JP2006182706A - 血中アディポネクチン量増加剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な血中アディポネクチン量増加剤、動脈硬化症又は糖尿病、及びメタボリックシンドロームの予防または改善剤、並びに、それらを含有する、飲食品、医薬品または化粧品などを提供すること。
【解決手段】プロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病の予防または改善剤、及び、メタボリックシンドロームの予防または改善剤、並びに、これらを含有する飲食品、医薬品または化粧品。
【選択図】 図1
【解決手段】プロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病の予防または改善剤、及び、メタボリックシンドロームの予防または改善剤、並びに、これらを含有する飲食品、医薬品または化粧品。
【選択図】 図1
Description
本発明は、血中アディポネクチン量増加剤、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病、及び、メタボリックシンドロームの予防または改善剤、、並びにそれらを含有する、飲食品または医薬品などに関する。
これまで動脈硬化症(アテローム硬化症)の最大の危険因子は、高コレステロール血症であると言われていた。しかしコレステロール値を管理しても、必ずしも硬化症の発生率には低下が見られず、最近の研究においては内臓脂肪型肥満によってインスリン抵抗性が生じ、一連の代謝異常の結果として抗脂血症、糖尿病、高血圧といった危険因子の重積が生じて動脈硬化の発症が加速されるという機序が広く支持されている。これはメタボリックシンドローム(別名として;シンドロームX、マルチプルリスクファクター症候群、インスリン抵抗性症候群)と呼ばれ、この見地から診断基準を設定する、あるいは適切な予防法・治療法を選択することが進められている。
近年の生活様式の急速な変化にともない、メタボリックシンドローム(以下、「MS」と略す)MSが引き起こされ、結果として動脈硬化症の発症事例が増えている。厚生労働省の2001年の調査によれば、65歳以上日本人の死亡原因の第1位は悪性新生物(29%)であるが、第2位は心疾患(16%)、第3位は脳血管疾患(15%)であり、2位3位を動脈硬化性疾患と見れば、悪性新生物に匹敵する。また同時期の調査によれば、介護が必要となった主な原因の第1位は脳血管疾患(30%)、特に男性では40%を越える数字である。このことは動脈硬化症の発生が大きな社会問題となっていることを示し、その原因であるMSの予防と治療は極めて重要である。
ここで、さらに詳しくMSを見ると、要因として運動不足、高脂肪食、加齢、喫煙、過度のストレスなどの環境因子、また症状を引き起こしやすい遺伝因子などから、内臓脂肪の蓄積が起こり、これが脂肪細胞の肥大化を起こさせる。この結果、脂肪細胞の形質変化が起こり、脂肪細胞が分泌していたアディポサイトカイン量のバランスが悪い方向に変化する。
その中でもアディポネクチンは最も重要なサイトカインであり、それは全身の脂肪を筋肉や肝臓に集めて燃焼させる働きがあること、またインスリンの感受性を促進ホルモンであることが確認されている。臨床化学的にも2型糖尿病患者あるいは冠状動脈疾患患者などにおいて、有意に低い値を示すことが報告されている。又、アディポネクチンを遺伝的に欠損させたノックアウトマウスは血管障害に過剰に反応して野生型より強い内膜肥厚をきたすことから、アディポネクチンの分泌不全が動脈硬化疾患の発症の原因で一因であることが明らかにされている(非特許文献1)。又、このノックアウトマウスでは野生型より強いインスリン抵抗性が生じることも判明した(非特許文献2)。このような研究結果から、アディポネクチンは動脈硬化及び糖尿病の発症を抑制する生体防御因子であることが明らかにされた。
更に、アディポネクチンには糖尿病の改善、高血圧の改善、脂質代謝の改善、さらには動脈硬化症の改善等の作用が見出されている。例えば、粥状動脈硬化を好発するアポEノックアウトマウスアディポネクチンを過剰発現させたところ動脈硬化病変の進展が抑制された(非特許文献3)。又、アディポネクチンを遺伝的に欠損させたノックアウトマウスに対してアディポネクチン補充療法を実施するとそのインスリン抵抗性が有意に改善された。これらのことから、アディポネクチンはMSを司る最重要因子ということができる。従って、血中アディポネクチン量増加剤は、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病、及びメタボリックシンドロームを有意に予防または改善剤として有用であると考えられる。これまでに、ヒトもしくはヒト以外の哺乳動物の血中アディポネクチン量増加作用を有する組成物・化合物としては、医薬品としては抗糖尿病薬として用いられているチアゾリジン誘導体・トログリダゾン(非特許文献4参照)、飲食物としては烏龍茶(非特許文献5参照)、大豆タンパク(非特許文献6参照)、共役リノール酸(非特許文献7参照)、及び発酵茶抽出物(特許文献1参照)が公知である。
