JP2008255083A - 肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 グリコーゲン以外の他物質からの糖新生を抑制する効果を有する肝臓内糖新生抑制剤およびそれを含有する食品または食品配合剤を提供する。
【解決手段】 サラシア系植物より抽出して得られる抽出物を主成分として含有し、肝臓内での糖新生がグルカゴンなどのホルモンによって過剰に行われる場合にのみにおいて、糖新生を抑制するホルモンの分泌や糖新生を抑制するホルモンの感受性を向上する。
【解決手段】 サラシア系植物より抽出して得られる抽出物を主成分として含有し、肝臓内での糖新生がグルカゴンなどのホルモンによって過剰に行われる場合にのみにおいて、糖新生を抑制するホルモンの分泌や糖新生を抑制するホルモンの感受性を向上する。
Description
本発明は、肝臓内での過度の糖新生を抑制する肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品又は食品配合剤に関するものである。
食事において摂取した炭水化物(多糖類)は、胃や腸内で順次、消化されてグルコース(単糖類)として体内に吸収され、血液中に移行して脳や筋肉などの体内の各部に供給されて、各部での消費に充分に対応するようになされており、過剰なグルコースは体に悪影響を及ぼすので、肝臓や筋肉中でグリコーゲンに変換されて貯蔵され、必要に応じてグリコーゲンからグルコースに徐々に変換されて、血液中のグルコース(血糖値)は一定に保持されている。しかし、グリコーゲンの貯蔵量は、運動の継続により向上するが、普通では、約半日分の基礎代謝量と言われており、限度があるので、グリコーゲン以外の他物質からの糖新生が必要となされており、スポーツマンが過剰の体脂肪がない状態を維持することができ、しかも長時間にわたる運動が継続できるのは糖新生によるものであり、メタボリックシンドロームの対策として今後の研究に重要な事項である。肥満症になると、脂肪組織や筋肉などでのグルコースの取り入れが減少して、インシュリン抵抗性が増加し、高血糖になると言われている。
一方、飽食による血糖値の過剰な上昇に起因する糖尿病は、世界中においてこれに対処するさまざまな療法が知られており、例えばスリランカ民主社会主義共和国の特産のつる性植物サラシアレティキュラータを煎じた抽出液の使用が知られているが、その作用については、消化酵素のα−グルコーダーゼ阻害作用が通説であり、そのほかに肝臓内での糖新生抑制説も提案されている。
すなわち、国際公開2005−30236号では、上記の抽出液が肝臓内での糖新生が行われる際の律速段階において機能する律速酵素の遺伝子発現を抑制するとの提案がなされているが、この提案では、サラシアレティキュラータの抽出液が上記律速酵素に直接的に、非可逆的に作用して、糖新生を常に抑制するので、糖新生を必要とする場合においても抑制するように誤解される恐れがある。
上記の研究においては、過度に血糖値の高い肥満症の特殊マウスを使用したものであるので、人間の糖尿病患者やその予備軍の程度の血糖値の場合においては、普通の生活や運動中において糖新生を必要とするときには、糖新生は抑制されるものではないことを示すことを目的とするものである。さらに、本発明は、グリコーゲン以外の他物質からの糖新生を抑制する効果を有する肝臓内糖新生抑制剤およびそれを含有する食品または食品配合剤を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するものであって、サラシア系植物より抽出して得られる抽出物を主成分として含有し、肝臓内での糖新生がグルカゴンやアドレナリンなどのホルモンによって過剰に行われる場合にのみにおいて、糖新生を抑制するホルモンの分泌やホルモンの抵抗性を改善することを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤であり、請求項1に記載の肝臓内糖新生抑制剤を食品または食品配合剤に含有させることが望ましい。
本発明のサラシア系植物に由来する組成物またはそれを含有する食品または食品配合剤により、肝臓内での糖新生がグルカゴンやアドレナリンなどのホルモンによって過剰に行われる場合のみにおいて、糖新生を抑制するホルモンの分泌やホルモンの抵抗性を改善することができることが判明した。
サラシアレティキュラータなどのサラシア系植物からの抽出物を飲用した後、長時間にわたるジョギングを継続しても、血糖値がほとんど低下することなく、必要に応じて上昇して、高度の運動が可能であることが判明し、人間の健常者や糖尿病予備軍のみならず糖尿病患者までの過度でない高血糖の場合にあっては、糖新生は抑制されないことが判明した。
