JP2009203209A - アカシア属樹皮由来物を含有する血糖降下及び/又は抗肥満組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期に服用しても、副作用などのおそれがない、優れた血糖降下作用及び抗肥満作用を有する組成物を提供する。
【解決手段】脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)の発現を低下させ、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)の発現を増加させ、脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)の発現を低下させること、及びインスリン抵抗性を改善することを特徴とする、アカシア属樹皮由来物を含有する、血糖降下組成物及び/又は抗肥満組成物。
【選択図】なし
【解決手段】脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)の発現を低下させ、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)の発現を増加させ、脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)の発現を低下させること、及びインスリン抵抗性を改善することを特徴とする、アカシア属樹皮由来物を含有する、血糖降下組成物及び/又は抗肥満組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、アカシア属(Acacia)に属する樹木に由来する血糖降下及び/又は抗肥満組成物ならびにこの組成物の食品、動物用飼料、医薬及び医薬部外品としての用途に関する。
近年、食生活の欧米化、交通機関の発達による運動不足などのため、糖尿病やその予備軍である耐糖能異常を示す者が増加している。特に、糖尿病は、しびれ、痛みなどの糖尿病性神経障害、白内障、糖尿病性網膜症、動脈硬化症、糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽(えそ)などの合併症を引起こし、最終的には死に至るケースもみられることから、その治療は極めて重要といえる。
糖尿病を予防又は治療するには、生活習慣の改善が望ましいが、容易に行い得るものではない。
また、糖尿病に対する治療としては、インスリン注射や血糖降下剤の経口投与によって血中のインスリン量を調節する方法があるが、これらの方法には副作用が伴うし、また、食事療法や運動療法では、患者に順守させるのが困難という問題がある。
また、糖尿病に対する治療としては、インスリン注射や血糖降下剤の経口投与によって血中のインスリン量を調節する方法があるが、これらの方法には副作用が伴うし、また、食事療法や運動療法では、患者に順守させるのが困難という問題がある。
このような中で、多彩な作用を有し、長期に服用しても、副作用などのおそれがない天然由来の成分を用いて、糖尿病や高血糖症を予防したり治療したりすることが試みられている。例えば、特許文献1にはセンダングサ属植物抽出物を含む高血糖の治療及び予防剤が、特許文献2にはアマランサス種子酢酸発酵物の乾燥物を有効成分とする高血糖改善用組成物が、特許文献3にはアカモク又はその処理物を有効成分として含有することを特徴とする糖尿病態の予防・改善剤が、特許文献4には高血糖を抑制し血糖を低く保つ効果を持つフコイダン系健康食品が、特許文献5にはオリーブ葉又はその抽出成分を含有する高血糖者用食品が、それぞれ記載されている。
一般に、肥満とは、脂肪組織が過剰に体に蓄積した状態をいい、健康診断等で用いられるBMI(Body Mass Index(体格指数)、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ったもの)で、BMIが22となる体重を標準体重といい、それより1割以上多い体重を過体重、2割以上多い体重を肥満という。そして、近年、食生活の欧米化、交通機関の発達による運動不足などのため、肥満やその予備軍が増加している。特に、肥満は、高血圧症、糖尿病、脂肪肝、動脈硬化症、脳梗塞、高脂血症、末梢血管障害、虚血性心疾患の発症との関連性が高く、これら疾患の発症の予防と治療の観点からも肥満の予防または解消が極めて重要となってきている。
肥満を予防又は解消するには、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善が望ましいが、容易に行い得るものではない。また、肥満に対する治療としては、脂質吸収阻害剤、消化吸収阻害剤などの薬物療法もあるが、その使用は、重度の肥満症に限られている。
このような中で、多彩な作用を有し、長期に服用しても、副作用などのおそれの少ない天然物由来成分を用いた様々な物がダイエット食品などとして肥満の予防や解消のため販売されており、また、新たな抗肥満活性を有する物質の探索が行われている。
例えば、特許文献6は黄杷の葉又は樹皮の乾燥粉末、抽出物又は精製物がラットやヒトにおける体重減少効果を有することを開示している。また、特許文献7はポリフェノールの一種であるタンニンがα−アミラーゼ阻害効果を有し抗肥満効果を有すること開示している。
一方、アカシアについては、アカシア蜂蜜やその樹皮から抽出されるタンニンが皮なめし剤や木材用接着剤として利用できることが知られており、また、最近はアカシア属の抽出物にCOX−2の選択的阻害効果(特許文献8)のあることやアカシア属の樹皮に活性酸素消去効果(特許文献9)やチロシナーゼ活性阻害効果による美白効果(特許文献10)のあることが開示されている。
アカシア属の樹皮や樹皮由来のポリフェノールに血糖降下作用又は抗肥満作用があることは報告されているが(特許文献11及び12)、その作用機序は不明であった。
特開2004−323362号公報
特開平7−138178号公報
特開2004−217559号公報
特開2004−24054号公報
特開2002−10753号公報
特開2004−091464号公報
特開2002−051735号公報
特表2004−532811号公報
特開2004−352639号公報
特開平10−025238号公報
特開2006−232781号公報
特開2006−232782号公報
アカシア属の樹皮や樹皮由来のポリフェノールに血糖降下作用又は抗肥満作用があることは報告されているが(特許文献11及び12)、その作用機序は不明であった。
本発明は、長期に服用しても、副作用などのおそれがない、優れた血糖降下及び/又は抗肥満作用を有する組成物を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、アカシア属樹皮由来物が、血糖低下及び/又は抗肥満作用を有し、糖尿病などの高血糖病態及び/又は肥満の予防、解消、又は治療に有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アカシア属樹皮由来物を含有することを特徴とする、血糖降下及び/又は抗肥満組成物に関する。
また、本発明は、アカシア属樹皮由来物を使用する、糖尿病などの高血糖病態及び/又は肥満の予防又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、糖尿病などの高血糖病態及び/又は肥満の予防又は治療用の組成物を製造するための、アカシア属樹皮由来物を使用する方法にも関する。
すなわち、本発明は、アカシア属樹皮由来物を含有することを特徴とする、血糖降下及び/又は抗肥満組成物に関する。
また、本発明は、アカシア属樹皮由来物を使用する、糖尿病などの高血糖病態及び/又は肥満の予防又は治療方法にも関する。
さらに、本発明は、糖尿病などの高血糖病態及び/又は肥満の予防又は治療用の組成物を製造するための、アカシア属樹皮由来物を使用する方法にも関する。
本発明によれば、血糖降下及び/又は抗肥満作用を有する組成物を得ることができる。
しかも、本発明によれば、安全で、長期に服用しても副作用などの心配の少ない組成物を得ることができる。
しかも、本発明によれば、安全で、長期に服用しても副作用などの心配の少ない組成物を得ることができる。
本発明で使用できるアカシア属樹皮由来物とは、アカシア属(Acacia)に属する樹木(以下、「アカシア」又は「アカシア属」という)の樹皮を原料として得られるものであれば特に制限されず、例えば、アカシア属の樹皮の細片、粉末及びこれらの懸濁液、アカシア属の樹皮の抽出液、濃縮抽出液、及びエキス粉末などの抽出物ならびにこの抽出物を精製して得た精製物が挙げられる。優れた血糖降下又は抗肥満活性が得られる上で、アカシア属の樹皮の抽出物、特にアカシア樹皮ポリフェノールが好ましい。
