66とは反対側の面と対向している。言い換えれば、出力側リテーナー72は、カム面69aと対向している。出力側リテーナー72は、ローラリテーナー69のカム面69aと共に、軸線AXから遠ざかるに従って幅狭となる空間70を形成している。
具体的に、出力側リテーナー72は、スプリングストッパプレート73と、スプリング74とを備えている。スプリングストッパプレート73は、シャフト68に対して固定されている。
スプリング74は、具体的には、2枚の輪帯状の皿バネ74a、74bによって構成されている。皿バネ74aは、径方向の外側に向かって車幅方向の外側に延びている。皿バネ74aの径方向の外側端は、スプリングストッパプレート73に当て止めされている。皿バネ74bの内側端は、皿バネ74aの内側端に当接している。皿バネ74bは、径方向の外側に向かって車幅方向の内側に延びている。この皿バネ74bとカム面69aとによって、上記空間70が形成されている。尚、スプリング74とシャフト68との間には、カラーワッシャ76が配置されている。このカラーワッシャ76によって、シャフト68とスプリング74との直接的な衝突が抑制されている。
〜出力側ローラウエイト42〜
空間70には、出力側押圧体40bが配置されている。出力側押圧体40bは、複数の出力側ローラウエイト42により構成されている。出力側ローラウエイト42は、シャフト68の回転に伴って旋回し、その旋回時に生じる遠心力によって、前記ローラリテーナー69をプレート群66側に押圧すると共に、前記スプリング74を車幅方向の外側に押圧しながら、軸線AXから遠ざかる方向に向かって移動する。これにより、ローラリテーナー69がプレート群66側に移動し、プレート群66が圧接状態となる。
出力側ローラウエイト42の形状は、シャフト68の回転に伴って旋回すると共に、径方向内外に移動可能な形状であれば特に限定されない。具体的に、本実施形態では、出力側ローラウエイト42は、略円柱状に形成されている。
より具体的には、出力側ローラウエイト42は、出力側ローラウエイト42の軸方向に関して、中央部分と両側部分と分かれている。両側部分は、相互に回転不能である。一方、中央部分は、両側部分に対して、回転可能である。カム面69aは、この中央部分にのみ当接するように形成されている。言い換えれば、カム面69aに当接する中央部分のみが他の部分に対して回転可能となっている。そうすることで、カム面69aと出力側ローラウエイト42との間の摺動摩擦を軽減することができる。その結果、出力側ローラウエイト42の摩耗を抑制することができる。
〜プレッシャプレート77及びローラリテーナー78〜
ベアリング75の外輪75bには、入力側プレッシャ部材としてのプレッシャプレート77が回転不能に取り付けられている。プレッシャプレート77の径方向における外側端部は、図4に示す複数のアーム46dと係合している。これにより、プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して回転不能となっている。言い換えれば、プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、軸線AXの軸方向に関しては、プレッシャプレート77は、クラッチハウジング46に対して変位可能である。
プレッシャプレート77とクラッチハウジング46との間には、入力側付勢部材としての入力側オフスプリング79が、クラッチハウジング46の周方向に沿って、均等間隔で複数配置されている。具体的に、複数の入力側オフスプリング79は、図4に示す対をなすアーム46dの各間隙46iに配置されている。入力側オフスプリング79は、圧縮コイルスプリングにより構成されている。この入力側オフスプリング79によって、プレッシャプレート77は、車幅方向の外側に向けて付勢されている。つまり、プレッシャプレート77は、入力側オフスプリング79によって、プレート群66から離れる方向に付勢されている。
このように、本実施形態では、入力側プレッシャ部材としてのプレッシャプレート77は、ベアリング75及びシャフト68を介して間接的に出力側プレッシャ部材としてのローラリテーナー69を押圧している。これにより、プレッシャプレート77は、プレート群66を間接的に押圧している。
ローラリテーナー69と出力側リテーナー72と出力側押圧体40bとは、プレート群66の一方側に配置されている。プレッシャプレート77とローラリテーナー78と入力側押圧体40aとは、ローラリテーナー69と出力側リテーナー72と出力側押圧体40bとよりもさらに一方側に配置されている。そして、入力側プレッシャ部材としてのプレッシャプレート77は、出力側プレッシャ部材としてのローラリテーナー69がプレート群66を押圧する方向と同じ方向から、プレート群66を間接的に押圧している。
このように、出力側のローラリテーナー69などをプレート群66寄りに配置し、入力側のプレッシャプレート77などを出力側のローラリテーナー69などよりもプレート群66から離して配置することで、クラッチハウジング46の内側に位置するクラッチボス48をコンパクト化することができる。その結果、クラッチ2のコンパクト化を図ることができる。また、クラッチ2の組み立てが容易となる。
プレッシャプレート77よりも車幅方向の外側には、入力側リテーナーとしてのローラリテーナー78が配置されている。ローラリテーナー78は、軸線AXの軸方向から視て輪帯状に形成されている。ローラリテーナー78は、プレッシャプレート77のプレート群66とは反対側の面と対向している。ローラリテーナー78のプレッシャプレート77側の面には、複数のカム面81が形成されている。複数のカム面81は、軸線AXを中心として放射状に配置されている。各、カム面81は、径方向の外側にいくに従って、車幅方向の内側に向かって延びるように形成されている。これにより、各カム面81とプレッシャプレート77との間に、軸線AXから遠ざかるに従って幅狭となる空間82が形成されている。