このことから、サラシア系植物からの抽出物は、糖新生の律速酵素に直接的に、非可逆的に作用して、糖新生を必ず抑制するのではなく、インシュリン、アディポネクチンなどのホルモンの分泌を増加したり、インシュリン抵抗性を減少させるものと思料される。
サラシア系植物からの抽出物は、多数の成分を含有しているので、インシュリン抵抗性改善薬のチアゾリジン誘導体やビグアナイト系薬剤の良好な作用と同様の作用もするものと考えられ、脂肪細胞の分化を促進(小型脂肪細胞へ置換)し、脂肪細胞から分泌されるレプチンやアディポネクチンというホルモンを増加させ、肝臓や筋肉でのAMPキナーゼを活性化し、脂肪酸のβ酸化を促進し、中性脂肪含量を低下させ、インスリン感受性を向上させる一方、肝臓での糖新生を抑制し、肝臓や筋肉へのグルコースの取り込みを増加させるものと予測される。このAMPキナーゼの活性化に基づく糖新生の抑制には、フルクトース−1,6−ビスフォスフォターゼを直接的に阻害するのではなく、フルクトース−2,6−ビスフォスフォターゼを活性化することによって間接的に生じ得るとも考えられるので、これらの詳細な解明がなされることが望まれる。
本発明では、サラシア系植物からの抽出物は、糖新生を抑制するホルモンの分泌や糖新生を抑制するホルモンの抵抗性を改善するので、いずれもホルモンに関するため、他のホルモンとの相互作用によって作用するので、過度の糖新生のみを抑制し、必要な糖新生は抑制しないという優れた作用効果が得られる。
本発明で使用するサラシア系植物は、例えばサラシアレティキュラータであって、これはスリランカ民主社会主義共和国の特産の多年生蔓性つる性植物であり、デチンムル科またはニシキギ科に分類されている。その幹、枝、根、葉等を使用する。乾燥状態のものが望ましいが、これに限らない。水分率10%以下に設定することが望ましいが、これに限らない。
先ず、前記サラシア系植物を粉砕するが、この粉砕処理は粉砕機などを使用して5〜500ミクロン程度に粉砕することが望ましいが、これに限らない。粉砕処理によって、表面積が増加するので、後の抽出が容易となる。
次に、前記サラシア系植物の粉砕物を抽出するが、この抽出条件は、抽出媒体には、熱水を採用し、熱水の温度は80℃以上100℃以下の温度範囲内とすることが望ましいが、これに限らない。サラシア系植物粉砕物の重量に対して2〜100倍程度の水を使用することが望ましいが、これに限らない。
抽出した後には、抽出液を冷却し、必要に応じて濾過によってごみなどの固形分を除去して本発明の抽出液を得ることができる。
抽出した後には、抽出液を冷却し、必要に応じて濾過によってごみなどの固形分を除去して本発明の抽出液を得ることができる。
抽出液は、このまま使用するか、濃縮して使用することも可能であり、さらに乾燥して固形状にして使用される。固形状にする際には、賦形剤としての環状オリゴ糖とともに減圧濃縮、噴霧乾燥などによって粉末状となされる。なお、凍結し真空下で氷から昇華することにより水分を除去する凍結乾燥(フリーズドドライ)を採用することも可能である。
賦形剤として使用する環状オリゴ糖としては、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリンなどが例示され、特にサイクロデキストリンが好適である。環状オリゴ糖は、抽出液を中に包接して抽出液の酸化を防止するとともに、粉末状、顆粒状に賦形することを可能とし、さらに水への溶解度を向上させて速やかな溶解を可能とするものである。
減圧濃縮は、加熱手段と減圧手段を備えたエバポレータなどにて水分を減圧加熱することにより蒸発させて濃縮する方法であって、回転手段を備えたロータリーエバポレータが望ましい。
噴霧乾燥は、スプレードライヤーの熱風の流れの中に噴霧し乾燥する方法であって、短時間に乾燥微粉末を調整することができる。抽出液と環状オリゴ糖は、スプレードライヤー内で噴霧状にスプレーされると、熱風によって速やかに乾燥され、粉末状になって下方に堆積されることとなる。
実施例1
サラシアレティキュラータの木部を水分率8%に乾燥し、粉砕機にて粉砕して得られた粉末1kgを熱水100Lに浸し、80℃に加熱し、2時間保持して抽出処理をした。冷却し、濾過によってごみなどの固形分を除去して熱水抽出液を得た。得られた熱水抽出液に同重量のサイクロデキストリンを添加して減圧濃縮し、噴霧乾燥して微粉末状の組成物を得た。