本発明では、これらアカシア属樹皮由来物を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明では、これらアカシア属樹皮由来物を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明で使用できるアカシアは、アカシア属に属する樹木であれば特に制限されないが、優れた血糖降下又は抗肥満作用があるアカシア属樹皮由来物が得られる点で、学名:Acacia mearnsii De Wild.(一般名ブラックワトル)、学名:Acacia mangium Willd.(一般名アカシアマンギュウム)、学名:Acacia dealbata Link、学名:Acacia decurrens Willd.、及び学名:Acacia pycnantha Benth.からなる群より選ばれるアカシア属の樹皮が好ましく、特にAcacia mearnsii De Wild.及びAcacia mangium Willd.が好ましい。
本発明では、これらアカシア属の樹皮を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
本発明では、これらアカシア属の樹皮を1種のみ使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
上記アカシア属の樹皮は、通常、樹木として伐採したのち、樹皮だけを剥がして採取し乾燥することで得られるが、好ましくはさらに天日で乾燥させた樹皮が好ましい。
アカシア属の樹皮は、外皮とやや繊維質の内皮とからなり、含水率20%程度以下に乾燥するとハンマーミルなどの粉砕機で容易に微粉化する。本発明では、アカシア属の樹皮として、このアカシア属の内皮と外皮の両方を一緒に用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよい。
アカシア属の樹皮は、外皮とやや繊維質の内皮とからなり、含水率20%程度以下に乾燥するとハンマーミルなどの粉砕機で容易に微粉化する。本発明では、アカシア属の樹皮として、このアカシア属の内皮と外皮の両方を一緒に用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよい。
前記アカシア属の樹皮の細片は、慣用の方法に従って、アカシア属の樹皮を適当な大きさに粉砕して得ることができる。
また、前記アカシア属の樹皮の粉末は、アカシア属の樹皮を慣用の方法で粉砕し粉末化して得ることができるが、特に、粒径が100μm以下、特に50〜70μmである粉末が好ましい。粉末の分画は、含水率20%以下に乾燥した樹皮を適当な大きさ、例えば粒径1.6mm以下程度に粉砕し、得られた粉末を振動ふるい機などで分級して所要の粉末を得ることができる。
また、前記アカシア属の樹皮の粉末は、アカシア属の樹皮を慣用の方法で粉砕し粉末化して得ることができるが、特に、粒径が100μm以下、特に50〜70μmである粉末が好ましい。粉末の分画は、含水率20%以下に乾燥した樹皮を適当な大きさ、例えば粒径1.6mm以下程度に粉砕し、得られた粉末を振動ふるい機などで分級して所要の粉末を得ることができる。
上記アカシア属の樹皮の抽出物は、アカシア属の樹皮を慣用の方法に従って抽出して得ることができる。優れた血糖降下又は抗肥満作用を有するアカシア属の樹皮の抽出物を得るために、アカシア属の樹皮をアルコールや極性溶媒で抽出することが好ましい。
このようなアルコールとしてエタノールが、極性溶媒として水などが使用でき、また必要に応じてそれら溶媒を単独あるいは2種以上を併用してもよい。特に、優れた血糖降下又は抗肥満作用を得るために、水とエチルアルコールなどのアルコールとの混合溶媒が好ましい。
さらに、同一又は異なる溶媒によって複数回抽出操作を行ってもよい。
優れた血糖降下又は抗肥満作用を有する抽出物を得る上で、アカシア属の樹皮からの水又は熱水による抽出物をさらにエタノールで抽出して得た抽出物を使用してもよい。
このようなアルコールとしてエタノールが、極性溶媒として水などが使用でき、また必要に応じてそれら溶媒を単独あるいは2種以上を併用してもよい。特に、優れた血糖降下又は抗肥満作用を得るために、水とエチルアルコールなどのアルコールとの混合溶媒が好ましい。
さらに、同一又は異なる溶媒によって複数回抽出操作を行ってもよい。
優れた血糖降下又は抗肥満作用を有する抽出物を得る上で、アカシア属の樹皮からの水又は熱水による抽出物をさらにエタノールで抽出して得た抽出物を使用してもよい。
抽出は、アカシア属の樹皮の細片や粉末などに溶媒を加えて必要に応じて攪拌し抽出するが、温度や時間あるいは固液比については特に限定されない。溶媒に水を用いる場合には、熱水で抽出してもよい。得られた抽出液は、そのまま凍結乾燥あるいは噴霧乾燥してもよいし、あるいは減圧濃縮してから凍結乾燥又は噴霧乾燥してもよい。得られる抽出物は、抽出液、溶液、粉末、濃縮液、ペースト状物などの種々の形態とすることができ、広く必要に応じて使用できる。
さらに、これらの形態で得られた本発明のアカシア属の樹皮抽出物はそのまま血糖降下及び/又は抗肥満組成物として使用できるほか、さらに必要に応じて精製し、その精製物も血糖降下及び/又は抗肥満成分として使用することができる。
さらに、これらの形態で得られた本発明のアカシア属の樹皮抽出物はそのまま血糖降下及び/又は抗肥満組成物として使用できるほか、さらに必要に応じて精製し、その精製物も血糖降下及び/又は抗肥満成分として使用することができる。
本発明では、アカシア属樹皮由来物として、アカシア属の樹皮に含有されている成分も例示される。このような成分として、アカシア樹皮ポリフェノールなどが例示される。特に、アカシア樹皮ポリフェノールは優れた血糖降下及び抗肥満作用を示すので好ましい成分である。
本発明のアカシア樹皮ポリフェノールとは、(−)−フィセチニドール、(−)−ロビネチニドール、(+)−カテキン、及び(+)−ガロカテキンなどのフラバン−3−オールを基本骨格とするフラバノール類がC4−C8、C4−C6結合した重合体である縮合型タンニンの一種を意味する。ここで、このような縮合型タンニンとして分子量300〜3000、特に500〜3000のものが好ましい。本発明で用いるアカシア樹皮ポリフェノールは、上記アカシア属の樹皮の粉末などを熱水抽出することにより得ることができる。
また、アカシア樹皮ポリフェノール製品としてはMIMOSA Central Co-operative Ltd.製の登録商標MIMOSA ME POWDER、MIMOSA MS POWDER、MIMOSA GS POWDER、MIMOSA FS POWDER、MIMOSA WS POWDER、MIMOSA RG POWDER、MIMOSA RN POWDER、MIMOSA DK POWDER、MIMOSA AL POWDER、MIMOSA CR POWDER、GOLDEN MIMOSA POWDERなどが例示される。
本発明のアカシア樹皮ポリフェノールとは、(−)−フィセチニドール、(−)−ロビネチニドール、(+)−カテキン、及び(+)−ガロカテキンなどのフラバン−3−オールを基本骨格とするフラバノール類がC4−C8、C4−C6結合した重合体である縮合型タンニンの一種を意味する。ここで、このような縮合型タンニンとして分子量300〜3000、特に500〜3000のものが好ましい。本発明で用いるアカシア樹皮ポリフェノールは、上記アカシア属の樹皮の粉末などを熱水抽出することにより得ることができる。
また、アカシア樹皮ポリフェノール製品としてはMIMOSA Central Co-operative Ltd.製の登録商標MIMOSA ME POWDER、MIMOSA MS POWDER、MIMOSA GS POWDER、MIMOSA FS POWDER、MIMOSA WS POWDER、MIMOSA RG POWDER、MIMOSA RN POWDER、MIMOSA DK POWDER、MIMOSA AL POWDER、MIMOSA CR POWDER、GOLDEN MIMOSA POWDERなどが例示される。
本発明で用いる抗肥満作用とは、ある物質を体に摂取することで、体重又は体脂肪の量、重量、若しくは濃度を、その物質を摂取しない場合と比較して、低減又は抑制させる作用を意味する。
本発明で用いる体脂肪には、脂肪が脂肪細胞の中に貯まって生じる皮下脂肪や内臓脂肪以外に、血液中に流れているコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸なども含む。
本発明で用いる体脂肪には、脂肪が脂肪細胞の中に貯まって生じる皮下脂肪や内臓脂肪以外に、血液中に流れているコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、遊離脂肪酸なども含む。
本発明の組成物は、アカシア属樹皮由来物、例えば、アカシア属の樹皮、その抽出物、その精製物、又はアカシア樹皮ポリフェノールそのものであってもよいが、他の血糖降下作用を有する物質、例えば、黒酢、タマネギ抽出物、ヤーコン、及び/又は他の抗肥満作用を有する物質、例えば、オオバコに含まれるフラボノイドなどを含んでもよい。特に、相乗効果による優れた血糖降下作用が得られる点で、ヤーコン、特にヤーコン茶を含有するのが好ましい。