ローラリテーナー78の径方向の外側端部は、プレッシャプレート77と同じく、図4に示す複数のアーム46dと係合している。これにより、ローラリテーナー78は、クラッチハウジング46に対して回転不能となっている。言い換えれば、ローラリテーナー78は、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、軸線AXの軸方向に関しては、ローラリテーナー78は、クラッチハウジング46に対して変位可能である。
ローラリテーナー78は、付勢部材としての皿バネ83によって、車幅方向の内側に付勢されている。言い換えれば、ローラリテーナー78は、皿バネ83によって、プレート群66側に付勢されている。具体的に、皿バネ83の径方向の外側端部はスプリングストッパー84とサークリップ85とによって、軸線AXの軸方向に固定されている。
図5に示すように、リング状のスプリングストッパー84には、周方向に配列された複数の開口84aが形成されている。この開口84aには、クラッチハウジング46のアーム46d(図4を参照)が挿入される。これにより、クラッチハウジング46のアーム46dの変形が抑制されている。
皿バネ83は、スプリングストッパー84の径方向内側の部分と当接している。一方、スプリングストッパー84の径方向外側の部分は、アーム46dに形成された端面46hに当接している。これにより、スプリングストッパー84が、端面46hよりも車幅方向左側に移動しないようになっている。
サークリップ85は、図6に示すように、一部が切欠かれたリング状に形成されている。このサークリップ85は、アーム46dに形成された線条溝46g(図4を参照)に嵌められている。これにより、軸線AXの軸方向に関するサークリップ85の移動が規制されると共に、スプリングストッパー84の移動も規制されている。つまり、スプリングストッパー84は、軸線AXの軸方向に関して、サークリップ85と、アーム46dに形成された端面46hとによって固定されている。その結果、皿バネ83の径方向の外側端部は、軸線AXの軸方向に固定される。このように、サークリップ85を用いる皿バネ83の固定法によれば、簡単に皿バネ83を固定することができる。かつ、皿バネ83を簡単に取り外すことができる。
以上説明したように、皿バネ83によって、入力側リテーナーとしてのローラリテーナー78は、軸線AXの軸方向に関して、プレート群66側に付勢されている。その皿バネ83の付勢力は、入力側ローラウエイト41及びプレッシャプレート77を介して、出力側リテーナー72が取り付けられたシャフト68をプレート群66側に付勢している。よって、出力側リテーナー72も、皿バネ83によって、軸線AXの軸方向に関して、プレート群66側に付勢されている。
〜入力側ローラウエイト41〜
空間82には、入力側押圧体40bが配置されている。入力側押圧体40bは、複数の入力側ローラウエイト41によって構成されている。入力側ローラウエイト41は、軸線AXの軸方向に関して、出力側ローラウエイト42よりもプレート群66から離れたところに位置している。つまり、入力側ローラウエイト41は、軸線AXの軸方向に関して、出力側ローラウエイト42よりも右側に位置している。また、入力側ローラウエイト41は、軸線AXに垂直な径方向に関して、出力側ローラウエイト42よりも軸線AXから離れて位置している。このように、入力側ローラウエイト41と出力側ローラウエイト42とを、軸線AXに対して斜めに配置することで、入力側ローラウエイト41と出力側ローラウエイト42との位置的干渉を抑制することができる。その結果、クラッチ2をコンパクト化することができる。
入力側ローラウエイト41は、クラッチハウジング46の回転に伴って旋回し、その旋回時に生じる遠心力によって、前記プレッシャプレート77をプレート群66側に押圧すると共に、前記スプリング74を車幅方向の外側に押圧しながら、軸線AXから遠ざかる方向に向かって移動する。これにより、ローラリテーナー69がプレート群66側に移動し、プレート群66が圧接状態となる。
入力側ローラウエイト41の形状は、シャフト68の回転に伴って旋回すると共に、径方向内外に移動可能な形状であれば特に限定されない。具体的に、本実施形態では、入力側ローラウエイト41は、略円柱状に形成されている。
より具体的には、入力側ローラウエイト41は、入力側ローラウエイト41の軸方向に関して、中央部分と両側部分と分かれている。両側部分は、相互に回転不能である。一方、中央部分は、両側部分に対して、回転可能である。カム面81は、この中央部分にのみ当接するように形成されている。言い換えれば、カム面81に当接する中央部分のみが他の部分に対して回転可能となっている。そうすることで、カム面81と入力側ローラウエイト41との間の摺動摩擦を軽減することができる。その結果、入力側ローラウエイト41の摩耗を抑制することができる。
〜入力側ローラウエイト41、出力側ローラウエイト42の重量〜
本実施形態では、複数の出力側ローラウエイト42の総重量は、複数の入力側ローラウエイト41の総重量よりも重く設定されている。例えば、出力側ローラウエイト42と入力側ローラウエイト41とは、それぞれ同じ数量だけ設けられており、出力側ローラウエイト42一個あたりの重量を、入力側ローラウエイト41一個あたりの重量よりも重く設定してもよい。出力側ローラウエイト42一個あたりの重量と入力側ローラウエイト41一個あたりの重量とが略同一であり、出力側ローラウエイト42を入力側ローラウエイト41よりも多く設けてもよい。また、出力側ローラウエイト42を入力側ローラウエイト41よりも多く設け、且つ出力側ローラウエイト42一個あたりの重量を、入力側ローラウエイト41一個あたりの重量よりも重く設定してもよい。
但し、本発明は上記構成に限定されない。例えば、複数の出力側ローラウエイト42の総重量は、複数の入力側ローラウエイト41の総重量よりも軽く設定されていてもよい。例えば、出力側ローラウエイト42と入力側ローラウエイト41とは、それぞれ同じ数量だけ設けられており、出力側ローラウエイト42一個あたりの重量を、入力側ローラウエイト41一個あたりの重量よりも軽く設定してもよい。出力側ローラウエイト42一個あたりの重量と入力側ローラウエイト41一個あたりの重量とが略同一であり、出力側ローラウエイト42を入力側ローラウエイト41よりも少なくしてもよい。また、出力側ローラウエイト42を入力側ローラウエイト41よりも少なくし、且つ出力側ローラウエイト42一個あたりの重量を、入力側ローラウエイト41一個あたりの重量よりも軽く設定してもよい。