サラシアレティキュラータの木部を水分率8%に乾燥し、粉砕機にて粉砕して得られた粉末1kgを熱水100Lに浸し、80℃に加熱し、2時間保持して抽出処理をした。冷却し、濾過によってごみなどの固形分を除去して熱水抽出液を得た。得られた熱水抽出液に同重量のサイクロデキストリンを添加して減圧濃縮し、噴霧乾燥して微粉末状の組成物を得た。
得られた組成物200mgを水100ccに溶解した水溶液を作成し、これを糖尿病予備軍の50代の男性10人に飲用させたところ、服用前の空腹時の血糖値の平均値が125であったのが、2カ月後には平均血糖値が108に低下し、糖新生抑制効果があることが分かった。一般に、人においては、前夜から次の早朝までは、肝臓内に蓄積されたグリコーゲンが主として使用され、糖新生をほとんど行う必要がないので、このような糖新生を必要としない場合には、コタラヒムは過度の糖新生を抑制して血糖値が過度に高くなることを回避する効果があることが示されている。
次に、上記の水溶液を飲用させて40分間のジョギングをさせたところ、服用前の空腹時の血糖値の平均値が108であったのが、平均血糖値が120に向上した。40分のジョギングでは、相当のエネルギーを要するので、筋肉(グリコーゲンが蓄積されているが、血液中にはグルコースを放出しない)だけでなく、血糖値も対応する必要があるが、低血糖状態となってしまうことは全くなく、血糖値は上昇して、運動に必要な充分な糖新生が行われていることが示されている。したがって、コタラヒムの飲用によっても、運動時には、グルカゴンの作用は抑制されず、適切な糖新生が行われて、運動時においても低血糖の状態となることは全くなく、高度の運動ができることが分かった。
なお、この糖新生には、筋肉のグリコーゲンが運動に使用されて形成された乳酸や脂肪の分解により生じたグリセリンなどが使用されている可能性があるが、今後の研究が必要である。
なお、この糖新生には、筋肉のグリコーゲンが運動に使用されて形成された乳酸や脂肪の分解により生じたグリセリンなどが使用されている可能性があるが、今後の研究が必要である。
Claims (2)
- サラシア系植物より抽出して得られる抽出物を主成分として含有し、肝臓内での糖新生がグルカゴンなどのホルモンによって過剰に行われる場合にのみにおいて、糖新生を抑制するホルモンの分泌や糖新生を抑制するホルモンの感受性を向上することを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤。
- 請求項1に記載の肝臓内糖新生抑制剤を食品または食品配合剤に含有させたことを特徴とする肝臓内糖新生抑制剤を含有する食品または食品配合剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007120113A JP2008255083A (ja) | 2007-04-03 | 2007-04-03 | 肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007120113A JP2008255083A (ja) | 2007-04-03 | 2007-04-03 | 肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 |
Publications (1)
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JP2007120113A Pending JP2008255083A (ja) | 2007-04-03 | 2007-04-03 | 肝臓内糖新生抑制剤及びそれを含有する食品または食品配合剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009093755A1 (en) * | 2008-01-23 | 2009-07-30 | Fujifilm Corporation | Agent for increasing blood adiponectin quantity |
WO2010109961A1 (ja) * | 2009-03-27 | 2010-09-30 | クラシエ製薬株式会社 | アルクチゲニン高含有ゴボウシエキス及びその製造方法 |
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2007
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