本発明の組成物は、アカシア属樹皮由来物、例えば、アカシア属の樹皮、その抽出物、その精製物、又はアカシア樹皮ポリフェノールそのものであってもよいが、本発明の効果を損なわない限り、賦形剤、甘味料、酸味料、増粘剤、香料、色素、乳化剤及びその他に食品で一般に利用されている素材を含んでいてもよい。
本発明に係る組成物は、食品又は動物用飼料として、血糖上昇を伴う疾患、例えば、糖尿病、高血糖症、及び/又は肥満の予防又は解消などの目的で、健康食品、機能性食品、健康補助食品、特定保健用食品、美容食品、及び栄養補助食品(サプリメント)として使用することができる。これら食品及び動物用飼料は、例えば、お茶及びジュースなどの飲料水;アイスクリーム、ゼリー、あめ、チョコレート、及びチューインガムなどの形態であってもよい。また、液剤、粉剤、粒剤、カプセル剤、又は錠剤の形態であってもよい。ここで、動物用飼料の動物には、ペット動物、畜産動物、又は動物園等で飼育されている動物を含む、血糖上昇を伴う疾患の予防又は解消を必要とする全ての動物を含む。
また、本発明に係る組成物は、医薬又は医薬部外品として、血糖上昇を伴う疾患、例えば、糖尿病、高血糖症、及び/又は肥満の予防、解消、又は治療などに使用することができる。これら医薬品は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬若しくは軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳濁剤、又は懸濁剤の形態で経口的に投与する。
本発明に係る組成物の摂取量は、特に制限されないが、剤型、ならびに使用者若しくは患者などの摂取者又は摂取動物の年齢、体重及び症状に応じて適宜選択することができる。例えば、有効成分量として1日あたり摂取者又は摂取動物の体重1kgにつきアカシア樹皮ポリフェノール量で0.001〜1g、好ましくは0.001〜0.5g、より好ましくは0.005〜0.1gを経口摂取することが、優れた血糖降下及び抗肥満作用が得られるので、望ましい。
摂取期間は、使用者又は患者の年齢、症状に応じて任意に定めることができる。
摂取期間は、使用者又は患者の年齢、症状に応じて任意に定めることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、製造例、試験例、配合例を挙げて本発明を更に詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に、ここでは本発明のアカシア属の樹皮を外皮と内皮とに分けないで実施例を示しているが、外皮を内皮から分離してそれぞれ使用することもできる。
以下の製造例、試験例等において、本発明の各アカシアをそれぞれの学名の後の括弧内に示した番号で示す。例えば、学名:Acacia mearnsii De Wild.のアカシアをアカシアNo.1と記す。
学名:Acacia mearnsii De Wild.(No.1)、学名:Acacia mangium Willd.(No.2)、学名:Acacia dealbata Link(No.3)、学名:Acacia decurrens Willd.(No.4)、学名:Acacia pycnantha Benth.(No.5)。
また、%は特に示さない限り重量%を意味する。
以下の製造例、試験例等において、本発明の各アカシアをそれぞれの学名の後の括弧内に示した番号で示す。例えば、学名:Acacia mearnsii De Wild.のアカシアをアカシアNo.1と記す。
学名:Acacia mearnsii De Wild.(No.1)、学名:Acacia mangium Willd.(No.2)、学名:Acacia dealbata Link(No.3)、学名:Acacia decurrens Willd.(No.4)、学名:Acacia pycnantha Benth.(No.5)。
また、%は特に示さない限り重量%を意味する。
アカシア樹皮粉末の製造例1
アカシアNo.1の樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下(10メッシュ篩(タイラー:Tyler)通過)の粉末に粉砕した後、更に振動ふるい機で分級し、63μm以下(250メッシュ篩下)の微粉末を得た。
同様にして、残り4種のアカシアNo.2〜5の樹皮を粉砕してそれぞれ63μm以下の微粉末を得た。種類によって250メッシュ篩通過の微粉末の収率に多少の差はあるが、目的とする微粉末が得られた。
アカシアNo.1の樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下(10メッシュ篩(タイラー:Tyler)通過)の粉末に粉砕した後、更に振動ふるい機で分級し、63μm以下(250メッシュ篩下)の微粉末を得た。
同様にして、残り4種のアカシアNo.2〜5の樹皮を粉砕してそれぞれ63μm以下の微粉末を得た。種類によって250メッシュ篩通過の微粉末の収率に多少の差はあるが、目的とする微粉末が得られた。
アカシア樹皮抽出物の製造例2
本発明の各アカシアNo.1〜5の樹皮をそれぞれ含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量の熱水を加え、沸騰してから15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液をスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物各40gを得た。
以下、各樹皮抽出物はアカシアNo.1〜5熱水抽出物と記す。
本発明の各アカシアNo.1〜5の樹皮をそれぞれ含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量の熱水を加え、沸騰してから15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液をスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物各40gを得た。
以下、各樹皮抽出物はアカシアNo.1〜5熱水抽出物と記す。
アカシア樹皮抽出物の製造例3
本発明のアカシアの樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させた後、濃縮液をクローズドスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物(以下、アカシアNo.1エタノール抽出物の如く記す)40gを得た。
同様にして、アカシアNo.1〜5のエタノール抽出物を得た。
本発明のアカシアの樹皮を含水率20%以下まで乾燥し、その乾燥樹皮をハンマーミルで1.6mm以下の粉末に粉砕した後、この乾燥粉砕樹皮100gに対して5倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させた後、濃縮液をクローズドスプレードライヤで噴霧乾燥し、樹皮抽出物(以下、アカシアNo.1エタノール抽出物の如く記す)40gを得た。
同様にして、アカシアNo.1〜5のエタノール抽出物を得た。
アカシア樹皮抽出物の製造例4
製造例2で得られたアカシア熱水抽出物10gに3倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させて、それに水を加えてから凍結乾燥させて9gの抽出物(以下、アカシアNo.1熱水抽出物エタノール画分の如く記す)を得た。
同様にして、アカシアNo.1〜5の熱水抽出物エタノール画分を得た。
製造例2で得られたアカシア熱水抽出物10gに3倍量のエタノールを加え、沸騰させて還流させながら15分間抽出し、10〜20μmのフィルターを用いて濾過した。得られた濾液からエタノールを蒸発させて、それに水を加えてから凍結乾燥させて9gの抽出物(以下、アカシアNo.1熱水抽出物エタノール画分の如く記す)を得た。
同様にして、アカシアNo.1〜5の熱水抽出物エタノール画分を得た。
試験例1 肥満・2型糖尿病モデルKK−Ayマウスを使用した試験
1.試験方法
KK−Ayマウス(雄性、5週齢)を購入し、1週間予備飼育を行い、体重を測定後、1群10匹として表1に示すように群分けした。
試験食は、普通食(市販の普通のマウス用粉末飼料)又は高脂肪食(普通食にラードを20%含むように調製したもの)に、上記製造例2で得られたアカシアNo.1熱水抽出物を2.5又は5.0重量%含有するように配合させて調製した。
群分けを行った日を投与1日目とし、投与1日目より連日、2群、3群、5群、及び6群のマウスに、表1に従い被検試料を自由摂取させて44日間飼育した(この間、1週間に1度、摂餌量及び体重を測定した)。投与45日目に体重を測定後、ジエチルエーテル麻酔下で腹部大静脈より採血し、血漿を分離後、市販の測定キットを用い、血糖値及びインスリン濃度を測定した。また、肝臓、白色脂肪組織(腸間膜周囲、腎周囲、精巣周囲)、及び褐色脂肪組織を摘出し、それらの重量を測定した。さらに、脂肪肝の指標として肝臓中のトリグリセリド量及びコレステロール量を、市販の測定キットを用いて測定した。なお、解剖日前日は14時間絶食させた。
