JP2009196981A - 血中アディポネクチン量増加剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サラシア属植物、例えばサラシア属植物が、サラシアオブロンガ(Salacia oblonga)、サラシアレチキュラータ(S. reticulata)、サラシアプリノイデス(S.prinoides)の粉砕物または抽出物を含有することを特徴とする血中アディポネクチン量増加剤、それを含むメタボリックシンドロームの予防または改善剤、食品、または医薬品。
【選択図】なし
Description
アディポネクチン濃度を上昇させる医薬品については既に知られているものがあるが、いずれも安全性や副作用の問題があり、簡単に用いられるものではない。
従って、メタボリックシンドロームの対策が社会問題化している現在、アディポネクチンの体内産生を促進、増強する作用を持つ安全な物質の開発が求められていた。
本発明は、下記構成よりなる。
<1>
サラシア属植物の粉砕物または抽出物を含有することを特徴とする血中アディポネクチン量増加剤。
<2>
サラシア属植物が、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・レチキュラータ(S. reticulata)、サラシア・プリノイデス(S.prinoides)から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする上記<1>に記載の血中アディポネクチン量増加剤。
<3>スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が50μg/ml以上1000μg/ml以下であることを特徴とする、上記<1>または<2>に記載の血中アディポネクチン量増加剤。
<4>
上記<1>〜<3>のいずれかに記載の血中アディポネクチン量増加剤を含有することを特徴とするメタボリックシンドロームの予防または改善剤。
<5>
上記<1>〜<3>のいずれかに記載の血中アディポネクチン量増加剤を含有する食品、または医薬品。
本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、サラシア属植物の粉砕物または抽出物を含有する。
サラシア属植物としては、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・プリノイデス(S. prinoides)、サラシア・オブロンガ(S.oblonga)等、ニシキギ科サラシア属の植物を用いることができる。特に、コタラヒムブツともよばれるサラシア・レティキュラータ(S.reticulata)を好適に利用することができる。
葉は粉砕して細片もしくは粉末として用いることが好ましい。さらにそのまま服用することもできる。
根皮および幹は、粉末として用いることができる。また、エキスの抽出に用いることもできる。ここでいうエキスとはサラシア属植物の抽出物のことをいう。エキス抽出に用いる際はそのまま使用してもよいし、粉砕して細片もしくは粉末としてからエキスを抽出することもできる。
前記抽出物の乾燥エキス末は、使用時において、そのまま、あるいは適当な溶媒に溶解して使用することができる。前記溶媒は、抽出時に用いることができる溶媒であって、調製後の薬剤または食品中に残留した場合に人体に悪影響を及ぼさないものであればよく、通常、好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
根皮および幹の粉砕粉末及び粉末抽出したエキス末は、日本薬局方記載の乾燥減量試験法にて、乾燥減量10%以下であることが好ましく、乾燥減量8%以下であることがより好ましい。
本発明のサラシア属植物の粉砕物または抽出物は、錠剤または固形の食品の場合、血中アディポネクチン量増加剤の全量に対し、10〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量%であり、液剤または飲料の場合、血中アディポネクチン量増加剤の全量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。
特に、飲用物は容器詰飲料とする。容器詰飲料の外観は長時間にわたって保存すると色調の変化が大きく、商品としては不適切なものとなる。飲料は徐々に着色が進み、時間が経つにつれて、色調が変化する。
色調の保持のために、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸ナトリウムのような酸化防止剤を添加することで、より一層の効果を発揮することができる。酸化防止剤の配合量は、内容組成物の0.03〜1.2質量%程度、好ましくは0.04〜1.0質量%程度、より好ましくは0.05〜0.8質量%程度である。
本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、サラシア属植物の抽出物または粉砕物に加えて、フラボノイドを含有することが好ましい。
フラボノイドは、植物の全器官に存在する色素成分の総称であり、主に果実や野菜に含まれ、特に、緑葉や白色野菜、柑橘類の皮の中に配糖体の形で存在する。
本発明において、フラボノイドとは、植物に広く含まれる色素成分の総称で、特に、野菜や果実に多く含まれるフラバン誘導体を意味する。
フラボノイドは体内に摂取される物質であるが、一般に吸収しにくい。しかしながら、フラボノイドは少量でも有効であり、強力な抗酸化物質であるため、発ガン物質の活性を抑制したり、血行促進作用や抗血栓作用があることが知られている。
カテキン類を含む茶抽出物は、ツバキ科の常緑樹である茶の木より作製する。茶の木は、インドやスリランカ、東南アジアで栽培されているアッサミカと中国や日本で栽培されているカメリア・シネンシスのどちらも用いられる。抽出には、通常、好ましくは水、アルコール、含水アルコールを用いる。より好ましくは、抽出溶媒として熱水もしくはエタノールあるいは含水エタノールを用いる。前記含水アルコールのアルコール濃度は、30〜90質量%、好ましくは40〜70質量%の濃度のものを使用すればよい。乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限られるものではない。
本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、該茶抽出物を、0.1〜40質量%含有することが好ましく、0.5〜35質量%含有することが更に好ましく、1.0〜30質量%含有することが特に好ましい。
本発明は、該フラボノール類を成分として含む、ブドウエキスまたはブドウ酒濃縮物を含有することが好ましい。
本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、ブドウ抽出物を、0.1〜30質量%含有することが好ましく、0.1〜10質量%を含有することが更に好ましい。