しかし、現段階の医学ではMSは疾病としては認知されておらず、疾病として治療を行うことができるのは、各症のマーカーが診断基準値を上回った場合に限られると言える。よってMSを改善しようとするとき、医療行為を必要としない、飲食品を利用することは極めて大きな役割を持つと言える。特にある飲食品の摂取によって生体内のアディポネクチン濃度が上昇することは、その食品がMS予防・改善作用を有することを示していると言える。
本発明の課題は、新規な血中アディポネクチン量増加剤、動脈硬化症又は糖尿病、及びメタボリックシンドロームの予防または改善剤、並びに、それらを含有する、飲食品、医薬品または化粧品などを提供することにある。
本発明者らは、プロアントシアニジンを主成分とするブドウ抽出物を摂取すると、血中のアディポネクチン量が増加することを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、以下に係るものである。
即ち、本発明は、以下の各態様に係る。
1.プロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤。
2.プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、上記1記載の血中アディポネクチン量増加剤。
3.上記1または2に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
4.プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、血中アディポネクチン量増加のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
5.プロアントシアニジンを有効成分とする、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病の予防または改善剤。
6.プロアントシアニジンを有効成分とする、メタボリックシンドロームの予防または改善剤。
7.プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、上記5又は6記載の予防または改善剤。
8.上記5ないし7のいずれか一項に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
9.プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、メタボリックシンドロームの予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
1.プロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤。
2.プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、上記1記載の血中アディポネクチン量増加剤。
3.上記1または2に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
4.プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、血中アディポネクチン量増加のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
5.プロアントシアニジンを有効成分とする、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病の予防または改善剤。
6.プロアントシアニジンを有効成分とする、メタボリックシンドロームの予防または改善剤。
7.プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、上記5又は6記載の予防または改善剤。
8.上記5ないし7のいずれか一項に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
9.プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、メタボリックシンドロームの予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
本発明によれば、安全性の高い天然由来のプロアントシアニジン又はプロアントシアニジンが主成分として含まれるブドウ抽出物を用いることにより、血中アディポネクチン量を有意に増加させることができる。その結果、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病、及び、あるいはメタボリックシンドロームの予防または改善することが可能となる。尚、本明細書中、「アディポネクチン分泌不全に起因する」とは、例えば、アディポネクチンの発現・産生の異常、及び、産生されたアディポネクチンの分解異常等の何らかの原因で、アディポネクチンの血中への分泌が正常でなくなることを意味する。