1.試験方法
KK−Ayマウス(雄性、5週齢)を購入し、1週間予備飼育を行い、体重を測定後、1群10匹として表1に示すように群分けした。
試験食は、普通食(市販の普通のマウス用粉末飼料)又は高脂肪食(普通食にラードを20%含むように調製したもの)に、上記製造例2で得られたアカシアNo.1熱水抽出物を2.5又は5.0重量%含有するように配合させて調製した。
群分けを行った日を投与1日目とし、投与1日目より連日、2群、3群、5群、及び6群のマウスに、表1に従い被検試料を自由摂取させて44日間飼育した(この間、1週間に1度、摂餌量及び体重を測定した)。投与45日目に体重を測定後、ジエチルエーテル麻酔下で腹部大静脈より採血し、血漿を分離後、市販の測定キットを用い、血糖値及びインスリン濃度を測定した。また、肝臓、白色脂肪組織(腸間膜周囲、腎周囲、精巣周囲)、及び褐色脂肪組織を摘出し、それらの重量を測定した。さらに、脂肪肝の指標として肝臓中のトリグリセリド量及びコレステロール量を、市販の測定キットを用いて測定した。なお、解剖日前日は14時間絶食させた。
2.試験結果
(1)体重
投与45日目の解剖直前のマウスの体重を図1に示す。2群のマウスの体重は39.7±2.6gで1群とほぼ同程度であった。一方、3群の体重は33.9±2.4gであり、1群に比べて有意に低かった。4群のマウスの体重は51.4±2.5gであり、1群に比べて有意に高かった。5群及び6群の体重は4群に比べ有意に低く、この体重増加抑制はアカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的であった。
(1)体重
投与45日目の解剖直前のマウスの体重を図1に示す。2群のマウスの体重は39.7±2.6gで1群とほぼ同程度であった。一方、3群の体重は33.9±2.4gであり、1群に比べて有意に低かった。4群のマウスの体重は51.4±2.5gであり、1群に比べて有意に高かった。5群及び6群の体重は4群に比べ有意に低く、この体重増加抑制はアカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的であった。
(2)摂餌量
1群、2群、及び3群のマウスの1日あたりの平均摂餌量は、群間で有意な差は認められなかった。また、4群、5群、及び6群のマウスの1日あたりの平均摂餌量は、群間で有意な差は認められなかった。
1群、2群、及び3群のマウスの1日あたりの平均摂餌量は、群間で有意な差は認められなかった。また、4群、5群、及び6群のマウスの1日あたりの平均摂餌量は、群間で有意な差は認められなかった。
(3)脂肪量
(3−1)白色脂肪組織重量
マウスの内臓白色脂肪組織重量(腎周囲、腸間膜周囲、精巣周囲の白色脂肪組織重量の合計)を図2に示す。1群のマウスの白色脂肪組織重量は、3414.5±687.9gであった。これに対して、2群のマウスの白色脂肪組織重量は3281.7±532.1gであり、1群との間に有意な差は認められなかった。一方、3群の白色脂肪組織重量は2372.3±593.5gであり、1群に比べて有意に低かった。4群のマウスの白色脂肪組織重量は4354.0±546.7gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪蓄積が認められた。これに対して、5群及び6群の白色脂肪組織重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に、しかも4群に比べて有意に減少した。
(3−1)白色脂肪組織重量
マウスの内臓白色脂肪組織重量(腎周囲、腸間膜周囲、精巣周囲の白色脂肪組織重量の合計)を図2に示す。1群のマウスの白色脂肪組織重量は、3414.5±687.9gであった。これに対して、2群のマウスの白色脂肪組織重量は3281.7±532.1gであり、1群との間に有意な差は認められなかった。一方、3群の白色脂肪組織重量は2372.3±593.5gであり、1群に比べて有意に低かった。4群のマウスの白色脂肪組織重量は4354.0±546.7gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪蓄積が認められた。これに対して、5群及び6群の白色脂肪組織重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に、しかも4群に比べて有意に減少した。
(3−2)褐色脂肪組織重量
マウスの褐色脂肪組織重量を図3に示す。1群、2群、及び3群のマウスの褐色脂肪組織重量は約250mgであり、群間に有意な差は認められなかった。4群のマウスの褐色脂肪組織重量は407.8±83.3gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪蓄積が認められた。これに対して、5群及び6群の褐色脂肪組織重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に減少した。特に、6群では、4群に比べて有意に低く、著明な脂肪蓄積の抑制が認められた。
マウスの褐色脂肪組織重量を図3に示す。1群、2群、及び3群のマウスの褐色脂肪組織重量は約250mgであり、群間に有意な差は認められなかった。4群のマウスの褐色脂肪組織重量は407.8±83.3gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪蓄積が認められた。これに対して、5群及び6群の褐色脂肪組織重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に減少した。特に、6群では、4群に比べて有意に低く、著明な脂肪蓄積の抑制が認められた。
(3−3)脂肪肝
(3−3−1)肝臓重量
マウスの肝臓重量を図4に示す。1群のマウスの肝臓重量は1848.6±220.1gであった。2群及び3群の肝臓重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓重量は3270.6±442.6gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓重量は、4群に比べて有意に低く、この肝臓重量の低下は投与量依存的であった。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
(3−3−1)肝臓重量
マウスの肝臓重量を図4に示す。1群のマウスの肝臓重量は1848.6±220.1gであった。2群及び3群の肝臓重量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓重量は3270.6±442.6gであり、1群に比べて有意に高く、著明な脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓重量は、4群に比べて有意に低く、この肝臓重量の低下は投与量依存的であった。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
(3−3−2)肝臓中トリグリセリド含量
マウスの肝臓中トリグリセリド含量を図5に示す。1群のマウスの肝臓中トリグリセリド含量は78±14mg/gであった。2群及び3群の肝臓中トリグリセリド含量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓中トリグリセリド含量は156±12mg/gであり、1群に比べて著明かつ有意に高く、脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓中トリグリセリド含量は、4群に比べて有意に低く、このトリグリセリド量の低下は投与量依存的であった。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
マウスの肝臓中トリグリセリド含量を図5に示す。1群のマウスの肝臓中トリグリセリド含量は78±14mg/gであった。2群及び3群の肝臓中トリグリセリド含量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓中トリグリセリド含量は156±12mg/gであり、1群に比べて著明かつ有意に高く、脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓中トリグリセリド含量は、4群に比べて有意に低く、このトリグリセリド量の低下は投与量依存的であった。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
(3−3−3)肝臓中コレステロール含量