〜入力側オフスプリング79、出力側オフスプリング71の付勢力〜
また、本実施形態では、複数の出力側オフスプリング71の総付勢力が複数の入力側オフスプリング79の総付勢力よりも弱く設定されている。このように、複数の出力側ローラウエイト42及び複数の入力側ローラウエイト41の総重量、並びに複数の出力側オフスプリング71及び入力側オフスプリング79の総付勢力を設定することによって、出力側ローラウエイト42が遠心方向に移動を開始するクラッチボス48の回転速度が、入力側ローラウエイト41が遠心方向に移動を開始するクラッチハウジング46の回転速度よりも低く設定されている。
具体的に、出力側オフスプリング71と入力側オフスプリング79とが同じ数量だけ設けられており、各出力側オフスプリング71の付勢力を、各入力側オフスプリング79の付勢力よりも弱く設定してもよい。各出力側オフスプリング71の付勢力と、各入力側オフスプリング79の付勢力とを略同一として、出力側オフスプリング71を入力側オフスプリング79よりも多く設けてもよい。また、出力側オフスプリング71を入力側オフスプリング79よりも多く設けると共に、各出力側オフスプリング71の付勢力を、各入力側オフスプリング79の付勢力よりも弱く設定してもよい。
但し、本発明は上記構成に限定されない。例えば、複数の出力側オフスプリング71の総付勢力が複数の入力側オフスプリング79の総付勢力よりも強く設定されていてもよい。具体的に、出力側オフスプリング71と入力側オフスプリング79とが同じ数量だけ設けられており、各出力側オフスプリング71の付勢力を、各入力側オフスプリング79の付勢力よりも強く設定してもよい。各出力側オフスプリング71の付勢力と、各入力側オフスプリング79の付勢力とを略同一として、出力側オフスプリング71を入力側オフスプリング79よりも少なくしてもよい。また、出力側オフスプリング71を入力側オフスプリング79よりも少なくすると共に、各出力側オフスプリング71の付勢力を、各入力側オフスプリング79の付勢力よりも強く設定してもよい。
〜クラッチレリーズ機構86〜
本実施形態のクラッチ2には、圧接解除機構としてのクラッチレリーズ機構86が設けられている。クラッチレリーズ機構86は、自動二輪車1のライダーから加えられる力によって、強制的にプレート群66の圧接状態を解除する。このクラッチレリーズ機構86によって、自動二輪車1のライダーによるクラッチ2の切断が可能となっている。
尚、本実施形態では、自動二輪車1のライダーが、図示しないクラッチレバー又はクラッチペダル等のクラッチ操作手段を操作することによって、クラッチレバー又はクラッチペダルに加えられた力がクラッチレリーズ機構86に付与され、プレート群66の圧接状態が強制的に解除される例について説明する。但し、本発明は、これに限定されない。例えば、自動二輪車1のライダーが、図示しないクラッチレバー又はクラッチペダルを操作することによって、別途設けられたオイルポンプなどの駆動機構が操作され、オイルポンプにより生じた力がクラッチレリーズ機構86に付与され、プレート群66の圧接状態が強制的に解除されるようにしてもよい。
クラッチレリーズ機構86は、図1及び図2に示すプッシュロッド43と、図2及び図7に示すプッシュロッド駆動機構87とを備えている。図1に示すように、プッシュロッド43は、メイン軸33の内部に、軸線AXの軸方向に貫通するようにメイン軸33の内部に形成された貫通孔33aの内部に配置されている。尚、貫通孔33aは、クラッチ2の各摺動部などにオイルを供給するためのオイル供給孔を兼ねている。具体的に、貫通孔33aの内壁とプッシュロッド43との間の隙間89を介してオイルがクラッチ2の各摺動部に供給される。
プッシュロッド43は、短プッシュロッド43aと、長プッシュロッド43bとを備えている。短プッシュロッド43aは、比較的車幅方向外側に配置されている。短プッシュロッド43aの右側端は、シャフト68に当接している。短プッシュロッド43aの軸方向に関するほぼ中央部分には、Oリング88が取り付けられている。これにより、隙間89を介して供給されるオイルが、Oリング88よりも車幅方向の右側にまで達するのが抑制されている。また、Oリング88を設けることで、短プッシュロッド43aがメイン軸33と共に回転するようになっている。一方、長プッシュロッド43bは、メイン軸33と共に回転しない。このため、メイン軸33が回転すると、長プッシュロッド43bに対して、短プッシュロッド43aが相対的に回転することとなる。このことに鑑み、短プッシュロッド43aの長プッシュロッド43b側の端面は、長プッシュロッド43b側に向かって突出する曲面に形成されている。これにより、短プッシュロッド43aが回転するときの、短プッシュロッド43aと長プッシュロッド43bとの間の摺動抵抗が軽減されている。
図2及び図7に示すように、長プッシュロッド43bの左側端は、メイン軸33の左側端よりも左側に位置し、プッシュロッド駆動機構87に至っている。図7は、プッシュロッド駆動機構87を表す断面図である。尚、図7の軸線AXよりも上の部分は、クラッチレリーズ機構86が駆動されていない状態を表している。言い換えれば、図7の軸線AXよりも下の部分は、プッシュロッド43が比較的左側に位置し、プッシュロッド43によってシャフト68が右側に変位していない状態を表している。一方、図7の軸線AXよりも上の部分は、クラッチレリーズ機構86が駆動されている状態を表している。言い換えれば、図7の軸線AXよりも上の部分は、プッシュロッド43が比較的右側に位置し、プッシュロッド43によってシャフト68が右側に変位している状態を表している。