本発明において用いられるプロアントシアニジンは、各種植物体中に存在する縮合型タンニン、すなわちフラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として重合により結合した化合物群であって、酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン等のアントシアニジンを生成するものである。結合の様式によってA型、B型が存在する。本発明のプロアントシアニジンには、上記構成単位の重合体(2量体以上)であるプロシアニジン、プロデルフィニジン、プロペラルゴニジン等が含まれる。また、本発明のプロアントシアニジンは上記化合物の立体異性体、配糖体、没食子酸エステルまたはカフェ酸エステル等の各種誘導体が含まれる。本発明においてプロアントシアニジンは、種々の分子量(重合度)のプロアントシアニジンとして使用できる。また、分子量(重合度)に応じて分画したプロアントシアニジン組成物を単独または混合して使用することもできる。
プロアントシアニジンは、植物体や微生物体から、当業者に公知の任意の抽出法、発酵法、化学的もしくは酵素的合成法等により得ることができる。また、プロアントシアニジンとしては市販品、例えばブドウ種子由来の商品名「グラヴィノール」(キッコーマン(株))、りんご果由来の商品名「アップルフェノン」(アサヒビール(株))、海岸松の樹皮由来の商品名「ピクノジェノール」(ホーファーリサーチ社(スイス))「フラバンジェノール」(東洋新薬(株))、等が使用できる。
プロアントシアニジンを含む抽出物を調製するための植物体として特に制限はないが、ブドウ、クランベリー、カカオ、リンゴ、小豆、柿、及び松等が好適に利用できる。プロアントシアニジンが得られる限り植物体のどの部分を抽出してもよく、例えば、花、実、種子、果実、果肉、皮類、根、樹木、樹皮、葉などの組織が使用できる。植物体は、乾燥物、生のもの、発酵させたものの何れでもよい。更に、果実のジュース、酒類またはそれらの製造の際副産物として生成する粕類、または植物体の加工品なども利用できる。プロアントシアニジン含有量が高いという点で、抽出原料としてはブドウ種子または果皮が好適である。ブドウ原料から高純度のプロアントシアニジンを得るためには、特開平11-080148号公報記載の方法を使用すればよい。
各種の植物体原料を、溶媒を用いて適当な条件下で抽出し、抽出液から溶媒を減圧留去などによって除去すれば、濃縮物や乾燥物の状態で粗プロアントシアニジン画分が得られる。抽出に際しては、還流させながら抽出を行うことが好ましい。溶媒とは例えば、冷水、熱水、低級アルコール、アセトン、アルキルケトン、酢酸、酢酸エチル、n−ヘキサン、液体二酸化炭素等であり、特に含水低級アルコールおよび含水アセトンが好適である。溶媒は2種類以上混合してもよい。
上記で得られた粗プロアントシアニジンをそのまま本発明に用いてもよいが、さらにセファデックス、ポリアミド、シリカゲル、ODS等を用いたカラムクロマトグラフ、セルロース膜等を用いた膜分離、酢酸エチル−水等を用いた液液分離など精製・分離・脱色操作を行うことにより、より高純度の、あるいは望む重合度のプロアントシアニジンを得てから用いることもできる。
本発明において、プロアントシアニジンを含む抽出物の好適な一例として用いられるブドウ抽出物は、当業者に公知の任意の方法で調製することができるが、例えば以下の方法により調製可能である。
抽出原料となるブドウの種類は、白ブドウ、赤ブドウ、黒ブドウ等のいずれでもよく、例えばシャルドネ種、リースリング種、ミラトルガウ種、セレサ種、ナイアガラ種、ネオ・マスカット種、甲州種、白羽種(ルカチテリ種)等が挙げられる。
上記ブドウの種子、果実、果肉、皮類が抽出に供される。飲料やワイン製造において利用されたブドウ果実を圧搾して果汁を採取した残渣、すなわち搾汁粕や赤ワイン製造の際の前発酵後に圧搾して得られる搾汁粕を抽出に供してもよい。種子は通常搾汁粕中に約5〜20%(w/w)含まれるが、プロアントシアニジン含量が高く、糖類などの夾雑物の含量も少ないため、好適な原料である。
上記のブドウ原料を、水又は有機溶媒等を用いて適当な条件下で抽出することにより有効成分が得られる。抽出に際しては、還流させながら抽出を行うことが好ましい。有機溶媒とは例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の水溶性アルコール類、アセトン、酢酸等である。水溶性有機溶媒は単独で用いてもよいが、任意の比で水と混合して用いてもよい。
毒性が低い、沸点が比較的低いため抽出後の除去が容易、入手容易等の理由から、水溶性有機溶媒としてはエタノールが好ましい。抽出効率を高く、不純物の割合を少なくするためには、エタノール:水の混合比は1:1〜4:1(v/v)が好ましい。