マウスの肝臓中コレステロール含量を図6に示す。1群のマウスの肝臓中コレステロール含量は2.3±0.4mg/gであった。2群及び3群の肝臓中コレステロール含量は著明に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓中コレステロール含量は4.4±0.7mg/gであり、1群に比べて有意に高く、脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓中コレステロール含量は、4群に比べて著明かつ有意に低下していた。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
マウスの肝臓中コレステロール含量を図6に示す。1群のマウスの肝臓中コレステロール含量は2.3±0.4mg/gであった。2群及び3群の肝臓中コレステロール含量は著明に低下し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスの肝臓中コレステロール含量は4.4±0.7mg/gであり、1群に比べて有意に高く、脂肪肝が認められた。これに対して、5群及び6群の肝臓中コレステロール含量は、4群に比べて著明かつ有意に低下していた。また、いずれの群においても脂肪肝は認められなかった。
(4)空腹時血糖値
マウスの空腹時血糖値を図7に示す。1群のマウスの血糖値は121.0±38.6mg/dLであった。2群及び3群の血糖値は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下傾向を示したが、いずれの群においても1群との間に有意な差は認められなかった。4群のマウスの血糖値は373.7±78.5mg/dLであり、1群に比べて有意に高く、重度な糖尿病が認められた。これに対して、5群及び6群の血糖値は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、両群とも4群に比べて著明かつ有意に低く、糖尿病の抑制が認められた。
マウスの空腹時血糖値を図7に示す。1群のマウスの血糖値は121.0±38.6mg/dLであった。2群及び3群の血糖値は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下傾向を示したが、いずれの群においても1群との間に有意な差は認められなかった。4群のマウスの血糖値は373.7±78.5mg/dLであり、1群に比べて有意に高く、重度な糖尿病が認められた。これに対して、5群及び6群の血糖値は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、両群とも4群に比べて著明かつ有意に低く、糖尿病の抑制が認められた。
(5)血漿中インスリン濃度
マウスの血漿中インスリン濃度を図8に示す。1群のマウスのインスリン濃度は1.3±1.2ng/mLであった。これに対して、2群及び3群のインスリン濃度は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下を示し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスのインスリン濃度は6.1±4.3ng/mLであり、1群に比べて有意に高く、糖尿病による著明なインスリン抵抗性が認められた。これに対して、5群及び6群のインスリン濃度は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に著明かつ有意に減少した。
マウスの血漿中インスリン濃度を図8に示す。1群のマウスのインスリン濃度は1.3±1.2ng/mLであった。これに対して、2群及び3群のインスリン濃度は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下を示し、いずれの群においても1群との間に有意な差が認められた。4群のマウスのインスリン濃度は6.1±4.3ng/mLであり、1群に比べて有意に高く、糖尿病による著明なインスリン抵抗性が認められた。これに対して、5群及び6群のインスリン濃度は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に著明かつ有意に減少した。
本試験例では、アカシアNo.1熱水抽出物が抗肥満作用及び抗糖尿病作用を示すか否かを、肥満・2型糖尿病モデルKK−Ayマウスを用いて検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物は摂餌量の変化なしに、体重増加を抑制した。また、アカシアNo.1熱水抽出物は投与量依存的に内臓白色脂肪重量及び褐色脂肪重量を低下させた。さらに、肝臓重量の増加ならびに肝臓トリグリセリドの蓄積及び肝臓コレステロールの蓄積を抑制した。また、アカシアNo.1熱水抽出物は、投与量依存的に、血糖値及びインスリン濃度の上昇を抑制した。
試験例2 3T3−L1脂肪前駆細胞を使用した試験
1.試験方法
(1)細胞培養方法
3T3−L1脂肪前駆細胞を48 well plateに播種し(10,000 cells/well)、コンフルエントに達するまで8日間培養した。その後、脂肪細胞への分化を誘導させるために、分化誘導剤〔5μg/mL インスリン、1μM デキサメタゾン(DEX)、0.5 mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)〕を添加した培地で2日間培養した。さらに、インスリン(5μg/mL)を添加した培地で2日間培養した後、通常培地のみで2日間培養した。この間(6日間)、培地交換時に、アカシアNo.1熱水抽出物の水溶液を種々の濃度(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL)で添加した。なお、コントロールとして滅菌蒸留水を使用した。6日目に、細胞内に蓄積した脂肪をOil Red Oを用いて染色し、分化の指標とした。また、MTTアッセイによりアカシアNo.1熱水抽出物の細胞毒生を検討した。
1.試験方法
(1)細胞培養方法
3T3−L1脂肪前駆細胞を48 well plateに播種し(10,000 cells/well)、コンフルエントに達するまで8日間培養した。その後、脂肪細胞への分化を誘導させるために、分化誘導剤〔5μg/mL インスリン、1μM デキサメタゾン(DEX)、0.5 mM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)〕を添加した培地で2日間培養した。さらに、インスリン(5μg/mL)を添加した培地で2日間培養した後、通常培地のみで2日間培養した。この間(6日間)、培地交換時に、アカシアNo.1熱水抽出物の水溶液を種々の濃度(1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL)で添加した。なお、コントロールとして滅菌蒸留水を使用した。6日目に、細胞内に蓄積した脂肪をOil Red Oを用いて染色し、分化の指標とした。また、MTTアッセイによりアカシアNo.1熱水抽出物の細胞毒生を検討した。
(2)Oil Red O染色
脂肪前駆細胞は分化すると脂肪細胞になる。脂肪細胞になると脂肪前駆細胞とは異なり、細胞内に脂肪を蓄積するようになる。また、脂肪細胞の細胞質に蓄積した脂肪滴はOil Red Oにより選択的に染色される。そこで、Oil Red O染色法を用いて蓄積脂肪量を測定することにより、分化の指標とした。48 well plate中で培養、分化させた細胞を、PBS−で穏やかに1回洗浄した後、10% ホルマリンを含むPBS−(400μL)で1時間固定した。その後、各wellに125μLのOil Red O溶液を分注し、室温で15分間放置して、細胞を染色した。15分後、各wellを125μLの蒸留水で3回洗浄した。次いで、細胞中の色素を、125μLのイソプロピルアルコールで溶出した後、各wellの溶出液100μLを96 well培養プレートに移し、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定した。細胞を含まない空のwellについても色素で染色し同様の操作を行い、バックグラウンド値として各wellの値から減じた。
脂肪前駆細胞は分化すると脂肪細胞になる。脂肪細胞になると脂肪前駆細胞とは異なり、細胞内に脂肪を蓄積するようになる。また、脂肪細胞の細胞質に蓄積した脂肪滴はOil Red Oにより選択的に染色される。そこで、Oil Red O染色法を用いて蓄積脂肪量を測定することにより、分化の指標とした。48 well plate中で培養、分化させた細胞を、PBS−で穏やかに1回洗浄した後、10% ホルマリンを含むPBS−(400μL)で1時間固定した。その後、各wellに125μLのOil Red O溶液を分注し、室温で15分間放置して、細胞を染色した。15分後、各wellを125μLの蒸留水で3回洗浄した。次いで、細胞中の色素を、125μLのイソプロピルアルコールで溶出した後、各wellの溶出液100μLを96 well培養プレートに移し、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定した。細胞を含まない空のwellについても色素で染色し同様の操作を行い、バックグラウンド値として各wellの値から減じた。