図7に示すように、プッシュロッド駆動機構87は、シリンダ90とピストン91とを備えている。ピストン91は、シリンダ90に対して、軸線AXの軸方向に摺動移動可能である。ピストン91は、長プッシュロッド43bに取り付けられている。このため、ピストン91が摺動移動することで、長プッシュロッド43bも軸線AXの軸方向に移動する。
ピストン91とシリンダ90との間には、作動室92が区画形成されている。この作動室92には、オイルが満たされている。自動二輪車1のライダーがクラッチレバー又はクラッチペダルを操作することで、この作動室92内の内圧が上昇する。これにより、ピストン91及び長プッシュロッド43bが右側に変位する。よって、図10に示すように、シャフト68と、そのシャフト68に取り付けられたプレッシャプレート77及び出力側リテーナー72も右側に変位する。その結果、ローラリテーナー69が右側に変位し、プレート群66の圧接状態が解除される。
ピストン91とクランクケース31との間には、圧縮コイルばね93が配置されている。ピストン91は、この圧縮コイルばね93によって、左側に付勢されている。つまり、プッシュロッド43が左側に変位してクラッチ2がつながる方向に付勢されている。これにより、自動二輪車1のライダーにより、クラッチレバーやクラッチペダルの操作が解除された際に、確実にプッシュロッド43が左側に移動する。
例えば、圧縮コイルばね93が設けられていない場合は、クラッチレバーやクラッチペダルの操作が解除されても、プッシュロッド43が依然として右側に位置する事態も考えられる。そのような事態において、例えば、エンジン4が停止しており、クラッチ2がつながっていない状態であれば、プッシュロッド43をそれ以上右側に移動させることができないため、自動二輪車1のライダーがクラッチレバー又はクラッチペダルを操作できない。従って、例えば、自動二輪車1がクラッチレバー又はクラッチペダルを操作した状態でなければエンジン4を始動させられないものである場合は、エンジン4の始動ができない。
それに対して、本実施形態に係る自動二輪車1では、上述のように圧縮コイルばね93が配置されているため、クラッチレバーやクラッチペダルの操作が解除されても、プッシュロッド43が依然として右側に位置する事態の発生が抑制される。よって、エンジン4の停止時において、自動二輪車1のライダーは、常にクラッチレバー又はクラッチペダルを操作することができる。
上述のように、本実施形態では、入力側プレッシャ部材としてのプレッシャプレート77は、出力側プレッシャ部材としてのローラリテーナー69がプレート群66を押圧する方向と同じ方向から、プレート群66を間接的に押圧している。
例えば、プレッシャプレート77とローラリテーナー69とがプレート群66を相互に逆方向から押圧する場合、ローラリテーナー69の軸線AXの軸方向に関する位置によって、クラッチ2が切断されるときのプレッシャプレート77の位置が異なる。具体的には、例えば、ローラリテーナー69が軸線AXの軸方向に関して、比較的右側に位置している場合は、プレッシャプレート77を比較的右側にまで変位させなければクラッチ2が切断されない。一方、例えば、ローラリテーナー69が軸線AXの軸方向に関して、比較的左側に位置している場合は、プレッシャプレート77をそれほど右側にまで変位させなくともクラッチ2が切断される。このため、プレッシャプレート77とローラリテーナー69とがプレート群66を相互に逆方向から押圧する場合、ローラリテーナー69の軸線AXの軸方向に関する位置によって、クラッチ2が切断されるときのプッシュロッド43の位置が異なる。
それに対して、本実施形態のように、プレッシャプレート77とローラリテーナー69とがプレート群66に対して同じ側に配置されている場合は、クラッチ2が切断されるときのプッシュロッド43の位置が一定となる。
(クラッチ2の動作)
次に、図1、図8〜10を参照して、クラッチ2の動作について説明する。尚、図8〜図10は、クラッチ2が軸線AXに対して回転対称であることに鑑み、クラッチ2の軸線AXよりも一方側の部分の断面のみを示している。
−クラッチ2がつながるとき−
図1に示すクラッチ2の軸線AXよりも上側部分は、エンジン4がアイドリング状態であり、クラッチ2がつながっていない状態を示している。一方、図1に示すクラッチ2の軸線AXよりも下側部分は、クランク軸32の回転速度が速くなり、クラッチ2がつながった直後の状態を示している。
エンジン4が始動され、アイドリング状態であるときは、クランク軸32と共にクラッチハウジング46が回転している。但し、クラッチハウジング46の回転速度は比較的遅い。このため、入力側ローラウエイト41に作用する遠心力は比較的小さい。従って、入力側ローラウエイト41は、比較的内側に位置している。よって、プレッシャプレート77、シャフト68及び出力側リテーナー72は、入力側オフスプリング79の付勢力によって、比較的右側に位置している。また、アイドリング状態では、メイン軸33は回転していないか、又は比較的低回転速度である。よって、出力側ローラウエイト42に作用する遠心力は比較的小さい。従って、出力側ローラウエイト42は、比較的内側に位置している。よって、ローラリテーナー69は、出力側オフスプリング71の付勢力によって、比較的右側に位置している。その結果、ローラリテーナー69とクラッチハウジング46の底部46aとの間の距離は比較的広く、プレート群66は、非圧接状態にある。よって、クラッチハウジング46の回転は、クラッチボス48には伝達されない。
クランク軸32の回転速度が比較的速くなると、それと共に、クラッチハウジング46の回転速度も比較的速くなる。クラッチハウジング46の回転速度が速くなるにつれ、入力側ローラウエイト41に作用する遠心力が大きくなる。その結果、入力側ローラウエイト41が外側に移動する。よって、入力側ローラウエイト41により、プレッシャプレート77が左側に押圧される。これにより、プレッシャプレート77、シャフト68及び出力側リテーナー72が、入力側オフスプリング79の付勢力に抗して、左側に移動する。その結果、出力側ローラウエイト42を介してローラリテーナー69も、出力側オフスプリング71の付勢力に抗して、左側に移動する。つまり、ローラリテーナー69も、プレート群66側に移動する。これにより、プレート群66が圧接状態となり、クラッチ2がつながる。そのときの態様が図1の軸線AXよりも下側部分に表されている。