抽出する際のブドウ原料(無水物換算)に対する溶媒の量は特に限定しないが、通常1〜20倍量(v/w)、好ましくは2〜6倍量である。また必要により少量の界面活性剤(例えばショ糖脂肪酸エステル等)や酸化防止剤(例えばアスコルビン酸等)などを加えてもよい。また必要により、不活ガス雰囲気下で抽出を行ってもよい。
ブドウ原料の抽出に際しては、還流させながら抽出を行うことが好ましい。抽出時間は、溶媒量、溶媒の種類、温度等の抽出条件に左右されるが、通常10分〜24時間であり、好ましくは30分〜2時間程度である。
上記で得られたブドウ抽出物をそのまま本発明に使用することもできるが、さらに、セファデックス、ポリアミド、シリカゲル、ODS等を用いたカラムクロマトグラフ、セルロース膜等を用いた膜分離、酢酸エチル−水等を用いた液液分離、酵母等の微生物の添加による不純物の分解など精製・分離・脱色操作を行うことにより、より高純度に有効成分を含有する抽出物を得ることができる。
上記の有効成分又はブドウ抽出物等を含有する本発明の飲食品、医薬品または化粧品の種類、形態、及びその他の含有成分等に特に制約にはなく、当業者に公知の任意の各種方法で容易に調製することが出来る。
例えば、本発明の医薬品は、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、又は、注射剤などの液剤などいずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる。これらの医薬品には通常用いられる結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜使用してもよい。
本発明の医薬品は、経口的にあるいは非経口的に適宜に使用される。すなわち、経口、静脈、腹腔内の投与などによって所望の効果を表すものである。
本発明の医薬品における有効成分であるプロアントシアニジンの投与量は、その種類、その剤型、また患者の年令、体重、適応症状などによって異なるが、例えば経口投与の場合は、成人一日1回又は数回投与され、一日当たり1回約50 mg〜2 g、好ましくは0.1 〜0.5g/人程度投与するのがよい。
また、本発明の飲食品の形態としては、例えば、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、又は、液体状に任意に成形することが出来る。これらには、食品中に含有することが認められている当業者に公知の各種物質、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜含有させることが出来る。
本発明の化粧品も、例えば、液体状、ペースト状、又は、ゲル状の任意の形態とすることができる。これらの中にも、化粧品中に含有することが認められている、当業者に公知の各種物質を適宜含有させることが出来る。
本発明の飲食品又は化粧品中に含まれる有効成分の含有量は、それらの種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることが出来、例えば、数重量%〜数十重量%程度とすることができる。特に、保健用飲食品等として利用する場合には、本発明の有効成分を所定の効果が十分発揮されるような量で含有させることが好ましい。従ってこのような場合には、本発明の飲食品は、プロアントシアニジン又はブドウ抽出物を含有し、血中アディポネクチン量の増加、あるいはメタボリックシンドロームの予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品とすることができる。
以下、実施例に則して本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの記載によって何等制限されるものではない。
本発明の効果を確認するため以下の実験を行った。
〔ブドウ抽出物含有錠剤の調製〕
下表の処方に従って高用量群用錠剤、低用量群用錠剤、対照群用錠剤を調製した。
下表の処方に従って高用量群用錠剤、低用量群用錠剤、対照群用錠剤を調製した。
※ ブドウ抽出物として、以下の表4の組成を有するブドウ種子エキス(商品名「グラヴィノール スーパーL」キッコーマン社製:プロアントシアニジンを72%含む)を使用した。当該ブドウ抽出物の製造法は次の通りである。まず、白ワイン用のブドウ種子を選別し、水洗した後エタノール−水混液により、加熱環流条件で抽出する。抽出後、種子を除去し、得られた抽出液を減圧下濃縮する。濃縮液を殺菌後、ろ過し、得られた清澄液をスプレードライしてブドウ抽出物とする。
尚、プロアントシアニジンの定量試験方法は、R.B. Broadhurstらの方法 (バニリン‐塩酸試薬を用いた比色分析法; R.B. Broadhurst, et al., J. Sci. Food Agric., Vol. 29, 788-794 (1978))、及びS. Kitaoらの方法 (高速液体クロマトグラフィー法; S. Kitao, et al., Biosci. Biotech. Biochem., Vol.57 (12), 2010-2015 (1993)) に準拠して行う。