(3)MTTアッセイ
MTTアッセイは、細胞増殖/細胞死を測定するための試験である。生細胞では、試薬中に含まれるテトラゾリウム塩であるMTT(薄い黄色)が還元され、不溶性ホルマザン色素(青色)が産生される。一方、死んだ細胞や著しく障害を受けた細胞ではMTTを還元する能力は低く、ホルマザンはほとんど産生されない。本試験は、このホルマザンの産生量を指標に、細胞の生死を判定するものである。なお、MTTの還元はミトコンドリアの糖代謝酵素によって起こる。48 well plate中で培養、分化させた細胞の培地を吸引除去後、培地を各wellに200μL添加した。その後、各wellにMTT溶液(5mg/ml)を20μLずつ加え、4時間培養した。生存している細胞によって作られたホルマザンを、各wellに0.04 M HCl/イソプロパノール溶液を300μLずつ加え、ソニケーションにより溶出した。各wellの溶液を96 well plateに移し、マイクロプレートリーダーを用いて、測定波長570nm及び対照波長630nmで吸光度を測定した。細胞を含まない培地のみのwellについてもMTT溶液を加え同様の操作を行い、バックグラウンド値として各wellの値から減じた。
MTTアッセイは、細胞増殖/細胞死を測定するための試験である。生細胞では、試薬中に含まれるテトラゾリウム塩であるMTT(薄い黄色)が還元され、不溶性ホルマザン色素(青色)が産生される。一方、死んだ細胞や著しく障害を受けた細胞ではMTTを還元する能力は低く、ホルマザンはほとんど産生されない。本試験は、このホルマザンの産生量を指標に、細胞の生死を判定するものである。なお、MTTの還元はミトコンドリアの糖代謝酵素によって起こる。48 well plate中で培養、分化させた細胞の培地を吸引除去後、培地を各wellに200μL添加した。その後、各wellにMTT溶液(5mg/ml)を20μLずつ加え、4時間培養した。生存している細胞によって作られたホルマザンを、各wellに0.04 M HCl/イソプロパノール溶液を300μLずつ加え、ソニケーションにより溶出した。各wellの溶液を96 well plateに移し、マイクロプレートリーダーを用いて、測定波長570nm及び対照波長630nmで吸光度を測定した。細胞を含まない培地のみのwellについてもMTT溶液を加え同様の操作を行い、バックグラウンド値として各wellの値から減じた。
2.試験結果
(1)Oil Red O染色
コンフルエント後、3T3−L1脂肪前駆細胞を、アカシアNo.1熱水抽出物又は滅菌蒸留水で、分化の間(6日間)処置した。この時、アカシアNo.1熱水抽出物を加えずに、分化誘導剤のみを加え培養した細胞を分化コントロールとし、分化誘導剤を加えずに培養した細胞を未分化コントロールとした。図9にOil Red O染色の結果を、図10にその顕微鏡写真を示す。未分化コントロール群はOil Red Oによりほとんど染まらず、溶出液の吸光度は、分化コントロール群の25%であった。アカシアNo.1熱水抽出物1μg/mL添加群及び10μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べて、わずかなOil Red O染色抑制活性が認められた。一方、アカシアNo.1熱水抽出物100μg/mL添加群では未分化コントロール群とほぼ同程度までOil Red O染色が抑制された。
(1)Oil Red O染色
コンフルエント後、3T3−L1脂肪前駆細胞を、アカシアNo.1熱水抽出物又は滅菌蒸留水で、分化の間(6日間)処置した。この時、アカシアNo.1熱水抽出物を加えずに、分化誘導剤のみを加え培養した細胞を分化コントロールとし、分化誘導剤を加えずに培養した細胞を未分化コントロールとした。図9にOil Red O染色の結果を、図10にその顕微鏡写真を示す。未分化コントロール群はOil Red Oによりほとんど染まらず、溶出液の吸光度は、分化コントロール群の25%であった。アカシアNo.1熱水抽出物1μg/mL添加群及び10μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べて、わずかなOil Red O染色抑制活性が認められた。一方、アカシアNo.1熱水抽出物100μg/mL添加群では未分化コントロール群とほぼ同程度までOil Red O染色が抑制された。
(2)MTTアッセイ
図11にMTTアッセイの結果を示す。アカシアNo.1熱水抽出物1μg/mL添加群及び10μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べて、MTT還元活性の有意な低下は認められなかった。一方、アカシアNo.1熱水抽出物100μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べてMTT還元活性の有意な低下が認められた。
図11にMTTアッセイの結果を示す。アカシアNo.1熱水抽出物1μg/mL添加群及び10μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べて、MTT還元活性の有意な低下は認められなかった。一方、アカシアNo.1熱水抽出物100μg/mL添加群では、分化コントロール群に比べてMTT還元活性の有意な低下が認められた。
本試験例では、アカシアNo.1熱水抽出物が3T3−L1脂肪前駆細胞の分化を抑制するか否かを検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物1μg/mL添加群及び10μg/mL添加群では毒性の発現なく、分化を抑制することがわかったが、その作用はきわめて弱いものであった。
以上のことから、アカシアNo.1熱水抽出物が脂肪前駆細胞分化過程に影響を与えている可能性は低いことが示唆された。
以上のことから、アカシアNo.1熱水抽出物が脂肪前駆細胞分化過程に影響を与えている可能性は低いことが示唆された。
試験例3 抗肥満メカニズムの検討
1.試験方法
(1)投与
KK−Ayマウス(雄性、5週齢)を購入し、1週間予備飼育を行い、体重を測定後、1群10匹として表2に示すように群分けした。
試験食は、試験例1と同様に調製した。
群分けを行った日を投与1日目とし、投与1日目より連日、2群、3群、5群、及び6群のマウスに、表2に従い試験食を自由摂取させて44日間飼育した。投与45日目にジエチルエーテル麻酔下で肝臓を摘出し、mRNAを抽出後、genechip及びリアルタイムRT-PCRによりSterol regulatory element-binding protein 1c(SREBP-1c)ならびにperoxisome proliferators-activated receptor(PPAR)α及びγの発現量を測定した。なお、genechip解析は1群1匹を、リアルタイムRT-PCRについては1群6匹を選抜し行った。
1.試験方法
(1)投与
KK−Ayマウス(雄性、5週齢)を購入し、1週間予備飼育を行い、体重を測定後、1群10匹として表2に示すように群分けした。
試験食は、試験例1と同様に調製した。
群分けを行った日を投与1日目とし、投与1日目より連日、2群、3群、5群、及び6群のマウスに、表2に従い試験食を自由摂取させて44日間飼育した。投与45日目にジエチルエーテル麻酔下で肝臓を摘出し、mRNAを抽出後、genechip及びリアルタイムRT-PCRによりSterol regulatory element-binding protein 1c(SREBP-1c)ならびにperoxisome proliferators-activated receptor(PPAR)α及びγの発現量を測定した。なお、genechip解析は1群1匹を、リアルタイムRT-PCRについては1群6匹を選抜し行った。
(2)genechip解析
genechipは、遺伝子を網羅的に解析することができる手法である。網羅的に多数の遺伝子の発現を見ることができる一方、定量性に問題があることがあり、PCR法により確認が必要なことがある。まず、摘出した臓器からRNAを抽出し、逆転写によりcDNAを合成した後、さらにcRNAを合成する。この際、ビオチンラベルされたリボヌクレオチドを取り込ませる。得られたcRNAを断片化し、genechipプローブアレイにハイブリダイゼーションさせ、洗浄及び染色を行う。これを専用スキャナで特異的なシグナルを検出し、解析を行う。本試験例では、Affymetrix社のMouse Genome 430 2.0 Arrayを用いて行った。