クラッチ2がつながると、クラッチハウジング46の回転がプレート群66を介してクラッチボス48に伝達される。これにより、クラッチボス48は、クラッチハウジング46と共に回転する。クラッチボス48が回転し始めると、それに伴い、出力側ローラウエイト42が旋回する。よって、出力側ローラウエイト42に作用する遠心力が大きくなる。その結果、出力側ローラウエイト42が遠心方向の外側に移動する。図8は、そのときの状態を表している。
図1の軸線AXよりも下側部分に示すように、クラッチ2は、入力側ローラウエイト41のみが遠心方向の外側に移動したときに、クラッチ2がつながるように構成されている。つまり、クラッチ2は、入力側ローラウエイト41のみが遠心方向の外側に移動したときに、プレート群66が圧接状態となるように構成されている。よって、入力側ローラウエイト41のみが遠心方向の外側に移動した状態からは、ローラリテーナー69は、それ以上左側には実質的に変位することができない。従って、その状態から、さらに出力側ローラウエイト42が遠心方向の外側に移動してもローラリテーナー69は、プレート群66寄りに実質的に変位できないため、その分、図8に示すように、スプリング74と皿バネ83とが変形する。よって、本実施形態に係るクラッチ2では、皿バネ83の弾性力によってクラッチ2の容量が決められている。
−クラッチ2の切断時−
次に、クラッチ2が切断されるときについて説明する。図8に示すクラッチ2がつながった状態において、クランク軸32の回転速度が遅くなると、入力側ローラウエイト41及び出力側ローラウエイト42に作用する遠心力が小さくなる。ここで、本実施形態では、上述のように、出力側ローラウエイト42が遠心方向に移動を開始するクラッチボス48の回転速度が、入力側ローラウエイト41の同回転速度よりも低く設定されている。つまり、クラッチハウジング46とクラッチボス48とが一体として回転しているときは、回転速度が低くなると、まず入力側ローラウエイト41が遠心方向の内側に移動する。但し、出力側ローラウエイト42は、直ちには遠心方向の内側に移動しない。このため、クランク軸32の回転速度が低くなっても、直ちにクラッチ2が切断されるわけではない。クラッチ2がつながっているため、エンジンブレーキが作用する。これにより、メイン軸33の回転が徐々に遅くなる。それに伴って、出力側ローラウエイト42に作用する遠心力が徐々に小さくなる。そして、メイン軸33の回転速度が所定の回転速度以下になると、出力側ローラウエイト42も遠心方向の内側に移動する。その結果、ローラリテーナー69が右側に移動し、クラッチ2が切断される。
つまり、本実施形態に係るクラッチ2では、クランク軸32の回転速度がたとえ低くなったとしても、メイン軸33の回転速度が比較的高いときには、クラッチ2の接続状態が維持される。クラッチハウジング46の回転速度が、入力側ローラウエイト41が遠心方向の内側に移動する回転速度にまで低下したとしても、クラッチ2は、クラッチハウジング46とクラッチボス48の回転速度が、出力側ローラウエイト42が遠心方向の内側に移動する回転速度にまで低下するまでつながった状態にある。
具体的に、
入力側ローラウエイト41が遠心方向の内側に移動する回転速度:r
出力側ローラウエイト42が遠心方向の内側に移動する回転速度:r
とすると、本実施形態では、
>r ・・・・・(1)
となる。
例えば、出力側ローラウエイト42が設けられておらず、プレッシャプレート77が直接プレート群66を押圧する場合は、クラッチ2は、クラッチハウジング46の回転速度がrにまで低下したときに切断される。
それに対して、出力側ローラウエイト42が設けられた本実施形態では、クラッチ2は、クラッチハウジング46の回転速度がrよりも低いrになるまで切断されない。つまり、比較的クラッチハウジング46の回転速度が低くなるまでクラッチ2の接続状態が維持される。その結果、比較的低いエンジン回転数領域においてもエンジンブレーキを働かせることができる。
また、例えば、エンジン4がアイドリング状態にあり、クランク軸32の回転速度が比較的低いにも関わらず、メイン軸33の回転速度が比較的高くなると、図9に示すように、出力側ローラウエイト42のみが遠心方向の外側に移動する。これにより、ローラリテーナー69が左側に押圧されてプレート群66が圧接される。その結果、図9に示すように、クラッチ2が接続される。クラッチ2がつながると、クラッチボス48と共にクラッチハウジング46も回転する。クラッチハウジング46の回転はクランク軸32に伝達し、エンジンブレーキが作用する。これにより、クラッチ2及びメイン軸33の回転速度が低減される。そして、メイン軸33及びクラッチ2の回転速度が上記回転速度rを下回るとクラッチ2は切断される。
このように、本実施形態では、クランク軸32の回転速度が比較的遅くても、メイン軸33の回転速度が比較的高い場合は、クラッチ2がつながる。その結果、メイン軸33の回転速度が遅くなるまでエンジンブレーキを働かせることができる。
尚、この作用は、出力側ローラウエイト42が遠心方向の内側に移動する回転速度が、入力側ローラウエイト41の同回転速度よりも高い場合においても得られるものである。
《変形例1》
以下、上記実施形態の変形例について、図11〜図17を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の変形例1〜4の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を上記実施形態と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
上記実施形態では、出力側リテーナー72を、スプリング74を用いて構成する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、図11に示すように、スプリング74を有する出力側リテーナー72に替えて、付勢部材を有さないプレート101を配置してもよい。