すなわち先ずバニリン‐塩酸試薬を用いた比色分析法によって総フラバノール量を測定し、次いで、高速液体クロマトグラフィー法により、総カテキン (フラバノールのモノマー) 量を測定し、前者から後者を差し引いた定量値をもって、プロアントシアニジン(フラバノールのオリゴマー及びポリマー) 量とする。なお、ここではフラバン-3-オールをフラバノール、フラバノールのモノマーをカテキンと呼ぶこととする。
すなわち先ずバニリン‐塩酸試薬を用いた比色分析法によって総フラバノール量を測定し、次いで、高速液体クロマトグラフィー法により、総カテキン (フラバノールのモノマー) 量を測定し、前者から後者を差し引いた定量値をもって、プロアントシアニジン(フラバノールのオリゴマー及びポリマー) 量とする。なお、ここではフラバン-3-オールをフラバノール、フラバノールのモノマーをカテキンと呼ぶこととする。
〔血中アディポネクチン量増加試験〕
ヒトを用いた試験を以下の通り行った。なお本試験は、「ヘルシンキ宣言」を遵守し「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」に準拠して実施された。
(1)被験者選択基準
1. 60歳以上70歳未満の男女で、スクリーニング時のLDL−コレステロールが100mg/dL以上180mg/dL未満の者
2. 試験の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願した者で、書面で本試験参加に同意した者
3. 試験責任医師により、本試験への参加が適当であると認められた者
(2)被験者除外基準
1. 脂質降下剤、降圧剤等脂質代謝に影響を及ぼす可能性がある医薬品服用者及び健康食品摂取者
2. 抗酸化作用が強いといわれる健康食品、ビタミン剤(C、E)の常用者(健康茶の大量摂取も含む)
3. 赤ワインの常飲者(週にハーフボトル1本以上飲酒)
4. 糖尿病、著明な肝機能障害者、家族性高脂血症と言われたことがある者
5. 妊娠している者、妊娠の可能性がある者、授乳中の者
(3)試験のデザイン
・盲検化の水準と手法:単盲検
・対照の種類及び試験の構成 :2用量とコントロール群の3群、並行群間法試験
・スクリーニングの後、2週間観察期間とした。観察期間終了後連続12週間を摂取期間とした。被験者20名を無作為に対照食品群、低用量群、高用量群の3群に分けた。それぞれの群は上記した対応する食品を朝食後、1日分量(4粒)を水またはお湯とともに噛まずに摂取した。朝食を摂らない場合は昼食後に同様に摂取した。各群における1日のプロアントシアニジン摂取量は下表の通りとなる。
ヒトを用いた試験を以下の通り行った。なお本試験は、「ヘルシンキ宣言」を遵守し「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」に準拠して実施された。
(1)被験者選択基準
1. 60歳以上70歳未満の男女で、スクリーニング時のLDL−コレステロールが100mg/dL以上180mg/dL未満の者
2. 試験の目的・内容について十分な説明を受け、同意能力があり、よく理解した上で自発的に参加を志願した者で、書面で本試験参加に同意した者
3. 試験責任医師により、本試験への参加が適当であると認められた者
(2)被験者除外基準
1. 脂質降下剤、降圧剤等脂質代謝に影響を及ぼす可能性がある医薬品服用者及び健康食品摂取者
2. 抗酸化作用が強いといわれる健康食品、ビタミン剤(C、E)の常用者(健康茶の大量摂取も含む)
3. 赤ワインの常飲者(週にハーフボトル1本以上飲酒)
4. 糖尿病、著明な肝機能障害者、家族性高脂血症と言われたことがある者
5. 妊娠している者、妊娠の可能性がある者、授乳中の者
(3)試験のデザイン
・盲検化の水準と手法:単盲検
・対照の種類及び試験の構成 :2用量とコントロール群の3群、並行群間法試験
・スクリーニングの後、2週間観察期間とした。観察期間終了後連続12週間を摂取期間とした。被験者20名を無作為に対照食品群、低用量群、高用量群の3群に分けた。それぞれの群は上記した対応する食品を朝食後、1日分量(4粒)を水またはお湯とともに噛まずに摂取した。朝食を摂らない場合は昼食後に同様に摂取した。各群における1日のプロアントシアニジン摂取量は下表の通りとなる。
・試験期間中の食事は本人の自由としたが、暴飲暴食を避けること、過量のアルコールの摂取を控えることを依頼した。また、血清脂質に影響を有する医薬品及び健康食品の摂取は禁止した。検査2日前からのアルコール摂取禁止、及び検査前日22時以降の飲食はしないように指示した。検査当日は、来院1時間前から採血終了まで禁煙とした。また被験者は緊急の場合を除き、試験責任医師の許可を得て医薬品を使用した。またその場合は使用医薬品名、投与量、服用期間を「問診時」に試験責任医師に報告した。
・検査はスクリーニング時、摂取0日目、摂取6週間後、摂取12週間後に行った。
(4)試験の結果