genechipは、遺伝子を網羅的に解析することができる手法である。網羅的に多数の遺伝子の発現を見ることができる一方、定量性に問題があることがあり、PCR法により確認が必要なことがある。まず、摘出した臓器からRNAを抽出し、逆転写によりcDNAを合成した後、さらにcRNAを合成する。この際、ビオチンラベルされたリボヌクレオチドを取り込ませる。得られたcRNAを断片化し、genechipプローブアレイにハイブリダイゼーションさせ、洗浄及び染色を行う。これを専用スキャナで特異的なシグナルを検出し、解析を行う。本試験例では、Affymetrix社のMouse Genome 430 2.0 Arrayを用いて行った。
(3)リアルタイムRT-PCR
リアルタイムRT-PCRは、遺伝子発現を定量的に比較・解析することができる手法である。まず、摘出した臓器からRNAを抽出し、逆転写を行い、cDNAを合成する。変性・アニーリング・伸長鎖反応を繰り返し、cDNAを増幅し、増幅過程の蛍光強度をモニタリングする。一定の蛍光強度が得られるまでのサイクル数を各々の遺伝子発現強度とし、目的遺伝子とハウスキーピング遺伝子の発現強度の比を算出することにより、解析を行う。本研究では、ハウスキーピング遺伝子として18S rRNAを用い、SREBP-1c、PPARα、及びPPARγのmRNA発現量を解析した。
リアルタイムRT-PCRは、遺伝子発現を定量的に比較・解析することができる手法である。まず、摘出した臓器からRNAを抽出し、逆転写を行い、cDNAを合成する。変性・アニーリング・伸長鎖反応を繰り返し、cDNAを増幅し、増幅過程の蛍光強度をモニタリングする。一定の蛍光強度が得られるまでのサイクル数を各々の遺伝子発現強度とし、目的遺伝子とハウスキーピング遺伝子の発現強度の比を算出することにより、解析を行う。本研究では、ハウスキーピング遺伝子として18S rRNAを用い、SREBP-1c、PPARα、及びPPARγのmRNA発現量を解析した。
2.試験結果
(1)肝臓中のSREBP-1c mRNA発現量
肝臓におけるgenechip及びリアルタイムRT-PCRでのSREBP-1c mRNA発現量を図12に示す。2群及び3群のSREBP-1c mRNA発現量は、1群に比べ有意に減少した。5群及び6群のSREBP-1c mRNA発現量は、4群に比べ有意に減少した。
(1)肝臓中のSREBP-1c mRNA発現量
肝臓におけるgenechip及びリアルタイムRT-PCRでのSREBP-1c mRNA発現量を図12に示す。2群及び3群のSREBP-1c mRNA発現量は、1群に比べ有意に減少した。5群及び6群のSREBP-1c mRNA発現量は、4群に比べ有意に減少した。
(2)肝臓中のPPARα mRNA発現量
肝臓におけるgenechip及びリアルタイムRT-PCRでのPPARα mRNA発現量を図13に示す。2群及び3群のPPARα mRNA発現量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に増加した。特に3群では1群に比べ約4倍発現量が有意に増加した。4群におけるPPARα mRNA発現量は、1群に比べ増加した。6群のPPARα mRNA発現量は、4群と比べ約2倍有意に増加した。
肝臓におけるgenechip及びリアルタイムRT-PCRでのPPARα mRNA発現量を図13に示す。2群及び3群のPPARα mRNA発現量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に増加した。特に3群では1群に比べ約4倍発現量が有意に増加した。4群におけるPPARα mRNA発現量は、1群に比べ増加した。6群のPPARα mRNA発現量は、4群と比べ約2倍有意に増加した。
(3)肝臓中のPPARγ mRNA発現量
肝臓におけるPPARγ mRNA発現量を図14に示す。2群及び3群のPPARγ mRNA発現量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、3群では1群と比べ有意差が認められた。4群におけるPPARγ mRNA発現量は、1群に比べ約2倍に増加した。5群及び6群のPPARγ mRNA発現量は4群に比べ有意に低下した。
肝臓におけるPPARγ mRNA発現量を図14に示す。2群及び3群のPPARγ mRNA発現量は、アカシアNo.1熱水抽出物の投与量依存的に低下し、3群では1群と比べ有意差が認められた。4群におけるPPARγ mRNA発現量は、1群に比べ約2倍に増加した。5群及び6群のPPARγ mRNA発現量は4群に比べ有意に低下した。
本試験例では、アカシアNo.1熱水抽出物の抗肥満作用のメカニズムを解明することを目的とした。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物の投与により、肝臓において、脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)の発現低下、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)の発現増加、及び脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)の発現低下が、genechip及びリアルタイムRT-PCRのいずれにおいても認められた。SREBP-1cは脂肪酸合成に関与するアシルCoAカルボキシラーゼ(ACC)及び脂肪酸シンターゼ(FAS)の発現を調節することが知られている。アカシアNo.1熱水抽出物は、SREBP-1cの発現を低下させ、これらの酵素の発現低下を導き、脂肪酸合成を抑制したと考えられる。
PPARαは脂肪酸をβ酸化する中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(MCAD)、長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(LCAD)、及びアシルCoAオキシダーゼ(ACO)などの酵素の発現を調節することが知られている。アカシアNo.1熱水抽出物は、PPARαの発現を増加させ、これらの酵素の発現増加を導き、脂肪酸分解を促進したと考えられる。
PPARγは血中の中性脂肪を遊離脂肪酸に代謝する酵素リポプロテインリパーゼ(LPL)や代謝された脂肪酸を肝臓内に取り込むタンパク質CD36の発現を調節することが知られている。アカシアNo.1熱水抽出物は、PPARγの発現を低下させ、LPLやCD36発現低下を導き、肝臓における脂肪蓄積を抑制したと考えられる。
以上のことから、アカシアNo.1熱水抽出物は、肝臓においてこれらの遺伝子の発現変化により脂肪蓄積を抑え、抗肥満作用を示すものと考えられた。
PPARαは脂肪酸をβ酸化する中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(MCAD)、長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(LCAD)、及びアシルCoAオキシダーゼ(ACO)などの酵素の発現を調節することが知られている。アカシアNo.1熱水抽出物は、PPARαの発現を増加させ、これらの酵素の発現増加を導き、脂肪酸分解を促進したと考えられる。
PPARγは血中の中性脂肪を遊離脂肪酸に代謝する酵素リポプロテインリパーゼ(LPL)や代謝された脂肪酸を肝臓内に取り込むタンパク質CD36の発現を調節することが知られている。アカシアNo.1熱水抽出物は、PPARγの発現を低下させ、LPLやCD36発現低下を導き、肝臓における脂肪蓄積を抑制したと考えられる。
以上のことから、アカシアNo.1熱水抽出物は、肝臓においてこれらの遺伝子の発現変化により脂肪蓄積を抑え、抗肥満作用を示すものと考えられた。
上記試験例の結果から、アカシアNo.1熱水抽出物は内臓白色脂肪重量及び褐色脂肪重量を低下させ、体重増加を抑制し、抗肥満作用を示す物質であることがわかった。また、肝臓重量の増加、肝臓トリグリセリド蓄積、及び肝臓コレステロール蓄積も抑え、アカシアNo.1熱水抽出物には脂肪肝を抑制する効果が認められた。さらに、血糖値及びインスリン濃度の上昇を抑制し、抗糖尿病作用及びインスリン抵抗性改善作用も認められた。
これらのメカニズムを解明する目的で、アカシアNo.1熱水抽出物が3T3−L1脂肪前駆細胞の分化を抑制するか否かを検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物は、脂肪前駆細胞分化過程に影響を与えている可能性は低いことが示唆された。
次に、アカシアNo.1熱水抽出物の抗肥満作用分子メカニズムの解明を目的として、肝臓において脂肪合成、脂肪分解、脂肪蓄積に重要な役割を担う遺伝子の発現をgenechip及びリアルタイムRT-PCRにより検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物は、肝臓において、脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)発現低下、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)発現増加、及び脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)発現低下を導き、抗肥満作用及び脂肪肝抑制作用を示すことが示唆された。