図11に示す例では、出力側リテーナー72の半径方向の外側部分は、軸線AXから半径方向の遠ざかるに従って左側に延びるように形成されている。これにより、軸線AXから半径方向の遠ざかるに従って左側に延びるカム面102が形成されている。その結果、軸線AXから半径方向の遠ざかるに従って、軸線AX方向の幅が狭くなる空間70が形成されている。
《変形例2》
図12は、本変形例2に係るクラッチの断面図である。本実施形態では、プレッシャプレート77に替えて、ローラリテーナー110が配置されている。ローラリテーナー110の中央部は、ベアリング75の外輪75bに固定されている。これにより、ローラリテーナー110は、シャフト68及びメイン軸33に対して回転自在となっている。
(ローラリテーナー110)
図15に示すように、ローラリテーナー110の外周部分には、半径方向の外側に向かって突出する突出部116が形成されている。この突出部116がクラッチハウジング46のアーム46dと係合することで、ローラリテーナー110は、クラッチハウジング46に対して回転止めされている。よって、ローラリテーナー110は、クラッチハウジング46と共に回転する。
ローラリテーナー110の半径方向の外側部分には、複数のガイド部115が形成されている。複数のガイド部115には、第1のガイド部115aと、第2のガイド部111bと、第3のガイド部115cとが含まれる。第1のガイド部115a、第2のガイド部115b及び第3のガイド部115cは、ガイド部対115dを構成している。本変形例2では、このガイド部対115dが、周方向に計6つ配列されている。つまり、計18のガイド部115が形成されている。
第2のガイド部115bの延びる方向Xは、半径方向と略同一である。一方、第1のガイド部115aの延びる方向Xと、第3のガイド部115cの延びる方向Xとは、半径方向と若干異なっている。このように第1〜第3のガイド部115a〜115cを配置することによって、第1のガイド部115aの半径方向外側部分と第2のガイド部115bの半径方向外側部分との間の間隔が比較的狭く設定されている。第3のガイド部115cの半径方向外側部分と第2のガイド部115bの半径方向外側部分との間の間隔が比較的狭く設定されている。その結果、ガイド部対115dの半径方向の外側部分の周方向の幅が比較的狭くなっている。よって、隣接するガイド部対115d相互間に、半径方向外側の幅が比較的広いリブ118を形成するためのスペースを確保するのが容易となっている。比較的幅広に形成されたリブ118の半径方向外側部分には、ねじ孔119が形成されている。
各リブ118は、半径方向の比較的内側に位置し、中心Cから放射状に延びるリブ117と連続するように形成されている。これにより、中心Cからローラリテーナー110の外周部分にまで延びる複数のリブが形成される。従って、ローラリテーナー110の剛性が向上されている。尚、各リブ118には、ねじ孔119が形成されている。
各ガイド部115には、カム面111が形成されている。具体的に、カム面111は、ガイド部115の延びる方向に延びている。カム面111は、半径方向において、ガイド部115の途中部から外側端部にまで延びている。カム面111は、ローラウエイト41の回転可能な中央部分に当接する。カム面111は、ガイド部115の表面よりも突出して設けられている。
(プレート112)
図12に示すように、本変形例2では、ローラリテーナー110に対向する平面視リング状のプレート112が配置されている。図12に示すように、プレート112は、側面視平板状である。図14に示すように、プレート112の外周部には、半径方向の外側に向かって突出する突出部112cが形成されている。この突出部112cがクラッチハウジング46のアーム46dと係合することで、プレート112は、クラッチハウジング46に対して回転止めされている。よって、プレート112は、クラッチハウジング46と共に回転する。一方、軸線AXの軸方向に関しては、プレート112は変位可能となっている。
図12及び図14に示すように、プレート112の半径方向の内側部分には、突起部112bが形成されている。また、プレート112の半径方向のほぼ中央部分には、周方向に配列された複数の貫通孔112aが形成されている。
(皿バネ113)
図12に示すように、本変形例2においても、上記実施形態と同様に、皿バネ113の半径方向の外側端部は、スプリングストッパー84とサークリップ85とによって、軸線AXの軸方向に関して、クラッチハウジング46に固定されている。
図13に示すように、皿バネ113の半径方向の内側端部には、半径方向の内側に向かって突出する複数の突起部113bが形成されている。この突起部113bが、図14に示すプレート112の凹部112dに係合している。これにより、周方向に関して、皿バネ113とプレート112とは固定されている。また、皿バネ113の半径方向のほぼ中央部分には、周方向に配列された複数の貫通孔113aが形成されている。
(ローラリテーナー110などの組み付け作業)
本変形例2に係るクラッチを組み立てる際には、皿バネ113の貫通孔113aと、プレート112の貫通孔112aとにビスを通し、そのビスをローラリテーナー110のねじ孔119に対して締め付けることによって、ローラリテーナー110、入力側ローラウエイト41、プレート112及び皿バネ113を一体化する。それと共に、ローラリテーナー110、入力側ローラウエイト41、プレート112及び皿バネ113の軸線AXの軸方向の幅を狭くする。そうした状態で、一体化したローラリテーナー110、入力側ローラウエイト41、プレート112及び皿バネ113をクラッチハウジング46に組み込む。その後、スプリングストッパー84とサークリップ85とを取り付ける。この際、ローラリテーナー110、入力側ローラウエイト41、プレート112及び皿バネ113の軸線AXの軸方向の幅が狭く保たれているため、比較的容易にスプリングストッパー84とサークリップ85とを取り付けることができる。スプリングストッパー84とサークリップ85とを取り付けた後に、ねじ孔119に対して締め付けられたビスを取り除き、本変形例2に係るクラッチを組み上げることができる。