・摂取期間中の安全性については血液検査、生化学検査、尿検査、体重測定、血圧/脈拍測定を行い、安全性の評価を行った。試験完了者において事前検査結果と後観察検査結果を比較したところ、有意な変動が散見されたが、いずれの数値も生理的変動の範囲内にあった。この結果から、本試験の安全性に問題はないと判断された。
・本試験に最終的にエントリーした被験者20名の中で2名の脱落者(試験不参加者)があった。 その理由はいずれも本人意思によるものであった。よって検査結果の評価対象被験者数を18名(平均年齢63.4歳、男性13名、女性7名)とした。
・検査結果を下記の表7、表8、及び図1に示す。尚、血中アディポネクチンは、リコンビナントヒトアディポネクチンを用いて作製した抗体による酵素免疫測定法(大塚製薬(株)製キット)で測定した。
・検査はスクリーニング時、摂取0日目、摂取6週間後、摂取12週間後に行った。
(4)試験の結果
・摂取期間中の安全性については血液検査、生化学検査、尿検査、体重測定、血圧/脈拍測定を行い、安全性の評価を行った。試験完了者において事前検査結果と後観察検査結果を比較したところ、有意な変動が散見されたが、いずれの数値も生理的変動の範囲内にあった。この結果から、本試験の安全性に問題はないと判断された。
・本試験に最終的にエントリーした被験者20名の中で2名の脱落者(試験不参加者)があった。 その理由はいずれも本人意思によるものであった。よって検査結果の評価対象被験者数を18名(平均年齢63.4歳、男性13名、女性7名)とした。
・検査結果を下記の表7、表8、及び図1に示す。尚、血中アディポネクチンは、リコンビナントヒトアディポネクチンを用いて作製した抗体による酵素免疫測定法(大塚製薬(株)製キット)で測定した。
(5)結論
血中アディポネクチン濃度は、摂取前高用量群で8.23μg/mL、低用量群で9.10μg/mLであったものが、プロアントシアニジンを主成分とするブドウ抽出物摂取後6週及び12週に、それぞれ高用量群で9.28μg/mL、9.93μg/mL、低用量群で10.03μg/mL、10.07μg/mLと用量依存的に増加した。一方、対象食品群では摂取前と摂取後に実質的な変化は見られず、この傾向は変化量や濃度比を比較することにより、さらに明確となった。以上のことから、ブドウ抽出物中に主成分として含有されているプロアントシアニジンの摂取によって、血中アディポネクチン濃度が増加することが確認された。
血中アディポネクチン濃度は、摂取前高用量群で8.23μg/mL、低用量群で9.10μg/mLであったものが、プロアントシアニジンを主成分とするブドウ抽出物摂取後6週及び12週に、それぞれ高用量群で9.28μg/mL、9.93μg/mL、低用量群で10.03μg/mL、10.07μg/mLと用量依存的に増加した。一方、対象食品群では摂取前と摂取後に実質的な変化は見られず、この傾向は変化量や濃度比を比較することにより、さらに明確となった。以上のことから、ブドウ抽出物中に主成分として含有されているプロアントシアニジンの摂取によって、血中アディポネクチン濃度が増加することが確認された。
本発明のプロアントシアニジンもしくはプロアントシアニジンを主成分として含有するブドウ抽出物は、血中のアディポネクチン量を増加させる効果を示す。従って、それらを使用することによって、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病、及び、あるいはメタボリックシンドロームの予防または改善剤を提供することが可能となる。更に、これらを含む各種の飲食品、医薬品又は化粧品を経済的に大量に提供することが可能となる。
Claims (9)
- プロアントシアニジンを有効成分とする血中アディポネクチン量増加剤。
- プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、請求項1記載の血中アディポネクチン量増加剤。
- 請求項1または2に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
- プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、血中アディポネクチン量増加のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
- プロアントシアニジンを有効成分とする、アディポネクチン分泌不全に起因する動脈硬化症又は糖尿病の予防または改善剤。
- プロアントシアニジンを有効成分とする、メタボリックシンドロームの予防または改善剤。
- プロアントシアニジンがブドウ抽出物に含まれるものである、請求項5又は6記載の予防または改善剤。
- 請求項5ないし7のいずれか一項に記載の剤を含有する、飲食品、医薬品または化粧品。
- プロアントシアニジン、又はそれを含むブドウ抽出物を含有し、メタボリックシンドロームの予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
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