以上のことより、アカシア樹皮由来物は、肝臓における肥満抑制関連遺伝子を発現変動させることにより、抗肥満作用を示したと考えられる。
これらのメカニズムを解明する目的で、アカシアNo.1熱水抽出物が3T3−L1脂肪前駆細胞の分化を抑制するか否かを検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物は、脂肪前駆細胞分化過程に影響を与えている可能性は低いことが示唆された。
次に、アカシアNo.1熱水抽出物の抗肥満作用分子メカニズムの解明を目的として、肝臓において脂肪合成、脂肪分解、脂肪蓄積に重要な役割を担う遺伝子の発現をgenechip及びリアルタイムRT-PCRにより検討した。その結果、アカシアNo.1熱水抽出物は、肝臓において、脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)発現低下、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)発現増加、及び脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)発現低下を導き、抗肥満作用及び脂肪肝抑制作用を示すことが示唆された。
以上のことより、アカシア樹皮由来物は、肝臓における肥満抑制関連遺伝子を発現変動させることにより、抗肥満作用を示したと考えられる。
配合例1 内服剤の調製
製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて内服剤を調製した。
製造例4の抽出物画分 1.0(重量%)
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 8.0
ポリビニールピロリドン 1.0
計 100.0
製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて内服剤を調製した。
製造例4の抽出物画分 1.0(重量%)
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 8.0
ポリビニールピロリドン 1.0
計 100.0
配合例2 ペットフードの調製
製造例2のアカシア樹皮熱水抽出物を用い、下記に示す組成にてペットフードを調製した。
製造例2の抽出物 1.0(重量%)
オートミール 88.0
でんぷん 5.0
食塩 2.5
全卵 3.0
調味料 0.5
計 100.0
製造例2のアカシア樹皮熱水抽出物を用い、下記に示す組成にてペットフードを調製した。
製造例2の抽出物 1.0(重量%)
オートミール 88.0
でんぷん 5.0
食塩 2.5
全卵 3.0
調味料 0.5
計 100.0
配合例3 錠剤(菓子)の調製
製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて錠剤(菓子)を調製した。
製造例4の抽出物画分 1.0(重量%)
クエン酸 1.0
脱脂粉乳 15.0
ショ糖エステル 1.0
フレーバー 0.5
粉糖 20.0
乳糖 61.5
計 100.0
製造例4のアカシア樹皮熱水抽出物エタノール画分を用い、下記に示す組成にて錠剤(菓子)を調製した。
製造例4の抽出物画分 1.0(重量%)
クエン酸 1.0
脱脂粉乳 15.0
ショ糖エステル 1.0
フレーバー 0.5
粉糖 20.0
乳糖 61.5
計 100.0
配合例4 錠剤の調製
製造例2のアカシア樹皮No.1熱水抽出物を用い、下記に示す組成にて錠剤を調製した。
製造例2のアカシア樹皮No.1熱水抽出物 125(mg)
ショ糖エステル 9
乳糖 166
計 300
製造例2のアカシア樹皮No.1熱水抽出物を用い、下記に示す組成にて錠剤を調製した。
製造例2のアカシア樹皮No.1熱水抽出物 125(mg)
ショ糖エステル 9
乳糖 166
計 300
本発明の血糖降下及び/又は抗肥満組成物は、血糖上昇を伴う疾患及び/又は肥満の解消及び/又は予防及び/又は治療に使用するための医薬品又は医薬部外品、あるいは健康食品、健康補助食品、特定保健用食品又は栄養補助食品などの食品あるいは動物用飼料として利用できる。
上記血糖上昇を伴う疾患として、I型及びII型糖尿病などの糖尿病ならびに高血糖症のみならず、これら糖尿病や高血糖症を起因とする疾病、例えば、糖尿病性高脂血症、糖尿病性骨粗鬆症、糖尿病により体重が減少する症状、糖尿病により血中ミネラル濃度が変動する症状、しびれ若しくは痛みなどの糖尿病性神経障害、白内障、動脈硬化症、末梢血流障害、足壊疽などの糖尿病壊疽、糖尿病性網膜症、又は糖尿病腎症などの合併症などが例示される。
特に、本発明の組成物は、血糖の上昇を抑制することから、高血糖症を予防でき、ひいては糖尿病を予防することができると考えられるので、健康食品や特定保健用食品に有用であると思われる。
上記血糖上昇を伴う疾患として、I型及びII型糖尿病などの糖尿病ならびに高血糖症のみならず、これら糖尿病や高血糖症を起因とする疾病、例えば、糖尿病性高脂血症、糖尿病性骨粗鬆症、糖尿病により体重が減少する症状、糖尿病により血中ミネラル濃度が変動する症状、しびれ若しくは痛みなどの糖尿病性神経障害、白内障、動脈硬化症、末梢血流障害、足壊疽などの糖尿病壊疽、糖尿病性網膜症、又は糖尿病腎症などの合併症などが例示される。
特に、本発明の組成物は、血糖の上昇を抑制することから、高血糖症を予防でき、ひいては糖尿病を予防することができると考えられるので、健康食品や特定保健用食品に有用であると思われる。
Claims (11)
- 脂肪合成関連遺伝子(SREBP-1c)の発現を低下させ、脂肪分解関連遺伝子(PPARα)の発現を増加させ、脂肪蓄積関連遺伝子(PPARγ)の発現を低下させること、及びインスリン抵抗性を改善することを特徴とする、アカシア属樹皮由来物を含有する、血糖降下及び/又は抗肥満組成物。
- アカシア属樹皮由来物がアカシア属の樹皮の抽出物である、請求項1記載の組成物。
- アカシア属樹皮由来物がアカシア樹皮ポリフェノールである、請求項1記載の組成物。
- アカシア樹皮ポリフェノールが縮合型タンニンである、請求項3記載の組成物。
- 縮合型タンニンが分子量500〜3000である、請求項4記載の組成物。
- 縮合型タンニンが、フラバン−3−オールを基本骨格とするフラバノール類の重合体である、請求項4又は5記載の組成物。
- 有効成分量として1日あたり摂取者又は摂取動物の体重1kgにつき0.001〜1gのアカシア樹皮ポリフェノールが経口摂取される、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
- 食品である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 動物用飼料である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 医薬品である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 医薬部外品である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008049984A JP2009203209A (ja) | 2008-02-29 | 2008-02-29 | アカシア属樹皮由来物を含有する血糖降下及び/又は抗肥満組成物 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104489248A (zh) * | 2014-12-23 | 2015-04-08 | 广州市海维饲料有限公司 | 一种脆肉鲩的膨化配合饲料及其制备方法 |
US10702492B2 (en) | 2015-02-02 | 2020-07-07 | Marukome Co., Ltd. | PPARα activator, pharmaceutical composition, food and drink, food additive, supplement and method of manufacturing the same |
WO2021065987A1 (ja) | 2019-10-04 | 2021-04-08 | 株式会社アカシアの樹 | 腸内環境改善剤 |
WO2022054629A1 (ja) * | 2020-09-10 | 2022-03-17 | 株式会社アカシアの樹 | 口腔内フローラ改善・維持剤、プラーク/歯垢の除去及び歯石形成予防剤 |
-
2008
- 2008-02-29 JP JP2008049984A patent/JP2009203209A/ja not_active Withdrawn
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