《変形例3》
上記実施形態では、クラッチレリーズ機構86を有するクラッチ2を例に挙げて説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。つまり、本発明に係るクラッチは、図16に示すように、クラッチレリーズ機構86を有さないものであってもよい。
《変形例4》
上記実施形態では、プレッシャプレート77とローラリテーナー69とがプレート群66に対して同じ側にある場合について説明した。言い換えれば、2種のローラウエイト41、42がプレート群66に対して同じ側にある場合について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。図17に示すように、プレート群66に対して、プレッシャプレート77とローラリテーナー69とを相互に反対側に配置してもよい。言い換えれば、2種のローラウエイト41、42を相互に反対側に配置してもよい。
これによれば、入力側ローラウエイト41と出力側ローラウエイト42との位置的な干渉を抑制することができる。よって、入力側ローラウエイト41と出力側ローラウエイト42との両方を比較的軸線AXから比較的離れた位置に配置することができる。従って、クラッチ2の軸線AXの軸方向の大きさを大きくすることなく、両ローラウエイト41、42に比較的大きな遠心力を発生させることができる。
尚、図17は、プレッシャプレート77、ローラリテーナー69及び2種のローラウエイト41、42と、プレート群66との位置関係を説明するための概略概念図である。図17において、本変形例4に係るクラッチの具体的形態は描画を省略している。
《その他の変形例》
上記実施形態では、本発明を実施した車両の例として、図1に示す所謂狭義のモーターサイクルである自動二輪車1を挙げて説明した。しかし、本発明に係る車両は、これに限定されるものではない。本発明に係る車両は、例えば、オフロードタイプの自動二輪車、スクーター又はモペット、若しくはATV:All Terrain Vehicle等の鞍乗型車両であってもよい。又、本発明に係る車両は、四輪車等の鞍乗型車両以外の車両であってもよい。
上記実施形態では、エンジン4を備えた車両を例に挙げて、本発明を実施した好ましい形態例について説明した。但し、本発明に係る車両は、エンジンを備えたものでなくてもよい。例えば、本発明に係る車両は、どのような駆動源を備えていてもよい。例えば、本発明に係る車両は、電動モータ等を駆動源として備えるものであってもよい。
また、上記実施形態では、水冷式4サイクル並列4気筒型のエンジン4を用いた例について説明したが、本発明において、エンジンの種類は特に限定されない。
本発明において、パワーユニット3からの動力を後輪19に伝達する駆動力伝達機構は、チェーン25に限定されない、駆動力伝達機構は、例えば、ドライブシャフト、ベルトなどであってもよい。
上記実施形態では、クラッチハウジング46が入力側クラッチ部材44を構成し、クラッチボス48が出力側クラッチ部材47を構成する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、クラッチハウジング46が出力側クラッチ部材47を構成し、クラッチボス48が入力側クラッチ部材44を構成するようにしてもよい。
自動二輪車1のライダーが、図示しないクラッチレバー又はクラッチペダルを操作することによって、オイルポンプなどの駆動機構が操作され、オイルポンプにより生じた力がクラッチレリーズ機構86に付与され、プレート群66の圧接状態が強制的に解除されるようにしてもよい。
《本明細書における用語等の定義》
「自動二輪車」とは、所謂狭義のモーターサイクルのみではなく、オフロード車、スクーター及びモペットなどを含む広義の自動二輪車をいう。
本発明は、自動二輪車などの車両に有用である。
本発明を実施したクラッチの断面図である。 図1に示すクラッチを用いたパワーユニットの概略構成図である。 図2に示すパワーユニットを用いた自動二輪車の左側面図である。 クラッチハウジングの上方斜め上から視た斜視図である。 スプリングストッパーの平面図である。 サークリップの平面図である。 プッシュロッド駆動機構を表す断面図である。 クラッチがつながっており、メイン軸も比較的高速で回転している状態のクラッチの断面図である。 クランク軸の回転速度が比較的低い状態で、メイン軸の回転速度が比較的高くなった瞬間のクラッチの断面図である。 クラッチレリーズ機構によってクラッチが強制的に切断された状態を表す断面図である。 変形例1に係る遠心クラッチの断面図である。 変形例2に係る遠心クラッチの断面図である。 変形例2における皿バネの平面図である。 変形例2におけるプレートの平面図である。 変形例2におけるローラリテーナーの平面図である。 変形例3に係る遠心クラッチの断面図である。 変形例4に係る遠心クラッチの概略断面図である。
符号の説明
1 自動二輪車(車両)
2 クラッチ
40a 入力側押圧体
40b 出力側押圧体
41 入力側ローラウエイト(入力側ウエイト)
42 出力側ローラウエイト(出力側ウエイト)
44 入力側クラッチ部材
46 クラッチハウジング
47 出力側クラッチ部材
48 クラッチボス
64 フリクションプレート
65 クラッチプレート
66 プレート群
69 ローラリテーナー
70 空間
71 出力側オフスプリング
72 出力側リテーナー
77 プレッシャプレート
78 ローラリテーナー
79 入力側オフスプリング
82 空間
86 クラッチレリーズ機構
AX 軸線

Claims (14)

  1. 軸線を中心として回転する入力側クラッチ部材と、
    前記軸線を中心として回転する出力側クラッチ部材と、
    前記入力側クラッチ部材と共に回転する入力側クラッチ板と、前記入力側クラッチ板に対して前記軸線の軸方向に変位可能に対向しており、前記出力側クラッチ部材と共に回転する出力側クラッチ板と、を有するプレート群と、