また、本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノール類を2〜80質量%含有することが好ましい。リパーゼ活性阻害効果を有するポリフェノールとしては、烏龍茶由来のもの、ブドウ由来のもの、リンゴ由来のもの、ライチ由来のもの、松樹皮由来のもの、カンカ由来のもの等が特に好ましい。
本発明の血中アディポネクチン量増加剤は、食品としても医薬品としても用いることができる。また、本発明の腸内有害菌の低減剤は、粉末製剤、錠剤、液剤、カプセル製剤等の各種の形態をとることができる。
本発明ではサラシア属植物の抽出エキス末の経時による変色を改善するため、乾燥剤として炭酸カルシウムまたは二酸化ケイ素を錠剤またはカプセル剤にした際の質量の1%以上の量を含有することが好ましい。
更に食品あるいは食品添加物として利用可能な低吸湿原料、吸湿剤、酸化防止剤等を用いることができる。好ましくは低吸湿性原料としてセルロース、結晶セルロース、粉末セルロース、微結晶セルロース、乳糖、オリゴ糖、糖アルコール、トレハロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが用いられる。吸湿剤としてはケイ酸塩類、炭酸マグネシウム、フェロシアン化物、多糖類などが用いられる。より好ましくは低吸湿性原料として結晶セルロース、微結晶セルロース、乳糖が用いられる。酸化防止剤としては、アスコルビン酸若しくはアスコルビン酸ナトリウム等が用いられる。
本発明において、粉末製剤、錠剤または液剤とするための製剤化、カプセル製剤とするためのカプセル内包物の顆粒化、カプセル化、カプセル素材等は公知手段や公知素材が適用できる。
本発明のカプセル製剤は、硬カプセル、軟カプセル、シームレスカプセルマイクロカプセルなどの形態であってもよく、カプセル皮膜が、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーから選択される少なくとも一種又は二種以上によって構成されていることを特徴とする。豚皮ゼラチン、魚ゼラチンのカプセル被膜が特に好ましい。
これらのカプセル皮膜は周知慣用の方法で製造することができる。ここで、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーで構成されているとは、カプセル皮膜全体質量に対して、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチン又は天然親水性ポリマーの総量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上であるものを意味する。
また、上記組成物は酸化防止の観点で空気との接触を避けるために包装袋または包装容器に充填することが好ましい。
スクラーゼ50%阻害濃度(IC50値)は以下の方法で測定する。
サンプル溶液の準備:チューブに2mgのサンプルを量り取り、水2mLを加えてよく懸濁し、1mg/mL濃度のサンプル溶液を作成する。これをそれぞれ0、50、100、250、500μg/mLとなるように水で希釈する。
血中アディポネクチン量増加剤は、1日1〜6回、好ましくは1日3回に分けて摂取することが好ましい。
摂取は食前または食後に行われることが好ましく、好ましくは食事の1時間前〜食後2時間以内、より好ましくは食事の30分前〜食後1時間以内に摂取される。
サラシア・レチキュラータとサラシア・オブロンガの根及び幹の部分を粉砕後、95℃の熱水抽出工程を経て得られた液をスプレー乾燥し、サラシアエキス末1を得た。
また、サラシア・プリノイデスの根及び幹の部分を粉砕後、40℃のエタノール水(エタノール30体積%)による抽出工程を経て得られた液にデキストリンを加えスプレー乾燥し、サラシアエキス末2(デキストリン含有率30重量%)を得た。
このサラシアエキス末を用いて表1の試料1〜8の配合をした粉末を作成し、[実験法1]記載の方法でスクラーゼIC50値を測定した。
これらを用いて以下の表1に示す配合成分を打錠し、試料1〜8を作成した。
摂取開始前と摂取60日後及び摂取終了日の翌日に血液を採取し、血中のアディポネクチン量を測定して比較した。血中のアディポネクチンは、リコンビナントヒトアディポネクチンを用いて作製した抗体による酵素免疫測定法(大塚製薬株式会社製キットを使用)にて測定した。
この効果は、スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が50μg/ml以上1000μg/ml以下の試料でより顕著であった。
また、アディポネクチンがメタボリックシンドロームを予防することは公知であることから、本発明の試料がメタボリックシンドロームの予防及び改善効果を有することが明らかとなった。
表3に示す配合により、錠剤を作成しシェラックコーティングを施したサプリメントを作成した。本例におけるスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)は210μg/mlであった。
錠剤は1錠あたり250mgで、一日3回毎食前服用とした。
更に摂取被験者より、おなかまわりがすっきりした、身体が軽くなった、二日酔いしにくくなったなどの報告を得た。
表4に示す配合による飲料を調製した。本例におけるスクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)は900μg/mlであった。
この配合の飲料摂取でも実施例1で示された効果が得られた。更に、摂取被験者より、おなかまわりがすっきりした、身体が軽くなった、二日酔いしにくくなったなどの報告を得た。
Claims (5)
- サラシア属植物の粉砕物または抽出物を含有することを特徴とする血中アディポネクチン量増加剤。
- サラシア属植物が、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・レチキュラータ(S. reticulata)、サラシア・プリノイデス(S.prinoides)から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の血中アディポネクチン量増加剤。
- スクラーゼの50%阻害濃度(IC50値)が50μg/ml以上1000μg/ml以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の血中アディポネクチン量増加剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の血中アディポネクチン量増加剤を含有することを特徴とするメタボリックシンドロームの予防または改善剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の血中アディポネクチン量増加剤を含有する食品、または医薬品。
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