    前記入力側クラッチ部材と共に回転する一方、前記軸線の軸方向に変位可能であり、前記軸線の軸方向に関して前記プレート群側に変位することで、直接又は間接的に前記プレート群を押圧して前記プレート群を圧接させる入力側プレッシャ部材と、
    前記入力側プレッシャ部材の前記プレート群側とは反対側の面と対向し、前記入力側プレッシャ部材と共に、前記軸線から遠ざかるに従って幅狭となる空間を形成しており、前記入力側クラッチ部材に対して、前記軸線の軸方向に固定、若しくは、前記プレート群側に付勢された入力側リテーナーと、
    前記入力側プレッシャ部材と、前記入力側リテーナーとの間の空間に配置され、前記入力側クラッチ部材の回転に伴って前記軸線周りを旋回し、前記旋回時に生じる遠心力によって、前記入力側プレッシャ部材を前記プレート群側に押圧しながら、前記軸線から遠ざかる方向に移動する入力側押圧体と、
    前記出力側クラッチ部材と共に回転する一方、前記軸線の軸方向に変位可能であり、前記軸線の軸方向に関して前記プレート群側に変位することで、直接又は間接的に前記プレート群を押圧して前記プレート群を圧接させる出力側プレッシャ部材と、
    前記出力側プレッシャ部材の前記プレート群側とは反対側の面と対向し、前記出力側プレッシャ部材と共に、前記軸線から遠ざかるに従って幅狭となる空間を形成しており、前記出力側クラッチ部材に対して、前記軸線の軸方向に固定、若しくは、前記プレート群側に付勢された出力側リテーナーと、
    前記出力側プレッシャ部材と、前記出力側リテーナーとの間の空間に配置され、前記出力側クラッチ部材の回転に伴って前記軸線周りを旋回し、前記旋回時に生じる遠心力によって、前記出力側プレッシャ部材を前記プレート群側に押圧しながら、前記軸線から遠ざかる方向に移動する出力側押圧体と、
    を備えたクラッチ。
  2. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記出力側押圧体が遠心方向に移動を開始する前記出力側クラッチ部材の回転速度は、前記入力側押圧体が遠心方向に移動を開始する前記入力側クラッチ部材の回転速度よりも低いクラッチ。
  3. 請求項1又は2に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側クラッチ部材と前記入力側プレッシャ部材との間に配置され、前記入力側プレッシャ部材を前記プレート群から離れる方向に付勢する入力側付勢部材と、
    前記出力側クラッチ部材と前記出力側プレッシャ部材との間に配置され、前記出力側プレッシャ部材を前記プレート群から離れる方向に付勢する出力側付勢部材と、
    をさらに備え、
    前記出力側付勢部材の付勢力は、前記入力側付勢部材の付勢力よりも弱いクラッチ。
  4. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側クラッチ部材は、クラッチハウジングを構成しており、
    前記出力側クラッチ部材は、前記クラッチハウジング内に配置されたクラッチボスを構成しているクラッチ。
  5. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    外部から加えられる力により、強制的に前記プレート群の圧接状態を解除する圧接解除機構をさらに備えたクラッチ。
  6. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側プレッシャ部材と前記出力側プレッシャ部材とは、前記プレート群を相互に同一方向から押圧するクラッチ。
  7. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記出力側プレッシャ部材と前記出力側リテーナーと前記出力側押圧体とは、前記プレート群の一方側に配置されており、
    前記入力側プレッシャ部材と入力側リテーナーと入力側押圧体とは、前記出力側プレッシャ部材と前記出力側リテーナーと前記出力側押圧体とよりもさらに一方側に配置されているクラッチ。
  8. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側プレッシャ部材と前記出力側プレッシャ部材とは、前記軸線の軸方向において、前記プレート群を相互に逆方向から押圧するクラッチ。
  9. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側プレッシャ部材は、前記出力側リテーナーを直接又は間接的に押圧して前記出力側リテーナーを前記プレート群側に付勢することで前記プレート群を間接的に押圧するクラッチ。
  10. 請求項1に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側押圧体は、前記軸線の軸方向に関して、前記出力側押圧体よりも前記プレート群から離れたところにあり、且つ前記軸線に垂直な方向に関して、前記出力側押圧体よりも前記軸線から離れて位置しているクラッチ。
  11. 請求項3に記載されたクラッチにおいて、
    外部から加えられる力により、強制的に前記プレート群の圧接状態を解除する圧接解除機構をさらに備えたクラッチ。
  12. 請求項11に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側プレッシャ部材と前記出力側プレッシャ部材とは、前記プレート群を相互に同一方向から押圧するクラッチ。
  13. 請求項12に記載されたクラッチにおいて、
    前記入力側プレッシャ部材は、前記出力側リテーナーを直接又は間接的に押圧して前記出力側リテーナーを前記プレート群側に付勢することで前記プレート群を間接的に押圧するクラッチ。
  14. 請求項1に記載されたクラッチを備えた車両。
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